JPH09164470A - エレクトロスラグホットトップ法 - Google Patents
エレクトロスラグホットトップ法Info
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- JPH09164470A JPH09164470A JP32431295A JP32431295A JPH09164470A JP H09164470 A JPH09164470 A JP H09164470A JP 32431295 A JP32431295 A JP 32431295A JP 32431295 A JP32431295 A JP 32431295A JP H09164470 A JPH09164470 A JP H09164470A
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- Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 特に合金工具鋼を対象にして、ひけ巣やザク
巣など主に鋳塊上部に形成される鋳造欠陥を防止して歩
留向上を図るとともに、鋳塊内部に生成する逆V偏析を
抑制する。 【解決手段】 鋳型および押湯枠内に注湯した合金溶湯
上にスラグを装入し、前記スラグ内に電極端部を浸漬し
て、抵抗発熱により、前記合金溶湯の上部を加熱するエ
レクトロスラグホットトップ法において、前記スラグの
温度を、合金溶湯の固相率が10〜50%の温度になるよう
に制御し、その温度域で一定時間保持することを特徴と
するエレクトロスラグホットトップ法である。
巣など主に鋳塊上部に形成される鋳造欠陥を防止して歩
留向上を図るとともに、鋳塊内部に生成する逆V偏析を
抑制する。 【解決手段】 鋳型および押湯枠内に注湯した合金溶湯
上にスラグを装入し、前記スラグ内に電極端部を浸漬し
て、抵抗発熱により、前記合金溶湯の上部を加熱するエ
レクトロスラグホットトップ法において、前記スラグの
温度を、合金溶湯の固相率が10〜50%の温度になるよう
に制御し、その温度域で一定時間保持することを特徴と
するエレクトロスラグホットトップ法である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高品質の大型鋳塊
の造塊方法に係るエレクトロスラグホットトップ法に関
するものである。
の造塊方法に係るエレクトロスラグホットトップ法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、10トン以上の大型鋳塊について
は、凝固収縮に伴う欠陥、ザク巣等の欠陥を防止するた
めに鋳塊の頭部に押湯部を設け、押湯部の保温のために
発熱剤を装入するなど、各種の工夫がなされている。こ
れに対して、本発明が対象とするエレクトロスラグホッ
トトップ法は、押湯枠内の合金溶湯面上に溶融スラグを
装入し、そのスラグ内に電極端部を浸漬して、電極と合
金溶湯との間、あるいは複数電極間に電流を流しスラグ
の抵抗発熱を利用して合金溶湯上部を加熱する造塊技術
であり、別名ESHT法、あるいはEST法とも呼ばれ
ている。この方法は、オーストリアVEW社によって開
発され(特公昭47−39817号)、その実例が報告
(Electric Furnance Proceeding VoL.33.Dec 1975 P185
〜189)されている。その後、スラグの組成を工夫した提
案(例えば特公昭59−31426号,日本金属学会会
報 第23巻 第4号(1984) P282/283)などホットトップ法
に関して多くの改良がなされている。
は、凝固収縮に伴う欠陥、ザク巣等の欠陥を防止するた
めに鋳塊の頭部に押湯部を設け、押湯部の保温のために
発熱剤を装入するなど、各種の工夫がなされている。こ
れに対して、本発明が対象とするエレクトロスラグホッ
トトップ法は、押湯枠内の合金溶湯面上に溶融スラグを
装入し、そのスラグ内に電極端部を浸漬して、電極と合
金溶湯との間、あるいは複数電極間に電流を流しスラグ
の抵抗発熱を利用して合金溶湯上部を加熱する造塊技術
であり、別名ESHT法、あるいはEST法とも呼ばれ
ている。この方法は、オーストリアVEW社によって開
発され(特公昭47−39817号)、その実例が報告
(Electric Furnance Proceeding VoL.33.Dec 1975 P185
〜189)されている。その後、スラグの組成を工夫した提
案(例えば特公昭59−31426号,日本金属学会会
