JPH09194755A - カーボンブラック用原料油 - Google Patents

カーボンブラック用原料油

Info

Publication number
JPH09194755A
JPH09194755A JP2846396A JP2846396A JPH09194755A JP H09194755 A JPH09194755 A JP H09194755A JP 2846396 A JP2846396 A JP 2846396A JP 2846396 A JP2846396 A JP 2846396A JP H09194755 A JPH09194755 A JP H09194755A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
carbon black
hexane
raw material
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2846396A
Other languages
English (en)
Inventor
Masanobu Maeda
真伸 前田
Shinji Misono
伸司 味曽野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokai Carbon Co Ltd
Original Assignee
Tokai Carbon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokai Carbon Co Ltd filed Critical Tokai Carbon Co Ltd
Priority to JP2846396A priority Critical patent/JPH09194755A/ja
Publication of JPH09194755A publication Critical patent/JPH09194755A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コークスグリットの生成を低位に抑えながら
高品質のカーボンブラックを収率よく製造することがで
きるカーボンブラック用原料油を提供する。 【解決手段】 (1) 石油系または石炭系の炭化水素油、
もしくはこれらを混合した炭化水素油であって、n−ヘ
キサン不溶分が10%以下であり、n−ヘキサン可溶分
中の二環芳香族成分が15%以上、n−ヘキサン可溶分
中の三環芳香族成分が40%以上の組成を有するカーボ
ンブラック用原料油。(2) 石油系または石炭系の炭化水
素油、もしくはこれらを混合した炭化水素油であって、
n−ヘキサン不溶分が10%以下であり、n−ヘキサン
可溶分中に平均側鎖炭素数3.0以下の二環芳香族成分
および三環芳香族成分が55%以上含む組成のカーボン
ブラック用原料油。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ゴムあるいはプラ
スチック等の補強材、充填剤となるファーネスカーボン
ブラックの工業的製造に有用な原料油に係り、とくにコ
ークスグリットの生成を低位に抑えながら高品質のカー
ボンブラックを収率よく得ることができる新規組成のカ
ーボンブラック用原料油に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にゴムやプラスチック補強用のカー
ボンブラックは、耐火材および断熱材を内張りにした円
筒形状の製造炉を用い、炉頭部の燃焼室に液体燃料を導
入して高温燃焼ガス流を形成させ、この燃焼室に連設さ
れた反応ゾーンを流下する高温燃焼ガスの旋回気流中に
液状の炭化水素原料油を噴射供給して熱分解反応を起生
させながら連続的にカーボンブラックに転化する方法に
より工業生産される。
【0003】従来、カーボンブラック製造時に炉内に供
給する原料油としては、コークス製造過程で生ずるコー
ルタールの分留重質油(クレオソート油)、ナフサ分解
によって得られる残渣油(エチレンボトム油)、流動接
触分解残渣油(FCC)など特定の石炭系、石油系の油
種が使用されている。このうち、石炭系のクレオソート
油は最もカーボンブラック用原料油としての適格性に優
れているが、タール蒸留によって生成する副生物である
関係で、その供給量はタール蒸留工業の稼働状況に大き
く依存する。一方、石油系のエチレンボトム油やFCC
油も石油化学工業の趨勢によって影響される要素が少な
くない。加えて、近年、これらの油種は燃料資源として
の消費が増大していることから、カーボンブラック用原
料油としての安定確保が困難となりつつある。とくに輸
入に頼る石油系原料油は、海外の政治ならびに経済情勢
に左右されるところが大きく、現状では量的、価格的に
カーボンブラック原料としての妙味が低下してきてい
る。
【0004】このような状況のもとに、安価で安定供給
が可能な原料油への転換、開発の必要性が高まり、この
要請に応じた新種のカーボンブラック用原料油が提案さ
れている。例えば、特開昭50−68991号公報には
