JPH09188077A - カード - Google Patents

カード

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JPH09188077A
JPH09188077A JP8002187A JP218796A JPH09188077A JP H09188077 A JPH09188077 A JP H09188077A JP 8002187 A JP8002187 A JP 8002187A JP 218796 A JP218796 A JP 218796A JP H09188077 A JPH09188077 A JP H09188077A
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JP
Japan
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acid
card
polylactic acid
polymer
degradable
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JP8002187A
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English (en)
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Ikumi Kitada
幾美 北田
Hiroshi Minazu
宏 水津
Masanobu Ajioka
正伸 味岡
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 (コ)ポリ乳酸を主成分とする熱可塑性
ポリマー組成物からなる基体と、分解性ポリマー塗布層
を有することを特徴とする分解性カード。 【効果】 本発明に係る分解性カードは、使用時には、
優れた強度と耐久性を有し、かつ、使用後には−例え
ば、廃棄物として地中に埋設したり、海や河川に投棄し
ても−、基体のみならず、塗布層までも、紙や木等の天
然物と同様に、自然環境中で、短期間で容易に分解す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分解性カードに関す
る。さらに詳しくは、乳酸ポリマーを主体とする熱可塑
性ポリマー組成物からなり自然環境下で全ての層が分解
性を有する分解性カードに関する。
【0002】
【従来の技術】
[技術的背景]近年、電話をかけるためにはテレホンカ
ード、電車に乗るためには定期乗車券やオレンジカード
(登録商標)、更には、コンビニエンスストアーで買物
するためのプリペードカード等様々なカードが利用され
ている。また、誰でも持っているキャッシュカードやク
レジットカード、会社によってはアイデンティフィケー
ションカード、また、会員証等一人で何枚も持っている
のがあたりまえの時代となった。所持するカードが増え
ると不用になるカードも増えるようになった。従来、こ
れらのカードとしてはポリエチレンテレフタレート、ポ
リ塩化ビニル等の樹脂類または樹脂類をコーティングし
た紙から作られたものが用いられていた。この中で樹脂
から製造されたカードは、他のゴミと一緒に焼却処理
し、カロリー源として有効利用するか、または、埋め立
て処分されていた。
【0003】しかしながら、樹脂を焼却処理する場合
は、他のゴミに比べて燃焼熱が高く、高カロリーである
ため、燃焼炉が熱負荷に耐えるように設計されたものを
用いなければならず経済的に負担が大きい。また、ポリ
塩化ビニルは燃焼時に有毒な塩化水素を発生するという
問題がある。樹脂を埋め立て処理する場合は、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の樹脂は土壌中
で難分解性であるため、分解されずに残ってしまうとい
う問題がある。紙に樹脂をコーティングしたカードは、
紙からパルプを回収するアルカリ溶液中での分解性が無
いためパルプ回収の工程に共する際に中の紙を取り出し
分離する必要があった。
【0004】[特開平5−42786号]特開平5−4
2786号には、生分解性の樹脂である3−ヒドロキシ
ブチレートと3−ヒドロキシバリレートとのランダム共
重合ポリエステルや3−ヒドロキシブチレート主体のポ
リエステル、あるいは、ポリカプロラクトンにでんぷん
を混合したもの等でカードを成形する技術が開示されて
いる。しかしながら、3−ヒドロキシブチレート等で成
形されたカードは、強度が弱く、繰り返し使用を要求さ
れる用途では、必ずしも満足できるものではなかった。
また、でんぷんを添加した樹脂で成形されたカードは、
かびが生えやすく、ねずみやごきぶり等にかじられやす
い等の問題があった。
【0005】一方、熱可塑性樹脂で生分解性のあるポリ
マーとして、ポリ乳酸または乳酸とその他のヒドロキシ
