JPH09184794A - 薄膜引張試験方法および装置 - Google Patents

薄膜引張試験方法および装置

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JPH09184794A
JPH09184794A JP34386595A JP34386595A JPH09184794A JP H09184794 A JPH09184794 A JP H09184794A JP 34386595 A JP34386595 A JP 34386595A JP 34386595 A JP34386595 A JP 34386595A JP H09184794 A JPH09184794 A JP H09184794A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小な薄膜試験片を破損せず、容易に引張試
験することが困難だった。 【解決手段】 薄膜引張試験装置10の台座26には、
圧電素子を用いた試験片駆動部18が固着され、この上
に片持ち梁状の試験片14を支持する基板16が取り付
けられる。試験片14の自由端側はプローブ20に静電
力で吸着されている。プローブ20は力センサを持つ荷
重測定部22に接続される。圧電素子に電圧が印加され
ると、試験片駆動部18が変形して試験片14に引張荷
重を与える。荷重による伸び量と荷重の大きさが測定さ
れる。試験片14を電気的にプローブ20に吸着固定し
たため、機械的固定よりも破損しにくい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は薄膜引張試験方法
および装置、特に、基板上に一端が固定され、他端が自
由端である薄膜試験片に対して引張試験を行う方法およ
び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、加速度センサを代表とする各種セ
ンサは、例えば自動車搭載用の用途をはじめとして、い
ろいろな産業分野で利用されている。シリコンセンサデ
バイスにおいては、表面マイクロマシーニングにより薄
膜を構造材料として用いる技術が注目されている。この
方法によって、加速度を検知する構造体の小型化、検出
回路の集積化が容易になり、感度向上も期待できるため
である。
【0003】こうしたセンサを実用化するとき、当然な
がら、薄膜構造体の信頼性評価、およびその信頼性と膜
形成法の関係の検討を通じた膜の機械的強度の改善が必
要である。しかし、現在のところ標準となる測定方法は
規定されておらず、薄膜材料の強度が実際に測定された
例も少ない。これまでに、薄膜メンブレンの加圧による
破壊試験、硬さ試験用圧子の押込みまたは引っ掻き試験
などによる強度測定が行われたこともあるが、これらの
試験から得られる強度の値には形状効果が大きく影響す
るため、バルクの材料強度との比較、膜構造との関係を
明らかにすることは難しい。こうした理由から、バルク
の材料試験で標準的に用いられる引張試験を薄膜に対し
て行うことが望まれている。
【0004】図13は、ウエハ上に形成した薄膜試験片
を引張試験するために、試験片を固定する従来の方法
(3通り)を示す図である。同図(a)はウエハとその
上に形成された薄膜試験片を示し、前記3通りの方法は
同図(b)〜(d)に示される。これらの方法はそれぞ
れ以下の通りである。
【0005】(1)試験片を基板から取り外し、両端を
薄膜の部分でチャックする (2)試験片の一端を基板から取り外し、他端をウエハ
に固定する。前記一端は薄膜をチャックし、前記他端は
ウエハをチャックする (3)両端を基板に固定したままウエハをエッチング等
で分離し、チャックはウエハを固定して行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、薄膜試
験片(以下単に「試験片」ともいう)は非常に微小であ
り、わずかな力(例えば数g)で破損するため、測定に
は以下の困難が伴う。
【0007】上記(1)の方法では、試験片を直接ハン
ドリングするため、試験装置に取り付けるまでに壊れる
恐れが大きい。また、薄膜を直接チャックするため、特
にこの部分が壊れやすく、通常バルクの試験片でのチャ
ック法、すなわち機械的に挟んだり、ピンで引っかける
