JPH0915155A - タンパク質の測定方法 - Google Patents

タンパク質の測定方法

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JPH0915155A
JPH0915155A JP18634195A JP18634195A JPH0915155A JP H0915155 A JPH0915155 A JP H0915155A JP 18634195 A JP18634195 A JP 18634195A JP 18634195 A JP18634195 A JP 18634195A JP H0915155 A JPH0915155 A JP H0915155A
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protein
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JP18634195A
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English (en)
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Kaoru Ou
かおる 王
Giyoumei Toku
暁鳴 竇
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Arkray Inc
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KDK Corp
Kyoto Daiichi Kagaku KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 タンパク質の定量測定を簡単で迅速に行なえ
るようにする。 【構成】 タンパク質を含む試料溶液5に光源22から
の単一波長の励起光を照射してその試料溶液5からの散
乱光を受光し、分光器52で分光して光散乱スペクトル
を得る。その光散乱スペクトルのうち、励起波長に対す
るシフト波数にして100〜3100cm-1の光散乱ス
ペクトルの強度又はそのうちの適当な範囲の積分値を用
いてタンパク質を定量測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は試料溶液中のタンパク質
濃度を測定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】尿タンパクは正常時でも1日に20〜8
0mg排泄されるが、様々な病的状態において尿中に排
泄されるタンパク質が変動する。つまり、尿中タンパク
量は病態の診断を行なう指標となるものであるため、そ
の測定精度及び確度は高水準である必要がある。また、
尿中に排泄される各種タンパク質は、それぞれが指標と
なる疾患が異なるので、それぞれを個別に認識できるこ
と、すなわち特異性のある検査法が必要である。
【0003】尿タンパク量を測定する方法としては、古
くは尿にタンパク沈殿試薬を添加し、生ずる沈澱層の厚
さからタンパク質濃度を概測するEsbach法(ピクリン酸
使用)や末吉法(塩化第二水銀使用)などが用いられた
が、これらの方法は特異性と精度に問題があった。現在
では、サリチルスルホン酸やトリクロル酢酸による混濁
を比濁する方法(比濁法)や、タンパク質と色素との結
合を利用した比色法が利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】比濁法では、タンパク
質の種類によって濁度が異なる。特異性に欠ける。被測
定物質が強アルカリ性である場合は酸性の沈殿試薬を完
全に中和し、偽陰性の原因となる。また、混濁度の観察
も標準化されておらず、個人差がでるという問題もあ
る。比色法では、ヘモグロビンや各種グロブリンはアル
ブミンほど鋭敏に反応せず、また、被測定物質が高度に
緩衝化されたアルカリ性である場合は偽陽性の原因にな
る。しかも、色調の判別が困難である。
【0005】尿は時間が経つと有形成分が変化をきた
し、その性質を変えてしまうため、尿検査は迅速に行わ
れる必要がある。しかし、比色法ではpH指示薬と反応
させ、変化したその色調で判定し、比濁法では加熱や酸
の添加によってタンパク質を沈殿させその混濁度を判定
している。つまり、比色法や比濁法ではそれらの反応が
必要であるため、煩雑で、迅速性に欠ける。このよう
に、従来の方法はいずれも潜在的な誤差要因を包含して
いる。本発明は上記のような媒介反応を介さず、簡単で