カルボン酸のコポリマー(以下、「乳酸系ポリマー」と
称する。)が開発されている。これらのポリマーは、動
物の体内で数カ月から1年で100%生分解し、又、土
壌や海水中に置かれた場合、湿った環境下では数週間で
分解を始め1年から数年で消滅し、さらに分解生成物
は、人体に無害な乳酸と二酸化炭素と水になるという特
性を有している。
【0006】[特開平6−340753号]特開平6−
340753号には、分解性を有する乳酸系ポリマーを
用いてカードを成形する技術が開示されている。しかし
ながら、カード基体が分解性ポリマーであっても、これ
に塗布される磁気層等が分解性を持たないものである
と、分解処理をした後にその層が残存して新たな問題を
引き起こす虞がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、自然環境下
で全ての層が分解可能であり、充分な強度と耐久性を持
ったカードを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、(コ)ポ
リ乳酸を主成分とする樹脂を基体に、磁気記録材料を含
む分解性ポリマーを塗布することにより完全に分解する
カードが得られることを見い出し本発明を完成するに至
った。本出願に係る発明は、以下の〜記載のカード
である。 (コ)ポリ乳酸を主成分とする熱可塑性ポリマー組
成物からなる基体と、分解性ポリマー塗布層を有するこ
とを特徴とする分解性カード。 分解性ポリマー塗布層が、分解性ポリマー溶液を塗
布することにより形成されたものである記載の分解性
カード。 分解性ポリマー塗布層が、ポリDL−乳酸からなる
ことを特徴とする又は記載の分解性カード。 (コ)ポリ乳酸が、L−乳酸繰り返し単位を70%
以上有するものであることを特徴とする乃至の何れ
かに記載の分解性カード。 分解性ポリマー塗布層が、磁気記録材料を含むこと
を特徴とする乃至の何れかに記載の分解性カード。
【0009】
【発明の実施の形態】
[語「(コ)ポリ乳酸」の概念]本出願の明細書におい
ては、ホモポリマーたるポリ乳酸及び/又はコポリマー
たるコポリ乳酸を、「(コ)ポリ乳酸」という。コポリ
乳酸は、乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸とのコポ
リマー(共重合体)」をも包含する。コポリ乳酸は、乳
酸と多価脂肪族アルコール及び多価脂肪族カルボン酸と
の、脂肪族コポリエステルをも包含する。本出願の明細
書においては、「(コ)ポリ〜」とは、「〜の(共)重
合体」という概念を包含し、ホモポリマー及びコポリマ
ーを包含する。コポリマー(共重合体)の配列の様式
は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合
体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。本出願の明
細書において用いる「(共)重合体」なる語の概念は、
「高分子」なる語の概念を包含し、ホモポリマー及びコ
ポリマーを包含する。本出願の明細書において用いる
「(共)重合体」は、少なくとも一部が、線状、環状、
大環状、分岐状、星形、三次元網目状、IPN(インタ
ー・ペネトレーテッド・ネットワーク)、PIC(ポリ
イオン・コンプレックス)等のいずれの構造をとっても
かまわない。
【0010】(コ)ポリ乳酸は、ポリ乳酸と乳酸以外の
脂肪族ヒドロキシカルボン酸の脂肪族ホモ又は脂肪族コ
ポリエステル成分を含む脂肪族ブロックコポリエステ
ル、特にポリ乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸成分を含
むホモ又はコポリカプロン酸のブロックポリエステル
が、またポリ乳酸と脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン
酸からなる脂肪族コポリエステル、特にポリ乳酸と1,
4−ブタンジオ−ルとコハク酸を含むホモ又はコポリブ
チレンサクシネートとのブロックコポリエステルであっ
てもよい。
【0011】本出願の明細書において用いる「(コ)ポ
リ乳酸」なる語の概念には、ポリ乳酸と乳酸以外の脂肪
族ヒドロキシカルボン酸の脂肪族ポリエステルの混合
物、ポリ乳酸と脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸か
らなる脂肪族ポリエステルの混合物をも包含する。ま
た、(コ)ポリ乳酸は、少なくとも一部が、架橋された
ものでもよい。また、(コ)ポリ乳酸は、少なくとも一
部が、架橋剤によって架橋されたものでもよい。乳酸単
量体単位(繰り返し単位)は、L−乳酸単位、D−乳酸
単位及びそれらの混合したものを含む。
【0012】本発明においては、(コ)ポリ乳酸は、ポ
リ乳酸、あるいは乳酸と前述したヒドキシカルボン酸及
