JPH09187887A - 高分子水溶液積層体の封止法 - Google Patents

高分子水溶液積層体の封止法

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JPH09187887A
JPH09187887A JP8018246A JP1824696A JPH09187887A JP H09187887 A JPH09187887 A JP H09187887A JP 8018246 A JP8018246 A JP 8018246A JP 1824696 A JP1824696 A JP 1824696A JP H09187887 A JPH09187887 A JP H09187887A
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Haruo Watanabe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層体の基板間にある高分子水溶液から水の
蒸発を防止して気泡の発生と濃度変化によるむらの発生
をおさえる有用な封止法をうることである。 【解決手段】 第1封止にホットメルト型接着剤を第2
封止に架橋反応型の液状接着剤を使用して多段に外周封
止をしてなる高分子水溶液積層体の封止法であり、さら
に保水層を設けてより確実に良好に封止する方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも一部が
透明で直視可能な基板間に機能性をもつ高分子を水溶液
状態で積層した高分子水溶液積層体の封止法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、機械的な方法に代えて機能性材料
を組み込んだ複合ガラスを使用して物理化学的に光線を
可逆的に制御する調光ガラスが提案されている。例え
ば、液晶、エレクトロミック、微粒子分極配向、フォト
クロミック、サーモクロミック、サーモトロピック等の
方式がある。また、太陽光エネルギーの居住空間への侵
入を防ぐために熱線吸収ガラスや熱線反射ガラス等が窓
にすでに使用されている。なお、調光ガラスは、社団法
人ニューガラスフォーラムの平成3年度ニューガラス産
業対策調査研究報告書(地球温暖化防止対策)に詳細に
記されているように、省エネルギー対策との関係もあ
り、これからの開発が強く期待されている。
【0003】そこで、本発明者は、太陽光エネルギーが
窓に照射していることに注目した。このエネルギーの有
無により、窓ガラスが熱作用の自律応答により白濁散乱
して透明ー不透明の可逆変化、呈色の可逆変化等をおこ
す現象を利用して、快適な居住空間をうる方法を検討し
てきた。この自律応答特性は、照射面のみ遮光して防眩
する特長や省エネルギー効果のみならず施工、メンテナ
ンス、維持費等からも非常に魅力的であることに着目し
てきた。そこで、機能性高分子の水溶液を大面積状態で
透明基板に積層し、かつその積層を維持できる積層体の
製法が非常に重要となった。
【0004】従来、液体状態を積層して比較的大きい面
積で使用されている積層体は、端末表示用にすでに広く
使用されている液晶表示体程度である。本発明のよう
に、機能性高分子の水溶液を積層し、その水溶液状態の
まま積層体として最終使用(例えば、窓ガラス、広告表
示体等)に用いた例はいまだない。そこで、本発明者
は、熱作用によるサーモクロミック、サーモトロピック
等の特性に注目してきた。特に水を溶媒とする高分子水
溶液からなるサーモクロミック、サーモトロピック材料
を少なくとも一部が透明な基板で積層してなる積層体に
関し、その外周部を封止して水の蒸発を防止することが
必要であることに注目した。これは、水蒸発による気泡
の発生と濃度変化によるむらの発生を防ぐために非常に
重要である。なお、水を溶媒にもつ高分子水溶液である
サーモクロミック、サーモトロピック材料の例として
は、水と多糖類誘導体からなるライオトロピック型のコ
レステリック液晶、水と多糖類誘導体と両親媒性分子か
らなる水溶液、ビニル系水溶性高分子の水溶液、水をも