迅速に測定できるタンパク質の定量方法を提供すること
を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では被測定物質中
のタンパク質が固有の光散乱スペクトルをもつことを見
いだし、その光散乱スペクトルを利用してそのピーク強
度又は適当な波数範囲にわたる積算強度からタンパク質
濃度を定量測定するものである。タンパク質水溶液試料
からの光散乱スペクトルの主なものはブロードな蛍光ス
ペクトルであるが、タンパク質の種類と励起波長によっ
ては蛍光スペクトルにシャープなラマン散乱スペクトル
が重なって現れる。そこで、本発明が対象にする光散乱
スペクトルは、蛍光とラマン散乱をともに含んだもので
ある。
【0007】すなわち、本発明は、タンパク質を含む試
料溶液に単一波長の励起光を照射してその試料溶液から
の散乱光を受光し分光して光散乱スペクトルを得、その
光散乱スペクトルのうち、励起波長に対するシフト波数
にして100〜3100cm-1のスペクトルのピーク強
度又はそのうちの適当な範囲の積分値を用いてタンパク
質を定量測定する測定方法である。
【0008】タンパク質がアルブミンである場合は、励
起波長から810〜840cm-1にシフトしたスペクト
ルのピーク強度、又は励起波長632.8nmから25
6〜1620cm-1もしくは励起波長514.5nmか
ら837〜3060cm-1にシフトしたスペクトルの適
当な範囲の積分値を用いるのが好ましい。
【0009】タンパク質がγ−グロブリンである場合
は、励起波長から175〜195cm-1、425〜45
0cm-1、640〜670cm-1、820〜845cm
-1、845〜870cm-1、1370〜1400cm
-1、1575〜1620cm-1、1850〜1900c
m-1、2000〜2200cm-1、2350〜2400
cm-1又は2400〜2460cm-1にシフトしたスペ
クトルのピーク強度を用いるのが好ましい。
【0010】タンパク質がヘモグロビンである場合は、
励起波長から640〜670cm-1、820〜845c
m-1、1370〜1400cm-1、1575〜1620
cm-1、1850〜1900cm-1、2000〜220
0cm-1、2350〜2400cm-1又は2400〜2
460cm-1にシフトしたスペクトルのピーク強度を用
いるのが好ましい。
【0011】
【実施例】ここで、本発明の測定方法を実施する測定装
置の幾つかの例を図1から図6に示す。図1はその測定
装置を概略的に表わしたものであり、単一波長光を発生
する励起光源及びその励起光源からの光束を試料用光束
と補正用光束とに分割するビームスプリッタを備えた励
起光源部2と、試料に試料用光束が照射される試料部4
と、試料に試料用光束が照射されて発生した散乱光から
励起光と同じ波長成分を除去して蛍光とラマン散乱光を
含んだ測定対象光を取り出すフィルタ及びビームを調整
する光学系を備えた測定対象光学調整部6と、励起光源
部2でハーフミラーにより分割された補正用光束を調整
する補正光学調整部8と、測定対象光学調整部6から出
射した光束と補正光学調整部8から出射した補正用光束
とを同一光軸上におく合波手段10と、合波手段10か
ら出射した光束を分光する分光器及びその分光器により
分光されたスペクトル光を検出する検出器を備えた1個
の分光処理部12と、分光処理部12の検出器により検
出された分光スペクトル中の励起光成分の検出強度を基
準にして測定対象光強度を補正する機能を有するデータ
処理部14とを備えている。
【0012】補正用光束は光源の発光強度の変動を補正
するためのものであり、そのような補正を行なわないの
であれば、励起光源部2でのビームスプリッタ、補正光
学調整部8及び合波手段10は不要になる。測定対象光
学調整部6におけるフィルタ手段は、励起光波長をノッ
チ領域に含むホログラフィック・ノッチ・フィルタ、励
起光波長を含みそれより短波長側を遮蔽するカットフィ
ルタ、励起光波長成分を透過させて除去し測定対象光成
分を反射させる特性をもつバンドパスフィルタ、及び励
起光波長を透過又は反射により除去するホログラフィッ
ク・ビームスプリッタのいずれかであることが好まし
い。
【0013】また、分光処理部12はマルチチャンネル
光検出器を備え、測定しようとする波長領域を同時に検
出するポリクロメータであることが好ましい。分光処理
部12がポリクロメータであるときは、測定しようとす
る波長領域を同時に検出することができ、所定領域の測
定対象光スペクトルと励起光とを同時に検出することが
できる。その結果、測定対象光の各波長の検出時間と励
