JPH09168261A - コイルの製造方法とその装置 - Google Patents

コイルの製造方法とその装置

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JPH09168261A
JPH09168261A JP32586095A JP32586095A JPH09168261A JP H09168261 A JPH09168261 A JP H09168261A JP 32586095 A JP32586095 A JP 32586095A JP 32586095 A JP32586095 A JP 32586095A JP H09168261 A JPH09168261 A JP H09168261A
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JP
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coil
molding
die
winding
cross
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Application number
JP32586095A
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English (en)
Inventor
Koki Taneda
幸記 種田
Noriaki Yamamoto
典明 山本
Masami Masuda
正美 桝田
Suetaro Shibukawa
末太郎 渋川
Osamu Koizumi
小泉  修
Takeshi Komata
剛 小俣
Fumio Tajima
文男 田島
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い占積率が得られるとともに、コイルの絶
縁層厚をほぼ均等に成形することができるコイルの製造
方法とその装置の提供。 【構成】(i)コイルを形成する各電線が該コイルの断
面中心に向けて移動するようにコイル断面に対して少な
くとも3方向から加圧し、該加圧したコイルの各電線の
断面角部にrを有する多角形状に圧縮成形する工程と、
(ii)該圧縮成形後、成形形状を維持したまま、隣接す
る自己融着電線間の融着層を互いに固着する工程とを具
備したコイルの製造方法とその装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転電動機、発電機等
に使用されるコイルの製造方法とその装置に係わり、特
に、高占積率が得られるとともに、各線の絶縁層厚をほ
ぼ均等に成形するのに好適なコイルの製造方法とその装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のコイルの巻線および成形方法は、
特開平3-265437号公報に、記載のように占積率を高める
ために断面丸形の電線を整列巻したコイルを一方向から
の加圧により略多角形に成形している。また、コイルの
被成形部分を一度に圧縮成形している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、整列
巻したコイルを一方向からの加圧により成形しており、
該加圧時のコイルの加圧方向に対する直交方向及びコイ
ルの長手方向は自由表面になっている。このため、加圧
による材料の変形は自由表面の方向に向かって変形して
いき、さらにその変形が進んで各電線が下型の溝内に充
満することによりコイル成形されていた。その結果、各
電線の断面形状は略長丸または様々な略多角形状とな
り、また、一方向からの加圧のため、成形型と各電線と
のすべりが一様でなく、各電線の周囲に施された絶縁層
の伸び量にばらつきが生じ、高い絶縁信頼性を確保する
には難点があった。
【0004】また、コイルの被成形部を一度に圧縮成形
する方法では、例えば、20kw程度の中形からそれ以
上の大形のモータのコイル、または線径の太い電線を巻
回したコイルになると、成形範囲が広くなるため隣接す
る各電線間の隙間を埋めるようにコイル断面を充満する
方向に材料が流動し難く、さらに、大きな加圧力によっ
てもコイル断面の空隙が減り難い。従って占積率が80%
程度となり、それ以上の高占積率を得ることができない
問題点を有していた。
【0005】本発明は、従来のこのような欠点を解決す
べく、高い占積率が得られるとともに、コイルの絶縁層
厚をほぼ均等に成形することができるコイルの製造方法