つ多成分組成のゲル体等がある。本発明は、これらの高
分子水溶液の水蒸発を防止する積層体の封止法にあるの
で、これらサーモクロミック、サーモトロピック材料の
高分子水溶液の詳しい説明はここでは省略する。なお、
これらの高分子水溶液の厚みは、特に限定されるもので
はないが0.01から5mm程度であり、通常は0.0
5から2mm程度である。
【0005】従来、水溶液からの水の蒸発を防止するた
めに外周封止した積層体の封止構造は、図2に示したよ
うに単純封止積層体であった。この図2は、従来例の断
面図であって、1は基板、2は高分子水溶液、4は封止
である。有機材料の封止では、図2の封止構造ではどう
しても水分子が封止部を膜透過して蒸発をすることが避
けられない。そこで本発明者は、すでに特願平6−19
8942で詳説したように積層体の外周に枠を設ける2
段封止構造をとると同時に第1封止と第2封止の間に水
の飽和蒸気および/または液体をもつ保水層を設けて水
溶液と平衡状態をもたせることにより水の蒸発を防止す
る構造を開発した。しかし、枠を設けることは、基板ま
たは枠寸法の精度を要求する、枠により厚みが増す、積
層体の厚みごとに枠のサイズを必要とする、多数をマト
リックスに置くと枠が目立ち好ましくない、部材・工数
が増えコスト増となる等の問題があった。そこで、本発
明者は、より容易に確実に封止できる方法について詳細
に検討した結果、枠を使用しない構造を考え封止積層体
の名称で特願平7−89980に出願した。この発明を
さらに詳細に検討した結果、封止材料を複合的に使用す
る封止法により水の膜透過、すなわち水の蒸発を非常に
小さくおさえることを見出して本発明に至った。また、
積層体を容易にかつ確実に製造できるようになった。な
お、水の膜透過を完全に防止するには無機封止法である
が、高分子水溶液を均一に積層するはてきさなっかた。
例えば、低融点ガラスによる無機封止は、高温を必要と
することもあり使用できなかった。そこで、特殊な半田
を使用してガラス基板と接合さす方法も検討したが、1
0cm角程度の小基板サイズでも超音波振動を利用する
緻密な作業を必要とし、特殊なスポット接合部を作るに
はよいが、ライン状に密封するには適した方法ではなく
またピンホール、密着性にも疑問が残った。さらに、窓
等に使用される1m角以上の大面積積層体の大量生産に
は不向きであり、またガラスと半田の熱膨張係数の差も
あり有用な方法でなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、積層体の基板間にある高分子水溶液から水の蒸発を
防止して気泡の発生と濃度変化によるむらの発生をおさ
える有用な封止法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決するためになされたものであり、少なくとも一部
が透明で直視可能な基板を外周封止した積層体内で孔部
より注入された水で水溶性高分子の個体を溶解してなる
高分子水溶液積層体の封止法において、第1封止にホッ
トメルト型接着剤を第2封止に架橋反応型の液状接着剤
を使用して多段に外周封止をしてなる高分子水溶液積層
体の封止法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、すでに本発明者により
特願平3−361225に述べられているように、高分
子は個体状態をとれることに注目して、基板間にある高
分子個体を注入された溶媒と接触させて高分子溶液とす
ることにより高分子溶液積層体をうる個体法を用いてい
る。この個体法は、基板間で高分子に溶媒を拡散させて
均一な目的組成の溶液にする方法であり、膜状、ストラ
イプ状、点状、粒子状等の種々の形態の個体を利用でき
る。この個体法は、特に形態が限定されるものではな
が、ここでは代表例として膜状を用いる塗布膜法を主に
記す。この塗布膜法は、高分子を通常の方法、例えば、
流し込み、マスク塗布、バーコーター、転写等で基板に
塗布、乾燥すればえられる。つぎに、高分子溶液積層体
は、高分子個体をもつ基板の周囲に外周封止剤を配し、
必要に応じてスペーサーを介して一定の間隔を設けて対
