JP3174223B2 - フィルタの設計方法およびフィルタ - Google Patents
フィルタの設計方法およびフィルタInfo
- Publication number
- JP3174223B2 JP3174223B2 JP23939494A JP23939494A JP3174223B2 JP 3174223 B2 JP3174223 B2 JP 3174223B2 JP 23939494 A JP23939494 A JP 23939494A JP 23939494 A JP23939494 A JP 23939494A JP 3174223 B2 JP3174223 B2 JP 3174223B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- function
- aptitude
- characteristic
- filter
- suitability
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H03—ELECTRONIC CIRCUITRY
- H03H—IMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
- H03H17/00—Networks using digital techniques
- H03H17/02—Frequency selective networks
-
- G—PHYSICS
- G06—COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
- G06F—ELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
- G06F17/00—Digital computing or data processing equipment or methods, specially adapted for specific functions
- G06F17/10—Complex mathematical operations
-
- G—PHYSICS
- G06—COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
- G06F—ELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
- G06F17/00—Digital computing or data processing equipment or methods, specially adapted for specific functions
- G06F17/10—Complex mathematical operations
- G06F17/17—Function evaluation by approximation methods, e.g. inter- or extrapolation, smoothing, least mean square method
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Mathematical Physics (AREA)
- Theoretical Computer Science (AREA)
- Data Mining & Analysis (AREA)
- Mathematical Optimization (AREA)
- Pure & Applied Mathematics (AREA)
- Mathematical Analysis (AREA)
- Computational Mathematics (AREA)
- Algebra (AREA)
- Databases & Information Systems (AREA)
- Software Systems (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Computer Hardware Design (AREA)
- Complex Calculations (AREA)
- Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
- Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばデジタルフィル
タの設計に利用可能であり、その設計に用いられる適合
性のある関数を得る方法および装置に関する。
タの設計に利用可能であり、その設計に用いられる適合
性のある関数を得る方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば従来のデジタルフィルタの設計で
は、フィルタの振幅特性を表す曲線を最適化法によって
近似し、その近似曲線に基づいて伝達関数を計算してい
た。最適化法の一例としては、理想特性を表す点列を用
意し、これを近似するための複数のパラメータを含む関
数を設定し、この関数と点列との距離を求め、この距離
を2乗したものの総和が極小になるようにパラメータを
決定することにより、所望の近似曲線を得る方法が知ら
れている。
は、フィルタの振幅特性を表す曲線を最適化法によって
近似し、その近似曲線に基づいて伝達関数を計算してい
た。最適化法の一例としては、理想特性を表す点列を用
意し、これを近似するための複数のパラメータを含む関
数を設定し、この関数と点列との距離を求め、この距離
を2乗したものの総和が極小になるようにパラメータを
決定することにより、所望の近似曲線を得る方法が知ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の手法は、入力データを幅のない確定した点列
として表し、この入力データと目標関数との距離を計算
するだけであり、入力データが誤差等によりある程度広
がりをもっている場合、この広がりを扱うことができな
かった。
うな従来の手法は、入力データを幅のない確定した点列
として表し、この入力データと目標関数との距離を計算
するだけであり、入力データが誤差等によりある程度広
がりをもっている場合、この広がりを扱うことができな
かった。
【0004】本発明は以上の課題を解決するものであ
り、物理的システムの構造、形状、システム同定、グラ
フ表示、データ補間、信号予測モデル、パターン認識
等、産業上利用しうる種々の問題において、従来困難で
あった広がりをもった入力データ等を取扱うことができ
る適性化装置および適性化方法を提供することを目的と
している。
り、物理的システムの構造、形状、システム同定、グラ
フ表示、データ補間、信号予測モデル、パターン認識
等、産業上利用しうる種々の問題において、従来困難で
あった広がりをもった入力データ等を取扱うことができ
る適性化装置および適性化方法を提供することを目的と
している。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る適性化装置
は、少なくとも物理的特性の許容範囲に対応した適性領
域を設定する手段と、この適性領域の範囲内に少なくと
も近似的に含まれる適性関数を連立不等式を解くことに
より求める適性関数決定手段とを備え、適性関数決定手
段は適性関数を、パラメータをもつ関数の族として設定
するとともに、このパラメータを連立不等式を解くこと
により求めることを特徴としている。また本発明に係る
適性化方法は、少なくとも物理的特性の許容範囲に対応
した適性領域を設定する第1のステップと、この適性領
域の範囲内に少なくとも近似的に含まれる適性関数を連
立不等式を解くことにより求める第2のステップとを備
え、第2のステップは適性関数を、パラメータをもつ関
数の族として設定するとともに、このパラメータを連立
不等式を解くことにより求めることを特徴としている。
は、少なくとも物理的特性の許容範囲に対応した適性領
域を設定する手段と、この適性領域の範囲内に少なくと
も近似的に含まれる適性関数を連立不等式を解くことに
より求める適性関数決定手段とを備え、適性関数決定手
段は適性関数を、パラメータをもつ関数の族として設定
するとともに、このパラメータを連立不等式を解くこと
により求めることを特徴としている。また本発明に係る
適性化方法は、少なくとも物理的特性の許容範囲に対応
した適性領域を設定する第1のステップと、この適性領
域の範囲内に少なくとも近似的に含まれる適性関数を連
立不等式を解くことにより求める第2のステップとを備
え、第2のステップは適性関数を、パラメータをもつ関
数の族として設定するとともに、このパラメータを連立
不等式を解くことにより求めることを特徴としている。
【0006】本明細書において物理的特性とは、要求特
性、要求形状、測定値、通信信号、パターン信号等を意
味している。また本明細書において適性化方法とは、入
力の広がりに対応した範囲(以下、適性領域と呼ぶ)内
を少なくとも近似的に通る関数(以下、適性関数と呼
ぶ)、より具体的にはこの適性関数のパラメータ値を導
き出す方法をいう。
性、要求形状、測定値、通信信号、パターン信号等を意
味している。また本明細書において適性化方法とは、入
力の広がりに対応した範囲(以下、適性領域と呼ぶ)内
を少なくとも近似的に通る関数(以下、適性関数と呼
ぶ)、より具体的にはこの適性関数のパラメータ値を導
き出す方法をいう。
【0007】この適性化方法は、適性関数が単純な形で
表される場合においても膨大な量の演算を行わなければ
ならない。したがって手計算により求解することは不可
能であり、デジタルコンピュータ等を使用することによ
り初めて実施可能となる。また適性化装置とは、適性化
方法を実施するための装置をいう。すなわち、適性化方
法が実施されるデジタルコンピュータ等をいう。
表される場合においても膨大な量の演算を行わなければ
ならない。したがって手計算により求解することは不可
能であり、デジタルコンピュータ等を使用することによ
り初めて実施可能となる。また適性化装置とは、適性化
方法を実施するための装置をいう。すなわち、適性化方
法が実施されるデジタルコンピュータ等をいう。
【0008】以下、典型的な適性化方法をベクトル表記
法を用いて説明する。適性化方法の代表的な一例は、パ
ラメータを含む適当な関数をf(x) と置き、多次元空間
上の範囲D内で、 M- (x) <f(x) <M+ (x) (∀x∈D) (1) を満たすパラメータ値を求める手法で表される。(1)
式を適性化の決定式と呼び、(1)式を満たすようなf
(x) を適性関数と呼ぶ。また適性関数f(x) の上限を制
約するM+ (x) を上限関数、下限を制約するM- (x) を
下限関数、上限関数M+ (x) と下限関数M- (x) により
制約される範囲全体を適性領域T(={(x, y)|x
∈D,M- (x) <y<M+ (x) })と呼ぶ。上限関数M
+ (x) 、下限関数M- (x) はそれぞれ+∞,−∞の値を
とってもよい。
法を用いて説明する。適性化方法の代表的な一例は、パ
ラメータを含む適当な関数をf(x) と置き、多次元空間
上の範囲D内で、 M- (x) <f(x) <M+ (x) (∀x∈D) (1) を満たすパラメータ値を求める手法で表される。(1)
式を適性化の決定式と呼び、(1)式を満たすようなf
(x) を適性関数と呼ぶ。また適性関数f(x) の上限を制
約するM+ (x) を上限関数、下限を制約するM- (x) を
下限関数、上限関数M+ (x) と下限関数M- (x) により
制約される範囲全体を適性領域T(={(x, y)|x
∈D,M- (x) <y<M+ (x) })と呼ぶ。上限関数M
+ (x) 、下限関数M- (x) はそれぞれ+∞,−∞の値を
とってもよい。
【0009】(1)式を有限個の不等式で表し、この有
限個の不等式を全て満たすようなf(x) のパラメータの
存在する範囲を解領域と呼ぶ。この解領域は適性領域が
パラメータ空間に変換されたものである。したがって解
領域内の1点は、適性領域内に値をとる1つの適性関数
に対応している。
限個の不等式を全て満たすようなf(x) のパラメータの
存在する範囲を解領域と呼ぶ。この解領域は適性領域が
パラメータ空間に変換されたものである。したがって解
領域内の1点は、適性領域内に値をとる1つの適性関数
に対応している。
【0010】なお本発明の適性化装置および適性化方法
において、適性関数f(x) は単に実数値をとる関数だけ
でなく、汎関数、作用素等であってもよく、さらに実施
例7で示すように数列の漸化式であってもよい。またD
は離散的な点集合でも連続的な範囲でもよく非連結であ
ってもよい。
において、適性関数f(x) は単に実数値をとる関数だけ
でなく、汎関数、作用素等であってもよく、さらに実施
例7で示すように数列の漸化式であってもよい。またD
は離散的な点集合でも連続的な範囲でもよく非連結であ
ってもよい。
【0011】またパラメータが共通のものであれば、適
性化したい関数が複数存在してもよい。この場合、それ
ぞれの適性化したい関数に対して、異なる適性領域が存
在してもよい。
性化したい関数が複数存在してもよい。この場合、それ
ぞれの適性化したい関数に対して、異なる適性領域が存
在してもよい。
【0012】
【実施例】以下実施例により本発明を説明する。まず、
実施例1〜4により本発明の適性化装置および適性化方
法について説明し、実施例5以下により、この装置およ
び方法の技術上および産業上の様々なシステム等への応
用について説明する。
実施例1〜4により本発明の適性化装置および適性化方
法について説明し、実施例5以下により、この装置およ
び方法の技術上および産業上の様々なシステム等への応
用について説明する。
【0013】〔実施例1〕ここでは適性化方法による適
性関数の求解について、次の順に説明する。 1.適性化方法問題の連立不等式への還元 2.連立不等式の求解 3.適性関数f(x) の次数決定法
性関数の求解について、次の順に説明する。 1.適性化方法問題の連立不等式への還元 2.連立不等式の求解 3.適性関数f(x) の次数決定法
【0014】1.適性化方法問題の連立不等式への還元 図1を用いて適性化方法を説明する。本実施例におい
て、各点列Pj =(xj, yj ) ( j = 1,2,...,n ) は
例えば入力データに基づいて生成される。適性関数を制
約するx軸上の範囲Dは{x1,x2,..., xn }とな
る。各点Pi の誤差等による広がりを考慮して、x=x
i において、この点Pi がとりうる上限値により上限関
数M+ ( xi ) が、また下限値により下限関数M- ( x
i )が定められる。このような設定が各点列Pi に対し
て行われる。すなわち、上限関数に対応する点列P+ 1
=(x1,y+ 1) ,P+ 2 =( x2,y+ 2), ..., P+
n =( xn , y+ n ) と、下限関数に対応する点列P-
1 =( x1,y- 1), P- 2 =( x2 , y- 2), ...,
P- n =( xn , y- n ) が定められる。ただしy+ i
はM+ ( xi ) 、またy- i はM- ( xi ) である。こ
れらの点列全体により適性領域Tが定められる。
て、各点列Pj =(xj, yj ) ( j = 1,2,...,n ) は
例えば入力データに基づいて生成される。適性関数を制
約するx軸上の範囲Dは{x1,x2,..., xn }とな
る。各点Pi の誤差等による広がりを考慮して、x=x
i において、この点Pi がとりうる上限値により上限関
数M+ ( xi ) が、また下限値により下限関数M- ( x
i )が定められる。このような設定が各点列Pi に対し
て行われる。すなわち、上限関数に対応する点列P+ 1
=(x1,y+ 1) ,P+ 2 =( x2,y+ 2), ..., P+
n =( xn , y+ n ) と、下限関数に対応する点列P-
1 =( x1,y- 1), P- 2 =( x2 , y- 2), ...,
P- n =( xn , y- n ) が定められる。ただしy+ i
はM+ ( xi ) 、またy- i はM- ( xi ) である。こ
れらの点列全体により適性領域Tが定められる。
【0015】適性関数がxに関して1次の有理関数
(2)式で表せると想定する。 f(x) =( a0 +a1 x) /( b0 +b1 x) (∀x∈D) (2) ここで、a0,a1,b0,b1 は実数のパラメータである。
(2)式を(1)式に代入するとともに、分母(b0 +
b1 xi )が正であるという条件の下で分母を払うと、
(1)式はこれと等価な連立不等式(3)、(4)、
(5)に変形される。 −a0 −a1 xi +b0 M+ ( xi ) +b1 xi M+ ( xi ) >0 (3) a0 +a1 xi −b0 M- ( xi ) −b1 xi M- ( xi ) >0 (4) b0 +b1 xi >0 (5)
(2)式で表せると想定する。 f(x) =( a0 +a1 x) /( b0 +b1 x) (∀x∈D) (2) ここで、a0,a1,b0,b1 は実数のパラメータである。
(2)式を(1)式に代入するとともに、分母(b0 +
b1 xi )が正であるという条件の下で分母を払うと、
(1)式はこれと等価な連立不等式(3)、(4)、
(5)に変形される。 −a0 −a1 xi +b0 M+ ( xi ) +b1 xi M+ ( xi ) >0 (3) a0 +a1 xi −b0 M- ( xi ) −b1 xi M- ( xi ) >0 (4) b0 +b1 xi >0 (5)
【0016】連立不等式(3)、(4)、(5)をベク
トルの内積として表示するために、パラメータa0,a1,
b0,b1 の数に等しい次元である4次元のパラメータ空
間が設定される。このパラメータ空間内におけるベクト
ルX、η+ ( xi ),η- ( xi ) およびη0(xi ) を以
下の式のように置く。 X=( a0,a1,b0,b1) (6) η+ ( xi ) =( −1, −xi , M+ ( xi ),xi M+ ( xi )) (7) η- ( xi ) =( 1, xi , −M- ( xi ),−xi M- ( xi )) (8) η0 ( xi ) =( 0, 0, 1, xi ) (9) Xはパラメータベクトル、η+ ( xi ) (以下、上限ベ
クトルと呼ぶ)は上限関数M+ ( xi ) による制限を表
すベクトル、η- ( xi ) (以下、下限ベクトルと呼
ぶ)は下限関数M- ( xi ) による制限を表すベクト
ル、またη0 ( xi )は(2)式が発散しないために必
要な条件を表すベクトルである。
トルの内積として表示するために、パラメータa0,a1,
b0,b1 の数に等しい次元である4次元のパラメータ空
間が設定される。このパラメータ空間内におけるベクト
ルX、η+ ( xi ),η- ( xi ) およびη0(xi ) を以
下の式のように置く。 X=( a0,a1,b0,b1) (6) η+ ( xi ) =( −1, −xi , M+ ( xi ),xi M+ ( xi )) (7) η- ( xi ) =( 1, xi , −M- ( xi ),−xi M- ( xi )) (8) η0 ( xi ) =( 0, 0, 1, xi ) (9) Xはパラメータベクトル、η+ ( xi ) (以下、上限ベ
クトルと呼ぶ)は上限関数M+ ( xi ) による制限を表
すベクトル、η- ( xi ) (以下、下限ベクトルと呼
ぶ)は下限関数M- ( xi ) による制限を表すベクト
ル、またη0 ( xi )は(2)式が発散しないために必
要な条件を表すベクトルである。
【0017】これらの式を用いると連立不等式(3)、
(4)および(5)により表される適性化方法の決定式
は、それぞれパラメータベクトルXとの内積で表わされ
る下記の不等式(10)、(11)および(12)とな
る。 ( X,η+ ( xi ))>0 (10) ( X,η- ( xi ))>0 (11) ( X,η0 ( xi ))>0 (12)
(4)および(5)により表される適性化方法の決定式
は、それぞれパラメータベクトルXとの内積で表わされ
る下記の不等式(10)、(11)および(12)とな
る。 ( X,η+ ( xi ))>0 (10) ( X,η- ( xi ))>0 (11) ( X,η0 ( xi ))>0 (12)
【0018】このように不等式(10)、(11)およ
び(12)が範囲D上の入力点列Pi に対してそれぞれ
与えられているから、適性関数を求める問題が有限個の
連立不等式で表され、実際に解を求めることができる。
例えば点列Pi の数nが500である場合、不等式(1
0)、(11)および(12)の数はそれぞれ500で
ある。
び(12)が範囲D上の入力点列Pi に対してそれぞれ
与えられているから、適性関数を求める問題が有限個の
連立不等式で表され、実際に解を求めることができる。
例えば点列Pi の数nが500である場合、不等式(1
0)、(11)および(12)の数はそれぞれ500で
ある。
【0019】全ての入力点列Pi に対して得られた有限
個の不等式(10)、(11)および(12)を連立さ
せてパラメータベクトルXについて解いたとき、パラメ
ータベクトルXの存在する領域が解領域Sである。この
解領域Sは一般に凸錐になり、下式(13)で表され
る。 S={s1 X1 +s2 X2 +・・・+sm Xm |s1,s2,..., sm >0} (13) X1 =( a01, a11, b01, b11),X2 =( a02,
a12, b02, b12),...,Xm =( a0m, a1m, b0m,
b1m) の各ベクトルは、この解領域Sの頂点を表して
いる。解領域S内部の1点XS =(a0s, a1s, b0s,
b1s) により定められる適性関数f(x) は、必ず適性領
域T内に値をとる。
個の不等式(10)、(11)および(12)を連立さ
せてパラメータベクトルXについて解いたとき、パラメ
ータベクトルXの存在する領域が解領域Sである。この
解領域Sは一般に凸錐になり、下式(13)で表され
る。 S={s1 X1 +s2 X2 +・・・+sm Xm |s1,s2,..., sm >0} (13) X1 =( a01, a11, b01, b11),X2 =( a02,
a12, b02, b12),...,Xm =( a0m, a1m, b0m,
b1m) の各ベクトルは、この解領域Sの頂点を表して
いる。解領域S内部の1点XS =(a0s, a1s, b0s,
b1s) により定められる適性関数f(x) は、必ず適性領
域T内に値をとる。
【0020】2.連立不等式の求解 適性関数f(x) が1つ得られればよい場合、または解領
域Sの部分解S1が求まれば充分な場合は多い。したが
って、例えば解領域Sの存在判定と部分解S1だけの求
解とを行い、演算を高速化することができる。
域Sの部分解S1が求まれば充分な場合は多い。したが
って、例えば解領域Sの存在判定と部分解S1だけの求
解とを行い、演算を高速化することができる。
【0021】図2、3を参照して線形計画法を利用した
解領域Sの存在判定と部分解S1の求解の一例を次に示
す。ここで説明を簡略化するために、上述した不等式
(10)、(11)、(12)に用いられるη+ (
xi ),η- ( xi ),η0 ( xi ) の全てのベクトルに対
応するベクトルをηj ( j = 1,2,...,3n )で表す。これ
により不等式(10)、(11)、(12)は、これと
等価な下記の不等式(14)で表される。 ( X, ηj ) >0 ( j = 1,2,...,3n ) (14) ここで ηi =η+ ( xi ) ( i = 1,2,...,n ) (15) ηi+n =η- ( xi ) (16) ηi+2n=η0(xi ) (17) と置いた。またηj の成分による表示を( ηj0, ηj1,
ηj2, ηj3) とする。
解領域Sの存在判定と部分解S1の求解の一例を次に示
す。ここで説明を簡略化するために、上述した不等式
(10)、(11)、(12)に用いられるη+ (
xi ),η- ( xi ),η0 ( xi ) の全てのベクトルに対
応するベクトルをηj ( j = 1,2,...,3n )で表す。これ
により不等式(10)、(11)、(12)は、これと
等価な下記の不等式(14)で表される。 ( X, ηj ) >0 ( j = 1,2,...,3n ) (14) ここで ηi =η+ ( xi ) ( i = 1,2,...,n ) (15) ηi+n =η- ( xi ) (16) ηi+2n=η0(xi ) (17) と置いた。またηj の成分による表示を( ηj0, ηj1,
