JPH09144536A - ウォータポンプのシール装置 - Google Patents

ウォータポンプのシール装置

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Publication number
JPH09144536A
JPH09144536A JP7307736A JP30773695A JPH09144536A JP H09144536 A JPH09144536 A JP H09144536A JP 7307736 A JP7307736 A JP 7307736A JP 30773695 A JP30773695 A JP 30773695A JP H09144536 A JPH09144536 A JP H09144536A
Authority
JP
Japan
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side seal
fixed
surface pressure
sealing
water pump
Prior art date
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Application number
JP7307736A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshijirou Fukami
嘉司郎 深見
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
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Publication of JPH09144536A publication Critical patent/JPH09144536A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明はシール部分をメカニカルシール構造を
採用したウォータポンプのシール装置に関し、環境温度
に影響されることなく安定したシール性を維持すること
を課題とする。 【解決手段】ロータ25と一体的に回転する回転軸24に配
設された回転側シール部材36と、弾性材料により形成さ
れると共にポンプハウジング22に固定されており固定側
摺接部40が回転側摺接部43に当接することにより冷却水
の漏洩を規制する固定側シール部材35と、固定側摺接部
40を回転側摺接部43に押圧付勢することによりベローズ
ゴム39の有する弾性力と協働して所定のシール面圧を発
生させるコイルスプリング37と、低温時においてシール
面圧の変化を規制する面圧変化規制機構38とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はウォータポンプのシ
ール装置に係り、特にシール部分をメカニカルシール構
造を採用したウォータポンプのシール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの冷却系には冷却水を循環させ
るためのウォータポンプが配設されている。このウォー
タポンプは、ポンプハウジングと、このポンプハウジン
グに配設されたベアリングに軸承された回転軸と、この
回転軸の一端に配設されエンジンの回転が伝達されるプ
ーリと、回転軸の他端に配設され回転軸の回転により冷
却水を圧送する回転羽と、冷却水がベアリングに侵入す
るのを防止するシール装置等により構成されている。
【0003】このウォータポンプに配設されるシール装
置としてしは、例えば実開昭60−147794号公報
に開示されたものが知られている。図7は、同公報に開
示されたウォータポンプ1及びこれに配設されるシール
装置2を示している。同図において、3はポンプハウジ
ングであり、このポンプハウジング3内にはベアリング
4に軸承された回転軸5が配設されている。この回転軸
5の一端にはエンジンの回転が伝達されるプーリ6が配
設されると共に、他端には冷却水を循環付勢する回転羽
7が配設されている。
【0004】シール装置2は冷却水がベアリング4に侵
入するのを防止するために配設されており、耐久性を向
上させる面から耐磨耗性に優れたメカニカルシール構造
が採用されている。このシール装置2は、大略すると回
転羽5に一体的に配設された回転側シール部材8と、ポ
ンプハウジング3に固定された固定側シール部材9と、
固定側シール部材9を回転側シール部材8に押圧付勢す
るコイルスプリング10とにより構成されている。
【0005】固定側シール部材9は、ベローズゴム11
と、このベローズゴム11の先端部に配設されたシール
