JPH09161673A - X線管ターゲットの製造方法 - Google Patents

X線管ターゲットの製造方法

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JPH09161673A
JPH09161673A JP31445395A JP31445395A JPH09161673A JP H09161673 A JPH09161673 A JP H09161673A JP 31445395 A JP31445395 A JP 31445395A JP 31445395 A JP31445395 A JP 31445395A JP H09161673 A JPH09161673 A JP H09161673A
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尚久 大坂
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Toshikazu Ogura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基台2とターゲット部材3とをそれぞれ融点
に大きな温度差のある金属材料で形成する場合にも、そ
れら部材間を確実に接合して耐久性の向上を図る。 【解決手段】 熱伝導の良好な金属材料で基台2を形成
するとともに、電子の衝突により所望のX線が発生する
金属材料からなるターゲット部材3を、次の工程により
基台2の表面に接合する。すなわち、まず基台2とター
ゲット部材3との間の接合部に、これら基台2およびタ
ーゲット部材3よりも低い融点をもつインサート材を介
在させ、所定の加圧下で加熱することにより該接合部に
インサート材の液相を生じさせる(液相生成工程)。次
いで、インサート材の液相を所定の加圧下で等温凝固さ
せる(等温凝固工程)。その後、所定の加圧下で熱処理
を行い基台2、ターゲット部材3、およびインサート材
を相互に拡散させる(拡散熱処理工程)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子銃から発射
された電子の衝突に応じてX線を発生するX線管ターゲ
ットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のとおり、X線回折装置をはじめと
する各種X線利用装置のX線源に用いられるX線管は、
電子銃に対向してX線管ターゲット(対陰極)を配置
し、電子銃から発射された電子をX線管ターゲットの表
面に衝突させることにより、該X線管ターゲットの表面
からX線を発生させる構造となっている。電子の衝突に
応じてX線を発生する材料としては、例えば、モリブデ
ン,クロム,タングステン,金,銀等の金属材料があげ
られる。これらの金属材料でX線管ターゲットを形成し
た場合、製品コストが高価格となるばかりか、材料によ
っては熱伝導率が低く、電子が衝突した際に発生する熱
を効率的に冷却することができず、また耐腐食性が低く
冷却水を長時間にわたり接触させておくことができない
等の問題がある。
【0003】そこで、従来のX線管ターゲットは、図6
に示すように、電子の衝突に応じてX線を放射する金属
材料によってターゲット材20を形成し、このターゲッ
ト材20を熱伝導率の良好な金属材料で形成した基台2
1の表面に接合した構造となっており、基台21の裏面
側に配管22,23を介して冷却水を循環させることに
より、電子の衝突時に発生する熱を冷却するようにして
いた。この種の従来のX線管ターゲットは、基台21の
所要部分にターゲット材20をろう付け,真空蒸着,イ
オンプレーティング,スパッタリング,めっき等で接合
または形成する手段が採られていたが、いずれもターゲ
ット材20が基台21から剥離しやすい等の課題を有し
ていた。
【0004】そこで、本出願人らは先に異種金属間で生
じる固相拡散を応用して基台21の表面にターゲット材
20を接合するターゲットの製作方法を提案した(特開
平2−234324号公報参照)。すなわち、銅を含む
熱伝導良好な金属で基台21を形成するとともに、この
基台21の表面にターゲット材20を密着させる。そし
て、密着面に圧力を加えた状態で、基台21,ターゲッ
ト材20の双方が溶融しない所定の温度にこれらを加熱
し、長時間保持する。これにより基台21およびターゲ
ット材20の相互間で固相拡散を生じさせ、これら基台
21とターゲット材20とを接合するようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の固相拡散を応用
したターゲットの製作方法によれば、ろう付け,真空蒸
着,イオンプレーティング,スパッタリング,めっき等