び/又は脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオ一ルとの脱水
縮合により得られるランダムコポリマ−、及びブロック
コポリマ−、あるいはポリ乳酸と脂肪族ポリヒドロキシ
カルボン酸及び/又は脂肪族ポリエステルとの混合物で
あってもよい。
【0013】(コ)ポリ乳酸は、乳酸または乳酸と他の
ヒドロキシカルボン酸から直接脱水重縮合するか、乳酸
の環状2量体であるラクタイドまたはヒドロキシカルボ
ン酸の環状エステル中間体、例えば、グリコール酸の2
量体であるグリコライド(GLD)や6−ヒドロキシカ
プロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトン(C
L)等の共重合可能なモノマーを適宜用いて開環重合さ
せたものでもよい。直接縮合する場合は、乳酸または乳
酸と他のヒドトキシカルボン酸を好ましくは有機溶媒、
特にフェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合
し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除
き実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法に
よって重合することにより、本発明に適した強度を持つ
高分子量のポリ乳酸が得られる。原料としての乳酸は、
L−乳酸またはD−乳酸またはそれらの混合物のいずれ
でもよい。通常、(コ)ポリ乳酸に含まれるL−乳酸の
割合は、70%以上であることが好ましい。これ以下の
割合では、塗布される分解性ポリマー溶液の溶剤によっ
て基体が犯されて好ましくない場合がある。
【0014】[(コ)ポリ乳酸の分子量](コ)ポリ乳
酸の分子量は、ポリ乳酸とポリヒドロキシカルボン酸及
び脂肪族ポリエステルの各ポリマーの混合比や混合時の
分子量等で、それぞれ異なる機械物性を示すが、本発明
ではその混合比や分子量に何等制限はなく、目的とする
用途に適した物性を示すポリマー組成を適宜選択するこ
とができる。(コ)ポリ乳酸の分子量は、カードとして
の成形物にした場合に、実質的に充分な機械物性を示す
ものであれば、特に制限されない。一般的には、重量平
均分子量として、1〜500万が好ましく、3〜300
万がより好ましく、5〜200万が更に好ましく、7〜
100万がさらに好ましく、9〜50万が最も好まし
い。重量平均分子量が1万より小さい場合、機械物性が
充分でなかったり、逆に重量平均分子量が500万より
大きい場合、取扱が困難となったり不経済となったりす
る場合がある。本発明方法の(コ)ポリ乳酸の重量平均
分子量及び分子量分布は、その重合方法において、溶媒
の種類、触媒の種類及び量、反応温度、反応時間、共沸
により留出した溶媒の処理方法、反応系の溶媒の脱水の
程度等の反応条件を適宜選択することにより所望のもの
に制御することができる。
【0015】[(コ)ポリ乳酸の態様]本出願の明細書
においては、(コ)ポリ乳酸は、少なくとも、以下に示
す〜の態様を包含する。 ホモポリマーたるポリ乳酸。 コポリマーたるコポリ乳酸。 乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸とのコポリマ
ー(共重合体)。 乳酸と多価脂肪族アルコール及び多価脂肪族カルボ
ン酸との、脂肪族コポリエステル。 〜からなる群から選択された少なくとも2種の
混合物。 〜からなる群から選択された少なくとも2種の
ポリマーブレンド。 〜からなる群から選択された少なくとも2種の
ポリマーアロイ。 ここで、〜の場合は、他の分解性熱可塑性ポリマ
ー、相溶化剤、添加剤、充填剤等を含有してもよい。
【0016】[(コ)ポリ乳酸の製造方法]本発明方法
の(コ)ポリ乳酸の製造法は、特に制限されない。
(コ)ポリ乳酸の製造法の具体例としては、例えば、特
開平6−65360号に開示されている方法が挙げられ
る。すなわち、乳酸及び/又は乳酸以外のヒドロキシカ
ルボン酸を、あるいは、脂肪族ジオールと脂肪族ジカル
ボン酸を、有機溶媒及び触媒の存在下、そのまま脱水縮
合する直接脱水縮合法である。
【0017】(コ)ポリ乳酸の製造法の他の具体例とし
ては、例えば、米国特許第2,703,316号に開示
されている方法が挙げられる。すなわち、乳酸及び/又
は乳酸以外のヒドロキシカルボン酸を、一旦、脱水し環
状二量体とした後、開環重合する間接重合法である。
【0018】[脂肪族ヒドロキシカルボン酸]本発明方
法において用いることができる乳酸以外の脂肪族ヒドロ
キシカルボン酸の具体例としては、例えば、グリコール
酸、3−ヒドロキシ酩酸、4−ヒドロキシ酩酸、4−ヒ
ドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキ
シカブロン酸等が挙げられる。
【0019】[脂肪族多価カルボン酸及びその無水物]
本発明方法において用いることができる脂肪族多価アル