報 第23巻 第4号(1984) P282/283)などホットトップ法
に関して多くの改良がなされている。
【0003】エレクトロスラグホットトップ法(以下代
表してESHT法と記す)の基本的な概略図を図1に示
す。別容器内で溶解された合金溶湯は、図1に示す鋳型
2内に注湯し、押湯枠3内の合金溶湯面上に装入された
溶融スラグ内に電流を流し、抵抗発熱によって、通常、
溶湯の液相線以上の温度に加熱をすることにより、合金
溶湯上部を最後に凝固させて鋳塊上部に形成されるひけ
巣、ザク巣などの鋳塊頭部の凝固収縮に伴う欠陥を抑制
することにある。上記手段は、例えば大型の鋳塊によっ
て製造されるタービンロータなどの製造で実用化され、
対象合金としては、Cr−Ni−Mo鋼、Cr−Mo−
V鋼等、炭素が0.3%程度の構造用鋼などがある。
表してESHT法と記す)の基本的な概略図を図1に示
す。別容器内で溶解された合金溶湯は、図1に示す鋳型
2内に注湯し、押湯枠3内の合金溶湯面上に装入された
溶融スラグ内に電流を流し、抵抗発熱によって、通常、
溶湯の液相線以上の温度に加熱をすることにより、合金
溶湯上部を最後に凝固させて鋳塊上部に形成されるひけ
巣、ザク巣などの鋳塊頭部の凝固収縮に伴う欠陥を抑制
することにある。上記手段は、例えば大型の鋳塊によっ
て製造されるタービンロータなどの製造で実用化され、
対象合金としては、Cr−Ni−Mo鋼、Cr−Mo−
V鋼等、炭素が0.3%程度の構造用鋼などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
ESHT法は、ひけ巣やザク巣などの鋳造欠陥を抑制す
る目的から、スラグの加熱温度を合金溶湯の液相線温度
以上の温度に保持した後、冷却することによって、溶湯
上部の早期凝固を抑えていた。ところが、工具鋼等、特
にCが0.5%以上、かつCを除く炭化物形成元素の合計が
5%以上を含有するFeを主体とする高炭素高合金鋼にお
いては、固液共存域の温度範囲が低Cの低合金鋼と比較
して一般に広くなり、ザク巣欠陥よりも凝固途中の固液
共存域での溶湯の対流等による逆V偏析と呼ばれる欠陥
の方が、鋼塊の品質に大きな影響を与える問題がある。
ESHT法は、ひけ巣やザク巣などの鋳造欠陥を抑制す
る目的から、スラグの加熱温度を合金溶湯の液相線温度
以上の温度に保持した後、冷却することによって、溶湯
上部の早期凝固を抑えていた。ところが、工具鋼等、特
にCが0.5%以上、かつCを除く炭化物形成元素の合計が
5%以上を含有するFeを主体とする高炭素高合金鋼にお
いては、固液共存域の温度範囲が低Cの低合金鋼と比較
して一般に広くなり、ザク巣欠陥よりも凝固途中の固液
共存域での溶湯の対流等による逆V偏析と呼ばれる欠陥
の方が、鋼塊の品質に大きな影響を与える問題がある。
【0005】そのため、上記のような高炭素高合金鋼の
造塊にESHT法を適用すると、ザク巣欠陥に対しては
良い効果を与えるが、鋳型内で溶湯の上部と下部の温度
差が大きくなって凝固過程で生じる溶湯の対流が大きく
なり、逆V偏析の出現を助長するため、逆効果であると
言われていた。本発明の目的は、ひけ巣やザク巣など主
に鋳塊上部に形成される鋳造欠陥を防止して歩留向上を
図るとともに、鋳塊内部に生成する逆V偏析を抑制する
エレクトロスラグホットトップ法を提供することであ
る。
造塊にESHT法を適用すると、ザク巣欠陥に対しては
良い効果を与えるが、鋳型内で溶湯の上部と下部の温度
差が大きくなって凝固過程で生じる溶湯の対流が大きく
なり、逆V偏析の出現を助長するため、逆効果であると
言われていた。本発明の目的は、ひけ巣やザク巣など主
に鋳塊上部に形成される鋳造欠陥を防止して歩留向上を
図るとともに、鋳塊内部に生成する逆V偏析を抑制する
エレクトロスラグホットトップ法を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】フレミング、メフラビア
ンらによって提案された、逆V偏析が発生する条件は、
下記に示す式(1)を満足する場合に起こると言われて
いる。 (V・∇T)/ε<−1 ・・・(1) ここで、流速ベクトル:V、温度勾配:∇T、温度変化
率:εである。合金溶湯の凝固中においては、溶湯が低
温側から高温側に向かって流動している場合に、その流
れに伴う温度変化率V・∇Tが、その温度変化率εより
も大きくなる場合には再溶解が起き、通常、液相成分の
多い(solute-rich)部分が発生すると説明されている。
流速ベクトルVについては、その大きさを小さくできれ