ηj2, ηj3) とする。
【0022】不等式(14)において、パラメータベク
トルXをα倍しても下記の不等式(18)が成り立つ。 ( αX, ηj ) =α( X, ηj ) >0 (18) そこでXを(1/a0)倍し、 X”=(1/a0)X=( 1, a1 /a0,b0 /a0,b1
/a0) とおいても一般性を失わない。すると4次元のベクトル
の内積で表されている上式(14)は、3次元のベクト
ルX', η' j の内積で表される下記の不等式(19)
に還元される。 0<( X”, ηj ) =ηj0+( X',η' j ) (19) ここで各X',η' j を X' =( X' (1) , X' (2) , X' (3) ) =( a1 /a0,b0 /a0,b1 /a0) η' j =( ηj1, ηj2, ηj3 ) とおいた。
トルXをα倍しても下記の不等式(18)が成り立つ。 ( αX, ηj ) =α( X, ηj ) >0 (18) そこでXを(1/a0)倍し、 X”=(1/a0)X=( 1, a1 /a0,b0 /a0,b1
/a0) とおいても一般性を失わない。すると4次元のベクトル
の内積で表されている上式(14)は、3次元のベクト
ルX', η' j の内積で表される下記の不等式(19)
に還元される。 0<( X”, ηj ) =ηj0+( X',η' j ) (19) ここで各X',η' j を X' =( X' (1) , X' (2) , X' (3) ) =( a1 /a0,b0 /a0,b1 /a0) η' j =( ηj1, ηj2, ηj3 ) とおいた。
【0023】不等式(19)の可能領域S' は下式(2
0)で表される。 S' ={s1 X'1+s2 X'2+・・・+sn X' n |s1,s2,..., sn >0、s1 +s2 +・・・+sn =1} (20) 各X' k ( k = 1,2,...,n )はそれぞれ、可能領域S'
の頂点を表す3次元のベクトルである。
0)で表される。 S' ={s1 X'1+s2 X'2+・・・+sn X' n |s1,s2,..., sn >0、s1 +s2 +・・・+sn =1} (20) 各X' k ( k = 1,2,...,n )はそれぞれ、可能領域S'
の頂点を表す3次元のベクトルである。
【0024】(19)式の制約の下で評価関数をV1 =
X' (1) ( =a1 /a0 )とおき、線形計画法によりま
ずV1 を最大化する。初めに実行可能解の存在判定を行
い、可能領域S' が空集合であるかどうかを決定する。
可能領域S' が空集合なら解領域Sも空集合であり、適
性関数は存在しない。可能領域S' が空集合でないと
き、以下の処理を続ける。
X' (1) ( =a1 /a0 )とおき、線形計画法によりま
ずV1 を最大化する。初めに実行可能解の存在判定を行
い、可能領域S' が空集合であるかどうかを決定する。
可能領域S' が空集合なら解領域Sも空集合であり、適
性関数は存在しない。可能領域S' が空集合でないと
き、以下の処理を続ける。
【0025】V1 が一定である等高平面は図2のH1、
H2等で表されるように、X' (1)の軸に垂直な平面で
ある。図2よりV1 を最大化する可能領域S' の点は
X'3である。同様に V2 =−X' (1) ( =−a1 /a0) V3 =X' (2) ( =b0 /a0) V4 =−X' (2) ( =−b0 /a0) V5 =X' (3) ( =b1 /a0) V6 =−X' (3) ( =−b1 /a0) とおき、それぞれを最大化する可能領域S' の頂点
X'7, X'1, X'5, X'14,X'15 が得られる。このと
き、 S' 1={( s1 X'3+s2 X'7+s3 X'1+s4 X'5+s5 X'14 +s6 X '15)|s1,s2,..., s6 >0, s1 +s2 +・・・+s6 =1} (21) とおけば、S' 1は図3に示すように、可能領域S' 内
に含まれる部分領域であることがわかる。
H2等で表されるように、X' (1)の軸に垂直な平面で
ある。図2よりV1 を最大化する可能領域S' の点は
X'3である。同様に V2 =−X' (1) ( =−a1 /a0) V3 =X' (2) ( =b0 /a0) V4 =−X' (2) ( =−b0 /a0) V5 =X' (3) ( =b1 /a0) V6 =−X' (3) ( =−b1 /a0) とおき、それぞれを最大化する可能領域S' の頂点
X'7, X'1, X'5, X'14,X'15 が得られる。このと
き、 S' 1={( s1 X'3+s2 X'7+s3 X'1+s4 X'5+s5 X'14 +s6 X '15)|s1,s2,..., s6 >0, s1 +s2 +・・・+s6 =1} (21) とおけば、S' 1は図3に示すように、可能領域S' 内
に含まれる部分領域であることがわかる。
【0026】なお評価関数Vi ( i = 1,2,... )はこの
ような定め方に限定する必要はなく、充分多くとれば部
分領域が得られる。
ような定め方に限定する必要はなく、充分多くとれば部
分領域が得られる。
【0027】パラメータ空間で考えると部分解S1は下
式(22)で表される。 S1={α( 1, s1 X'3+s2 X'7+s3 X'1+s4 X'5 +s5 X'14 +s6 X'15)|α>0, s1,s2,..., s6 >0, s1 +s2 +・・・+s6 =1} (22) この部分解S1内に存在するパラメータベクトルの1つ Xs1=( a0s1,a1s1,b0s1,b1s1) の各成分を(2)式に代入すると、1つの適性関数f
(x) が得られる。
式(22)で表される。 S1={α( 1, s1 X'3+s2 X'7+s3 X'1+s4 X'5 +s5 X'14 +s6 X'15)|α>0, s1,s2,..., s6 >0, s1 +s2 +・・・+s6 =1} (22) この部分解S1内に存在するパラメータベクトルの1つ Xs1=( a0s1,a1s1,b0s1,b1s1) の各成分を(2)式に代入すると、1つの適性関数f
(x) が得られる。
【0028】なお解領域Sの存在判定と部分解S1の求
解はこの手法に限定されるものではなく、計算幾何学等
の手法を用いてもよい。またこの計算幾何学等の手法に
より、部分解S1でなく、解領域S全体を求めることも
可能である(文献、計算幾何学入門:F.P.プレパラ
ータ、M.I.シェーモス著、浅野孝夫、浅野哲夫訳、
1992年7月1日 総研出版社発行)。さらにペナル
ティ関数などによる解法や近似解法を用いることもでき
る。ペナルティ関数による解法とは、不等式の問題を最
適化の問題に還元する方法である。すなわちこれは、不
等式を満足しない範囲では大きな関数値をとり、かつ不
等式を満足する範囲では小さな関数値をとるペナルティ
関数を構成し、次にこのペナルティ関数を最小化するよ
うな点を求める、という手法である(文献、非線形計画
法(第II部第10章):今野浩、山下浩著、日科技連、
1978年第1刷発行、1990年第6刷発行)。
解はこの手法に限定されるものではなく、計算幾何学等
の手法を用いてもよい。またこの計算幾何学等の手法に
より、部分解S1でなく、解領域S全体を求めることも
可能である(文献、計算幾何学入門:F.P.プレパラ
ータ、M.I.シェーモス著、浅野孝夫、浅野哲夫訳、
1992年7月1日 総研出版社発行)。さらにペナル
ティ関数などによる解法や近似解法を用いることもでき
る。ペナルティ関数による解法とは、不等式の問題を最
適化の問題に還元する方法である。すなわちこれは、不
等式を満足しない範囲では大きな関数値をとり、かつ不
等式を満足する範囲では小さな関数値をとるペナルティ
関数を構成し、次にこのペナルティ関数を最小化するよ
うな点を求める、という手法である(文献、非線形計画
法(第II部第10章):今野浩、山下浩著、日科技連、
1978年第1刷発行、1990年第6刷発行)。
【0029】唯一の適性関数を求めるだけで充分な場合
は、例えば1個のスラックス変数Yを導入し、不等式
(19)を 0<(X',ηj ) + ηj0−Y とおき、Yを最大化する線形計画問題を解いてもよい。
もし、解が存在し、0<Yを満たせば、そのときのX'
は(19)式を満たすので、1つの適性関数が得られ
る。スラック変数の導入の仕方によって、線形計画法へ
還元する手法は複数存在する。
は、例えば1個のスラックス変数Yを導入し、不等式
(19)を 0<(X',ηj ) + ηj0−Y とおき、Yを最大化する線形計画問題を解いてもよい。
もし、解が存在し、0<Yを満たせば、そのときのX'
は(19)式を満たすので、1つの適性関数が得られ
る。スラック変数の導入の仕方によって、線形計画法へ
還元する手法は複数存在する。
【0030】有理関数(2)式を、n次元空間中の範囲
D上の線形独立な2つの関数の組(p0(x), p1(x),
..., pM (x)),(q0(x), q1(x), ..., q
N (x))の線形結合の比からなる次の有理関数 f(x) =( a0 p0(x)+a1 p1(x)+・・・+aM pM (x)) /( b0 q0(x)+b1 q1(x)+・・・+bN qN (x)) (23) に一般化した場合に対して、上記1.2.項の手法を拡
張することは容易である。ここでa0,a1,...,
aM , b0,b1,..., bN は実数のパラメータ、xは
n次元のベクトル、各関数p0(x), p1(x), ..., p
M (x),q0(x), q1(x), ..., qN (x) はD上の区分
的連続関数であり、例えばxn , cos x, exおよび階
段関数等である。
D上の線形独立な2つの関数の組(p0(x), p1(x),
..., pM (x)),(q0(x), q1(x), ..., q
N (x))の線形結合の比からなる次の有理関数 f(x) =( a0 p0(x)+a1 p1(x)+・・・+aM pM (x)) /( b0 q0(x)+b1 q1(x)+・・・+bN qN (x)) (23) に一般化した場合に対して、上記1.2.項の手法を拡
張することは容易である。ここでa0,a1,...,
aM , b0,b1,..., bN は実数のパラメータ、xは
n次元のベクトル、各関数p0(x), p1(x), ..., p
M (x),q0(x), q1(x), ..., qN (x) はD上の区分
的連続関数であり、例えばxn , cos x, exおよび階
段関数等である。
【0031】3.適性関数f(x) の次数決定法 図4は適性関数を最小の次数で求める手順の一例を示す
フローチャートである。適性関数f(x) が、分母分子が
xのN次の多項式の比で表される有理関数であると仮定
する。ステップ111では、上限関数M+ ( xi ) と下
限関数M- ( xi ) が入力される。すなわち、各点列P
i =( xi , yi ) の許容範囲を考慮して、例えば上限
関数M+ ( x1 ),M+ ( x2 ),..., M+ ( xn ) が
1.05y1,1.04y2,..., 1.06yn 、また下限関数M-
( x1 ),M- ( x2 ),..., M- ( xn ) が0.94y1,
0.97y2,..., 0.92yn と定められる。ステップ11
2では、まず次数Nの初期値を1とする。
フローチャートである。適性関数f(x) が、分母分子が
xのN次の多項式の比で表される有理関数であると仮定
する。ステップ111では、上限関数M+ ( xi ) と下
限関数M- ( xi ) が入力される。すなわち、各点列P
i =( xi , yi ) の許容範囲を考慮して、例えば上限
関数M+ ( x1 ),M+ ( x2 ),..., M+ ( xn ) が
1.05y1,1.04y2,..., 1.06yn 、また下限関数M-
( x1 ),M- ( x2 ),..., M- ( xn ) が0.94y1,
0.97y2,..., 0.92yn と定められる。ステップ11
2では、まず次数Nの初期値を1とする。
【0032】ステップ113では、上述した手法により
不等式( X, ηj ) >0が構成される。ここでηj は
(14)式において使用されているものと同様である。
ステップ114では、パラメータベクトルXの解領域S
の存在判定が行われる。
不等式( X, ηj ) >0が構成される。ここでηj は
(14)式において使用されているものと同様である。
ステップ114では、パラメータベクトルXの解領域S
の存在判定が行われる。
【0033】ここで解領域Sが存在しなければ、ステッ
プ121において有理関数f(x) の分母分子の次数Nが
1つ上げられる。ステップ122では、この有理関数f
(x)の次数Nが実現可能な最大次数Nmax を越えたかど
うかが判定される。もし最大次数を越えていなければ、
ステップ113に戻る。
プ121において有理関数f(x) の分母分子の次数Nが
1つ上げられる。ステップ122では、この有理関数f
(x)の次数Nが実現可能な最大次数Nmax を越えたかど
うかが判定される。もし最大次数を越えていなければ、
ステップ113に戻る。
【0034】この手順を繰り返して、ステップ114に
おいて解領域Sが存在すると判定されると、ステップ1
15において解領域Sの部分解S1の求解が行われ、適
性関数f(x) の族が得られる。ステップ116では、必
要に応じて部分解S1、すなわち適性関数f(x) の族の
中から適当な適性関数f(x) が選択され、例えばディス
プレイ画面上に表示される。この後、プログラムは終了
する。
おいて解領域Sが存在すると判定されると、ステップ1
15において解領域Sの部分解S1の求解が行われ、適
性関数f(x) の族が得られる。ステップ116では、必
要に応じて部分解S1、すなわち適性関数f(x) の族の
中から適当な適性関数f(x) が選択され、例えばディス
プレイ画面上に表示される。この後、プログラムは終了
する。
【0035】ステップ122において、もし次数Nが最
大次数Nmax を越えていると判断された場合、ステップ
123において、例えばディスプレイ画面上に「Nmax
以下の次数では適性化不可能」と表示される。ステップ
124では上限関数M+ ( xi ) と下限関数M- (
xi ) の設定をやり直すか否かの入力を待つ。
大次数Nmax を越えていると判断された場合、ステップ
123において、例えばディスプレイ画面上に「Nmax
以下の次数では適性化不可能」と表示される。ステップ
124では上限関数M+ ( xi ) と下限関数M- (
xi ) の設定をやり直すか否かの入力を待つ。
【0036】最大次数Nmax 以下で近似曲線を生成した
い場合には上限関数M+ ( xi ) と下限関数M- (
xi ) の設定を変更して近似精度を落とす必要がある。
この場合にはステップ111に戻って上限関数M+ ( x
i ) と下限関数M- ( xi ) の設定が変更される。例え
ば、各点列Pi =( xi , yi ) の許容範囲が約±5%
から約±10%に変更される。その後ステップ112に
おいて有理関数f(x) の次数Nが1に定められ、ステッ
プ113からステップ122までの処理が繰り返され
る。そしてステップ114において解領域Sが存在する
と判定されると、ステップ116、117が実行され、
適性関数f(x) がディスプレイ画面上に表示される。
い場合には上限関数M+ ( xi ) と下限関数M- (
xi ) の設定を変更して近似精度を落とす必要がある。
この場合にはステップ111に戻って上限関数M+ ( x
i ) と下限関数M- ( xi ) の設定が変更される。例え
ば、各点列Pi =( xi , yi ) の許容範囲が約±5%
から約±10%に変更される。その後ステップ112に
おいて有理関数f(x) の次数Nが1に定められ、ステッ
プ113からステップ122までの処理が繰り返され
る。そしてステップ114において解領域Sが存在する
と判定されると、ステップ116、117が実行され、
適性関数f(x) がディスプレイ画面上に表示される。
【0037】一方、ステップ124において、例えばこ
れ以上適性領域Tを広げると得られる適性関数f(x) が
所望の仕様を表すことができない場合には、上限関数M
+ (xi ) と下限関数M- ( xi ) の設定が変更されるこ
となく、このプログラムは終了する。
れ以上適性領域Tを広げると得られる適性関数f(x) が
所望の仕様を表すことができない場合には、上限関数M
+ (xi ) と下限関数M- ( xi ) の設定が変更されるこ
となく、このプログラムは終了する。
【0038】なお、上述した手法は説明の簡略化のため
に最も単純なアルゴリズムの例を示しており、例えば公
知の2分法等のアルゴリズムを用いれば、より高速に次
数を決定することができる。また以上の探査で求まる次
数Nは、分子、分母の少なくとも一方の最少次数であ
る。そこで一方の次数をNに固定し、もう一方の次数を
Nまでの間で変化させて解領域Sの存在判定を行うこと
により、分子、分母の次数をそれぞれ最少化できる。こ
のようにすれば、分子、分母の次数の組合せ全体に対す
る2次元的探査を行うことなく、単に1次元探査を行う
だけでよく、効率が高い。
に最も単純なアルゴリズムの例を示しており、例えば公
知の2分法等のアルゴリズムを用いれば、より高速に次
数を決定することができる。また以上の探査で求まる次
数Nは、分子、分母の少なくとも一方の最少次数であ
る。そこで一方の次数をNに固定し、もう一方の次数を
Nまでの間で変化させて解領域Sの存在判定を行うこと
により、分子、分母の次数をそれぞれ最少化できる。こ
のようにすれば、分子、分母の次数の組合せ全体に対す
る2次元的探査を行うことなく、単に1次元探査を行う
だけでよく、効率が高い。
【0039】以上のように本実施例の適性化方法によれ
ば、以下のような効果が得られる。すなわち入力データ
が範囲で与えられるため、従来困難であった広がりをも
った入力データを取扱うことができ、かつ適性関数が唯
一ではなく、族として求められる。したがって本実施例
の適性関数f(x) が、例えば後述するアナログシステム
の回路構成を示す伝達関数に利用される場合に、回路の
部品および部材のずれや経年変化が解領域Sの範囲に収
まるようにしておけば、得られる伝達関数はその経年変
化等によらず長期にわたって要求仕様を満たすことがで
きる。
ば、以下のような効果が得られる。すなわち入力データ
が範囲で与えられるため、従来困難であった広がりをも
った入力データを取扱うことができ、かつ適性関数が唯
一ではなく、族として求められる。したがって本実施例
の適性関数f(x) が、例えば後述するアナログシステム
の回路構成を示す伝達関数に利用される場合に、回路の
部品および部材のずれや経年変化が解領域Sの範囲に収
まるようにしておけば、得られる伝達関数はその経年変
化等によらず長期にわたって要求仕様を満たすことがで
きる。
【0040】また最適化法等の従来の方法では扱うこと
が困難であった関数でも、適性関数を得ることができ
る。例えばその2乗振幅特性が有理関数の形で表される
IIR型デジタルフィルタの設計において、本実施例の
適性化方法を用いれば、所望の伝達関数を得ることがで
きる。最適化法では評価関数が非常に複雑な関数にな
り、その最適値をニュートン法等の数値解法によって得
ることは大域的な非収束性より極めて困難であった。
が困難であった関数でも、適性関数を得ることができ
る。例えばその2乗振幅特性が有理関数の形で表される
IIR型デジタルフィルタの設計において、本実施例の
適性化方法を用いれば、所望の伝達関数を得ることがで
きる。最適化法では評価関数が非常に複雑な関数にな
り、その最適値をニュートン法等の数値解法によって得
ることは大域的な非収束性より極めて困難であった。
【0041】さらに適性領域T内に値をとる適性関数f
(x) が、最小の次数で得られる。また必要に応じて上限
関数M+ ( xi ) と下限関数M- ( xi ) の設定を、例
えばディスプレイ上で対話形式で変更することにより、
現実的に仕様を満たす、すなわち実行可能な最大次数N
max の範囲内での、適性関数f(x) がその適性領域Tに
おける最小の次数で得られる。
(x) が、最小の次数で得られる。また必要に応じて上限
関数M+ ( xi ) と下限関数M- ( xi ) の設定を、例
えばディスプレイ上で対話形式で変更することにより、
現実的に仕様を満たす、すなわち実行可能な最大次数N
max の範囲内での、適性関数f(x) がその適性領域Tに
おける最小の次数で得られる。
【0042】例えば本実施例の適性化方法を補間に利用
すれば、次のような効果が得られる。 誤差や幅のある入力点列を補間できる。 設定する補間式として有理関数が扱える。 により、オーバーシュートやふくらみのないシャ
ープな適性関数が得られる。 により区分多項式を使わずに全体を1つの適性関
数で表せる。 何次式で近似すればよいかを計算できる。 補間式が範囲として得られるため、この範囲内にお
いて微調整することが可能である。 なおここでの補間式とは、システムの形状およびグラフ
表示等のデータを補間する関数を表している。
すれば、次のような効果が得られる。 誤差や幅のある入力点列を補間できる。 設定する補間式として有理関数が扱える。 により、オーバーシュートやふくらみのないシャ
ープな適性関数が得られる。 により区分多項式を使わずに全体を1つの適性関
数で表せる。 何次式で近似すればよいかを計算できる。 補間式が範囲として得られるため、この範囲内にお
いて微調整することが可能である。 なおここでの補間式とは、システムの形状およびグラフ
表示等のデータを補間する関数を表している。
【0043】また本実施例の適性化方法をCADシステ
ム等に応用すれば、グラフ表示、形状表示等に利用可能
である。
ム等に応用すれば、グラフ表示、形状表示等に利用可能
である。
【0044】さらに本実施例の適性化装置および適性化
方法において、パラメータが共通のものであれば、適性
関数を複数設定してもよい。この場合、それぞれの適性
関数において、異なる適性領域が存在してもよい。例え
ば本実施例において、有理関数が発散しないために必要
な条件式(5)を g(x) =b0 +b1 x (24) と置くと、f(x) とg(x) の両者を適性化していると考
えることができる。この場合の適性化の決定式は(1)
式と、 g(x) >0 (25) により表される((5)式参照)。
方法において、パラメータが共通のものであれば、適性
関数を複数設定してもよい。この場合、それぞれの適性
関数において、異なる適性領域が存在してもよい。例え
ば本実施例において、有理関数が発散しないために必要
な条件式(5)を g(x) =b0 +b1 x (24) と置くと、f(x) とg(x) の両者を適性化していると考
えることができる。この場合の適性化の決定式は(1)
式と、 g(x) >0 (25) により表される((5)式参照)。
【0045】〔実施例2〕ここでは適性関数が有理関数
以外の関数である場合について説明する。パラメータの
解領域Sが凸領域で表せるような場合、(23)式のよ
うな有理関数以外の関数を、適性関数として使用でき
る。すなわち関数の族のパラメータをX=( a0,
a1,..., am ) 、上限関数をM+ (x) 、下限関数を
M- (x) 、そして適性関数をf( X, x) と置くと、上
述した(1)式に対応して、 M- (x) <f( X, x) <M+ (x) ( ∀x∈D) (26) が得られる。
以外の関数である場合について説明する。パラメータの
解領域Sが凸領域で表せるような場合、(23)式のよ
うな有理関数以外の関数を、適性関数として使用でき
る。すなわち関数の族のパラメータをX=( a0,
a1,..., am ) 、上限関数をM+ (x) 、下限関数を
M- (x) 、そして適性関数をf( X, x) と置くと、上
述した(1)式に対応して、 M- (x) <f( X, x) <M+ (x) ( ∀x∈D) (26) が得られる。
【0046】ここで、 B1(X, x) =f( X, x) −M- (x) (27) B2(X, x) =−f( X, x) +M+ (x) (28) と置くと、決定式(26)は下記の連立不等式(2
9)、(30)により表される。 0<B1(X, x) (29) 0<B2(X, x) ( ∀x∈D) (30)
9)、(30)により表される。 0<B1(X, x) (29) 0<B2(X, x) ( ∀x∈D) (30)
【0047】実施例1と同様に各入力点列Pi に対して
各不等式を評価すると、有限個の不等式が得られる。こ
れらの不等式を連立させて部分解を求めれば、適性関数
f(X, x) の族が求まる。このためには、例えば実施