コールと脂肪族多価カルボン酸からなる脂肪族ポリエス
テルは、一種類又は二種類以上の脂肪族多価カルボン酸
(好ましくは、脂肪族ジカルボン酸) 及び/又はこれ
らの無水物と、一種類又は二種類以上の脂肪族多価アル
コール(好ましくは、脂肪族ジオール)とを脱水重縮合
することにより製造することができる。この場合の脂肪
族多価カルボン酸及びその無水物の具体例としては、例
えば、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、ア
ジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジ
カルボン酸等及びその無水物が挙げられる。
【0020】[脂肪族多価アルコール]脂肪族多価アル
コールの具体例としては、例えば、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ブロピレングリコール、ジブロピレングリコール、1,
3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メ
チル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、テトラメチレングリコール1,4−シクロヘキサ
ンジメタノ一ル等が挙げられる。
【0021】[語「分解性」の概念]本出願の明細書に
おいて用いる「分解性」なる語の概念には、有機材料に
関し、特定の目的に使用している期間は、目的に合致し
た材料特性を保持し、目的終了後又は廃棄後に、自然環
境下又は生体内環境下において、脆弱化及び無害化する
ような機能をも包含する。本出願の明細書において用い
る「分解性」なる語の概念には、例えば、「新版高分子
辞典(高分子学会編、朝倉書店、東京、1988年)」
・424頁右欄〜425頁左欄の「崩壊性高分子」の項
に記載されている「崩壊性」の概念をも包含する。その
記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことによ
り本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を
参照することにより、本出願明細書に記載した事項又は
開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる
事項又は開示とする。
【0022】本出願の明細書において用いる「分解性」
なる語の概念には、例えば、「新版高分子辞典(高分子
学会編、朝倉書店、東京、1988年)」・369頁左
欄の「光崩壊性」の項に記載されている「光崩壊性」の
概念をも包含する。その記載は全て、引用文献及び引用
範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部と
し、明示した引用範囲を参照することにより、本出願明
細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的
かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0023】本出願の明細書において用いる「分解性」
なる語の概念には、例えば、「MARUZEN高分子大
辞典−Concise Encyclopedia o
fPolymer Science and Engi
neering(Kroschwitz編、三田 達監
訳、丸善、東京、1994年)」・539左欄〜540
頁右欄の「生分解性ポリマー」の項に記載されている
「生分解性」の概念をも包含する。その記載は、参照に
より、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、
当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示と
する。本出願の明細書において用いる「分解性」なる語
の概念には、「コンポスタブル(compstabl
e、土壌回帰性)」の概念をも包含する。「分解性」の
評価は、例えば、土壌中への埋め込み試験、培養微生物
による分解試験、酵素標品による分解試験、血清中での
イン−ビトロ分解試験、生体内埋植によるイン−ビボ分
解試験、光照射試験等によって評価することができ、よ
り具体的には、例えば、ASTM D5209−91
(生分解性試験)やASTMD 5338−92(コン
ポスタビリティー(土壌回帰性能)試験)によっても評
価することができる。
【0024】[語「脂肪族」の概念]本出願の明細書に
おいて用いる「脂肪族」なる語の概念には、狭義の脂肪
族のみならず、実質的に芳香族度が低い脂環族をも包含
する。本出願の明細書において用いる「脂肪族」化合物
なる語の概念には、少なくとも1個の炭素原子を含む2
価の炭化水素基を分子内に有する、実質的に芳香族度の
低い化合物からなる群をも包含し、具体的には、狭義の