とその装置を提供することを目的とする。
【0006】また、本発明の他の目的は、中形から大形
のモータのコイル、または線径の太い電線を巻回したコ
イルでも高い占積率を得ることができるコイルの製造方
法とその装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、自己融着電線を巻枠に所定の回数整列巻
きして形成されたコイルを、成形用金型を介して所定の
形状・寸法に圧縮成形するコイルの製造方法において、
(i)前記整列巻きされたコイルのうち電線の交差部を
除いた部分を、コイルを構成する各電線が該コイルの断
面中心に向けて移動するようにコイル断面に対して少な
くとも3方向から加圧し、該加圧したコイルの各電線を
多角形状に圧縮成形する工程と、(ii)該圧縮成形後、
成形形状を維持したまま、隣接する自己融着電線間の融
着層を互いに固着する工程と、を具備する構成にしたも
のである。
【0008】そして、前記圧縮成形工程において、圧縮
成形でのコイルの伸びに応じて巻枠を伸長させる構成に
するとよい。
【0009】また、前記圧縮成形工程において、成形用
金型に液状潤滑剤を浸透させた状態でコイルを加圧成形
した後、該コイル表面の電解質を洗浄除去するか、成形
用金型に固体被膜潤滑剤を塗布または焼き付け、または
テフロンコーティングして加圧成形することが望まし
い。
【0010】また、前記圧縮成形工程において、コイル
を、温風または成形用金型内に埋設した加熱装置によ
り、加熱状態で温間成形するとよい。
【0011】さらに、前記圧縮成形工程において、コイ
ルを、成形用金型に形成されたコイル長手方向に平行な
直線部と、該直線部に連続し、かつコイルの未成形部側
に対して開くように傾斜した傾斜部とからなる押圧面に
より複数回加圧し、該加圧ごとに未成形部側のコイルの
傾斜部を、前記成形用金型の直線部の範囲内に相対的に
移動させて加圧成形するとよい。
【0012】さらにまた、前記圧縮成形工程において、
前記コイルの電線の交差部を除いた部分を、コイル断面
に対して互いに直角な4方向から均等に加圧し、各電線
およびコイルの断面形状を正方形状に加圧成形すること
が望ましい。
【0013】一方、本発明は、自己融着電線を巻枠に所
定の回数整列巻きしてコイルを形成し、該形成したコイ
ルを成形用金型を介して所定の形状・寸法に圧縮成形す
るコイルの製造装置において、(i)前記整列巻きされ
たコイルの内、コイルエンド部を成形用金型を挟んで相
対させて配置し、(ii)前記コイルエンド部の保持枠、
およびコイル加圧時の該コイルの伸び量に応じて相対す
るコイルエンド部間の距離を拡張可能な巻枠伸長機構を
備え、成形用金型に対して回転可能に、かつ上下動可能
に支持された巻枠と、(iii)前記整列巻きされたコイ
ルのうち電線の交差部を除いた部分が嵌入され、該嵌入
された部分を、コイル断面に対して少なくとも3方向か
ら複数の成形コマを介してコイルを形成する各電線が該
コイルの断面中心に向けて移動するように、かつ前記巻
枠に干渉することなく加圧可能な成形用金型と、(iv)
加圧成形時のコイルを温度管理する温度管理手段と、を
具備する構成にしたものである。
【0014】そして、前記成形用金型を、ダイベース上
に固設された下金型と、該下金型上に前記巻枠とともに
下降して載置されたコイルを上方より加圧する上金型と
からなる構成にするとよい。
【0015】また、前記ダイベース上に固設された下金
型を、少なくとも3個の分割された成形コマを有し、各
成形コマにより形成されるコイルの嵌入溝幅を弾性支持
体を介して伸縮自在に構成されてなる構成にすることが
好ましい。
【0016】さらに、前記巻枠伸長機構を、コイル加圧
時の該コイルの伸び方向に前記巻枠のコイルエンド部を
移動可能に案内するガイドと、コイル加圧時の該コイル
の伸び量に応じて前記巻枠のコイルエンド部を移動させ
る駆動部材とからなる構成にすることが望ましい。
【0017】
【作用】上記構成としたことにより、圧縮成形過程にお
いて各成形コマは、コイルを形成する各電線を該コイル
の断面中心に向けて移動させ、コイル断面に対して少な
くとも3方向から均等な加圧力をコイルの伸びに対応し
ながら作用させることができる。このため、各成形コマ
と被成形コイル各線との間のすべりが一様になり、成形
された被成形コイル各線の絶縁層がほぼ均一で、絶縁信
頼性の高い稠密なコイルを形成することが可能になる。
【0018】従って、絶縁層を含む電線の占積率は約9
0%以上まで高くなり、例えば、モータの固定子スロッ