向基板を積層後、孔部から隙間に溶媒を注入して封孔す
る方法でえられる。本発明に関係するこの個体法は、溶
媒が存在しない状態で外周封止の工程を取れるので封止
形成温度を100℃以上とすることができるので、封止
剤を広く選択でき、容易に良好な外周封止が得られる点
が重要な特長である。特に、水のように100℃以下の
低沸点溶媒を使用した場合に重要な点となり、本発明の
高分子水溶液積層体の封止法につながった。
【0009】そこで、本発明者は、高分子水溶液積層体
から水の蒸発を防止する封止法を図1に断面図として示
した。1は基板、2は高分子水溶液、3は第1封止、4
は第2封止である。このように封止剤を多段に使用し
て、第1封止3にホットメルト型接着剤を第2封止4に
架橋反応型の液状接着剤を用いて外周封止をして高分子
水溶液2から水の蒸発を無視できる程度までに非常に小
さくすることができた。なお、特に図示しないが、必要
におうじて第1封止3、第2封止4にスペーサー(例え
ば、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、ガラスファイバー、細
長いガラス板等)を介して封止をしてもよく、また高分
子水溶液2にスペーサー(例えば、ガラスビーズ、樹脂
ビーズ等)を散布してあってもよい。第1段封止3にホ
ットメルト型接着剤の例として建築用複層ガラスの1次
シーリング材にも使用されている熱可塑性イソブチルゴ
ム系封止剤(例えば、横浜ゴム社のハマタイトPRC−
488−Y、テイパ化工社のPIB−521等)があ
る。この材料は、130℃から160℃程度の温度でプ
レスするだけでガラス基板との密着性がとれ、さらに室
温での水の透過性が極めて小さく、例えば、20℃、5
mm厚、85%差の相対湿度の条件で約0.05g/平
方メートル・日である。しかし、温度が10℃上昇する
ごとに約5倍となるので、60℃、さらに80℃となる
とホットメルト型接着剤は熱可塑性高分子系であるため
にバルク膨張、分子鎖運動の増大等により水の透過性が
非常に大きくなる欠点があった。だが、本発明のように
高分子水溶液と直接接触して使用しても剥離することな
く十分に密着性は保持されていた。そこで、本発明者
は、第1封止3の外側に第2封止4として固形分100
%の架橋反応型の液状接着剤、例えば、アクリル系の液
状感光性接着剤、液状2液型エポキシ接着剤等を図1の
ように外周部に注入して固化接着させた。特に、液状感
光性接着剤は外周部に注入して紫外線を照射すれば固化
できホットメルト型接着剤と同様に短時間で接着固化で
き非常に有用であった。この熱硬化型接着剤は、温度が
上昇しても第1封止3のホットメルト型接着剤のように
大きくバルク膨張、分子鎖運動の増大をおこさずに基板
を接着固定しえる。この効果が、隣接するホットメルト
型接着剤にも機械的に影響して膨張、運動がおさえこま
れたと考えられる。また、第2封止4は、一般的に基板
との接着を維持できていれば架橋密度が高いほうが水の
膜透過もおさえられるので、架橋密度が疎であるゴム状
弾性を示すゴム状物質でなくて樹脂状に固化する方がよ
い。さらに言うと、熱硬化型樹脂の測定に使用される、
例えば、動的粘弾性測定によってえられるTg点の前後
で熱的特性が非線形的に変わるTg点温度が50℃以
上、好ましくは60℃以上にあると本目的に好ましいと
いえる。なお、第1封止3の存在は、第2封止4に直接
水が接触するのを防止でき、その接着を維持するのに有
効的に働いている。このように、両者の封止剤が効果的
に相乗作用して高分子水溶液2から水の蒸発を非常に小
さくすることができたと思われる。当然、第2封止4
は、一対の基板に対して機械的に固定する接着機能をも
果たしている。
【0010】さらに、水の蒸発をより確実に防止する方
法として、保水層5を設ける封止法がある。図3、図4
は、その保水層5を設けた高分子水溶液積層体の断面図
である。保水層5は、例えば、図3は水袋層であり、図
4は水層である。この様に、封止を介して高分子水溶液
2と独立に保水層を設けて水の飽和蒸気および/または
液体をおくと、保水層5と高分子水溶液2に水拡散に平