ば、式(1)の左辺の値は、他のパラメータ∇T、ε等
が一定であるとすると、その絶対値は、小さくでき、偏
析の発生を抑えることができる。
ンらによって提案された、逆V偏析が発生する条件は、
下記に示す式(1)を満足する場合に起こると言われて
いる。 (V・∇T)/ε<−1 ・・・(1) ここで、流速ベクトル:V、温度勾配:∇T、温度変化
率:εである。合金溶湯の凝固中においては、溶湯が低
温側から高温側に向かって流動している場合に、その流
れに伴う温度変化率V・∇Tが、その温度変化率εより
も大きくなる場合には再溶解が起き、通常、液相成分の
多い(solute-rich)部分が発生すると説明されている。
流速ベクトルVについては、その大きさを小さくできれ
ば、式(1)の左辺の値は、他のパラメータ∇T、ε等
が一定であるとすると、その絶対値は、小さくでき、偏
析の発生を抑えることができる。
【0007】次に流速ベクトルVの大きさを小さくする
ためには、固液共存域での凝固中流動特性として、固相
が増すにしたがって、流動が抑えられる。発明者が高炭
素高合金鋼について詳細に検討を行なった結果、鋳型内
に注湯した合金溶湯の上部温度、すなわち押湯部の湯面
近傍の温度を、少なくとも逆V偏析が発生するまでの時
間帯(ほぼ、鋳塊の直径の2/3が凝固するまでの時間帯)
が固相率で30%前後になるように保持することで、ザク
巣欠陥に対する効果もある程度保持しながら、通常のE
SHTをしない場合よりも、溶湯の流動を抑えて、逆V
偏析の発生を低減することができることがわかった。
ためには、固液共存域での凝固中流動特性として、固相
が増すにしたがって、流動が抑えられる。発明者が高炭
素高合金鋼について詳細に検討を行なった結果、鋳型内
に注湯した合金溶湯の上部温度、すなわち押湯部の湯面
近傍の温度を、少なくとも逆V偏析が発生するまでの時
間帯(ほぼ、鋳塊の直径の2/3が凝固するまでの時間帯)
が固相率で30%前後になるように保持することで、ザク
巣欠陥に対する効果もある程度保持しながら、通常のE
SHTをしない場合よりも、溶湯の流動を抑えて、逆V
偏析の発生を低減することができることがわかった。
【0008】すなわち本発明は、鋳型および押湯枠内に
注湯した合金溶湯上にスラグを装入し、前記スラグ内に
電極端部を浸漬して、ジュール発熱により、前記合金溶
湯の上部を加熱するエレクトロスラグホットトップ法に
おいて、前記スラグの温度を、合金溶湯の固相率が10〜
50%の温度になるように制御し、その温度域で一定時間
保持することを特徴とするエレクトロスラグホットトッ
プ法である。上記方法を適用する望ましい合金溶湯の組
成は、少なくとも重量%でC 0.5%以上、かつCを除く炭
化物形成元素の合計が5%以上を含有するFeを主体とす
る合金工具鋼である。
注湯した合金溶湯上にスラグを装入し、前記スラグ内に
電極端部を浸漬して、ジュール発熱により、前記合金溶
湯の上部を加熱するエレクトロスラグホットトップ法に
おいて、前記スラグの温度を、合金溶湯の固相率が10〜
50%の温度になるように制御し、その温度域で一定時間
保持することを特徴とするエレクトロスラグホットトッ
プ法である。上記方法を適用する望ましい合金溶湯の組
成は、少なくとも重量%でC 0.5%以上、かつCを除く炭
化物形成元素の合計が5%以上を含有するFeを主体とす
る合金工具鋼である。
【0009】
【発明の実施の形態】次に本発明のESHT法における
作用、および数値限定理由について説明する。鋳型内に
注湯された合金の溶湯は、液相線以上の高温状態である
が、注湯直後から、接触する鋳型内面や底部の定盤側か
ら内部に向かって凝固が進行する。これに対して溶湯上
部は、鋳込み直後に予め別容器により溶融状態にしたス
ラグを溶湯面上に装入するとともに、このスラグ中に電
極を浸漬し、電流を流して加熱することによって、溶湯
上部が早期に凝固しないようにする。この際、スラグの
温度を注湯した合金溶湯の固相率が10〜50%の温度にな
るように制御することが重要である。
作用、および数値限定理由について説明する。鋳型内に
注湯された合金の溶湯は、液相線以上の高温状態である
が、注湯直後から、接触する鋳型内面や底部の定盤側か
ら内部に向かって凝固が進行する。これに対して溶湯上
部は、鋳込み直後に予め別容器により溶融状態にしたス
ラグを溶湯面上に装入するとともに、このスラグ中に電
極を浸漬し、電流を流して加熱することによって、溶湯
上部が早期に凝固しないようにする。この際、スラグの