方法をとることは極めて難しい。試験片を接着する方法
もあるが、試験片の取り外しが困難なため、多数の試料
の試験には向かない。こうした状況は、薄膜の一端を直
接チャックする上記(2)の場合も同様である。
【0008】一方、上記(3)の方法では、試験片の両
端にウエハが固定されるので、ウエハの重みで試験片が
壊れやすい。従って、この場合も試験片の取扱いが非常
に難しい。
【0009】[目的]本発明はこれらの課題に鑑みてな
されたものであり、その目的は、膜厚数μmの微小で壊
れやすい試験片の取扱い、装置への着脱を容易にする薄
膜引張試験方法および装置を提供することにある。この
とき、試験片の一端を基板上に固定して他端を自由端と
し、この自由端を静電力で吸着固定するチャック方法を
開示する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜引張試験方
法は、試験片の一端が基板上に固定されるように形成さ
れ、他端が自由端になるように形成されている場合に適
用される。この方法では、試験片が基板上で片持ち梁の
ように支持されている。このとき本発明では、自由端を
静電力によって吸着手段に吸着して固定し、この状態で
前記基板と前記吸着手段の間隔を試験片に引張荷重を加
える方向に広げていくことで該試験片に引張荷重を与
え、この引張荷重の大きさを測定することにより引張試
験を行う。「吸着手段」は吸着面を有する部材であり、
例えば導電体を採用する。前記固定されている端は基板
に伴って移動し、一方、自由端は吸着手段とともに移動
する。吸着手段と自由端の吸着状態は、静電力の大き
さ、吸着面における摩擦力の適切な選択によって保持さ
れる。この態様において、例えば試験片が破断したとき
の引張荷重の大きさを測定することにより、破断強度が
判明する。
【0011】この態様によれば、従来の機械的なチャッ
クと異なり、静電力によってチャックを行う。静電力の
発生(および消滅)は機械的な運動を伴わないため、作
業に伴う試験片破損の危険性を大幅に低減することがで
きる。また、自由端側にウエハなどを残す必要がないた
め、ウエハの重さによる破損を事実上なくすことができ
る。
【0012】一方、本発明の薄膜引張試験装置は、基板
上に一端が固定され、他端が自由端である試験片に対し
て引張試験を行う装置であり、前記自由端側を吸着して
固定するための試験用吸着手段と、前記試験用吸着手段
に試験片を吸着するために、両者の間に静電力を発生さ
せる静電力発生手段と、前記試験片が吸着された状態に
おいて前記基板および前記試験用吸着手段の間に引張荷
重を与える試験片駆動部と、その引張荷重の大きさを測
定する引張荷重測定部とを備える。この構成による動作
原理および効果は上述の薄膜引張試験方法と同等であ
る。
【0013】試験片の材料が導電体であるときさらに、
前記試験用吸着手段は、少なくとも該手段と前記試験片
との接触面に絶縁膜が形成された導電体であり、前記静
電力発生手段は前記試験片とこの導電体の間に電圧を印
加して両者の間に静電引力を発生させることにしてもよ
い。静電力発生手段は電源装置を含むか、または本装置
外部にある電源装置から供給される電圧を導電体である
試験片および導電体に印加する。この態様によれば、静
電力発生手段を容易に構成することができる。
【0014】本発明の装置のある態様では、試験片材料
が誘電体である場合、前記試験用吸着手段の試験片との
接触面には一対の試験用電極が形成され、前記静電力発
生手段はこの電極間に電圧を印加する。このとき、電極
の間に印加された電圧によって発生する電場が、誘電体
である試験片に対して静電引力を及ぼし、試験片を吸着
する。この態様によれば、試験片自体に電圧を印加する
構成が不要となる。
【0015】また、前記試験用電極の表面に絶縁膜が形
成され、前記静電力発生手段はこの電極間に電圧を印加
する。このとき、電極間に印加された電圧によって発生
する電場が導電体であっても誘電体であっても、試験片
に対して静電力を及ぼし吸着する。この態様によれば、
導電体試験片であっても試験片自体に電圧を印加する構
成が不要となる。
【0016】また本発明の装置のある態様は、引張荷重
によって試験片が破断したときこの試験片を吸着する回
収用吸着手段を含み、前記静電力発生手段は破断した試
