JPH09185401A - 適性化装置および適性化方法 - Google Patents
適性化装置および適性化方法Info
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Abstract
がりの範囲内に含まれ、かつ、ロバスト性の大きい適性
関数を得る。 【解決手段】 誤差等の広がりをもった入力により適性
領域(上限関数M+ (x)と下限関数M- (x) に挟まれた
領域)を設定する。この適性領域と未決定のパラメータ
を含む適性関数との間に不等式を立てる。適性関数のパ
ラメータ値に対し、適性領域の境界に対応したパラメー
タの解領域の境界からの距離を設定し、この距離が最大
であるパラメータ値を持つ適性関数f(x) を求める。破
線はロバスト性の小さい適性関数f’(x)を示し、実
線は本発明の適用によって得られた最大ロバストな適性
関数f(x)を示す。
Description
ィルタ等の設計に利用可能であり、その設計に用いられ
るロバスト性を持った関数を得る方法および装置に関す
る。
挙動の頑強性である。現実のシステムには様々な偏差が
介在するので、ロバスト性の保証は極めて重要な工学的
課題である。例えば、フィードバックループにある程度
の外乱が加わっても、その挙動がほとんど影響を受けな
いとき、このシステムはロバスト性を持つと言われる。
このような偏差としては外的なものだけでなく、部品の
経時変化等の内定なパラメータ値の変化も含まれる。
囲をあらかじめ与え、その範囲内に含まれる関数(これ
を適性関数という)を、パラメータをもつ関数の族とし
て求める適性化法を提案した(特開平7−226656
号公報参照)。この方法によれば広がりのある解領域が
得られ、この広がりを用いて、パラメータ値の変動等に
対しロバスト性をもつ関数族のパラメータ設計を行うこ
とができた。
よるパラメータ設計では、例えば目標関数を最小化する
ことにより、唯一の最適パラメータ値を求める。最適パ
ラメータ値は広がりを持たず唯一であるから、これに偏
差が加わった場合のシステムの挙動変化等に対し、定量
的なロバスト性を考慮した設計を行うことはできない。
パラメータ値に対応する適性関数を信号処理装置等に実
装するためには、パラメータの解領域から唯一のパラメ
ータを選び出す必要がある。しかし、上記適性化法にお
いては、ロバスト性を高めるための一般的な選択方法の
限定は、特になされていなかった。
はじめから解の1つのみを計算する場合もある。適性化
法の解は本質的には領域になるので、解を一意に求める
ために、付加的な条件によりどのような解を計算するか
選択しておく必要がある。しかし、従来、この一意化条
件としてロバスト性を高めるための条件は設定されてい
なかった。そのため、得られたパラメータは一般にロバ
スト性がなかった。
改良し、前記の解領域を求める場合及び解の一つを求め
る場合にロバスト性の高い解、すなわちロバスト安定な
物理システムを求めることを目的とする。
が加わったときに、このパラメータ値に対応する適性関
数の値が適性領域に留まり続ける場合、その偏差をこの
パラメータ値の許容偏差とよぶ。適性化方法においてロ
バストなパラメータとは、許容偏差が大きいパラメータ
値のことである。また最もロバストなパラメータとは、
許容偏差が最大であるパラメータ値のことである。
理的特性の許容範囲に対応した適性領域を設定する手段
と、この適性領域の範囲内に少なくとも近似的に含まれ
る適性関数を連立不等式を解くことにより求める適性関
数決定手段とを備え、前記適性関数決定手段は、前記適
性関数を、パラメータをもつ関数の族として設定し、適
性領域の境界に対応したパラメータの解領域の境界から
の距離を設定し、この距離をあらかじめ要求された度合
より大きくしまたは最大にする条件の下で連立不等式を
解くことにより、ロバストなパラメータ値を持つ適性関
数を求めることを特徴としている。
くとも物理的特性の許容範囲に対応した適性領域を設定
する第1のステップと、この適性領域の範囲内に少なく
とも近似的に含まれる適性関数を連立不等式を解くこと
により求める第2のステップとを備え、前記第2のステ
ップは、前記適性関数を、パラメータをもつ関数の族と
して設定し、このパラメータを連立不等式を解くことに
より求めるとともに、適性領域の境界に対応したパラメ
ータの解領域の境界からの距離が最大またはあらかじめ
要求された度合より値になるロバストなパラメータ値を
持つ適性関数を求めることを特徴としている。
求特性、要求形状、測定値、通信信号、パターン信号等
を意味している。また本明細書において「適性化」と
は、入力の広がりに対応した範囲(以下「適性領域」と