衡が成立して高分子水溶液2から水の蒸発を防止でき
る。ようするに、保水層5の水の存在が緩衝になって高
分子水溶液2に気泡の発生と濃度変化によるむらの発生
を防止できる。図3は、水袋を第1封止3を設けると同
時にまたは設けたあとに基板間に挿入するように置き、
その後に外周から第2封止4の液状接着剤を注入固化す
ることで得られる。また、第2封止4が高粘度の液状接
着剤であれば水袋を包むようにして同時に置いて第1封
止3の形成とともに基板間に挟み込み固化する方法でも
よい。水袋は、筒状のチューブ内に水を持たせたもので
あり、そのフィルムは、水分子が透過すればよく特に限
定することなくプラスチック系のフィルムは広く使用で
き、特に熱溶融シールできる熱可塑性のフィルム(例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレンン等)は簡便に真空
パックした状態で水を筒状に内包することができ使用し
易い。また、ラミネートされた複合フィルム、接着層を
もつフィルム、水蒸気状態の水分子のみ透過し易いフィ
ルム等の加工フィルムも広く利用できる。当然、プラス
チック系のフィルムは水分子を透過して周囲は飽和状態
の環境を提供する。このフィルムの厚みは、積層工程で
破損しなければよく、特に厚みに限定されるものではま
いが、薄い方が水の内包量をより多くとれるので好まし
い。通常は、0.01mmから0.1mm程度から選択
すればよい。さらに、特殊な水袋として水をもつマイク
ロカプセルでもよい。また、注入孔部に小さな水袋を第
2封止4とともに設けてもよい。図4は、第1封止3を
2段にしてその間に水を注入して保水層5としたもので
ある。この方法は、特に水袋を必要とせず、かつ高分子
個体を溶解するために注入される水で同時に注入封孔し
て保水層5を形成できるので非常に有用な方法である。
また、この第1封止3を2段に限定することなく3段以
上にしてもよい。当然、図示したように最外周には第2
封止4を設けてある。
【0011】そこで、本発明者は、水の蒸発の程度を直
接観察するために、以下のようなテストをした。10c
m角で3mm厚のガラス基板にギャップ0.8mmで外
周封止、水注入、封孔をして外周封止の水の膜透過状態
を実験した。注入孔を2mm幅で同じ辺に2ヶ所設け
て、実施例1のブチルゴム系シーリング材を介して対向
基板をおいてホットプレスし、幅約7mmの第1封止と
した。注入孔から純水をスポイトで注入してから、最外
周5mm幅に実施例1の液状感光性接着剤を注入すると
同時に孔部も満たしてから、紫外線照射して封止と封孔
をおこなったものをA封止積層体とし、さらに同様の基
板に同じ注入、封孔処理をして外周封止のみを変えて1
2mm幅全部をブチルゴム系シーリング材のみにしたB
封止積層体と液状感光性接着剤のみにしたC封止積層体
の3種類を作成した。つぎに、これらA封止積層体、B
封止積層体、C封止積層体を80℃の恒温槽内で100
0時間放置して気泡の発生状況を比較検討した。その結
果は、B封止積層体は、120時間後には1mmから3
mm程度の気泡が封止にそって多数観察され、720時
間後には水は完全に蒸発した。C封止積層体は、120
時間後には数はB封止積層体よりすこし少ないが同様の
サイズの気泡が観察され、1000時間後には水はわづ
かに残っているのみであった。しかし、A封止積層体
は、驚くべきことに120時間後には0.1mmから
0.3mm程度の微小気泡が封止にそって観察された
が、その後大きな変化はなく、1000時間後でも注入
孔部にみられた少し大きい気泡を除けば、封止の壁に
0.2mmから0.7mm程度の微小気泡が3mmから
6mm程度の間隔で発生した程度であり、気泡が特に大
きく成長することはなく非常に良好であった。なお、こ
の注入孔部の気泡は、使用時には窓枠のサッシ内に隠れ
てしまい、注入孔部をもつ辺を上側に施工設置すること
で実使用で全く問題なかった。このことは、保水層5を
設ければさらに確実で良好な封止をえることを意味す
る。事実、30cm角サイズにしたテスト基板で実施例
2の方法でえた図3の構造、実施例3の方法でえた図4
