JPH09190074A - 静電潜像の現像方法及び現像装置 - Google Patents

静電潜像の現像方法及び現像装置

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JPH09190074A
JPH09190074A JP8065413A JP6541396A JPH09190074A JP H09190074 A JPH09190074 A JP H09190074A JP 8065413 A JP8065413 A JP 8065413A JP 6541396 A JP6541396 A JP 6541396A JP H09190074 A JPH09190074 A JP H09190074A
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博 金田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決課題】 潜像保持体3の表面に現像剤4を供給し
て該潜像保持体3表面の静電潜像を可視化する現像方法
において、上記現像剤4表面のイオン化ポテンシャルを
4.5〜5.5eVとし、かつ上記現像ローラ1表面の
イオン化ポテンシャルを、現像剤を負帯電させる場合は
上記現像剤4表面のイオン化ポテンシャル以上に、現像
剤を正帯電させる場合は上記現像剤4表面のイオン化ポ
テンシャル以下に調整して現像を行う。 【効果】 トナーに直接電荷を注入してトナーの帯電量
を増大かつ均一化することにより、通常のカブリや画像
メモリー等の不良の発生を防止し得ると共に、トナーと
現像ローラとの相性を容易かつ確実にコントロールし
て、高電位カブリの発生をも確実に防止し、画像不良が
一切生じていない、良好な画像を長期に亘って確実に再
現することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ
等の電子写真装置や静電記録装置などにおける静電潜像
の現像方法及び現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】複写
機、プリンタ等の電子写真装置や静電記録装置などにお
いて、感光ドラムや感光ベルト等の潜像保持体上に形成
された静電潜像に現像剤を供給して該静電潜像を可視化
する現像過程では、現像装置の小型化、低コスト化、高
信頼性等の点から現像剤として磁性或いは非磁性の一成
分現像剤を用いることが有利である。
【0003】従来、静電潜像を保持した感光ドラム等の
潜像保持体に一成分現像剤(以下、トナーという)を供
給して、潜像保持体上の静電潜像にトナーを付着させ、
静電潜像を可視化する現像方法には、トナー粒子を噴霧
状態にして用いるパウダークラウド法、トナー粒子を感
光ドラムの潜像面に直接接触させて現像する接触現像
法、トナー粒子を荷電して静電潜像の有する電界により
感光ドラムの潜像面に接触させずに現像するジャンピン
グ現像法、磁性を有する導電性トナーを静電潜像面に接
触させて現像するマグネタイト法等の現像法が知られて
いる。
【0004】上記接触現像法について説明すると、例え
ば図1に示したように、トナーを供給するためのトナー
塗布用ローラ2と静電潜像を保持した感光ドラム(静電
保持体)3との間に、導電性の弾性層を有する現像ロー
ラ1が感光ドラム3と接触又は近接した状態に配設さ
れ、これら現像ローラ1、感光ドラム3及びトナー塗布
用ローラ2がそれぞれ図中矢印方向に回転することによ
り、トナー4がトナー塗布用ローラ2により現像ローラ
1の表面に供給され、このトナーが成層ブレード5によ
り均一な薄層に整えられ、この状態で現像ローラ1が感
光ドラム3の表面に接触又は近接しながら回転すること
により、薄層に形成されたトナーが現像ローラ1から感
光ドラム3の静電潜像10に付着して、該潜像が可視化
するようになっている。この場合、図中10で示したよ
うに、通常は上記現像ローラ1に所定の電圧を印加して
トナーを印字部へ現像するための現像バイアスを与える
ことが行われるが、場合によっては、図中11で示した
ように、トナーの帯電量を大きくしかつ均一ならしめる
ために更に成層ブレード5やトナー塗布用ローラ2にも
電圧を印加して、トナーに直接電荷を注入することが行
われることもある。なお、図中6は転写部であり、ここ
で紙等の記録媒体7にトナー画像を転写するようになっ
ており、また8はクリーニング部であり、そのクリーニ
ングブレード9により転写後に感光ドラム3表面に残留
するトナーを除去するようになっている。
【0005】ここで、プリンタ等で用いられる反転現像
においては、上記トナーは潜像保持体上の電荷と同一の
極性に荷電させる必要があり、一般に有機感光体を潜像
保持体として用いる場合には帯電電位が負であるため、
トナーの電荷も負としなければならず、またアモルファ
スシリコン感光体等の正帯電用感光体を用いる場合には
帯電電位が正となるため、トナーの電荷も正としなけれ
ばならない。この場合、トナーの荷電には、現像ローラ
表面との摩擦帯電が大きく関与するため、トナー及び現
像ローラ双方の材料設計によって両者の相性をコントロ
ールする必要があり、トナーと現像ローラとの相性が悪
いと初期画像においてカブリ、画像メモリー等の画像不
良が発生し易く、特に高温,高湿又は低温,低湿環境下
でこれら画像不良の発生が顕著である。
【0006】この場合、上記画像不良におけるカブリの
発生は、通常の印字パターンにおいても目立つ不良とな
るため、特に厳しくその改善が要求されるものである。
このカブリは弱帯電もしくは逆帯電トナーが存在するこ
とによって発生することが通常であるが、画像メモリー
による不良の対策として上述のように現像ブレードやト
ナー塗布用ローラに電圧を印加して直接トナーに電荷を
注入する等の方法によりトナー帯電量を大きくすること
も好適に行われ、このように電荷を注入してトナー帯電
量を大きくすることにより、画像メモリーや通常のカブ
リの発生を効果的に防止することができるが、この場合
にトナー帯電量が大きくなりすぎるとトナー自身の持つ
電荷により発生する電位が現像バイアスに加算され、所
謂高電位カブリが生じてしまう。
【0007】従って、このような画像不良の発生を防止
するには、画像メモリーの発生を考慮しつつカブリ(通
常カブリ,高電位カブリ)の発生を防止するためトナー
帯電量を適度に調整すると共に、トナーと現像ローラと
の相性をコントロールすることが重要である。この場
合、従来トナーと現像ローラとの相性コントロールとし