例1で線形計画法を用いた部分を非線形計画法に置き換
えた手法が考えられる。すなわち複数の評価関数をと
り、それぞれを最大化する実行可能解を求め、それらの
凸包体をS1とすればよい。解領域Sは凸領域であると
仮定したので、このS1はSを内側から近似する凸包体
形の部分解になる。これにより有理関数で表せない物理
的システム等を表す関数に対しても適性化を行うことが
可能である。また、解領域が凸包体で表せない場合で
も、(29)および(30)式を解くことにより、1つ
の解が得られる。
各不等式を評価すると、有限個の不等式が得られる。こ
れらの不等式を連立させて部分解を求めれば、適性関数
f(X, x) の族が求まる。このためには、例えば実施
例1で線形計画法を用いた部分を非線形計画法に置き換
えた手法が考えられる。すなわち複数の評価関数をと
り、それぞれを最大化する実行可能解を求め、それらの
凸包体をS1とすればよい。解領域Sは凸領域であると
仮定したので、このS1はSを内側から近似する凸包体
形の部分解になる。これにより有理関数で表せない物理
的システム等を表す関数に対しても適性化を行うことが
可能である。また、解領域が凸包体で表せない場合で
も、(29)および(30)式を解くことにより、1つ
の解が得られる。
【0048】〔実施例3〕実施例3では、Dが連続的な
範囲であり上限関数M+ (x) と下限関数M- (x)が区分
的連続関数である場合における適性化方法について、下
限関数M- (x) を例にとり次の順に説明する。 1.凸包体を用いた連続的適性化方法問題の連立不等式
への還元 2.生成凸包体の構成方法の例 3.その他の手法 なお本実施例において、適性関数f(x) は有理関数
(2)の形で表される。また図5に示すように、下限関
数M- (x) は図5の破線部により表されるとする。
範囲であり上限関数M+ (x) と下限関数M- (x)が区分
的連続関数である場合における適性化方法について、下
限関数M- (x) を例にとり次の順に説明する。 1.凸包体を用いた連続的適性化方法問題の連立不等式
への還元 2.生成凸包体の構成方法の例 3.その他の手法 なお本実施例において、適性関数f(x) は有理関数
(2)の形で表される。また図5に示すように、下限関
数M- (x) は図5の破線部により表されるとする。
【0049】1.凸包体を用いた連続的適性化方法問題
の連立不等式への還元 実施例1において(11)式を導いたのと同様な手法に
よって、下記の不等式(31)が得られる。 (X, η- (x))>0 ( ∀x∈D) (31) この下限ベクトルη- (x) は(8)式と同様下限関数M
- (x) から定義したものであり、下限関数M- (x) がパ
ラメータ空間に変換されたものである。
の連立不等式への還元 実施例1において(11)式を導いたのと同様な手法に
よって、下記の不等式(31)が得られる。 (X, η- (x))>0 ( ∀x∈D) (31) この下限ベクトルη- (x) は(8)式と同様下限関数M
- (x) から定義したものであり、下限関数M- (x) がパ
ラメータ空間に変換されたものである。
【0050】本実施例の場合xは連続的に変化するの
で、(31)式の連立不等式は無限個存在し、デジタル
コンピュータ等の装置において扱うことができない。そ
こで次に述べる凸包体を用いた手法により(31)式を
有限個の連立不等式で近似する。
で、(31)式の連立不等式は無限個存在し、デジタル
コンピュータ等の装置において扱うことができない。そ
こで次に述べる凸包体を用いた手法により(31)式を
有限個の連立不等式で近似する。
【0051】区間Dを要求精度に応じた適当な大きさの
有限個の区間[ x1,x2 ] ,[x2,x3 ] , ...,[x
n-1,xn ] に分割しておく。
有限個の区間[ x1,x2 ] ,[x2,x3 ] , ...,[x
n-1,xn ] に分割しておく。
【0052】図6においては、図5の下限関数M- (x)
および点M- ( xi ) 、M- ( xi+ 1)が、それぞれ下限
ベクトルη- (x),η- ( xi ),η- ( xi+1 ) に変換さ
れている。また区間[ xi , xi+1]上の任意の点yに対
応するM- (y) が、下限ベクトルη- (y) に対応してい
る。
および点M- ( xi ) 、M- ( xi+ 1)が、それぞれ下限
ベクトルη- (x),η- ( xi ),η- ( xi+1 ) に変換さ
れている。また区間[ xi , xi+1]上の任意の点yに対
応するM- (y) が、下限ベクトルη- (y) に対応してい
る。
【0053】まず図5、6を参照して、下限ベクトルη
- (y) を凸包体で近似する手法を説明する。あるパラメ
ータベクトルX0 が下限ベクトルη- ( xi ) 、η- (
xi+1 ) に対し、 ( X0, η- ( xi ))>0 (32) ( X0, η- ( xi+1 ))>0 (33) を満足している場合を考える。η- ( xi ) とη- ( x
i+1)を結ぶ線分L上の任意のベクトルξに対し、線分の
公式 ξ∈{s1 η- (xi ) +s2 η- (xi+1) |s1,s2 >0、s1 +s2 =1} (34) が成り立つ。したがって(X0,ξ) は (X0,ξ) =s1(X0, η- (xi ))+s2(X0, η- (xi+1)) (35) と表される。ところでs1,s2 >0であるから、(3
2)、(33)式より (X0,ξ) >0 (36) が成り立つ。しかし区間 [xi , xi+1]内の点y、すな
わち線分L上にない下限ベクトル η- (y) に関し、常
に (X0, η- (y))>0 (y∈[ xi , xi+1]) (37) が成り立つという保証はない。η- (y) は下限関数を表
しているから、図5の区間[ xi , xi+1]における有理
関数f(x) の任意の点が、下限関数M- (x) よりも上に
位置するとは限らない。
- (y) を凸包体で近似する手法を説明する。あるパラメ
ータベクトルX0 が下限ベクトルη- ( xi ) 、η- (
xi+1 ) に対し、 ( X0, η- ( xi ))>0 (32) ( X0, η- ( xi+1 ))>0 (33) を満足している場合を考える。η- ( xi ) とη- ( x
i+1)を結ぶ線分L上の任意のベクトルξに対し、線分の
公式 ξ∈{s1 η- (xi ) +s2 η- (xi+1) |s1,s2 >0、s1 +s2 =1} (34) が成り立つ。したがって(X0,ξ) は (X0,ξ) =s1(X0, η- (xi ))+s2(X0, η- (xi+1)) (35) と表される。ところでs1,s2 >0であるから、(3
2)、(33)式より (X0,ξ) >0 (36) が成り立つ。しかし区間 [xi , xi+1]内の点y、すな
わち線分L上にない下限ベクトル η- (y) に関し、常
に (X0, η- (y))>0 (y∈[ xi , xi+1]) (37) が成り立つという保証はない。η- (y) は下限関数を表
しているから、図5の区間[ xi , xi+1]における有理
関数f(x) の任意の点が、下限関数M- (x) よりも上に
位置するとは限らない。
【0054】そこで常に(37)式が成り立つようにす
るため、下限ベクトルη- (y) を凸包体C- で近似す
る。ここで凸包体とは、その内部の任意の2点を結ぶ線
分が必ずその内部に含まれるような領域であると定義さ
れる。
るため、下限ベクトルη- (y) を凸包体C- で近似す
る。ここで凸包体とは、その内部の任意の2点を結ぶ線
分が必ずその内部に含まれるような領域であると定義さ
れる。
【0055】凸包体C- が区間[ xi , xi+1]上の任意
の下限ベクトルη- (y) を覆うように、すなわち、 η- (y) ∈C- (38) を常に成り立たせるようにとる。これをここでは生成凸
包体と呼ぶ。このとき生成凸包体C- は、例えば下記の
(39)式の様に表現される(図6の斜線部分)。 C- ={s1 η- (xi ) +s2 η- (xi+1)+s3 η- i1+s4 η- i2 +s5 η- i3 |s1,s2,s3,s4,s5 >0, s1 +s2 +s3 +s4 +s5 =1} (39) この生成凸包体C- の定め方は後に詳述する。
の下限ベクトルη- (y) を覆うように、すなわち、 η- (y) ∈C- (38) を常に成り立たせるようにとる。これをここでは生成凸
包体と呼ぶ。このとき生成凸包体C- は、例えば下記の
(39)式の様に表現される(図6の斜線部分)。 C- ={s1 η- (xi ) +s2 η- (xi+1)+s3 η- i1+s4 η- i2 +s5 η- i3 |s1,s2,s3,s4,s5 >0, s1 +s2 +s3 +s4 +s5 =1} (39) この生成凸包体C- の定め方は後に詳述する。
【0056】次に区間[ xi , xi+1]上で無限個の不等
式(37)を有限個の不等式で近似する手法を説明す
る。不等式(37)を次の不等式(40)に置き換え
る。 ( X, C- ) >0 (∀η- ∈C- (X, η- )>0) (40)
式(37)を有限個の不等式で近似する手法を説明す
る。不等式(37)を次の不等式(40)に置き換え
る。 ( X, C- ) >0 (∀η- ∈C- (X, η- )>0) (40)
【0057】凸包体の定義により、不等式(40)は、
下記の連立不等式(41)〜(45)と等価になる。 ( X, η- (xi ))>0 (41) ( X, η- (xi+1)) >0 (42) ( X, η- i1) >0 (43) ( X, η- i2) >0 (44) ( X, η- i3) >0 (45)
下記の連立不等式(41)〜(45)と等価になる。 ( X, η- (xi ))>0 (41) ( X, η- (xi+1)) >0 (42) ( X, η- i1) >0 (43) ( X, η- i2) >0 (44) ( X, η- i3) >0 (45)
【0058】式(32)〜(36)の計算と同様な計算
により、この連立不等式の解であるパラメータベクトル
Xは、任意のC- の元η' に対し(X, η')>0を満た
す。また(38)式が成り立っているから(37)式が
成立する。これをもとのグラフで考えれば区間 [xi ,
xi+1]において、このXに対応する適性関数f(x) は、
図5で常に下限関数M- ( x ) より上に位置することを
表している。
により、この連立不等式の解であるパラメータベクトル
Xは、任意のC- の元η' に対し(X, η')>0を満た
す。また(38)式が成り立っているから(37)式が
成立する。これをもとのグラフで考えれば区間 [xi ,
xi+1]において、このXに対応する適性関数f(x) は、
図5で常に下限関数M- ( x ) より上に位置することを
表している。
【0059】これらの不等式(41)〜(45)と同様
にして、分割された各区間毎に不等式をたてれば、実施
例1と同様の連立不等式の解法により解領域の存在判定
と求解が行われ、適性関数が求められる。
にして、分割された各区間毎に不等式をたてれば、実施
例1と同様の連立不等式の解法により解領域の存在判定
と求解が行われ、適性関数が求められる。
【0060】以上のように本実施例では、実施例1と同
様の効果が得られることに加えて、下記のような効果が
得られる。まず上限関数M+ (x) および下限関数M
- (x) が区分的連続関数で与えられた場合においても、
生成凸包体を用いて不等式(31)式を有限個の不等式
に還元したことにより、適性化の計算が可能になる。
様の効果が得られることに加えて、下記のような効果が
得られる。まず上限関数M+ (x) および下限関数M
- (x) が区分的連続関数で与えられた場合においても、
生成凸包体を用いて不等式(31)式を有限個の不等式
に還元したことにより、適性化の計算が可能になる。
【0061】また生成凸包体を用いたので、図5のQの
ように下限関数M- (x) より下に適性関数f(x) が飛び
出すことが防止される。これにより、適性関数が高次の
有理関数であり、変数の変化に対して関数値が激しく振
動する場合等においても、確実に連続な適性領域T内に
含まれることが保障される。
ように下限関数M- (x) より下に適性関数f(x) が飛び
出すことが防止される。これにより、適性関数が高次の
有理関数であり、変数の変化に対して関数値が激しく振
動する場合等においても、確実に連続な適性領域T内に
含まれることが保障される。
【0062】さらに生成凸包体は、上限関数または下限
関数の誤差、偏差等を吸収することも可能であり、この
ような機能は実施例7で利用される。
関数の誤差、偏差等を吸収することも可能であり、この
ような機能は実施例7で利用される。
【0063】なお各区間は相互にあまり重ならないよう
に定められ、異なった大きさを有していてもよい。例え
ば、関数の振動が激しい等、特に精度を要求する部分は
細かく分割した方が好ましい。また上限関数M+ ( x )
と下限関数M- ( x )を同じ区間を用いて分割する必要
はなく、それぞれの要求に応じて設定すればよい。
に定められ、異なった大きさを有していてもよい。例え
ば、関数の振動が激しい等、特に精度を要求する部分は
細かく分割した方が好ましい。また上限関数M+ ( x )
と下限関数M- ( x )を同じ区間を用いて分割する必要
はなく、それぞれの要求に応じて設定すればよい。
【0064】2.生成凸包体の構成方法の例 図7〜図10を参照して、曲線η(x) の一部分を覆う生
成凸包体Cを構成するための幾つかのアルゴリズムを説
明する。ここでは簡略化のためにパラメータ空間が2次
元的に図示されているが、実際には適性関数f(x) のパ
ラメータの数と等しい次元の空間である。曲線η(x)
は、例えば実施例3の下限ベクトルη- (y) に相当して
いる。
成凸包体Cを構成するための幾つかのアルゴリズムを説
明する。ここでは簡略化のためにパラメータ空間が2次
元的に図示されているが、実際には適性関数f(x) のパ
ラメータの数と等しい次元の空間である。曲線η(x)
は、例えば実施例3の下限ベクトルη- (y) に相当して
いる。
【0065】i) 手法A 図7に示すように、適当な間隔で曲線η(x) 上の点ある
いは曲線η(x) の近傍の点η1,η2,..., ηm をと
り、これらを頂点とする凸包体C' (図7のハッチング
部分、図ではm=3とした)を生成する。図7に示すよ
うに、この凸包体C' は曲線η(x) を含むとは限らな
い。そこで図8に示すように凸包体C' の内点η0 をと
り、この内点η0 を中心に凸包体C' を膨張させる。 η' i ( αi ) =αi ( ηi −η0)+η0 (46) ただし、i=1,2,...,m α=(α1,α2,...,αm ) ここでαi は膨張のパラメータである。このη'1(
α1), η'2( α2), ...,η' m ( αm ) を頂点とす
る凸包体をC( α )(図8のハッチング部分)とおく。
いは曲線η(x) の近傍の点η1,η2,..., ηm をと
り、これらを頂点とする凸包体C' (図7のハッチング
部分、図ではm=3とした)を生成する。図7に示すよ
うに、この凸包体C' は曲線η(x) を含むとは限らな
い。そこで図8に示すように凸包体C' の内点η0 をと
り、この内点η0 を中心に凸包体C' を膨張させる。 η' i ( αi ) =αi ( ηi −η0)+η0 (46) ただし、i=1,2,...,m α=(α1,α2,...,αm ) ここでαi は膨張のパラメータである。このη'1(
α1), η'2( α2), ...,η' m ( αm ) を頂点とす
る凸包体をC( α )(図8のハッチング部分)とおく。
【0066】各αi を徐々に増加させていき、凸包体C
( α )が曲線η(x) を全て覆うようになったらその増加
を停止させる。このときの凸包体C( α )を生成凸包体
Cとする。
( α )が曲線η(x) を全て覆うようになったらその増加
を停止させる。このときの凸包体C( α )を生成凸包体
Cとする。
【0067】なおαi を増加させるだけでなく、増加と
減少を組み合わせることにより、曲線η(x) を覆うαi
をより高速に決定することができる。例えば、各ステッ
プごとに変化させる幅を減少させながら各αi を変化さ
せ、各ステップごとに凸包体C( α )が曲線η(x) を含
むかどうかを判定し、含む場合でαが所定の精度内にあ
るなら、この変化を停止する。このときの凸包体C( α
)を生成凸包体Cとする。
減少を組み合わせることにより、曲線η(x) を覆うαi
をより高速に決定することができる。例えば、各ステッ
プごとに変化させる幅を減少させながら各αi を変化さ
せ、各ステップごとに凸包体C( α )が曲線η(x) を含
むかどうかを判定し、含む場合でαが所定の精度内にあ
るなら、この変化を停止する。このときの凸包体C( α
)を生成凸包体Cとする。
【0068】また内点η0 は複数存在してもよい。
【0069】ii) 手法B 図9に示すように、最初の凸包体C' として曲線を含む
ことができる適当な形、例えば曲線η(x) の両端を含む
多面体、あるいはこれらを複数組み合わせたものを定め
る。手法Aと同様に凸包体C' を膨張させて曲線η(x)
を含むようにさせる。
ことができる適当な形、例えば曲線η(x) の両端を含む
多面体、あるいはこれらを複数組み合わせたものを定め
る。手法Aと同様に凸包体C' を膨張させて曲線η(x)
を含むようにさせる。
【0070】iii) 手法C 図10に示すように、曲線η(x) の近傍の1点η0 をと
る。このη0 と曲線η(x) 上の各点との距離を計算し、
その最大のものをRとおく。中心η0 、半径Rの球に外
接する凸多面体Cをつくり、これを生成凸包体Cとす
る。
る。このη0 と曲線η(x) 上の各点との距離を計算し、
その最大のものをRとおく。中心η0 、半径Rの球に外
接する凸多面体Cをつくり、これを生成凸包体Cとす
る。
【0071】なお生成凸包体を生成する手法は、上記手
法A〜Cに限定されるものではなく、計算幾何学等で従
来公知の手法を採用することができる。
法A〜Cに限定されるものではなく、計算幾何学等で従
来公知の手法を採用することができる。
【0072】なお本構成方法は曲線を近似する凸包体に
関するものであるが、xが高次元である場合、すなわち
η(x) が曲面等を表す高次元の適性化の場合にもそのま
ま適用可能である。
関するものであるが、xが高次元である場合、すなわち
η(x) が曲面等を表す高次元の適性化の場合にもそのま
ま適用可能である。
【0073】3.その他の手法 上限関数M+ (x) と下限関数M- (x) が区分的連続関数
である場合に有限個の不等式を得る手法は、上述した手
法に限定されるものではなく、例えば上限関数M+ (x)
と下限関数M- (x) を密な点列で近似する等の手法でも
よい。必要に応じて適性関数を少し修正することによ
り、はみ出しを取り除ける場合もある。例えば適性関数
f(x) がxの有理式であり、区間〔xi , xi+1 〕にお
いて上限関数M+ (x) を超えている場合、E(x)=M
+ (x) - f(x) はこの区間内に偶数個の実零点をもつ。
そこでf(x) のパラメータをE(x) の零点で表現してお
き、上記実零点を2個ずつの組に定め、それぞれの組が
複素共役な虚数零点の組になるよう位置をやや修正し、
これらからf(x) のパラメータを再構成すれば、適性関
数の形をほぼ保ったまま、はみ出しのみを除去できる。
この手法は、Dが実軸上の範囲である場合だけでなく、
例えば複素平面上の単位円周の一部といった、1次元領
域である場合にもほぼ同様に適用することができる。
である場合に有限個の不等式を得る手法は、上述した手
法に限定されるものではなく、例えば上限関数M+ (x)
と下限関数M- (x) を密な点列で近似する等の手法でも
よい。必要に応じて適性関数を少し修正することによ
り、はみ出しを取り除ける場合もある。例えば適性関数
f(x) がxの有理式であり、区間〔xi , xi+1 〕にお
いて上限関数M+ (x) を超えている場合、E(x)=M
+ (x) - f(x) はこの区間内に偶数個の実零点をもつ。
そこでf(x) のパラメータをE(x) の零点で表現してお
き、上記実零点を2個ずつの組に定め、それぞれの組が
複素共役な虚数零点の組になるよう位置をやや修正し、
これらからf(x) のパラメータを再構成すれば、適性関
数の形をほぼ保ったまま、はみ出しのみを除去できる。
この手法は、Dが実軸上の範囲である場合だけでなく、
例えば複素平面上の単位円周の一部といった、1次元領
域である場合にもほぼ同様に適用することができる。
【0074】〔実施例4〕図11は、実施例4として、
適性化方法を実施する装置の概略構成を示している。図
11を参照して本発明の適性化装置について説明する。
適性化方法を実施する装置の概略構成を示している。図
11を参照して本発明の適性化装置について説明する。
【0075】この装置11は、例えばデジタルコンピュ
ータであり、記憶装置12、演算装置13、入力装置1
4、出力装置15および制御装置16を有しており、こ
れらはバスライン17、18によって相互に接続されて
いる。記憶装置12は、上限関数M+ (x) を記憶する領
域すなわち上限関数記憶部21と、下限関数M- (x)を
記憶する領域すなわち下限関数記憶部22と、生成凸包
体を記憶する領域すなわち生成凸包体記憶部23と、連
立不等式求解プログラムを格納する領域すなわち連立不
等式求解プログラム部24と、生成凸包体構成プログラ
ムを格納する領域すなわち生成凸包体構成プログラム部
25と、OS等の制御プログラムを格納する領域すなわ
ち制御プログラム部26とを備えている。演算装置13
はCPU等である。入力装置14は例えばキーボード、
マウス、数値ファイル、デジタイザあるいはライトペン
である。出力装置15は例えばディスプレイ、数値ファ
イル、プロッタまたはプリンタである。制御装置16は
プログラムを実行するための各装置を制御する。
ータであり、記憶装置12、演算装置13、入力装置1
4、出力装置15および制御装置16を有しており、こ
れらはバスライン17、18によって相互に接続されて
いる。記憶装置12は、上限関数M+ (x) を記憶する領
域すなわち上限関数記憶部21と、下限関数M- (x)を
記憶する領域すなわち下限関数記憶部22と、生成凸包
体を記憶する領域すなわち生成凸包体記憶部23と、連
立不等式求解プログラムを格納する領域すなわち連立不
等式求解プログラム部24と、生成凸包体構成プログラ
ムを格納する領域すなわち生成凸包体構成プログラム部
25と、OS等の制御プログラムを格納する領域すなわ
ち制御プログラム部26とを備えている。演算装置13
はCPU等である。入力装置14は例えばキーボード、
マウス、数値ファイル、デジタイザあるいはライトペン
である。出力装置15は例えばディスプレイ、数値ファ
イル、プロッタまたはプリンタである。制御装置16は
プログラムを実行するための各装置を制御する。
【0076】図12は、出力装置15のディスプレイの
画面上に表示されるデータの例を示している。入力装置
14を介して与えられた点列に基づいて、上限関数M+
(x)と下限関数M- (x) を設定する。適性化方法によっ
て求められる適性関数f(x)は、分母分子がそれぞれ4
次の多項式で表される有理関数(47)式で表される。 f( x )=( A0 +A1 x+A2 x2 +A3 x3 +A4 x4) /( B0 +B1 x+B2 x2 +B3 x3 +B4 x4) (47) ここでA0,A1,A2,A3,A4,B0,B1,B2,B3,B4 は、
実数のパラメータである。
画面上に表示されるデータの例を示している。入力装置
14を介して与えられた点列に基づいて、上限関数M+
(x)と下限関数M- (x) を設定する。適性化方法によっ
て求められる適性関数f(x)は、分母分子がそれぞれ4
次の多項式で表される有理関数(47)式で表される。 f( x )=( A0 +A1 x+A2 x2 +A3 x3 +A4 x4) /( B0 +B1 x+B2 x2 +B3 x3 +B4 x4) (47) ここでA0,A1,A2,A3,A4,B0,B1,B2,B3,B4 は、
実数のパラメータである。
【0077】この(47)式は、デジタルのバンドパス
フィルタの2乗振幅特性を示している。この2乗振幅特
性を示す(47)式からデジタルフィルタの伝達関数が
得られることは、実施例5において詳述する。
フィルタの2乗振幅特性を示している。この2乗振幅特
性を示す(47)式からデジタルフィルタの伝達関数が