により基台21とターゲット材20とを接合する方法に
比べて剥離がしにくい等、諸々の効果を期待することが
できる。しかしながら、固相拡散は、接合する各金属材
料の融点近くまで加熱し、その加熱状態を長時間保持し
た場合に効率的に行われる。したがって、接合する金属
相互の融点に大きな温度差があった場合、融点の高い一
方の金属が効率的に固相拡散する状態に至らず、その結
果、接合状態が弱くなるという問題があった。
【0006】この発明はこのような事情に鑑みてなされ
たもので、基台とターゲット部材とをそれぞれ融点に大
きな温度差のある金属材料で形成する場合にも、それら
部材間を確実に接合して耐久性の向上を図ることを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明は、熱伝導の良好な金属材料で基台を形成す
るとともに、電子の衝突により所望のX線が発生する金
属材料からなるターゲット部材を基台の表面に接合して
なるX線管ターゲットの製造方法であって、次の工程を
含むことを特徴としている。
【0008】 基台とターゲット部材との間の接合部
に、これら基台およびターゲット部材よりも低い融点を
もつインサート材を介在させ、所定の加圧下で加熱する
ことにより該接合部にインサート材の液相を生じさせる
液相生成工程 インサート材の液相を所定の加圧下で等温凝固させ
る等温凝固工程 等温凝固工程の後、さらに所定の加圧下で熱処理を
行い基台,ターゲット部材,およびインサート材料を相
互に拡散させる拡散熱処理工程
【0009】すなわち、この発明は金属間の液相拡散を
応用したものであり、これにより接合する金属相互の融
点に大きな温度差があっても、液相状態のインサート材
の介在によって拡散が効率的に行われ、強固な接合状態
を形成することができる。
【0010】しかも、インサート材の液相を等温凝固さ
せるので、その後、接合温度に再加熱しても接合部分が
溶融することがない。したがって、電子の衝突により高
温状態となっても、ターゲット部材が基台から離脱する
おそれがない。ここで、「等温凝固」とは、一定の温度
に保持する間に拡散により金属材料の組成が変化し、そ
の融点が上昇することによって凝固する現象をいう。
【0011】また、拡散熱処理により接合部分の材質が
均質化するので、基台とターゲット部材との間の密着力
が大きく、一層確実な接合状態を形成することができ
る。
【0012】この発明は、液相生成工程,等温凝固工
程,拡散熱処理工程をそれぞれ次のような具体的な構成
とすることもできる。すなわち、液相生成工程では、基
台およびターゲット部材よりも低い融点をもつインサー
ト材を介して、基台の表面にターゲット部材を装着する
とともに、該インサート材を介してターゲット部材を装
着した基台の周囲に加圧による変形を防止するための枠
材を装着して加圧ブロックを形成し、この加圧ブロック
を周囲から所定の圧力に加圧するとともに、インサート
材が溶融する所定の温度に加熱し、さらにインサート材
の液相状態を所定時間保持する。
【0013】このように枠材を装着することにより加圧
ブロックとした状態で加圧することにより、基台および
ターゲット部材の変形が防止でき、形状寸法の高精度化
を図ることができるとともに、大きな圧力を加圧ブロッ
クに作用させることができ、液相拡散の進行を促進させ
ることができる。
【0014】そして、等温凝固工程では、該液相生成工
程の後、加圧ブロックを所定の圧力および温度下に所定
時間おいてインサート材の液相を等温凝固させ、拡散熱
処理工程では、等温凝固工程の後、さらに等温凝固工程
よりも充分に長い所定の時間、加圧ブロックを所定の圧
力および温度下において基台,ターゲット部材,および
インサート材を相互に拡散させる。
【0015】また、インサート材を介してターゲット部
材を装着した複数個の基台の周囲に枠材を装着すること
により加圧ブロックを形成してもよい。このようにすれ
ば、複数個のX線管ターゲットを同時に製造することが
でき、生産性の向上、ひいては生産コストの低減を図る
ことができる。
【0016】さらにこの発明は、熱伝導の良好な金属材
料で円周表面を有する基台を形成するとともに、電子の
衝突により所望のX線が発生する金属材料からなる環状
のターゲット部材を前記基台の円周表面に接合してなる
X線管ターゲットを、次のような方法で製造する方法と
することもできる。
【0017】すなわち、基台の円周表面を大径部と小径
部とを有する段付形状に形成し、基台およびターゲット
部材よりも低い融点をもつインサート材を介して基台の
円周表面小径部にターゲット部材を嵌合する。そして、
基台の円周表面小径部に基台とほぼ同一の金属材料から
なる環状部材を嵌合することにより、基台の円周表面大
