JPS6128127Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、主として車両用変速機に用いられる
トルクコンバータ用クラツチのダンパ装置に関す
る。

本出願人は先に、入力軸に連結される一側の入
力ケースと該入力ケースに連結される他側のポン
プ翼車とで囲われるトルクコンバータ本体の内部
空隙に、出力軸に連結されるタービン翼車と、該
タービン翼車と該入力ケースとの間のクラツチ板
とを設け、該クラツチ板を軸方向に移動自在とし
て、その両側面に作用する流体圧力差に応じて該
クラツチ板を該入力ケースに係脱自在とし、且つ
該クラツチ板と該タービン翼車とをダンパスプリ
ングを介して相対回転可能に連結するようにした
トルクコンバータ用クラツチのダンパ装置におい
て、該クラツチ板にその両側面間を連通する連通
孔を形成すると共に該連通孔を開閉する開閉部材
を設け、該連通孔の開口面積を該開閉部材により
該クラツチ板と該タービン翼車との相対回転変位
量に応じて制御し、相対回転変位量の小さな駆動
トルクの小さな領域では該連通孔の開口面積を広
くし、該連通孔を介しての流体のリーク量を増し
て該クラツチ板の両側面間の圧力差を減少させ、
該クラツチ板の係合力を駆動トルクの減少に応じ
て弱めることによりその滑りを生じ易くし、この
滑りによりかかる領域でのトルク変動を吸収し得
るようにしたものを提案した。

然しこのものでは、流体の温度による粘性の変
化で、連通孔の開口面積が同じであつてもリーク
量は温度により変化し、従つてクラツチ板の両側
面間の圧力差も温度により変化して、低温時と高
温時とではクラツチ板の係合力が変化する不都合
を伴う。

本考案は、かかる不都合を解消した先の提案の
改良装置を提供することをその目的としたもの
で、以下本考案を図示の実施例に付説明する。

図面で１は同一線上の前後にエンジンに連る入
力軸２と車両の駆動輪その他の負荷に連る出力軸
３とを有するトルクコンバータ本体を示し、該本
体１は、該入力軸２に連結される前側の入力ケー
ス４と、該入力ケース４に連結される後側のポン
プ翼車５とを備えると共に、該入力ケース４と該
ポンプ翼車５とで囲われる内部空隙６に、該出力
軸３に連結されるタービン翼車７と、該タービン
翼車７と該ポンプ翼車５との間のステータ翼車８
とを備え、該入力軸２の回転によればこれら翼車
５，７，８間に内部流体が循環されて該出力軸３
への流体トルク伝達が与えられるように構成さ
れ、更に該タービン翼車７と該入力ケース４との
間に軸方向に移動自在のクラツチ板９を設けて、
これをその前後両側面に作用する流体圧力差に応
じて該入力ケース４に係脱自在とし、且つ該クラ
ツチ板９と該タービン翼車７とをダンパスプリン
グ１０を介して相対回転可能に連結し、該クラツ
チ板９の該入力ケース４への係合によれば、入力
軸２→入力ケース４→クラツチ板９→ダンパスプ
リング１０→タービン翼車７→出力軸３の系路で
の機械的トルク伝達が与えられるように構成され
ている。

これを図示のものに付更に詳述するに、該クラ
ツチ板９は、その後側面に内部空隙６内の流体圧
と、その前側面にこれと該入力ケース４との間隙
１１内の流体圧とを作用され、該間隙１１内の流
体圧をこれに該出力軸３の軸孔１２を介して連る
流体圧制御装置（図示せず）で減圧することによ
り前進作動されて、外周部前面の摩擦材１３にお
いて該入力ケース４に摩擦係合されるものとし、
又該ダンパスプリング１０は、第２図に示す如く
該クラツチ板９の外周部後面の環状の凹部９ａ内
に互に周方向の間隙を存して収容した各コイルス
プリングで構成されるものとし、該クラツチ板９
に該各スプリング１０毎にこれを内方に抜止めす
る支持片１４を取付けて、該支持片１４に該各ス
プリング１０を挾持する両端の入力側リテーナ１
５，１５を突設し、更に該各スプリング１０の配
置間隙に該タービン翼車７側からのびる出力側リ
テーナ１６を挿入した。

ここでエンジンによる駆動回転方向即ち正転方
向を第２図で反時計方向とすると、エンジンから
の駆動トルクの伝達時、該タービン翼車７は該ク
ラツチ板９に対し逆転方向即ち時計方向への相対
回転を生ずる。この場合該各スプリング１０は、
該出力側リテーナ１６を介して駆動トルクに応じ
た弾力が発生される迄の圧縮変位を与えられるも
ので、かくて該タービン翼車７の時計方向への相
対回転変位量は駆動トルクが大きくなる程大きく
なる。