トに組線した場合、高い占積率を確保することが可能に
なる。 そして、コイル加圧時には、成形用金型とコイ
ルとの摩擦係数を減少させ、また、温度管理された温間
成形により、導体材料が流動し易く成形性が向上するた
め、コイルの絶縁被膜の損傷を防止するとともに、金型
寿命を延ばすことができ、さらに、成形されたコイル形
状を維持したまま各融着層間を溶融固着することが可能
になる。
【0019】また、成形用金型を直線部と傾斜部とから
なる押圧面にしたことにより、例えば中形から大形のモ
ータのコイルまたは、線径の太い導線を巻回したコイル
でも小さな加圧成形力で高い占積率を得ることが可能に
なる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照しなが
ら説明する。なお、同一の機能物には、同一の符号を付
して説明する。
【0021】全体構成を図1を参照して説明する。図1
(b)にコイル巻線成形装置の概略断面図、図1(a)
に図1(b)のa−a断面矢視図を示す。自己融着電線
1は、ボビン11から線位置を案内するガイド機構13
により、テンション機構14を介して巻枠6に供給され
る。前記ガイド機構13は、ガイドレール13bとボー
ルネジ等の駆動機構13cと駆動源13aおよび線材把
持部13eからなる。また、前記テンション機構14
は、自己融着電線1を摩擦で把持可能なテンションロー
ラ14eとその駆動制動を行うブレーキ14aからな
る。巻線の端末始点は、巻枠6に固設した端末線固定治
具12に固定される。
【0022】巻枠6は、プレス下金型8を固設したダイ
ベース9に対して上下動できる巻枠支持部材20に固設
されており、また、巻枠支持部材20に固設された回転
駆動源21aにより、ダイベース9に固設された軸受け
部21b、カップリング21dおよび回転軸21cとを
介して、ダイベース9に対し回転軸21c中心に回転自
由に設置されている。前記巻枠6の上下動は、ダイベー
ス9に支持部材23を介して支持された案内レール24
b、上下駆動源24a、伝動機構24d、ボールネジ等
の駆動機構24c等からなる上下機構により、巻枠支持
部材20を上下させることにより行われる。
【0023】また、ポンチベース15に固設したプレス
上金型16は、ダイベース9に固設されたガイドポスト
18により、プレス下金型8と平行状態を保持して上下
動が可能である。ポンチベース15上には、ガイドポス
ト18と平行に駆動できる加圧シリンダ25がフレーム
19にダイベース9とともに設置されている。また、巻
枠6は、コイル加圧成形時のコイルの伸びを吸収する巻
枠伸長機構40を備え、コイルエンド5a、5bの巻枠
6a、6b間の距離を拡張できるようになっている。
【0024】また、プレス下金型8の内部に温度検出器
を含んだ加熱装置26が埋設されている。テンション機
構14、線ガイド駆動源13a、巻枠回転駆動源21
a、上下動駆動源24aおよび加熱装置26は、コント
ローラ34に接続されており、巻線時の線位置と巻回角
度及びそのときの張力を制御可能で、かつ成形時の温度
管理が可能である。
【0025】次に、コイル製造工程を説明する。まず、
巻枠6は、回転時に他の構成部品と干渉せず、また電線
を損傷しない位置へ上下駆動源24aにより上下動し固
定される。そして、端末始点を端末線固定治具12に固
定された自己融着電線1は、テンション機構14を介し
て張力を印加された状態で、巻枠6が回転軸21c中心
に回転することにより巻線され、コイル5が形成されて
いく。そのとき、上下機構24または線位置のガイド機
構13により、線位置を調節し整列巻をする。コイル5
の終端は、始端と同様に端末線固定治具12に固定され
るが、始端と終端を別部品で固定してもよい。終端固定
後、線を切断し、巻線が完了する。
【0026】そして、上下機構24により、コイル5と
ともに巻枠6を下降し、コイルをプレス下金型8の位置
に設置する。次に、加圧シリンダ25を駆動させること
により、プレス上金型16を下降させ、プレス下金型8
との間にコイル5を挟み込み、後述する加圧成形方法に
てコイル5を成形する。
【0027】成形後、加圧した状態で加熱装置26を作
動させ、予め設定された自己融着電線1の導体を被覆す
る絶縁層の外層に形成したナイロン系、またはエポキシ
系等のプラスチックスからなる融着層の溶融温度範囲に
加熱して融着時間内維持し、コイル5内の隣合った各電
線を互いに固着する。該固着後、加圧シリンダ25の加
圧力を開放し、上下機構24を駆動して巻枠6を上昇さ
せ、成形されたコイル5を取り出す。この装置により、