径部と環状部材とでターゲット部材を挟み込んだ状態と
する。
【0018】これらターゲット部材および環状部材を嵌
合した基台の周囲に加圧による変形を防止するための枠
材を装着して加圧ブロックを形成し、この加圧ブロック
を周囲から所定の圧力に加圧するとともに、インサート
材が溶融する所定の温度に加熱し、さらにインサート材
の液相状態を所定時間保持する(液相生成工程)。該液
相生成工程の後、加圧ブロックを所定の圧力および温度
下に所定時間放置し、インサート材の液相を等温凝固さ
せる(等温凝固工程)。該等温凝固工程の後、さらに等
温凝固工程よりも充分に長い所定の時間、加圧ブロック
を所定の圧力および温度下におく(拡散熱処理工程)。
【0019】以上の工程によりターゲット部材,インサ
ート材,および基台の間で液相拡散が進行し、ターゲッ
ト部材と基台とを強固に接合することができる。しか
も、固相拡散によって環状部材と基台との間も接合さ
れ、その結果、基台の円周表面大径部と環状部材とでタ
ーゲット部材の抜けを確実に防止する構造を形成するこ
とができる。ここで、環状部材は基台とほぼ同一の金属
材料で形成してあるので融点も基台とほぼ同一である。
したがって、環状部材と基台との間は、固相拡散によっ
ても充分強固な接合状態を形成することができる。ま
た、ターゲット部材の内周面のみならず側面についても
基台および環状部材に接触するため、冷却効率を一層向
上させることもできる。
【0020】この製造方法の場合にも、ターゲット部材
と環状部材を嵌合した複数個の基台の周囲に枠材を装着
することにより前記加圧ブロックを形成してもよい。こ
のようにすれば、複数個のX線管ターゲットを同時に製
造することができ、生産性の向上、ひいては生産コスト
の低減を図ることができる。なお、基台と環状部材との
間に、これら基台および環状部材よりも低い融点をもつ
インサート材を介在させてもよい。このようにすれば、
基台,インサート部材,および環状部材の間でも液相拡
散が進み、基台と環状部材とをより強固に接合すること
ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。図1はこの発明の
実施形態に係る製造方法によって製作されるX線管ター
ゲットの縦断面図である。このX線管ターゲット1は、
ローターターゲットと称する回転式のターゲット(対陰
極)であり、有底円筒状をした基台2の円周表面に環状
のターゲット部材3を接合した構造となっている。基台
2は、熱伝導の良好な金属材料、例えば銅合金で形成し
てあり、図示しない回転駆動装置に装着されて高速回転
する。また、ターゲット部材3は、電子の衝突により所
望のX線が発生する金属材料、例えばモリブデン,クロ
ム,タングステン,金,銀で形成してある。
【0022】ここで、基台2は、円周表面が段部2cを
境として大径部2aと小径部2bとに分かれており、小
径部2bにターゲット部材3が嵌合状態で接合されてい
る。さらに、基台2の小径部2bには環状部材4が嵌合
状態で接合されており、ターゲット部材3はこの環状部
材4と基台2の大径部2aとに挟み込まれた状態となっ
ている。したがって、高速回転で駆動してもターゲット
部材3が基台2から抜けるようなおそれがなく、高い耐
久性能を有する。環状部材4は、基台2とほぼ同一の金
属材料で形成してあり、後述するこの実施形態の製造方
法で基台2に固相拡散接合した状態にあっては、基台2
と融合してほぼ一体のものとなる。
【0023】また、挟み込まれた状態のターゲット部材
3は、内周面が基台2に接触していることは勿論、側面
も基台2の段部2cおよび環状部材4の側面と接触して
いるので、熱伝導性が良好となり、ターゲット部材3の
冷却効率が高い。すなわち、図示しない電子銃から発射
した電子をターゲット部材3に衝突させることにより、
ターゲット部材3の表面からX線が発生するが、その
際、ターゲット部材3は電子の衝突に伴い高熱を発生す
る。この熱を冷却するため、稼働中は配管5a,5bを
介して基台2の裏面側に冷却水を循環させており、基台
2を介してターゲット部材3と冷却水との間で熱交換を
行っている。したがって、この熱交換を媒介する基台2
に、ターゲット部材3をより広い面積で接触させること
により、冷却効率を向上させることができる。
【0024】次に、上述したX線管ターゲットの製造方
法について、図3乃至図5を主に参照して詳細に説明す
る。あらかじめ上述したような熱伝導の良好な金属材料
で基台2を形成するとともに、電子の衝突により所望の
X線を発生する金属材料によってターゲット部材3を形
成する。また、基台2とほぼ同一の金属材料によって環
状部材4を形成しておく。ここで、基台2の円周表面
は、大径部2aと小径部2bとを有する段付形状に形成
し、ターゲット部材3および環状部材4は、基台2の小