脂肪族基のみならず、実質的に芳香族度の低い脂環族
基、これらを組み合わせた基、又はこれらが水酸基、窒
素、硫黄、けい素、りんなどで結合されるような2価の
残基を分子内に有する化合物からなる群をも包含し、さ
らに具体的には、上記のものに、例えば、水酸基、アル
キル基、シクロアルキル基、アリル基、アルコキシル
基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ハロゲ
ン(F、Cl、Br等)基等が置換した基を分子内に有
する化合物からなる群をも包含する。これらの置換基を
適宜選択することにより、本発明に係る共重合体の諸特
性(耐熱性、強靱性、分解性、強度特性、分解性等)を
制御することができる。本出願の明細書において用いる
「脂肪族」化合物なる語の概念には、一種類の化合物の
みならず、二種類以上の組み合わせによるものをも包含
する。
【0025】[カード基体用ポリマー]本発明のカード
基体に用いられる熱可塑性ポリマーは、(コ)ポリ乳酸
が主成分として用いられる。
【0026】[塗布用分解性ポリマー]本発明で塗布す
る分解性ポリマーとしては、(コ)ポリ乳酸、ポリヒド
ロキシアルカノエート、脂肪族ジオールと脂肪族ジカル
ボン酸から脱水縮合反応により得られた脂肪族ポリエス
テル等、いかなる分解性ポリマーであってもよい。通
常、この中では、特に、溶媒溶解性の高いポリDL−乳
酸が好ましい。(コ)ポリ乳酸は、直接脱水重縮合或は
ラクタイドの開環重合いずれの方法で得られたものでも
よい。以下、本発明について詳細に説明する。
【0027】[塗布用溶媒]本発明で塗布する分解性ポ
リマーを溶解する溶媒はいかなる溶媒でもよいが、乾燥
工程の便を考えトルエン、キシレン等が好ましい。
(コ)ポリ乳酸からなる基体に(コ)ポリ乳酸を接着剤
として使用し、磁気記録材料を塗布する場合、塗布する
ポリマー溶液の溶媒によって基体の(コ)ポリ乳酸が溶
解してしまう溶媒は、通常、好ましくない。例えば、ポ
リL−乳酸からなる基体にトルエンに溶解したポリDL
−乳酸を塗布することにより、基体を傷めることなく良
好な塗布層を得ることができる。
【0028】[塗布層]本発明で用いられる塗布層は、
磁気記録材料を含む磁気記録層であるが、これに限定さ
れるものではなく、下地層、感熱記録層、保護層、その
他必要とされるいかなる多層構造も含まれる。
【0029】[熱可塑性ポリマー組成物](コ)ポリ乳
酸には、通常公知の熱可塑性ポリマー、または、可塑
剤、さらに各種の改質剤を用いて、熱可塑性ポリマー組
成物とする。公知の熱可塑性ポリマーとしては、ポリグ
リコール酸、ポリε−カプロラクタム等の分解性のもの
が好ましい。また、熱可塑性ポリマー組成物の製造は、
公知の混練技術はすべて適用出来るが、組成物の形状は
ペレット、棒状、粉状等で用いられる。ポリマーの重量
平均分子量は特に限定されない。強度を必要とする用途
には、通常、5万〜100万程度の重量平均分子量が好
ましい。通常、5万以下の重量平均分子量では、フィル
ムや成型物とするには強度が小さい。通常、重量平均分
子量が100万より高いと、溶融状態での粘度が高く成
形加工性に劣る。
【0030】[成形方法]ポリマーの成形方法は特に限
定されないが、通常、押し出しシート成形、プレス成形
等で行われ、必要により延伸することもできる。成形条
件は成形機、ポリマーの種類等によって適宜決定される
が、そのいくつかを例示する。 押し出し機 : 40mmφ、50rpm 押し出し温度 : 190〜220℃ Tダイ : スリット0.2mm、幅150mm 延伸温度 : 50〜150℃ 延伸倍率 : 3〜8 [カード]カードは、磁気記録層と感熱記録層とが非磁
性基体の同一面側に設けられており、通常は第1図に示
すように非磁性体1上にまず磁性塗膜からなる磁気記録
層2を形成し、この上に低融点非磁性金属の薄膜からな
る感熱記録層3を積層するが、その他いかなる方法によ
り得られたものでも良い。
【0031】[記録方法]カードに記録する方法として
は、いかなる方法でも良いが、磁気記録、LSIによる
電子記録、光学的記録による方法等が知られている。以
下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0032】
【実施例】
[製造例1]L−ラクタイド216g(1.5モル)お
よびオクタン酸スズ0.01重量%と、ラウリルアルコ
ール0.03重合%を、攪拌機を備えた肉厚の円筒型ス
テンレス製重合容器へ封入し、真空で2時間脱気した後
窒素ガスで置換した。この混合物を窒素雰囲気下で攪拌
しつつ200℃で3時間加熱した。温度をそのまま保ち
ながら、排気管及びガラス製受器を介して真空ポンプに
より徐々に脱気し反応容器内を3mmHgまで減圧にし
た。脱気開始から1時間後、モノマーや低分子量揮発分
の留出がなくなったので、容器内を窒素置換し、容器下
部からポリマーを紐状に抜き出してペレット化し、ポリ