巻線、成形および融着が可能である。
【0028】なお、上述した装置において、巻線と成形
を一体の構成としたが、巻線装置と成形装置とを別々の
装置として、巻枠6のみを共通部品としてコイル5ごと
成形装置に移動させてもよい。
【0029】次に、コイルの具体的な加圧成形方法を、
第2の実施例として図2、図3を参照して説明する。図
2にコイル巻線成形治具の分解斜視図、図3にコイルを
加圧圧縮するプレス金型の断面図を示す。自己融着電線
1をコイルエンド5a、5bのみコイル支持部が設けら
れた巻枠6に整列に巻回したコイル5を用意する。ま
た、ほぼ直角V溝を設けたプレス下金型8a、8bに5
角形状の成形コマ2a、2b、2cを配置する。このと
き成形コマ2b、2cは、図3(a)に示すように圧縮
バネ等の弾性支持体30a、30bでプレス下金型のV
溝に沿って押し広げられており、この押し広げにより成
形コマ2a、2b、2cの内側の相対する面はコイル辺
5c、5dが嵌入されるコの字状の溝を形成する。この
場合形成されるコの字状の溝幅は、整列巻きされたコイ
ル辺5c、5dの幅よりも僅かに大きくする。また、成
形コマ2dを配置したプレス上金型16a、16bをプ
レス下金型8a、8bに相対させて平行に配置する。こ
のとき、プレス上金型16a、16bはプレス下金型8
a、8bを上下逆にした形状であり、また、各成形コマ
は、弾性支持体30a、30bとの係合部を除き、成形
コマ2dを含めて同一形状である。なお、成形コマ2a
とプレス下金型8a、8b、および、成形コマ2dとプ
レス上金型16a、16bとは別部品である必要はなく
一体となった形状でもよい。
【0030】巻線の完了したコイル5は、巻枠6ととも
に、コイル辺5c、5dが成形コマ2a、2b、2cで
形成するコの字状溝に収まるように設置される。コイル
5の設置完了後、プレス上金型16a、16bが下降し
コイル5のコイル辺5c、5dを圧縮成形する。圧縮成
形過程において、成形コマ2b、2cは、プレス上金型
16a、16bの押圧面16cと接触することにより、
該押圧面16cとプレス下金型8a、8bの押圧面8c
とを摺動し、コイル5の断面中心に向けて移動させられ
る。このため、図3(a)に矢印で示す加圧方向と、該
加圧方向とほぼ直角で、かつコイル5の断面中心に向け
た方向とからコイル5を圧縮成形する。したがって、こ
の圧縮成形過程においては、図3(b)に示すように成
形コマ2a、2d間の距離a1と、成形コマ2b、2c
間の距離a2とはほぼ等しくなり、コイル5の断面に対
して4方向から均等な力が作用する。
【0031】次に、図4、図5を参照して第3の実施例
の鞍形コイルの成形について説明する。図4に自己融着
電線1を整列巻きした鞍形コイル10を示し、図5に鞍
形コイル10を加圧圧縮するプレス金型の断面図を示
す。図4に示すコイル辺10c、10dは、例えば、モ
ータの固定子のスロット数と極数とで決まる固定子スロ
ットの跨ぎスロット角度に合わせて整列されており、一
方、コイルエンド部10a、10bは、固定子へ組線す
るとき干渉を避けた形状をなしている。そして、コイル
エンド部10a、10bの内のいずれか一方に整列巻き
された鞍形コイル10内の線の交差する部分が形成され
る。また、巻枠60は、前記図2に示す巻枠6と同様
に、鞍形コイル10の保持をコイルエンド部10a、1
0bのみで行い、図5に断面を示したプレス金型に鞍形
コイル10を嵌入して圧縮成形を行う。
【0032】図5に示すように、プレス下金型8とプレ
ス上金型16は、前記図2の説明と同様に、略直角V字
形状の溝を向かい合わせた構成をなす。プレス下金型8
には断面がV字状の溝を形成した成形コマ3a、3b、
3cを配置する。そのとき成形コマ3b、3cは、整列
巻きされた鞍形コイル10のコイル辺10c、10dが
嵌入できるように、圧縮バネ等の弾性支持体30a、3
0bでプレス下金型8のV溝に沿って押し広げられてお
り、この押し広げにより成形コマ3b、3c間の間隔
は、コイル辺10c、10dの幅寸法よりも大きな間隔
にされる。各成形コマは、弾性支持体30a、30bと
の係合部を除きプレス上金型16に配置した成形コマ3
dを含めて同一形状であり、V字の角度は約90度であ
る。ここで、各成形コマは、プレス下金型8、プレス上
金型16と別部品になっているが、成形コマ3aとプレ
ス下金型8、および、成形コマ3dとプレス上金型16
は別部品である必要はなく一体となった形状でもよい。
【0033】図5(b)に鞍形コイル10が各成形コマ