は、成層ブレードや現像ローラの材質等に応じて荷電制
御剤(CCA)を配合するなどの方法によりトナー側の
コントロールを行うと共に、摩擦帯電序列などを基準に
して材質を選択することにより現像ローラ側のコントロ
ールを行い、トナーと現像ローラとの相性をコントロー
ルすることが行われている。
【0008】しかしながら、これらの相性コントロール
方法には、以下の問題点がある。即ち、現像ローラ側の
コントロールには、 ・摩擦帯電序列を基準とするだけでは十分なコントロー
ルができない。 ・導電性を有する弾性ローラの場合、導電性を付与する
ため導電粉や塩などを添加するため、これらの添加によ
り帯電性が変化してしまう。 ・弾性ローラの場合、感光体の汚染を防止するため材料
の選択が限定される。 等の問題があり、またトナー側のコントロールには、 ・添加剤の効果が定量化されないため、ブレードや現像
ローラに合わせた処方の開発に手間がかかる。 ・CCA汚染等の問題もありコントロールに限界があ
る。 等の問題がある。更に、従来の方法では、現像ローラと
トナーとを組み合わせる場合に、実際に画像出しを行っ
たりトナー帯電量を測定して評価を行う以外、相性を判
断する方法がなく、簡易に相性を評価することができな
いという問題点もある。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、トナーと現像ローラとの相性を容易かつ確実にコン
トロールすることができ、画像メモリーや通常のカブリ
による画像不良を生じることなく、しかも高電位カブリ
の発生をも確実に防止して、良好な画像を長期に亘って
確実に再現することができる静電潜像の現像方法及び現
像装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、良導電性シャフトの外周に導電層を形成してなる現
像ローラの表面に現像剤を担持させて該現像剤の薄層を
形成すると共に、画像メモリー及び通常のカブリの発生
を防止するためこの現像剤に電荷を直接注入してトナー
帯電量を増大かつ均一化し、この現像ローラを表面に静
電潜像を保持した潜像保持体に接触又は近接させた状態
で該潜像保持体の表面に沿って回転させることにより、
上記潜像保持体の表面に現像剤を供給して該潜像保持体
表面の静電潜像を可視化する場合に、上記現像剤と上記
現像ローラとの相性を、両者の表面のイオン化ポテンシ
ャルを指標として評価することにより、容易かつ確実に
コントロールし得ることが見い出され、更に検討を進め
た結果、上記現像剤表面のイオン化ポテンシャルを4.
5〜5.5eVとし、かつ上記現像ローラ表面のイオン
化ポテンシャルを、現像剤が負帯電の場合は上記現像剤
のイオン化ポテンシャル以上に、現像剤が正帯電の場合
は上記現像剤のイオン化ポテンシャル以下に調整して現
像を行うことにより、通常のカブリや画像メモリーとい
った通常の画像不良を生じることなく、しかも高電位カ
ブリによる画像不良の発生をも確実に防止することがで
き、良好な画像を長期に亘って確実に再現し得ることを
見い出し、本発明を完成したものである。
【0011】従って、本発明は、良導電性シャフトの外
周に導電層を形成してなる現像ローラの表面に負帯電用
現像剤を担持させて該現像剤の薄層を形成すると共に、
この現像剤に直接電荷を注入して該現像剤を負に帯電さ
せ、この現像ローラを表面に静電潜像を保持した潜像保
持体に接触又は近接させた状態で該潜像保持体の表面に
沿って回転させることにより、上記潜像保持体の表面に
負に帯電した現像剤を供給して該潜像保持体表面の静電
潜像を可視化する現像方法において、上記現像剤表面の
イオン化ポテンシャルを4.5〜5.5eVとし、かつ
上記現像ローラ表面のイオン化ポテンシャルを上記現像
剤表面のイオン化ポテンシャル以上に調整して現像を行
うことを特徴とする静電潜像の現像方法、及び、良導電
性シャフトの外周に導電層を形成してなる現像ローラの
表面に正帯電用現像剤を担持させて該現像剤の薄層を形
成すると共に、この現像剤に直接電荷を注入して該現像
剤を正に帯電させ、この現像ローラを表面に静電潜像を
保持した潜像保持体に接触又は近接させた状態で該潜像
保持体の表面に沿って回転させることにより、上記潜像
保持体の表面に正に帯電した現像剤を供給して該潜像保
持体表面の静電潜像を可視化する現像方法において、上
記現像剤表面のイオン化ポテンシャルを4.5〜5.5
eVとし、かつ上記現像ローラ表面のイオン化ポテンシ
ャルを上記現像剤表面のイオン化ポテンシャル以下に調
整して現像を行うことを特徴とする静電潜像の現像方法
を提供する。
【0012】また、本発明は、上記本発明の現像方法に
より静電潜像の現像を行う装置として、表面に静電潜像
を保持し得る潜像保持体と、良導電性シャフトの外周に
導電層を形成してなり、上記潜像保持体の表面に接触又
は近接した状態で該潜像保持体の表面に沿って回転する
ように配設された現像ローラと、該現像ローラ上に担持
される現像剤に直接電荷を注入する電荷注入手段とを具
備してなり、上記現像ローラの表面に負帯電性現像剤を
担持させて該現像剤の薄層を形成すると共に、この現像
剤に上記電荷注入手段により直接電荷を注入して該現像
剤を負に帯電させ、この状態で該現像ローラを上記潜像
保持体の表面に沿って回転させることにより、上記潜像
保持体の表面に負に帯電した現像剤を供給して該潜像保
持体表面の静電潜像を可視化する静電潜像の現像装置に
おいて、上記現像剤として、表面のイオン化ポテンシャ
ルが4.5〜5.5eVのものを用いると共に、上記現
像ローラ表面のイオン化ポテンシャルを上記現像剤表面
のイオン化ポテンシャル以上に調整したことを特徴とす
る静電潜像の現像装置、及び、表面に静電潜像を保持し
得る潜像保持体と、良導電性シャフトの外周に導電層を
形成してなり、上記潜像保持体の表面に接触又は近接し
た状態で該潜像保持体の表面に沿って回転するように配
設された現像ローラと、該現像ローラ上に担持される現
像剤に直接電荷を注入する電荷注入手段とを具備してな
り、上記現像ローラの表面に正帯電性現像剤を担持させ
て該現像剤の薄層を形成すると共に、この現像剤に上記
電荷注入手段により直接電荷を注入して該現像剤を正に
帯電させ、この状態で該現像ローラを上記潜像保持体の
表面に沿って回転させることにより、上記潜像保持体の
表面に正に帯電した現像剤を供給して該潜像保持体表面
の静電潜像を可視化する静電潜像の現像装置において、
上記現像剤として、表面のイオン化ポテンシャルが4.