L−乳酸を得た。このポリマーの重量平均分子量は約1
0万であった。
【0033】[製造例2]90%L−乳酸10.0kg
を150℃/50mmHgで3時間攪拌しながら水を留
出させた後、錫末6.2gを加え、150℃/30mm
Hgで更に2時間攪拌してオリゴマー化した。このオリ
ゴマーに錫末28.8gとジフェニルエーテル21.1
kgを加え、150℃/35mmHgで共沸脱水反応を
行い、留出した水と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみ
を反応機に戻した。2時間後、反応機に戻す有機溶媒を
4.6kgのモレキュラーシーブ3Aを充填したカラム
に通してから反応機に戻るようにして、150℃/35
mmHgで40時間反応を行い、重量平均分子量Mw=
100,000のポリ乳酸を得た。この溶液に脱水した
ジフェニルエーテル44kgを加え希釈した後、40℃
まで冷却して析出した結晶を濾過し、60℃/50mm
Hgで乾燥して、ポリ乳酸粉末6.1kg(収率85
%)を得た。この粉末をペレット化機で処理しペレット
化し、ポリ乳酸を得た。このポリマーの重量平均分子量
は約10万であった。
【0034】[製造例3]L−乳酸10.0kgをL−
乳酸5.0kgとグリコール酸5.0kgに変えた他は
製造例2と同様にしてL−乳酸とグリコール酸の共重合
体を得、ペレット化した。このポリマーの重量平均分子
量は約10万であった。
【0035】[製造例4]98%DL−乳酸9.2kg
から製造例2と同様にしてポリDL−乳酸を得、ペレッ
ト化した。このポリマーの重量平均分子量は約10万で
あった。以下、これらのポリマーを用いて、実施例に示
すカードを試作した。
【0036】[ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)]ポリマーの重量平均分子量は、ポリスチ
レンを標準としてゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーにより以下の条件で測定した。 装置 :島津LC−10AD 検出器:島津RID−6A カラム:日立化成GL−S350DT−5、GL−
S370DT−5 溶媒 :クロロホルム 濃度 :1% 注入量:20μl 流速 :1.0ml/min [カードの物理的特性]カードの物理的特性は、以下の
条件によって試験を行った。 試験場所の状態:試験場所は、特に指定がない限
り、JIS Z 8703 に規定する常温常湿(温度
20±15℃、湿度65±20%)の状態とする。 試験片:試験片は、カードに切断する前のシート状
の試験から規定の寸法のものを採る。ただし、特に指定
がない場合には、製品カード自体とする。 引張強さ:引張強さ試験は、JIS C 2318
の6.3.3(引張強さ及び伸び率)による。 衝撃強さ:衝撃強さ試験は、カードを堅固な水平板
上に置き、500gの鋼球を30cmの高さからカード
の中央に落とし、カードの割れ、ひびなどの有無を調べ
る。 耐折強さ: 耐折強さ試験は、JIS P 811
5による。 こわさ: こわさ試験は、JIS P 8125を
準用する。 カビ抵抗性:試料(50×50mm)をデシケータ
ー中で乾燥後、重量を測定し、滅菌固化した培地上に試
験片を置き、供試菌の胞子懸濁液をスプレイ接種し、3
0℃の恒温槽内で培養し、カビの生育の様子を観察す
る。4週間後の試験片を流水下で洗浄し、濾紙で水分を
取り、デシケーター中で乾燥後、重量減少を測定する。 堆肥中分解性:試料を温度35℃、湿度30%の堆
肥中に埋設して分解性試験を行い、2カ月後の変化を調
べる。
【0037】[実施例1]製造例1のポリマーをプレス
成形機で温度200℃、圧力30トンで5分間加圧し、
その後40℃で5分間冷却することで厚さ188μmの
透明なシートが得られた。得られたシート上に磁気記録
材料を含む製造例4のポリマートルエン溶液を塗布乾燥
して、厚さ15μmの磁性塗膜からなる磁気記録層を形
成しカードを作製した。このカードの引張強さは68N
/mm2であった。衝撃強さ試験は、合格、耐折強さは
200回以上、こわさは1.76mN・m以上であっ
た。カビ抵抗性試験では、4週間後にカビの生育は認め
られなかった。また、堆肥中分解性試験では、2カ月後
には外力により容易に形が崩れた。
【0038】[実施例2]製造例1のポリマーの代わり
に、製造例2のポリマーから実施例1と同様の方法で厚
さ188μmのシートを得、実施例1の方法と同様にし
てカードを作製した。このカードの引張強さは68N/
mm2であった。衝撃強さ試験は合格、耐折強さは20
0回以上、こわさは1.76mN・m以上であった。カ
ビ抵抗性試験では、4週間後にカビの生育は認められな
かった。また、堆肥中分解性試験では、2カ月後には外
力により容易に形が崩れた。
【0039】[実施例3]製造例1のポリマーの代わり
に、製造例3のポリマーから実施例1と同様の方法で厚