験片を試験用吸着手段から離脱させ、これを回収用吸着
手段に吸着させるための静電力を発生する。回収用吸着
手段も吸着面を有する部材であり、例えば導電体でよ
い。この態様によれば、破断した後に試験片を効率的に
回収することができる。
【0017】試験片と試験用吸着手段が導電体であり、
前記静電力発生手段が試験片とこの導電体の間に電圧を
印加して静電引力を発生させる場合、該装置はさらに、
引張荷重によって試験片が破断したときこの試験片を吸
着する回収用吸着手段を含み、この回収用吸着手段は、
少なくとも該手段と前記試験片との接触面に絶縁膜が形
成された導電体としてもよい。このとき、前記静電力発
生手段は、薄膜試験片の破断前は前記薄膜試験片と前記
回収用吸着手段とを同電位に保ち、薄膜試験片の破断後
は前記試験用吸着手段と前記回収用吸着手段との間に、
破断前と逆極性の電圧を印加する。
【0018】ここで仮に、破断前に静電力発生手段が、 1.試験用吸着手段を高電位 2.回収用吸着手段と試験片を低電位 にそれぞれ保っていたとする。この状態で試験片が破断
すれば、破断後の試験片には負電荷が多く取り残され
る。一方、破断後には前記逆極性の電圧によって、 1.試験用吸着手段が低電位 2.回収用吸着手段が高電位 となる。この結果、破断した試験片と試験用吸着手段の
間には静電斥力が働き、これらが離脱する。一方、破断
した試験片と回収用吸着手段の間には静電引力が働き、
試験片が回収用吸着手段に効率的に回収される。
【0019】前記試験用吸着手段の試験片との接触面に
は一対の試験用電極が形成され、前記静電力発生手段は
この電極間に電圧を印加して試験片を吸着する静電引力
を発生させる場合にあっては、該装置はさらに別の態様
として、引張荷重によって試験片が破断したときこの試
験片を吸着する回収用吸着手段を含み、この回収用吸着
手段は一対の回収用電極を含む。この場合、前記静電力
発生手段は、試験片の破断後、前記試験用電極間の電圧
印加を停止するとともに、前記回収用電極間の電圧印加
を開始する。試験片は、破断前には試験用電極に引き寄
せられるが、破断後は回収用電極に引き寄せられるた
め、効率のよい回収が可能となる。
【0020】本発明の装置のある態様では、前記基板の
長さは薄膜試験片の両端間隔よりも長く、かつ薄膜試験
片は基板表面にほぼ平行に配置される。このとき、従来
の基板に比べて、基板が試験片全体を保護しやすくな
る。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の薄膜引張試験装置の実施
形態を適宜図面を用いて説明する。この装置の説明か
ら、本発明の薄膜引張試験方法の内容も明らかとなる。
【0022】実施形態1. [1]装置の構成 図1は実施形態1に係る薄膜引張試験装置の全体構成図
である。薄膜引張試験装置10は、試験片の位置合わせ
や引張試験の観察のための観察装置12を備えている。
観察装置は光学顕微鏡、電子顕微鏡などを用いる。例え
ばシリコン膜やアルミなどの金属膜である試験片14
は、一端が基板16に固定され、この基板16が試験片
駆動部18の上部に固定される。試験片駆動部18の下
部は装置の台座26に固着されている。試験片駆動部1
8は試験片14に引張荷重を与える軸の方向に駆動する
ように設置される。基板16上に試験片14を形成する
方法は後述する。
【0023】プローブ20は試験片14を静電引力によ
って吸着し固定するもので、荷重測定部22に接続され
ている。荷重測定部22はプローブ20と試験片14と
の位置合せステージ24に固定されている。この位置合
せステージ24は、図示しないステッピングモータを駆
動原としたねじ送りステージである。後述のように、荷
重測定部22にはひずみゲージによる力センサを用い
る。
【0024】この構成において、実際の試験は、試験片
14が吸着された状態で試験片駆動部18によって試験
片14に引張荷重を与え、行われる。荷重が増加してい
くと、ある瞬間に試験片14が破断する。このとき試験
片14に与えられていた変位は後述の方法によって試験
片駆動部18で測定され、一方荷重の大きさは荷重測定
部22で測定され、引張強度等の特性が判明する。
【0025】図2は試験片駆動部18の構造と作用を示
す図である。同図(a)に示す通り、試験片駆動部18