の構造で同様な放置テストをした結果、高分子水溶液2
において経時的に気泡が増大、拡大することは全く見ら
れず非常に良好であった。同時におこなった、60℃、
5000時間の放置テストでも同様に全く問題なく非常
に良好であった。当然、実施例1の方法でえた図1の構
造も、A封止積層体での観察結果が再現され良好であっ
た。
【0012】本発明者は、昨年の東京地区で真夏、正午
〜2時、快晴、外気温32〜34℃、無風状態の条件で
住宅、店舗、オフィスビル等の窓ガラス、窓枠フレーム
を表面温度計で温度を実態調査したところ、通常は60
℃弱が多く、65℃を越える測定結果は非常にまれであ
った。よって、約20℃も高い温度で1000時間、そ
れも乾燥空気条件(通常、夏季は高湿度)のもとで良好
の結果をえたことは、1日に2時間高温になる日を1年
で50日としても10年の耐久性をもうことになり、上
記のより苛酷な条件での結果をあわせて考えると、本発
明は十分に実用性をもつといえ、基板間での有機材料に
よる封止法を可能にしたことは非常に驚くべき結果であ
るといえる。また、本発明による高分子水溶液積層体
は、液晶表示体のように情報伝達を目的とするわけでな
く、主に建材に使用されるので1mm以下の微小気泡は
実使用において全く問題ないといえる。当然、透明発熱
素子を設けて、例えば、室内の間仕切り等に使用する場
合は、本発明の方法で超長期間の使用にも耐ええるとい
える。この時は、封止部の下部は低抵抗にして非発熱状
態にしておくと好ましいのは言うまでもない。
【0013】つぎに、本発明で使用する機能性高分子
は、水に溶解して溶液になる水溶性高分子、もう少し広
げて水を高吸収して非常に柔軟体になるゲル等などに特
に限定されることなく広く使用できる。例えば、高分子
と水からなるライオトロピック型の高分子液晶、疎水基
をもつ水溶性高分子の水性ゲル等がある。当然、各種の
添加剤を添加することもできる。例えば、水性ゲルの相
分離を防ぎ均一可逆性をもたらす両親媒性分子、水性ゲ
ルの相転移温度をシフトさせる水溶性無機電解質、防腐
剤、着色剤、紫外線吸収剤等の低分子を適宜、高分子個
体や溶媒に添加して使用できる。本発明の主体は積層体
の製造方法にあるので物質の詳細は省略すが、例えば、
プロピレンオキサイドを高付加して得られるヒドロキシ
プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルプルラン、ヒ
ドロキシプロピルデキストラン等がある。なかでもセル
ロース誘導体は、安定性が高く重要である。特記しない
限り、セルロース誘導体を主体として記述するが、もち
ろん本発明はこれに限定されるものではない。このセル
ロース誘導体に付加された各種の官能基やその付加方法
は、朝倉書店の出版である大有機化学第19巻に詳細に
開示されており、これらの方法と一般の付加反応を組み
合わせることにより、水酸基、低級アルキル基、ハロゲ
ン基等を付加せしめることによって親水性疎水性バラン
スを調製できる。また、その他の機能性高分子の例とし
て、可逆的に曇点現象を示す水溶性高分子である例え
ば、ポリビニルアルコール系のポリビニルアルコール部
分酢化物、ポリビニルメチルエーテル等、ポリN−置換
アクリルアミド誘導体のポリN−イソプロピルアクリル
アミド、ポリN−エトキシエチルアクリルアミド等、ポ
リN−置換メタクリルアミド誘導体のポリN−イソプロ
ピルメタクリルアミド、ポリN−3−エトキシプロピル
メタクリルアミド等、ポリN,N−ジ置換アクリルアミ
ド誘導体のポリN−メチルN−エチルアクリルアミド等
がある。
【0014】また、特に水を溶媒に使用すると、重要な
ことは、個体法全体にいえることであるが、脱気処理し
た水を使用しない場合、水の拡散溶解とともに全面に無
数の微小気泡が発生した。この問題の原因を検討した結
果、水溶性高分子(例えば、ヒドロキシプロピルセルロ
ース等)の溶解により水に溶存していた空気が遊離する
のが原因であることがわかった。この問題は、60℃以
上、好ましくは70℃以上に加温して溶存空気を除去し
た水や減圧脱気した水等を使用することで解決できるこ
とがすでに特願平3−361225に記してあるように