エチレンボトム油とタールピッチを炭素と水素の元素比
が0.95〜1.4の範囲に混合する原料油が、特開昭
55−48255号公報にはエチレンボトム油100重
量部に石油ピッチを1〜50重量部配合した原料油が開
示されており、いずれも従来の原料油と同等の作業性で
使用できるとされている。また、特開昭60−1663
48号公報にはコールタールを分留して得られる重質油
留分とタールピッチをキノリン不溶分0.7〜2.0
%、コークス残分15〜40%の範囲に混和配合した組
成によりコークスグリットを特定範囲内に抑制すること
ができる原料油が、特開平6−41464号公報にはコ
ールタールの蒸留残さであるタールピッチから超臨界抽
出で脱キノリン不溶分ピッチを得ることによりコークス
グリット発生量の少ないカーボンブラック用原料油の製
造方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】通常、カーボンブラッ
ク用原料油は可及的に多量の芳香族化合物を含んだ組成
ほどカーボンブラックの収率向上に適していることが知
られており、このため石油系または石炭系の重質油が汎
用されている。ところが、石油系の重質油は相対的に脂
肪族成分が多いことから高水準の収率向上は期待でき
ず、またタールピッチ等の石炭系重質油では芳香族成分
は豊富に含まれているので収率性の面では有利である
が、逆に多量の芳香族成分がコークスグリットを多量に
発生させる原因となる。カーボンブラック中に介在する
硬質微小粒のコークスグリットは、ゴムや樹脂成分に配
合する際に表面の肌荒れあるいは機械的強度の低下など
製品特性を劣化させる要因となるため、カーボンブラッ
ク製品の重要な管理特性として規格化されており、AS
TM D−1514(1983 年) において45μふるい残
分として0.2%以下に抑制することが規定されてい
る。
【0006】カーボンブラック生成反応時に形成される
コークスグリットは、原料油中のn−ヘキサン不溶分、
キノリン不溶分、コークス残分等が増すに従って生成量
が増大する。前記した特開昭60−166348号公報
や特開平6−41464号公報記載の発明ではタールピ
ッチ中のキノリン不溶分、コークス残分等を制御してコ
ークスグリットの生成を抑制し、かつカーボンブラック
の高収率化を図っているが、これらの原料油はコークス
グリットの生成抑制とカーボンブラックの高収率化を十
分に両立させるには至っていない。
【0007】本発明者らは上記の実情に鑑み、原料油の
化学的組成構造とコークスグリットの生成ならびにカー
ボンブラックの収率との関係について鋭意研究を重ねた
結果、原料油中のn−ヘキサン不溶分、n−ヘキサン可
溶分中の二環芳香族成分および三環芳香族成分の含有
量、前記芳香族成分の平均側鎖炭素数等が大きく関与
し、これら成分因子を特定の範囲に制御することにより
コークスグリットの生成抑制とカーボンブラックの収率
向上が同時に効率よく達成し得ることを確認した。
【0008】本発明は、かかる知見に基づいて開発され
たもので、その目的とするところは、操業トラブルなら
びに製品特性の劣化を伴うことなく、コークスグリット
の生成を低位に抑制しながらカーボンブラックを高収率
で工業生産することができるカーボンブラック用原料油
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの第1の本発明に係るカーボンブラック用原料油は、
石油系または石炭系の炭化水素油、もしくはこれらを混
合した炭化水素油であって、n−ヘキサン不溶分が10
%以下であり、n−ヘキサン可溶分中の二環芳香族成分
が15%以上、n−ヘキサン可溶分中の三環芳香族成分
が40%以上の組成を有することを構成上の特徴とす
る。
【0010】また、第2の本発明に係るカーボンブラッ
ク用原料油は、石油系または石炭系の炭化水素油、もし
くはこれらを混合した炭化水素油であって、n−ヘキサ
ン不溶分が10%以下であり、n−ヘキサン可溶分中に
平均側鎖炭素数3.0以下である二環芳香族成分および
三環芳香族成分を55%以上含む組成を有することを構
成上の特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で特定されるn−ヘキサン
不溶分(HI)およびn−ヘキサン可溶分中の芳香環数
別の成分含有比率の測定、平均側鎖炭素数の算出は、下
記の方法によった。
【0012】(1)n−ヘキサン不溶分(HI)の測定 原料油試料0.2〜0.5mlを採取して質量を測ったの
ち、試料に15倍量のn−ヘキサンを加え、室温で超音
波撹拌により溶解し、ガラスフィルター(るつぼ型1G
4)により濾過する。濾過残渣を濾過前のn−ヘキサン
溶液と等量のn−ヘキサンで2回洗浄し、乾燥して重量
を測定する。n−ヘキサン不溶分の含有率は次式により
算出する。 上式で、HIはn−ヘキサン不溶分(重量%)、M1
(ガラスフィルター+濾過残渣)の重量(g)、M2 はガ
ラスフィルターの重量(g)、Sは原料油試料の重量であ
る。
【0013】(2)n−ヘキサン可溶分中の芳香環数別の