のステージ上下から突起30、31が延び、これらの間
に積層圧電素子32がはめ込まれている。積層圧電素子
32に電圧を印加することより、試験片14に対して軸
方向の引張荷重を与える。ステージ側面で構成される平
行板バネの上には、半導体ひずみゲージ34が貼り付け
られている。なお、積層圧電素子32の形状として5×
5×18mm、ステージの変位のフルスケールとして2
0μmを採用する。形状等数値の選定根拠は[5]で説
明する。以降現れる数値パラメータは例示であり、設計
に従って最適の数字を決定すればよい。
【0026】図2(b)には、電圧が印加された積層圧
電素子32が伸びたときの試験片駆動部18のステージ
変位が示されている。ステージ下部は台座26に固定さ
れているため、ステージ下部から延びる突起31はあま
り変位を受けず、ステージ上部から延びる突起30が図
中左方向に押されて変位する。このため試験片14が引
っ張られ、このときの変位が前記半導体ひずみゲージ3
4によって正確に測定される。
【0027】図3は荷重測定部22に用いる力センサの
構成を示す図である。同図に示す通り、中心軸40は二
対の板バネ42で支持されている。中心軸40の先端に
微小なプローブ20が取り付けられる。板バネ42上に
は半導体ひずみゲージ44が貼り付けられ、軸の変位に
よる板バネのひずみから試験片14に加わる荷重が測定
される。板バネの幅は2mm、長さは3mm、板厚は
0.2mm、力センサの感度は0.44mV/g、剛性
は0.24μm/gとする。
【0028】図4は試験片14と基板16の拡大図であ
る。試験片14は固定端を含む固定部60、引張強度の
測定対象部分である試験部62、およびプローブ20に
よって吸着固定されるチャック部64からなる。試験部
62は、幅wが2〜5μm、厚さ2μm、長さlが10
〜300μmである。チャック部64は引張試験時の荷
重に対して試験片14を固定することできる寸法であ
り、幅wf が0.1mm、長さlf が1mmとする。プ
ローブ20の吸着面の大きさは試験片14のチャック部
64よりも十分大きい。なお、基板16の全長が試験片
14の両端間隔よりも長く、試験片14が基板16表面
に沿って平行に配置されるため、基板16が試験片14
全体を保護する形状になっている。
【0029】図5はプローブ20と基板16付近の拡大
図である。基板16はシリコンウエハ16aで形成し、
窒化シリコン膜などの絶縁体16bを表面に形成する。
プローブ20にはシリコンウエハ20aを用い、吸着面
に酸化シリコン膜や窒化シリコン膜などの絶縁膜20b
を設ける。絶縁膜20bの膜厚は0.1〜0.2μmで
ある。
【0030】プローブ20と基板16および試験片14
には、直流電源である電源装置50から必要な電圧が印
加される。電極は、基板16のシリコンウエハ16a、
プローブ20のシリコンウエハ20a、および試験片1
4の固定部60に設けられる。固定部60は絶縁膜を介
して基板16に固定されている。電圧が印加されたと
き、基板16と試験片14は同電位になる。
【0031】図6はプローブ20の吸着面の絶縁膜20
bの形状を示す図である。通常は同図(a)のように、
吸着面のみに絶縁膜20bを形成しておく。しかしこの
場合、吸着面の縁の部分において絶縁破壊が生じるおそ
れがある。このときは同図(b)のように、シリコンウ
エハ20aの側面についても絶縁膜20bを形成する。
この場合、縁における絶縁強度が増し、絶縁破壊を防止
することができる。
【0032】[2]装置の動作 引張試験は以下の手順で行われる。まず、位置合せステ
ージ24によって試験片14のチャック部64にプロー
ブ20を近づける。基板16と試験片14を同電位にし
た上で、プローブ20と試験片14の間に電圧を印加す
る。このときチャック部64とプローブ20の吸着面に
電荷が発生して静電引力が働き、チャック部64がプロ
ーブ20に吸着固定される。従って、従来のような機械
的なチャックが不要であり、試験片14が破損する危険
性が低減される。
【0033】この状態で試験片駆動部18に変位を与
え、試験片14に引張荷重を加える。試験片14は最終
的に破断する。この間、試験片14とプローブ20は両
者の摩擦力(静電力で吸着した面の摩擦力)によって保
持されている。破断までの送り量(すなわち試験片14