さ188μmのシートを得、実施例1の方法と同様にし
てカードを作製した。このカードの引張強さは52N/
mm2であった。衝撃強さ試験は合格、耐折強さは20
0回以上、こわさは1.76mN・m以上であった。カ
ビ抵抗性試験では、4週間後にカビの生育は認められな
かった。また、堆肥中分解性試験では、2カ月後には外
力により容易に形が崩れた。
【0040】[実施例4]実施例1と同様のポリ乳酸シ
ートを80℃で1時間再結晶化して得られたシートを実
施例1の方法と同様にしてカードを作製した。このカー
ドの引張強さは78N/mm2であった。衝撃強さ試験
は合格、耐折強さは200回以上、こわさは1.76m
N・m以上であった。カビ抵抗性試験では、4週間後に
カビの生育は認められなかった。また、堆肥中分解性試
験では、2カ月後には外力により容易に形が崩れた。
【0041】[比較例1]製造例1のポリマーの代わり
に、3−ヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレ
ートとのランダム共重合ポリエステルであるバイオポー
ル(ICI社製)から実施例1と同様の方法で厚さ18
8μmのシートを得、実施例1の方法と同様にしてカー
ドを作製した。このカードの引張強さは24N/mm2
と弱く、衝撃強さ試験には合格、耐折強さは200回以
上、こわさは0.73mN・mと低い値であった。カビ
抵抗性試験では、4週間後にカードの2/3以上の面積
にカビが生育していた。また、堆肥中分解性試験では、
2カ月後には消滅していた。
【0042】[比較例2]製造例1のポリマーの代わり
に、でんぷんと変性ポリビニルアルコールを主成分とす
るマタービー(ノバモント社製)から実施例1と同様の
方法で厚さ188μmのシートを得、実施例1の方法と
同様にしてカードを作製した。このカードの引張強さは
22N/mm2と弱く、衝撃強さ試験には合格、耐折強
さは200回以上、こわさは0.53mN・mと低い値
であった。カビ抵抗性試験では、4週間後にカードの2
/3以上の面積にカビが生育していた。また、堆肥中分
解性試験では、2カ月後には消滅していた。
【0043】
【発明の効果】(コ)ポリ乳酸を主成分とする熱可塑性
ポリマー組成物からなる基体と、分解性ポリマー塗布層
を有することを特徴とする、本発明に係る分解性カード
は、使用時には、優れた強度と耐久性を有し、かつ、使
用後には−例えば、廃棄物として地中に埋設したり、海
や河川に投棄しても−、基体のみならず、塗布層まで
も、紙や木等の天然物と同様に、自然環境中で、短期間
で容易に分解する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 201/00 PDC C09D 201/00 PDC G11B 5/704 G11B 5/704

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (コ)ポリ乳酸を主成分とする熱可塑性
    ポリマー組成物からなる基体と、分解性ポリマー塗布層
    を有することを特徴とする分解性カード。
  2. 【請求項2】 分解性ポリマー塗布層が、分解性ポリマ
    ー溶液を塗布することにより形成されたものである請求
    項1記載の分解性カード。
  3. 【請求項3】 分解性ポリマー塗布層が、ポリDL−乳
    酸からなることを特徴とする請求項1又は2記載の分解
    性カード。
  4. 【請求項4】 (コ)ポリ乳酸が、L−乳酸繰り返し単
    位を70%以上有するものであることを特徴とする請求
    項1乃至3の何れかに記載の分解性カード。
  5. 【請求項5】 分解性ポリマー塗布層が、磁気記録材料
    を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載
    の分解性カード。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11129426A (ja) * 1997-10-31 1999-05-18 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート
US7461791B2 (en) 2006-02-03 2008-12-09 Arthur Blank & Company, Inc. Method and apparatus for forming ISO-compliant transaction cards including PLA
JP2013229047A (ja) * 2008-10-21 2013-11-07 Canon Inc 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

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