起光との検出時間に差が生じない。しかし、測定対象光
の各波長の検出時間と励起光との検出時間に差が生じて
もよい場合は、分光処理部12として波長走査型の分光
器と単チャンネル光検出器を備えて測定しようとする波
長領域を順次検出するようにしてもよい。
【0014】ホログラフィック・ノッチ・フィルタは、
所望の波長領域のみを遮蔽し、その他の領域の波長光を
透過させるものである。その遮蔽される領域(ノッチ領
域)に励起光波長が含まれるように設定されたものを使
用することにより、測定対象光学調整部6から出射する
光束は励起光成分を含まず、測定対象光成分のみを含ん
だものとなる。一方、補正用光束は光源からの励起光の
みを含み、試料を経ていないため、試料には依存せず、
光源からの強度変動を忠実に表わしたものとなる。
【0015】図2から図6に図1のブロック図を詳細に
表わした具体的な例を示す。図2は測定対象光学調整部
6のフィルタ手段として、励起光波長をノッチ領域に含
むホログラフィック・ノッチ・フィルタ、又は励起光波
長を含みそれより短波長側を遮蔽するカットフィルタを
用い、試料に対して励起光と180度方向に測定対象光
を受光する実施例を表わしたものである。励起光源部2
には光源22が設けられ、光源22からの励起光を試料
用光束20sと補正用光束20rに分割するビームスプ
リッタとしてハーフミラー26が配置されている。光源
22としては、例えばレーザ装置が用いられる。レーザ
装置としては、連続発振をするArイオンレーザ、Kr
イオンレーザ、He−Neレーザ、He−Cdレーザ、
Nd:YAGレーザ、半導体レーザ、又はパルスレーザ
などを用いることができ、近紫外域から近赤外域に渡る
広い波長範囲のレーザから選択して利用することができ
る。レーザ装置以外の光源としてハロゲンランプなどの
多波長光を発生する光源を分光器と組み合わせて用いる
こともできる。
【0016】励起光源部2には、試料部4の試料5に試
料用光束20sを収束させるために、ハーフミラー26
を挾んで光源集光レンズ24と収束レンズ28が配置さ
れている。試料部4には試料5がセルに入れて設置され
る。励起光源部2からの試料用光束20sは、測定対象
光学調整部6に配置されたハーフミラー32で反射され
て試料部4の試料5に照射される。測定対象光学調整部
6では、ハーフミラー32を透過してきた試料5からの
散乱光を分光器の入口スリット50に収束させるため
に、集光レンズ34,36が設けられている。測定対象
光学調整部6では集光レンズ34と36の間に励起光と
同じ波長成分を除去して測定対象光を取り出すフィルタ
として、ノッチ領域に励起光の波長を含むように設定さ
れたホログラフィック・ノッチ・フィルタ38が配置さ
れている。ホログラフィック・ノッチ・フィルタは例え
ば KAISER OPTICAL SYSTEMS. INC.(アメリカ)から入
手することができる。ホログラフィック・ノッチ・フィ
ルタ38は、例えばノッチ領域に含まれる波長光を完全
に遮蔽し、ノッチ領域以外の波長領域の光は80%以上
を透過させる特性をもっている。
【0017】測定対象光学調整部6の集光レンズ36と
分光器の入口スリット50との間には合波手段としてハ
ーフミラー40が配置されており、測定対象光はそのハ
ーフミラー40を透過して分光器52に入射する。励起
光源部2でハーフミラー26により分割された補正用光
束20rを合波手段のハーフミラー40へ導く補正光学
調整部8が設置されており、補正光学調整部8には光量
を減衰させる減光フィルタ42、励起光源部2のハーフ
ミラー26で発生した波長光を遮蔽し、光源22がレー
ザ装置である場合にそのレーザ光からサイドバンドを遮
蔽するためのバンドパス・フィルタ46、及び光路を曲
げるミラー44が配置されている。補正光学調整部8に
よりハーフミラー40を経て入口スリット50に導かれ
る補正用光束20rは、光源集光レンズ24によって入
口スリット50に集光する。
【0018】ハーフミラー40では測定対象光学調整部
6から出射した測定対象光と、補正光学調整部8から導
かれた補正用光束20rとが同一光軸上に導かれ、入口
スリット50を経て分光処理部12の分光器52に導か
れる。分光器52はポリクロメータであり、入射光を分
光する回折格子54と、回折格子54により分光された
スペクトル光を所定の波長領域にわたって同時に検出す
るために、回折格子54の分散方向に沿って複数の光検
出素子が配置されたマルチチャンネル光検出器56とを
備えている。図2の回折格子54は凹面回折格子である
が、平面回折格子と球面鏡を組み合わせたツェルニー・
