JPH09150319A - 放電加工用電極線 - Google Patents

放電加工用電極線

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JPH09150319A
JPH09150319A JP31229095A JP31229095A JPH09150319A JP H09150319 A JPH09150319 A JP H09150319A JP 31229095 A JP31229095 A JP 31229095A JP 31229095 A JP31229095 A JP 31229095A JP H09150319 A JPH09150319 A JP H09150319A
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Shuji Sakai
修二 酒井
Morio Kimura
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Kazuhiko Nakagawa
和彦 中川
Tsutomu Yamanaka
務 山中
Takamitsu Kimura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 最外層に引張強度の低いCu−Zn合金を用
いた場合、コア部に高抗張力鋼を用いて引張強度を確保
しようとすると、複合電極線としての導電率が低下し、
放電加工電流を高くすることができない。 【解決手段】 芯材にNb線101を用い、このNb線
101に対してNb/Cu2相分散強化型複合体層10
2及びCu−Zn合金層103を順次同軸に形成する。
Nb/Cu2相分散強化型複合体層102は、NbとC
uによる2相分散強化型複合体は分散組織を有し、この
分散組織によって大きな引張強度を有するようになる。
しかも、Cuは分散組織になっても存在し、分散強化型
複合体層102は高導電率を有することになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ放電加工に
用いられる放電加工用電極線、特に、最外層にCu−Z
n合金層を設けた構成の放電加工用電極線に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ワイヤ放電加工は、電極線となる細いワ
イヤ(タングステン、黄銅等)を巻き取りつつ被加工物
に対して三次元の送りをかけ、ワイヤを電極にして被加
工物に放電を行いながら被加工物を溶断して糸鋸式の加
工を行うもので、特定形状の電極を使用しないで高精度
に三次元形状の製品を作成することができる。特に、加
工の困難な超硬合金等の加工も高精度に行えるため、近
年、実用範囲が広がりつつあり、例えば、機械的な切削
や切断加工が困難な金型等の加工にも用いられている。
【0003】最近の金型加工分野においては、より高精
度化、高速度化の要求が高く、直径0.1mm以下で1
50kgf/mm2 以上の高引張強度、20%IACS
以上の高導電率特性を有する極細電極線の出現が待たれ
ている。この種の要求を満たす電極線として、従来より
引張強度の高いW(タングステン)単体の電極線が用い
られている。従来、高張力電極線として用いられている
W電極線の引張強度は約400kgf/mm2 であり、
この値は汎用黄銅電極線の約4倍の強度を有するため、
高精度化のために線径を0.1mm以下に極細化しても
加工精度を低下させる原因となる電極線の振動を防止す
るに十分な張力を負荷することができる。
【0004】しかし、タングステンは希少金属の1つで
あり、また、難加工材でもある。このため、極細電極線
が消耗品であることを考えると非常に高価なものにな
る。また、W電極線を用いた場合、強度が高くなりす
ぎ、電極線に電圧を印加する送り出しリール及び巻き取
りリールの磨耗が激しく、接触抵抗の変化等により不安
定な放電現象が生じ易い。
【0005】そこで、最近では、汎用電極線である黄銅
(Cu−35%Zn)電極線とW電極線の中間の引張強
さを有する複合電極線が用いられている。この複合電極
線の詳細については、例えば、特開昭56−12652
8号公報に記載があり、その構造は図7に示す如くであ
る。すなわち、コア部としての高張力鋼線201に対
し、同軸にCu−Zn(黄銅)合金層202を被覆した
構成である。
【0006】このような構成により、高精度加工に十分
で、送り出しリール及び巻き取りリールとの磨耗が少な
い適度な引張強度である約150〜200kgf/mm
2 の値が得られ、しかも安価に製造することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の放電加
工用電極線によると、構成材に引張強度の低いCu−Z