5〜5.5eVのものを用いると共に、上記現像ローラ
表面のイオン化ポテンシャルを上記現像剤表面のイオン
化ポテンシャル以下に調整したことを特徴とする静電潜
像の現像装置を提供する。
【0013】なお、イオン化ポテンシャルとは、気体中
の基底状態にある原子または分子から1個の電子を無限
遠にひき離して、陽イオンと自由電子とに解離させるた
めに要するエネルギーであり、例えば現像剤、現像ロー
ラにそれぞれ直接紫外光(3.5〜6.2eV)を照射
し、このとき放出される光電子を計測して、その量子効
率のべき乗プロットのしきい値から容易に求めることが
できる。
【0014】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の静電潜像の現像方法及び現像装置は、上述のよ
うに、現像ローラに担持した現像剤に電荷を直接注入し
て該現像剤を帯電させ、この現像剤で静電潜像を現像す
る場合に、帯電ローラと現像剤との相性を両者の表面の
イオン化ポテンシャルを指標としてコントロールしたも
のであり、上記現像剤表面のイオン化ポテンシャルを
4.5〜5.5eVとし、上記現像ローラ表面のイオン
化ポテンシャルを、負帯電の場合はそれ以上に、正帯電
の場合はそれ以下に調整したものである。
【0015】上記現像剤としては、通常一成分現像剤が
好適に使用され、表面のイオン化ポテンシャルが4.5
〜5.5eV、好ましくは負帯電性現像剤の場合5.1
〜5.4eV、正帯電性電現像剤の場合4.8〜5.3
eVのものであればよく、市販の一成分現像剤を好適に
使用することができる。この場合、現像剤表面のイオン
化ポテンシャルを5.5eVよりも大きくすることは実
際上困難であり、荷電制御剤等で初期にコントロールで
きても安定したものとはなり得ない。一方、4.5eV
よりも小さいと、現像ローラのイオン化ポテンシャルを
それ以下にすることが困難となり、正帯電の場合に適正
な現像剤の帯電性が得られない場合があり、また負帯電
の場合には適正な帯電性のコントロールが困難となる場
合がある。
【0016】次に、上記現像ローラは、上述のように、
良導電性シャフト外周に導電層を形成したものであり、
この場合、上記シャフトとしては、良好な導電性を有す
るものであれば、いずれのものも使用し得るが、通常は
金属性の中実体からなる芯金や内部を中空にくりぬいた
金属製円筒体等の金属製シャフトが用いられる。
【0017】また、このシャフトの外周に形成される導
電層は、ベルト状やドラム状の潜像保持体とこの現像ロ
ーラとを非接触状態で現像を行う場合には、各種樹脂に
導電粉や磁性粉を混入したもの又は導電性樹脂等で形成
することができ、またドラム状の潜像保持体と現像ロー
ラとが接触した状態で現像を行う場合には、現像ニップ
の必要性から比較的軟らかい弾性体が用いられる。そし
て、このような導電層の基材成分としては、ポリウレタ
ン、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ポリイソプ
レンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、スチ
レン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ク
ロロプレンゴム、アクリルゴム、及びこれらの混合物等
を用いることができるが、特に本発明においては、ポリ
ウレタン又はシリコーンゴムが好適に使用される。この
場合、この導電層は、エラストマーやフォーム材の単層
からなる層としてもこれらを積層した複数の層からなる
層としてもよい。更に、これらの基材層上にポリアミ
ド、フッ素樹脂、アクリル、ウレタン変性アクリル、ポ
リウレタン、ポリカーボネート、シリコーン、ポリエス
テル、ポリアミンなどの樹脂やこれらに導電材を配合し
たものなどを用いて塗膜を形成してもよい。
【0018】上記導電層の基材成分として好適に使用さ
れるポリウレタンについて説明すると、ポリウレタンエ
ラストマーやフォーム材は種々の方法で製造されたいず
れのものでもよく、例えばカーボンブラックをポリウレ
タンプレポリマー中に配合し、プレポリマーを架橋反応
させる方法、ポリヒドロキシル化合物に導電性材料を配
合し、これをワン・ショット法にてポリイソシアネート
と反応させる公知の方法などで得ることができる。
【0019】この場合、ポリヒドロキシル化合物として
は、一般の軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラス
トマー製造に用いられるポリオール、例えば、末端にポ
リヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオール、ポ
リエステルポリオール、及び両者の共重合物であるポリ
エステルポリエーテルポリオールが挙げられるほか、ポ
リブタジエンポリオールやポリイソプレンポリオール等
のポリオレフィンポリオール、ポリオール中でエチレン
性不飽和単量体を重合させて得られる所謂ポリマーポリ
オールなどの一般的なポリオールが使用できる。また、
ポリイソシアネート化合物としては、同様に一般的な軟
質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマー製造に
使用されるポリイソシアネート、即ち、トリレンジイソ
シアネート(TDI)、粗製TDI、4,4−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、炭
素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜
15の脂環式ポリイソシアネート及びこれらポリイソシ
アネートの混合物や変性物、例えば部分的にポリオール
類と反応させて得られるプレポリマー等が用いられる
が、特に本発明において現像剤を正に帯電させて現像を
行う場合には、表面のイオン化ポテンシャルを上述した
範囲に良好に調整するために、トリレンジイソシアネー
ト等の下記一般式(1)で示されるポリイソシアネート
の使用が推奨される。
【0020】
【化2】 (但し、式中m,nは0〜5の整数を示し、R1,R2
水素原子又はアルキル基を示す。)
【0021】なお、上記一般式(1)で示される好適な
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネー
ト以外にキシリレンジイソシアネートを例示することが
できる。
【0022】また、シリコーンゴムを基材とする場合は
