JPH09189276A - 燃料噴射装置 - Google Patents

燃料噴射装置

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JPH09189276A
JPH09189276A JP210696A JP210696A JPH09189276A JP H09189276 A JPH09189276 A JP H09189276A JP 210696 A JP210696 A JP 210696A JP 210696 A JP210696 A JP 210696A JP H09189276 A JPH09189276 A JP H09189276A
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fuel
gap
pressure
fuel injection
injection
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JP210696A
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English (en)
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Masahiro Okajima
正博 岡嶋
Kenji Date
健治 伊達
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Denso Corp
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Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排気ガス中に排出される有害物質を低減する
燃料噴射装置を提供する。 【解決手段】 高圧燃料ポンプから送出される燃料は、
貫通孔43から燃料通路50に流入する。燃料通路50
内の燃料圧力が第1圧力値P1 以上になると、小径筒部
22が径外側に弾性変形して第1閉塞部51に第1隙間
が形成され、この第1隙間からの燃料噴射が開始され
る。燃料通路50内の燃料圧力が第1圧力値P1 よりも
大きい第2圧力値P2 以上になると、円筒部32が径外
側に弾性変形して第2閉塞部51に第2隙間が形成さ
れ、第1隙間からの燃料噴射に加えて第2隙間からの燃
料噴射が開始される。このように、第1隙間および第2
隙間からの二段階の噴射を行うことにより、初期噴射率
を抑えてNOX を低減することができる。燃料圧力が第
1圧力値P1 以上になったときのみ第1隙間からの燃料
噴射が行われるので、燃料を微粒化してスモークの発生
を抑えることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関(以下、
「エンジン」という)の燃料噴射装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ディーゼルエンジン等においては
厳しくなる排気ガス規制に対処する必要が生じている。
排気ガス中に含まれる有害成分、例えばNOX やスモー
クの低減、さらに燃費向上を達成するためには、燃料噴
射による噴霧を時間的、空間的および質的に最適化する
ことが望まれている。時間的には高精度な噴射率制御、
空間的には広範囲の噴霧分布、質的には噴射燃料の微粒
化がそれぞれ必要である。ここで、噴射率とは、単位時
間あたりの噴射量を示し、mm3/ms、g/ms等の単位で表さ
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の燃料噴射装置の
一例を図8に示す。燃料噴射装置としてのインジェクタ
110の弁ボディ111には、その内部に噴孔122を
開閉するニードル弁116およびニードル弁116の反
噴孔側に連結されたプレッシャピン112が往復移動可
能に収容されている。プレッシャピン112の反噴孔側
には、プレッシャピン112を介してニードル弁116
を噴孔閉側に付勢するスプリング113と、このスプリ
ング113の付勢力を調節するアジャスティングスクリ
ュ114とが弁ボディ111の内部に組付けられてい
る。