ターナー型と称される分光器や、透過型回折格子を用い
た分光器であってもよい。
【0019】60は各部の動作を制御したり、光検出器
56が検出した信号を処理する処理演算コントロール部
であり、その中には光検出器56により検出された分光
スペクトル中の励起光成分の検出強度を基準にして測定
対象光の検出強度を補正するデータ処理部としての機能
も含んでおり、光源の変動が補正されたラマン散乱スペ
クトルを演算したり、測定対象光強度から試料の定性や
定量も行なう。62は処理演算コントロール部60で処
理されたデータを出力するプリンタやディスプレイなど
の出力装置である。図2の実施例では、ホログラフィッ
ク・ノッチ・フィルタ38に代えて、励起光波長を含み
それより短波長側を遮蔽するシャープな波長特性をもつ
シャープカットフィルタを用いていもよい。
【0020】図3は図2の実施例と同様に、測定対象光
学調整部6のフィルタ手段としてホログラフィック・ノ
ッチ・フィルタ又はカットフィルタを用いた実施例であ
るが、試料に対して励起光と90度方向に測定対象光を
受光するようにした実施例を表わしたものである。この
場合、試料用光束20sを試料5に照射し、試料5から
の散乱光を測定対象光学調整部6の集光レンズ34に入
射させるハーフミラー32は不要であり、試料用光束2
0sは励起光源部2の光源集光レンズ24と収束レンズ
28で収束されて試料5に直接照射され、試料5からの
散乱光は測定対象光学調整部6の集光レンズ34に直接
入射する。
【0021】バンドパス・フィルタ46は図2では補正
光学調整部の光路上に配置しているが、図3では励起光
源部で励起光源からの光束がビームスプリッタ26によ
り試料用光束と補正用光束とに分割される前の光路上に
配置されている。バンドパス・フィルタ46を図3の位
置に配置することにより、試料用光束と補正用光束の両
方からレーザ光のサイドバンドを遮蔽することができ
る。また、図3では補正光学調整部の光路上にさらに集
光レンズ45を配置しているが、このレンズ45は補正
用光束をスリット50の位置に集光させる光量調整用の
レンズであり、補正用光束の光量が十分に大きい場合は
このレンズ45は不要である。
【0022】図4(A)は測定対象光学調整部6のフィ
ルタ手段として、励起光を反射しラマン光を透過させる
特性をもつホログラフィック・ビームスプリッタ70を
用い、試料に対して励起光と180度方向に測定対象光
を受光する実施例を表わしたものである。ホログラフィ
ック・ビームスプリッタ70は、同図(B)に示される
ように、試料用光束20sを反射して試料5に照射し、
測定対象光とレイリ散乱光を含む試料5からの散乱光7
2のうち、測定対象光74のみを透過させて測定対象光
学調整部6の集光レンズ34に入射させる。
【0023】図5(A)は測定対象光学調整部6のフィ
ルタ手段として、励起光波長成分を透過させて除去し測
定対象光成分を反射させる特性をもつバンドパスフィル
タ82を用い、試料に対して励起光と90度方向に測定
対象光を受光する実施例を表わしたものである。バンド
パスフィルタ82は、同図(B)に示されるように、透
過集光型ミラー80のミラー面側に配置され、透過集光
型ミラー80と反対側にはビームストッパ84が配置さ
れている。測定対象光とレイリ散乱光を含む試料5から
の散乱光72は、集光レンズ34a,34bで集光され
て透過集光型ミラー80の背面からその入射穴を通って
バンドパスフィルタ82に入射する。バンドパスフィル
タ82ではレイリ光76は透過してビームストッパ84
で吸収され、測定対象光74は反射し、透過集光型ミラ
ー80のミラー面で集光され、ハーフミラー40を経て
入口スリット50から分光器に入射する。補正光学調整
部8では光路を180度曲げるため、2つのミラー44
a,44bが配置されている。
【0024】図6は図5と同じく、測定対象光学調整部
6のフィルタ手段として、励起光波長成分を透過させて
除去し測定対象光成分を反射させる特性をもつバンドパ
スフィルタ82を用いた例であるが、試料に対して励起
光と180度方向に測定対象光を受光するようにした実
施例を表わしたものである。試料用光束20sを試料5
に照射し、試料5からの散乱光を測定対象光学調整部6
の集光レンズ34aに入射させるハーフミラー32が配
置されている。
【0025】図7から図13に尿中タンパクであるアル
ブミン、γ−グロブリン及びヘモグロビンのそれぞれの
水溶液について測定を行った結果を示す。図7と図8は
アルブミン水溶液(ヒト血清由来)についての測定結果
である。図7(A)は励起光源としてHe−Neレーザ
(出力7mW)を用い、その632.8nmの波長光を