オルガノポリシロキサン生ゴムを常法によって、架橋剤
等で架橋して使用することができる。この場合、本発明
で用いるオルガノポリシロキサン生ゴムは成形用のシリ
コーンゴムコンパウンドに使用されるものであれば、い
ずれのものでもよいが、1分子中に少なくとも2個のア
ルケニル基(例えばビニル基、アリル基等)を有するオ
ルガノポリシロキサンが好ましい。このような、オルガ
ノポリシロキサンとしては、例えば、両末端ジメチルビ
ニルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメ
チルビニルシリル基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビ
ニルシロキサン共重合体、両末端メチルフェニルビニル
シリル基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロ
キサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端ジメ
チルビニルシリル基封鎖メチル(3,3,3−トリフル
オロプロピル)ポリシロキサン等を挙げることができ
る。
【0023】更に、導電層を各種ゴム材料で形成する場
合には、架橋剤、加硫剤を添加することができる。この
場合、有機過酸化物架橋及び硫黄架橋のいずれの場合で
も加硫助剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤等
を用いることができる。更にまた、上記以外にもゴムの
配合剤として一般に用いられているしゃく解剤、発泡
剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離
剤、離型剤、増量剤、着色剤等を添加することができ
る。
【0024】上記ポリウレタン又はシリコーンゴムを基
材とする導電層には、例えば現像ローラとして使用する
際に表面上に担持した一成分現像剤の帯電量をコントロ
ールする目的でニグロシン、トリアミノフェニルメタ
ン、カチオン染料などの各種荷電制御剤、シリコーン樹
脂、シリコーンゴム、ナイロン、フッ素ポリマーなどの
微粉体を添加することができる。この場合、これら添加
剤の添加量は、上記ポリウレタン又はシリコーンゴム1
00重量部に対して、上記荷電制御剤は1〜5重量部、
上記微粉体は1〜10重量部とすることが好ましい。
【0025】この導電層には、通常導電性を付与するた
めに導電材が配合される。この場合、導電材としては、
まず粉体について例示すればケッチェンブラックEC,
アセチレンブラック等のカーボンブラック、SAF,I
SAF,HAF,FEF,GPF,SRF,FT,MT
等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラ−(イン
ク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、
人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫,酸化チ
タン,酸化亜鉛,ニッケル,銅,銀,ゲルマニウム等の
金属及び金属酸化物、ポリアニリン,ポリピロール,ポ
リアセチレン等の導電性ポリマー等の粉体が挙げられ
る。また、過塩素酸ナトリウム,過塩素酸リチウム,過
塩素酸カルシウム,塩化リチウム等の無機イオン性導電
物質、更に変性脂肪族ジメチルアンモニウムエトサルフ
ェート,ステアリルアンモニウムアセテート,ラウリル
アンモニウムアセテート,オクタデシルトリメチルアン
モニウム過塩素酸塩,テトラブチルアンモニウム硼弗酸
塩等の有機イオン性導電物質を単独で又は上記粉体と併
用して用いることができる。この導電材の配合量は、導
電材の種類に応じて適宜調節されるが、通常は基材成分
100重量部に対して0.01〜50重量部、特に0.
1〜30重量部の範囲で用いられる。
【0026】その他の導電材としては、電荷移動錯体を
形成し得る電子受容物質があり、例えばテトラシアノエ
チレン及びその誘導体、テトラシアノキノジメタン及び
その誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、クロルアニ
ル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ア
ントラセン及びその誘導体、ジクロロジシアノベンゾキ
ノン及びその誘導体、フェロセン及びその誘導体、フタ
ロシアンニ及びその誘導体等が挙げられ、その1種を単
独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができ
る。これらの中では、テトラシアノキノジメタン、テト
ラシアノエチレンが特に好ましく用いられる。上記電荷
移動錯体を形成し得る電子受容物質の添加量は、上記高
分子物質100重量部に対して0.001〜20重量
部、特に0.01〜1重量部とすることが好ましい。
【0027】ここで、特に制限されるものではないが、
本発明において現像剤を正に帯電させて現像を行う場合
は、上記導電材としてカーボンブラックを用いることが
好ましく、より好ましくはpH5以上、特にpH6〜1
1のカーボンブラックが好ましく用いられる。これによ
り、導電層表面のイオン化ポテンシャルを容易に低減化
することができ、容易に導電層のイオン化ポテンシャル
を現像剤のそれよりも低くすることができる。この場
合、このカーボンブラックの配合により導電層の抵抗値
を103〜1010Ωcm、特に104〜108Ωcmとす
ることが好ましく、抵抗値が103Ωcm未満であると
電荷が潜像保持体にリークしたり、電圧により現像ロー
ラが破壊したりする場合があり、一方1010Ωcmを超
えると、地カブリが発生しやすくなる。なお、カーボン
ブラックのpHは、試料を蒸留水で煮沸した後遠心分離
し、上澄液を排除してスラッジを分離し、これを測定試
料としてpHメーターでpH測定することにより容易に
知ることができる。
【0028】一方、本発明において現像剤を負に帯電さ
せて現像を行う場合は、特に制限されるものではない
が、上記導電材としてカーボン等の導電性粉体を用いず
に、上記無機イオン性導電物質又は有機イオン性導電物
質を用いることが好ましい。その理由は、通常導電性粉
体自身は電子を放出しやすい性質を持つために、それ自
体のイオン化ポテンシャルは低く、よってこれを配合し
た場合、基材樹脂としてのイオン化ポテンシャルも低く
なる傾向を示し、本発明の目的が十分に達成し得ない場