部12とにより構成されている。また、コイルスプリン
グ10はベローズゴム11に配設されている。よって、
シール部12はゴムにより形成されたベローズゴム11
が発生する弾性力と、コイルスプリング10の発生する
弾性力との合成力により回転側シール部材8に圧接さ
れ、これにより冷却水がベアリング4に侵入するのを防
止する構成とされていた。
【0006】一方、コイルスプリング10に代えて板バ
ネ13を用いたシール装置として図8に示すものがあ
る。尚、図8において、図7に示した構成と対応する構
成には同一符号を附してその説明を省略する。同図に示
すシール装置14は、シール部12がスライド部15と
共に図中A1,A2方向に移動しうる構成とされてい
る。また、板バネ13はスライド部15と係合してお
り、スライド部15を常にA1方向に弾性付勢する構成
とされている。よって、スライド部15と共に移動する
シール部12も板バネ13の弾性力によりA1方向に弾
性付勢され、よってシール部12は所定のシール圧で固
定側シール部材8に摺接し冷却水のシールが行われる構
成とされていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両が使用
される環境は種々であり、例えば寒冷地等においては極
低温下で使用されることとなる。このような低温時にお
いては、固定側シール部材9を構成するベローズゴム1
1はゴム製であるために硬化してしまう。
【0008】ベローズゴム11が硬化すると、ベローズ
ゴム11は弾性体としては機能しなくなり、シール部1
2を回転側シール部材8に押圧する弾性力はコイルスプ
リング10が発生する弾性力のみとなり、常温時に比べ
て回転側シール部材8と固定側シール部材9との間にお
けるシール面圧が低くなりシール性が低下してしまうと
いう問題点があった。
【0009】一方、例えば真夏の高温時に渋滞走行する
ような場合(以下、高温時という)には、冷却水温は上
昇してしまい、この熱は回転側シール部材8及びシール
部12に印加されてしまい、回転側シール部材8及びシ
ール部12には共に熱膨張が発生する。このように、回
転側シール部材8及びシール部12に熱膨張が発生する
と、両者間におけるシール面圧は高くなる。
【0010】しかるに、高温時においてもコイルスプリ
ング10,板バネ13はシール部12を所定の弾性力で
回転側シール部材8に押圧するため、回転側シール部材
8とシール部12との間に発熱,変形,及び摩耗が発生
してしまい、延いては水漏れの原因となるという問題点
があった。
【0011】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、環境温度に影響されることなく安定したシール性
を維持することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、下記の手
段を講じることにより解決することができる。請求項1
記載の発明では、エンジンの回転力によりポンプハウジ
ングに内設された回転羽を回転させることにより、冷却
水を循環付勢するウォータポンプに配設されるウォータ
ポンプのシール装置において、前記回転羽と一体的に回
転する回転軸に配設されると共に固定側シール部を有し
てなる回転側シール部材と、前記ポンプハウジングに固
定されており、弾性部材に弾性付勢された回転側シール
部が前記回転側シール部に摺接することにより前記冷却
水の漏洩を規制する固定側シール部材と、前記固定側シ
ール部と前記回転側シール部との間のシール面圧を温度
に応じて可変することにより一定圧に保つシール面圧制
御手段とを具備することを特徴とするものである。
【0013】また、請求項2記載の発明では、エンジン
の回転力によりポンプハウジングに内設された回転羽を
回転させることにより、冷却水を循環付勢するウォータ
ポンプに配設されるウォータポンプのシール装置におい
て、前記回転羽と一体的に回転する回転軸に配設される
と共に固定側シール部を有してなる回転側シール部材
と、前記ポンプハウジングに固定されており、弾性部材
に弾性付勢された回転側シール部が前記回転側シール部
に摺接することにより前記冷却水の漏洩を規制する固定
側シール部材と、前記固定側シール部を前記回転側シー
ル部に押圧付勢することにより、前記弾性部材が発生す
る弾性力と協働して前記固定側シール部と前記回転側シ
ール部との間にシール面圧を発生させるバネ部材と、低
温時において前記シール面圧の変化を規制する面圧変化
規制手段とを設けたことを特徴とするものである。
【0014】また、請求項3記載の発明では、前記請求
項2記載のウォータポンプのシール装置において、前記
面圧変化規制手段を固定側シール部材内に封入された水