いう)内を少なくとも近似的に通る関数(以下「適性関
数」という)、より具体的にはこの適性関数のパラメー
タ値を導き出すことをいう。
される場合においても膨大な量の演算を行わなければな
らない。したがって手計算により求解することは不可能
であり、デジタルコンピュータ等を使用することにより
初めて実施可能となる。また適性化方法とは適性化を行
う方法であり、適性化装置とは適性化を実施するための
装置をいう。すなわち、適性化方法が実施されるデジタ
ルコンピュータ等をいう。
法を用いて説明する。適性化方法の代表的な一例は、パ
ラメータを含む適当な関数をf(x) と置き、多次元空間
上の範囲D内で、 M- (x) <f(x) <M+ (x) (∀x∈D) (1) を満たすパラメータ値を求める手法で表される。(1)
式を適性化の決定式と呼び、(1)式を満たすようなf
(x) を適性関数と呼ぶ。また適性関数f(x) の上限を制
約するM+ (x) を上限関数、下限を制約するM- (x) を
下限関数、上限関数M+ (x) と下限関数M- (x) により
制約される範囲全体を適性領域T(={(x, y)|x
∈D,M- (x) <y<M+ (x) })と呼ぶ。上限関数M
+ (x) 、下限関数M- (x) はそれぞれ+∞,−∞の値を
とってもよい。また、適性領域は、中心値とそこからの
許容幅により与えることもできる。
限個の不等式を全て満たすようなf(x) のパラメータの
存在する範囲を解領域と呼ぶ。この解領域は適性領域が
パラメータ空間に変換されたものである。したがって解
領域内の1点は、適性領域内に値をとる1つの適性関数
に対応している。
領域の境界に対応したパラメータの解領域の境界からの
距離を設定し、この距離が最大またはあらかじめ要求さ
れた度合より値になるロバストなパラメータ値を持つ適
性関数を選択する。
において、適性関数f(x) は単に実数値をとる関数だけ
でなく、汎関数、作用素等であってもよく、さら数列の
漸化式であってもよい。またDは離散的な点集合でも連
続的な範囲でもよく非連結であってもよい。
性化したい関数が複数存在してもよい。この場合、それ
ぞれの適性化したい関数に対して、異なる適性領域が存
在してもよい。
説明する。まず、実施形態1及び2により本発明の適性
化装置および適性化方法について説明し、実施形態3以
下により、この装置および方法の技術上および産業上の
様々なシステム等への応用について説明する。
て説明する。ここでは適性化方法におけるロバスト解、
すなわちロバストな適性関数の求解について、次の順に
説明する。 1.適性化方法問題の連立不等式への還元 2.ロバスト解の求解
て、各点列Pj =(xj , yj ) ( j = 1,2,...,n ) は
例えば入力データに基づいて生成される。適性関数を制
約するx軸上の範囲Dは{x1,x2,..., xn }とな
る。各点Pi の誤差等による広がりを考慮して、x=x
i において、この点Pi がとりうる上限値により上限関
数M+ ( xi ) が、また下限値により下限関数M- ( x
i )が定められる。このような設定が各点列Pi に対し
て行われる。すなわち、上限関数に対応する点列P+ 1
=(x1,y+ 1) ,P+ 2 =( x2,y+ 2), ..., P+
n=( xn , y+ n ) と、下限関数に対応する点列P-
1 =( x1,y- 1), P- 2=( x2 , y- 2), ...,
P- n =( xn , y- n ) が定められる。ただしy+ i
はM+ ( xi ) 、またy- i はM- ( xi ) である。こ
れらの点列全体により適性領域Tが定められる。
(2)式で表せると想定する。 f(x) =( a0 +a1 x) /( b0 +b1 x) (∀x∈D) (2) ここで、a0,a1,b0,b1 は実数のパラメータである。
(2)式を(1)式に代入するとともに、分母(b0 +
b1 xi )が正であるという条件の下で分母を払うと、
(1)式はこれと等価な連立不等式(3)、(4)、
(5)に変形される。 −a0 −a1 xi +b0 M+ ( xi ) +b1 xi M+ ( xi ) >0 (3) a0 +a1 xi −b0 M- ( xi ) −b1 xi M- ( xi ) >0 (4) b0 +b1 xi >0 (5)
トルの内積として表示するために、パラメータa0,a1,
b0,b1 の数に等しい次元である4次元のパラメータ空
間が設定される。このパラメータ空間内におけるベクト
ルX、η+ ( xi ),η- ( xi ) およびη0(xi ) を以