励起光として試料水溶液に照射して得られた光散乱スペ
クトル、図7(B)は同じ試料に励起光源としてArレ
ーザ(出力10mW)を用い、その514.5nmの波
長光を励起光として試料水溶液に照射して得られた光散
乱スペクトルである。いずれのスペクトルも励起波長か
ら100〜3100cm-1又はそれ以上の範囲にわたっ
てブロードな形状をしている。
【0026】図8(A)は図7(A)の光散乱スペクト
ルを利用し、そのシフト波数が829cm-1の位置のス
ペクトル強度と試料中のアルブミン濃度との相関関係を
測定した結果を表わしたものである。図8(B)は同じ
図7(A)のスペクトルのうち、シフト波数256〜1
620cm-1の範囲の面積と試料中のアルブミン濃度と
の相関関係を測定した結果を表わしたものである。
【0027】図8の相関関係は、いずれも相関係数R2
が0.99以上の良好な結果を示しており、これらの相
関関係を検量線として利用することにより、試料中のア
ルブミン濃度を定量分析することができる。相関係数R
2は次の(1)式に示された相関係数Rを自乗したもの
である。 R=Σ[(xi−X)(yi−Y)]/{[Σ(xi−X)2][Σ(yi−Y)2]} ……(1) xi:測定試料の各測定点の濃度 yi:xiに対する測定光強度 X:測定試料の各測定点の濃度の平均値 Y:測定光強度の平均値
【0028】図9から図11はγ−グロブリン水溶液
(ヒト血清由来)についての測定結果である。図9
(A)は励起光源としてHe−Neレーザ(出力7m
W)を用い、その632.8nmの波長光を励起光とし
て試料水溶液に照射して得られたラマンスペクトル、図
9(B)は同じ試料に励起光源としてArレーザ(出力
10mW)を用い、その514.5nmの波長光を励起
光として試料水溶液に照射して得られた光散乱スペクト
ルである。
【0029】図9(A)のスペクトルは、励起波長から
100〜4000cm-1にわたるブロードな形状のスペ
クトルに、励起波長から175〜195cm-1、425
〜450cm-1、640〜670cm-1、820〜84
5cm-1、845〜870cm-1、1370〜1400
cm-1、1575〜1620cm-1、1850〜190
0cm-1、2000〜2200cm-1、2350〜24
00cm-1及び2400〜2460cm-1にシフトした
位置に鋭いピークをもっている。図9(B)のスペクト
ルは励起波長から100〜4000cm-1にわたるブロ
ードな形状をしている。
【0030】図10と図11の(A)から(F)は、図
9(A)のスペクトルを利用し、そのシフト波数がそれ
ぞれ837.257cm-1、1383.49cm-1、15
92cm-1、1877cm-1、2125cm-1及び23
70cm-1の位置のスペクトル強度と試料中のγ−グロ
ブリン濃度との相関関係を測定した結果を表わしたもの
である。(D)の相関関係の相関係数R2は0.97以
上、それ以外の相関関係の相関係数R2は0.99以上の
良好な結果を示している。他のシフト波数位置でのピー
ク強度、及び適当な波数範囲の積分強度についても、γ
−グロブリン濃度との間に良好な相関関係が得られてい
る。これらの相関関係を検量線として利用することによ
り、試料中のγ−グロブリン濃度を定量分析することが
できる。
【0031】図12と図13はヘモグロビン水溶液(牛
血清由来)についての測定結果である。図12(A)は
励起光源としてHe−Neレーザ(出力7mW)を用
い、その632.8nmの波長光を励起光として試料水
溶液に照射して得られた光散乱スペクトル、図12
(B)は同じ試料に励起光源としてArレーザ(出力1
0mW)を用い、その514.5nmの波長光を励起光
として試料水溶液に照射して得られた光散乱スペクトル
である。
【0032】図12(A)のスペクトルは、励起波長か
ら100〜4100cm-1にわたるブロードな形状のス
ペクトルに、励起波長から640〜670cm-1、82
0〜845cm-1、1370〜1400cm-1、157
5〜1620cm-1、1850〜1900cm-1、20
00〜2200cm-1、2350〜2400cm-1及び
2400〜2460cm-1にシフトした位置に鋭いピー
クをもっている。図12(B)のスペクトルは励起波長
から100〜4100cm-1にわたるブロードな形状を
している。
【0033】図13(A)から(C)は、図12(A)
の光散乱スペクトルを利用し、そのシフト波数がそれぞ
れ1870cm-1、2125cm-1及び2370cm-1
の位置のスペクトル強度と試料中のヘモグロビン濃度と