得られることは、実施例5において詳述する。
【0078】以上のように実施例4の適性化装置によれ
ば、実施例3と同様の効果が得られる。また実施例4の
適性化装置では、適性領域の上限と下限をディスプレイ
の画面上に視覚的に表示するとともに、この表示された
適性領域上に適性関数f(x) を重ねて表示する構成を有
している。したがって、入力データの広がりや、その広
がりと適性化方法の処理結果との対応関係が視覚的に直
接理解できるので、適性化方法を例えは設計システムに
利用した場合、設計が容易になり、仕様変更や設計変更
が効率よく行われるという効果が得られる。
ば、実施例3と同様の効果が得られる。また実施例4の
適性化装置では、適性領域の上限と下限をディスプレイ
の画面上に視覚的に表示するとともに、この表示された
適性領域上に適性関数f(x) を重ねて表示する構成を有
している。したがって、入力データの広がりや、その広
がりと適性化方法の処理結果との対応関係が視覚的に直
接理解できるので、適性化方法を例えは設計システムに
利用した場合、設計が容易になり、仕様変更や設計変更
が効率よく行われるという効果が得られる。
【0079】〔実施例5〕ここでは、本発明の適性化方
法をデジタル信号処理システムの一例としてのデジタル
フィルタの設計に適用した場合について説明する。デジ
タルフィルタはIIRフィルタとFIRフィルタとに分
類される。従来のIIRフィルタの設計は、矩形的特
性だけを扱い自在な特性を扱うのが困難、各帯域のリ
ップル特性、遅延特性を決定するための多くの計算法を
場合に応じて使い分けなくてはならない、またFIRフ
ィルタについては、窓関数による特性の劣化が起き
る、といった問題がある。さらに、両者に共通する問題
として、一般に特性が期待される範囲内に納まること
が保証されない、係数の量子化誤差による特性の劣化
を補償することができない、システムの次数が、要求
特性を実現できる最小の次数より過大になってしまう、
という問題があった。
法をデジタル信号処理システムの一例としてのデジタル
フィルタの設計に適用した場合について説明する。デジ
タルフィルタはIIRフィルタとFIRフィルタとに分
類される。従来のIIRフィルタの設計は、矩形的特
性だけを扱い自在な特性を扱うのが困難、各帯域のリ
ップル特性、遅延特性を決定するための多くの計算法を
場合に応じて使い分けなくてはならない、またFIRフ
ィルタについては、窓関数による特性の劣化が起き
る、といった問題がある。さらに、両者に共通する問題
として、一般に特性が期待される範囲内に納まること
が保証されない、係数の量子化誤差による特性の劣化
を補償することができない、システムの次数が、要求
特性を実現できる最小の次数より過大になってしまう、
という問題があった。
【0080】本発明の適性化方法をもちいれば上記問題
を解決して、デジタルフィルタを自在の特性で、かつ、
所望の特性範囲内に納るように最小の次数で設計するこ
とができる。以下、デジタルフィルタの設計について次
の順に説明する。簡単のためサンプリング周期Tを1に
規格化しておくが他の周期に対しても容易に一般化でき
る。また位相特性や偏角arg はアンラップした表示を行
い、0〜2πの範囲を超えて連続的な多回転角を表す。 1.有理関数形の伝達関数を有するデジタルフィルタの
振幅特性設計 2.多項式形伝達関数、全極形伝達関数を有するデジタ
ルフィルタの特性設計 (1)振幅・位相の同時指定特性設計 (2)位相特性設計 (3)完全直線位相FIRフィルタの振幅特性設計 3.オールパスフィルタの設計
を解決して、デジタルフィルタを自在の特性で、かつ、
所望の特性範囲内に納るように最小の次数で設計するこ
とができる。以下、デジタルフィルタの設計について次
の順に説明する。簡単のためサンプリング周期Tを1に
規格化しておくが他の周期に対しても容易に一般化でき
る。また位相特性や偏角arg はアンラップした表示を行
い、0〜2πの範囲を超えて連続的な多回転角を表す。 1.有理関数形の伝達関数を有するデジタルフィルタの
振幅特性設計 2.多項式形伝達関数、全極形伝達関数を有するデジタ
ルフィルタの特性設計 (1)振幅・位相の同時指定特性設計 (2)位相特性設計 (3)完全直線位相FIRフィルタの振幅特性設計 3.オールパスフィルタの設計
【0081】1.有理関数形の伝達関数を有するデジタ
ルフィルタの振幅特性設計 まず伝達関数が有理関数の形で表わされるデジタルフィ
ルタについて、位相特性は無視して振幅特性のみを指定
して設計する。特性を要求する範囲Do を Do ={0≦ω≦π} (48) とおく。伝達関数の次数は任意に設定できるが、以下分
子、分母とも4次式の場合について説明する。
ルフィルタの振幅特性設計 まず伝達関数が有理関数の形で表わされるデジタルフィ
ルタについて、位相特性は無視して振幅特性のみを指定
して設計する。特性を要求する範囲Do を Do ={0≦ω≦π} (48) とおく。伝達関数の次数は任意に設定できるが、以下分
子、分母とも4次式の場合について説明する。
【0082】伝達関数H(z) を H(z) =( ao + a1 z-1+ a2 z-2+ a3 z-3+ a4 z-4) /( bo + b1 z-1+ b2 z-2+ b3 z-3+ b4 z-4) =P(z) /Q(z) (49) とし、上記のように分子、分母をそれぞれP(z) 、Q
(z) とおく。(49)式はIIRフィルタの伝達関数を
示しているが、FIRフィルタの場合はQ(z) =bo と
おけばよい。
(z) とおく。(49)式はIIRフィルタの伝達関数を
示しているが、FIRフィルタの場合はQ(z) =bo と
おけばよい。
【0083】計算の便宜上振幅特性を2乗振幅特性で示
すことにする。フィルタの2乗振幅特性は、H(z) 式に
z=ejwを代入して、次式のようにH( ejw) H* ( e
jw)で定義される( * は複素共役を表わす) 。 H( ejw) H* ( ejw )=H( ejw) H( e-jw ) =( Ao + A1cosω+ A2cos2 ω+ A3cos3 ω+ A4cos4 ω) /( Bo + B1cosω+ B2cos2 ω+ B3cos3 ω+ B4cos4 ω) (50) 2乗振幅特性は上式のようにcos ωの関数として表わさ
れる。この分子、分母をそれぞれp(cosω),q(cosω)
、またf(cosω) =p(cosω) /q(cosω) とおく。
Ao , A1 , A2 , A3 , A4 はそれぞれao , a1 ,
a2 , a3 , a4 の2次多項式として表わされ、Bo ,
B1 , B2 , B3 , B4 はそれぞれbo , b1,b2 , b
3 , b4 の2次多項式として表わされる。なお、ここで
は cosk ωを基底関数として説明するが、基底関数はこ
のとり方に限定されるわけではなく、例えば cos kω
( k = 0,1,...,4 )を基底関数としてD0 上での適性化
を行うこともできる。
すことにする。フィルタの2乗振幅特性は、H(z) 式に
z=ejwを代入して、次式のようにH( ejw) H* ( e
jw)で定義される( * は複素共役を表わす) 。 H( ejw) H* ( ejw )=H( ejw) H( e-jw ) =( Ao + A1cosω+ A2cos2 ω+ A3cos3 ω+ A4cos4 ω) /( Bo + B1cosω+ B2cos2 ω+ B3cos3 ω+ B4cos4 ω) (50) 2乗振幅特性は上式のようにcos ωの関数として表わさ
れる。この分子、分母をそれぞれp(cosω),q(cosω)
、またf(cosω) =p(cosω) /q(cosω) とおく。
Ao , A1 , A2 , A3 , A4 はそれぞれao , a1 ,
a2 , a3 , a4 の2次多項式として表わされ、Bo ,
B1 , B2 , B3 , B4 はそれぞれbo , b1,b2 , b
3 , b4 の2次多項式として表わされる。なお、ここで
は cosk ωを基底関数として説明するが、基底関数はこ
のとり方に限定されるわけではなく、例えば cos kω
( k = 0,1,...,4 )を基底関数としてD0 上での適性化
を行うこともできる。
【0084】範囲Do 上で2乗振幅特性の要求範囲を表
わす上限関数M+ (cosω) 、下限関数M- (cosω) を与
える。Do 上でcos ωは1から−1の値をとるから、x
=cos ω、D={−1≦x ≦1}とおいて、次の決定式
によって適性化を行う。 M+ (x) <f(x) =p(x) /q(x) <M- (x) (x∈D) (51) 0<q(x) (x∈D) (52) ここでq(x) が正という条件はフィルタが安定するため
に必要な条件である。上式から、既に説明した適性化の
手法によって、f(x) のパラメータAo , A1 ,A2 ,
A3 , A4 およびBo , B1 , B2 , B3 , B4 を求め
る。こうして得られた2乗振幅特性p(x) /q(x) から
対応する伝達関数P(z) /Q(z) を以下のように求め
る。
わす上限関数M+ (cosω) 、下限関数M- (cosω) を与
える。Do 上でcos ωは1から−1の値をとるから、x
=cos ω、D={−1≦x ≦1}とおいて、次の決定式
によって適性化を行う。 M+ (x) <f(x) =p(x) /q(x) <M- (x) (x∈D) (51) 0<q(x) (x∈D) (52) ここでq(x) が正という条件はフィルタが安定するため
に必要な条件である。上式から、既に説明した適性化の
手法によって、f(x) のパラメータAo , A1 ,A2 ,
A3 , A4 およびBo , B1 , B2 , B3 , B4 を求め
る。こうして得られた2乗振幅特性p(x) /q(x) から
対応する伝達関数P(z) /Q(z) を以下のように求め
る。
【0085】まず分母q(x) から伝達関数の分母Q(z)
への変換については次のように行う。q(x) を高次代数
方程式の数値解法等により実数の範囲で因数分解し、1
次因子qi (x) =αi + βi xと2次因子qj (x) =α
j + βj x+ γj x2(1≦i<j≦4) の積によって q(x) =q1 q2 ・・・qm (m≦4) (53) と表わす。ここで各qk はD上で正になるようにとる。
2乗振幅特性がqi (cosω) になる1次の伝達関数をQ
i 、2乗振幅特性がqj (cosω) になる2次の伝達関数
をQj とする。これらは連立2次代数方程式を解くこと
により容易に得られる。このとき、 Q(z) =Q1(z)Q2(z)・・・Qm (m≦4) (54) が求める伝達関数の分母である。P(z) も同様に求ま
る。それぞれのqk 、pに対応するQk 、Pk ( k =
1,2,...m )は複数あって、その中からフィルタの安定
条件( H(z) が単位円の内側に極をもつこと) を満足す
るようにQk を選択する。この選択は0<q(x) という
条件を課したことにより常に可能である。選択する
Qk 、Pk が異なれば位相特性が異なってくるが、逆に
Qk 、Pk を適当に選ぶことにより希望に近い位相特性
を実現することができる。以上の方法はより高次のフィ
ルタにも適用できることはもちろんである。また、上記
のようにq( x) を因数分解してQ( z )に変換する手
法は伝達関数を求める方法の一例に過ぎず、計算を簡単
にするためのものであって、他の方法で求めてもよい。
たとえば、適当な高次元の代数方程式の数値解法により
Bo ,..., B4 から直接bo ,..., b4 を求めることも
できる。
への変換については次のように行う。q(x) を高次代数
方程式の数値解法等により実数の範囲で因数分解し、1
次因子qi (x) =αi + βi xと2次因子qj (x) =α
j + βj x+ γj x2(1≦i<j≦4) の積によって q(x) =q1 q2 ・・・qm (m≦4) (53) と表わす。ここで各qk はD上で正になるようにとる。
2乗振幅特性がqi (cosω) になる1次の伝達関数をQ
i 、2乗振幅特性がqj (cosω) になる2次の伝達関数
をQj とする。これらは連立2次代数方程式を解くこと
により容易に得られる。このとき、 Q(z) =Q1(z)Q2(z)・・・Qm (m≦4) (54) が求める伝達関数の分母である。P(z) も同様に求ま
る。それぞれのqk 、pに対応するQk 、Pk ( k =
1,2,...m )は複数あって、その中からフィルタの安定
条件( H(z) が単位円の内側に極をもつこと) を満足す
るようにQk を選択する。この選択は0<q(x) という
条件を課したことにより常に可能である。選択する
Qk 、Pk が異なれば位相特性が異なってくるが、逆に
Qk 、Pk を適当に選ぶことにより希望に近い位相特性
を実現することができる。以上の方法はより高次のフィ
ルタにも適用できることはもちろんである。また、上記
のようにq( x) を因数分解してQ( z )に変換する手
法は伝達関数を求める方法の一例に過ぎず、計算を簡単
にするためのものであって、他の方法で求めてもよい。
たとえば、適当な高次元の代数方程式の数値解法により
Bo ,..., B4 から直接bo ,..., b4 を求めることも
できる。
【0086】2.多項式形伝達関数、全極形伝達関数を
有するデジタルフィルタの特性設計 ここでは伝達関数H(z) がz-1の多項式であるFIRフ
ィルタ、およびH-1(z) がz-1の多項式である全極形フ
ィルタの設計について説明する。 (1)振幅・位相の同時指定特性設計 まず振幅と位相の両方を指定した設計について説明す
る。適性化の範囲を(48)式のD0 とする。FIRフ
ィルタの伝達関数を、 H(z) =ao + a1 z-1+ a2 z-2+ ・・・+ an z-n (55) として、振幅、位相の上限下限関数をそれぞれM+ ( ω
)、M- ( ω )、θ+ (ω) 、θ- ( ω )とおく。これ
らの具体的な入力は、たとえばCRT画面上でマウスや
キーボードを使用してグラフを描いて入力できるように
したり、あるいは数式を直接入力できるようにしてもよ
い。もちろんファイル入力でもよい。さらに、 Mc(ω) =( M+ ( ω )+M- ( ω )) /2 (振幅の上限下限の中間値) (56) θc(ω) =( θ+ ( ω ) +θ- ( ω )) /2 (位相の上限下限の中間値) (57) ΔM (ω) =( M+ ( ω )−M- ( ω))/2 (振幅許容幅の1/2値) (58) Δθ (ω) =( θ+ ( ω )−θ- ( ω )) /2 (位相許容幅の1/2値) (59) IH ( ω )=Im( H( ejw )) (伝達関数の虚部) (60) RH ( ω )=Re( H( ejw )) (伝達関数の実部) (61) とおく。この場合の適性領域は図13の上の斜線部分で
あり、Δθがあまり大きくなければ適性領域は図13の
点c1,c2,c3,c4 を頂点とする長方形領域で近似でき
る。この近似は長方形に限らず多角形、円でもよい。Δ
θが大きいときや近似精度を上げたいときにはもっと多
くの頂点をもつ凸包体を使えばよい。この適性領域をC
( ω )とすると、適性化の決定式は H( ejw) ∈C( ω ) (62) である。すなわち、H( ejw )がC( ω )内にあればよ
い。
有するデジタルフィルタの特性設計 ここでは伝達関数H(z) がz-1の多項式であるFIRフ
ィルタ、およびH-1(z) がz-1の多項式である全極形フ
ィルタの設計について説明する。 (1)振幅・位相の同時指定特性設計 まず振幅と位相の両方を指定した設計について説明す
る。適性化の範囲を(48)式のD0 とする。FIRフ
ィルタの伝達関数を、 H(z) =ao + a1 z-1+ a2 z-2+ ・・・+ an z-n (55) として、振幅、位相の上限下限関数をそれぞれM+ ( ω
)、M- ( ω )、θ+ (ω) 、θ- ( ω )とおく。これ
らの具体的な入力は、たとえばCRT画面上でマウスや
キーボードを使用してグラフを描いて入力できるように
したり、あるいは数式を直接入力できるようにしてもよ
い。もちろんファイル入力でもよい。さらに、 Mc(ω) =( M+ ( ω )+M- ( ω )) /2 (振幅の上限下限の中間値) (56) θc(ω) =( θ+ ( ω ) +θ- ( ω )) /2 (位相の上限下限の中間値) (57) ΔM (ω) =( M+ ( ω )−M- ( ω))/2 (振幅許容幅の1/2値) (58) Δθ (ω) =( θ+ ( ω )−θ- ( ω )) /2 (位相許容幅の1/2値) (59) IH ( ω )=Im( H( ejw )) (伝達関数の虚部) (60) RH ( ω )=Re( H( ejw )) (伝達関数の実部) (61) とおく。この場合の適性領域は図13の上の斜線部分で
あり、Δθがあまり大きくなければ適性領域は図13の
点c1,c2,c3,c4 を頂点とする長方形領域で近似でき
る。この近似は長方形に限らず多角形、円でもよい。Δ
θが大きいときや近似精度を上げたいときにはもっと多
くの頂点をもつ凸包体を使えばよい。この適性領域をC
( ω )とすると、適性化の決定式は H( ejw) ∈C( ω ) (62) である。すなわち、H( ejw )がC( ω )内にあればよ
い。
【0087】いま計算の便宜上適性領域C( ω )を図1
4に示すように−θc だけ回転させて実軸上に移動さ
せ、H( ejw )の決定式を実部と虚部に分けて実数で表
現すると、 b( Mc(ω) −ΔM( ω )) <RH ( ω )cos θc(ω)+IH ( ω)sinθc(ω) <b( Mc(ω)+ΔM( ω )) (63) −b( Mc(ω)sinΔθ (ω)) <−RH ( ω)sinθc(ω)+IH ( ω)cosθc(ω) <b( Mc(ω)sinΔθ( ω)) (64) となる。bは式の形を整えるためのパラメータで、適性
関数を求めた後で1とおく。さらに、 X=( ao , a1,..., an , b) (65) ξc(ω) =( 1,cos ω,...,cos(n−1) ω,cos nω,0) (66) ξs(ω) =( 0,−sin ω,...,−sin(n−1) ω,−sin nω,0) (67) とおけば、 IH ( ω )=( X,ξs(ω)) (68) RH ( ω )=( X,ξc(ω)) (69) と表現できる。したがって決定式は、 b( Mc(ω) −ΔM( ω)) <( X,cos θc(ω) ξc(ω)+sin θc(ω) ξs(ω)) <b( Mc(ω)+ΔM( ω)) (70) −b( Mc(ω)sinΔθ( ω)) <( X,−sin θc(ω) ξc(ω)+cos θc(ω) ξs(ω) <b( Mc(ω)sinΔθ( ω)) (71) となる。en+2 =( 0,0,...,0,1) とおき、 η+ ( ω )= (Mc(ω)+ΔM( ω))en+2 −(cosθc(ω) ξc(ω)+sin θc(ω) ξs(ω)) (72) η- ( ω )=−( Mc(ω) −ΔM( ω))en+2 + cos θc(ω) ξc(ω)+sin θc(ω) ξs(ω) (73) φ+ ( ω )=Mc(ω)sinΔθ( ω )en+2 −( −sin θc(ω) ξc(ω) +cos θc(ω) ξs(ω)) (74) φ- ( ω )=Mc(ω)sinΔθ( ω )en+2 +(−sin θc(ω) ξc(ω)+cos θc(ω) ξs(ω)) (75) とすれば、結局、決定式は、 0<( X,η+ ( ω)) (76) 0<( X,η- ( ω)) (77) 0<( X,φ+ ( ω)) (78) 0<( X,φ- ( ω)) (79) となる。以後はD0 を分割し、生成凸包体を作り適性化
を行なえば、解領域の点Xはそのまま伝達関数(55)
式のパラメータであるから振幅特性および位相特性とも
に指定した範囲内に納まるFIRフィルタが得られる。
4に示すように−θc だけ回転させて実軸上に移動さ
せ、H( ejw )の決定式を実部と虚部に分けて実数で表
現すると、 b( Mc(ω) −ΔM( ω )) <RH ( ω )cos θc(ω)+IH ( ω)sinθc(ω) <b( Mc(ω)+ΔM( ω )) (63) −b( Mc(ω)sinΔθ (ω)) <−RH ( ω)sinθc(ω)+IH ( ω)cosθc(ω) <b( Mc(ω)sinΔθ( ω)) (64) となる。bは式の形を整えるためのパラメータで、適性
関数を求めた後で1とおく。さらに、 X=( ao , a1,..., an , b) (65) ξc(ω) =( 1,cos ω,...,cos(n−1) ω,cos nω,0) (66) ξs(ω) =( 0,−sin ω,...,−sin(n−1) ω,−sin nω,0) (67) とおけば、 IH ( ω )=( X,ξs(ω)) (68) RH ( ω )=( X,ξc(ω)) (69) と表現できる。したがって決定式は、 b( Mc(ω) −ΔM( ω)) <( X,cos θc(ω) ξc(ω)+sin θc(ω) ξs(ω)) <b( Mc(ω)+ΔM( ω)) (70) −b( Mc(ω)sinΔθ( ω)) <( X,−sin θc(ω) ξc(ω)+cos θc(ω) ξs(ω) <b( Mc(ω)sinΔθ( ω)) (71) となる。en+2 =( 0,0,...,0,1) とおき、 η+ ( ω )= (Mc(ω)+ΔM( ω))en+2 −(cosθc(ω) ξc(ω)+sin θc(ω) ξs(ω)) (72) η- ( ω )=−( Mc(ω) −ΔM( ω))en+2 + cos θc(ω) ξc(ω)+sin θc(ω) ξs(ω) (73) φ+ ( ω )=Mc(ω)sinΔθ( ω )en+2 −( −sin θc(ω) ξc(ω) +cos θc(ω) ξs(ω)) (74) φ- ( ω )=Mc(ω)sinΔθ( ω )en+2 +(−sin θc(ω) ξc(ω)+cos θc(ω) ξs(ω)) (75) とすれば、結局、決定式は、 0<( X,η+ ( ω)) (76) 0<( X,η- ( ω)) (77) 0<( X,φ+ ( ω)) (78) 0<( X,φ- ( ω)) (79) となる。以後はD0 を分割し、生成凸包体を作り適性化
を行なえば、解領域の点Xはそのまま伝達関数(55)
式のパラメータであるから振幅特性および位相特性とも
に指定した範囲内に納まるFIRフィルタが得られる。
【0088】上記実施例において、上限関数、下限関数
によって適正領域C( ω )を(63)、(64)式のよ
うに設定したが、それに限らず、たとえば最初から図1
3にC´( ω )で示すように、直接凸包体で与えるよう
にしてもよい。(請求項4に対応)
によって適正領域C( ω )を(63)、(64)式のよ
うに設定したが、それに限らず、たとえば最初から図1
3にC´( ω )で示すように、直接凸包体で与えるよう
にしてもよい。(請求項4に対応)
【0089】全極形フィルタに関しては上述した適性領
域C( ω )の点の逆数を新たな適性領域とみなしてH-1
(z) をFIRと同様に適性化すればよい。具体的には、
例えば点1/c1,1/c2,1/c3,1/c4 を頂点とす
る領域を含む凸包体を新たな適性領域とすればよい。但
しこの場合H(z) が安定になるためにはH-1(z) の零点
がすべて単位円の内に存在することが必要になるから、
ω→2πのとき、θC( ω )−θC (0) =0という制約
を満たさなくてはならない(偏角の原理)。
域C( ω )の点の逆数を新たな適性領域とみなしてH-1
(z) をFIRと同様に適性化すればよい。具体的には、
例えば点1/c1,1/c2,1/c3,1/c4 を頂点とす
る領域を含む凸包体を新たな適性領域とすればよい。但
しこの場合H(z) が安定になるためにはH-1(z) の零点
がすべて単位円の内に存在することが必要になるから、
ω→2πのとき、θC( ω )−θC (0) =0という制約
を満たさなくてはならない(偏角の原理)。
【0090】なお本設計法では簡単のため周波数が1次
元であるFIRフィルタの設計を例示したが、本設計法
を多次元FIRフィルタに対して拡張することは極めて
容易である。
元であるFIRフィルタの設計を例示したが、本設計法
を多次元FIRフィルタに対して拡張することは極めて
容易である。
【0091】(2)位相特性設計 ここでは振幅特性を無視する。位相のみであるから、図
13において、M- =0、M+ =+∞とおき、C( ω )
を錐体にとれば、前項の場合と考え方は基本的には同じ