の伸び)は試験片駆動部18の半導体ひずみゲージ34
で記録され、荷重は荷重測定部22の力センサで記録さ
れる。
【0034】引張試験後、破断した試験片14は残留す
る電荷によってプローブ20に固定されている。そこ
で、電源装置50のスイッチを逆側に接続することによ
り、プローブ20と試験片14の間にそれまでと逆極性
の電圧を印加する。この結果、プローブ20と試験片1
4の間に静電斥力、基板16と試験片14の間に静電引
力が働き、試験片14はプローブ20から外れ、基板1
6上に固定される。こうして破断した試験片14を容易
かつ確実に回収することができる。
【0035】[3]試験片の強度解析 破壊強度は破断したときの荷重から求められる。図7は
試験片14を引張試験したときの送り量と荷重の関係を
示している。同図(a)は、試験片14の持つ試験部6
2の膜厚を2μm、幅を5μm、長さを300μmとし
た場合、同図(b)は試験部62の長さが0、すなわち
試験部62がない試験片14に関する図である。
【0036】同図(a)のグラフの傾きは、試験部62
の剛性kt とそれ以外の部分の剛性ko の合計の剛性k
s を示す。剛性ko には、試験片14の試験部62以外
の剛性のほか、試験片駆動部18の剛性や荷重測定部2
2の剛性などが含まれる。
【0037】一方、同図(b)のグラフの傾きは剛性k
o 自体を表している。従って、式1を用い、これらの傾
きから試験片14の剛性(またはヤング率)を求めるこ
とができる。
【0038】
【数1】 1/ks =1/kt +1/ko (式1) [4]試験片の作成方法 ここで試験片14を基板16上に作成する方法を説明す
る。図10、11は試験片14を作成する工程を示す図
である。
【0039】[方法1](図10) 基板16上に犠牲層80を薄膜で形成する(工程1)。
基板16上に試験片14となるべき試料の薄膜81を形
成し、フォトリソグラフィで試験片14の形状に加工す
る(工程2)。試験片14の固定端が基板から分離しな
いようにしたまま、犠牲層80をエッチング等で除去す
る(工程3)。なおこの方法の場合、工程3で一旦試験
片14を完全に基板から分離し、その後固定端を別に準
備した基板16上に接着剤等で固定してもよい。
【0040】[方法2](図11) 基板16として、試験片14となるべき試料と密着性の
悪い材料を使う。基板16上にまず接着層84を薄膜で
形成する(工程1)。接着層84は基板16、試験片1
4の両材料に対して密着性のよいものを採用する。つぎ
に、試験片14となるべき試料の薄膜81を形成する
(工程2)。このとき、金属マスクなどを用いて形状を
整える。この後、接着層84の部分が固定端となり、そ
れ以外の部分は容易にはがれて自由端が形成される(工
程3)。
【0041】以上が作成方法の例である。なお、図12
は基板16上に多数配置された試験片14を示してい
る。このような1つの基板16上に多数の試験片14を
並べて形成することは、既存の半導体製造技術によって
容易に実現される。本発明の装置によれば、試験片14
に対する機械的なチャックが不要であるため、これらの
試験片14を破損することなく、容易かつ連続的に引張
試験することができる。
【0042】[5]パラメータの導出 今回用いた形状等のパラメータの根拠説明および試験に
必要な他のパラメータの導出を行う。
【0043】図4において、試験部62の膜厚をtとお
く。引張試験に必要な荷重P、そのときの試験部62の
伸びをdl 、試験片14の材料強度をσf 、破壊ひずみ
をεf 、ヤング率をEとすれば、 P=σf wt dl =lεf =lσf /E と書ける。ここで、σf =3GPa、E=150GP
a、w=5μm、l=300μm、t=2μmとすれ
ば、試験に必要な最大のPmax とそのときのdl (d
lmax)は、 Pmax =30mN(約3g) dlmax=6μm である。Pmax は今回目的とする試験片14が破断する
荷重(数g)に適合し、dlmaxは試験片駆動部18のフ
ルスケール20μmに適合する。
【0044】つぎに、この荷重が働くときに試験片14
のチャック部64がプローブ20から離れないために必
要な電圧を求める。試験片14とプローブ20を固定す
る摩擦力Fは、