成分含有比率の測定 原料油試料から化合物クラス留分〔脂肪族炭化水素成分
(P) 、一環芳香族成分(M) 、二環芳香族成分(D) 、三環
芳香族成分(T) 、極性成分(PP)〕を分離する装置とし
て、高速液体クロマトグラフィー(HPLC;例えば日
本分光 (株) 製TRI ROTAR-VI) を用いる。カラムにはア
ミノプロピル基化学結合型シリカ系充填剤を充填した市
販のHPLC用カラム(例えば山村化学 (株) 製YMC-Pa
ck NH2 A-624;φ10.0×300mm S-5)を、また検出器には
示差屈折計(RI;例えば日本分光(株) 製RID-300)お
よび紫外分光光度計(UV;例えば日本分光 (株) 製UV
IDEC-VI)を使用する。移動相は、炭化水素成分(P,M,D,
T) の分離、溶出にn−ヘキサン(HPLC 用級) を用い、
極性成分(PP)の溶出にはクロロホルム(HPLC用級) を使
用する。
【0014】原料油試料を適量のn−ヘキサンに溶解
し、不溶分を濾過分離したのち、高速液体クロマトグラ
フィーに注入する。注入量はカラムの負荷容量に従い、
注入時の移動相はn−ヘキサンである。化合物クラス留
分の分別はRIによるクロマトグラムを基に行い、成分
P、M、D、Tの順に溶出液をフラスコに分取する。溶
出成分の化合物クラスは、モデルとなる純物質化合物の
保持容量を標準として判別する。各化合物クラスの保持
容量の標準となる化合物は、P:n-アルカン、M:ベン
ゼン、D:ナフタレン、ジフェニル、T:アントラセン
である。炭化水素成分の溶出の終点は、UVでの多環芳
香族成分(T)の吸光度が下がり安定した時点とする。こ
こで移動相をクロロホルムに換え、以降溶出する成分を
極性成分(PP)として分取する。
【0015】分取した各化合物クラスの溶出液をロータ
リーエバポレターにより数mlまで濃縮し、ガラス製のサ
ンプルビン(5〜10ml) に移して窒素気流により溶媒を揮
発させ重量を量る。各化合物クラス成分の重量は、式
〔Mx =MX1−MX2〕により算出する。前式において、
XはP、M、D、TまたはPPの成分であり、Mx は化
合物クラスXの重量(g) 、MX1は( サンプルビン+溶
質) の重量(g) 、MX2はサンプルビンの重量(g) であ
る。
【0016】各化合物クラス成分の濃度は、次式により
算出する。 上式において、XはP、M、D、TまたはPPの成分で
あり、CX は化合物クラスXの濃度(重量%)Mtotal
は全化合物クラスの重量の和(g) 、HIはn−ヘキサン
不溶分(重量%)である。
【0017】(3)平均側鎖炭素数の算出 二環芳香族成分および三環芳香族成分の平均側鎖炭素数
を各成分の平均沸点から、n−パラフィンおよびベンゼ
ン、ナフタレンのn−アルキル誘導体の沸点と炭素数の
関係に基づいて求まる下記の換算式により算出する。ま
ず、n−パラフィンの沸点(BP)と炭素数(N) の関係から
(1)式が求まる。 BP=249×lnN−397.2 …(1) 芳香族化合物の場合、芳香環の寄与分沸点が上昇するこ
とから、二環芳香族、三環芳香族についてそれぞれナフ
タレン、フェナントレンとの沸点の差 (ΔBP)と側鎖炭
素数(N′)の換算式(2) 、(3) が求まる。 二環芳香族のΔBP−N′換算式 ΔBP2 =BP2 −BPN=10=249×ln(10+N′)−573.3…(2) 三環芳香族のΔBP−N′換算式 ΔBP3 =BP3 −BPN=14=249×ln(14+N′)−657.1…(3) 上式(2) 、(3) において、ΔBP2 は二環芳香族の沸点
差、ΔBP3 は三環芳香族の沸点差、BP2 は二環芳香
族留分の平均沸点、BP3 は三環芳香族留分の平均沸
点、BPN=10はナフタレンの沸点、BPN=14はフェナン
トレンの沸点である。
【0018】二環芳香族成分、三環芳香族成分の平均沸
点は、50%留出温度としてガスクロマトグラフィーに
より測定する。無極性カラムを取り付けたガスクロマト
グラフィーで直線昇温分析を行うと、保持時間と沸点が
直線関係となることから、クロマトグラムの全面積に対
する一定間隔毎の面積の累計は蒸留曲線に相当する。し
たがって、平均沸点(50%留出温度)の測定には、無
極性カラム〔例えば、信和加工(株)製のGCパックド
カラム;silicone OV-1,Chromosorb W 60/80、AW-DMCS,
φ3 ×1000mm,SUS〕を装着したクロマトグラフィー〔例
えば、(株)島津製作所製のガスクロマトグラフGC−
9A〕を用い、検出器にFID(炎イオン化検出器)、
キャリアーガスに高純度N2 を使用する。まず、標準物
質としてパラフィンを分析し、保持時間と沸点の換算式
を求める。これを用いてナフタレンおよび二環芳香族成
分試料、フェナントレンおよび三環芳香族成分試料につ
き保持時間から沸点を算出する。なお、試料の平均沸点
(50%留出温度)の算出には、既製の計算プログラム
〔例えば、(株)島津製作所製の蒸留GC用プログラ
ム〕を利用することができる。
【0019】本発明に用いられる原料油には特別の制限