温度を注湯した合金溶湯の固相率が10〜50%の温度にな
るように制御することが重要である。
【0010】スラグの保持温度が合金溶湯の固相率 10%
未満では、溶湯上部の温度が高すぎ、凝固途中の溶湯流
動を十分抑制できなくなって逆V偏の防止効果ができな
くなる。また、合金溶湯の固相率が50%を越えるスラグ
温度では、溶湯上部の温度が低下しすぎて、ひけ巣やザ
ク巣が発生する原因になる。したがって、加熱する溶融
スラグの温度範囲を合金溶湯の固相率 10〜50%とする。
なお、合金の固相率は、溶解する合金組成と同じ化学成
分のものを予め少量溶解して試験片を作成し、これを示
差熱量計(DSC)を用いて、凝固に伴う潜熱の発生を
測定することにより、潜熱の発生と固相の増加は比例す
ると仮定して、固相率と温度の関係を求めることができ
る。その他、例えば市販されている各種合金元素の熱力
学的計算から求められるソフトウェア(Thermo,Calcな
ど)を用いて合金の固相率と温度の関係を求めることが
できる。本発明方法は、合金溶湯の固液共存の温度範囲
が広いJIS規格の冷間工具鋼のうち、特にSKD1,S
KD11,SKD12,またはこれらの改良材である高
炭素合金鋼などの造塊に適している。
未満では、溶湯上部の温度が高すぎ、凝固途中の溶湯流
動を十分抑制できなくなって逆V偏の防止効果ができな
くなる。また、合金溶湯の固相率が50%を越えるスラグ
温度では、溶湯上部の温度が低下しすぎて、ひけ巣やザ
ク巣が発生する原因になる。したがって、加熱する溶融
スラグの温度範囲を合金溶湯の固相率 10〜50%とする。
なお、合金の固相率は、溶解する合金組成と同じ化学成
分のものを予め少量溶解して試験片を作成し、これを示
差熱量計(DSC)を用いて、凝固に伴う潜熱の発生を
測定することにより、潜熱の発生と固相の増加は比例す
ると仮定して、固相率と温度の関係を求めることができ
る。その他、例えば市販されている各種合金元素の熱力
学的計算から求められるソフトウェア(Thermo,Calcな
ど)を用いて合金の固相率と温度の関係を求めることが
できる。本発明方法は、合金溶湯の固液共存の温度範囲
が広いJIS規格の冷間工具鋼のうち、特にSKD1,S
KD11,SKD12,またはこれらの改良材である高
炭素合金鋼などの造塊に適している。
【0011】
【実施例】高さ 1020mm、上径 φ1150mm、下径 φ970mm
の鋳塊を本発明方法によるESHT法で造塊した。造塊
に用いた合金は、1.5%C、12%Crを主成分とする高C高
合金鋼で、別容器のアーク炉により溶解した溶湯を鋳型
に注湯し、300kgのCaO−Al2O3−CaF2系の溶融
スラグを溶湯面上に装入した。次いで、電極をスラグに
浸漬し、このスラグ温度を約1370℃に保持するように、
約100〜600kwの電力を3時間通電して、ESHT鋳塊を
製造した。なお、スラグ温度 1370℃は、前述した示差
熱量計(DSC)により得られた固相率 30%相当の温度
である。
の鋳塊を本発明方法によるESHT法で造塊した。造塊
に用いた合金は、1.5%C、12%Crを主成分とする高C高
合金鋼で、別容器のアーク炉により溶解した溶湯を鋳型
に注湯し、300kgのCaO−Al2O3−CaF2系の溶融
スラグを溶湯面上に装入した。次いで、電極をスラグに
浸漬し、このスラグ温度を約1370℃に保持するように、
約100〜600kwの電力を3時間通電して、ESHT鋳塊を
製造した。なお、スラグ温度 1370℃は、前述した示差
熱量計(DSC)により得られた固相率 30%相当の温度
である。
【0012】また、上記と同一の鋳型にて従来法によ
り、鋳型に注湯後、50kgの保温剤を溶湯面上に装入した
鋳塊を製造し、本発明の実施例を比較した。図2は、本
発明法および従来法によって、それぞれ同じ合金の溶湯
を同一寸法の鋳型に同量注湯して造塊した鋳塊を下部か
ら上部にわたって輪切り状に切断し、それぞれの横断面
について、100mm×100mmの単位面積当りの粒状逆V偏析
個数を目視でカウントし、その平均値をプロットしたも
のである。図2から本発明方法により、逆V偏析の発生
が従来法に比較して大幅に低減されていることがわか
る。また、上記本発明法による鋳塊には、大きいひけ巣
やザク巣欠陥も認められず概ね健全な鋼塊であった。
り、鋳型に注湯後、50kgの保温剤を溶湯面上に装入した
鋳塊を製造し、本発明の実施例を比較した。図2は、本
発明法および従来法によって、それぞれ同じ合金の溶湯
を同一寸法の鋳型に同量注湯して造塊した鋳塊を下部か