下の式のように置く。 X=( a0,a1,b0,b1) (6) η+ ( xi ) =( −1, −xi , M+ ( xi ),xi M+ ( xi )) (7) η- ( xi ) =( 1, xi , −M- ( xi ),−xi M- ( xi )) (8) η0 ( xi ) =( 0, 0, 1, xi ) (9) Xはパラメータベクトル、η+ ( xi ) (以下「上限ベ
クトル」と呼ぶ)は上限関数M+ ( xi ) による制限を
表すベクトル、η- ( xi ) (以下「下限ベクトル」と
呼ぶ)は下限関数M- ( xi ) による制限を表すベクト
ル、またη0 ( xi ) は(2)式が発散しないために必
要な条件を表すベクトルである。
(4)および(5)により表される適性化方法の決定式
は、それぞれパラメータベクトルXとの内積で表わされ
る下記の不等式(10)、(11)および(12)とな
る。 ( X,η+ ( xi ))>0 (10) ( X,η- ( xi ))>0 (11) ( X,η0 ( xi ))>0 (12)
び(12)が範囲D上の入力点列Pi に対してそれぞれ
与えられているから、適性関数を求める問題が有限個の
連立不等式で表され、実際に解を求めることができる。
例えば点列Pi の数nが500である場合、不等式(1
0)、(11)および(12)の数はそれぞれ500で
ある。
個の不等式(10)、(11)および(12)を連立さ
せてパラメータベクトルXについて解いたとき、パラメ
ータベクトルXの存在する領域が解領域Sである。この
解領域Sは一般に凸錐になり、下式(13)で表され
る。 S={s1 X1 +s2 X2 +・・・+sm Xm |s1,s2,..., sm >0} (13) X1 =( a10, a11, b10, b11),X2 =( a20,
a21, b20, b21),...,Xm =( am0, am1, bm0,
bm1) の各ベクトルは、この解領域Sの頂点を表して
いる。解領域S内部の1点XS =(aS0, aS1, bS0,
bS1) により定められる適性関数f(x) は、必ず適性領
域T内に値をとる。
在判定と最大ロバスト解XSの求解の一例を次に示す。
ここで説明を簡略化するために、上述した不等式(1
0)、(11)、(12)に用いられるη+ ( xi ),η
- ( xi ),η0 (xi ) の全てのベクトルに対応するベ
クトルをηj ( j = 1,2,...,3n )で表す。これにより不
等式(10)、(11)、(12)は、これと等価な下
記の不等式(14)で表される。 ( X, ηj ) >0 ( j = 1,2,...,3n ) (14) ここで ηi =η+ ( xi ) ( i = 1,2,...,n ) (15) ηi+n =η- ( xi ) (16) ηi+2n=η0(xi ) (17) と置いた。またηj の成分による表示を( ηj0, ηj1,
ηj2, ηj3) とする。
トルXをα倍しても下記の不等式(18)が成り立つ。 ( αX, ηj ) =α( X, ηj ) >0 (18) そこでXを(1/a0)倍し、 X”=(1/a0)X=( 1, a1 /a0,b0 /a0,b1
/a0) とおいても一般性を失わない。すると4次元のベクトル
の内積で表されている上式(14)は、3次元のベクト
ルX', η' j の内積で表される下記の不等式(19)
に還元される。 0<( X”, ηj ) =ηj0+( X',η' j ) (19) ここで各X',η' j を X' =( X' (1) , X' (2) , X' (3) ) =( a1 /a0,b0 /a0,b1 /a0) η' j =( ηj1, ηj2, ηj3 ) とおいた。
0)で表される。 S' ={s1 X'1+s2 X'2+・・・+sm X' m |s1,s2,..., sm >0、s1 +s2 +・・・+sm =1} (20) 各X'k ( k = 1,2,...,m )はそれぞれ解領域S' の頂
点を表す3次元のベクトルである。
つ求める。そのため、まず解領域の境界からの距離を設
定する。j を1つに固定すると、(19)式は、幾何学
的にはR3(実数3成分で成る直交座標系)の平面Hj, Hj:ηj0+(X’,η’j)=0 (21) を境界とする半空間Sjを表す。η’jはHjの法線方向
ベクトルであり、SjはHjのηj方向側に存在する。
(19)式の不等式がすべてのj について成立する領域
がR3空間における解領域S’であるから、S’は、各
半空間の共通部分S1∩S2∩…であり、その境界は
H1,H2,…の部分により構成される。
jの内部にあり、Hjからの距離がyjであるとすれば、 yj|η’j|=ηj0+(X’,η’j) (22) (|η’j|=(ηj1 2+ηj2 2+ηj3 2)1/2 が成り立つ。整理のため(22)式全体を|η’j|で