はなく、n−ヘキサン不溶分が10%以下であって、n
−ヘキサン可溶分中の二環芳香族成分が15%以上で三
環芳香族成分が40%以上の組成要件、あるいはn−ヘ
キサン不溶分が10%以下であって、n−ヘキサン可溶
分中の平均側鎖炭素数が3.0以下である二環芳香族成
分および三環芳香族成分を55%以上含む組成要件を満
たす限り、あらゆる種類の石油系または石炭系の炭化水
素油を用いることができる。使用可能な油種としては、
例えばコールタールを蒸留して得られるクレオソート
油、アントラセン油、タールピッチおよびその他の各留
分、エチレンボトム油のような石油分解蒸留留分および
残渣油、石炭液化生成物やFCC油等の加工油などを挙
げることができる。これら原料油は、単独でn−ヘキサ
ン不溶分10%以下、n−ヘキサン可溶分中の二環芳香
族成分15%以上で三環芳香族成分40%以上、あるい
はn−ヘキサン可溶分中に平均側鎖炭素数3.0以下の
二環芳香族成分および三環芳香族成分を55%以上含む
組成を有するものであってもよく、また異なる炭化水素
油を適宜な比率で配合することにより前記の成分組成に
調整したものであってもよい。
【0020】上記の原料油は、カーボンブラック製造時
に微粒子状に霧化した状態で反応炉に供給される。通
常、原料油は150℃以上に加温され、低い粘度に調整
して使用に供されるが、低沸点留分を多く含む場合には
加温時この低沸点留分が装置管内で気化し、安定操業の
維持を困難にするばかりでなく保安上の危険も招く。こ
のため、特に初留点が180℃以上、好ましくは200
℃以上の性状を有する石油系または/および石炭系の炭
化水素油を用いることが最適である。
【0021】本発明の原料油を用いてカーボンブラック
を製造する場合には、原料油を微細な霧滴流として高温
燃焼ガス中に供給し、速やかに原料油霧滴流を気化して
急速に熱分解反応を起生させることが重要である。すな
わち、微細な原料油霧滴流は高速で流動する燃焼ガスか
ら速やかに熱の伝達を受けて気化熱分解し、重縮合反応
を繰り返してカーボンブラックの前駆体となる中間生成
物を形成する。この中間生成物を高度の撹乱状態下に高
温で熱分解させてカーボンブラックに転化させる。この
過程で、原料油中の二環芳香族成分および三環芳香族成
分は効率よくカーボンブラックに転化し、同時に原料油
中に存在するn−ヘキサン不溶分も急速に熱分解され、
その一部は燃焼する。したがって、燃焼ガスを高温かつ
高流速に保持し、原料油の気化熱分解を促進させること
によりコークスグリットの生成を効果的に抑制すること
が可能となる。
【0022】図1に示した構造の製造炉は、本発明の原
料油を使用するのに適した一例である。該製造炉は、頭
部にウインドボックス5を介して燃料油バーナー6およ
び原料油噴射ノズル7を同軸的に装着した燃焼ゾーン
1、熱分解ゾーン2、狭径ゾーン3および反応停止用の
クエンチスプレーノズル8を備える主反応ゾーン4が連
設された円筒構造となっている。操業に当たっては、燃
料油バーナー6から吹き込まれる燃料油を燃焼させるこ
とにより燃焼ゾーン1を高温の燃焼ガス雰囲気に保持す
る。ついで燃焼ゾーン1の後部まで突出した原料油噴射
ノズル7を介して原料油を霧化状態で噴射導入する。炉
内に噴射導入された原料油は熱分解ゾーン2を通過する
過程で急速に微粒化されると共に高熱雰囲気に曝されて
気化・熱分解が促進される。この段階で生成した中間生
成ガス流は、狭径ゾーン3において高速かつ連続的に相
互衝突し、高度の撹乱状態でカーボンブラックに転化
し、主反応ゾーン4で熱分解反応は完結する。この発生
機構が本発明の原料油による独特の気化熱分解作用と相
俟って、コークスグリットの生成を効果的に抑制しなが
ら高品質のカーボンブラックを収率よく生成回収するこ
とが可能となる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。しかし、本発明の範囲は以下の実施例
に限られるものではない。
【0024】実施例1〜6、比較例1〜8 表1に示す組成性状の石油系、石炭系および混合系の炭
化水素油を原料油として用意した。
【0025】
【表1】 〔表注〕HI;n−ヘキサン不溶分、CO;クレオソート油、T;タールピッチ 、FCC;流動接触分解残渣油、AO;アントラセン油、EHE;エチレ ンボトム油(以下、同じ)。
【0026】表1の各原料油を用い、下記の製造炉およ
び発生条件によりN339級のファーネスカーボンブラ
ックを製造した。
【0027】製造炉;頭部にウインドボックス5を介し
て燃料油バーナー6および突出する原料油噴射ノズル7
を同軸的に装着した燃焼ゾーン1(内径400mm 、長さ50
0mm)、熱分解ゾーン2(内径100mm 、長さ500mm)、狭径
ゾーン3(内径90mm、長さ1000mm) およびクエンチ用ス
プレーノズル8を備える主反応ゾーン4(内径200mm 、
長さ3000mm) を連設した図1に示す構造の製造炉を使用
した。
【0028】発生条件;燃料油として比重(15/4 ℃)
0.903、粘度(CTS 50℃) 16.1、引火点96℃