ら上部にわたって輪切り状に切断し、それぞれの横断面
について、100mm×100mmの単位面積当りの粒状逆V偏析
個数を目視でカウントし、その平均値をプロットしたも
のである。図2から本発明方法により、逆V偏析の発生
が従来法に比較して大幅に低減されていることがわか
る。また、上記本発明法による鋳塊には、大きいひけ巣
やザク巣欠陥も認められず概ね健全な鋼塊であった。
【0013】
【発明の効果】本発明により、偏析の少ない比較的大き
い鋳塊を安価に製造することが可能となる。特に10ton
以上の高炭素高クロム鋼に代表される工具鋼について
は、大きな鋳塊が製造可能となることにより、後工程で
の鍛造比が大きく取れることから、最終製品の機械的性
質、特に抗折力や引張強さが大きく、かつ靭性の高い鋼
を製造することが可能となる。
い鋳塊を安価に製造することが可能となる。特に10ton
以上の高炭素高クロム鋼に代表される工具鋼について
は、大きな鋳塊が製造可能となることにより、後工程で
の鍛造比が大きく取れることから、最終製品の機械的性
質、特に抗折力や引張強さが大きく、かつ靭性の高い鋼
を製造することが可能となる。
【図1】本発明のESHT法を示す図である。
【図2】本発明により得られた鋳塊と従来法による鋳塊
の性状を比較する図であり、鋳塊の高さ方向の位置と、
逆V偏析の欠陥個数との関係を示している。
の性状を比較する図であり、鋳塊の高さ方向の位置と、
逆V偏析の欠陥個数との関係を示している。
1 定盤、2 鋳型、3 押湯枠、4 溶湯、5 スラ
グ、6 電極、7 電源
グ、6 電極、7 電源
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年1月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】すなわち本発明は、鋳型および押湯枠内に
注湯した合金溶湯上にスラグを装入し、前記スラグ内に
電極端部を浸漬して、抵抗発熱により、前記合金溶湯の
上部を加熱するエレクトロスラグホットトップ法におい
て、前記スラグの温度を、合金溶湯の固相率が10〜50%
の温度になるように制御し、その温度域で一定時間保持
することを特徴とするエレクトロスラグホットトップ法
である。上記方法を適用する望ましい合金溶湯の組成
は、少なくとも重量%でC 0.5%以上、かつCを除く炭化
物形成元素の合計が5%以上を含有するFeを主体とする
合金工具鋼である。
注湯した合金溶湯上にスラグを装入し、前記スラグ内に
電極端部を浸漬して、抵抗発熱により、前記合金溶湯の
上部を加熱するエレクトロスラグホットトップ法におい
て、前記スラグの温度を、合金溶湯の固相率が10〜50%
の温度になるように制御し、その温度域で一定時間保持
することを特徴とするエレクトロスラグホットトップ法
である。上記方法を適用する望ましい合金溶湯の組成
は、少なくとも重量%でC 0.5%以上、かつCを除く炭化
物形成元素の合計が5%以上を含有するFeを主体とする
合金工具鋼である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】スラグの保持温度が合金溶湯の固相率 10%
未満では、溶湯上部の温度が高すぎ、凝固途中の溶湯流
動を十分抑制できなくなって逆V偏の防止効果ができな
くなる。また、合金溶湯の固相率が50%を越えるスラグ
温度では、溶湯上部の温度が低下しすぎて、ひけ巣やザ
ク巣が発生する原因になる。したがって、加熱する溶融
スラグの温度範囲を合金溶湯の固相率 10〜50%とする。
なお、合金の固相率は、溶解する合金組成と同じ化学成
分のものを予め少量溶解して試験片を作成し、これを示
差熱量計(DSC)を用いて、凝固に伴う潜熱の発生を
測定することにより、潜熱の発生と固相の増加は比例す
ると仮定して、固相率と温度の関係を求めることができ
る。その他、例えば市販されている各種合金元素の熱力
学的計算から求められるソフトウェア(Thermo-Calcな
ど)を用いて合金の固相率と温度の関係を求めることが
できる。本発明方法は、合金溶湯の固液共存の温度範囲
が広いJIS規格の冷間工具鋼のうち、特にSKD1,S
KD11,SKD12,またはこれらの改良材である高
炭素合金鋼などの造塊に適している。
未満では、溶湯上部の温度が高すぎ、凝固途中の溶湯流
動を十分抑制できなくなって逆V偏の防止効果ができな
くなる。また、合金溶湯の固相率が50%を越えるスラグ
温度では、溶湯上部の温度が低下しすぎて、ひけ巣やザ