の相関関係を測定した結果を表わしたものである。いず
れの相関関係の相関係数R2も0.99以上の良好な結果
を示している。これらの相関関係を検量線として利用す
ることにより、試料中のヘモグロビン濃度を定量分析す
ることができる。
【0034】
【発明の効果】本発明では、試料溶液に単一波長の励起
光を照射してその試料溶液からの散乱光を受光し分光し
て光散乱スペクトルを得、その光散乱スペクトルの固有
のピークのピーク強度、又は光散乱スペクトルの適当な
範囲の積分値を用いてタンパク質を定量測定するので、
酵素反応や化学反応などの媒介反応や中間反応を介さず
に試料を直接定量することができる。試薬を使用しない
ので、共存物質の影響を受けにくく、反応に伴う誤差を
排除できる。サンプリングから測定までの間に反応など
の操作を要しないので、測定を簡便で、迅速に行なうこ
とができる。本発明はまた高感度であるため、微量の変
化や微量成分の検出にも効果的である。このように、本
発明は尿中微量タンパクの定性及び定量検査に応用する
のに適する。
【0035】
【発明の効果】本発明では、試料溶液に単一波長の励起
光を照射してその試料溶液からの散乱光を受光し分光し
て光散乱スペクトルを得、その光散乱スペクトルの固有
のピークのピーク強度、又は光散乱スペクトルの適当な
範囲の積分値を用いてタンパク質を定量測定するので、
酵素反応や化学反応などの媒介反応や中間反応を介さず
に試料を直接定量することができる。試薬を使用しない
ので、共存物質の影響を受けにくく、反応に伴う誤差を
排除できる。サンプリングから測定までの間に反応など
の操作を要しないので、測定を簡便で、迅速に行なうこ
とができる。本発明はまた高感度であるため、微量の変
化や微量成分の検出にも効果的である。このように、本
発明は尿中微量タンパクの定性及び定量検査に応用する
のに適する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が実施される測定装置を概略的に示すブ
ロック図である。
【図2】測定対象光学調整部のフィルタ手段としてホロ
グラフィック・ノッチ・フィルタを用い、試料に対して
励起光と180度方向に測定対象光を受光する測定装置
を示す配置図である。
【図3】測定対象光学調整部のフィルタ手段としてホロ
グラフィック・ノッチ・フィルタを用い、試料に対して
励起光と90方向に測定対象光を受光する測定装置を示
す配置図である。
【図4】測定対象光学調整部のフィルタ手段としてホロ
グラフィック・ビームスプリッタを用い、試料に対して
励起光と180度方向に測定対象光を受光する測定装置
を表わしたものであり、(A)は配置図、(B)はホロ
グラフィック・ビームスプリッタ部分を示す概略断面図
である。
【図5】測定対象光学調整部のフィルタ手段としてバン
ドパスフィルタを用い、試料に対して励起光と90度方
向に測定対象光を受光する測定装置を表わしたものであ
り、(A)は配置図、(B)はバンドパスフィルタ部分
を示す概略断面図である。
【図6】測定対象光学調整部のフィルタ手段としてバン
ドパスフィルタを用い、試料に対して励起光と180度
方向に測定対象光を受光する測定装置を示す配置図であ
る。
【図7】アルブミン水溶液試料から得られた光散乱スペ
クトルであり、(A)はHe−Neレーザの632.8
nmの波長光を励起光として照射した場合、(B)はA
rレーザの514.5nmの波長光を励起光として照射
した場合である。
【図8】図7(A)の光散乱スペクトルにおけるスペク
トル強度又は面積と試料中のアルブミン濃度との相関関
係を示す図であり、(A)はシフト波数が829cm-1
の位置でのスペクトル強度の結果、(B)はシフト波数
256〜1620cm-1の範囲の面積の結果である。
【図9】γ−グロブリン水溶液試料から得られた光散乱
スペクトルであり、(A)はHe−Neレーザの63
2.8nmの波長光を励起光として照射した場合、
(B)はArレーザの514.5nmの波長光を励起光
として照射した場合である。
【図10】(A)から(C)は図9(A)の光散乱スペ
クトルにおいて、シフト波数がそれぞれ837.257
cm-1、1383.49cm-1、1592cm-1の位置
のスペクトル強度と試料中のγ−グロブリン濃度との相
関関係を示す図である。
【図11】(D)から(F)は図9(A)の光散乱スペ
クトルにおいて、シフト波数がそれぞれ1877cm
-1、2125cm-1、2370cm-1の位置のスペクト
ル強度と試料中のγ−グロブリン濃度との相関関係を示
す図である。
【図12】ヘモグロビン水溶液試料から得られた光散乱