合があるからである。この場合、導電性粉体の配合にお
いては、それによって導電性を制御する場合のみなら
ず、着色のためにカーボンなどを配合する場合も同様で
ある。なお、イオン化ポテンシャルを所定の値に調整す
ることができるのであれば、導電性粉体を配合すること
自体は差し支えない。また、負帯電の場合の好ましい抵
抗値は105〜1010Ωcmである。
【0029】また、本発明において現像剤を正に帯電さ
せて現像を行う場合には、現像ローラの上記導電層に
は、該導電層のイオン化ポテンシャルを調整する目的
で、ステアリルステアレート,ラウリルラウレート等の
モノエステル系滑剤、オレイン酸メチル,パルミチン酸
メチル等の脂肪酸エステル系滑剤などの滑剤や、ポリオ
キシエチレンモノラウレート,ポリオキシエチレンモノ
ステアレート等のエステル型非イオン系界面活性剤、ソ
ルビタンモノラウレート,ソルビタンモノパルミテート
等のソルビタンエステル型非イオン系界面活性剤、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノラウレート,ポリオキシ
エチレンソルビタンモノパルミテート等のソルビタンエ
ーテルエステル型非イオン系界面活性剤などの非イオン
系界面活性剤を配合することができ、これら滑剤や界面
活性剤を配合することにより導電層のイオン化ポテンシ
ャルを容易に低減化して、上記現像剤のイオン化ポテン
シャルよりも低くなるように調節することができる。こ
の場合、特に制限されるものではないが、上記基剤樹脂
100重量部に対して、上記滑剤は0.1〜5重量部、
上記界面活性剤は0.1〜5重量部の範囲で配合するこ
とが好ましい。
【0030】なお、上記導電層の硬度には制限はない
が、特に潜像保持体と接触状態で現像を行う場合には、
JIS−Aスケールで60°以下、特に25〜55°と
することが好ましい。この場合、硬度が60°を超える
と感光ドラム等の潜像保持体との接触面積が小さくな
り、良好な現像が行えなくなるおそれがあるが、逆にあ
まり低硬度にすると圧縮永久歪が大きくなり、なんらか
の理由で現像ローラに変形や偏心が生じた場合、画像の
濃度むらが発生することとなる。このため、導電層の硬
度を低硬度に設定する場合でも、圧縮永久歪をなるべく
小さくすることが好ましく、具体的には20%以下とす
ることが好ましい。
【0031】また、導電層の表面粗さ、即ち現像ローラ
の表面粗さは、特に制限されるものではないが、JIS
10点平均粗さで15μmRz以下、特に1〜10μm
Rzとすることが好ましい。表面粗さが15μmRzを
超えると一成分現像剤(トナー)のトナー層の層厚や帯
電の均一性が損なわれる場合があるが、15μmRz以
下とすることにより、トナーの付着性を向上させること
ができると共に、長期使用時でのローラの摩耗による画
像劣化をより確実に防止し得る。
【0032】本発明の現像方法及び現像装置は、現像ロ
ーラに担持した現像剤に電荷を直接注入して該現像剤を
帯電させ、この現像剤で静電潜像を現像する場合に、上
記現像ローラ表面のイオン化ポテンシャルを、上記現像
剤を負に帯電させる場合には該現像剤のイオン化ポテン
シャル4.5〜5.5eVと同等又はそれよりも大きく
なるように調整し、現像剤を正に帯電させる場合には該
現像剤のイオン化ポテンシャル4.5〜5.5eVと同
等又はそれよりも小さくなるように調整して現像を行う
ものである。この場合、好ましくは上記現像ローラ表面
のイオン化ポテンシャルを現像剤のイオン化ポテンシャ
ルよりも0.1〜0.5eV程度大きく又は小さくする
ものであり、より具体的には現像ローラ表面のイオン化
ポテンシャルを負帯電の場合は4.7〜5.5eV、正
帯電の場合は4.5〜5.3eVに調整することが好ま
しいものである。この場合、現像ローラ表面のイオン化
ポテンシャルの調整は、上記導電層を形成する材料を選
定し、かつ上記導電材や上記滑剤、界面活性剤等の添加
剤の配合により行うことができる。そして、本発明の現
像方法及び現像装置は、現像剤に直接電荷を注入して現
像剤の帯電量を増大かつ均一化することにより通常のカ
ブリや画像メモリーの発生を防止すると共に、上記イオ
ン化ポテンシャルの調整により、高電位カブリの発生に
ついても確実に防止して良好な画像を長期に亘り確実に
再現することができるものである。
【0033】なお、イオン化ポテンシャルの測定は、上
述したように、導電層のシート状サンプルを作成して、
これに直接紫外光(3.5〜6.2eV)を照射し、こ
のとき放出される光電子を計測して、その量子効率のべ
き乗プロットのしきい値から容易に求めることができ、
この場合測定機器としては、理研計器(株)製AC−1
M等の市販の表面分析装置を用いることができる。
【0034】ここで、本発明によりその発生が防止され
る上記高電位カブリについて説明する。高電位カブリと
は、図2に示したように、通常の画像カブリが弱帯電又
は逆帯電トナーに起因して本来白画像である部分に砂地
状の画像が現れる現象であるのに対し、トナーの帯電量
が高くなり過ぎることに起因して本来白画像である部分
に帯状又は筋状の画像が高濃度に現れる現象である。そ
の発生機構について図3を参照して説明すると、例えば
負帯電トナーを使用した反転現像の場合、図3(A)に
示したように、感光ドラム表面の高電位部分である白地
部と露光により電位が減衰した低電位部分である黒地部
との中間に現像バイアスが位置することにより、良好な
現像が行われるものである。上記現像バアイスは、現像
ローラ表面における電位となるが、現像ローラ上の感光
体に接した現像部分には帯電したトナーが存在するか
ら、トナー自身が持つ電荷により発生する電位が更に現
像バイアスにかかり、実際の現像バイアスは電源により
印加される電圧にトナー自身の帯電により発生する電圧
を加算したものとなる。この場合、トナー帯電量が高く
なりすぎると、図3(B)に示したように、トナーに起
因して発生する電位が大きくなるために実際の現像バイ
アスが高電位白地部分の電位を超えてしまう場合があ
る。そうすると、白地部分にもトナーが付着して現像が
起こり、得られる画像にはカブリ画像不良が生じ、これ
が高電位カブリである。
【0035】従って、通常のカブリや画像メモリーの発
生を防止するためには、トナーに直接電荷を注入してト
ナーの帯電量をある程度高くすることが有効であるが、
この場合に上記高電位カブリの発生を防止するためにト
ナーの帯電量を適度に抑える必要があり、本発明のよう
に、トナー表面のイオン化ポテンシャルを4.5〜5.