割り、ξj0=ηj0/|η’j|,ξ’j=η’j/|η’j
|とおけば、(22)式は yj=ξj0+(X’,ξ’j) (23) と表される。この様子を図に表現すれば図2のようにな
る(図では簡単のためξj3=0の場合を示す)。図2に
示すように、Hjより右側の領域がSjであり、Hjと平
行な破線上にX’が存在する。
のであるが、j の全体を考えた場合、ベクトルX’の解
領域S’の境界からの距離yを y=min(y1,y2,…) (24) で定義することができる。これはX’がS’の境界を構
成するどのHj からも少なくとも距離y以上離れている
ことを意味する。逆に、どのHjもX’から距離y以上
離れているならy≦yjが成り立ち、(23)式より、 y≦ξj0+(X’,ξ’j) (j =1,2,…) (25) が成り立つ。
あるから解領域S’の境界から最も離れた解である。
(25)式のyは境界からの距離の下限であるからyを
最大化するX’は境界から最も離れていることになる。
したがって、最大ロバスト解の求解は(25)式の制約
条件下で目標値yを最大化する1つのX’を求める線形
計画法の問題に還元された。
ySは、X’Sを中心とし半径ySをもつ解の部分的な範
囲を表す。このySは解のロバスト性を定量的に表して
いる(以下このySを「ロバスト半径」と呼ぶ)。
に、例えば、 y≦ηj0+(X’,η’j) (j =1,2,…) という制約条件を持つ線形計画法問題が利用されてい
る。すなわち、y>0の条件でyを最大にするX’を求
めるわけである。しかしながら、この場合、yは境界か
らの距離という意味は持たず、単に連立不等式の解の1
つを得るための技巧的な目標値として導入されたに過ぎ
ない。したがって、ロバスト解を得ることは一般に不可
能である。
た解との比較を図3に示す。図3において、説明の簡単
のため、S’を2次元的に表す。X’0は従来の方法で
求めた解であり、パラメータ値のわずかな変動で解領域
S’の外に出る可能性がある。一方、X’Sは最大ロバ
スト解であり、これに変動が加わったとしても、その大
きさがロバスト半径yS以下であれば、解はS’の内部
に留まり続ける。
を求めたが、あらかじめ要求された度合以上のロバスト
性を持つ一つまたは複数の解を(それらが存在する場合
に)得ることもできる。例えば、ロバスト性の相対的な
度合いa(0<a<1)を設定し、最大ロバスト解X’
Sを中心とするロバスト半径より小さな半径yS×aを持
つ近傍を取り出すことにより、yS×(1−a)程度の
ロバスト性を持つ解領域が得られる。
定し、ロバスト性がy0以上という条件 y0≦y と(25)式を連立させた不等式を解くという、yの最
大化条件を用いない適性化問題を考えることもできる。
この場合、y0よりロバスト性の高い解領域を得ること
ができる。なお、上記a,y0は対象システムのパラメ
ータ変動の度合に応じて決めればよい。
トな解X’S=(X’S1,X’S2,X’S3)からパラメ
ータベクトル XS=(α,αX’S1,αX’S2,αX’S3)(α>
0) を作り、(2)式に代入すれば、最もロバストな適性関
数の1つが得られる。
関数が求まる、 そのロバスト性の度合が定量的に与えられる、という
効果が得られる。
て解領域S’が存在しない、またはyS≦0であると
き、もとの適性化法問題の解領域Sは存在しない。この
線形計画法問題の可能解の存在問題を解くことにより適
性関数の存在判定ができる。
の定式化は一例に過ぎず、例えば対称正値行列(計量行
列)gkl(k,l=1,2,3)を用いてパラメータ空間におけ
るベクトルYの”長さ”‖Y‖を ‖Y‖=(ΣgklYkYl)1/2 で定め(Σはk,lについて1から3までの和)、この計
量の意味で境界HjからX’までの距離yjを(22)式
の代りに次式で定めることもできる。 yj=(ξj0+(X’,ξ’j))/‖ξ’j‖ (26) 以下(26)式と同様に、制約条件 y≦(ξj0+(X’,ξ’j))/‖ξ’j‖ (27) の下で、yを最大化するX’を求めれば、gklの定める
重み付きの距離の意味で最もロバストな解が得られる。
例えば、パラメータのX’1成分の方がX’2成分より変
動しやすい場合等、パラメータの変動に差がある場合
に、このような距離の導入が有効である。
D上の線形独立な2つの関数の組(p0(x), p1(x),
..., pM (x)),(q0(x), q1(x), ..., q
N (x))の線形結合の比からなる次の有理関数 f(x) =( a0 p0(x)+a1 p1(x)+・・・+aM pM