本発明者により見出されている。しかし、実施例1で分
かるように本発明の課題を解決することにはならない。
なお、加温脱気で水に添加した両親媒性物質が分離する
場合は、両親媒性物質を高分子個体の塗布膜やフィルム
等に入れてしまうとよい。この方法は他の添加剤に適用
してもよく、このようにして水のみを拡散させること
は、添加剤の均一化に好ましい。なお、一部に気泡残が
出た場合、放置とともに気泡が高分子水溶液に吸収され
てしまう現象も観察した。また、高分子の酸化防止にも
溶存空気、酸素が少ないことは好ましい。
【0015】基板は、ガラスではソーダライムガラス、
ホウ珪酸ガラス、熱線吸収・紫外線吸収ガラス等があり
特に限定されることなく広く使用できる。また、強化ガ
ラス、耐熱ガラス、合わせガラス、網入りガラス、複層
ガラス等の板ガラスも特に限定することなく使用でき
る。なお、機能性高分子溶液を太陽光線の紫外線から保
護するには紫外線吸収・カットガラスが重要であり、例
えば、紫外線を吸収するセントラル硝子社のグリーンラ
ルSP、日本電気硝子社のファイアライト、紫外線をハ
ロゲン化銅の微粒子散乱でカットする五鈴精工硝子社の
ITY等の板ガラスは有用である。ただ、一般のソーダ
ライムガラスで厚みが約5mm以上であると350nm
以下の紫外線透過が急激に小さくなり耐候性の面で好ま
しい。この基板サイズは、特に限定されることなく使用
でき、建築、車両等広く使用できる。また、本発明は、
少なくとも一部が透明であればよく、片側がガラスでも
う一方が非透明板でもよく、例えば、金属板(例えば、
アルミ板、ステンレス板、チタン板等)、セラミックス
板等を用いてもよい。これは、広告板、壁板等に利用で
きる。なお、紫外線を透過しない基板どうし(例えば、
紫外線カットガラスと複層ガラスの組合)を液状感光性
接着剤で封止する場合は、サイド照射により固化でき
た。
【0016】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに説明す
る。なお、これらの実施例においては水溶性高分子に多
糖類誘導体のヒドロキシプロピルセルロースを用いる
が、本発明はこれらの実施例により限定されるものでは
ない。
【0017】実施例1 ヒドロキシプロピルセルロース(ヒドロキシルプロピル
基:62.4%、2%水溶液粘度:8.5cps、重量
平均分子量:約60000)100重量部、ポリオキシ
プロピレン2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3
−プロパンジオール(平均分子量400)20重量部、
塩化ナトリウム6重量部および純水200重量部からな
る高分子水溶液を調整した。大きさ1m角で3mm厚ソ
ーダライムガラスの基板外周に幅12mmでマスクし
て、高分子水溶液を1.1mm厚で塗布してから直径
1.1mmのスペーサーを散布、乾燥して個体膜とし
た。つぎに、注入孔を6mm幅で同じ辺に2ヶ所設けて
ブチルゴム系シーリング材/テイパ化工社のポットメル
トブチルPIB−521と対向基板をおいて145℃で
ホットプレスして幅約7mmの第1封止とした。注入孔
から85℃の純水を注入してから、5mm幅の最外周に
液状感光性接着剤/サンライズメイセイ社のホトボンド
#300を注入すると同時に孔部も満たしてから、紫外
線を照射して封止と封孔を同時におこない第2封止とし
た。その後、放置溶解して、図1で示した封止構造をも
つして無色透明で良好な高分子水溶液積層体をえた。
【0018】実施例2 実施例1と同様にして基板外周に幅15mmの封止部も
つ個体膜塗布の基板を作成した。つぎに、注入孔を6m
m幅で同じ辺に2ヶ所設けて実施例1のブチルゴム系シ
ーリング材と0.03mm厚のポリプロピレンからなる
チューブに水を入れた幅4mmで高さ0.9mmの水袋
とを各辺に置き、その上に対向基板をおいてホットプレ
スして幅約7mmの第1封止とした。注入孔を塞がない
ようにして、外周部に水袋を包含するように実施例1の
液状感光性接着剤を注入し、紫外線を照射して水袋をも
つ幅8mmの第2封止を形成した。そして、注入孔から