5eVとすると共に、負帯電トナーの場合に現像ローラ
表面のイオン化ポテンシャルを上記トナー表面のイオン
化ポテンシャル以上に調整することにより、トナーに直
接電荷を注入してトナーの帯電量を大きくし通常のカブ
リや画像メモリーの発生を防止する際に、現像バイアス
が高電位白地部分の電位を超えない範囲にトナーの帯電
量を確実に調整し得、高電位カブリの発生も確実に防止
し得るものである。即ち、本発明で調整されるイオン化
ポテンシャルは、上述のように、基底状態にある原子又
は分子から1個の電子を無限遠に引き離して陽イオンと
自由電子とに解離させるために要するエネルギーである
から、現像剤を負に帯電させて現像を行う場合、現像ロ
ーラ表面のイオン化ポテンシャルを高く設定することに
より、この現像ローラ表面から該現像ローラ表面に担持
されたイオン化ポテンシャルの低い現像剤に電子が移動
し難くなり、これにより現像剤が過剰な高電位に負帯電
することが防止され、電荷の注入による最適な電位範囲
に現像剤を負帯電させることができ、高電位カブリの発
生を確実に防止することができるものである。なおここ
では、特に負帯電トナーを用いた反転現像プロセスを例
に説明したが、正帯電トナーを用いた反転現像において
もその原理は同様であり、この場合には現像ローラ表面
のイオン化ポテンシャルを低く設定することにより、こ
の現像ローラ表面に該現像ローラ表面に担持されたイオ
ン化ポテンシャルの高い現像剤から電子が移動し難くな
り、これにより現像剤が過剰な高電位に正帯電すること
が防止され、電荷の注入による最適な電位範囲に現像剤
を正帯電させることができるものである。
【0036】なお、本発明の現像方法及び現像装置は、
良導電性シャフトの外周に導電層を形成してなる現像ロ
ーラの表面に現像剤を担持させて該現像剤の薄層を形成
すると共に、この現像剤に直接電荷を注入し、この現像
ローラを表面に静電潜像を保持した潜像保持体に接触又
は近接させた状態で該潜像保持体の表面に沿って回転さ
せることにより、上記潜像保持体の表面に現像剤を供給
して該潜像保持体表面の静電潜像を可視化するものであ
り、具体的には上述した図1の機構により現像を行うこ
とができる。この場合、図1では現像ローラ1と潜像保
持体3とを接触させた状態で現像を行うようになってい
るが、現像ローラ1と潜像保持体3とが近接した非接触
状態で現像を行うことも可能であり、また図1では潜像
保持体3としてドラム状のものを用いたがベルト状等の
他の形状の潜像保持体を用いることもできる。更に、現
像剤に電荷を注入するための手段として図1では、成層
ブレード5やトナー塗布用ローラ2に電圧を印加する電
源11を設けたが、これに限定されるものではなく、ト
ナー塗布用ローラ2に代えて図4に示した装置のように
トナー撹拌翼12を設けた場合には、これに電圧を印加
するようにしてもよく、更にまたトナーの収容ケースに
電圧を印加するなど、公知の方法を採用することができ
る。
【0037】
【実施例】以下、実施例,比較例を示して本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもの
ではない。
【0038】[実施例1]ポリテトラメチレンエーテル
グリコール(OH価=56)100部(重量部、以下同
じ)に、過塩素酸ナトリウム1.0部を配合し、100
℃に温調しながら撹拌し、次いで4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート(NCO%=33.6)を1
3.48部加えて撹拌・混合した。次に、予め90℃に
加熱した金型内にこの反応混合物を流し込み、90℃で
12時間硬化反応を行い、金属性シャフトの外周に導電
層が形成されたローラを得た。得られたローラの表面を
研摩して表面をJIS10点平均粗さ5μmRzに調整
し、現像ローラとした。
【0039】一方、上記現像ローラの導電層と同様のシ
ート状サンプルを作成し、得られたシート状サンプルを
用いてイオン化ポテンシャルを測定したところ5.5e
Vであった。
【0040】上記ローラを図4に示した現像ユニットに
現像ローラ1として装着し、トナーとしてIBM社製レ
ーザービームプリンター4029用の負帯電性トナー
(イオン化ポテンシャル5.1eV)を用いて、反転現
像による画像出しを行い、画像評価を行ったところ、カ
ブリ、濃度ムラ等の画像不良が一切ない良好な画像が得
られた。ここで、図4に示した現像ユニットは、図1に
おけるトナー塗布用ローラ2に代えてトナー撹拌翼12
を設けた以外は、図1のユニットと同様のものであり、
その他の部分については図1と同一の参照符号を付して
その説明を省略する。なお、図中Bias1はトナーを
印字部へ現像するための現像バイアスをかけることを示
し、Bias2はトナーの帯電量を大きくすると共に均
一な帯電を得るためにブレード5に電圧をかけることを
示すものであり、また感光ドラム3は負帯電用感光ドラ
ムを用いた。
【0041】次いで、この現像ユニットのみを取り出
し、ブレード5にBias2として−500Vの電圧を
印加しながら現像ローラを数回回転させ、通常の現像時
における現像バイアスである−400VをBias1と
して印加した。このとき現れる現像ローラの表面電位を
表面電位計を用いて計測したところ、−520Vであっ
た。この場合、感光ドラム表面の白地部の電位は−60
0Vに設定されていることから、印刷時の現像ローラの
表面電位は感光ドラム白地部の電位よりも低くなってい
ることが確認された。
【0042】[比較例1]グリセリンにプロピレンオキ
サイドとエチレンオキサイドを付加して、分子量500
0としたポリエーテルポリオール(OH値33)100
部に、1,4−ブタンジオール1.0部、シリコーン界
面活性剤1.5部、ニッケルアセチルアセトネート0.