の炭化水素油を用い、表2、表3示した発生条件を適用
した。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】このようにして製造された各カーボンブラ
ックの収率、ふるい残分および各種粒子特性を、表4に
示した。表1および表4の結果を対比して明らかなとお
り、実施例による原料油を用いて製造したカーボンブラ
ックは、本発明の組成要件を外れる原料油を用いた比較
例のカーボンブラックに比べて収率およびコークスグリ
ットの指標となるふるい残分が共に優位に改善されてい
ることが認められ、各粒子特性も正常なN339級カー
ボンブラックの水準を満たしている。例えば、実施例1
と比較例6を対比考察すると、同種のクレオソート油を
原料油とした場合においても本発明の組成要件を満たす
実施例1において得られるカーボンブラックは収率が高
く、かつふるい残分が大幅に減少していることが判る。
【0032】
【表4】 〔表注〕N2SAは、窒素吸着比表面積である(表7も同じ)。
【0033】実施例7〜10、比較例9〜12 表5に示す組成性状の石油系、石炭系および混合系の炭
化水素油(初留点180℃以上)を原料油とした。
【0034】
【表5】
【0035】表5の各原料油を用い、実施例1と同一の
製造炉を用いて表6の発生条件によりN339級のファ
ーネスカーボンブラックを製造した。なお、燃料油には
実施例1と同一の炭化水素油を用いた。
【0036】
【表6】
【0037】このようにして製造された各カーボンブラ
ックの収率、ふるい残分および各種粒子特性を、表7に
示した。表5および表7の結果を対比して明らかなとお
り、実施例による原料油を用いて製造したカーボンブラ
ックは、カーボンブラックへの熱分解転化反応に有利な
側鎖炭素数の少ない二環芳香族成分および三環芳香族成
分を多量に含み、n−ヘキサン不溶分を特定濃度以下に
規制しているため、比較例によるカーボンブラックに比
べて収率が高く、かつコークスグリットの指標となるふ
るい残分が低位にあることが認められる。また、各粒子
特性も正常なN339級カーボンブラックの水準を満た
している。
【0038】
【表7】
【0039】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によればn−ヘキ
サン不溶分が特定濃度以下であって、カーボンブラック
転化反応に有利な好ましくは側鎖炭素数が3.0以下の
二環芳香族成分および三環芳香族成分を多量に含む組成
の炭化水素油を選択することにより、コークスグリッド
の生成を低位に抑えながら高収率にカーボンブラックを
得ることが可能な原料油を提供することができる。その
うえ、製造に際して操業トラブルおよび製品特性の劣化
を伴うことなく、多様のソースから求められる原料油に
より円滑に高品位のカーボンブラックを工業的に製造す
ることができるから、製造原価の低減化、原料油の省資
源化などに大きく貢献する利益がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原料油を用いてカーボンブラック
を製造するために好適な製造装置を例示した縦断面図で
ある。
【符号の説明】
1 燃焼ゾーン 2 熱分解ゾーン 3 狭径ゾーン 4 主反応ゾーン 5 ウインドボックス 6 燃料油バーナー 7 原料油噴射ノズル 8 クエンチ用スプレーノズル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石油系または石炭系の炭化水素油、もし
    くはこれらを混合した炭化水素油であって、n−ヘキサ
    ン不溶分が10%以下であり、n−ヘキサン可溶分中の
    二環芳香族成分が15%以上、n−ヘキサン可溶分中の
    三環芳香族成分が40%以上の組成を有することを特徴
    とするカーボンブラック用原料油。
  2. 【請求項2】 石油系または石炭系の炭化水素油、もし
    くはこれらを混合した炭化水素油であって、n−ヘキサ
    ン不溶分が10%以下であり、n−ヘキサン可溶分中に
    平均側鎖炭素数3.0以下である二環芳香族成分および
    三環芳香族成分を55%以上含む組成を有することを特
    徴とするカーボンブラック用原料油。
  3. 【請求項3】 初留点が180℃以上の石油系または/
    および石炭系の炭化水素油である請求項1又は2記載の
    カーボンブラック用原料油。
JP2846396A 1996-01-22 1996-01-22 カーボンブラック用原料油 Pending JPH09194755A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2846396A JPH09194755A (ja) 1996-01-22 1996-01-22 カーボンブラック用原料油

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2846396A JPH09194755A (ja) 1996-01-22 1996-01-22 カーボンブラック用原料油