(x))/( b0 q0(x)+b1 q1(x)+・・・+bN q
N (x)) に一般化した場合に対して、上記「1適性化方法問題の
連立不等式への還元」および「2.最大ロバスト解の求
解」の各項の手法を拡張することは容易である。ここで
a0,a1,..., aM , b0,b1,..., bN は実数の
パラメータ、xはn次元のベクトル、各関数p0(x), p
1(x), ..., pM (x),q0(x), q1(x),..., q
N (x) はD上の区分的連続関数であり、例えばxn , co
s x, ex および階段関数等である。
により表される適性化問題において最大ロバストな解を
求めた。パラメータに関して非線形な一般の適性化問題
においても、適当な境界からの距離を設定し、この距離
に関する非線形の最適化問題を立てることができる場合
がある。この場合にも、この最適化問題を解くことによ
り最大ロバスト解が得られる。
ついて説明する。この例ではパラメータの解領域または
その一部分が既に(20)式のように表されている場合
に、その中から最もロバストな解を選択する方法を示
す。説明の簡単化のため(20)式のS’をもとの解領
域とするが、より高次元の場合も同様な処理が可能であ
る。
の境界は一般に図4に示すように三角形Δjの貼り合せ
により構成されているとしてよい。各Δjの頂点のベク
トルX’a(j),X’b(j),X’c(j)に基づいて、三角形
Δjと直交するベクトルη’j(≠0)を計算する。すな
わち、 (η’j,X’b(j)−X’a(j))=(η’j,X’c(j)−X’a(j))=0 を満たし、解領域S’の方向のベクトルη’jを計算す
る。
Hjまでの距離をyjとすれば yj|η’j|=−(η’j,X’a(j))+(X’,η’j)(28) が成り立つ。(28)式において、 ηj0=−(η’j,X’a(j)) とおけば、(28)式は(22)式と同じになり、それ
以後は、実施形態1の「2.最大ロバスト解の求解」の
項と同様の手法によって最大ロバスト解を求めることが
できる。
パラメータ解領域が与えられている場合に、解領域の中
から最大ロバスト解を選択することができるという効果
が得られる。さらに、この方法によれば、解領域の中か
ら、ロバスト性を変えて(距離関数を変える等)最大ロ
バスト解を求めることが簡単にできるという効果が得ら
れる。
て、最大ロバスト解を求める適性化方法を実施する装置
の概略構成を示している。この装置11は、例えばデジ
タルコンピュータであり、記憶装置12、演算装置1
3、入力装置14、出力装置15および制御装置16を
有しており、これらはバスライン17、18によって相
互に接続されている。記憶装置12は、上限関数M
+ (x) を記憶する領域すなわち上限関数記憶部21と、
下限関数M- (x) を記憶する領域すなわち下限関数記憶
部22と、解領域の境界からの距離を設定するプログラ
ムを格納する領域すなわち境界距離設定プログラム部2
3と、境界距離を最大化する解を求めるプログラムを格
納する領域すなわち境界距離最大化プログラム部24
と、OS等の制御プログラムを格納する領域すなわち制
御プログラム部25とを備えている。演算装置13はC
PU等である。入力装置14は例えばキーボード、マウ
ス、数値ファイル、デジタイザあるいはライトペンであ
る。出力装置15は例えばディスプレイ、数値ファイ
ル、プロッタまたはプリンタである。制御装置16はプ
ログラムを実行するための各装置を制御する。
面上に表示されるデータの例を示している。入力装置1
4を介して与えられた点列に基づいて、上限関数M
+ (x)と下限関数M- (x) を設定する。適性化方法によ
って求められる適性関数f(x)は、分母分子がそれぞれ
4次の多項式で表される有理関数(29)式で表され
る。 f( x )=( A0 +A1 x+A2 x2 +A3 x3 +A4 x4) /( B0 +B1 x+B2 x2 +B3 x3 +B4 x4) (29) ここでA0,A1,A2,A3,A4,B0,B1,B2,B3,B4 は、
実数のパラメータである。
性関数f’(x)を示し、実線は本発明の適用によって
得られた最大ロバストな適性関数f(x)を示す。ま
た、このように適性関するのロバスト性は一般に滑らか
な適性関数を与えるという効果をもたらす。
ィルタの2乗振幅特性を示している。これについては、
実施形態5において詳述する。
れば、実施形態1と同様の効果が得られる。また本実施
形態の適性化装置は、適性領域の上限関数と下限関数を
画面上に視覚的に表示するとともに、表示された適性領
域上に最大ロバストな適性関数f(x)を重ねて表示す
る構成を有している。したがって入力の広がりと適性関