5部、ジブチル錫ジラウレート0.01部及びアセチレ
ンブラック2.0部を添加し、混合機を用いて予備混合
した後、ペイントロールで混練してアセチレンブラック
を均一に分散させ、ポリオール組成物を調製した。
【0043】このポリオール組成物を減圧下に撹拌して
脱泡した後、ウレタン変性したMDI(NCO%=2
3)を17.5部加えて2分間撹拌し、次いで110℃
に加熱した金型に注型し、2時間硬化させて金属性シャ
フトの外周に導電層を形成してローラを得た。得られた
ローラの表面を研摩して表面をJIS10点平均粗さ5
μmRzに調整し、現像ローラとした。
【0044】一方、上記現像ローラの導電層と同様のシ
ート状サンプルを作成し、得られたシート状サンプルを
用いてイオン化ポテンシャルを測定したところ5.0e
Vであった。
【0045】このローラを用いて実施例1と同様に画像
試験を行ったところ、画像印刷方向に沿って白地部にト
ナーが現像されてしまう高電位カブリが発生し、画像不
良となった。また、実施例1と同様に、現像ユニットを
取り出し、同様の条件により現像バイアスを印加したと
きの現像ローラの表面電位を計測したところ、−800
Vとなっており、感光ドラム白地部の電位よりも高くな
っていることが示され、これにより画像カブリが生じた
ものと認められた。
【0046】[実施例2]グリセリンにプロピレンオキ
サイドとエチレンオキサイドを付加して、分子量500
0としたポリエーテルポリオール(OH値33)100
部、ウレタン変性したMDI(NCO%=23)25
部、1,4−ブタンジオール2.5部、ジブチルチンラ
ウレート0.01部及び4級アンモニウム塩0.25部
を撹拌混合した。次に、シャフトを配置し、予め110
℃に加熱されたモールドにこの反応混合物を流し込み、
110℃で2時間硬化反応を行いローラを得た。得られ
たローラ表面を研磨して平均粗さ5μmRzに調整した
後、このローラをトルエン中にフルオロオレフィン・ビ
ニルエーテル共重合体フッ素樹脂を5部溶解した溶液中
に浸漬してこれを引き上げ、加熱乾燥して表面処理を行
い、これを現像ローラとした。
【0047】得られたローラの表面の一部を切り取り、
イオン化ポテンシャルを計測したところ5.4Vであっ
た。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、
カブリ、濃度ムラ等の画像不良が一切ない良好な画像が
得られた。
【0048】[実施例3]現像ローラとして、比較例1
で作製したもの(イオン化ポテンシャル5.0eV)を
用い、これを図4の現像ユニットに装着した。この場
合、感光ドラム3は正帯電性感光ドラム(表面電位+6
00V)とした。この現像ユニットを用い、トナーとし
て正帯電用のポリエステル系トナー(イオン化ポテンシ
ャル5.1eV)を用いて反転現像による画像出しを行
い、画像評価を行ったところ、カブリ、濃度ムラ等の画
像不良が一切ない良好な画像が得られた。
【0049】次いで、この現像ユニットのみを取り出
し、ブレード5にBias2として+450Vの電圧を
印加しながら現像ローラを数回回転させ、通常の現像時
における現像バイアスである+350VをBias1と
して印加した。このとき現れる現像ローラの表面電位を
表面電位計を用いて計測したところ、+500Vであっ
た。この場合、感光ドラム表面の白地部の電位は+60
0Vに設定されていることから、印刷時の現像ローラの
表面電位は感光ドラム白地部の電位よりも低くなってい
ることが確認された。
【0050】[比較例2]現像ローラとして実施例1で
作製したもの(イオン化ポテンシャル5.5eV)を用
いた以外は全て実施例3と同様にして、画像評価を行っ
たところ、画像印刷方向に沿って白地部にトナーが現像
されてしまう高電位カブリが発生し、画像不良となっ
た。また、実施例3と同様に、現像ユニットを取り出
し、同様の条件により現像バイアスを印加したときの現
像ローラの表面電位を計測したところ、+650Vとな
っており、感光ドラム白地部の電位よりも高くなってい
ることが示され、これにより画像カブリが生じたものと
認められた。
【0051】
【発明の効果】本発明の静電潜像の現像方法及び現像装
置によれば、トナーに直接電荷を注入してトナーの帯電
量を増大かつ均一化することにより、通常のカブリや画
像メモリー等の不良の発生を防止し得ると共に、トナー
と現像ローラとの相性を容易かつ確実にコントロールし
て、高電位カブリの発生をも確実に防止し、画像不良が
一切生じていない、良好な画像を長期に亘って確実に再
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明現像装置の一例を示す概略図である。
【図2】高電位カブリが発生した画像の一例及び通常の
カブリが発生した画像の一例を示す参考図である。
【図3】現像バイアスと感光体電位との関係を示すグラ
フであり、(A)は正常画像が得られるときの状態を示
すグラフ、(B)は高電位カブリが生じるときの状態を
示すグラフである。
【図4】本発明現像装置の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 現像ローラ 2 トナー塗布ローラ 3 感光ドラム(潜像保持体) 4 トナー(一成分現像剤) 5 成層ブレード 6 転写部 7 記録媒体 8 クリーニング部 9 クリーニングブレード 10 現像バイアス印加手段 11 電荷注入手段 12 トナー撹拌翼

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 良導電性シャフトの外周に導電層を形成