n合金を被覆に用いているため、複合電極線としての引
張強度を確保するには、複合電極線のテンションメンバ
ーであるコア部の高抗張力鋼の割合を大きくしなければ
ならない。
【0008】また、高抗張力鋼の導電率はせいぜい10
%IACS程度であり、複合電極線としての導電率が低
下し、放電加工電流(放電加工の高速化に不可欠であ
る)を高くすることが難しいという問題がある。そこで
本発明は、高引張強度及び高導電率の両特性を備え、放
電加工の高精度化及び高速度化を達成することのできる
放電加工用電極線を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明は、焼鈍状態で10kgf/mm2 以上
の常温引張強さを有する金属からなる芯材と、この芯材
に対し同軸に形成されるNb又はNb合金とCu(銅)
又はCu合金の2相による分散強化型複合体層と、この
分散強化型複合体層に被覆されるZn又はCu−Zn
(亜鉛)合金層とを備えた構成にしている。
【0010】複合材の塑性加工では、各構成材間の変形
抵抗の差が大きすぎるとネッキング現象と称される塑性
不安定現象が発生し、断線等のトラブルが起こりやすく
なる。この発明では、Nb/Cu分散強化型複合体の強
度、即ち、変形抵抗が高くなるため、塑性不安定現象の
発生を防止するためには変形抵抗の高い材料を芯材とし
て用いる必要がある。焼鈍状態で10kgf/mm2
上の常温引張強さを有する金属であれば、常温での減面
加工により歪硬化し、その結果、塑性不安定現象の発生
を防止でき、良好な減面加工性を維持できる。
【0011】また、上記構成によれば、Nb(又はNb
合金)とCu(又はCu合金)による2相分散強化型複
合体は分散組織を有し、この分散組織においては複合則
が通用せず、大きな引張強度を有するようになる。ま
た、Cu(又はCu合金)は分散組織になっても存在
し、分散強化型複合体層は高導電率を備えている。した
がって、最外層にZn又はCu−Zn合金層を配して
も、高引張強度及び高導電率の特性を備えた放電加工用
電極線を得ることができ、放電加工の高精度化及び高速
度化が低価格で実現することができる。
【0012】ここで、前記芯材の体積率は30%以下、
前記分散強化型複合体層は体積率が30%以上、及び前
記Zn又はCu−Zn合金層は体積率が65%以下にす
ることが望ましい。この構成によれば、電極線の体積率
を最適に設定したことにより、放電加工用電極線として
用いる線径にあって所望の引張強度及び導電率が得られ
る。
【0013】そして、前記分散強化型複合体層は、Nb
又はNb合金によるシートとCu又はCu合金によるシ
ートとを積層状態に密巻きにして積層複合体とし、前記
積層複合体を減面加工して、分散組織を形成した構成に
することができる。この構成によれば、Nb(又はNb
合金)によるシートとCu(又はCu合金)によるシー
トとを積層状態に密巻きにした複合体に対し、減面加工
を施すことによりCu(又はCu合金)が分散相となっ
て分散組織が形成され、引張強度が高くなる。したがっ
て、最外層にZn又はCu−Zn合金層を配しても、高
引張強度及び高導電率の特性を備えた放電加工用電極線
を得ることができる。
【0014】また、上記の目的は、焼鈍状態で10kg
f/mm2 以上の常温引張強さを有する金属からなる芯
材と、この芯材に対し同軸に形成されるNb又はNb合
金とCu又はCu合金の2相による分散強化型複合体層
と、この分散強化型複合体層に被覆されるCu又はCu
合金による拡散反応防止層と、この拡散反応防止層に被
覆されるZn又はCu−Zn合金層とを備えた構成によ
っても達成される。
【0015】この構成によれば、Nb(又はNb合金)
とCu(又はCu合金)による2相分散強化型複合体は
分散組織を有し、この分散組織においては複合則が通用
せず、大きな引張強度を有するようになる。更に、分散
強化型複合体層に被覆されたCu又はCu合金による拡
散反応防止層は、拡散反応を防止するように機能する。
また、Cu(又はCu合金)は分散組織になっても存在
し、分散強化型複合体層は高導電率を備えている。した
がって、最外層にZn又はCu−Zn合金層を配して
も、高引張強度及び高導電率の特性を備えた放電加工用
電極線を得ることができ、放電加工の高精度化及び高速
度化を低価格に実現することができる。
【0016】この場合、前記芯材の体積率が30%以
下、前記分散強化型複合体層は体積率が35%以上、前
記拡散反応防止層は体積率が5%以下、前記Zn又はC
u−Zn合金層は体積率が65%以下であることが望ま
しい。この構成によれば、電極線の体積率を最適に設定
したことにより、放電加工用電極線として用いる線径に
あって所望の引張強度及び導電率が得られる。
【0017】更に、前記分散強化型複合体層は、Nb又
はNb合金によるシートとCu又はCu合金によるシー
トとを積層状態に密巻きにした積層複合体とし、前記積
層複合体を減面加工して、分散組織を形成した構成にす
ることができる。この構成によれば、Nb(又はNb合
金)によるシートとCu(又はCu合金)によるシート
とを積層状態に密巻きにした複合体に対し、減面加工を
施すことによりCu(又はCu合金)が分散相となって
分散組織が形成され、引張強度が高くなる。したがっ
て、最外層にZn又はCu−Zn合金層を配しても、高
引張強度及び高導電率の特性を備えた放電加工用電極線
を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明による放電加工用電
極線の第1の実施の形態を示す断面図である。本発明に
よる放電加工用電極線100は、芯材としてNb(又は
Nb合金)線101が用いられ、このNb線101の外
周には同軸にNb(又はNb合金)/Cu(又はCu合
金)2相分散強化型複合体層102が設けられている。
更に、Nb/Cu2相分散強化型複合体層102には、
Cu−Zn合金層103が被覆されている。
【0019】Nb/Cu2相分散強化型複合体層102
は、NbとCuのシート材を積層及び密巻きして作られ
た複合体であり、高引張強度と高導電率を兼ね備えてい
る。このNb/Cu2相分散強化型複合体層102に対
し、Nb線101はCuよりも強度が大きい芯材として
機能するものである。最外層のCu−Zn合金層103
は放電加工性を支配する重要な部分である。そこで、放
電加工特性の良好なZnをCuに添加(Zn=10〜5
0wt%)したCu−Zn合金を用いている。
【0020】ここで、上記の積層複合体が高引張強度特
性を有するNb/Cu2相分散強化型複合体に変化する
様子について説明する。Nbシート材102aとCuシ
ート材102bを積層し、図2の(a)に示すように複
合体に加工した後、減面加工を施すと図2の(b)の様
に皺状に変形したNb層102cとCu層102dが形
成され、組織が層状から崩れていく。そして、最終的に
は、図2の(c)の様に、片方の層が分散相になった分
散組織に変化する。ここでは、Cu層102dが分散相
102fになり、Nb層102cがNb相102eにな
る。
【0021】層状組織が崩れない領域では、複合則が成
立し、積層複合体自体の引張強度が低く、複合電極線の
強度メンバーとして適用することは困難である。これに
対し、層状組織が崩れ、分散組織になるにしたがってN
b/Cu複合体の引張強度は複合則が適用できなくな
り、最大、約250kgf/mm2 に達する引張強度が
得られるようになる。この結果、複合電極線の強度メン
バーとして適用可能な複合体を得ることができる。そし
て、このNb/Cu複合体においては、分散組織になっ
ても高導電率のCuが存在することにより、Nb/Cu
2相分散強化型複合体層102は高い導電率特性を備え
ることになる。
【0022】図3は本発明の放電加工用電極線の第2の
実施の形態を示す断面図である。図3に示す放電加工用
電極線105は、芯材としてNb(又はNb合金)線1
01が用いられ、このNb線101の外周には同軸にN
b(又はNb合金)/Cu(又はCu合金)2相分散強
化型複合体層102が設けられている。このNb/Cu
2相分散強化型複合体層102の外周面には、拡散反応
防止層としてのCu(又はCu合金)層104が形成さ
れている。更に、Cu層104の外周面には、Cu−Z
n合金層103が被覆されている。
【0023】図1に示した構成の放電加工用電極線10
0と同様に、図3におけるNb/Cu2相分散強化型複
合体層102は、NbとCuのシート材を積層及び密巻
きして作られた複合体であり、高引張強度と高導電率を
兼ね備えている。また、Cu層104には、工業用純銅
を用い、最外層のCu−Zn合金層103には、放電加
工特性に優れるZnの10〜50wt%をCuに添加し
たCu−Zn合金を用いている。このCu−Zn合金層
103は、他に、冷間で断面減少率50%以上の減面加
工が可能な金属材料の周囲にZn(或いはZn基合金)
が被覆された複合体を用いることもできる。
【0024】図3の構成による放電加工用電極線105
において、その製造過程における積層複合体が高引張強
度特性を有するNb/Cu2相分散強化型複合体に変化
する様子については、図2で説明した通りであるので、
説明は省略する。図3の構成によれば、Nb/Cu2相
分散強化型複合体層102とCu−Zn合金層103に
おける拡散反応が防止され、各々における金属組成の状
態を保持することができる。
【0025】図4は本発明の放電加工用電極線の第3の
実施の形態を示す断面図である。図4に示す放電加工用
電極線107は、芯材にNb線に代えて炭素鋼等による
高抗張力材106を用いている。他の構成は図3と同じ
であり、高抗張力材106の外周には同軸にNb/Cu
2相分散強化型複合体層102が設けられている。この
Nb/Cu2相分散強化型複合体層102の外周面に
は、拡散反応防止層としてのCu層104が形成されて
いる。更に、Cu層104の外周面には、Cu−Zn合
金層103が被覆されている。
【0026】本発明による上記の各放電加工用電極線と
同様に、図4におけるNb/Cu2相分散強化型複合体
層102は、NbとCuのシート材を積層及び密巻きに
して作られた複合体であり、高引張強度と高導電率を兼
ね備えている。この構成においても、Cu層104には
工業用純銅を用いている。更に、最外層のCu−Zn合
金層103には、Cuに放電加工特性の良好なZnを1
0〜50wt%添加したCu−Zn合金を用いている。
このCu−Zn合金層103は、他に、冷間で断面減少
率50%以上の減面加工が可能な金属材料の周囲にZn
或いはZn基合金が被覆された複合体を用いることもで
きる。
【0027】図4の構成による放電加工用電極線107
においても、シート積層状態の積層複合体がその製造過
程で高引張強度特性を有するNb/Cu2相分散強化型
複合体に変化する様子は、図2で説明した通りである。
よって、これについての説明は省略する。図4の放電加
工用電極線107における高抗張力材106は、直径が
大きくなるため、Nb/Cu2相分散強化型複合体層1
02の断面積が小さくなり、Nb/Cu2相分散強化型
複合体層102に基づく高引張強度化と高導電率化の面
で不利にはなる。しかし、高抗張力材106によって芯
材も強度メンバーの一部として高体積率で複合すること
ができ、この方面から高強度化、高導電率を図ることが
できる。
【0028】なお、図4の構成においては、高抗張力材
に代え、工業用純銅、銅合金等の高導電率材を複合した
線材を用いることもできる。これにより、汎用黄銅電極
線と同等以上の強度を持ち、十分に導電率の高い複合電
極線を得ることができる。図5は本発明の放電加工用電
極線の第4の実施の形態を示す断面図である。図5に示
す放電加工用電極線108は、図3に示した構成の放電
加工用電極線100からCu−Zn合金層103を除去
した構成(Nb線101+Nb/Cu2相分散強化型複
合体層102の構成)の複合線の複数本(全て同一仕様
の芯材110a,110b,110c,110d,11
0e,110f)をマトリックス材109内に相互に所
定の距離を置いて平行配置した構成の多芯構造にしたと
ころに特徴がある。ここで、マトリックス材109は、
図3の放電加工用電極線105の最外層に用いたCu−
Zn合金を採用することができる。
【0029】図5の構成によれば、複合体の断面積を大
きくすることができ、放電加工の用途等に応じた選択が
可能になる。
【0030】
【実施例】本発明者らは、図1及び図3の構成による放
電加工用電極線を製作した。製作に際しては、実施例
1,2,3(図3の構成による)〜実施例4,5(図1
の構成による)の5例について、図6に示す条件で行っ
た。すなわち、線径(mm)及び体積率(%)を適宜変
え、各々における引張強度(kgf/mm2 )と導電率
(%IACS)を測定した。また、1つの比較例(図7
に示した従来技術によるもの)を従来技術により製作し
た。なお、図6の体積率の欄における「Cu−Zn」は
図1及び図3のCu−Zn合金層103に相当し、「C
u」は図3のCu層104に相当し、「Nb/Cu」は
Nb/Cu2相分散強化型複合体層102に相当し、
「Nb」はNb線101に相当する。
【0031】そして、Cu−Zn合金層103には実施
例1〜5及び比較例共に、Cu−35wt%Zn合金
(JIS C2700)を用いた。また、Nb/Cu2
相分散強化型複合体層102には、厚さ0.2mmの工
業用純Nbシートと厚さ0.12mmの工業用純銅シー
トを密巻きにした積層複合体を母材に用いて形成した。
更に、Nb線101には工業用純Nb材を使用した。そ
して、比較例の芯材には0.25wt%炭素を含有した
炭素鋼を用いた。
【0032】図6から明らかなように、本発明による実
施例1〜3は、いずれも引張強度が166kgf/mm
2 以上で且つ23%IACS以上の導電率が得られてい
る。また、Cu層104を設けていない本発明の実施例
4,5においても、162kgf/mm2 以上の引張強
度及び20%IACS以上の導電率を得ることができ
た。これに対して比較例は、引張強度は十分な値が得ら
れるものの、コア部が導電率の低い炭素鋼であるため、
十分な導電率を得ることができない。
【0033】以上の実施例から、複合則によりNb/C
u2相分散強化型複合体層102の引張強度を逆算する
と、実施例3において最大約250kgf/mm2 にな
る。したがって、引張強度が最大でも約100kgf/
mm2 のCu−Zn合金と複合する場合、Nb/Cu2
相分散強化型複合体層102の体積率は少なくとも35
%以上でなければ、放電加工の高精度及び高速化に必要
な特性を得られないことがわかる。
【0034】なお、本発明においては、Nb/Cu2相
分散強化型複合体層102を製作するに際し、Nbシー
トとCuシートを積層して巻き寿司形に巻き取るように
したが、これに限定されるものではない。例えば、単純
に積み上げた積層複合体から形成されるNb/Cu2相
分散強化型複合体層にしてもよい。
【0035】
【発明の効果】以上より明らかな如く、本発明によれ
ば、Nb(又はNb合金)とCu(又はCu合金)の2
相による分散強化型複合体層を芯材に対し同軸に形成し
たので、最外層にCu−Zn合金層を配しても、高引張
強度及び高導電率の特性を備えた放電加工用電極線を得
ることができ、放電加工の高精度化及び高速度化を低価
格に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による放電加工用電極線の第1の実施の
形態を示す断面図である。
【図2】積層複合体がNb/Cu2相分散強化型複合体
に変化する様子を示す説明図である。
【図3】本発明の放電加工用電極線の第2の実施の形態
を示す断面図である。
【図4】本発明の放電加工用電極線の第3の実施の形態
を示す断面図である。
【図5】本発明の放電加工用電極線の第4の実施の形態
を示す断面図である。
【図6】本発明の実施結果及び構成条件を示す説明図で
ある。
【図7】従来の放電加工用電極線の構成を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
101 Nb線 102 Nb/Cu2相分散強化型複合体層 102f 分散相 102e Nb相 103 Cu−Zn合金層 104 Cu層 105 放電加工用電極線 106 高抗張力材
フロントページの続き (72)発明者 中川 和彦 茨城県土浦市木田余町3550番地 日立電線 株式会社システムマテリアル研究所内 (72)発明者 山中 務 茨城県土浦市木田余町3550番地 日立電線 株式会社システムマテリアル研究所内 (72)発明者 木村 孝光 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼鈍状態で10kgf/mm2 以上の常温
    引張強さを有する金属からなる芯材と、 前記芯材に対し同軸に形成されるNb又はNb合金とC
    u又はCu合金の2相による分散強化型複合体層と、 前記分散強化型複合体層に被覆されるZn又はCu−Z
    n合金層とを具備することを特徴とする放電加工用電極
    線。
  2. 【請求項2】前記芯材は体積率が30%以下、前記分散
    強化型複合体層の体積率が35%以上、及び前記Zn又
    はCu−Zn合金層は体積率が65%以下であることを
    特徴とする請求項1記載の放電加工用電極線。
  3. 【請求項3】前記分散強化型複合体層は、Nb又はNb
    合金によるシートとCu又はCu合金によるシートとを
    積層状態に密巻きにして積層複合体とし、前記積層複合
    体を減面加工して、分散組織を形成した構成であること
    を特徴とする請求項1記載の放電加工用電極線。
  4. 【請求項4】焼鈍状態で10kgf/mm2 以上の常温
    引張強さを有する金属からなる芯材と、 前記芯材に対し同軸に形成されるNb又はNb合金とC
    u又はCu合金の2相による分散強化型複合体層と、 前記分散強化型複合体層に被覆されるCu又はCu合金
    による拡散反応防止層と、 前記拡散反応防止層に被覆されるZn又はCu−Zn合
    金層とを具備することを特徴とする放電加工用電極線。
  5. 【請求項5】前記芯材は体積率が30%以下、前記分散
    強化型複合体層は体積率が35%以上、前記拡散反応防
    止層の体積率が5%以下、及び前記Zn又はCu−Zn
    合金層は体積率が65%以下であることを特徴とする請
    求項3記載の放電加工用電極線。
  6. 【請求項6】前記分散強化型複合体層は、Nb又はNb
    合金によるシートとCu又はCu合金によるシートとを
    積層状態に密巻きして積層複合体とし、前記積層複合体
    を減面加工して、分散組織を形成した構成であることを
    特徴とする請求項4記載の放電加工用電極線。
JP07312290A 1995-11-30 1995-11-30 放電加工用電極線 Expired - Fee Related JP3090009B2 (ja)

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