数との対応関係が視覚的に直接理解できるだけでなく、
従来必要であった適性関数を選択する手間を省くことが
できる。そこで、例えば、この装置を対話型設計システ
ムに応用した場合、利用者は対象システムに対する詳細
な知識が無くとも、単に設計結果を視覚的に判断し、仕
様の変更等を視覚的に指示するのみで、効率良く、工学
的安定性の保証された設計結果を得られるという効果が
ある。
求されたロバスト性を持つ最小次数の適性関数を得るた
めの手順を示す。
もつ適性関数は(ある程度の次数までは)そのロバスト
性も一般に大きい。そこで、適性関数の次数を変化させ
ながら要求されたロバスト性を持つ適性関数の存在判定
を行うことにより、そのロバスト性をもつ最小次数の適
性関数を得ることができる。ロバスト性は例えばロバス
ト半径で表され、適当な入力手段(図5の入力装置14
等)によって設定される。
トに示す。まず、ステップ1において上限関数と下限と
を入力する。ステップ2では次数Nの初期値を1に設定
する。ステップ3では例えば(25)式と同様に境界か
らの距離関数を用いてロバスト性の最大化問題を設定し
これを求解する。ステップ4では制約条件を満たす解が
存在しない場合はステップ7へ進み、存在する場合はス
テップ5へ進む。ステップ5では、得られた解のロバス
ト半径があらかじめ要求されたロバスト半径r0より小
さい場合はステップステップ7へ進み、大きい場合はス
テップ6へ進む。ステップ6では要求されたロバスト性
を持つパラメータの値とそのロバスト半径を出力し、最
大ロバストな適性関数のグラフを画面に描画し終了す
る。
求されたロバスト性を満足していないので、適性関数の
次数Nを1増やす。ステップ8では設定された次数が実
現可能な最大次数Nmaxを越えた場合はステップ9へ進
み、それ以外の場合はステップ3へ戻り再び最大ロバス
トな解を探す。ステップ9ではメッセージ例えば「Nma
x以下の次数では要求されたロバスト性を持つ解は存在
しない。」を表示し終了する。
分法等のアルゴリズムの利用により、高速化することも
可能である。
ゆる範囲、すなわち周波数領域におけるデジタルシステ
ムやアナログシステムの伝達関数、非線形要素や時変要
素を含む時間領域における漸化式や微分方程式等で表さ
れる工学的システムに適用できる。システム設計だけで
なく、システム同定等への利用も可能である。
最大のロバスト性を持つ適性関数が得られるという本発
明の効果は同一であり、その効果がそれぞれの領域や目
的に応じて異なる意義を持つに過ぎない。そこで、以下
においては、典型的な適用例である周波数領域における
デジタルフィルタの振幅特性設計方法(実施形態5)と
時間領域におけるシステム同定(実施形態6)の二つを
取り上げ、本発明の適用例を説明する。
性領域の与え方を公知技術を用いて整合させるだけで、
様々な工学的システム(たとえば、直線位相フィルタ、
オールパスフィルタ、アナログシステム、情報圧縮シス
テム等を含む他の物理システム及び信号処理システム
等)に対しても容易に適用できる。すなわち、適性領域
の与え方については、「直線位相フィルタ」については
特開平7−226656号公報の段落0093に、「オ
ールパスフィルタ」については同段落0094ないし0
098に、「アナログシステム」については同段落00
99ないし0109に、「情報圧縮システム」について
は同段落0110ないし0125に、それぞれ記載され
ている。
ィルタの周波数−振幅特性から伝達関数を設計する。時
間領域での同定は続く実施形態6で取り上げる。簡単の
ためサンプリング周期Tは1に規格化しておく。位相特
性は無視して振幅特性のみを指定して設計する。特性を
要求する範囲D0 を D0 ={0≦ω≦π} とおく。伝達関数の次数は任意に設定できるが、以下分
子、分母とも4次式の場合について説明する。
(z) とおく。(30)式はIIRフィルタの伝達関数を
示しているが、FIRフィルタの場合はQ(z) =b0 と
おけばよい。
すことにする。フィルタの2乗振幅特性は、H(z) 式に
z=ejwを代入して、次式のようにH( ejw) H* ( e
jw)で定義される( * は複素共役を表わす) 。 H( ejw) H* ( ejw )=H( ejw) H( e-jw ) =( A0 + A1cosω+ A2cos2 ω+ A3cos3 ω+ A4cos4 ω) /( B0 + B1cosω+ B2cos2 ω+ B3cos3 ω+ B4cos4 ω) 2乗振幅特性は上式のようにcos ωの関数として表わさ
れる。この分子、分母をそれぞれp(cosω),q(cosω)
、またf(cosω) =p(cosω) /q(cosω) とおく。