【数2】 F=−(μεr ε0 /2)・(wf f /d2 )・V2 である。ここでμは摩擦係数、Vは印加する電圧であ
る。εr とdは電極間の比誘電率と電極間距離であり、
絶縁膜の比誘電率と膜厚に置き換えられる。ε0 は真空
の誘電率(8.854 ×10-12 )である。ここでは、wf
=0.1mm、lf=1mmとする。絶縁膜はSi
2 、Si3 4 の2通りを考える。前者の比誘電率
3.8であり、ここでは膜厚を0.1μmとする。一
方、後者の比誘電率8であり、ここでは膜厚を0.2μ
mとする。計算に当たり、摩擦係数μは0.3とした。
【0045】以上の条件で必要な電圧の計算を行えば、
SiO2 の場合で約30V、Si34 の場合で約40
Vとなる。従って本実施形態の電源装置50には、定格
がこれらの値を超える直流電源を準備すればよい。
【0046】実施形態2.実施形態1の変形に係る実施
形態を説明する。実施形態1同様の構成については説明
を略し、変更点を説明する。
【0047】図8は、実施形態2に係るプローブ20と
基板16付近の拡大図である。同図に示す通り、プロー
ブ20の絶縁膜20b上に2つの電極70、71、基板
16の絶縁膜16b上に2つの電極72、73がそれぞ
れ新設されている。電極72、73は試験片14付近に
敷設される。電極はアルミニウムなどの導電膜で形成す
る。
【0048】この構成において、まずプローブ20側の
電極70、71間に電源装置から電圧を印加する。この
とき、試験片14とプローブ20の間で働く静電引力に
より、試験片14のチャック部62がプローブ20に吸
着固定される。この後、実施形態1同様の手順で引張試
験を行う。
【0049】試験片14が破断した後も、破断した試験
片14はプローブ20に固定されている。ここで電源装
置50のスイッチを逆に接続し、電極70、71に対す
る電圧の印加を停止するとともに、基板16側の電極7
2、73に対する電圧の印加を開始する。この結果、破
断した試験片14はプローブ20から離脱し、基板16
側に吸着、回収される。
【0050】以上が実施形態2の概要であるが、本実施
形態では電極の形状によって吸着力を高めることができ
る。図9は好ましい電極の形状を示す図であり、これは
プローブ20側、基板16側ともに適用可能である。同
図に示す通り、電極を櫛歯状に配設することで吸着力が
大きくなる。
【0051】
【発明の効果】本発明の薄膜引張試験方法および装置に
よれば、機械的チャックを電気的チャックに変更したた
め、微小で壊れやすい薄膜材料を容易に引張試験するこ
とができる。また、試験片の固定を行うとき試験片への
ダメージを減らすことができる。さらに、試験片の着脱
が容易になるため、基板上に多数の試験片を形成し、こ
れらを連続的に試験することができる。これらの効果に
より、従来の課題を解消するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1に係る薄膜引張試験装置10の全
体構成図である。
【図2】 試験片駆動部18の構造と作用を示す図であ
る。
【図3】 荷重測定部22に用いる力センサの構成を示
す図である。
【図4】 試験片14と基板16の拡大図である。
【図5】 実施形態1に係るプローブ20と基板16付
近の拡大図である。
【図6】 プローブ20の吸着面の絶縁膜20bの形状
を説明する図である。
【図7】 試験片14を引張試験したときの送り量と荷
重の関係を示す図である。
【図8】 実施形態2に係るプローブ20と基板16付
近の拡大図である。
【図9】 実施形態2において好ましい電極の形状を示
す図である。
【図10】 試験片14を作成する工程を示す図であ
る。
【図11】 試験片14を作成する工程を示す図であ
る。
【図12】 基板16上に多数配置された試験片14を
示す図である。
【図13】 ウエハ上に形成した試験片14を引張試験
するために試験片14を固定する3通りの従来の方法を
示す図である。
【符号の説明】
10 薄膜引張試験装置、12 観察装置、14 試験
片、16 基板、16a,20a シリコンウエハ、1
6b,20b 絶縁膜、18 試験片駆動部、20 プ
ローブ、22 荷重測定部、24 位置合せステージ、
26 台座、32 積層圧電素子、34,44 半導体
ひずみゲージ、42 板バネ、50 電源装置、60
固定部、62 試験部、64 チャック部、70〜73