である。前項と同様にH( ejw )を−θc だけ回転させ
て図15のように実軸上に移動させると、H( ejw )の
位相の決定式は、 − tanΔθ( ω )< Im(exp(-jθc(ω))H( ejw))/Re(exp(-jθc(ω))H( ejw)) < tanΔθ( ω) (80) 0<Re(exp(-jθc(ω))H( ejw)) (81) となる(但しΔθ<π/2とする)。ここで Re(exp(-jθc(ω))H( ejw)) =( X,cos θc(ω) ξc(ω)+sin θc(ω) ξs(ω)) (82) Im(exp(-jθc(ω))H( ejw)) =( X,-sinθc(ω) ξc(ω)+cos θc(ω) ξs(ω)) (83) である(X、ξc(ω) 、ξs(ω) については(65)、
(66)、(67)式参照)。次に、 η+ ( ω) =(cosθc(ω)tanΔθ (ω)+ sinθc(ω))ξc(ω) + (sinθc(ω)tanΔθ (ω) − cosθc(ω))ξs(ω) (84) η- ( ω) =(cosθc(ω)tanΔθ (ω) − sinθc(ω))ξc(ω) + (sinθc(ω)tanΔθ (ω)+ cosθc(ω))ξs(ω) (85) η0(ω) = cosθc(ω) ξc(ω)+ sinθc(ω) ξs(ω) (86) とおけば、決定式は、 0<( X, η+ ( ω)) (87) 0<( X, η- ( ω)) (88) 0<( X, η0(ω)) (89) と表わすことができる。以下は前項と同様に本発明によ
る適性化方法を用いてXを求めることができる。
13において、M- =0、M+ =+∞とおき、C( ω )
を錐体にとれば、前項の場合と考え方は基本的には同じ
である。前項と同様にH( ejw )を−θc だけ回転させ
て図15のように実軸上に移動させると、H( ejw )の
位相の決定式は、 − tanΔθ( ω )< Im(exp(-jθc(ω))H( ejw))/Re(exp(-jθc(ω))H( ejw)) < tanΔθ( ω) (80) 0<Re(exp(-jθc(ω))H( ejw)) (81) となる(但しΔθ<π/2とする)。ここで Re(exp(-jθc(ω))H( ejw)) =( X,cos θc(ω) ξc(ω)+sin θc(ω) ξs(ω)) (82) Im(exp(-jθc(ω))H( ejw)) =( X,-sinθc(ω) ξc(ω)+cos θc(ω) ξs(ω)) (83) である(X、ξc(ω) 、ξs(ω) については(65)、
(66)、(67)式参照)。次に、 η+ ( ω) =(cosθc(ω)tanΔθ (ω)+ sinθc(ω))ξc(ω) + (sinθc(ω)tanΔθ (ω) − cosθc(ω))ξs(ω) (84) η- ( ω) =(cosθc(ω)tanΔθ (ω) − sinθc(ω))ξc(ω) + (sinθc(ω)tanΔθ (ω)+ cosθc(ω))ξs(ω) (85) η0(ω) = cosθc(ω) ξc(ω)+ sinθc(ω) ξs(ω) (86) とおけば、決定式は、 0<( X, η+ ( ω)) (87) 0<( X, η- ( ω)) (88) 0<( X, η0(ω)) (89) と表わすことができる。以下は前項と同様に本発明によ
る適性化方法を用いてXを求めることができる。
【0092】全極形フィルタについても同様に位相特性
を適性化することができるが、フィルタの安定性を満足
させるために前項と同様の制約条件を満たさなくてはな
らない。
を適性化することができるが、フィルタの安定性を満足
させるために前項と同様の制約条件を満たさなくてはな
らない。
【0093】(3)完全直線位相FIRフィルタの振幅
設計 完全直線FIRフィルタの偶数次の伝達関数は次式の通
りである(奇数次の場合もわずかの修正で適用可能であ
る)。 H(z) =ao + a1 z-1+ ・・・+ an z-n + an+1 z-(n+1)+ an z-(n+2)+ ・・・+ ao z-2n (90) この場合、(60)、(61)式に従い、 RH ( ω )= ao ( 1 + cos 2nω)+ a1(cosω+cos(2n-1)ω) + ・・・+an+1cos(n+1) ω (91) IH ( ω )=-ao ( 0 + sin 2nω)- a1(sinω+sin(2n-1)ω) - ・・・ - an+1sin (n+1)ω (92) とおけるから、 X=(ao , a1,..., an+1,b ) (93) ξc(ω) =(1+cos2nω, cos ω+cos(2n-1)ω, ..., cos(n+1)ω, 0) (94) ξs(ω) =( -sin2nω,-sinω-sin(2n-1)ω, ...,-sin(n+1)ω, 0) (95) とおけば、 RH ( ω )=( X,ξc(ω)) (96) IH ( ω )=( X,ξs(ω)) (97) と表わせる。その後は(1)振幅・位相の同時指定設計
の項で述べたと同様にしてXを求めて伝達関数を決定す
ることができる((70)式〜(79)式参照)。但
し、この場合、位相特性は完全に直線であるから、位相
の上限関数θ+ ( ω) 、下限関数θ- ( ω )は、あまり
大きくない正数Δ( ω )をとって、 θ+ ( ω )=−nω+Δ( ω ) (98) θ- ( ω )=−nω−Δ( ω ) (99) として与えておく。あるいはθC =−nωとおき、(7
8)、(79)式の条件をとり除き適性化を行ってもよ
い。また、単にθ+ 、θ- を(98)、(99)式のよ
うに置き、Δを十分小さく取っただけでも、「(1)振
幅・位相の同時指定設計」の項に記載した方法により直
線位相のFIRフィルタを得ることができる。なお、伝
達関数の振幅項を予め計算しておき、その項に対して適
性化を行ってもよい。
設計 完全直線FIRフィルタの偶数次の伝達関数は次式の通
りである(奇数次の場合もわずかの修正で適用可能であ
る)。 H(z) =ao + a1 z-1+ ・・・+ an z-n + an+1 z-(n+1)+ an z-(n+2)+ ・・・+ ao z-2n (90) この場合、(60)、(61)式に従い、 RH ( ω )= ao ( 1 + cos 2nω)+ a1(cosω+cos(2n-1)ω) + ・・・+an+1cos(n+1) ω (91) IH ( ω )=-ao ( 0 + sin 2nω)- a1(sinω+sin(2n-1)ω) - ・・・ - an+1sin (n+1)ω (92) とおけるから、 X=(ao , a1,..., an+1,b ) (93) ξc(ω) =(1+cos2nω, cos ω+cos(2n-1)ω, ..., cos(n+1)ω, 0) (94) ξs(ω) =( -sin2nω,-sinω-sin(2n-1)ω, ...,-sin(n+1)ω, 0) (95) とおけば、 RH ( ω )=( X,ξc(ω)) (96) IH ( ω )=( X,ξs(ω)) (97) と表わせる。その後は(1)振幅・位相の同時指定設計
の項で述べたと同様にしてXを求めて伝達関数を決定す
ることができる((70)式〜(79)式参照)。但
し、この場合、位相特性は完全に直線であるから、位相
の上限関数θ+ ( ω) 、下限関数θ- ( ω )は、あまり
大きくない正数Δ( ω )をとって、 θ+ ( ω )=−nω+Δ( ω ) (98) θ- ( ω )=−nω−Δ( ω ) (99) として与えておく。あるいはθC =−nωとおき、(7
8)、(79)式の条件をとり除き適性化を行ってもよ
い。また、単にθ+ 、θ- を(98)、(99)式のよ
うに置き、Δを十分小さく取っただけでも、「(1)振
幅・位相の同時指定設計」の項に記載した方法により直
線位相のFIRフィルタを得ることができる。なお、伝
達関数の振幅項を予め計算しておき、その項に対して適
性化を行ってもよい。
【0094】3.オールパスフィルタの設計 FIRフィルタの位相特性の設計について「(2)位相
特性設計」の項で説明したが、これを応用してオールパ
スフィルタを設計することができる。n次オールパスフ
ィルタの伝達関数をH( z )は、 P( z )=ao + a1 z-1+ ・・・+ an z-n (100) とおくと、 H( z )=z-nP( z-1) /P( z ) (101) であり、その位相特性は、 arg H( ejw )=−nω−2arg P( ejw ) (102) である。位相特性の上限関数、下限関数をそれぞれθ+
( ω )、θ- ( ω )とすると決定式は、 θ- ( ω )<−nω−2 argP( ejw )<θ+ ( ω ) (103) となるから、 φ+ ( ω )=( −nω−θ- ( ω))/2 (104) φ- ( ω )=( −nω−θ+ ( ω))/2 (105) とおけば、φ+ ( ω )、φ- ( ω )を argP( ejw )の
上限関数、下限関数として、「(2)位相特性設計」の
項の手法により適性化すればよい。ここで、フィルタの
安定条件として、φ+ ( ω )、φ- ( ω )は、P( z )
の零点が全て単位円に存在するように決定する必要があ
るから、φC =( φ+ + φ- ) /2と置くと、ω→ 2π
のとき、φC ( ω )−φC ( 0 )=−2πnという条件
を満たさなければならない。この条件があることによ
り、フィルタの次数nが特性の大まかな形状を決めてし
まう。しかし直線位相との差のみを特性の設計目標とす
れば、この条件下でもフィルタの次数を選ぶことができ
る。
特性設計」の項で説明したが、これを応用してオールパ
スフィルタを設計することができる。n次オールパスフ
ィルタの伝達関数をH( z )は、 P( z )=ao + a1 z-1+ ・・・+ an z-n (100) とおくと、 H( z )=z-nP( z-1) /P( z ) (101) であり、その位相特性は、 arg H( ejw )=−nω−2arg P( ejw ) (102) である。位相特性の上限関数、下限関数をそれぞれθ+
( ω )、θ- ( ω )とすると決定式は、 θ- ( ω )<−nω−2 argP( ejw )<θ+ ( ω ) (103) となるから、 φ+ ( ω )=( −nω−θ- ( ω))/2 (104) φ- ( ω )=( −nω−θ+ ( ω))/2 (105) とおけば、φ+ ( ω )、φ- ( ω )を argP( ejw )の
上限関数、下限関数として、「(2)位相特性設計」の
項の手法により適性化すればよい。ここで、フィルタの
安定条件として、φ+ ( ω )、φ- ( ω )は、P( z )
の零点が全て単位円に存在するように決定する必要があ
るから、φC =( φ+ + φ- ) /2と置くと、ω→ 2π
のとき、φC ( ω )−φC ( 0 )=−2πnという条件
を満たさなければならない。この条件があることによ
り、フィルタの次数nが特性の大まかな形状を決めてし
まう。しかし直線位相との差のみを特性の設計目標とす
れば、この条件下でもフィルタの次数を選ぶことができ
る。
【0095】このようにして設計されたオールパスフィ
ルタと、振幅特性のみを指定して設計したIIRフィル
タとを合成することにより、振幅特性と位相特性の両方
を指定したIIRフィルタを構成することができる。振
幅特性のみを満たすフィルタの位相特性を指定された位
相特性から差引いてオールパスフィルタの位相特性とす
ればよい。
ルタと、振幅特性のみを指定して設計したIIRフィル
タとを合成することにより、振幅特性と位相特性の両方
を指定したIIRフィルタを構成することができる。振
幅特性のみを満たすフィルタの位相特性を指定された位
相特性から差引いてオールパスフィルタの位相特性とす
ればよい。
【0096】以上のように、本発明の適性化方法をデジ
タルフィルタの設計に適用することにより以下の効果が
得られる。すなわち、振幅及び位相の特性を自在に、か
つ容易に設計することができる。また特性を要求範囲内
に収めることができ、かつそれを実現できる最小の次数
を厳密に計算できて、素子数を最小にすることができ
る。振幅特性の設計については、FIR、IIRのどち
らのフィルタにも適用でき、また常にフィルタの安定条
件を満足できるように容易に設計できる。窓関数の媒介
なしに直接FIRフィルタを設計できるから、それによ
る特性劣化が発生しない。また解領域が広がりをもつか
ら量子化誤差等各種の偏差に対して安定的であるととも
に、解領域の広がりを利用して他の設計条件に対しても
最適化および適性化できる。
タルフィルタの設計に適用することにより以下の効果が
得られる。すなわち、振幅及び位相の特性を自在に、か
つ容易に設計することができる。また特性を要求範囲内
に収めることができ、かつそれを実現できる最小の次数
を厳密に計算できて、素子数を最小にすることができ
る。振幅特性の設計については、FIR、IIRのどち
らのフィルタにも適用でき、また常にフィルタの安定条
件を満足できるように容易に設計できる。窓関数の媒介
なしに直接FIRフィルタを設計できるから、それによ
る特性劣化が発生しない。また解領域が広がりをもつか
ら量子化誤差等各種の偏差に対して安定的であるととも
に、解領域の広がりを利用して他の設計条件に対しても
最適化および適性化できる。
【0097】また、今までの説明は、要求する特性を与
えてこれを達成できるデジタルフィルタ等のデジタル信
号処理システムを求める、というものであった。この考
え方を逆にすれば、上記要求特性の代りに、実際のシス
テムの特性を与えて、このシステムを同定することがで
きる。例えば、あるデジタル信号処理システムの周波数
特性を測定し、その測定結果に所定の測定誤差を付与し
て所定の特性領域を設定する。この設定は、測定誤差の
範囲が知られていれば予め自動的に設定することもでき
る。次に前記特性領域内に入るように上記実施例と同様
の適性化を行うことによって対象システム(伝達関数な
ど)を同定することができる。このような方法または装
置は、たとえばデジタル信号処理システムの構造解析な
どに利用することができる。
えてこれを達成できるデジタルフィルタ等のデジタル信
号処理システムを求める、というものであった。この考
え方を逆にすれば、上記要求特性の代りに、実際のシス
テムの特性を与えて、このシステムを同定することがで
きる。例えば、あるデジタル信号処理システムの周波数
特性を測定し、その測定結果に所定の測定誤差を付与し
て所定の特性領域を設定する。この設定は、測定誤差の
範囲が知られていれば予め自動的に設定することもでき
る。次に前記特性領域内に入るように上記実施例と同様
の適性化を行うことによって対象システム(伝達関数な
ど)を同定することができる。このような方法または装
置は、たとえばデジタル信号処理システムの構造解析な
どに利用することができる。
【0098】なお、上記実施例において、フィルタの振
幅特性、位相特性の下限関数および上限関数を設定する
手法や適性化された振幅特性、位相特性から伝達関数を
求める手法は一例に過ぎず、例えば次のようにしてII
Rフィルタの周波数特性を設計することもできる。本実
施例第1.項のIIRフィルタを例にとると、要求周波
数特性を目標関数g (ω) 、システムの許容誤差範囲M
(ω) 、複素数zのノルムを‖z‖=max(Imz,
Rez)で定義した時、‖P(ejw) −g (ω)Q(ejw)
‖<b0 M (ω) を決定式とし、パラメータベクトルを
X=(b0,b1,.., b4,a0,..,a4 )として適性化
を行えばよい。この場合フィルタを安定にするために
は、本実施例第2.項(2)等の手法によりQに対しあ
る程度の位相に関する条件式を前記決定式に付加する必
要がある。
幅特性、位相特性の下限関数および上限関数を設定する
手法や適性化された振幅特性、位相特性から伝達関数を
求める手法は一例に過ぎず、例えば次のようにしてII
Rフィルタの周波数特性を設計することもできる。本実
施例第1.項のIIRフィルタを例にとると、要求周波
数特性を目標関数g (ω) 、システムの許容誤差範囲M
(ω) 、複素数zのノルムを‖z‖=max(Imz,
Rez)で定義した時、‖P(ejw) −g (ω)Q(ejw)
‖<b0 M (ω) を決定式とし、パラメータベクトルを
X=(b0,b1,.., b4,a0,..,a4 )として適性化
を行えばよい。この場合フィルタを安定にするために
は、本実施例第2.項(2)等の手法によりQに対しあ
る程度の位相に関する条件式を前記決定式に付加する必
要がある。
【0099】〔実施例6〕次に、本発明の適性化方法
を、線形のアナログシステム(たとえばアナログフィル
タ、増幅回路、ロボット等を制御するための制御装置
等)の周波数領域での設計に適用した例を示す。従来の
アナログシステムの設計法は、主に矩形的周波数特性
が前提になっていて設計法が非常に複雑である、自在
な特性を設計することは困難である、必要な特性を得
るために過剰な部品点数を必要とする、特性が期待す
る範囲内に納る保証はない、各種の偏差、誤差による
特性劣化を補償できない、といった問題があった。
を、線形のアナログシステム(たとえばアナログフィル
タ、増幅回路、ロボット等を制御するための制御装置
等)の周波数領域での設計に適用した例を示す。従来の
アナログシステムの設計法は、主に矩形的周波数特性
が前提になっていて設計法が非常に複雑である、自在
な特性を設計することは困難である、必要な特性を得
るために過剰な部品点数を必要とする、特性が期待す
る範囲内に納る保証はない、各種の偏差、誤差による
特性劣化を補償できない、といった問題があった。
【0100】本発明の適性化方法を用いれば上記問題を
すべて解決することができる。以下、デジタルフィルタ
の場合と同様に次の順に説明する。 1.有理関数形の伝達関数を有するアナログシステムの
振幅特性設計 2.多項式形伝達関数、全極形伝達関数を有するアナロ
グシステムの特性設計 (1)振幅・位相の同時指定特性設計 (2)位相特性設計 3.位相補正システム
すべて解決することができる。以下、デジタルフィルタ
の場合と同様に次の順に説明する。 1.有理関数形の伝達関数を有するアナログシステムの
振幅特性設計 2.多項式形伝達関数、全極形伝達関数を有するアナロ
グシステムの特性設計 (1)振幅・位相の同時指定特性設計 (2)位相特性設計 3.位相補正システム
【0101】1.有理関数形の伝達関数を有するアナロ
グシステムの振幅特性の設計 まず伝達関数が有理関数の形で表わされるアナログシス
テムについて、位相特性は無視して振幅特性のみを指定
して設計する。伝達関数の次数は任意に設定できるが、
以下4次式の場合について説明する。伝達関数H( s )
を H( s )=( ao + a1 s+ a2 s2+a3 s3+a4 s4) /( bo + b1 s+ b2 s2+b3 s3+b4 s4) =P( s )/Q( s ) (106) とし、上記のように分子、分母をそれぞれP( s )、Q
( s )とおく。多項式の伝達関数の場合はQ( s )=b
o とおけばよい。
グシステムの振幅特性の設計 まず伝達関数が有理関数の形で表わされるアナログシス
テムについて、位相特性は無視して振幅特性のみを指定
して設計する。伝達関数の次数は任意に設定できるが、
以下4次式の場合について説明する。伝達関数H( s )
を H( s )=( ao + a1 s+ a2 s2+a3 s3+a4 s4) /( bo + b1 s+ b2 s2+b3 s3+b4 s4) =P( s )/Q( s ) (106) とし、上記のように分子、分母をそれぞれP( s )、Q
( s )とおく。多項式の伝達関数の場合はQ( s )=b
o とおけばよい。
【0102】計算の便宜上振幅特性を2乗振幅特性で示
すことにする。システムの2乗振幅特性は、H( s )に
s=j ωを代入して、次式のようにH(jω) H* (jω)
で定義される( * は複素共役を表わす) 。 H(jω) H* (jω) =H(jω) H( −j ω) =( Ao + A1 ω2+A2 ω4+A3 ω6+A4 ω8) /( Bo + B1 ω2+B2 ω4+B3 ω6+B4 ω8) (107) 2乗振幅特性は上式のようにω2 の関数として表わされ
る。この分子、分母をそれぞれp( ω2 ) 、q( ω2 )
とおいてf( ω2)=p( ω2 ) /q( ω2 ) とおく。A
o , A1 , A2 , A3 , A4 はそれぞれao , a1 , a
2 , a3 , a4 の2次多項式として表わされ、Bo , B
1 , B2 , B3 , B4 はそれぞれbo , b1 , b2 , b
3 , b4 の2次多項式として表わされる。
すことにする。システムの2乗振幅特性は、H( s )に
s=j ωを代入して、次式のようにH(jω) H* (jω)
で定義される( * は複素共役を表わす) 。 H(jω) H* (jω) =H(jω) H( −j ω) =( Ao + A1 ω2+A2 ω4+A3 ω6+A4 ω8) /( Bo + B1 ω2+B2 ω4+B3 ω6+B4 ω8) (107) 2乗振幅特性は上式のようにω2 の関数として表わされ
る。この分子、分母をそれぞれp( ω2 ) 、q( ω2 )
とおいてf( ω2)=p( ω2 ) /q( ω2 ) とおく。A
o , A1 , A2 , A3 , A4 はそれぞれao , a1 , a
2 , a3 , a4 の2次多項式として表わされ、Bo , B
1 , B2 , B3 , B4 はそれぞれbo , b1 , b2 , b
3 , b4 の2次多項式として表わされる。
【0103】2乗振幅特性の要求範囲を表わす上限関数
M+ ( ω2)、下限関数M- ( ω2 )を与え、x=ω2 と
おき次式によって適性化を行う。 M+ ( x )<f( x )=p( x )/q( x )<M- ( x ) ( 0≦x<+∞) (108) 0<q( x ) (0≦x<+∞) (109) 上式において、q( x )が正という条件はシステムが安
定するために必要な条件である。実用上は適当に広い範
囲のxについて適性化を行っておけばよいが、次のよう
にすれば伝達関数の無限遠での挙動も制御できる。すな
わち、s'= 1/sとおいて無限遠点s' = 0 を導入し、
(106)式をs ' を用いて表現する。そしてx' = 1/
ω2 とおいて、(108)、(109)式と同様な決定
式をたてる。これらについては(0≦x' <1+ε)の
範囲で、また(108)、(109)式については(0
≦x<1+ε)の範囲で、全体を同時に適性化する。こ
こで、εは小さい正の数とする。このようにすれば、半
直線という無限領域がリーマン球面上の半円周という有
限領域に還元でき、有限領域上での適性化を行えばよい
ことになる。上式から、既に説明した適性化の手法によ
って、f( x )のパラメータAo , A1 , A2 , A3 ,
A4 およびBo , B1 , B2 , B3 , B4 を求める。こ
うして得られた2乗振幅特性p( ω2 ) /q( ω2 ) か
ら伝達関数P( s)/Q( s )を既に説明したデジタル
フィルタの場合と同様に求めることができる。またシス
テムの安定条件としてH( s )の極の実部が負になるよ
うにQ( s)を選択する必要がある。
M+ ( ω2)、下限関数M- ( ω2 )を与え、x=ω2 と
おき次式によって適性化を行う。 M+ ( x )<f( x )=p( x )/q( x )<M- ( x ) ( 0≦x<+∞) (108) 0<q( x ) (0≦x<+∞) (109) 上式において、q( x )が正という条件はシステムが安
定するために必要な条件である。実用上は適当に広い範
囲のxについて適性化を行っておけばよいが、次のよう
にすれば伝達関数の無限遠での挙動も制御できる。すな
わち、s'= 1/sとおいて無限遠点s' = 0 を導入し、
(106)式をs ' を用いて表現する。そしてx' = 1/
ω2 とおいて、(108)、(109)式と同様な決定
式をたてる。これらについては(0≦x' <1+ε)の
範囲で、また(108)、(109)式については(0
≦x<1+ε)の範囲で、全体を同時に適性化する。こ
こで、εは小さい正の数とする。このようにすれば、半
直線という無限領域がリーマン球面上の半円周という有
限領域に還元でき、有限領域上での適性化を行えばよい
ことになる。上式から、既に説明した適性化の手法によ
って、f( x )のパラメータAo , A1 , A2 , A3 ,
A4 およびBo , B1 , B2 , B3 , B4 を求める。こ
うして得られた2乗振幅特性p( ω2 ) /q( ω2 ) か