径部2bに嵌合する寸法に形成しておく。
【0025】そして、基台2の小径部2bに基端側から
まずターゲット部材3を嵌め込み、次いで環状部材4を
嵌め込む(図3参照)。このとき、基台2とターゲット
部材3との間には、インサート材6を介在させる。イン
サート材6としては、基台2およびターゲット部材3よ
りも低い融点をもつ各種金属材料を用いることができる
が、好ましくは基台2およびターゲット部材3と類似し
た組成の金属材料に融点降下元素を加えたものや、接合
部で直接基台2およびターゲット部材3と反応して液相
を生じる金属材料を用いる。この種のインサート材6と
して、例えば、金,銀,チタン合金,錫などを適用する
ことができる。
【0026】このインサート材6は、ペースト状のもの
を基台2とインサート材6との間に塗布したり、また薄
板状のものを基台2とターゲット部材3との間に挟み込
むようにして介在させる他、あらかじめ基台2またはタ
ーゲット部材3の接合面にめっきあるいは蒸着しておい
てもよい。
【0027】この実施形態では、複数のX線管ターゲッ
トを同時に製造し、生産性の向上ひいては生産コストの
低減を図っている。すなわち、図4に示すように、ター
ゲット部材3(インサート材6が介在)および環状部材
4を装着してある基台2の内部側に、鉄鋼材等からなる
中子7を装着するとともに、これを鉄鋼材等からなる有
底円筒状の外枠8の内部に複数個積層した状態で収納す
る。このとき、外枠8に収納した各基台2の間には、同
じく鉄鋼材等からなる仕切枠9を介在させておき、外枠
8の一端開口部には閉塞枠10を装着しておく。
【0028】これら中子7,外枠8,仕切枠9,および
閉塞枠10は、加圧による基台2等の変形を防止するた
めの枠材であり、複数個の基台2(ターゲット部材3,
環状部材4が装着してある)の周囲をこれらの枠材で囲
むことにより、当該複数個の基台2を含む加圧ブロック
11を形成する。閉塞枠10には、図4に示すように真
空びき用の吸引口10aが設けてあり、この吸引口10
aを図示しない真空ポンプに連通させ、外枠8の内部を
真空びきする。これにより外枠8の内部に存在していた
空気を放出し、後述する工程で加圧ブロック11に作用
させる圧力が、インサート材6を介してターゲット部材
3が装着してある基台2に対して均一に伝わるようにす
る。
【0029】充分な真空びきを行った後、吸引口10a
を閉塞して真空ポンプから切り離し、この加圧ブロック
11を加圧装置の加圧室内に挿入配置する。加圧装置と
しては、内部に加熱手段を有するホットプレス装置を用
いる。一般にHIP(熱間均等加圧装置)と称されている
ホットプレス装置を利用すれば、加圧ブロック11の周
囲から液相拡散に必要な圧力を作用させることができる
とともに、以下の各工程をその加圧室12内で連続的に
処理できるため、迅速に作業を進めることが可能とな
る。
【0030】図5は上記HIPの構成を模式的に示した
図である。加圧室12内には、加熱手段としてのヒータ
13が設置してあり、コンピュータ制御によって加圧室
12内を所望の一定温度に保持することができる。加圧
室12内の不純ガスは、排気管14を介して吸引除去す
ることができ、一方、N2ガス等の不活性ガスをガス供
給管15を介して加圧室12内に充填することができる
ようになっている。
【0031】加圧ブロック11を加圧室12内に挿入配
置した状態で、まず、インサート材6を液相に変えるた
めの液相生成工程を実施する。この工程では、加圧ブロ
ック11を周囲から均等に加圧するとともに、所定の温
度に加熱する。このときの温度は、基台2およびターゲ
ット部材3の融点より低いが、インサート材6が溶融し
て液相を形成する適宜の温度に設定する。圧力は、加熱
による基台2等の膨張および基台2,ターゲット部材3
の材質等を考慮して、基台2等に変更および破損が生じ
ない適宜の圧力に設定する。すなわち、圧力が小さ過ぎ
ると加熱による基台2の膨張により薄肉のターゲット部
材3に割れを生じるおそれがある。一方、圧力が大き過
ぎると該圧力によって基台2等に変形が生じるおそれが
ある。
【0032】この液相生成工程は、インサート材6を液
相に変化させるまでに要する適宜の時間だけ継続し、イ
ンサート材6が液相を形成したら引き続き次工程である
等温凝固工程に移行する。等温凝固工程では、加圧室1
2内の温度および圧力を液相生成工程におけるそれとほ
ぼ同一または類似する値に設定したまま、適宜の時間保
持する。この等温凝固工程によって、インサート材6,
基台2,およびターゲット部材3との間の液相拡散を進
行させる。この等温凝固工程での液相拡散により、基台
2とターゲット部材3の接合部における組成が変化する
とともに、インサート材6の融点が上昇して凝固する。