電極、80 犠牲層、81 試料の薄膜、84 接着
層。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜試験片の一端が基板上に固定される
    ように形成され、他端が自由端になるように形成されて
    いるとき、 前記自由端側を静電力によって吸着手段に吸着して固定
    し、 この状態で前記基板と前記吸着手段の間隔を広げていく
    ことで該試験片に引張荷重を与え、 この引張荷重の大きさを測定することにより引張試験を
    行うことを特徴とする薄膜引張試験方法。
  2. 【請求項2】 基板上に一端が固定され、他端が自由端
    である薄膜試験片に対して引張試験を行う装置におい
    て、 前記自由端側を吸着して固定するための試験用吸着手段
    と、 前記試験用吸着手段に薄膜試験片を吸着するために、両
    者の間に静電力を発生させる静電力発生手段と、 前記薄膜試験片が吸着された状態において前記基板およ
    び前記試験用吸着手段の間隔を広げていくことで薄膜試
    験片に引張荷重を与える薄膜試験片駆動部と、 その引張荷重の大きさを測定する引張荷重測定部と、 を備えたことを特徴とする薄膜引張試験装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の薄膜引張試験装置にお
    いて、 前記試験用吸着手段は、少なくとも該手段と前記薄膜試
    験片との接触面に絶縁膜が形成された導電体であり、 前記静電力発生手段は、前記薄膜試験片とこの導電体の
    間に電圧を印加して両者の間に静電引力を発生させるこ
    とを特徴とする薄膜引張試験装置。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の薄膜引張試験装置にお
    いて、 前記試験用吸着手段の前記薄膜試験片との接触面には一
    対の試験用電極が形成され、 前記静電力発生手段は、この電極間に電圧を印加して薄
    膜試験片を吸着する静電引力を発生させることを特徴と
    する薄膜引張試験装置。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれかに記載の薄膜引
    張試験装置において、 該装置はさらに、引張荷重によって薄膜試験片が破断し
    たときこの試験片を吸着する回収用吸着手段を含み、 前記静電力発生手段は、前記破断した試験片を前記試験
    用吸着手段から離脱させ、これを前記回収用吸着手段に
    吸着させるための静電力を発生することを特徴とする薄
    膜引張試験装置。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の薄膜引張試験装置にお
    いて、 該装置はさらに、引張荷重によって薄膜試験片が破断し
    たときこの試験片を吸着する回収用吸着手段を含み、 この回収用吸着手段は、少なくとも該手段と前記薄膜試
    験片との接触面に絶縁膜が形成された導電体であり、 前記静電力発生手段は、薄膜試験片の破断前は前記薄膜
    試験片と前記回収用吸着手段とを同電位に保ち、薄膜試
    験片の破断後は前記試験用吸着手段と前記回収用吸着手
    段との間に、破断前と逆極性の電圧を印加することを特
    徴とする薄膜引張試験装置。
  7. 【請求項7】 請求項4に記載の薄膜引張試験装置にお
    いて、 該装置はさらに、引張荷重によって薄膜試験片が破断し
    たときこの試験片を吸着する回収用吸着手段を含み、 この回収用吸着手段は一対の回収用電極を含み、 前記静電力発生手段は、薄膜試験片の破断後、前記試験
    用電極間の電圧印加を停止するとともに、前記回収用電
    極間の電圧印加を開始することを特徴とする薄膜引張試
    験装置。
  8. 【請求項8】 請求項2〜7のいずれかに記載の薄膜引
    張試験装置において、 前記基板の長さは前記薄膜試験片の両端間隔よりも長
    く、かつ薄膜試験片は基板表面にほぼ平行に配置される
    ことを特徴とする薄膜引張試験装置。
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