【0004】図示しない高圧燃料ポンプから送出される
高圧燃料は、インレット117から燃料フィルタ118
を通して弁ボディ111に形成された高圧燃料通路12
0に流入し、ニードル弁116の外周に環状に形成され
た燃料溜まり121に供給される。燃料溜まり121内
の燃料圧力によるニードル弁116の開弁力がスプリン
グ113の付勢力などによるニードル弁116の閉弁力
に打ち勝つと、ニードル弁116がリフトして噴孔12
2が開口する。このとき、ニードル弁116と弁ボディ
111との間の隙間を通って燃料溜まり121内の高圧
燃料が噴孔122から噴射される。インジェクタ110
に供給された燃料のうち余剰燃料はスクリュナット11
5に設けられた燃料通路119から図示しない燃料タン
クにリターンされる。
【0005】一般に、燃料の初期噴射率を抑えることに
よりNOX の発生を抑制できることが知られている。ま
た、噴霧された燃料を微粒子化することによりスモーク
の発生を抑えられることが知られている。初期噴射率を
抑えた燃料噴射ノズルとして、図9に示すように、ノズ
ル本体131先端のサック部132に設けた主噴孔13
3に加えて、ニードル弁134のテーパ部135が着座
するノズル本体131のシート部136に主噴孔133
よりも小径の副噴孔137を形成したものが提案されて
いる。このものでは、主噴孔133よりも圧力降下の少
ない燃料流れ上流側に主噴孔133よりも小径の副噴孔
137を設け、ニードル弁134の低リフト時にはこの
副噴孔137から燃料を噴射させることにより、初期噴
射率を抑えてNOX の発生を抑制している。
【0006】しかし、図9に示す従来の燃料噴射ノズル
によると、ニードル弁134の低リフト時に主噴孔13
3および副噴孔137がともに燃料通路と連通するた
め、下流に位置する主噴孔133から噴射される燃料の
噴射圧は低くなる。したがって、この低噴射圧で噴射さ
れる燃料は十分に微粒化することができないので粗大粒
径噴霧が形成され、これにより排気ガス中のスモークが
増大するという問題がある。
【0007】また、特開昭53−71721号公報に
は、図10に示すように、ニードル弁141の低リフト
時には副噴孔142のみを燃料通路と連通させ、ニード
ル弁141がさらにリフトしたときには、副噴孔142
に加えて主噴孔143を燃料通路と連通させる噴射ノズ
ルが開示されている。このものでは、ニードル弁141
の低リフト時には副噴孔142のみから燃料噴射を行う
ことにより初期噴射率を抑えている。
【0008】しかし、特開昭53−71721号公報の
構成によると、燃料通路と主噴孔143とを断続するシ
ール部145の長さはノズルニードルのリフト長よりも
短く、例えば数100μm以下とする必要がある。した
がって、ニードル弁141が軸方向に摺動可能な範囲内
でニードル弁141と弁ボディ144との間のクリアラ
ンスを狭くしても、シール部145長さが十分長くとれ
ないため、ニードル弁141の低リフト時に主噴孔14
3から燃料がリークしてしまう。このリークした燃料は
低圧であるため、十分に微粒化することができないので
粗大粒径噴霧が形成され、これにより排気ガス中のスモ
ークが増大する。
【0009】本発明の目的は、排気ガス中に排出される
NOX 、スモーク等の有害物質を低減する燃料噴射装置
を提供することにある。本発明の他の目的は、加工が容
易な噴射ノズルを備えた燃料噴射装置を提供することに
ある。本発明のさらに他の目的は、部品点数が少なく、
体格の小型化が可能な燃料噴射装置を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の燃料噴射
装置によると、燃料通路内の燃料圧力が所定値以上とな
ったときに、円筒部材が径外側に弾性変形することによ
り燃料通路と噴射ノズルの外部空間とを連通する隙間が
形成され、この隙間を通じて燃料が噴射される。すなわ
ち、燃料通路と噴射ノズル外部との断続は円筒部材の弾
性変形により行われる。したがって、例えば軸方向に摺
動するニードル弁とこのニードル弁を閉弁方向に付勢す
るスプリングなどを用いる従来の燃料噴射装置のインジ
ェクタに比べて、インジェクタの体格を軸方向に小さく
することが可能である。また、円筒部材の弾性変形によ
り形成されるこの隙間は円筒部材の周方向に沿って少な