ら伝達関数P( s)/Q( s )を既に説明したデジタル
フィルタの場合と同様に求めることができる。またシス
テムの安定条件としてH( s )の極の実部が負になるよ
うにQ( s)を選択する必要がある。
【0104】2.多項式形伝達関数、全極形伝達関数を
有するアナログシステムの特性設計 ここでは伝達関数H( s )がsの多項式である場合およ
びH-1( s )がsの多項式である場合の特性設計につい
て説明する。まず振幅と位相の両方を指定した設計につ
いて説明し、次に位相特性のみの設計について説明す
る。 (1)振幅・位相の同時指定設計 この設計はデジタルフィルタの場合とほとんど同じであ
り、異なる点は、伝達関数の虚部、実部の周波数特性I
H ( ω )=Im(H(jω)),RH ( ω )=Re(H(jω))だ
けである((60),(61)式参照)。これらにはn
を4で割った余りにより少し変化するが、僅かの修正で
どの場合も表わせるからnが4の倍数であるときについ
て説明すると、伝達関数H( s )は H( s )=ao + a1 s+ ・・・ +an sn (110) であり、 X=( ao ,a1 ,...an ,b) (111) ξc(ω) =( 1,0,−ω2 ,0,...,ωn ,0) (112) ξs(ω) =( 0,ω,0,−ω3 ,...,0,0) (113) とおけば、 IH ( ω )=( X,ξs(ω)) (114) RH ( ω )=( X,ξc(ω)) (115) と表現できる。以下はデジタルフィルタの「(1)振幅
・位相の同時指定設計」と全く同じようにして伝達関数
を求めることができる。
有するアナログシステムの特性設計 ここでは伝達関数H( s )がsの多項式である場合およ
びH-1( s )がsの多項式である場合の特性設計につい
て説明する。まず振幅と位相の両方を指定した設計につ
いて説明し、次に位相特性のみの設計について説明す
る。 (1)振幅・位相の同時指定設計 この設計はデジタルフィルタの場合とほとんど同じであ
り、異なる点は、伝達関数の虚部、実部の周波数特性I
H ( ω )=Im(H(jω)),RH ( ω )=Re(H(jω))だ
けである((60),(61)式参照)。これらにはn
を4で割った余りにより少し変化するが、僅かの修正で
どの場合も表わせるからnが4の倍数であるときについ
て説明すると、伝達関数H( s )は H( s )=ao + a1 s+ ・・・ +an sn (110) であり、 X=( ao ,a1 ,...an ,b) (111) ξc(ω) =( 1,0,−ω2 ,0,...,ωn ,0) (112) ξs(ω) =( 0,ω,0,−ω3 ,...,0,0) (113) とおけば、 IH ( ω )=( X,ξs(ω)) (114) RH ( ω )=( X,ξc(ω)) (115) と表現できる。以下はデジタルフィルタの「(1)振幅
・位相の同時指定設計」と全く同じようにして伝達関数
を求めることができる。
【0105】H-1( s )がsの多項式である全極形の場
合も上記と同様に求めることができる。もちろんH( s
)を安定にするためH-1( s )の零点の実部がすべて負
になるように位相特性を与えるようにする。すなわち、
ω→+∞のとき、θ( ω )−θ( −ω )=πn でなけれ
ばならない。
合も上記と同様に求めることができる。もちろんH( s
)を安定にするためH-1( s )の零点の実部がすべて負
になるように位相特性を与えるようにする。すなわち、
ω→+∞のとき、θ( ω )−θ( −ω )=πn でなけれ
ばならない。
【0106】(2)位相特性設計 (111)〜(115)式と(84)〜(89)式を用
いればデジタルフィルタの「(2)位相特性設計」の項
と同様の方法によってアナログシステムの位相特性の設
計ができる。
いればデジタルフィルタの「(2)位相特性設計」の項
と同様の方法によってアナログシステムの位相特性の設
計ができる。
【0107】3.位相補正システム 位相補正システムは、振幅特性が周波数に関係なく一定
で位相のみを補正するアナログシステムである。これは
デジタルフィルタにおけるオールパスフィルタに相当す
る。n次位相補正システムの伝達関数をH( s )は、 P( s )=ao + a1 s +a2 s2 ・・・+ an sn (116) とおくと、 H( s )=P( −s) /P( s ) (117) であり、その位相特性は、 arg H(jω) =arg(P2(-jω) /( P(jω) P( −j ω)) ) =−2 argP(jω) (118) である。位相特性の上限関数、下限関数をそれぞれθ+
( ω )、θ- ( ω )とすると決定式は、 θ- ( ω )<−2 argP(jω) <θ+ ( ω ) (119) となるから、 φ+ ( ω )=−θ- ( ω )/2 (120) φ- ( ω )=−θ+ ( ω )/2 (121) とおき、φ+ ( ω )、φ- ( ω )を argP(jω) の上限
関数、下限関数として、「(2)位相特性設計」の項の
手法により適性化すればよい。ここで、フィルタの安定
条件として、φ+ ( ω )、φ- ( ω )は、P( s )の零
点に関する制約を満足する必要がある。デジタルフィル
タと同様に、振幅特性のみを指定して設計したシステム
と位相補正システムとを合成することにより、振幅と位
相の両方を指定した有理関数形の伝達関数を有するアナ
ログシステムを構成することができる。
で位相のみを補正するアナログシステムである。これは
デジタルフィルタにおけるオールパスフィルタに相当す
る。n次位相補正システムの伝達関数をH( s )は、 P( s )=ao + a1 s +a2 s2 ・・・+ an sn (116) とおくと、 H( s )=P( −s) /P( s ) (117) であり、その位相特性は、 arg H(jω) =arg(P2(-jω) /( P(jω) P( −j ω)) ) =−2 argP(jω) (118) である。位相特性の上限関数、下限関数をそれぞれθ+
( ω )、θ- ( ω )とすると決定式は、 θ- ( ω )<−2 argP(jω) <θ+ ( ω ) (119) となるから、 φ+ ( ω )=−θ- ( ω )/2 (120) φ- ( ω )=−θ+ ( ω )/2 (121) とおき、φ+ ( ω )、φ- ( ω )を argP(jω) の上限
関数、下限関数として、「(2)位相特性設計」の項の
手法により適性化すればよい。ここで、フィルタの安定
条件として、φ+ ( ω )、φ- ( ω )は、P( s )の零
点に関する制約を満足する必要がある。デジタルフィル
タと同様に、振幅特性のみを指定して設計したシステム
と位相補正システムとを合成することにより、振幅と位
相の両方を指定した有理関数形の伝達関数を有するアナ
ログシステムを構成することができる。
【0108】以上のようにすれば、アナログシステムの
設計においても、デジタルフィルタの設計において得ら
れた効果と同様の効果が得られる。さらに上記方法は、
デジタル信号処理システムの場合と同じように、要求特
性の代りに実際のアナログシステムの特性を与えてこの
システムを同定するために使用することができる。
設計においても、デジタルフィルタの設計において得ら
れた効果と同様の効果が得られる。さらに上記方法は、
デジタル信号処理システムの場合と同じように、要求特
性の代りに実際のアナログシステムの特性を与えてこの
システムを同定するために使用することができる。
【0109】上記実施例6において説明した手法は、時
不変線形システムで表現できる対象の全てに対して適用
可能である。物理的システム以外の一例として化学プラ
ントの制御を挙げる。化学プラント制御では、たとえば
反応槽内の圧力、温度または単位時間当りの原料投入量
に対する生成物質濃度を線形システムとして表わしてお
き、これをラプラス変換して伝達関数を求めておけばよ
い。以下上記実施例6に従い人為的に設定可能な加熱
量、加圧量等システムの諸係数を決定すること、すなわ
ちプラント制御システムの設計が可能になる。
不変線形システムで表現できる対象の全てに対して適用
可能である。物理的システム以外の一例として化学プラ
ントの制御を挙げる。化学プラント制御では、たとえば
反応槽内の圧力、温度または単位時間当りの原料投入量
に対する生成物質濃度を線形システムとして表わしてお
き、これをラプラス変換して伝達関数を求めておけばよ
い。以下上記実施例6に従い人為的に設定可能な加熱
量、加圧量等システムの諸係数を決定すること、すなわ
ちプラント制御システムの設計が可能になる。
【0110】〔実施例7〕次に本発明の適性化方法を利
用して物理的、化学的システムの同定を行う同定装置に
ついて説明する。この同定装置は、たとえば音声や画像
のパターン認識、振動解析、線形予測器による情報圧縮
などに利用できるものである。システム同定については
上記実施例5および6においても述べたが、上記例では
周波数特性に基づいてシステムの構造を同定するもので
あった。ここでは、離散系列信号、例えばインパルス応
答特性などの時系列信号、に対する同定法を扱う。
用して物理的、化学的システムの同定を行う同定装置に
ついて説明する。この同定装置は、たとえば音声や画像
のパターン認識、振動解析、線形予測器による情報圧縮
などに利用できるものである。システム同定については
上記実施例5および6においても述べたが、上記例では
周波数特性に基づいてシステムの構造を同定するもので
あった。ここでは、離散系列信号、例えばインパルス応
答特性などの時系列信号、に対する同定法を扱う。
【0111】システムの同定は、一般に、図16に示す
ように、信号源101からの信号xを受けて対象システ
ム102からyが出力されたとき、このx,yを受けて
同定装置103が対象システム102のモデルを決定す
るものである。x,yは連続的または離散的信号である
が、連続信号の場合はしばしばこれをサンプリングして
離散化しておき、n回目にサンプリングされた対象シス
テム102からの出力をyn 、対象システム102への
入力をxn としたとき、システムを yn =Σai f i ( yn-1,yn-2,..., yn-M , xn , xn-1,..., xn-N ) (122) という形で同定しパラメータa0,a1,..., aL を決
定する。(122)式のΣはiについて0からLまでの
和を表わす。またM,Nはシステムの次数で信号yn-M
はn回目からMだけ遡った信号、xn-N はn回目からN
だけ遡った信号を表わす。信号源101からの信号xを
使用せずに対象システム102からの出力yのみに基づ
いてシステムを同定する同定装置もあり、その場合は
(122)式はxi を含まない式になる。
ように、信号源101からの信号xを受けて対象システ
ム102からyが出力されたとき、このx,yを受けて
同定装置103が対象システム102のモデルを決定す
るものである。x,yは連続的または離散的信号である
が、連続信号の場合はしばしばこれをサンプリングして
離散化しておき、n回目にサンプリングされた対象シス
テム102からの出力をyn 、対象システム102への
入力をxn としたとき、システムを yn =Σai f i ( yn-1,yn-2,..., yn-M , xn , xn-1,..., xn-N ) (122) という形で同定しパラメータa0,a1,..., aL を決
定する。(122)式のΣはiについて0からLまでの
和を表わす。またM,Nはシステムの次数で信号yn-M
はn回目からMだけ遡った信号、xn-N はn回目からN
だけ遡った信号を表わす。信号源101からの信号xを
使用せずに対象システム102からの出力yのみに基づ
いてシステムを同定する同定装置もあり、その場合は
(122)式はxi を含まない式になる。
【0112】従来の同定法は、 V=Σ( yn −Σai f i ( yn-1,..., yn-M , xn , ...,xn-N ))2 (123) とおくなどして、Vが最小となるようにパラメータを決
定していた。(123)式のΣはnについて0からkま
での和、iについて0からLまでの和を表わす。しかし
この手法は、対象とする系が取り扱いに都合のよい統計
的性質を満足することを前提としている上に、この手法
では、同定誤差の2乗和Vを最小にするだけであって、
求めたモデルと真のシステムとの応答特性間に瞬間的に
は大きな誤差があることもあり、したがって同定の精度
について不明であるという問題があった。本発明の適性
化方法を利用すれば同定誤差を各瞬間ごとに系統的に評
価できるので、同定の誤差に配慮した適正な同定装置を
得ることができる。以下本発明による適性化方法を利用
した同定装置について 1.離散線形系の同定 2.あるクラスの非線形系の同定 3.線形アナログシステムの同定 の順に説明する。
定していた。(123)式のΣはnについて0からkま
での和、iについて0からLまでの和を表わす。しかし
この手法は、対象とする系が取り扱いに都合のよい統計
的性質を満足することを前提としている上に、この手法
では、同定誤差の2乗和Vを最小にするだけであって、
求めたモデルと真のシステムとの応答特性間に瞬間的に
は大きな誤差があることもあり、したがって同定の精度
について不明であるという問題があった。本発明の適性
化方法を利用すれば同定誤差を各瞬間ごとに系統的に評
価できるので、同定の誤差に配慮した適正な同定装置を
得ることができる。以下本発明による適性化方法を利用
した同定装置について 1.離散線形系の同定 2.あるクラスの非線形系の同定 3.線形アナログシステムの同定 の順に説明する。
【0113】1.離散線形系の同定 対象系の形を Sy = b0 yn + b1 yn-1+・・・+ bM yn-M +(a0,xn )+( a1,xn-1)+ ・・・+(aN , xn-N )+c (124) と想定する。ここでak , xk はL次元のベクトルで、
それぞれのカッコ付上添字はそれぞれのベクトルの各成
分を表すものとする。b0 は式の形を整えるためのパラ
メータで後で1とおく。Sy は線形な場合において(1
22)式の右辺を左辺へ移行した形を示しており、理想
的には0になるもので、予測残差と呼ばれるものであ
る。測定された応答を ηn =(1, yn , yn-1,..., yn-M , xn (1) , xn (2) , ..., xn (L) , xn-1 (1) , ..., xn-N (L) ) (125) とおく。応答は誤差やゆらぎを持つが、これをΔηn と
したとき、ηn +Δηn ∈Cnが常に成り立つように生
成凸包体Cn を構成し、それを Cn ={s1 ηn (1) + s2 ηn (2) + ・・・+ sK ηn (K) | 0 <sk , s1+s2+・・・+ sK =1}(126) と表しておく。ここでηn (1) , ηn (2) , ..., η
n (K) は生成凸包体Cnの頂点である。また X=(c, b0,b1,..., bM , a0 (1) , a0 (2) , ..., a0 (L) , a1 (1) , ..., aN (L) ) (127) とおく。許容可能な同定誤差(許容誤差範囲)を上限関
数M+ (n),下限関数M-( n) であらわすと、決定式
は、 b0 M- (n) <Sy ( Cn ) <b0 M+ (n) ( n = 0,1,2, ..., nmax ) (128) すなわち b0 M- (n) <( X, ηn (k) ) <b0 M+ (n) ( k = 1,2,...,K、n = 0,1,2,..., nmax ) (129) である。yn がインパルス応答特性である場合にはn
max として|yn |がある程度0に近づくときのnを選
ぶ必要があるが、小さくなれば誤差として生成凸包体C
n に吸収させることもできる。この後は既に説明した手
法で適性化を行い解領域Sを求める。このCn は実施例
3の生成凸包体とはやや異なる。しかしe0=(0,
1,0,0,..,0)とおき、 C+ n =−Cn +e0 M+ (n) (130) C- n = Cn −e0 M- (n) (131) とおけば(129)式は 0<( X,C+ n ) (132) 0<( X,C- n ) (133) となり、実施例3と同じ形式の生成凸包体および決定式
で表現できる。解領域Sはそのまま適性な同定パラメー
タの集合になる。同定システムへの入力に誤差やゆらぎ
があっても、それらが生成凸包体Cn に含まれている限
りシステムの同定誤差は許容誤差範囲に含まれるという
強いロバスト性が得られることになる。
それぞれのカッコ付上添字はそれぞれのベクトルの各成
分を表すものとする。b0 は式の形を整えるためのパラ
メータで後で1とおく。Sy は線形な場合において(1
22)式の右辺を左辺へ移行した形を示しており、理想
的には0になるもので、予測残差と呼ばれるものであ
る。測定された応答を ηn =(1, yn , yn-1,..., yn-M , xn (1) , xn (2) , ..., xn (L) , xn-1 (1) , ..., xn-N (L) ) (125) とおく。応答は誤差やゆらぎを持つが、これをΔηn と
したとき、ηn +Δηn ∈Cnが常に成り立つように生
成凸包体Cn を構成し、それを Cn ={s1 ηn (1) + s2 ηn (2) + ・・・+ sK ηn (K) | 0 <sk , s1+s2+・・・+ sK =1}(126) と表しておく。ここでηn (1) , ηn (2) , ..., η
n (K) は生成凸包体Cnの頂点である。また X=(c, b0,b1,..., bM , a0 (1) , a0 (2) , ..., a0 (L) , a1 (1) , ..., aN (L) ) (127) とおく。許容可能な同定誤差(許容誤差範囲)を上限関
数M+ (n),下限関数M-( n) であらわすと、決定式
は、 b0 M- (n) <Sy ( Cn ) <b0 M+ (n) ( n = 0,1,2, ..., nmax ) (128) すなわち b0 M- (n) <( X, ηn (k) ) <b0 M+ (n) ( k = 1,2,...,K、n = 0,1,2,..., nmax ) (129) である。yn がインパルス応答特性である場合にはn
max として|yn |がある程度0に近づくときのnを選
ぶ必要があるが、小さくなれば誤差として生成凸包体C
n に吸収させることもできる。この後は既に説明した手
法で適性化を行い解領域Sを求める。このCn は実施例
3の生成凸包体とはやや異なる。しかしe0=(0,
1,0,0,..,0)とおき、 C+ n =−Cn +e0 M+ (n) (130) C- n = Cn −e0 M- (n) (131) とおけば(129)式は 0<( X,C+ n ) (132) 0<( X,C- n ) (133) となり、実施例3と同じ形式の生成凸包体および決定式
で表現できる。解領域Sはそのまま適性な同定パラメー
タの集合になる。同定システムへの入力に誤差やゆらぎ
があっても、それらが生成凸包体Cn に含まれている限
りシステムの同定誤差は許容誤差範囲に含まれるという
強いロバスト性が得られることになる。
【0114】この場合の実際の生成凸包体の構成は、た
とえば測定を多数回繰り返した結果をηn (1) , ηn
(2) , ..., ηn (k) としたとき、これらすべてを含
むやや大き目の凸包体をCn とおくことで可能になる。
大きくする程度は系の非線形性、経年変化、負荷変動等
の偏差を生じる要因を考えて決定する。統計的手法を取
り入れてもよい。誤差が事前にわかっているときはその
誤差に応じて自動的に生成凸包体を構成することも可能
である。また異なる入力信号に対する応答の測定値の組
それぞれに対する生成凸包体を構成し、その全体に対し
て適性化することもできる。
とえば測定を多数回繰り返した結果をηn (1) , ηn
(2) , ..., ηn (k) としたとき、これらすべてを含
むやや大き目の凸包体をCn とおくことで可能になる。
大きくする程度は系の非線形性、経年変化、負荷変動等
の偏差を生じる要因を考えて決定する。統計的手法を取
り入れてもよい。誤差が事前にわかっているときはその
誤差に応じて自動的に生成凸包体を構成することも可能
である。また異なる入力信号に対する応答の測定値の組
それぞれに対する生成凸包体を構成し、その全体に対し
て適性化することもできる。
【0115】なお上記例では入力データを生成凸包体C
n の形で表したが、必ずしも凸包体を生成する必要はな
い。すなわち、誤差を無視してCn ={ηn }とおきシ
ステムの同定を行うこともできる。
n の形で表したが、必ずしも凸包体を生成する必要はな
い。すなわち、誤差を無視してCn ={ηn }とおきシ
ステムの同定を行うこともできる。
【0116】図17は上記同定法を用いた同定装置のブ
ロック図であり、同定装置104は、対象システム10
2からの信号x,yに適性化に必要な領域を与える領域
決定手段105と、前記領域内に入るようにシステムの
特性を決定する特性決定手段手段106とを備えてい
る。領域決定手段105は入力信号に上限、下限関数お
よび(126)式のように生成凸包体を与え、特性決定
手段106は(129)式に基づいてシステムのパラメ
ータを計算する。
ロック図であり、同定装置104は、対象システム10
2からの信号x,yに適性化に必要な領域を与える領域
決定手段105と、前記領域内に入るようにシステムの
特性を決定する特性決定手段手段106とを備えてい
る。領域決定手段105は入力信号に上限、下限関数お
よび(126)式のように生成凸包体を与え、特性決定
手段106は(129)式に基づいてシステムのパラメ
ータを計算する。
【0117】2.あるクラスの非線形系の同定 対象系の形は、予めfi を選び Sy =Σai fi ( yn ',xn ' ) (134) と想定できるものとする。Σはiについて0からNまで
の和を表す。ここでxnはベクトルであって、カッコ付
の上添字はそれぞれのベクトルの各成分を表すものと
し、 yn ' =( yn , yn-1,..., yn-M ) xn ' =( xn (1) , xn (2) , ..., xn (L) , xn-1 (1) , ..., xn-N (L) ) (135) とし、f0,..., fN は線形独立な関数の組である。
なおfi ( y',x')は引数x',y' に関して非線形であ
ってもよい。 ηn =( f1(yn ',xn ' ),f2(yn ',xn '), ..., fn ( yn ',xn ' )) (136) とおきηn を測定データとみなし、また X=( a0,a1,..., aN ) (137) とすれば、後は前項の手法をほぼそのまま適用できる。
の和を表す。ここでxnはベクトルであって、カッコ付
の上添字はそれぞれのベクトルの各成分を表すものと
し、 yn ' =( yn , yn-1,..., yn-M ) xn ' =( xn (1) , xn (2) , ..., xn (L) , xn-1 (1) , ..., xn-N (L) ) (135) とし、f0,..., fN は線形独立な関数の組である。
なおfi ( y',x')は引数x',y' に関して非線形であ
ってもよい。 ηn =( f1(yn ',xn ' ),f2(yn ',xn '), ..., fn ( yn ',xn ' )) (136) とおきηn を測定データとみなし、また X=( a0,a1,..., aN ) (137) とすれば、後は前項の手法をほぼそのまま適用できる。
【0118】3.線形アナログシステムの同定 連続系の場合には、離散化の際に生じる誤差を凸包体C
n や許容誤差に吸収させるようにする。これを簡単なア
ナログ系で説明する。 Sy =byn +a0(dx/dt)+a1(d2x/dt2) (138) として想定し、a0,a1 を決定することを考える。微分
を離散化して、 dx/dt =( xn −xn-1)/Δt+Δ1 (139) d2x/dt2 =( xn −2xn-1 +xn-2)/Δt2 +Δ2 (140) とする。Δtはサンプリング間隔、Δ1,Δ2 は離散化誤
差である。精度が必要な場合はΔ1,Δ2 が十分小さくな
るまで高次の離散化を行う。 xn ' =( xn −xn-1)/Δt (141) xn " =( xn −2xn-1 +xn-2)/Δt2 (142) とおくと、 Sy =byn +a0(xn ' +Δ1)+a1(xn " +Δ2) (143) となる。ここでは離散化の誤差だけしか生じないと仮定
する。この場合Δ1,Δ2の取り得る最大値、最小値を入
力データxn ',xn " の誤差範囲とみて生成凸包体Cn
を構成すればよい。後は前項で説明した適性化を行う。