内に嵌入され、プレス上金型16が下降して成形コマ3
b、3cに接触した状態を示す。前記図3の説明と同様
に、圧縮成形過程において成形コマ3b、3cは、プレ
ス上金型16の押圧面と接触することにより、プレス下
金型8の押圧面8cとプレス上金型16の押圧面16c
とを摺動し、鞍形コイル10の断面中心に向けて移動さ
せられる。このため、図5(a)に矢印で示す加圧方向
と、該加圧方向とほぼ直角で、かつ鞍形コイル10の断
面中心に向けた方向とから鞍形コイル10を圧縮成形す
る。したがって、この圧縮成形過程においては、図5
(b)に示すように成形コマ3a、3d間の距離と、成
形コマ3b、3c間の距離とはほぼ等しくなり、鞍形コ
イル10の断面に対して4方向から均等な力が作用す
る。
【0034】自己融着電線1のポリアミドイミド等から
なる絶縁層厚は、一般に電線と成形金型との間の滑りの
ばらつき、製作時の融着層の厚さのばらつき、導体(C
u)の硬度のばらつき等により均一になりにくいが、上
記図2ないし図5に示す各実施例にて述べたように、巻
枠に整列巻きされたコイルは、その状態でコイル断面に
対して4方向から分割された成形コマにより圧縮成形さ
れるため、各成形コマと被成形コイル各線との間のすべ
りが一様となり、成形された各線の絶縁層厚がほぼ均一
で、かつ稠密なコイルを形成することが可能になる。し
たがって、絶縁層を含む電線の占積率は約90%以上に
まで高まり、例えば、モータの固定子スロットに組線し
た場合、高い巻線占積率を確保することが可能になる。
【0035】なお、上述した図2ないし図5に示す実施
例においては、コイル辺のみを圧縮成形する方法を説明
したが、コイルエンド部にも成形治具を配置して圧縮成
形しても良い。図6に成形電線の具体例を示す。絶縁0
種で2.4mmの導体径を有する自己融着電線1を4タ
ーン巻回した図6(a)に示すような断面形状のコイル
を、前記図5(b)に示すコイル押圧面の幅s1、s2
1=s2で、かつ(s1+s2)=4mmとした成形コマ
を使用して圧縮成形した。この場合、コイルの単位長さ
あたりの荷重は250〜350g/mmである。成形後
のコイルの断面形状は、図6(b)に示すようにコイル
幅B寸法が4mmのほぼ正方形になり、成形線角部r寸
法を0.2mm程度に成形することができた。
【0036】つぎに、図7を参照して、上述した第1な
いし第3の実施例における成形型内にヒータと温度検出
器を固設した具体例を、第4の実施例として説明する。
プレス下金型8内に、ヒータ27と、該ヒータ27に対
応させた温度検出器28とを任意の範囲毎に埋め込んで
おく。そして予め、コイル加圧状態で加熱したときのコ
イル5表面での温度と埋め込んだ温度検出器28の位置
の温度関係を測定しておく。ついで、プレス下金型8お
よびプレス上金型16により圧縮成形されたコイル5を
加圧状態のまま、コイル5表面全体の温度がほぼ均一に
融着温度範囲になるように、コントローラ35により各
温度検出器28を介して温度管理しながら各ヒータ27
を温度調節する。これにより、自己融着電線1の融着層
が溶融し、成形されたコイル5の各線が整列を維持した
状態で固着する。このとき、コイル5端末線に通電器2
9を接続して、コイル5に通電して発生する熱を利用し
てもよい。
【0037】このように、加圧成形を行う金型に温度制
御部を設けたことで、成形後の融着を同じ装置で行うこ
とができ、また、温間での成形も可能になるため、成形
された形状を維持した状態のまま固着することが可能に
なり、コイル部品として高い占積率を維持することが可
能である。
【0038】次に、図8を参照して第5の実施例を説明
する。本実施例は、上述した圧縮工程において、成形コ
マの押圧面に直線部と該直線部に続く傾斜部とを設け、
コイル成形範囲を2回以上加圧して成形する方法であ
る。図8にコイル成形コマの圧縮成形過程の拡大断面図
を示す。図中には成形コマ4a、4dのみしか示されて
いないが、実際は前記図3の場合と同様に、コイル5を
4方向から加圧するように4a、4b、4c、4dから
なる分割した成形コマが配設されている。成形コマ4a
ないし4dの各押圧面は、図8に示すようにコイル5の
長手方向に対して平行な直線部と、該直線部に連続する
角度αだけ傾斜した傾斜部とからなっており、傾斜はコ
イル5の未成形部側に対して開くように各成形コマとも
同一に形成されている。この直線部と傾斜部との割合
は、自己融着電線1の種類、径等により異なるが、1:
1ないし1:2程度とし、両者同寸法ないし傾斜部側の
寸法を長くする。角度αは、1°ないし2°の範囲にし