A0 , A1 , A2 , A3 , A4 はそれぞれa0 , a1 ,
a2 , a3 , a4 の2次多項式として表わされ、B0 ,
B1 , B2 , B3 , B4 はそれぞれb0 , b1,b2 , b
3 , b4 の2次多項式として表わされる。なお、ここで
は cosk ωを基底関数として説明するが、基底関数はこ
のとり方に限定されるわけではなく、例えば cos kω
( k = 0,1,...,4 )を基底関数としてD0 上での適性化
を行うこともできる。
わす上限関数M+ (cosω) 、下限関数M- (cosω) を与
える。D0 上でcos ωは1から−1の値をとるから、x
=cos ω、D={−1≦x ≦1}とおいて、次の決定式
によって適性化を行う。 M+ (x) <f(x) =p(x) /q(x) <M- (x) (x∈D) 0<q(x) (x∈D) ここでq(x) が正という条件はフィルタが安定するため
に必要な条件である。上式から、既に説明した最大ロバ
スト解を求める適性化の手法によって、f(x) のパラメ
ータA0 , A1 , A2 , A3 , A4 およびB0 , B1 ,
B2 , B3 , B4を求める。こうして得られた2乗振幅
特性p(x) /q(x) から対応する伝達関数P(z) /Q
(z) は適当な因数分解により得られる。
開平7−226656号公報の段落0048ないし00
72参照)を用いることにより、精度の高いまたはロバ
スト性の大きい適性領域を与えることもできる。本実施
形態は対象システムの測定から得られた周波数特性を適
性領域とすることにより、そのシステムを同定する目的
にも利用できる。
伝達関数のパラメータに、ロバスト半径程度の変動が加
わっても、フィルタの周波数特性は適性領域に留まり続
ける。このことはデジタルフィルタにおいて、例えば係
数量子化や信号量子化による誤差の効果が、このロバス
ト半径より小さければ、その周波数特性は仕様の許容範
囲内に納まるということを意味する。そこで固定小数点
デジタルフィルタの設計において、例えば実施形態4の
手順を用いてロバスト半径を量子化誤差よりも大きく要
求することにより、係数量子化や信号量子化による特性
劣化を受けない最小次数の伝達関数の設計を行うことが
できる。
用し、各部品の値の経時的または温度的偏差よりもロバ
スト半径を大きく要求することにより、これらの偏差に
よる特性劣化を防ぐことができる。
おけるシステムの同定方法を示す。図8に示すように、
対象システム102が信号源101からの信号xを受け
信号yを応答する場合、このx,yを用いて、同定装置
103よって対象システム102を同定するモデルを推
定する。信号x,yは離散化されていて、n番目の信号
はそれぞれ、xn,ynで表されるものとする。対象シス
テム102は適当な関数fiを用いて 、 Sy=Σaifi(y’n,x’n) とおいたとき、Sy=0で近似的に表されると仮定し
て、パラメータaiを同定する。ここでΣはiについて
0からLまでの和を意味し、y’n,x’nはそれぞれ y’n=(yn,yn-1,…,yn-M) x’n=(xn,xn-1,…,xn-M) とした。f0,f1,…,fLは線形独立な関数の組であ
る。fi(y’n,x’n)は引き数y’n,x’nに関し
線形であってもよく,nに依存しても(時変的でも)よ
い。
…,fL(y’n,x’n)) とおき、Syの許容可能な誤差の下限をM-(n)、上限
をM+(n)で表す。このM-(n),M+(n)は、例
えば測定誤差等により決まる。このとき適性化の決定式 M-(n)<Sy(X’,y’n,x’n)<M+(n)
(n=0,1,…) は M-(n)<Sy(X’,ηn)<M+(n) となり、適当な移項により(19)式と同様なX’につ
いての連立不等式に還元できる。以下実施形態1と同様
な方法で最もロバストなパラメータX’Sを得ることが
できる。
はない。またこの同定は対象システムの1種類の信号に
対する応答だけでなく、異なる信号に対する応答全体に
行ってもよい。適性化に上述した生成凸包体を用いるこ
とにより、測定誤差やノイズ等に対するロバスト性の大
きい適性領域を与えることも可能である。またアナログ
システムの同定における量子化誤差を生成凸包体に吸収
させることもできる。さらに本実施形態は、希望する時
間的挙動を適性領域とすることにより、時間領域でシス
テムを設計する目的にも利用可能である。
同定パラメータに、ロバスト半径程度の変動が加わって
も、モデルの挙動は適性領域に留まり続ける。この同定
結果は対象システムを表すモデルの内で、パラメータの
変動に対し最も安定なものである。そこで、例えばモデ