スペクトルであり、(A)はHe−Neレーザの63
2.8nmの波長光を励起光として照射した場合、
(B)はArレーザの514.5nmの波長光を励起光
として照射した場合である。
【図13】(A)から(C)は図12(A)の光散乱ス
ペクトルにおいて、シフト波数がそれぞれ1870cm
-1、2125cm-1、2370cm-1の位置のスペクト
ル強度と試料中のヘモグロビン濃度との相関関係を示す
図である。
【符号の説明】
2 励起光源部 4 試料部 6 測定対象光学調整部 10 合波手段 12 分光処理部 14 データ処理部 20s 試料用光束 20r 補正用光束 38 ホログラフィック・ノッチ・フィルタ 40 ハーフミラー 52 分光器 70 ホログラフィック・ビームスプリッタ 80 透過集光型ミラー 82 バンドパスフィルタ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年9月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】図8の相関関係は、いずれも相関係数R2
が0.99以上の良好な結果を示しており、これらの相
関関係を検量線として利用することにより、試料中のア
ルブミン濃度を定量分析することができる。相関係数R
2は次の(1)式に示された相関係数Rを自乗したもの
である。 R=Σ[(xi−X)(yi−Y)]/{[Σ(xi−X)2][Σ(yi−Y)2]}1/2 ……(1) xi:測定試料の各測定点の濃度 yi:xiに対する測定光強度 X:測定試料の各測定点の濃度の平均値 Y:測定光強度の平均値

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質を含む試料溶液に単一波長の
    励起光を照射してその試料溶液からの散乱光を受光し分
    光して光散乱スペクトルを得、その光散乱スペクトルの
    うち、励起波長に対するシフト波数にして100〜31
    00cm-1のスペクトルのピーク強度又はそのうちの適
    当な範囲の積分値を用いてタンパク質を定量測定するこ
    とを特徴とするタンパク質の測定方法。
  2. 【請求項2】 タンパク質がアルブミンであって、励起
    波長から810〜840cm-1にシフトしたスペクトル
    のピーク強度、又は励起波長632.8nmから256
    〜1620cm-1もしくは励起波長514.5nmから
    837〜3060cm-1にシフトしたスペクトルの適当
    な範囲の積分値を用いる請求項1に記載のタンパク質の
    測定方法。
  3. 【請求項3】 タンパク質がγ−グロブリンであって、
    励起波長から175〜195cm-1、425〜450c
    m-1、640〜670cm-1、820〜845cm-1
    845〜870cm-1、1370〜1400cm-1、1
    575〜1620cm-1、1850〜1900cm-1
    2000〜2200cm-1、2350〜2400cm-1
    又は2400〜2460cm-1にシフトしたスペクトル
    のピーク強度を用いる請求項1に記載のタンパク質の測
    定方法。
  4. 【請求項4】 タンパク質がヘモグロビンであって、励
    起波長から640〜670cm-1、820〜845cm
    -1、1370〜1400cm-1、1575〜1620c
    m-1、1850〜1900cm-1、2000〜2200
    cm-1、2350〜2400cm-1又は2400〜24
    60cm-1にシフトしたスペクトルのピーク強度を用い
    る請求項1に記載のタンパク質の測定方法。
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EP96110521A EP0751388B1 (en) 1995-06-28 1996-06-28 Method of optically measuring a component in solution
CN96108652A CN1114098C (zh) 1995-06-28 1996-06-28 溶液中成分的光学测定方法
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008157771A (ja) * 2006-12-25 2008-07-10 Toppan Printing Co Ltd ヘモグロビンを含む物質の分析方法

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