により構成したことを特徴とするものである。
【0015】また、請求項4記載の発明では、前記請求
項2記載のウォータポンプのシール装置において、前記
面圧変化規制手段を、低温時に伸長する感温部材でバネ
部材を形成することにより構成したことを特徴とするも
のである。
【0016】更に、請求項5記載の発明では、前記請求
項1記載のウォータポンプのシール装置において、前記
シール面圧制御手段は、高温時にシール面圧を低下する
構成とされたことを特徴とするものである。
【0017】上記の各手段は次のように作用する。請求
項1記載の発明によれば、シール面圧制御手段は、固定
側シール部と回転側シール部との間のシール面圧を温度
に応じて可変して一定圧に保つ。このため、環境温度に
拘わらず回転側シール部材と固定側シール部材との間に
常に安定したシール性を持たせることができる。
【0018】また、請求項2記載の発明によれば、低温
時において弾性部材が硬化しその弾性力が低下しても、
低温時においてシール面圧の変化を規制する面圧変化規
制手段を設けたことにより、回転側シール部と固定側シ
ール部との間におけるシール面圧を一定に保つことがで
きる。よって、環境温度に拘わらず、回転側シール部材
と固定側シール部材との間に常に安定したシール性を持
たせることができる。
【0019】また、請求項3記載の発明によれば、面圧
変化規制手段を固定側シール部材内に封入された水によ
り構成したことにより、低温環境下では水が凍ることに
よりその体積は増大する。この体積を増大させようとす
る力(体積膨張力という)は、シール部において固定側
シール部材を回転側シール部材に押圧する力として作用
する。
【0020】このため、低温時に固定側シール部材が硬
化して弾性力を発揮できなくなっても、上記体積膨張力
がこれに代わって作用するため、シール面圧の低下を防
止することができる。また、単に固定側シール部材に水
を封入するだけの簡単な構成であるため、容易かつ安価
に面圧変化規制手段を実現することができる。
【0021】また、請求項4記載の発明によれば、面圧
変化規制手段として低温時に伸長する感温部材で形成さ
れたバネ部材を用いることにより、低温時にはバネ部材
が伸長することによりバネ部材が発生するバネ力は増大
する。このため、低温時に固定側シール部材が硬化して
弾性力を発揮できなくなっても、上記のようにバネ力が
増大することによりシール面圧の低下を防止することが
できる。
【0022】更に、請求項5記載の発明によれば、高温
時にシール面圧が低下するようシール面圧制御手段を構
成したことにより、冷却水温が上昇し各シール面の熱膨
張が発生してもシール面圧を一定に保つことができ、シ
ール面の発熱,変形,及び摩耗の発生を抑制することが
できる。
【0023】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
図面と共に説明する。図1及び図2は本発明の第1実施
例であるウォータポンプのシール装置20を示してお
り、また図3はシール装置20が配設されるウォータポ
ンプ21を示している。先ず、シール装置20が配設さ
れるウォータポンプ21の構造について図3を用いて説
明する。
【0024】ウォータポンプ21は遠心式のポンプ構造
とされており、ポンプハウジング22にベアリング2
3,回転軸24,ロータ(回転羽)25,及びシール装
置20等を内設した構成とされている。ポンプハウジン
グ22は、ハウジング本体部26と蓋体部27とにより
構成されている。このハウジング本体部26にはベアリ
ング23が配設されており、回転軸24はベアリング2
3に回転自在に軸承されている。
【0025】この回転軸24の図中右端はハウジング本
体部26の外部に延出しており、この延出部分にはエン
ジンの回転が伝達されるプーリ28が配設されてる。こ
のプーリ28とエンジンのクランクシャフトとの間には
Vベルト(図示せず)が配設されており、これによりエ
ンジンの回転がプーリ28に伝達され、よって回転軸2
4はエンジンにより回転駆動される構成となっている。
【0026】また、回転軸24の図中左端にはロータ2
5が圧入固定されている。このロータ25は、ポンプハ
ウジング22内に形成されたポンプ室29内に収納され
ている。また、ポンプ室29の回転軸24と対向する位
置には冷却水が導入される導入口30が形成されると共
に、ロータ25の外周位置には冷却水が圧送される吐出
口31が形成されている。
【0027】上記構成において、回転軸24の回転に伴
いロータ25が回転駆動すると、ロータ25の回転によ
る遠心力により導入口30より導入された冷却水は吐出
口31から吐出され、冷却水はエンジンの冷却系(図示