た実例がある。また、成形コマ4aないし4dは、コイ
ル成形時にプレス下金型8およびプレス上金型16に設
けられた型ガイド31a、31b、31c、31dに案
内されて摺動可能になっている。
【0039】圧縮成形されるコイル5は、該コイル5自
体、またはプレス下金型8およびプレス上金型16を移
動することにより、プレス下金型8およびプレス上金型
16に対して加圧ごとに図示矢印方向へ相対的に移動
し、未成形部側が順次圧縮成形される。
【0040】図8(a)はコイル5を加圧した状態を示
す図で、この1回目の加圧によりコイル5は、各成形コ
マの有する直線部と傾斜部とからなる押圧面と同一形状
に圧縮成形される。
【0041】次に加圧力を開放した後、図8(b)に示
すように、コイル5の成形済みの直線部と傾斜部との境
界Tが成形コマ4aないし4dの直線部の範囲内(実際
には同図において直線部のできるだけ左方の位置)に収
まるように、コイル5を各成形コマに対し図示矢印方向
へ相対的に移動させる。
【0042】この位置で2回目の加圧をすると、前記1
回目の加圧により傾斜に成形された未成形部分が、成形
済みの直線部に連続して直線に成形され、同時に、該直
線部に連なる傾斜部が前記1回目の加圧と同様に未成形
部側に向けて成形される。以下このような加圧を繰り返
すことにより所定の長さの範囲を所定の形状に成形する
ことができる。
【0043】かかる各成形コマの押圧面の形状において
は、加圧力は、加圧時のコイル5の長手方向での材料の
流動が、傾斜の開いた方向、つまり未成形部側に向けて
流れ易いように作用して成形を容易にするが、各成形コ
マの押圧面が直線部のみの場合には、コイル5に作用す
る加圧力は各成形コマの中央部において最大となり、ど
うしても加圧力が最大となる各成形コマの中央部におい
てコイル5の材料の流動が制約され流れにくくなる。こ
のため、各成形コマの端部と中央部とで成形断面形状が
異なり、ばらつきが生じる結果となる。しかし、図8に
示す各成形コマを使用して、半ば成形されているが完全
には成形されていない未成形の傾斜部を順次直線部に加
圧成形することにより、安定した成形精度を得ることが
でき、中形から大形のモータのコイル、または、線径の
太い電線を巻回したコイルでも高い占積率を得ることが
可能になる。
【0044】なお、上述した各実施例において、各成形
コマのコイル押圧面や金型どうしの接触面等に、二硫化
モリブデン系の固体被膜潤滑剤を塗布または焼き付けす
るか、または、金型表面にテフロンコーティングを施す
ことにより、金型と電線との摩擦係数を減少させ、導体
材料の流動を容易にして成形性を向上させることが可能
になる。このため、成形中におけるコイルの絶縁被膜の
損傷を防止するとともに、金型寿命を延ばすことが可能
になる。また、同様の効果を得るために、液体潤滑材で
金型を潤滑させて湿式成形を行い、成形を終えたコイル
を、洗浄漕で超音波洗浄等を施してコイル表面の電解質
を除去し、温風等で乾燥させるようにしてもよい。さら
に、コイルの絶縁層の損傷を防止するため、成形コマの
コイル押圧面の端部及び前記図8に示す直線部と傾斜部
との境界Tに、滑らかなR加工を施すことが望ましい。
【0045】次に、図9を参照して前記図1で説明した
巻枠伸長機構の具体的な実施例を3例説明する。図9
(a)は、具体的な巻枠伸長機構の第1の例で、コイル
エンド部の巻枠6a、6bがコイル辺長手方向に直進可
能にガイド41に案内されており、コイル圧縮成形時に
生ずるコイル5の伸びとともに、該コイル5の伸び方向
に巻枠6a、6bを移動可能に引っ張りバネ等の弾性支
持部材42a、42bで常時引き広げる構成である。こ
こで、ガイド41は、巻枠固定部またはダイベース9に
固設されたガイド支持部43a、43bに支持されてお
り、弾性支持部材42a、42bと巻枠6a、6bとは
連結されていてガイド41に沿って移動可能になってい
る。これにより、コイル5が圧縮成形時に伸びても該伸
びに追随して巻枠6a、6b間が拡がり、コイル5は巻
枠6a、6bと分離することなく保持される。
【0046】図9(b)は、具体的な巻枠伸長機構の第
2の例で、コイルエンド部の巻枠6a、6bが、コイル
辺長手方向に直進可能に両端逆ネジが形成されたボール
ネジ44に係合しており、駆動源45を駆動することに
より、巻枠6a、6b間の距離を伸縮させる構成であ
る。この場合も図9(a)の場合と同様に、コイル5の
伸びに対応して巻枠6a、6b間の距離を伸縮させる。
これにより、圧縮成形時のコイル5の伸びを吸収すると