Δ1,Δ2 が大きいなどのために解領域Sが空集合になる
場合は離散化の精度をある程度上げるか、想定するシス
テムの次数を上げるようにすればよい。また上記手法は
積分等の時間遅れを含む系にも適用できる。
n や許容誤差に吸収させるようにする。これを簡単なア
ナログ系で説明する。 Sy =byn +a0(dx/dt)+a1(d2x/dt2) (138) として想定し、a0,a1 を決定することを考える。微分
を離散化して、 dx/dt =( xn −xn-1)/Δt+Δ1 (139) d2x/dt2 =( xn −2xn-1 +xn-2)/Δt2 +Δ2 (140) とする。Δtはサンプリング間隔、Δ1,Δ2 は離散化誤
差である。精度が必要な場合はΔ1,Δ2 が十分小さくな
るまで高次の離散化を行う。 xn ' =( xn −xn-1)/Δt (141) xn " =( xn −2xn-1 +xn-2)/Δt2 (142) とおくと、 Sy =byn +a0(xn ' +Δ1)+a1(xn " +Δ2) (143) となる。ここでは離散化の誤差だけしか生じないと仮定
する。この場合Δ1,Δ2の取り得る最大値、最小値を入
力データxn ',xn " の誤差範囲とみて生成凸包体Cn
を構成すればよい。後は前項で説明した適性化を行う。
Δ1,Δ2 が大きいなどのために解領域Sが空集合になる
場合は離散化の精度をある程度上げるか、想定するシス
テムの次数を上げるようにすればよい。また上記手法は
積分等の時間遅れを含む系にも適用できる。
【0119】あるいはまず入力信号を連続なまま η- (t) =(−M- (t), dx(t)/dt, d2x(t)/dt2) (144) η+ (t) =(M+ (t),−(dx(t)/dt), −(d2x(t)/dt2)) (145) とおきX=(b, a0,a1)として、連続的な決定式 0<( X, η- (t)) (146) 0<( X, η+ (t)) (147) をたて、次に実施例3の手法によって適性領域が連続な
場合の適性化を行ってもよい。
場合の適性化を行ってもよい。
【0120】こうして得られたシステムSy は離散化に
よる特性劣化を生じないことは明らかである。つまり連
続入力x( t ), y( t )に対して常に bM- ( t ) <Sy ( x( t ), y( t )) <bM+ ( t ) (148) が成立する。
よる特性劣化を生じないことは明らかである。つまり連
続入力x( t ), y( t )に対して常に bM- ( t ) <Sy ( x( t ), y( t )) <bM+ ( t ) (148) が成立する。
【0121】なお、上記同定法はシステムのインパルス
応答設計等にも利用することができる。すなわち、上記
同定法における対象系の測定値の代りに、時系列の要求
特性を与え、同定誤差の代わりに設計許容範囲を許容誤
差範囲として与えればシステム設計ができる。ここで設
計許容範囲はSy の範囲((128)、(148)式)
またはηn の範囲Cn ((126)式)の形で与えるこ
とができる。
応答設計等にも利用することができる。すなわち、上記
同定法における対象系の測定値の代りに、時系列の要求
特性を与え、同定誤差の代わりに設計許容範囲を許容誤
差範囲として与えればシステム設計ができる。ここで設
計許容範囲はSy の範囲((128)、(148)式)
またはηn の範囲Cn ((126)式)の形で与えるこ
とができる。
【0122】デジタルフィルタの場合は実施例7の
「1.離散線形系の同定」の項の方法がそのまま適用で
きる。Sy は、M=0のときはFIRフィルタとなり、
M≧1のときはIIRフィルタを表わすので、どちらの
フィルタにも利用できる。要求特性をηn で表現し量子
化誤差等を考えて凸包体Cn を構成する。単に Cn ={ηn } (149) とすることもできる。こうして適性化により求まる解領
域Sが適性パラメータつまりフィルタの係数となる。
「1.離散線形系の同定」の項の方法がそのまま適用で
きる。Sy は、M=0のときはFIRフィルタとなり、
M≧1のときはIIRフィルタを表わすので、どちらの
フィルタにも利用できる。要求特性をηn で表現し量子
化誤差等を考えて凸包体Cn を構成する。単に Cn ={ηn } (149) とすることもできる。こうして適性化により求まる解領
域Sが適性パラメータつまりフィルタの係数となる。
【0123】アナログシステムの場合は、実施例7の
「3.線形アナログシステムの同定」の方法を適用すれ
ば、線形のアナログシステム(たとえばアナログフィル
タ、増幅回路、ロボット等を制御するための制御装置
等)の時間領域におけるシステム設計ができる。要求特
性の入力に対し離散化誤差が不可避に加わってしまう点
がデジタルフィルタの場合とは異なる。
「3.線形アナログシステムの同定」の方法を適用すれ
ば、線形のアナログシステム(たとえばアナログフィル
タ、増幅回路、ロボット等を制御するための制御装置
等)の時間領域におけるシステム設計ができる。要求特
性の入力に対し離散化誤差が不可避に加わってしまう点
がデジタルフィルタの場合とは異なる。
【0124】以上説明した同定装置によれば、許容可能
な同定誤差の範囲を与えて、その範囲内で同定するの
で、同定誤差を評価でき、したがって同定の誤差を考慮
した適性な同定装置を得ることができるとともに、さら
に、以下の効果が得られる。すなわち、連続系の離散
化誤差を吸収できる、対象系の変動、雑音等に対して
ロバスト安定な同定ができる、IIR系のインパルス
応答を有限列で近似することによる誤差に対しても安定
な同定ができる、図4のフローチャートと同様にモデ
ルシステムの次数を変えながら解領域Sの存在を判定す
ることにより対象システムの次数を推定することができ
る、解領域Sの広がりを利用して他の条件(たとえば
消費電力)に対しても最適化できる。
な同定誤差の範囲を与えて、その範囲内で同定するの
で、同定誤差を評価でき、したがって同定の誤差を考慮
した適性な同定装置を得ることができるとともに、さら
に、以下の効果が得られる。すなわち、連続系の離散
化誤差を吸収できる、対象系の変動、雑音等に対して
ロバスト安定な同定ができる、IIR系のインパルス
応答を有限列で近似することによる誤差に対しても安定
な同定ができる、図4のフローチャートと同様にモデ
ルシステムの次数を変えながら解領域Sの存在を判定す
ることにより対象システムの次数を推定することができ
る、解領域Sの広がりを利用して他の条件(たとえば
消費電力)に対しても最適化できる。
【0125】なお本実施例は入力の離散系列が1つの添
字nで表されるシステムに関するものであるが、多数の
添字で表されている入力離散系列をもつ多次元システム
に対して適用できるように本実施例を拡張することは極
めて容易である。
字nで表されるシステムに関するものであるが、多数の
添字で表されている入力離散系列をもつ多次元システム
に対して適用できるように本実施例を拡張することは極
めて容易である。
【0126】〔実施例8〕次に本発明の適性化方法を利
用した別の実施例について説明する。アナログシステ
ム、A/D変換器またはD/A変換器などが混在するシ
ステムにおいては、前記アナログシステムや信号変換器
によって振幅、位相特性が様々な影響を受ける(アパー
チャ効果、群遅延歪など)。これらをデジタルフィルタ
により補正して希望する特性を実現したい。しかし従来
の最適化法等による手法ではこのような場合自在な特性
が実現できないか、仮に実現できたとしても高次のデジ
タルフィルタが必要であった。そのため、一般的には、
フィルタのマルチレート化やアナログシステム部の工夫
など装置の基本構造とは別に補正のための機構を追加す
る対策が講じられてきた。本発明の適性化方法を用いれ
ば、デジタルフィルタを自在な特性で且つ少ない次数で
設計することができ、これによりアナログシステムなど
の介在によって歪んだ特性を等価化することができる。
用した別の実施例について説明する。アナログシステ
ム、A/D変換器またはD/A変換器などが混在するシ
ステムにおいては、前記アナログシステムや信号変換器
によって振幅、位相特性が様々な影響を受ける(アパー
チャ効果、群遅延歪など)。これらをデジタルフィルタ
により補正して希望する特性を実現したい。しかし従来
の最適化法等による手法ではこのような場合自在な特性
が実現できないか、仮に実現できたとしても高次のデジ
タルフィルタが必要であった。そのため、一般的には、
フィルタのマルチレート化やアナログシステム部の工夫
など装置の基本構造とは別に補正のための機構を追加す
る対策が講じられてきた。本発明の適性化方法を用いれ
ば、デジタルフィルタを自在な特性で且つ少ない次数で
設計することができ、これによりアナログシステムなど
の介在によって歪んだ特性を等価化することができる。
【0127】図18はアナログシステムに本発明の特性
補正装置を接続した例を示したもので、アナログシステ
ム201からの信号はA/D変換器202によってデジ
タル信号に変換されて、特性補正装置203へ送られ
る。特性補正装置203は実施例5、7において説明し
たデジタルフィルタにより構成されている。特性補正は
以下のとおり行われる。 (1)まず補正装置203を信号を単に通過させる状態
に設定する。 (2)アナログシステム201に基準信号を送りそれに
対する出力からアナログシステム201およびA/D変
化器202の特性を計測する。このとき補正装置203
を同定装置として使用して特性計測を行ってもよい。 (3)補正前の特性と希望する特性との開きの分をデジ
タルフィルタ203の特性として設定する。時間領域に
おけるフィルタの特性設計は実施例7の「1.離散線形
の同定」の項において説明した手法により行うことがで
きる。 (4)周波数領域におけるフィルタの特性設計について
は、補正の対象が振幅特性と位相特性のうち一方なのか
両方なのかによってデジタルフィルタの構成を決定す
る。振幅特性のみであればIIR,FIRのうちいずれ
のフィルタでも使用できる。位相特性のみの場合は、オ
ールパスフィルタまたはFIRフィルタを用いる。また
振幅、位相ともに補正するときは、IIRとオールパ
スフィルタ、FIRとオールパスフィルタ、FIR
だけ、という選択肢がある。
補正装置を接続した例を示したもので、アナログシステ
ム201からの信号はA/D変換器202によってデジ
タル信号に変換されて、特性補正装置203へ送られ
る。特性補正装置203は実施例5、7において説明し
たデジタルフィルタにより構成されている。特性補正は
以下のとおり行われる。 (1)まず補正装置203を信号を単に通過させる状態
に設定する。 (2)アナログシステム201に基準信号を送りそれに
対する出力からアナログシステム201およびA/D変
化器202の特性を計測する。このとき補正装置203
を同定装置として使用して特性計測を行ってもよい。 (3)補正前の特性と希望する特性との開きの分をデジ
タルフィルタ203の特性として設定する。時間領域に
おけるフィルタの特性設計は実施例7の「1.離散線形
の同定」の項において説明した手法により行うことがで
きる。 (4)周波数領域におけるフィルタの特性設計について
は、補正の対象が振幅特性と位相特性のうち一方なのか
両方なのかによってデジタルフィルタの構成を決定す
る。振幅特性のみであればIIR,FIRのうちいずれ
のフィルタでも使用できる。位相特性のみの場合は、オ
ールパスフィルタまたはFIRフィルタを用いる。また
振幅、位相ともに補正するときは、IIRとオールパ
スフィルタ、FIRとオールパスフィルタ、FIR
だけ、という選択肢がある。
【0128】上記例は特性補正装置203をアナログシ
ステム201の後段に接続したが、特性補正装置はアナ
ログシステムの前段に配置して補正するようにしてもよ
い。すなわち、デジタル入力→特性補正装置→D/A変
換器→アナログシステム→アナログ出力、という具合で
ある。またデジタルシステムとアナログシステムが混在
する場合にシステム全体の真ん中に補正装置を接続して
もよい。たとえば、アナログ入力→アナログシステム1
→A/D変換器→特性補正装置→D/A変換器→アナロ
グシステム2→アナログ出力、という具合である。つま
り、システム全体の伝達関数は各構成要素の伝達関数の
積で表わされるから、補正装置はシステムの前段、後
段、中段のどこに配置してもよい。
ステム201の後段に接続したが、特性補正装置はアナ
ログシステムの前段に配置して補正するようにしてもよ
い。すなわち、デジタル入力→特性補正装置→D/A変
換器→アナログシステム→アナログ出力、という具合で
ある。またデジタルシステムとアナログシステムが混在
する場合にシステム全体の真ん中に補正装置を接続して
もよい。たとえば、アナログ入力→アナログシステム1
→A/D変換器→特性補正装置→D/A変換器→アナロ
グシステム2→アナログ出力、という具合である。つま
り、システム全体の伝達関数は各構成要素の伝達関数の
積で表わされるから、補正装置はシステムの前段、後
段、中段のどこに配置してもよい。
【0129】以上のような特性補正を行えば、アナログ
システム設計の自由度が大幅に増大する。また場合によ
ってはアナログシステムの構成をかなり簡単にすること
もできるようになる。さらにマイクロプロセッサ等を利
用して、上記の補正を自動的に行うこともできる。
システム設計の自由度が大幅に増大する。また場合によ
ってはアナログシステムの構成をかなり簡単にすること
もできるようになる。さらにマイクロプロセッサ等を利
用して、上記の補正を自動的に行うこともできる。
【0130】〔実施例9〕次に、適性領域をパラメータ
空間で意図的に縮小した状態で適性化を行う実施例につ
いて説明する。これは、例えば電子回路等において部品
が経時的あるいは温度的変化を生じたとしても、常に要
求仕様を満足することができるように、その回路を設計
する場合に効果的である。また、この実施例はデジタル
コンピュータにおいて、数値計算における桁落ち等の誤
差に対しても有効である。
空間で意図的に縮小した状態で適性化を行う実施例につ
いて説明する。これは、例えば電子回路等において部品
が経時的あるいは温度的変化を生じたとしても、常に要
求仕様を満足することができるように、その回路を設計
する場合に効果的である。また、この実施例はデジタル
コンピュータにおいて、数値計算における桁落ち等の誤
差に対しても有効である。
【0131】もとの適性化法の問題が 0<(X, ηi ) ( i =1,2,...,m ) (150) X=(a1,a2,..., an , b) ηi =( ηi1, ηi2, ..., ηin, ηin+1) と表されているものとする。ηi は上限関数、下限関数
等を表すベクトルであり、適性領域はパラメータ空間に
おいてηi として表現されている。bは式の形を整える
ためのパラメータであり、後で1に定められる。
等を表すベクトルであり、適性領域はパラメータ空間に
おいてηi として表現されている。bは式の形を整える
ためのパラメータであり、後で1に定められる。
【0132】Xの変化δ(∈Rn+1 )は常に凸包体Δに
含まれる。すなわち、 X+δ∈X+bΔ (151) とする。ここでΔは、 Δ={s1 Δ1 + s2 Δ2 + ・・・+ sL ΔL | s1 + ・・・+ s L =1,Δj ∈Rn+1 } と表現できるから、もし 0<(X+bΔj , ηi ) ( j = 1,2, ...,L, i = 1,2,...,m ) (152) が成り立てば、(151)式を満たす任意のX+δにつ
いて(150)式が成り立つ。(152)式は、 (X, ηi )+ b(Δj , ηi ) (153) と変形できるので、 ηj ' = ( ηi1, ηi2, ..., ηin, ηin+1 + min( Δj , ηi )) ( i = 1,2,...,m ) (1≦j≦L) とおくと、(152)式は 0<(X, ηi ' ) ( i = 1,2,...m ) (154) と等価になる。これは唯一の定式化ではなく、Xの変化
分をηi のどの成分に寄せるか等により色々な定式化が
可能である。
含まれる。すなわち、 X+δ∈X+bΔ (151) とする。ここでΔは、 Δ={s1 Δ1 + s2 Δ2 + ・・・+ sL ΔL | s1 + ・・・+ s L =1,Δj ∈Rn+1 } と表現できるから、もし 0<(X+bΔj , ηi ) ( j = 1,2, ...,L, i = 1,2,...,m ) (152) が成り立てば、(151)式を満たす任意のX+δにつ
いて(150)式が成り立つ。(152)式は、 (X, ηi )+ b(Δj , ηi ) (153) と変形できるので、 ηj ' = ( ηi1, ηi2, ..., ηin, ηin+1 + min( Δj , ηi )) ( i = 1,2,...,m ) (1≦j≦L) とおくと、(152)式は 0<(X, ηi ' ) ( i = 1,2,...m ) (154) と等価になる。これは唯一の定式化ではなく、Xの変化
分をηi のどの成分に寄せるか等により色々な定式化が
可能である。
【0133】こうして(154)式を適性化法の問題と
考えれば、(154)式の解領域の元Xs の全てはもと
の問題において、 0<(Xs +δ, ηi ) ( i = 1,2,...,m ) を満たし、ロバスト安定であることがわかる。もとの問
題が多項式的適性関数を対象にしている場合には、ηi
からηi ' への修正はちょうど上限関数をmin(Δj , η
i ) ( ただし1≦j≦L)程度小さくし、下限関数をこ
れと同程度大きくすること、すなわちもとの問題の適性
領域を直接縮小することに対応している。一般の場合で
も、この修正により適性領域を表現する凸包体が小さく
なる。
考えれば、(154)式の解領域の元Xs の全てはもと
の問題において、 0<(Xs +δ, ηi ) ( i = 1,2,...,m ) を満たし、ロバスト安定であることがわかる。もとの問
題が多項式的適性関数を対象にしている場合には、ηi
からηi ' への修正はちょうど上限関数をmin(Δj , η
i ) ( ただし1≦j≦L)程度小さくし、下限関数をこ
れと同程度大きくすること、すなわちもとの問題の適性
領域を直接縮小することに対応している。一般の場合で
も、この修正により適性領域を表現する凸包体が小さく
なる。
【0134】なお、本発明の適性化装置および適性化方
法において取り扱われる特性は、物理的特性に限定され
るものではなく、情報圧縮等の情報処理技術または化学
的特性等でもよい。
法において取り扱われる特性は、物理的特性に限定され
るものではなく、情報圧縮等の情報処理技術または化学
的特性等でもよい。
【0135】
【発明の効果】以上のように本発明の適正化装置および
適正化方法によれば、物理的システムの構造、形状、シ
ステム同定、グラフ表示、データ補間、信号予測モデ
ル、パターン認識等、産業上利用しうる種々の問題にお
いて、従来困難であった広がりをもった入力等を取扱う
ことができるという効果が得られる。
適正化方法によれば、物理的システムの構造、形状、シ
ステム同定、グラフ表示、データ補間、信号予測モデ
ル、パターン認識等、産業上利用しうる種々の問題にお
いて、従来困難であった広がりをもった入力等を取扱う
ことができるという効果が得られる。
【図1】本発明の実施例1の上限関数、下限関数および
適性関数を示す図である。
適性関数を示す図である。
【図2】本発明の実施例1の可能領域S' の概略図であ
る。
る。
【図3】本発明の実施例1の可能領域S' の部分領域
S' 1の概略図である。
S' 1の概略図である。
【図4】本発明の実施例1のフローチャートである。
【図5】本発明の実施例3の下限関数近傍を示す図であ
る。
る。
【図6】本発明の実施例3の下限関数M- (x) を包む生
成凸包体C- を示す図である。
成凸包体C- を示す図である。
【図7】本発明の実施例3の手法Aにより生成凸包体を
構成する過程の初期状態を示す図である。
構成する過程の初期状態を示す図である。
【図8】手法Aにより生成凸包体を構成する過程の終了
状態を示す図である。
状態を示す図である。
【図9】手法Bにより生成凸包体を構成する過程を示す
図である。
図である。
【図10】手法Cにより生成凸包体を構成する過程を示
す図である。
す図である。
【図11】本発明の実施例4の適性化方法を実施するた
めの装置を示す概略図である。
めの装置を示す概略図である。
【図12】本発明の実施例4において得られる2乗振幅
特性の図である。
特性の図である。
【図13】本発明の実施例5における振幅特性と位相特
性を同時指定するデジタルフィルタの設計についてを説
明する図である。
性を同時指定するデジタルフィルタの設計についてを説
明する図である。
【図14】図13の適正領域C( ω )を実軸上に移動さ
せた図である。
せた図である。
【図15】位相特性のみを指定したデジタルフィルタの
設計についてを説明する図である。
設計についてを説明する図である。
【図16】従来の同定装置のブロック図である。
【図17】本発明の実施例7の同定装置のブロック図で
ある。
ある。
【図18】本発明の実施例8の特性補正装置のブロック
図である。
図である。
T 適正領域 f(x) 適性関数 P+ 1,P+ 2,..., P+ n 下限関数の点 P- 1,P- 2,..., P- n 上限関数の点 D 範囲
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−263311(JP,A) 特開 昭63−12078(JP,A) 特開 平3−95478(JP,A) 特開 平1−206600(JP,A) 特開 平5−242261(JP,A) ΑΒΤΟΜΑΤИΚΑ NO.9 p 138−146 1984 IEEE TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESS ING,VOL.40,NO.8,AUG UST 1992 Kenneth St eiglitz,Thomas W.P arks,James F.Kaise r「METEOR:A Constra int−Based FIR Filt er Desing Program」 p1901−1909 IEEE TRANSACTIONS ON ACOUSTICS,SPEE CH,AND SIGNAL PROC ESSING VOL.ASSP−27, NO.6,DECEMBRE 1979 P 643−649 Fenneth Steig litz「Optimal Desig n of FIR Digital F ilter with Monoton e Passband Respons e」 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 21/00 G06F 17/10 EPAT(QUESTEL) INSPEC(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)
Claims (11)
- 【請求項1】 フィルタの特性を表す適性関数を、パラ
メータを有する関数の族として設定し、前記適性関数が
要求特性の許容範囲に対応する適性領域の範囲内に少な
くとも近似的に含まれるように、前記パラメータに関す
る連立不等式を設定し、前記連立不等式を解いて前記パ
ラメータの解領域を求め、偏差がある場合にも、前記解
領域の範囲に収まるように前記パラメータを選択するこ
とを特徴とするフィルタの設計方法。 - 【請求項2】 前記適性領域が、適性領域の上限を制限
する上限関数と、適性領域の下限を制限する下限関数と
により定義されることを特徴とする請求項1に記載のフ
ィルタの設計方法。 - 【請求項3】 アナログシステムと、A/D変換器およ
びD/A変換器のうち少なくとも1つとを有するシステ
ムの特性を計測し、計測した特性と希望する特性との開
きを求め、前記開きをデジタルフィルタによって補正す
る特性補正方法であって、前記開きを要求特性として、
前記デジタルフィルタを請求項1の方法によって設計す
ることを特徴とする特性補正方法。 - 【請求項4】 アナログシステムと、A/D変換器およ
びD/A変換器のうち少なくとも1つとを有するシステ
ムに接続され、前記システムの特性の計測結果を受け、
前記システムの特性と希望する特性との開きをデジタル
フィルタによって補正する特性補正装置であって、前記
デジタルフィルタは、前記開きを要求特性として請求項
1の方法によって設計されたデジタルフィルタであるこ
とを特徴とする特性補正装置。 - 【請求項5】 フィルタの特性を表す適性関数を、パラ
メータを有する関数の族として設定し、要求特性の許容