せず)に圧送される。続いて、図1及び図2を用いてシ
ール装置20の構成について説明する。
【0028】シール装置20は、冷却水がポンプ室29
からベアリング23に侵入するのを防止するために配設
されており、耐久性を向上させる面から耐磨耗性に優れ
たメカニカルシール構造が採用されている。このシール
装置20は、大略するとポンプハウジング22に固定さ
れた固定側シール部材35と、回転軸24に配設され一
体的に回転する回転側シール部材36と、固定側シール
部材35を回転側シール部材36に向け押圧付勢するコ
イルスプリング(バネ部材)37と、本発明の要部とな
る面圧変化規制機構38等により構成されている。
【0029】固定側シール部材35は、ベローズゴム
(弾性部材)39と、このベローズゴム39の先端部に
配設された固定側シール部40とにより構成されてお
り、ポンプハウジング22に配設された固定側ホルダ4
1に配設されている。ベローズゴム39は天然ゴム或い
は人造ゴムにより形成されており、弾性変形性を向上さ
せるために中間部分に湾曲部42が形成されている。ま
た、固定側シール部40は例えばカーボンにより構成さ
れており、ベローズゴム39の先端部に後述する回転側
シール部材36と対向するよう固定されている。
【0030】また、回転側シール部材36は、回転側シ
ール部43と保持用ゴム44とにより構成されており、
回転軸24に配設された回転側ホルダ45に配設されて
いる。回転側シール部43は、例えば耐磨耗性に優れた
セラミックにより構成されており、保持用ゴム44を介
して回転側ホルダ45に固定されている。
【0031】この回転側シール部43は、前記した固定
側シール部材35に設けられた固定側シール部40と液
密に摺接するよう構成されており、よって固定側シール
部40と回転側シール部43とが摺接する部位でシール
面46が形成され、メカニカルシールが構成される。
【0032】一方、コイルスプリング37はベローズゴ
ム39の両端部に形成された起立部39a,39bの間
に配設されている。このコイルスプリング37は、固定
側シール部40を回転側シール部43に押圧するよう弾
性力を付勢する構成とされている。よって、固定側シー
ル部40は、弾性体であるベローズゴム39が発生する
弾性力とコイルスプリング37が発生する弾性力(バネ
力)との合成力により回転側シール部43に圧接され、
よってシール面46にシール面圧が発生する。
【0033】上記のように、シール装置20は固定側シ
ール部40と回転側シール部43とが所定のシール面圧
を有して摺接する構成とすることにより、冷却水がベア
リング23へ侵入するのを防止する構成とされている。
ところで、車両が極低温環境下で使用された場合には、
固定側シール部材35を構成するベローズゴム39が低
温のためにゴム硬化してしまい、シール面圧が低下して
しまうことは前述した通りである。そこで、本実施例で
はこの低温のために発生するベローズゴム39のゴム硬
化に対処するために面圧変化規制機構38を設けてい
る。以下、面圧変化規制機構38について説明する。
【0034】本実施例に係る面圧変化規制機構38は、
ベローズゴム39の起立部39a(回転側シール部43
に近い側の起立部)に間隙部47を形成すると共に、こ
の間隙部47に水48を封入した構成とされている。こ
の水48は間隙部47内に液密に封入されており、よっ
て水48がベローズゴム39の起立部39aから漏出す
るようなことはない。また、面圧変化規制機構38はベ
ローズゴム39の起立部39a内に水48を封入するだ
けの構成であるため、容易かつ安価に設けることができ
る。
【0035】次に、上記構成とされた面圧変化規制機構
38の低温時における動作について説明する。面圧変化
規制機構38は、固定側シール部材35を構成するベロ
ーズゴム39内に封入された水48により構成したこと
により、低温環境下では水48は凍りその体積は増大す
る。この体積を増大させようとする力(以下、体積膨張
力という)は、面圧変化規制機構38がベローズゴム3
9の回転側シール部43に近い側の起立部39aに形成
されているため、固定側シール部40を回転側シール部
43に押圧する力として作用する。
【0036】この際、体積膨張力は低温となることによ
りゴム硬化した起立部39aの壁部に作用することとな
るが、起立部39aには間隙部47が形成されることに
よりその壁厚は比較的薄くなっている。よって、ゴム硬
化が生じていても体積膨張力印加されることにより起立
部39aは変形し、よって固定側シール部40を回転側
シール部43に向け押圧することができる。
【0037】これにより、低温時にベローズゴム39が
硬化して弾性力を発揮できなくなっても、水48が凍る
ことにより発生する体積膨張力がベローズゴム39の弾
性力に代わって固定側シール部40を回転側シール部4
3に押圧する力として作用する。このため、固定側シー
ル部40と回転側シール部43とが摺接するシール面4
6におけるシール面圧の低下を防止することができ、ポ
ンプ室29からベアリング23に冷却水が漏洩すること
を確実に防止することができる。
【0038】即ち、面圧変化規制機構38を設けること
により、固定側シール部材35と回転側シール部材36
との間に、環境温度に拘わらず常に安定したシール性を
持たせることができる。一方、上記実施例では面圧変化
規制機構38としてベローズゴム39内に水48を封入
した構成を示したが、面圧変化規制機構はこの構成に限
定されるものではなく、低温時に固定側シール部40を
回転側シール部43に向け付勢する構成であれば他の構
成としてもよい。例えば、コイルスプリング37の材質
を低温時に伸長する感温部材とした構成としてもよい。
【0039】上記のように、面圧変化規制手段として低
温時に伸長する感温部材で形成されたコイルスプリング
(バネ部材)を用いることにより、低温時にはコイルス
プリングが伸長することによりコイルスプリングが発生
するバネ力は増大することとなる。
【0040】このため、低温時にベローズゴムが硬化し
て弾性力を発揮できなくなっても、コイルスプリングの
バネ力が増大することによりシール面圧の低下を防止す
ることができる。尚、この感温部材としては、例えば低
温時に伸長するよう構成された形状記憶合金或いは高分
子樹脂材料等の適用が考えられる。
【0041】図4及び図5は、低温時におけるシール性
を維持しうるシール装置の他の構成例を示す要部拡大図
である。尚、図4及び図5において、図1乃至図3に示
した構成と同一構成については同一符号を附してその説
明を省略する。シール装置50は、固定側シール部材3
5に配設されたベローズゴム51の端部(回転側シール
部材36側の端部)に延出部52が一体的に形成されて
いることを特徴とする。この延出部52は回転軸24に
対し外側に延出するよう形成されており、その先端部は
固定側ホルダ53に形成された固定部54に固着されて
いる。
【0042】延出部52は、弾性体により形成されたベ
ローズゴム51と一体的に形成されているため、常温時
においては図5に示されるように可撓変形する。従っ
て、常温時においては上記したシール装置20と同様
に、固定側シール部40は、弾性体であるベローズゴム
51が発生する弾性力とコイルスプリング37が発生す
る弾性力(バネ力)との合成力により回転側シール部4
3に圧接され、よってシール面46にシール面圧が発生
しシール効果を実現することができる。
【0043】一方、低温時においてはベローズゴム51
はゴム硬化し、これに伴い延出部52にもゴム硬化が発
生する。この低温時においては、延出部52は図4に示
されように直線状に延出した形状でゴム硬化し、この状
態において延出部52は可撓変形しないため剛体とみな
すことができる。
【0044】本構成例では、低温となることにより延出
部52が直線状に延出した状態において、固定側シール
部40が回転側シール部43に所定の圧力(シール面
圧)で当接されるよう構成されている。固定側シール部
40と回転側シール部43との間におけるシール面圧
は、延出部52が固着される固定部54の形成位置を調
整することにより制御することができる。
【0045】即ち、上記のように低温時において延出部
52はゴム硬化により剛体とみなすことができるため、
固定部54の形成位置を図4に示される位置より図中矢
印A1方向に移動させた位置に形成することによりシー
ル面圧を増大することができ、逆に図中矢印A2方向に
移動させた位置に形成することによりシール面圧を減少
させることができる。
【0046】本構成例では、固定部54の形成位置を調
整することにより、常温時においてベローズゴム51が
発生する弾性力とコイルスプリング37が発生するバネ
力との合成力と略同等のシール面圧が発生するよう構成
している。これにより、低温時にベローズゴム51(延
出部52)が硬化して弾性力を発揮できなくなっても、
延出部52によりシール面圧の低下を防止することがで
き、ポンプ室29からベアリング23に冷却水が漏洩す
ることを確実に防止することができる。
【0047】続いて、本発明の第2実施例について説明
する。図6は、本発明の第2実施例であるシール装置6
0の要部を拡大して示す図である。尚、同図において、
図1及び図2を用いて説明した第1実施例に係るシール
装置20の構成と対応する構成については同一符号を附
してその説明を省略する。
【0048】本実施例に係るシール装置60は、固定側
シール部材40を回転側シール部43(図6には図示せ
ず)に向け押圧する手段としてバイメタル61を用いた
ことを特徴とするものである。このバイメタル61は熱
膨張係数の異なる2枚の金属板を張り合わせた構成とさ
れており、固定側シール部材40と回転側シール部43
との間におけるシール面圧を制御するシール面圧制御手
段として機能するものである。
【0049】バイメタル61の上端部は固定側ホルダ4
1に取り付けられ固定されており、またバイメタル61
の下端部は自由端とされており、スライド部62に形成
された段部63と係合するよう構成されている。スライ
ド部62はベローズゴム39に固定されており、このベ
ローズゴム39の有する弾性力により図中矢印A1,A
2方向に移動しうる構成とされている。また、固定側シ
ール部40もベローズゴム39に固定されており、従っ
てスライド部62のA1,A2方向に伴い一体的に移動
する構成とされている。
【0050】上記のようにバイメタル61は、2枚の金
属板を張り合わせた構成であるため板バネとして機能す
る。また、スライド部62は板バネとして機能するバイ
メタル61により常にA1方向に弾性付勢されるよう構
成されている。スライド部62がバイメタル61により
A1方向に弾性付勢されることにより、固定側シール部
40もA1方向に弾性付勢され、よって固定側シール部
40と回転側シール部43との間には所定のシール面圧
が発生する。これにより、固定側シール部40と回転側
シール部43との間のシール性は確保され、冷却水の漏
洩を防止することができる。
【0051】更に、バイメタル61は熱膨張係数の異な
る2枚の金属板を張り合わせた構成であるため、環境温
度によりその形状を変化させる。本実施例で用いている
バイメタル61は、低温時には図中矢印B1方向に撓
み、高温時には図中矢印B2方向に撓んだ形状となるよ
う構成されている。従って、バイメタル61が図中矢印
B1方向に撓んだ状態(低温時)では固定側シール部4
0と回転側シール部43との間のシール面圧は高くな
り、逆にバイメタル61が図中矢印B2方向に撓んだ状
態(高温時)では固定側シール部40と回転側シール部
43との間のシール面圧は低くなる。
【0052】ここで、上記構成とされたシール装置60
を搭載した車両が、例えば真夏の高温時に渋滞走行した
場合を想定する。このような運転状態下においては冷却
水温は上昇してしまい、この熱は固定側シール部40及
び回転側シール部43に印加される。このように各シー
ル部40,43の温度が上昇すると、各シール部40,
43には熱膨張が発生しシール面圧は増大する。
【0053】しかるに、上記したように本実施例では固
定側シール部40を回転側シール部43に押圧する手段
としてバイメタル61を用いており、かつこのバイメタ
ル61は高温時において図中矢印B2方向に可撓変位す
る構成とされている。このため、各シール部40,43
の熱膨張力によりシール面圧が増大しても、バイメタル
61がB2方向に可撓変位することにより固定側シール
部40を回転側シール部43に押圧する押圧力は低減す
るため、熱膨張力と押圧力との合力として生成されるシ
ール面圧は温度に拘わらず一定の状態となる。
【0054】よって、本実施例に係るシール装置60に
よれば、環境温度が上昇してもシール面圧を一定に保つ
ことができ、各シール部40,43の発熱,変形,及び
摩耗の発生を抑制することができ、延いては冷却水の漏
洩の発生を防止することができる。
【0055】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、次に述べる
種々の効果を実現することができる。請求項1記載の発
明によれば、環境温度に拘わらず回転側シール部材と固
定側シール部材との間に常に安定したシール性を持たせ
ることができ、シール装置の信頼性を向上させることが
できる。
【0056】請求項2記載の発明によれば、面圧変化規
制手段を設けることにより回転側シール部と固定側シー
ル部との間におけるシール面圧を一定に保つことができ
るため、環境温度に拘わらず常に安定したシール性を回
転側シール部材と固定側シール部材との間に持たせるこ
とができる。
【0057】また、請求項3記載の発明によれば、低温
環境下では水が凍ることにより体積膨張力が発生し、低
温時に固定側シール部材が硬化して弾性力を発揮できな
くなっても体積膨張力がこれに代わって作用するため、
シール面圧の低下を防止することができる。また、単に
固定側シール部材に水を封入するだけの簡単な構成であ
るため、容易かつ安価に面圧変化規制手段を実現するこ
とができる。
【0058】また、請求項4記載の発明によれば、低温