ともに、圧縮成形過程においてコイル5に張力を印加し
続けることができ、成形時における電線導体の流動を容
易にする。
【0047】図9(c)は、具体的な巻枠伸長機構の第
3の例で、コイルエンド部の勾配付き巻枠7a、7b
が、コイル辺長手方向に直進可能なガイド46に支持さ
れ、勾配付き巻枠7a、7bの上方には、勾配付き巻枠
7a、7bに相対する勾配を形成した勾配付きブロック
17a、17bが配置された構成である。これによりコ
イル圧縮成形時において、プレス上金型16とともにポ
ンチベース15に固着された勾配付きブロック17a、
17bが下降すると、勾配付きブロック17a、17b
により勾配付き巻枠7a、7bの勾配部を押圧し、該押
圧力によりコイル5の伸びに応じて勾配付き巻枠7a、
7bをその間隔を広げる方向に移動させ、圧縮成形時に
生ずるコイル5の伸びを吸収し、同時に、コイル5に常
に張力を印加した状態で成形することが可能になる。
【0048】上記図9に示す巻枠伸長機構の各例とも、
コイルの整列状態を維持する巻枠が圧縮成形によるコイ
ルの伸びに対応可能であり、伸びによるコイルのばらつ
きを抑えることができる。また、上記各例とも、プレス
下金型8を支持するダイベース9内に、成形荷重を測定
するロードセル等の測定器を設置し、成形荷重を測定し
ながら巻枠伸長機構を作動させるようにしても良い。
【0049】なお、前記各実施例において成形コマの数
を4とし、コイルを4方向から加圧する構成としたが、
成形コマの分割数を3以上とし、コイルを少なくとも3
方向から加圧する構成にしても同様の効果を得ることが
可能である。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、小形は
勿論、中形から大形のモータのコイル、または線径の太
い電線を巻回したコイルでも高い占積率が得られるとと
もに、コイルの絶縁層厚をほぼ均等に成形することがで
きる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるコイル巻線成形装置の1例を示
す全体構成図である。
【図2】本発明の第2の実施例のコイル巻線成形治具の
分解斜視図である。
【図3】図2におけるプレス金型の詳細図である。
【図4】本発明の第3の実施例の鞍形コイルの斜視図で
ある。
【図5】本発明の第3の実施例のプレス金型の詳細図で
ある。
【図6】本発明に係わる成形前後のコイル断面図であ
る。
【図7】本発明の第4の実施例の融着装置の構成断面図
である。
【図8】本発明の第5の実施例のコイル圧縮成形過程の
拡大断面図である。
【図9】本発明に係わるコイルの巻枠伸長機構の具体例
を示す説明図である。
【符号の説明】
1…自己融着電線、2a、2b、2c、2d、3a、3
b、3c、3d、4a、4b、4c、4d…成形コマ、
5…コイル、5a、5b…コイルエンド、5c、5d…
コイル辺、6、6a、6b…巻枠、7a、7b…勾配付
き巻枠、8、8a、8b…プレス下金型、9…ダイベー
ス、10…鞍形コイル、12…巻線固定治具、16、1
6a、16b…プレス上金型、16c…押圧面、19…
フレーム、20…巻枠支持部材、25…加圧シリンダ、
26…加熱装置、27…ヒータ、28…温度検出器、3
0a、30b…弾性支持部材、31a、31b、31
c、31d…型ガイド、34、35…コントローラ、4
0…巻枠伸長機構。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渋川 末太郎 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内 (72)発明者 小泉 修 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内 (72)発明者 小俣 剛 千葉県習志野市東習志野七丁目1番1号 株式会社日立製作所産業システム本部内 (72)発明者 田島 文男 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己融着電線を巻枠に所定の回数整列巻
    きして形成されたコイルを、成形用金型を介して所定の
    形状・寸法に圧縮成形するコイルの製造方法において、
    (i)前記整列巻きされたコイルのうち電線の交差部を
    除いた部分を、コイルを構成する各電線が該コイルの断
    面中心に向けて移動するようにコイル断面に対して少な
    くとも3方向から加圧し、該加圧したコイルの各電線を
    多角形状に圧縮成形する工程と、(ii)該圧縮成形後、