くとも円弧状に形成されるので、点状の噴孔から燃料噴
射を行う従来の燃料噴射装置に比べて燃料を広範囲に噴
霧することができる。このように燃料を広範囲の空間に
噴霧することにより、この燃料を比較的均一に分布させ
ることができるので、燃焼空間の温度が部分的に過剰に
上昇することを防止し、NOX の生成する化学反応を抑
えて排気ガス中のNOX を低減することができる。
【0011】また、請求項2記載の燃料噴射装置による
と、燃料通路内の圧力が所定の第1圧力値以上となった
ときに、アウタ部材が径外側に弾性変形することにより
燃料通路と噴射ノズルの外部空間とを連通する第1隙間
が形成され、この第1隙間を通じて燃料噴射が行われ
る。そして、燃料通路内の圧力が第1圧力値よりも大き
い所定の第2圧力値以上となったときに、インナ部材が
径外側に弾性変形することにより燃料通路と噴射ノズル
の外部空間とを連通する第2隙間が形成され、第1隙間
からの燃料噴射に加えてこの第2隙間から燃料噴射が行
われる。このように、燃料ポンプの各燃料圧送行程にお
いて、第1隙間の燃料噴射を開始した後に第2隙間から
の燃料噴射を開始する二段階の噴射を行うことにより、
燃料圧力が第1圧力値から第2圧力値に至る燃料の初期
噴射時には第1隙間のみから燃料噴射が行われる。した
がって、初期噴射率が低くなるため、エンジンの点火直
前の時点で噴霧された燃料量を抑えて燃料を緩やかに燃
焼させることができる。これにより、燃焼空間の温度が
過剰に高くなることを防止し、NOX の生成する化学反
応を抑えて排気ガス中のNOX を低減することができ
る。また、第1隙間からの燃料噴射を開始した後、この
第1隙間の径内側に形成された第2隙間からの燃料噴射
を開始する二段階の噴射を行うことにより、燃料を径方
向に広範囲に噴霧することができる。さらに、第1隙間
および第2隙間の形成はアウタ部材およびインナ部材が
径外側に弾性変形することにより行われる。すなわち、
燃料通路と噴射ノズル外部との断続はアウタ部材および
インナ部材の弾性変形により行われる。したがって、請
求項1記載の燃料噴射装置と同様に、インジェクタの体
格を軸方向に小さくすることが可能である。
【0012】また、例えばニードル弁134がリフトす
ると主噴孔133と副噴孔137とがともに燃料通路と
連通する図9に示す従来の燃料噴射装置とは異なり、請
求項2記載の燃料噴射装置では、燃料圧力が第1圧力値
以上第2圧力値未満のときには第1隙間のみが形成され
ており第2隙間は形成されていない。すなわち、燃料通
路と噴射ノズル外部とを連通する第1隙間および第2隙
間は、燃料通路内の燃料圧力がそれぞれ第1所定値以上
および第2所定値となったときのみ形成され、それ以下
の圧力では閉じている。したがって、燃料は常に所定値
以上の噴射圧で噴射されるため、燃料噴霧を微粒化して
スモークの発生を抑制することができる。
【0013】さらに、例えばニードル弁141の低リフ
ト時に燃料通路と主噴孔143とをシール部145によ
り遮断する図10に示す従来例ではシール部145のシ
ール長はニードル弁141のリフト長の制約をうけるた
めシール性を向上させることは困難である。これに対し
て、請求項2記載の燃料噴射装置によると、第1閉塞部
および第2閉塞部の軸長やインジェクタを構成する材料
の弾性を調節することにより、インジェクタの体格を大
きくすることなくシール性を向上させることが可能であ
る。
【0014】請求項3記載のように、第1隙間および第
2隙間を環状に形成することにより、この第1隙間およ
び第2隙間から噴霧された燃料を周方向に均一に分布さ
せることができる。したがって、この噴霧された燃料を
均一に燃焼させることができるので、燃焼空間の温度が
部分的に過剰に上昇することを防止し、NOX の生成す
る化学反応を抑えて排気ガス中のNOX を低減すること
ができる。
【0015】また、請求項4記載のように、第1閉塞部
を形成するアウタ部材の燃料噴射側端部および第2閉塞
部を形成するインナ部材の燃料噴射側端部の少なくとも
一方にテーパ面を設けることにより、第1隙間および第
2隙間から噴射される燃料の噴射方向を調節して最適な
燃料分布を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。 (第1実施例)本発明の第1実施例による燃料噴射装置
を適用した燃料供給システムを図2に示す。
【0017】高圧燃料ポンプ1から燃料配管2を通し
て、各気筒に配設された燃料噴射装置としてのインジェ
クタ10にインレットコネクタ3から燃料が供給され
る。インジェクタ10は、燃料通路5が形成されたノズ
ルホルダ4と、リテーニングナット6によりノズルホル
ダ4に連結された噴射ノズルとしてのノズルボディ7と
からなる。インジェクタ10に供給された高圧燃料は、
ノズルボディ7の噴射側端部から燃焼室9に噴射され
る。
【0018】図1を用いてノズルボディ7の構成をより
詳細に説明する。ノズルボディ7は、例えば炭素含有量
の少ない軟鋼材料から形成され、厚肉の大径筒部21と
薄肉の小径筒部22とからなる筒状のアウタボディ20
と、フランジ部31と円筒部32とからなるインナボデ
ィ30と、フランジ部41と棒状部42とからなる軸部
材40とからなる。
【0019】アウタボディ20には、軸方向に貫通し燃
料噴射側端部に縮径部23aを有する貫通穴23が形成
されている。インナボディ30の円筒部32は、この貫
通穴23に挿入されて縮径部23aに圧入され、これに
より第1閉塞部としての第1圧入部51が形成されてい
る。アウタボディ20の燃料供給側端面20aにフラン
ジ部31の燃料噴射側端面31aが当接することによ
り、アウタボディ20とインナボディ30との位置決め
が行われる。貫通穴23を形成するアウタボディ20の
内周壁面と円筒部32の外周壁面との間には、燃料噴射
側端面31aから第1圧入部51まで軸方向に延びる環
状の第1燃料通路52が形成されている。
【0020】また、インナボディ30には、軸方向に貫
通し燃料噴射側端部に縮径部33aを有する貫通穴33
が形成されている。軸部材40の棒状部42は、この貫
通穴33に挿入されて縮径部33aに圧入され、これに
より第2閉塞部としての第2圧入部53が形成されてい
る。フランジ部31の燃料供給側端面31bにはフラン
ジ部41の燃料噴射側端面41aが当接することによ
り、インナボディ30と軸部材40との位置決めが行わ
れる。インナボディ30は、燃料噴射側端部では棒状部
42の外周壁面と縮径部23aとの間に挟持され、燃料
供給側端部ではフランジ部41の燃料供給側端面41a
とアウタボディ20の燃料供給側端面20aとの間に挟
持されている。これにより、軸部材40とアウタボディ
20との間にインナボディ30が固定されている。ま
た、貫通穴33を形成するインナボディ30の内周壁面
と棒状部42の外周壁面との間には、燃料噴射側端面4
1aから第2圧入部53まで軸方向に延びる環状の第2
燃料通路54が形成されている。
【0021】第1燃料通路52と第2燃料通路54と
は、大径筒部21の内側に位置する円筒部32を貫通し
て90°間隔で設けられた四つの連通孔34により連通
している。これにより、第1燃料通路52、第2燃料通
路54および連通孔34からなる燃料通路50が形成さ
れている。また、フランジ部41を貫通して90°間隔
で設けられた四つの貫通孔43により、第2燃料通路5
4は図2に示す燃料供給通路5と連通している。この貫
通孔43を通して、高圧燃料ポンプ1から送出される燃
料が燃料通路50に供給される。
【0022】燃料通路50内の燃料圧力が所定の第1圧
力値P1 以下のとき、第1燃料通路52の燃料噴射側端
部は第1圧入部51により閉塞され、第2燃料通路54
の燃料噴射側端部は第2圧入部53により閉塞されてい
る。また、燃料通路50内の燃料圧力が第1圧力値P1
より大きい第2圧力値P2 以下のとき、第2燃料通路5
4の燃料噴射側端部は第2圧入部53により閉塞されて
いる。
【0023】このノズルボディ7は、図2に示すよう
に、大径筒部21の燃料噴射側端面21bがリテーニン
グナット6の底部6aにより係止されている。そして、
フランジ部41の燃料供給側端面41bがノズルホルダ
4の燃料噴射側端面4aに液密に当接するように、リテ
ーニングナット6によりノズルホルダ4に連結される。
さらに、リテーニングナット6の外周に形成された図示
しないねじにより、インジェクタ10は図示しないエン
ジン本体に取付けられている。
【0024】次に、このインジェクタ10の作動につい
て図3〜図5を用いて説明する。図5は、本発明の第1
実施例の燃料噴射装置の作動を示すタイムチャートであ
る。図5において、A点からF点までの期間が、特許請
求の範囲に記載の「各燃料圧送行程」に相当する。A点
において燃料ポンプ1からの燃料送出が開始されると、
この燃料は燃料供給通路5から貫通孔43を経由して第
2燃料通路54に流入し、さらに連通孔34を経由して
第1燃料通路52に分配される。燃料供給圧力の上昇に
ともない、燃料通路50内の燃料圧力も上昇する。
【0025】B点において燃料通路50内の燃料圧力が
第1圧力値P1 に達すると、第1燃料通路52内の燃料
圧力により貫通孔23を形成するアウタ部材20の内周
壁面に働く力が第1圧入部51を密閉しようとするアウ
タ部材20の弾性力よりも大きくなる。このとき、アウ
タ部材20の軸を含む断面において、薄肉の小径筒部2
2の燃料供給側端部22aを支点として縮径部23aに
向かってわずかに拡がるように、小径筒部22が径外側
に弾性変形する。これにより、第1圧入部51において
円筒部32の外周壁面から縮径部23aが離反して、図
3に示すように、第1燃料通路52と燃焼室9とを連通
する環状の第1隙間55が形成される。そして、この第
1隙間55を通して第1燃料通路52から燃料室9への
燃料噴射が開始される。このとき、小径筒部22は燃料
供給側端部22aを支点として拡径するので、第1隙間
55に面する縮径部23aは燃料噴射側にわずかに拡径
したテーパ面となる。したがって、第1隙間55から噴
射される燃料は、ノズルボディ7の軸方向からやや拡径
しつつ落下する「ドーム型」の噴霧を形成する。
【0026】燃料通路50内の燃料圧力がさらに上昇
し、C点において第1圧力値P1 よりも大きい第2圧力
値P2 に達すると、第2燃料通路54内の燃料圧力によ
り貫通孔33を形成するインナ部材30の内周壁面に働
く力が、第2圧入部53を密閉しようとする力よりも大
きくなる。ここで、「第2圧入部53を密閉しようとす
る力」は、第2圧入部53を密閉しようとするインナ部
材30の弾性力、第1圧入部51を密閉しようとするア
ウタ部材20の弾性力、および第1燃料通路52内の燃
料圧力により円筒部32の外周壁面に働く力の和とな
る。このとき、インナ部材30の軸を含む断面におい
て、円筒部32の燃料供給側端部32aを支点として縮
径部33aに向かってわずかに拡がるように、円筒部3
2が径外側に弾性変形する。これにより、第2圧入部5
3において棒状部42の外周壁面から縮径部33aが離
反して、図4に示すように、第2燃料通路54と燃焼室
9とを連通する環状の第2隙間56が形成され、この第
2隙間56を通して第2燃料通路54から燃料室9への
燃料噴射が開始される。前述した第1隙間55からの燃
料噴射と同様に、第2隙間56からの燃料噴射もまた
「ドーム型」の噴霧を形成する。ここで、図5に示す第
1隙間55の開口面積の変化から判るように、円筒部3
2が径外側に弾性変形するとき、小径筒部22も径外側
にさらに弾性変形する。したがって、第2隙間56から
燃料噴射が行われている間も、第1隙間55からの燃料
噴射は継続して行われる。
【0027】そして、D点において燃料通路50内の燃
料圧力が第2圧力値P2 未満まで低下すると第2隙間5
6が閉じ、これにより第2隙間56からの燃料噴射が終
了する。燃料通路50内の燃料圧力がさらに低下し、E
点において第1圧力値P2 未満になると、第1隙間55
が閉じてこの第1隙間55からの燃料噴射が終了する。
E点における燃料通路50内の燃料の残圧は、燃料圧送
期間が終了するF点までの間に高圧燃料ポンプ1側へと
戻される。
【0028】なお、図1に示すように、第1圧力値P1
は、アウタボディ20を形成する材料の弾性V1 、小径
筒部22の壁厚V2 、小径筒部22の軸長V3 、およ
び、第1圧入部51の圧入代V4 などにより所定の圧力
値に設定可能である。同様に、第2圧力値P2 は、イン
ナボディ30を形成する材料の弾性V5 、円筒部32の
壁厚V6 、円筒部32の軸長V7 、および、第2圧入部
53の圧入代V8 などにより所定の圧力値に設定可能で
ある。
【0029】本発明の第1実施例の燃料噴射装置による
と、下記〜に示す効果が得られる。 燃料ポンプの単一の圧送行程期間において、第1隙間
55からの燃料噴射を開始した後に第2隙間56からの
燃料噴射を開始する二段階の噴射を行う。具体的には、
燃料通路50内の燃料圧力が第1圧力値P1 から第2圧
力値P2 に至る燃料の初期噴射時には第1隙間55のみ
から燃料噴射が行われる。したがって、図5の噴射率の
変化から判るように初期噴射率が低くなるので、エンジ
ンの点火直前の時点で燃焼室9内に噴霧された燃料量を
抑えることができる。これにより、燃料が緩やかに燃焼
するので燃焼室9内の温度が過剰に上昇することを防止
し、NOX の生成する化学反応を抑えて排気ガス中のN
X を低減することができる。
【0030】第1隙間55からの燃料噴射を開始した
後、この第1隙間55の径内側に形成された第2隙間5
6からの燃料噴射を開始する二段階の噴射を行うことに
より、燃焼室9内に噴霧された燃料を径方向に均一に分
布させることができる。さらに、第1隙間55および第
2隙間56は環状に形成されるため、燃焼室9内に噴霧
された燃料を周方向にも均一に分布させることができ
る。したがって、燃焼室9内の広範囲の空間に噴霧され
た燃料を均一に分布させることができるので、燃焼室9
内の温度が部分的に過剰に上昇することを防止し、NO
X の生成する化学反応を抑えて排気ガス中のNOX を低
減することができる。
【0031】ニードル弁などにより弁ボディに設けら
れた噴孔と燃料通路とを断続する従来の燃料噴射装置で
は、ニードル弁が着座して燃料噴射が終了した後に、噴
孔内部に付着した燃料や弁ボディに設けられ噴孔に連通
する燃料溜まりに残留した燃料が燃焼室内に滴下する、
いわゆる「燃料の後ダレ」が生じることがある。また、
ニードル弁と弁ボディとの間にはニードル弁を軸方向に
摺動させるために若干のクリアランスが必要なため、ニ
ードル弁と弁ボディとのシール長が不十分な場合には燃
料がリークして燃焼室内に低噴射圧で噴射されることが
ある。このような、後ダレした燃料および低噴射圧で噴
射された燃料は微粒化されていないため、スモーク増大
の原因となるという問題があった。
【0032】これに対して、本発明の第1実施例の燃料
噴射装置では、燃料通路50と燃焼室9との断続は、ニ
ードル弁が軸方向に摺動することによってではなく、ア
ウタ部材20およびインナ部材30の弾性変形により行
われる。このため、摺動クリアランスを設ける必要がな
いので、燃料の非噴射時における燃料通路50と燃焼室
9との間のシール性がよく、非噴射時の燃料リークを防
止することができる。そして、従来の燃料噴射装置の
「噴孔」に相当する第1隙間55および第2隙間56は
燃料通路50内の燃料圧力が所定の第1圧力値P1 およ
び第2圧力値P2以上になったときのみ形成され、この
圧力値以下では閉じている。したがって、燃料は常に第
1圧力値P1 以上の噴射圧で噴射されるため、燃料噴霧
を微粒化してスモークの発生を抑制することできる。ま
た、第1隙間55および第2隙間56からの燃料噴射が
終了するとともに第1隙間55および第2隙間56は消
滅するので、この第1隙間55および第2隙間56に付
着した燃料が後ダレすることはないため、後ダレした燃
料によるスモーク発生を防止できる。
【0033】前述のように、第1隙間55および第2
隙間56は燃料通路50内の燃料圧力によってアウタボ
ディ20およびインナボディ30が径外側に弾性変形す
ることにより形成される。また、第1隙間55および第
2隙間56を閉じる方向への付勢力は、アウタボディ2
0およびインナボディ30を形成する材料の弾性力等に
より与えられる。したがって、本発明の第1実施例の燃
料噴射装置によると、例えばニードル弁等を使用した図
8に示す従来の燃料噴射装置に比べて、ニードル弁11
6の開弁圧を閉弁側に付勢するスプリング113、スプ
リング113の付勢力をニードル弁116に伝達するプ
レッシャピン112、および、ニードル弁116の開弁
圧を設定するためにスプリング113の付勢力を調節す
るアジャスティングスクリュ114は不要となる。さら
に、燃料通路50内の残圧は高圧燃料ポンプ1側へと戻
されるためノズルボディ7に燃料リターン通路を設ける
必要がないので、この燃料リターン通路を形成する図8
に示すスクリュナット115も不要である。
【0034】このように、本発明の第1実施例の燃料噴
射装置によると、インジェクタ10を構成する部品点数
を削減することができる。また、弁ボディの軸方向に連
結されていたプレッシャピン112、スプリング11
3、アジャスティングスクリュ114およびスクリュナ
ット115を省略することにより、インジェクタ10の
体格を軸方向に大幅に短くすることが可能である。
【0035】さらに、アウタボディ20、インナボディ
30および軸部材40はいずれも簡単な形状であるた
め、例えば燃料溜まりや噴孔などが形成された従来の燃
料噴射装置に比べて加工が容易である。このため、加工
コストおよび加工時間を低減することができる。 ニードル弁を用いた従来の燃料噴射装置によると、図
8に示すように、燃料の非噴射時における高圧燃料通路
120と噴孔122とのシールはニードル弁116を弁
ボディ111に当接させることにより行っている。この
高圧燃料通路120と噴孔122とのシール性を向上さ
せるためには、シール長を長くする、スプリング113
の付勢力を大きくするなどの方法が考えられるが、これ
らの方法によるとインジェクタ110の体格が大きくな
るという問題がある。
【0036】本発明の第1実施例の燃料噴射装置による
と、前述したV1 〜V8 を調節することにより、インジ
ェクタ10の体格を大きくすることなくシール性を向上
させることが可能である。なお、この第1実施例では、
燃料ポンプの単一の圧送行程期間において第1隙間55
および第2隙間56から二段階の噴射を行う燃料噴射装
置について説明したが、第1燃料通路および第1圧入部
を形成する軸部材と円筒部材とからなり、第1燃料通路
内の燃料圧力が所定値以上となったときに第1圧入部が
離反して形成された環状の第1隙間から一段階の噴射を
行う燃料噴射装置に適用することも可能である。この場
合にも、上記およびに記載の効果に加え、燃焼室内
に噴霧された燃料を周方向にも均一に分布させることが
できることにより、燃料を均一に分布させて排気ガス中
のNOX を低減することができる。
【0037】また、エンジン本体へのインジェクタの取
付方法については、第1実施例で述べたようにリテーニ
ングナット6の外周に設けられた図示しないねじにより
固定する方法に替えて、図6に示すように、ノズルホル
ダ104の外周にフランジ部105を一体に形成し、こ
のフランジ部105に通したボルト106によりエンジ
ン本体に組付けてもよい。その他、インジェクタ10を
構成する部材であってアウタボディ20、インナボディ
30および軸部材40以外の部材に固定手段を設けてエ
ンジン本体に固定することができる。
【0038】(第2実施例)本発明の第2実施例を図7
に示す。第1実施例と実質的に同一な構成部分には同一
符号を付す。アウタボディ20の縮径部61には、その
燃料噴射側端部に、ノズルボディ7の軸方向に対してテ
ーパ角α1 を有するテーパ面61aが形成されている。
また、インナボディ30の縮径部62には、その燃料噴
射側端部に、ノズルボディ7の軸方向に対してテーパ角
α2 を有するテーパ面62aが形成されている。このよ
うに、図示しない燃焼室の形状に応じたテーパ角α1 、
α2 を有するテーパ面61a、62aを設けることによ
り、第1隙間および第2隙間から噴射される燃料の噴射
方向を調節して、最適な燃料分布を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による燃料噴射装置のノズ
ルボディを示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例による燃料噴射装置を適用
した燃料供給システムを示す模式図である。
【図3】第1実施例の第1隙間からの燃料噴霧状態を示
す断面図である。
【図4】第1実施例の第1隙間および第2隙間からの燃
料噴霧状態を示す断面図である。
【図5】第1実施例の燃料噴射装置において、燃料供給
圧力、第1隙間の開口面積、第2隙間の開口面積および
噴射率の関係を示すタイムチャートである。
【図6】第1実施例のノズルボディをエンジン本体に取
付ける方法の変形例を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施例による燃料噴射装置のノズ
ルボディの要部を示す断面図である。
【図8】ニードル弁を用いた従来の燃料噴射装置を示す
断面図である。
【図9】主噴孔および副噴孔を有する従来の燃料噴射装
置の要部を示す断面図である。
【図10】主噴孔および副噴孔を有する従来の他の燃料
噴射装置の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 高圧燃料ポンプ 4 ノズルホルダ 5 燃料供給通路 6 リテーニングナット 7 ノズルボディ(噴射ノズル) 9 燃焼室 10 インジェクタ 20 アウタボディ(アウタ部材) 22 小径筒部 23a 縮径部 30 インナボディ(インナ部材) 32 円筒部 33a 縮径部 34 連通孔 40 軸部材 42 棒状部 43 貫通孔 50 燃料通路 51 第1圧入部(第1閉塞部) 52 第1燃料通路 53 第2圧入部(第2閉塞部) 54 第2燃料通路 55 第1隙間 56 第2隙間

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒部材と軸部材とからなる噴射ノズル
    を備えた燃料噴射装置であって、 燃料噴射側端部に形成された閉塞部において前記円筒部
    材の内周壁に前記軸部材の外周壁が密着されており、 前記円筒部材と前記軸部材との間には燃料供給側に開口
    する燃料通路が形成され、前記燃料通路の燃料噴射側端
    部は前記閉塞部により閉塞されており、 前記燃料通路内の燃料圧力が所定値以上になると、前記
    円筒部材が径外側に弾性変形することにより前記閉塞部
    において前記円筒部材と前記軸部材とが離反して前記円
    筒部材と前記軸部材との間に隙間を形成し、前記隙間を
    通して前記燃料通路の燃料が噴射されることを特徴とす
    る燃料噴射装置。
  2. 【請求項2】 アウタ部材と、 燃料噴射側端部に設けられた第1閉塞部において前記ア
    ウタ部材の内周壁に外周壁が密着され、前記アウタ部材
    との間に前記第1閉塞部により燃料噴射側端部が閉塞さ
    れた第1燃料通路を形成するインナ部材と、 燃料噴射側端部に設けられた第2閉塞部において前記イ
    ンナ部材の内周壁に外周壁が密着固定され、前記インナ
    部材との間に前記第2閉塞部により燃料噴射側端部が閉
    塞された第2燃料通路を形成する軸部材とからなる噴射
    ノズルを備えた燃料噴射装置であって、 燃料ポンプからの各燃料圧送行程において、 前記第1燃料通路と前記第2燃料通路とからなる高圧燃
    料通路内の燃料圧力が所定の第1圧力値以上になると、
    前記アウタ部材が径外側に弾性変形することにより前記
    第1閉塞部において前記アウタ部材と前記インナ部材と
    が離反して第1隙間を形成するとともに前記第1隙間か
    らの燃料噴射が開始され、 前記高圧燃料通路内の燃料圧力が前記第1圧力値より大
    きい所定の第2圧力値以上になると、前記アウタ部材お
    よび前記インナ部材が径外側に弾性変形することにより
    前記第2閉塞部において前記インナ部材と前記軸部材と
    が離反して第2隙間を形成するとともに前記第2隙間か
    らの燃料噴射が開始され、 前記高圧燃料通路内の燃料圧力が前記第2圧力値未満に
    なると、前記第2閉塞部が密着して前記第2隙間が閉じ
    ることにより前記第2隙間からの燃料噴射が終了し、 前記高圧燃料通路内の燃料圧力が前記第1圧力値未満に
    なると、前記第1閉塞部が密着して前記第1隙間が閉じ
    ることにより前記第1隙間からの燃料噴射が終了するこ
    とを特徴とする燃料噴射装置。
  3. 【請求項3】 前記第1隙間および前記第2隙間は環状
    に形成されることを特徴とする請求項2記載の燃料噴射
    装置。
  4. 【請求項4】 前記アウタ部材の前記第1閉塞部よりも
    燃料噴射側および前記インナ部材の前記第2閉塞部より
    も燃料噴射側の少なくとも一方の内壁には、燃料噴射側
    に拡径するテーパ面が設けられていることを特徴とする
    請求項2または3記載の燃料噴射装置。
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