その結果、基台2とターゲット部材3とが強固に接合さ
れ、しかも接合温度まで再加熱しても接合部が溶融しな
い状態を形成することができる。
【0033】等温凝固工程において、固相,液相界面が
移動している間もインサート材6,基台2,およびター
ゲット部材3を構成する元素は相互に拡散しているが、
これら各構成要素の成分が均質化する時間に比べ、等温
凝固は比較的短時間で終了する。そこで、加圧室12内
での加熱および加圧状態を保持したままの状態を継続
し、基台2とターゲット部材3の接合部における組成の
均質化を図る(拡散熱処理工程)。この拡散熱処理工程
によって、インサート材6が等温凝固した後、インサー
ト材6,基台2,およびターゲット部材3の間で拡散が
進行し、基台2とターゲット部材3とが一層強固に接合
される。この拡散熱処理工程は、等温凝固工程に比べ充
分に長い時間をかけて実施する。
【0034】上述のように液相生成工程,等温凝固工
程,拡散熱処理工程を実施していく過程で、ほぼ同一の
金属材料からなる基台2と環状部材4との間に固相拡散
が進行し、これら基台2と環状部材4との間も強固な接
合状態が形成される。
【0035】また、加圧ブロック11を構成する中子
7,外枠8,仕切枠9,および閉塞枠10も基台2等と
固相拡散によって接合してしまい、加圧ブロック11が
一個の塊となる。そこで、この塊となった加圧ブロック
11を機械加工等によって切断または研削することによ
り、基台2の表面にターゲット部材3が接合してなるX
線管ターゲットを切り出して、一連の製造工程が終了す
る。
【0036】なお、この発明は上述した実施形態に限定
されるものではない。例えば、上記の実施形態は、いわ
ゆるロータターゲットを対象にしてその製造方法を詳述
したが、この発明はロータターゲット以外のX線管ター
ゲット、例えば、固定ターゲットと称するX線管ターゲ
ット(対陰極)の製造にも適用できることは勿論であ
る。
【0037】また、上記の実施形態において、基台2と
環状部材4との間にも、これら基台2および環状部材4
よりも低い融点をもつインサート材を介在させることが
きる。このようにすれば、基台2,インサート材,およ
び環状部材4の間でも液相拡散が進み、基台2と環状部
材4とをより強固に接合することができる。さらに、イ
ンサート材6はターゲット部材3の内周面のみならず、
同部材3の側面と基台2の段部2cおよび環状部材4の
側面との間にも介在させることができる。このようにす
れば、液相拡散接合による接合面積が広がり、より強固
な接合状態をすることが形成できる
【0038】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明のX線管タ
ーゲットの製造方法によれば、基台とターゲット部材と
をそれぞれ融点に大きな温度差のある金属材料で形成す
る場合にも、インサート材の液相拡散によりそれら部材
間を確実に接合して耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る製造方法によって製
作されるX線管ターゲットの縦断面図である。
【図2】図1に示したX線管ターゲットにおけるターゲ
ット部材の接合部を拡大して示す断面図である。
【図3】この発明の実施形態において、基台にインサー
ト材を介してターゲット部材を装着した状態を示す断面
図である。
【図4】図3に示したターゲット部材付きの基台を複数
個積層するとともに、その周囲および中間部に枠材を装
着して加圧ブロックを形成した状態を示す断面図であ
る。
【図5】図4に示した加圧ブロックを加圧装置の加圧室
内に挿入配置した状態を示す断面図である。
【図6】従来一般のX線管ターゲットを説明するための
断面図である。
【符号の説明】
1:X線管ターゲット 2:基台 2a:大径部 2b:小径部 2c:段部 3:ターゲット部材 4:環状部材 6:インサート材 11:加圧ブロック 12:加圧室 13:ヒータ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱伝導の良好な金属材料で基台を形成す
    るとともに、電子の衝突により所望のX線が発生する金
    属材料からなるターゲット部材を前記基台の表面に接合
    してなるX線管ターゲットの製造方法であって、 前記基台とターゲット部材との間の接合部に、これら基
    台およびターゲット部材よりも低い融点をもつインサー
    ト材を介在させ、所定の加圧下で加熱することにより該
    接合部にインサート材の液相を生じさせる液相生成工程
    と、 前記インサート材の液相を所定の加圧下で等温凝固させ
    る等温凝固工程と、 前記等温凝固工程の後、さらに所定の加圧下で熱処理を