ルの次数を問題にせず、固定小数点デジタルフィルタで
対象システムを単にモデル化したい場合、前実施形態と
同様にロバスト半径を量子化誤差より大きく要求するこ
とにより、係数量子化や信号量子化による特性劣化を受
けないモデル構成を行うことができる。
の下限を表す。すなわち、同定結果は少なくともこの半
径より大きな広がりを持っている。したがって、ロバス
ト半径は同定精度の評価に利用できる。各パラメータの
最大、最小値を求める等して、解領域全体を含む凸包体
を構成することにより、同定結果の広がりの上限を得る
ことも可能である。
適正化方法によれば、物理的システムの構造、形状、シ
ステム同定、グラフ表示、データ補間、信号予測モデ
ル、パターン認識等、産業上利用しうる種々の問題にお
いて、従来困難であった広がりをもった入力等を取扱う
ことができるとともに、適性関数のパラメータ値のう
ち、ロバスト性の大きいものを導出し、偏差に対して強
いロバスト性を有するシステムを構築することができ
る、という効果が得られる。
び適性関数を示す図である。
説明する図である。
較説明した図である。
ある。
る出力画面の図である。
ャートである。
る。
Claims (8)
- 【請求項1】 少なくとも物理的特性の許容範囲に対応
した適性領域を設定する手段と、この適性領域の範囲内
に少なくとも近似的に含まれる適性関数を連立不等式を
解くことにより求める適性関数決定手段とを備え、前記
適性関数決定手段は、前記適性関数を、パラメータをも
つ関数の族として設定し、適性領域の境界に対応したパ
ラメータの解領域の境界からの距離を設定し、この距離
をあらかじめ要求された度合より大きくしまたは最大に
する条件の下で連立不等式を解くことにより、ロバスト
なパラメータ値を持つ適性関数を求めることを特徴とす
る適性化装置。 - 【請求項2】 前記パラメータの解領域の境界から前記
ロバストなパラメータ値までの距離を少なくとも近似的
に求める手段を有する請求項1に記載の適性化装置。 - 【請求項3】 前記適性関数が工学的システムの伝達関
数である請求項1または2に記載の適性化装置。 - 【請求項4】 前記適性関数が工学的システムの漸化式
である請求項1または2に記載の適性化装置。 - 【請求項5】 少なくとも物理的特性の許容範囲に対応
した適性領域を設定する手段と、この適性領域の範囲内
に少なくとも近似的に含まれる適性関数を連立不等式を
解くことにより求める適性関数決定手段と、前記適性領
域を視覚的に表示する適性領域表示手段と、この適性領
域表示手段によって表示された適性領域上に前記適性関
数を重ねて表示する適性関数表示手段とを備え、前記適
性関数決定手段は、前記適性関数を、パラメータをもつ
関数の族として設定し、適性領域の境界に対応したパラ
メータの解領域の境界からの距離を設定し、この距離を
あらかじめ要求された度合より大きくしまたは最大にす
る条件の下で連立不等式を解くことにより、ロバストな
パラメータ値を持つ適性関数を求めることを特徴とする
適性化装置。 - 【請求項6】 少なくとも物理的特性の許容範囲に対応
した適性領域の範囲内に少なくとも近似的に含まれる関
数であって、パラメータをもつ関数の族としての求めら
れた適性関数の族を入力とし、前記適性領域の境界に対
応したパラメータの解領域の境界からの距離を設定し、
この距離をあらかじめ要求された度合より大きくしまた
は最大にする条件を用いてロバストなパラメータ値を持
つ適性関数を選択することを特徴とする適性関数の選択
装置。 - 【請求項7】 少なくとも物理的特性の許容範囲に対応
した適性領域を設定する手段と、この適性領域の範囲内
に少なくとも近似的に含まれる適性関数を連立不等式を
解くことにより求める適性関数決定手段とを備え、前記
適性関数決定手段は、前記適性関数を、パラメータをも
つ関数の族として設定し、前記適性関数の中からロバス
トなパラメータ値を求めることを特徴とする適性化装
置。 - 【請求項8】 少なくとも物理的特性の許容範囲に対応
した適性領域を設定する第1のステップと、この適性領
域の範囲内に少なくとも近似的に含まれる適性関数を連
立不等式を解くことにより求める第2のステップとを備
え、前記第2のステップは、前記適性関数を、パラメー
タをもつ関数の族として設定し、適性領域の境界に対応
したパラメータの解領域の境界からの距離を設定し、こ
の距離をあらかじめ要求された度合より大きくしまたは
最大にする条件の下で連立不等式を解くことにより、ロ
バストなパラメータ値を持つ適性関数を求めることを特
徴とする適性化方法。
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