該各スプリング１０は、トルク変動に際し駆動
トルクに応じた所定の圧縮変位位置を中心にして
伸縮動作し、トルク変動を吸収すべく作動するも
ので、この場合該各スプリング１０は、駆動トル
クの大きな領域において、これが定常状態で最大
縮位置に圧縮変位されて以後のトルク変動を吸収
し得なくなることのないよう比較的ばね定数の高
いものを用いる必要があるが、これによれば駆動
トルクの小さな領域でのトルク変動は充分に吸収
し得なくなる。

この場合、該クラツチ板９にその両側面間を連
通する連通孔１７を形成し、駆動トルクの小さな
領域では該連通孔１７を開閉部材により開いて、
内部空隙６から間隙１１に流体をリークさせ、該
クラツチ板９の両側面間の圧力差を減少させて該
クラツチ板９の係合力を弱めれば、駆動トルクの
小さな領域でのトルク変動は該クラツチ板９の滑
りで効果的に吸収される。

そして本考案によれば、該開閉部材を、設定圧
を可変調節自在の調圧弁１８で構成し、該調圧弁
１８の設定圧を該クラツチ板９と該タービン翼車
７との相対回転変位量に応じて増減させるように
した。

これを図示のものに付更に詳述するに、該調圧
弁１８は、該クラツチ板９の上記した外周部の凹
部９ａ内に、第４図に明示する如く該外周部に形
成した連通孔１７に連る流出ポート１９ａと内部
空隙６に連る流入ポート１９ｂとを有する弁筐１
９を固設し、該弁筐１９内に、調圧ばね２０によ
り図面で右方の閉じ側と、該流入ポート１９ｂを
介して作用される該内部空隙６内の流体圧で左方
の開き側とに押圧される調圧弁体２１を収容し、
該調圧ばね２０のばね圧を左端のプランジヤ２２
により調節自在として成るもので、該プランジヤ
２２にに該タービン翼車７からのびる操作片２３
を左方から当接させた。

この場合該クラツチ板９の外周部前面の摩擦材
１３には第３図に明示する如く該連通孔１７に合
致する切欠き１３ａを形成し、該連通孔１７から
の流体が該切欠き１３ａを介して間隙１１に流れ
るようにした。

次いでその作動を説明するに、該調圧弁１８
は、内部間隙６内の流体圧が調圧ばね２０のばね
圧で設けられる所定の設定圧より高いときは開弁
されて連通孔１７を介して流体のリークで該流体
圧を該設定圧に自動的に調圧すべく作動するもの
で、この場合タービン翼車７のクラツチ板９に対
する時計方向への相対回転を生ずると、操作片２
３を介してプランジヤ２２が第４図で右方に押動
されて調圧ばね２０のばね圧が強められ、結局設
定圧は該タービン翼車７の相対回転変位量に応じ
て増減され、駆動トルクの小さな相対回転変位量
の小さな領域では設定圧も小さくなり、該クラツ
チ板９の両側面間の圧力差が減少されて該クラツ
チ板９の係合力が駆動トルクの減少に応じて弱め
られる。

この場合、温度が変化しても内部空隙６内の流
体圧は調圧弁１８の設定圧に正確に調圧され、温
度による圧力変化は生じず、従つてクラツチ板９
の係合力の温度による変化を生ずることは無い。

この様に本考案によるときは、調圧弁によりク
ラツチ板に作用される圧力を制御するもので、連
通孔の開口面積を可変して圧力制御を行う先の提
案のものの如く温度変化による圧変化を生ずるこ
とが無く、クラツチ板の係合力を駆動トルクに応
じて正確に制御出来る効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案装置の１例の截断側面図、第２図
は第１図の−線截断背面図、第３図は第１図
の−線から見たクラツチ板の正面図、第４図
は第２図の−線截断面図である。 １……トルクコンバータ本体、２……入力軸、
３……出力軸、４……入力ケース、５……ポンプ
翼車、６……内部空隙、７……タービン翼車、９
……クラツチ板、１０……ダンパスプリング、１
７……連通孔、１８……調圧弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 入力軸に連結される一側の入力ケースと該入力
   ケースに連結される他側のポンプ翼車とで囲われ
   るトルクコンバータ本体の内部空隙に、出力軸に
   連結されるタービン翼車と、該タービン翼車と該
   入力ケースとの間のクラツチ板とを設け、該クラ
   ツチ板を軸方行に移動自在として、その両側面に
   作用する流体圧力差に応じて該クラツチ板を該入
   力ケースに係脱自在とし、且つ該クラツチ板と該
   タービン翼車とをダンパスプリングを介して相対
   回転可能に連結するようにしたトルクコンバータ
   用クラツチのダンパ装置であつて、該クラツチ板
   にその両側面間を連通する連通孔を形成すると共
   に、該連通孔を開閉する開閉部材を設けるものに
   おいて、該開閉部材を設定圧を可変調節自在の調
   圧弁で構成し、該調圧弁の設定圧を該クラツチ板
   と該タービン翼車との相対回転変位量に応じて増
   減させるようにしたことを特徴とするトルクコン
   バータ用クラツチのダンパ装置。