    行ない前記基台、ターゲット部材、およびインサート材
    を相互に拡散させる拡散熱処理工程とを含むことを特徴
    とするX線管ターゲットの製造方法。
  2. 【請求項2】 熱伝導の良好な金属材料で基台を形成す
    るとともに、電子の衝突により所望のX線が発生する金
    属材料からなるターゲット部材を前記基台の表面に接合
    してなるX線管ターゲットの製造方法であって、 前記基台およびターゲット部材よりも低い融点をもつイ
    ンサート材を介して、前記基台の表面に前記ターゲット
    部材を装着するとともに、該インサート材を介してター
    ゲット部材を装着した基台の周囲に、加圧による変形を
    防止するための枠材を装着して加圧ブロックを形成し、
    この加圧ブロックを周囲から所定の圧力に加圧するとと
    もに、前記インサート材が溶融する所定の温度に加熱
    し、さらにインサート材の液相状態を所定時間保持する
    液相生成工程と、 該液相生成工程の後、前記加圧ブロックを所定の圧力お
    よび温度下に所定時間放置し、前記インサート材の液相
    を等温凝固させる等温凝固工程と、 該等温凝固工程の後、さらに前記等温凝固工程よりも充
    分に長い所定の時間、前記加圧ブロックを所定の圧力お
    よび温度下におく拡散熱処理工程とを含むことを特徴と
    するX線管ターゲットの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のX線管ターゲットの製造
    方法において、前記ターゲット部材を装着した複数個の
    基台の周囲に前記枠材を装着することにより前記加圧ブ
    ロックを形成したことを特徴とするX線管ターゲットの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 熱伝導の良好な金属材料で円周表面を有
    する基台を形成するとともに、電子の衝突により所望の
    X線が発生する金属材料からなる環状のターゲット部材
    を前記基台の円周表面に接合してなるX線管ターゲット
    の製造方法であって、 前記基台の円周表面を大径部と小径部とを有する段付形
    状に形成し、前記基台およびターゲット部材よりも低い
    融点をもつインサート材を介して前記基台の円周表面小
    径部に前記ターゲット部材を嵌合するとともに、該基台
    の円周表面小径部に前記基台とほぼ同一の金属材料から
    なる環状部材を嵌合することにより、前記基台の円周表
    面大径部と前記環状部材とで前記ターゲット部材を挟み
    込んだ状態とし、 これらターゲット部材および環状部材を嵌合した基台の
    周囲に加圧による変形を防止するための枠材を装着して
    加圧ブロックを形成し、この加圧ブロックを周囲から所
    定の圧力に加圧するとともに、前記インサート材が溶融
    する所定の温度に加熱し、さらにインサート材の液相状
    態を所定時間保持する液相生成工程と、 該液相生成工程の後、前記加圧ブロックを所定の圧力お
    よび温度下に所定時間放置し、前記インサート材の液相
    を等温凝固させる等温凝固工程と、 該等温凝固工程の後、さらに前記等温凝固工程よりも充
    分に長い所定の時間、前記加圧ブロックを所定の圧力お
    よび温度下におく拡散熱処理工程とを含むことを特徴と
    するX線管ターゲットの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のX線管ターゲットの製造
    方法において、ターゲット部材および環状部材を嵌合し
    た前記複数個の基台の周囲に前記枠材を装着することに
    より前記加圧ブロックを形成したことを特徴とするX線
    管ターゲットの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4または5記載のX線管ターゲッ
    トの製造方法において、前記基台と環状部材との間に、
    これら基台および環状部材よりも低い融点をもつインサ
    ート材を介在させることを特徴とするX線管ターゲット
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006222031A (ja) * 2005-02-14 2006-08-24 Toho Kinzoku Co Ltd X線管ターゲットの製造方法
JP2016131150A (ja) * 2015-01-12 2016-07-21 パナリティカル ビー ヴィ X線管アノード装置

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