    してなる現像ローラの表面に負帯電用現像剤を担持させ
    て該現像剤の薄層を形成すると共に、この現像剤に直接
    電荷を注入して該現像剤を負に帯電させ、この現像ロー
    ラを表面に静電潜像を保持した潜像保持体に接触又は近
    接させた状態で該潜像保持体の表面に沿って回転させる
    ことにより、上記潜像保持体の表面に負に帯電した現像
    剤を供給して該潜像保持体表面の静電潜像を可視化する
    現像方法において、上記現像剤表面のイオン化ポテンシ
    ャルを4.5〜5.5eVとし、かつ上記現像ローラ表
    面のイオン化ポテンシャルを上記現像剤表面のイオン化
    ポテンシャル以上に調整して現像を行うことを特徴とす
    る静電潜像の現像方法。
  2. 【請求項2】 現像ローラを構成する上記導電層が導電
    性粉体を含有しないものである請求項1記載の静電潜像
    の現像方法。
  3. 【請求項3】 良導電性シャフトの外周に導電層を形成
    してなる現像ローラの表面に正帯電用現像剤を担持させ
    て該現像剤の薄層を形成すると共に、この現像剤に直接
    電荷を注入して該現像剤を正に帯電させ、この現像ロー
    ラを表面に静電潜像を保持した潜像保持体に接触又は近
    接させた状態で該潜像保持体の表面に沿って回転させる
    ことにより、上記潜像保持体の表面に正に帯電した現像
    剤を供給して該潜像保持体表面の静電潜像を可視化する
    現像方法において、上記現像剤表面のイオン化ポテンシ
    ャルを4.5〜5.5eVとし、かつ上記現像ローラ表
    面のイオン化ポテンシャルを上記現像剤表面のイオン化
    ポテンシャル以下に調整して現像を行うことを特徴とす
    る静電潜像の現像方法。
  4. 【請求項4】 現像ローラを構成する上記導電層が、p
    H5以上のカーボンブラックを含有するものである請求
    項3記載の静電潜像の現像方法。
  5. 【請求項5】 現像ローラを構成する上記導電層が、モ
    ノエステル系滑剤及び脂肪酸エステル系滑剤から選ばれ
    る1種又は2種以上の滑剤及び/又はエステル型非イオ
    ン系界面活性剤、ソルビタンエステル型非イオン系界面
    活性剤及びソルビタンエーテルエステル型非イオン系界
    面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の非イオン系界
    面活性剤を含有するものである請求項3又は4に記載の
    静電潜像の現像方法。
  6. 【請求項6】 現像ローラを構成する上記導電層の少な
    くとも最外層がポリウレタンエラストマー又はポリウレ
    タンフォームを基材として形成されており、かつこのポ
    リウレタンエラストマー又はポリウレタンフォームが下
    記一般式(1)で示されるポリイソシアネートを含むも
    のである請求項3乃至5のいずれか1項に記載の静電潜
    像の現像方法。 【化1】 (但し、式中m,nは0〜5の整数を示し、R1,R2
    水素原子又はアルキル基を示す。)
  7. 【請求項7】 表面に静電潜像を保持し得る潜像保持体
    と、良導電性シャフトの外周に導電層を形成してなり、
    上記潜像保持体の表面に接触又は近接した状態で該潜像
    保持体の表面に沿って回転するように配設された現像ロ
    ーラと、該現像ローラ上に担持される現像剤に直接電荷
    を注入する電荷注入手段とを具備してなり、上記現像ロ
    ーラの表面に負帯電性現像剤を担持させて該現像剤の薄
    層を形成すると共に、この現像剤に上記電荷注入手段に
    より直接電荷を注入して該現像剤を負に帯電させ、この
    状態で該現像ローラを上記潜像保持体の表面に沿って回
    転させることにより、上記潜像保持体の表面に負に帯電
    した現像剤を供給して該潜像保持体表面の静電潜像を可
    視化する静電潜像の現像装置において、上記現像剤とし
    て、表面のイオン化ポテンシャルが4.5〜5.5eV
    のものを用いると共に、上記現像ローラ表面のイオン化
    ポテンシャルを上記現像剤表面のイオン化ポテンシャル
    以上に調整したことを特徴とする静電潜像の現像装置。
  8. 【請求項8】 表面に静電潜像を保持し得る潜像保持体
    と、良導電性シャフトの外周に導電層を形成してなり、
    上記潜像保持体の表面に接触又は近接した状態で該潜像
    保持体の表面に沿って回転するように配設された現像ロ
    ーラと、該現像ローラ上に担持される現像剤に直接電荷
    を注入する電荷注入手段とを具備してなり、上記現像ロ
    ーラの表面に正帯電性現像剤を担持させて該現像剤の薄
    層を形成すると共に、この現像剤に上記電荷注入手段に
    より直接電荷を注入して該現像剤を正に帯電させ、この
    状態で該現像ローラを上記潜像保持体の表面に沿って回
    転させることにより、上記潜像保持体の表面に正に帯電
    した現像剤を供給して該潜像保持体表面の静電潜像を可
    視化する静電潜像の現像装置において、上記現像剤とし
    て、表面のイオン化ポテンシャルが4.5〜5.5eV
    のものを用いると共に、上記現像ローラ表面のイオン化
    ポテンシャルを上記現像剤表面のイオン化ポテンシャル
    以下に調整したことを特徴とする静電潜像の現像装置。
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