範囲を上限値または下限値で近似する適性領域を設定
し、この適性領域の範囲内に前記適性関数が含まれるよ
うに、前記パラメータに関する連立不等式を設定し、前
記連立不等式を解いて前記パラメータの解領域を求め、
偏差がある場合にも、前記解領域の範囲に収まるように
前記パラメータを選択するとともに、前記適性領域を表
示手段によって視覚的に表示し、表示された適性領域上
に前記適性関数を重ねて表示し、一旦得られた前記適性
関数を表示したまま、または適性関数の非存在を表示し
て、適性領域を構成する上限値または下限値の一部また
は全部の変更を対話的に受け付けることを特徴とするフ
ィルタの決定方法。 - 【請求項6】 フィルタの特性を表す適性関数を、パラ
メータを有する関数の族として設定し、前記適性関数が
要求特性の許容範囲に対応する適性領域の範囲内に少な
くとも近似的に含まれるように、前記パラメータに関す
る連立不等式を設定し、前記連立不等式を解いて前記パ
ラメータの解領域を求め、前記解領域の中からパラメー
タを選択し、前記適性関数が前記適性領域からはみ出し
た場合に、そのはみ出し部分近傍の適性領域の境界と得
られた適性関数との差の関数の零点の位置を修正するこ
とにより、前記適性関数を修正してはみ出しを除去する
ことを特徴とするフィルタの決定方法。 - 【請求項7】 フィルタの特性を表す適性関数を、パラ
メータを有する関数の族として設定するステップと、前
記適性関数が要求特性の許容範囲に対応する適性領域の
範囲内に少なくとも近似的に含まれるように前記適性関
数を決定する適性関数決定ステップとを備え、 前記適性関数決定ステップは、前記適性関数が前記適性
領域に含まれるという制約を生成凸包体で近似するとと
もに、 前記適性領域の制限を前記適性関数のパラメータ空間
において表すベクトルが含まれるように前記生成凸包体
を構成するステップと、 前記適性関数が前記適性領域に含まれるという制約
を、前記生成凸包体の頂点を制約とする連立不等式で設
定するステップと、 前記連立不等式を解いて前記適性関数のパラメータの
解領域を求めるステップと、 前記解領域の中からパラメータを選択するステップと
を含むことを特徴とするフィルタの決定方法。 - 【請求項8】 フィルタの特性の定義域が連続的である
場合のフィルタの決定方法であって、 フィルタの特性を表す適性関数を、パラメータを有する
関数の族として設定するステップと、前記適性関数が要
求特性の許容範囲に対応する適性領域の範囲内に少なく
とも近似的に含まれるように前記適性関数を決定する適
性関数決定ステップとを備え、 前記適性関数決定ステップは、前記適性関数が前記適性
領域に含まれるという制約を生成凸包体で近似するとと
もに、 前記フィルタの特性の定義域を、所望の精度に応じた
大きさの区間に分割するステップと、 前記各区間上で、前記適性領域の制限を前記適性関数
のパラメータ空間において表すベクトルが含まれるよう
に前記生成凸包体を構成するステップと、 前記適性関数が前記適性領域に含まれるという制約
を、前記生成凸包体の頂点を制約とする連立不等式で設
定するステップと、 前記連立不等式を解いて前記適性関数のパラメータの
解領域を求めるステップと、 前記解領域の中からパラメータを選択するステップと
を含むことを特徴とするフィルタの決定方法。 - 【請求項9】 フィルタの特性を表す適性関数を、パラ
メータを有する関数の族として設定し、前記適性関数が
要求特性の許容範囲に対応する適性領域の範囲内に少な
くとも近似的に含まれるように、前記パラメータに関す
る連立不等式を設定し、前記連立不等式を解いて前記パ
ラメータの解領域を求めるフィルタの決定方法であっ
て、前記適性関数のパラメータの所定の変化量をパラメ
ータ空間での適性領域の変化量に換算し、この適性領域
の変化量に応じた分だけ適性領域を、前記パラメータ空
間で縮小することを特徴とするフィルタの決定方法。 - 【請求項10】 フィルタの特性を表す適性関数を、パ
ラメータを有する関数の族として設定する手段と、前記
適性関数が要求特性の許容範囲に対応する適性領域の範
囲内に少なくとも近似的に含まれるように、前記パラメ
ータに関する連立不等式を設定する手段と、前記連立不
等式を解いて前記パラメータの解領域を求め、偏差があ
る場合にも、前記解領域の範囲に収まるように前記パラ
メータを選択する手段とを備えたことを特徴とするフィ
ルタの設計装置。 - 【請求項11】 フィルタの特性を表す適性関数を、パ
ラメータを有する関数の族として設定する手段と、要求
特性の許容範囲を上限値または下限値で近似する適性領
域を設定する手段と、この適性領域の範囲内に前記適性
関数が含まれるように、前記パラメータに関する連立不
等式を設定する手段と、前記連立不等式を解いて前記パ
ラメータの解領域を求め、偏差がある場合にも、前記解
領域の範囲に収まるように前記パラメータを選択する手
段と、前記適性領域を視覚的に表示する手段とを備え、
前記表示手段は、表示された適性領域上に前記適性関数
を重ねて表示し、一旦得られた前記適性関数を表示した
まま、または適性関数の非存在を表示して、適性領域を
構成する上限値または下限値の一部または全部の変更を
対話的に受け付けることを特徴とするフィルタの決定装
置。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23939494A JP3174223B2 (ja) | 1993-12-14 | 1994-09-07 | フィルタの設計方法およびフィルタ |
DE4444583A DE4444583B4 (de) | 1993-12-14 | 1994-12-14 | Approximationsvorrichtung und Approximationsverfahren zum Bestimmen eines technischen Systems |
US08/925,619 US6032106A (en) | 1993-12-14 | 1997-09-09 | Apparatus and method for selecting parameters corresponding to physical characteristics |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5-342598 | 1993-12-14 | ||
JP34259893 | 1993-12-14 | ||
JP23939494A JP3174223B2 (ja) | 1993-12-14 | 1994-09-07 | フィルタの設計方法およびフィルタ |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001032250A Division JP2001273278A (ja) | 1993-12-14 | 2001-02-08 | 適性化装置および適性化方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07226656A JPH07226656A (ja) | 1995-08-22 |
JP3174223B2 true JP3174223B2 (ja) | 2001-06-11 |
Family
ID=26534226
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23939494A Expired - Fee Related JP3174223B2 (ja) | 1993-12-14 | 1994-09-07 | フィルタの設計方法およびフィルタ |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6032106A (ja) |
JP (1) | JP3174223B2 (ja) |
DE (1) | DE4444583B4 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101765084B1 (ko) | 2017-04-19 | 2017-08-04 | 푸드마케팅코리아(주) | 치즈 블록 컷팅기와 이를 이용한 치즈 블록 컷팅방법 |
Families Citing this family (22)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3124223B2 (ja) * | 1996-01-05 | 2001-01-15 | 雅治 石井 | 適性化装置および適性化方法 |
JP2981193B2 (ja) * | 1997-09-02 | 1999-11-22 | エヌケイエス株式会社 | 時系列連続データの予測方法及び記録媒体 |
US7657412B2 (en) * | 2001-03-29 | 2010-02-02 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Method of and apparatus for displaying structure optimizing result |
US6718221B1 (en) | 2002-05-21 | 2004-04-06 | University Of Kentucky Research Foundation | Nonparametric control chart for the range |
DE10341762B4 (de) * | 2002-09-11 | 2014-05-15 | Fisher-Rosemount Systems, Inc. | Handhabung der Realisierbarkeit von Beschränkungen und Grenzen in einem Optimierer für Prozesssteuerungssysteme |
US7609853B2 (en) | 2002-12-11 | 2009-10-27 | The Nielsen Company (Us), Llc | Detecting a composition of an audience |
US7203338B2 (en) * | 2002-12-11 | 2007-04-10 | Nielsen Media Research, Inc. | Methods and apparatus to count people appearing in an image |
US7640201B2 (en) * | 2003-03-19 | 2009-12-29 | General Electric Company | Methods and systems for analytical-based multifactor Multiobjective portfolio risk optimization |
US7593880B2 (en) * | 2003-03-19 | 2009-09-22 | General Electric Company | Methods and systems for analytical-based multifactor multiobjective portfolio risk optimization |
US20040186804A1 (en) * | 2003-03-19 | 2004-09-23 | Anindya Chakraborty | Methods and systems for analytical-based multifactor multiobjective portfolio risk optimization |
US6980875B1 (en) | 2003-05-21 | 2005-12-27 | University Of Kentucky Research Foundation | Nonparametric control chart for the range |
US7542932B2 (en) | 2004-02-20 | 2009-06-02 | General Electric Company | Systems and methods for multi-objective portfolio optimization |
US7469228B2 (en) | 2004-02-20 | 2008-12-23 | General Electric Company | Systems and methods for efficient frontier supplementation in multi-objective portfolio analysis |
US8126795B2 (en) | 2004-02-20 | 2012-02-28 | General Electric Company | Systems and methods for initial sampling in multi-objective portfolio analysis |
US8219477B2 (en) | 2004-02-20 | 2012-07-10 | General Electric Company | Systems and methods for multi-objective portfolio analysis using pareto sorting evolutionary algorithms |
US7568174B2 (en) * | 2005-08-19 | 2009-07-28 | Cadence Design Systems, Inc. | Method for checking printability of a lithography target |
US8411963B2 (en) | 2008-08-08 | 2013-04-02 | The Nielsen Company (U.S.), Llc | Methods and apparatus to count persons in a monitored environment |
US8620088B2 (en) | 2011-08-31 | 2013-12-31 | The Nielsen Company (Us), Llc | Methods and apparatus to count people in images |
US11711638B2 (en) | 2020-06-29 | 2023-07-25 | The Nielsen Company (Us), Llc | Audience monitoring systems and related methods |
US11860704B2 (en) | 2021-08-16 | 2024-01-02 | The Nielsen Company (Us), Llc | Methods and apparatus to determine user presence |
US11758223B2 (en) | 2021-12-23 | 2023-09-12 | The Nielsen Company (Us), Llc | Apparatus, systems, and methods for user presence detection for audience monitoring |
US12088882B2 (en) | 2022-08-26 | 2024-09-10 | The Nielsen Company (Us), Llc | Systems, apparatus, and related methods to estimate audience exposure based on engagement level |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE3035565A1 (de) * | 1980-09-20 | 1982-05-06 | Philips Patentverwaltung Gmbh, 2000 Hamburg | Verfahren zur nichtlinearen zeitanpassung von signalverlaeufen |
GB2147474B (en) * | 1983-10-03 | 1987-05-07 | Shaken Kk | Method of processing character or pictorial image data |
US4882526A (en) * | 1986-08-12 | 1989-11-21 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Adaptive process control system |
JP2755644B2 (ja) * | 1989-01-20 | 1998-05-20 | 株式会社東芝 | 制御系の設計方法及び設計支援装置 |
-
1994
- 1994-09-07 JP JP23939494A patent/JP3174223B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 1994-12-14 DE DE4444583A patent/DE4444583B4/de not_active Expired - Fee Related
-
1997
- 1997-09-09 US US08/925,619 patent/US6032106A/en not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (3)
Title |
---|
IEEE TRANSACTIONS ON ACOUSTICS,SPEECH,AND SIGNAL PROCESSING VOL.ASSP−27,NO.6,DECEMBRE 1979 P643−649 Fenneth Steiglitz「Optimal Design of FIR Digital Filter with Monotone Passband Response」 |
IEEE TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING,VOL.40,NO.8,AUGUST 1992 Kenneth Steiglitz,Thomas W.Parks,James F.Kaiser「METEOR:A Constraint−Based FIR Filter Desing Program」p1901−1909 |
ΑΒΤΟΜΑΤИΚΑ NO.9 p138−146 1984 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101765084B1 (ko) | 2017-04-19 | 2017-08-04 | 푸드마케팅코리아(주) | 치즈 블록 컷팅기와 이를 이용한 치즈 블록 컷팅방법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
DE4444583A1 (de) | 1995-06-22 |
US6032106A (en) | 2000-02-29 |
JPH07226656A (ja) | 1995-08-22 |
DE4444583B4 (de) | 2004-09-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3174223B2 (ja) | フィルタの設計方法およびフィルタ | |
Tuan et al. | Robust mixed/spl Hscr//sub 2///spl Hscr//sub/spl infin//filtering of 2-D systems | |
Lu et al. | Optimal design of frequency-response-masking filters using semidefinite programming | |
Kapl et al. | Isogeometric analysis with $ C^ 1$ functions on planar, unstructured quadrilateral meshes | |
US10164609B2 (en) | Fractional scaling digital signal processing | |
JP2007531393A (ja) | 低複雑性非線形フィルタ | |
Delgado-Gonzalo et al. | Exponential splines and minimal-support bases for curve representation | |
Bréhard et al. | Validated and numerically efficient Chebyshev spectral methods for linear ordinary differential equations | |
Siddique et al. | On the Formalization of Z-Transform in HOL | |
Dalmas et al. | From infinite dimensional modelling to parametric reduced-order approximation: Application to open-channel flow for hydroelectricity | |
Loop | Second order smoothness over extraordinary vertices | |
JP2001273278A (ja) | 適性化装置および適性化方法 | |
Ajeddar et al. | Smooth reverse subdivision of uniform algebraic hyperbolic B-splines and wavelets | |
Lee et al. | Practical implementation of a factorized all pass filtering technique for non-minimum phase models | |
Gelb | Reconstruction of piecewise smooth functions from non-uniform grid point data | |
Gilsinn | Constructing Galerkin's approximations of invariant tori using MACSYMA | |
Koziol et al. | Digital control of electric drives | |
JP2785784B2 (ja) | スプライン曲線及びスプライン曲面の生成方法及び生成装置 | |
Niculescu et al. | Counting Characteristic Roots of Linear Delay Differential Equations. Part II: from Argument Principle to Rightmost Root Assignment Methods | |
Rahman et al. | Retrospective cost adaptive control using composite FIR/IIR controllers | |
JP3124223B2 (ja) | 適性化装置および適性化方法 | |
Hilaire et al. | Designing low parametric sensitivity FWL realizations of LTI controllers/filters within the implicit state-space framework | |
Bauer et al. | One-dimensional modelling of developable elastic strips by geometric constraints and their link to surface isometry | |
Hromčík et al. | FFT based algorithm for polynomial plus-minus factorization | |
Clarke et al. | Discretising controllers with slow sampling |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080330 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090330 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |