JPH09145649A - 構造物外壁の浮き欠陥の検知方法 - Google Patents

構造物外壁の浮き欠陥の検知方法

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JPH09145649A
JPH09145649A JP31114495A JP31114495A JPH09145649A JP H09145649 A JPH09145649 A JP H09145649A JP 31114495 A JP31114495 A JP 31114495A JP 31114495 A JP31114495 A JP 31114495A JP H09145649 A JPH09145649 A JP H09145649A
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area
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temperature difference
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JP31114495A
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Kenichiro Yamazaki
健一郎 山崎
Kiyotaka Kawase
清孝 川瀬
Toshio Koike
敏雄 小池
Susumu Harashima
進 原島
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Nitto Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nitto Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】タイル等の浮き欠陥の有無およびその箇所を精
度よく検知する。 【解決手段】下層のモルタル部の上層にタイル部が止着
された構造物表面からの放射エネルギーを赤外線放射温
度計により検出して、モルタル部の浮きおよびタイル部
の浮きの少なくとも一方を検知する際、赤外線放射温度
計からの温度信号に基づいて周囲との温度差が0.3℃
以上である領域を検知し、その領域が検出対象面の面積
として200cm2 以上である場合に、その領域内に前記
浮きがあり、200cm2 未満である場合には、浮きがな
いと判断するまたは無視する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物外壁の浮き
欠陥の検知方法に係り、たとえばビルなどの構造物外壁
のタイルやモルタルの浮きを検出する構造物外壁の浮き
欠陥の検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】構造物の長年の使用により、外壁にクラ
ックが生じたり、タイルやモルタル(以下「タイル等」
ともいう)の浮き欠陥などが生じると、漏水や外壁また
はタイルの剥落の危険性を生じる。
【0003】したがって、従来、これらをタイル等の浮
き欠陥を検知するために、木製ハンマーなどにより構造
物の表面を叩いてその音により、作業員が判断する方法
が知られている。
【0004】しかし、これでは作業性が悪いばかりでな
く、信頼性に欠けるものである。
【0005】そこで、作業性に優れ信頼性が高い浮き欠
陥の検知方法が模索されてきた。その一つに、構造物表
面からの放射エネルギーを赤外線放射温度計により検出
してタイル等の浮き欠陥の有無またはその箇所を検知す
る方法がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】なるほど、この方法
は、基本的に優れた方法であることは知られており、そ
の改良についても、種々の提案がなされている。
【0007】ところが、これらの提案によれば構造物の
表面からの放射エネルギーを検出して理論的にタイル等
の浮き欠陥が発生しているか否かを判断できる可能性は
示されているものの、その具体的な条件については必ず
しも明確にされていない。
【0008】たとえば、構造物表面の温度分布により、
他の部分よりも温度が高くなっている部分を欠陥部とし
て検知するが、温度の高低を判断する客観的・具体的な
基準はなんら示されていない。そのため、実際には、構
造物表面の温度分布をCRT画面に赤外線画像として表
示し、このCRT画面を作業員が目視することにより温
度の高低を判断し、この作業員の判断によって欠陥部を
検知していた。
【0009】しかし、この判断は客観的なものではな
く、あくまでも作業員の主観によるものであるため、個
人的な差異が大きくなる。したがって、欠陥の検知精度
はいきおい低くなり、検知ミスを生じやすく、そのため
誤って正常部のタイルを修理のために剥離してしまうこ
とがあった。
【0010】そこで、本発明の課題は、赤外線放射温度
計によって測定された構造物表面の温度分布から高い精
度で欠陥部を検知することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明は、下層のモルタル部の上層にタイル部が止着された
構造物表面からの放射エネルギーを赤外線放射温度計に
より検出して、モルタル部の浮きおよびタイル部の浮き
の少なくとも一方を検知する方法において、前記赤外線
放射温度計からの温度信号に基づいて周囲との温度差が
0.3℃以上である領域を検知し、その領域が検出対象
面の面積として200cm2 以上である場合に、その領域
内に前記浮きがあり、200cm2 未満である場合には、
浮きがないと判断するまたは無視することを特徴とする
ものである。
【0012】本発明においては、従来のように、絶対的
な温度の高低によって浮き欠陥を判定するのではなく、
当該領域の周囲との温度差を浮きの有無の判定基準とす
る。
【0013】実際に、検知した熱画像に基づいての絶対
的な温度の高低もしくは温度分布では、前述のとおり、
個人差による判定誤差を生じやすい。しかるに、本発明
によれば、信号演算処理によって得た温度差を判定基準
とするので客観化できる。
【0014】他方、温度差が大きいとしても、本来、捉
えた熱画像信号には、後述のとおり、多くの外乱が混入
する。そこで、本発明に従って、周囲との温度差が0.
3℃以上である領域を検知した上、その領域が検出対象
面の面積として200cm2 以上である場合に、その領域
内に前記浮きがあり、200cm2 未満である場合には、
浮きがないと判断するまたは無視することができる。
【0015】周囲との温度差を基準として浮きを判断す
る場合、たとえ検出対象面の面積が200cm2 未満の場
合には、外乱が混入したことによって温度差が0.3以
上となることが多く、温度差が0.3以上を示す領域の
全てに浮きがあると一律的に判断すると、健全部までも
剥離補修する結果となる。他方、タイルの浮きなどの場
合においては、たとえば周囲の全てが健全であり、タイ
ル一枚のみが浮いていることは少なく、タイル一枚が浮
いている場合には、その周辺部においても浮いているこ
とが多いとの経験的な観点からも、温度差が0.3℃以
上である領域が検出対象面積として200cm2 未満であ
る場合には、浮きがないと判断するまたは無視すること
が現実的であり、かつ支障もない。
【0016】一方、日中においては、日射により構造物
の表面の温度が上昇する。構造物の表面に投射された太
陽エネルギーの一部は反射するが、残部は当該部位内に
吸収され、その吸収された熱エネルギーはやがて壁厚方
向に熱伝達する。この熱エネルギーとその熱伝達速度と
の関係で、構造物の表面温度が決定される。しかるに、
欠陥部分、たとえばタイルの浮きがある場合には、その
浮き部分において熱伝達が阻害されるために、吸収した
熱エネルギーの伝達が遅くなり、もって欠陥の該当箇所
の表面温度は無欠陥部より高くなる。したがって、日中
においては、温度差も、欠陥の該当箇所の表面温度は無
欠陥部より高くなる。
【0017】夜間においては、構造物が吸収した熱エネ
ルギーを温度の低い外気に対して放散する逆方向の熱伝
達が生じる。したがって、構造物の表面の温度が低く、
内部の温度が高い逆転現象を生じる。この逆転現象の下
で、欠陥部分と無欠陥部分との温度差も無欠陥部分の方
が欠陥部分よりも温度が低い「温度差の逆転現象」が生
じる。この理由は、無欠陥部分においては、壁厚方向に
浮きなどの熱伝達を阻害する要因がないので、構造物の
内部から外気への熱伝達速度が高いためであると考えら
れる。
【0018】ところが、日中は日射量や検知対象構造物
への影、あるいは外気温などの外乱の影響を受けやす
く、これらの外乱により測定ミスを生じ、誤って無欠陥
部を修理のために剥がしてしまうことがあった。
【0019】従来は、日中において、1回のみの温度測
定結果に基づいて欠陥を判定するので、外乱の影響をよ
り受けやすいことが前記の問題を一層顕著にしている。
【0020】そこで、少なくとも日中において晴天があ
った日において、その当日の19:00〜翌日の4:3
0までの時間内において、前記赤外線放射温度計による
構造物表面温度を測定し、周囲との温度差が0.3℃以
上であり、かつ、温度が低いがわの領域に欠陥があると
判定するのが望ましい。さらに、昼間に少なくとも1
回、前記時間帯において少なくとも1回構造物の表面温
度を測定し、両者の表面温度測定結果に基づいて欠陥の
判定を総合的に行うことができる。
【0021】また、当該日の昼間においても構造物表面
温度を検出し、この昼間と前記夜間時間帯の構造物表面
温度における温度差が、昼間では+0.3℃以上であ
り、かつ、夜間では−0.3℃以上である領域に欠陥が
あると判定するのが好ましい。
【0022】(1)日中は日射量の変化や検知対象の屋
外構造物への影の有無、あるいは外気温などが、外乱と
して大きく作用する。日射量は、図5に示されているよ
うに、東西南北の各面において比較的短い時間の間で大
きな変化を示す。しかも、雲の位置や他の構造物の影の
位置なども影響する。さらに、図6に示されているよう
に、周囲の外気温の変動も大きい(降雨や風の影響によ
り一時的に温度低下することもある)。
【0023】その結果、屋外構造物の表面温度は短い時
間の間で微妙に変化する。かかる表面温度の経時的変化
が大きいことにより、欠陥部と無欠陥部との温度差の変
動も大きくなる。したがって、日中においては、日射量
などの外乱を受けて、欠陥部の判定を誤らせる原因とな
る。
【0024】(2)しかるに、少なくとも日中において
晴天があった日において、その当日の19:00〜翌日
の4:30までの時間内において温度検出を行うと、外
乱の影響がほとんどなく、欠陥部を適確に検知できる。
【0025】実際に、夜間においては、欠陥部分の判定
の正解率が日中より高くなる。
【0026】一方、日中において晴天がなく、雨天や曇
天の場合には、構造物の内部に吸収される熱エネルギー
が小さいために、夜間において、その熱エネルギーの外
気への放散量が少ないために、欠陥判定に誤差を生じや
すい。また、周囲との温度差が0.3℃未満の場合の個
所をも欠陥判定の基礎とすることも、欠陥判定に誤差を
生じる原因となる。
【0027】(3)他方で、従来例においては、日中の
1回限りの測定結果に基づいて欠陥を判定していた。欠
陥判定の精度を高めるためには、前記の夜間時間帯にお
いて複数回の測定を行い、総合的に欠陥判定を行うのが
より望ましい。さらに、後述の温度の時系列的変化結果
から判るように、昼間においては、夜間より一般的によ
り温度差変化が大きい。そこで、昼間に少なくとも1
回、前記時間帯において少なくとも1回構造物の表面温
度を測定し、両者の表面温度測定結果に基づいて欠陥の
判定を総合的に行うことができる。
【0028】また、当該日の昼間においても構造物表面
温度を検出し、この昼間と前記夜間時間帯の構造物表面
温度における温度差が、昼間では+0.3℃以上であ
り、かつ、夜間では−0.3℃以上である領域に欠陥が
あると判定することが好適である。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。本発明の基本的な欠陥の検知方法は、対
象の構造物の表面を睨んで、赤外線放射温度計(熱画像
検出器)を設け、その表面からの赤外線放射エネルギー
を赤外線放射温度計によりそれぞれ検出し、この検出信
号を画像解析装置内に取り込む。この画像解析装置にお
いて、得られた各領域の温度に基づいて、温度差の等高
線を形成する。
【0030】この場合、温度差の基準とする基準温度と
しては、正常部より浮き欠陥部の方が面積的に小さいの
で、測定時点でのある撮像面積内における平均温度を採
用するか、測定時点での撮像面積内をブロック化し、各
ブロック化した単位面積群の中での最低温度(ただし極
端に平均温度から外れるものを除く)を採用する、温度
変化グラフにおいてある所定長さ以上変化を示さない部
分の温度を採用する、ことができる。これら相互におい
て、実質的に差異は生じない。
【0031】一方、温度差の等高線のみでは、その等高
線内の面積と実際の検出対象面(構造物表面)の面積と
が一致しないために、それらの相関を知ることが必要で
ある。そこで、実際的には、赤外線放射温度計の設置位
置と対象の壁面との距離を測距儀などを用いて測定する
か、既に地図上で赤外線放射温度計の設置位置を把握で
きるのであれば、地図上で伏仰角度をも考慮して計算す
ることにより、現在の画像の面積と壁面の面積とを比例
させて、温度差が0.3℃以上である領域が検出対象面
の面積として200cm2 以上であるか否かを判定でき
る。この場合、使用しているレンズの倍率などをも加味
することはもちろんである。
【0032】かくして、検出対象面の面積として200
cm2 以上場合には、その領域内に浮きがあり、200cm
2 未満である場合には、浮きがないと判断するまたは無
視する。
【0033】本発明における、検出対象面の面積、およ
び温度差についての限定は、次に詳述する実験により明
らかになったものである。
【0034】(実験)図1に示されるように、検出対象
構造物として、ある地方都市の既存の構造物10の屋上
に、各面が幅5m、高さ1.8mで、各面にニュー小口
タイルを貼り付けたモデル建築物1を構築した。外壁1
A〜1Dにおいては、下層にモルタル部が形成され、そ
の上層としてタイル部が止着されている。
【0035】図2に示されるように、このモデル建築物
1の東面外壁1A、南面外壁1B、西面外壁1C、北面
外壁1Dの各面に、約7%の面積に模擬欠陥部(深さ
0.6cmのタイルの浮き欠陥部と深さ2.6cmのモ
ルタルの浮き欠陥部を半分づつ)を人為的に作った。こ
こで、模擬欠陥部は、欠陥領域面積による相違があるか
否かを判断することを想定して、タイル剥離欠陥部およ
びモルタル剥離欠陥部についてそれぞれ、8枚分の領
域、4枚分の領域、2枚分の領域、および1枚分の領域
を形成した。なお、7%の面積値は、タイル欠陥部調査
を依頼される実態の平均的な値である。
【0036】この各外壁面の欠陥検出を行うために、各
外壁面をそれぞれ睨む赤外線放射温度計(熱画像検出
器)2A、2B、2C、2Dが屋上を設置した。
【0037】赤外線放射温度計2A〜2Dによる検出信
号は、画像解析装置10に入力し、さらにその解析信号
をCRT表示装置11などに表示したり、フレキシブル
ディスクなどに記録する。
【0038】このように構成された装置においては、各
外壁1A〜1Dからの赤外線放射エネルギーを赤外線放
射温度計2A〜2Dによりそれぞれ検出し、画像解析装
置10内において前述の欠陥の有無を判定する。あるい
はCRT表示装置でその欠陥の有無を判定できるよう
に、表示させることもできる。
【0039】実験では、春期における晴天の日に、日の
出の頃より10分間隔で25時間程度連続的に赤外線放
射計による測定を行った。このとき、同時に外気温およ
び日射量も測定した。
【0040】図3に東面におけるタイル8枚相当領域
(面積400cm2 、以下同じ)、およびタイル4枚相
当領域(面積200cm2 、以下同じ)のモルタル浮き
欠陥部表面と無欠陥部表面との温度差の変化、図4にタ
イル2枚相当領域(面積100cm2 、以下同じ)およ
びタイル1枚相当領域(面積50cm2 、以下同じ)の
モルタル浮き欠陥部表面と無欠陥部表面との温度差の変
化、図5に各面に対する日射量の変化、図6に外気温変
化を示した。
【0041】図3および図4に示す各欠陥部と無欠陥部
との温度差の変化を見てみると、図3に示す、欠陥部の
面積が400cm2 の場合、および200cm2 の場合
には、上述の「温度差の逆転現象」が生じている時間帯
(13:00〜15:00、4:30〜6:30)を除
いて、ほとんどの時間帯で欠陥部と無欠陥部の温度差が
0.3℃以上となっている。一方、図4に示す、欠陥部
の面積100cm2 の場合、および50cm2 の場合に
は、日中の一部の時間帯(6:30〜12:00、1
5:30〜18:30)の前後を除いて、ほとんどの時
間帯において温度差が0.3℃未満である。
【0042】特に、図5に示すように、東面においては
午前中の日射量が大きいため、また図6に示すように、
日中は外気温が安定しないため、これらの影響により検
知ミスを生じる可能性があるので、欠陥の検知は夜間に
行うのが望ましいが、タイル2枚相当領域およびタイル
1枚相当領域では、夜間に欠陥部と無欠陥部の温度差が
0.3℃以上となる時間帯はほとんど皆無である。
【0043】以上の結果を総合すると、モルタル欠陥部
を精度よく検知するための最小面積は200cm2 であ
ることがわかる。したがって、春期東面おいて、モルタ
ル欠陥部を精度よく検知するためには測定対象領域内を
200cm2 に分割すればよいことがわかった。
【0044】続いて、図7に、東面における欠陥部の面
積が400cm2 である場合、および200cm2 であ
る場合のタイル浮き欠陥部表面と無欠陥部表面の温度差
の変化、図8に、欠陥部の面積が100cm2 である場
合、および50cm2 である場合のタイル浮き欠陥部表
面と無欠陥部表面の温度差の変化を示した。
【0045】図7および図8に示す各欠陥部と無欠陥部
との温度差の変化を見てみると、図7に示す、欠陥部の
面積が400cm2 の場合、および200cm2 の場合
には、モルタル浮き欠陥部の場合と同様、「温度差の逆
転現象」が生じている時間帯(11:00〜13:0
0、4:00〜6:00)を除いて、ほとんどの時間帯
において、欠陥部と無欠陥部の温度差が0.3℃以上と
なっている。一方、図8に示す、欠陥部の面積100c
2 の場合、および50cm2 の場合には、日中の一部
の時間帯(6:30〜11:00、13:00〜17:
00)の前後を除いて、ほとんどの時間帯において温度
差が0.3℃未満である。
【0046】また、モルタル浮き欠陥部の場合と同様、
日射量および外気温の影響を避けるため、欠陥の検知は
夜間に行うのが望ましいが、タイル2枚相当領域および
タイル1枚相当領域では、夜間に欠陥部と無欠陥部の温
度差が0.3℃以上となる時間帯はほとんど皆無であ
る。
【0047】以上の結果を総合すると、タイル欠陥部を
精度よく検知するための最小面積は200cm2 である
ことがわかる。したがって、春期東面おいて、モルタル
欠陥部を精度よく検知するためには測定対象領域内を2
00cm2 に分割すればよいことがわかった。
【0048】以上の結果は、東面についての結果である
が、モルタル部の浮き欠陥およびタイル部の浮き欠陥に
関して、他の南面、西面、および北面において、同様の
実験を行った。その結果、各面における各欠陥部と無欠
陥部との温度差の時間変化を、南面モルタル浮き欠陥部
については図9および図10に、南面タイル浮き欠陥部
については図11および図12に、西面モルタル浮き欠
陥部については図13および図14に、西面タイル浮き
欠陥部については図15および図16に、北面モルタル
浮き欠陥部については図17および図18に、北面タイ
ル浮き欠陥部については図19および図20に、それぞ
れ示す。
【0049】これらの各図に基づいて、東面において精
度よく欠陥部を求めることができる最小面積を求めた場
合と同様の考察を加えた。この考察の具体的手順につい
ては東面の場合と同様であるため、その記載を省略する
が、その結果、各面におけるモルタル部の浮き欠陥部お
よびタイル浮き欠陥部を精度よく検知できる最小面積
は、それぞれ、南面モルタル浮き欠陥部については、1
00cm2 、南面タイル浮き欠陥部については、100
cm2 、西面モルタル浮き欠陥部については、100c
2 、西面タイル浮き欠陥部については、100c
2 、北面モルタル浮き欠陥部については、50c
2 、北面タイル浮き欠陥部については、200c
2 、であることがわかった。
【0050】以上の結果は、春期における観測である。
これに対して、季節が夏である場合において、同様の実
験を行った。このときの東面におけるモルタル浮き欠陥
部と無欠陥部との温度差の時間変化を図21および図2
2に、タイル浮き欠陥部と無欠陥部との温度差の時間変
化を図23および図24にそれぞれ示す。
【0051】これらの夏期における結果について、春期
における場合と同様の考察を行った。その考察過程につ
いては詳述しないものの、夏期東面におけるモルタル浮
き欠陥部精度よく検知できる最小面積は、200cm2
であり、タイル浮き欠陥部を精度よく検知できる最小面
積は、50cm2 であることがわかった。
【0052】この実験を春期の場合と同様、南面、西
面、北面の各面について行い、さらに、秋期および冬期
においても同様に東面、南面、西面、北面の各面につい
てモルタル浮き欠陥部およびタイル浮き欠陥部を精度よ
く検知できる最小面積についての実験を行った。
【0053】以上の実験の結果、すなわち各季節の各方
位に対して、モルタル浮き欠陥部およびタイル浮き欠陥
部を精度よく検知できる最小面積を、モルタル浮き欠陥
部については表1に、タイル浮き欠陥部については表2
にそれぞれ示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】表1および表2より、春夏秋冬の各季節お
よび東南西北の各方位に対する構造物内部欠陥の深さの
異なるモルタルの浮き欠陥とタイルの浮き欠陥を検知で
きる最小面積がわかる。したがって、この結果を示す表
に基づいて、測定対象領域内を分割することにより、モ
ルタル欠陥部およびタイル欠陥部を精度よく検知するこ
とができる。
【0057】なお、本発明は、前述のビルの外壁の診断
に限らず、屋根、煙突、ダム、堤防、橋梁、道路(高架
道路)などの診断に用いることができる。
【0058】
【発明の効果】以上の説明から明らかなとおり、本発明
によれば、温度差を捉えることにより、かつ検出対象面
積の大きさとの相関を採ることにより、赤外線放射温度
計によって測定された構造物表面の温度分布から高い精
度で欠陥部を検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施のための装置の概略図である。
【図2】対象構造物の壁面の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実験結果のグラフである。
【図4】本発明の実験結果のグラフである。
【図5】本発明の実験結果のグラフである。
【図6】本発明の実験結果のグラフである。
【図7】本発明の実験結果のグラフである。
【図8】本発明の実験結果のグラフである。
【図9】本発明の実験結果のグラフである。
【図10】本発明の実験結果のグラフである。
【図11】本発明の実験結果のグラフである。
【図12】本発明の実験結果のグラフである。
【図13】本発明の実験結果のグラフである。
【図14】本発明の実験結果のグラフである。
【図15】本発明の実験結果のグラフである。
【図16】本発明の実験結果のグラフである。
【図17】本発明の実験結果のグラフである。
【図18】本発明の実験結果のグラフである。
【図19】本発明の実験結果のグラフである。
【図20】本発明の実験結果のグラフである。
【図21】本発明の実験結果のグラフである。
【図22】本発明の実験結果のグラフである。
【図23】本発明の実験結果のグラフである。
【図24】本発明の実験結果のグラフである。
【符号の説明】
1…モデル建築物、2A〜2D…赤外線放射温度計(熱
画像検出器)、10…構造物。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年1月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】夜間においては、構造物が吸収した熱エネ
ルギーを温度の低い外気に対して放散する逆方向の熱伝
達が生じる。したがって、構造物の表面の温度が低く、
内部の温度が高い逆転現象を生じる。この逆転現象の下
で、欠陥部分と無欠陥部分との温度差も、欠陥部分の方
無欠陥部分より温度が低い「温度差の逆転現象」が生
じる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原島 進 東京都千代田区丸の内一丁目5番1号 日 東化学工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下層のモルタル部の上層にタイル部が止着
    された構造物表面からの放射エネルギーを赤外線放射温
    度計により検出して、モルタル部の浮きおよびタイル部
    の浮きの少なくとも一方を検知する方法において、 前記赤外線放射温度計からの温度信号に基づいて周囲と
    の温度差が0.3℃以上である領域を検知し、 その領域が検出対象面の面積として200cm2 以上であ
    る場合に、その領域内に前記浮きがあり、200cm2
    満である場合には、浮きがないと判断するまたは無視す
    ることを特徴とする構造物外壁の浮き欠陥の検知方法。
  2. 【請求項2】赤外線放射温度計による測定を時間を異な
    らせて複数回行い、各測定時間ごと、温度差を捉えて、
    各測定時間ごといずれも温度差が0.3℃以上である領
    域を浮きの有無の判断対象とする請求項1記載の構造物
    外壁の浮き欠陥の検知方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020165655A (ja) * 2019-03-28 2020-10-08 東京電力ホールディングス株式会社 コンクリートの浮き検知方法
KR20210075546A (ko) * 2019-12-13 2021-06-23 동아대학교 산학협력단 열화상이미지 측정 및 분석에 기반한 타일 뒷채움 평가 방법

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