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09194755A true JPH09194755A (ja) 1997-07-29

Family

ID=12249360

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2846396A Pending JPH09194755A (ja) 1996-01-22 1996-01-22 カーボンブラック用原料油

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09194755A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013064051A (ja) * 2011-09-16 2013-04-11 Tokai Carbon Co Ltd カーボンブラック用原料油の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013064051A (ja) * 2011-09-16 2013-04-11 Tokai Carbon Co Ltd カーボンブラック用原料油の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4188279A (en) Shaped carbon articles
RU2002117936A (ru) Способ конверсии тяжелого сырья, такого как тяжелые сырые нефти и кубовые остатки
JPS5910713B2 (ja) 石油ピッチ及びコ−クスの製造用原料の前処理法
JP2000502146A (ja) 極性芳香族炭化水素のコントロールによる重質炭化水素の水素化分解
Kim et al. Upgrading of petroleum vacuum residue using a hydrogen-donor solvent with acid-treated carbon
EP0053535A1 (fr) Procédé de désasphaltage au solvant d'huiles résiduelles d'hydrocarbures
JPS6112789A (ja) 重質油の連続的熱分解処理方法
AU606779B2 (en) Process for the thermal cracking of residual hydrocarbon oils
US4052291A (en) Production of asphalt cement
US3326796A (en) Production of electrode grade petroleum coke
US4859284A (en) Combined process for the separation and continuous coking of high softening point asphaltenes
JPH09194755A (ja) カーボンブラック用原料油
DE1222038B (de) Verfahren zur Spaltung von Kohlenwasserstoffen zu gasfoermigen Olefinen
US4188235A (en) Electrode binder composition
FR2516932A1 (fr) Procede de conversion d'huiles lourdes ou de residus petroliers en hydrocarbures gazeux et distillables
US2458870A (en) Hydrogenation of an oxide of carbon
JPS6219478B2 (ja)
US2767102A (en) An asphalt, a process of making it and an enamel made therewith
Méndez et al. Influence of granular carbons on pitch properties☆
US5698174A (en) Process for separating fullerenes
JPH1129718A (ja) カーボンブラック用改質原料油
Chaiwat et al. Dependence of MWCNT production via co-pyrolysis of industrial slop oil and ferrocene on growth temperature and heating rate
US2716085A (en) Adhesive petroleum lubricant
US3132926A (en) Carbon black manufacture
US5507938A (en) Flash thermocracking of tar or pitch