時にバネ部材が伸長することによりバネ力が増大するた
め、低温時に固定側シール部材が硬化して弾性力を発揮
できなくなってもシール面圧の低下を防止することがで
きる。更に、請求項5記載の発明によれば、冷却水温が
上昇し各シール面の熱膨張が発生してもシール面圧を一
定に保つことができ、シール面の発熱,変形,及び摩耗
の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるシール装置の断面図
である。
【図2】本発明の第1実施例であるシール装置の面圧変
化規制機構を拡大して示す図である。
【図3】本発明の第1実施例であるシール装置を配設し
てなるウォータポンプを示す図である。
【図4】低温時におけるシール性を維持しうる他の構成
例を示す図である。
【図5】低温時におけるシール性を維持しうる他の構成
例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施例であるシール装置の面圧変
化規制機構を拡大して示す図である。
【図7】従来の一例であるシール装置を説明するための
図である。
【図8】従来の一例であるシール装置を説明するための
図である。
【符号の説明】 20,60 シール部材 21 ウォータポンプ 22 ポンプハウジング 23 ベアリング 24 回転軸 25 ロータ 28 プーリ 29 ポンプ室 35 固定側シール部材 36 回転側シール部材 37 コイルスプリング 38 面圧変化規制機構 39 ベローズゴム 40 固定側シール部 43 回転側シール部 46 シール面 47 間隙部 48 水 61 バイメタル 62 スライド部 63 段部 64 取付け部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの回転力によりポンプハウジン
    グに内設された回転羽を回転させることにより、冷却水
    を循環付勢するウォータポンプに配設されるウォータポ
    ンプのシール装置において、 前記回転羽と一体的に回転する回転軸に配設されると共
    に固定側シール部を有してなる回転側シール部材と、 前記ポンプハウジングに固定されており、弾性部材に弾
    性付勢された回転側シール部が前記回転側シール部に摺
    接することにより前記冷却水の漏洩を規制する固定側シ
    ール部材と、 前記固定側シール部と前記回転側シール部との間のシー
    ル面圧を温度に応じて可変することにより一定圧に保つ
    シール面圧制御手段とを具備することを特徴とするウォ
    ータポンプのシール装置。
  2. 【請求項2】 エンジンの回転力によりポンプハウジン
    グに内設された回転羽を回転させることにより、冷却水
    を循環付勢するウォータポンプに配設されるウォータポ
    ンプのシール装置において、 前記回転羽と一体的に回転する回転軸に配設されると共
    に固定側シール部を有してなる回転側シール部材と、 前記ポンプハウジングに固定されており、弾性部材に弾
    性付勢された回転側シール部が前記回転側シール部に摺
    接することにより前記冷却水の漏洩を規制する固定側シ
    ール部材と、 前記固定側シール部を前記回転側シール部に押圧付勢す
    ることにより、前記弾性部材が発生する弾性力と協働し
    て前記固定側シール部と前記回転側シール部との間にシ
    ール面圧を発生させるバネ部材と、 低温時において前記シール面圧の変化を規制する面圧変
    化規制手段とを具備することを特徴とするウォータポン
    プのシール装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のウォータポンプのシール
    装置において、 前記面圧変化規制手段は、 前記固定側シール部材内に封入された水であることを特
    徴とするウォータポンプのシール装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のウォータポンプのシール
    装置において、 前記面圧変化規制手段は、 前記バネ部材を低温時に伸長する感温部材で形成するこ
    とにより構成したことを特徴とするウォータポンプのシ
    ール装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のウォータポンプのシール
    装置において、 前記シール面圧制御手段は、高温時にシール面圧を低下
    する構成とされたことを特徴とするウォータポンプのシ
    ール装置。
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