85℃の純水を注入してから、再度同じ液状感光性接着
剤で封孔処理をおこなった。その後、放置溶解して、図
3で示した封止構造をもつして無色透明で良好な高分子
水溶液積層体をえた。
【0019】実施例3 実施例2と同じ個体膜塗布の基板に注入孔を6mm幅で
同じ辺に2ヶ所設けて実施例1のブチルゴム系シーリン
グ材を2重にして内側シーリング材/空間/外側シーリ
ング材の各幅を3mm/4mm/4mmとして第1封止
とした。そして、注入孔を塞がないようにして、最外周
部の4mmに実施例1の液状感光性接着剤を注入し、紫
外線照射して第2封止を形成した。減圧脱気して85℃
の純水を基板内に注水するとともに第1段封止の空間に
も同時に注水して保水層5とした。つぎに、封止に使用
したものと同じ液状感光性接着剤で封孔処理をおこなっ
た。その後、放置溶解して、図4で示した封止構造をも
つ無色透明で良好な高分子水溶液積層体をえた。
【0020】実施例4 実施例1で使用したヒドロキシプロピルセルロースの水
溶液を塗布、乾燥して厚み0.5mmのヒドロキシプロ
ピルセルロース個体膜を30cm角、5mm厚基板の上
に形成した。外周部の個体膜を12mm幅でカット、剥
離除去した。そして、実施例1と同様にして封止、注
入、封孔をおこなった。その後、放置して室温で呈色を
示すライオトロピック型の高分子液晶である高分子水溶
液積層体をえた。
【0021】
【発明の効果】水を溶媒とする高分子水溶液2を少なく
とも一部が透明な基板で積層した高分子水溶液積層体の
外周部を封止して水の蒸発を防止する必要がある。この
ことは、水の蒸発による気泡の発生と濃度変化によるむ
らの発生を防ぐために非常に重要である。そこで、本発
明は、第1封止3にホットメルト型接着剤を第2封止4
に架橋反応型の液状接着剤を使用して多段に外周封止を
してなる高分子水溶液積層体の封止法により、さらには
保水層5を設けてより長期間、苛酷な条件でも高分子水
溶液から水の蒸発をを非常に小さくすることができた。
その結果、建築物、車両、広告装置等の苛酷な環境場で
の使用をも可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の封止法の実施例の断面図である。
【図2】比較のための従来の封止法の断面図である。
【図3】本発明の封止法の実施例の断面図である。
【図4】本発明の封止法の実施例のの断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 高分子水溶液 3 第1封止のホットメルト型接着剤 4 第2封止の固化した液状接着剤 5 水をもつ保水層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C03C 27/06 101 C03C 27/06 101F 101Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一部が透明で直視可能な基板
    を外周封止した積層体内で孔部より注入された水で水溶
    性高分子の個体を溶解してなる高分子水溶液積層体の封
    止法において、第1封止にホットメルト型接着剤を第2
    封止に架橋反応型の液状接着剤を使用して多段に外周封
    止をしてなる高分子水溶液積層体の封止法。
  2. 【請求項2】 第2封止の液状接着剤が感光性樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1の封止法。
  3. 【請求項3】 第1封止のホットメルト型接着剤を少な
    くとも2段にしてその間に水を注入して保水層を設けて
    なることを特徴とする請求項1または請求項2の封止
    法。
  4. 【請求項4】 第2封止の液状接着剤とともに保水層を
    設けてなることを特徴とする請求項1または請求項2の
    封止法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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