ク巣が発生する原因になる。したがって、加熱する溶融
スラグの温度範囲を合金溶湯の固相率 10〜50%とする。
なお、合金の固相率は、溶解する合金組成と同じ化学成
分のものを予め少量溶解して試験片を作成し、これを示
差熱量計(DSC)を用いて、凝固に伴う潜熱の発生を
測定することにより、潜熱の発生と固相の増加は比例す
ると仮定して、固相率と温度の関係を求めることができ
る。その他、例えば市販されている各種合金元素の熱力
学的計算から求められるソフトウェア(Thermo-Calcな
ど)を用いて合金の固相率と温度の関係を求めることが
できる。本発明方法は、合金溶湯の固液共存の温度範囲
が広いJIS規格の冷間工具鋼のうち、特にSKD1,S
KD11,SKD12,またはこれらの改良材である高
炭素合金鋼などの造塊に適している。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/00 301 C22B 9/18 H // B22D 27/02
Claims (2)
- 【請求項1】 鋳型および押湯枠内に注湯した合金溶湯
上にスラグを装入し、前記スラグ内に電極端部を浸漬し
て、ジュール発熱により、前記合金溶湯の上部を加熱す
るエレクトロスラグホットトップ法において、前記スラ
グの温度を、合金溶湯の固相率が10〜50%の温度になる
ように制御し、その温度域で一定時間保持することを特
徴とするエレクトロスラグホットトップ法。 - 【請求項2】 合金溶湯の組成のうち、少なくとも重量
%で、C 0.5%以上、かつCを除く炭化物形成元素の合
計が5%以上を含有するFeを主体とする合金工具鋼であ
る請求項1に記載のエレクトロスラグホットトップ法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32431295A JPH09164470A (ja) | 1995-12-13 | 1995-12-13 | エレクトロスラグホットトップ法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32431295A JPH09164470A (ja) | 1995-12-13 | 1995-12-13 | エレクトロスラグホットトップ法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09164470A true JPH09164470A (ja) | 1997-06-24 |
Family
ID=18164400
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32431295A Pending JPH09164470A (ja) | 1995-12-13 | 1995-12-13 | エレクトロスラグホットトップ法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09164470A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109014085A (zh) * | 2018-09-11 | 2018-12-18 | 安徽富凯特材有限公司 | 一种钛合金钢锭的浇注方法 |
CN109158555A (zh) * | 2018-09-11 | 2019-01-08 | 安徽富凯特材有限公司 | 一种提高06Cr18Ni11Ti钢锭用材率的浇注方法 |
CN114799092A (zh) * | 2022-05-06 | 2022-07-29 | 上海交通大学 | 一种液态喷凝加速冷却的液体增材铸造方法 |
-
1995
- 1995-12-13 JP JP32431295A patent/JPH09164470A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109014085A (zh) * | 2018-09-11 | 2018-12-18 | 安徽富凯特材有限公司 | 一种钛合金钢锭的浇注方法 |
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CN109158555B (zh) * | 2018-09-11 | 2021-04-20 | 安徽富凯特材有限公司 | 一种提高06Cr18Ni11Ti钢锭用材率的浇注方法 |
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