    成形形状を維持したまま、隣接する自己融着電線間の融
    着層を互いに固着する工程と、を具備したことを特徴と
    するコイルの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記圧縮成形工程において、圧縮成形で
    のコイルの伸びに応じて巻枠を伸長させる請求項1記載
    のコイルの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記圧縮成形工程において、成形用金型
    に液状潤滑剤を浸透させた状態でコイルを加圧成形した
    後、該コイル表面の電解質を洗浄除去するか、成形用金
    型に固体被膜潤滑剤を塗布または焼き付け、またはテフ
    ロンコーティングして加圧成形する請求項1記載のコイ
    ルの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記圧縮成形工程において、コイルを、
    温風または成形用金型内に埋設した加熱装置により、加
    熱状態で温間成形する請求項1記載のコイルの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記圧縮成形工程において、コイルを、
    成形用金型に形成されたコイル長手方向に平行な直線部
    と、該直線部に連続し、かつコイルの未成形部側に対し
    て開くように傾斜した傾斜部とからなる押圧面により複
    数回加圧し、該加圧ごとに未成形部側のコイルの傾斜部
    を、前記成形用金型の直線部の範囲内に相対的に移動さ
    せて加圧成形する請求項1記載のコイルの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記圧縮成形工程において、前記コイル
    の電線の交差部を除いた部分を、コイル断面に対して互
    いに直角な4方向から均等に加圧し、各電線およびコイ
    ルの断面形状を正方形状に加圧成形する請求項1記載の
    コイルの製造方法。
  7. 【請求項7】 自己融着電線を巻枠に所定の回数整列巻
    きしてコイルを形成し、該形成したコイルを成形用金型
    を介して所定の形状・寸法に圧縮成形するコイルの製造
    装置において、(i)前記整列巻きされたコイルの内、
    コイルエンド部を成形用金型を挟んで相対させて配置
    し、(ii)前記コイルエンド部の保持枠、およびコイル
    加圧時の該コイルの伸び量に応じて相対するコイルエン
    ド部間の距離を拡張可能な巻枠伸長機構を備え、成形用
    金型に対して回転可能に、かつ上下動可能に支持された
    巻枠と、(iii)前記整列巻きされたコイルのうち電線
    の交差部を除いた部分が嵌入され、該嵌入された部分
    を、コイル断面に対して少なくとも3方向から複数の成
    形コマを介してコイルを形成する各電線が該コイルの断
    面中心に向けて移動するように、かつ前記巻枠に干渉す
    ることなく加圧可能な成形用金型と、(iv)加圧成形時
    のコイルを温度管理する温度管理手段と、を具備したこ
    とを特徴とするコイルの製造装置。
  8. 【請求項8】 前記成形用金型が、ダイベース上に固設
    された下金型と、該下金型上に前記巻枠とともに下降し
    て載置されたコイルを上方より加圧する上金型とからな
    る請求項7記載のコイルの製造装置。
  9. 【請求項9】 前記ダイベース上に固設された下金型
    が、少なくとも3個の分割された成形コマを有し、各成
    形コマにより形成されるコイルの嵌入溝幅を弾性支持体
    を介して伸縮自在に構成されてなる請求項8記載のコイ
    ルの製造装置。
  10. 【請求項10】 前記巻枠伸長機構が、コイル加圧時の
    該コイルの伸び方向に前記巻枠のコイルエンド部を移動
    可能に案内するガイドと、コイル加圧時の該コイルの伸
    び量に応じて前記巻枠のコイルエンド部を移動させる駆
    動部材とからなる請求項7記載のコイルの製造装置。
  11. 【請求項11】 導線を整列巻きして形成されたコイル
    において、 整列巻きされたコイル内の線が交差する部分を除いた範
    囲又はその範囲内の直線部分の各線の断面が略多角形で
    あることを特徴とするコイル。
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