JPH09143264A - 生分解性水溶性ポリマー及びその用途 - Google Patents

生分解性水溶性ポリマー及びその用途

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JPH09143264A
JPH09143264A JP24468096A JP24468096A JPH09143264A JP H09143264 A JPH09143264 A JP H09143264A JP 24468096 A JP24468096 A JP 24468096A JP 24468096 A JP24468096 A JP 24468096A JP H09143264 A JPH09143264 A JP H09143264A
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acid
scale
polymer
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maleamic
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JP24468096A
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Ryozo Kawai
良三 河合
Hiroshi Kurata
浩志 倉田
Yukari Shimizu
ゆかり 清水
Shoichiro Kajiwara
庄一郎 梶原
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、冷却水系、海水淡水化プロセス、
カン水の脱塩化プロセス等における装置の配管内等への
スケ−ル付着に対して、優れた抑制能力を示すととも
に、高い微生物分解性を有する水溶性ポリマ−を提供す
る。 【解決手段】 融点が170℃以下のオキシカルボン酸
とマレアミド酸の混合物、または融点が170℃以下の
オキシカルボン酸が少なくとも1種類は含まれるオキシ
カルボン酸複数種とマレアミド酸の混合物を、少なくと
も反応開始時点においては170℃以下の温度で溶融さ
せ重合体を得る。得られた重合体を加水分解し、スケ−
ル防止剤等として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明に従えば、冷却水系、
海水淡水化プロセス、カン水の脱塩化プロセス等におけ
るスケール付着に対して優れた抑制能力を示すととも
に、高い微生物分解性を有する水溶性ポリマーが安価な
原料で単純なプロセスで得られる。即ち、従来の方法に
比較して経済的負担を殆ど増すことなく、スケール抑制
剤の機能を果たした後は環境への負荷がかからないよう
にポリマーを消失せしめることが可能である。
【0002】
【従来の技術】冷却水系、海水淡水化プロセス、カン水
の脱塩化プロセス等では、水が濃縮されて来ると硬度成
分の濃縮やpHの変化等で、炭酸カルシウム、硫酸カル
シウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム等のス
ケ−ルが伝熱面に析出して来る。スケール防止対策とし
てスケ−ル防止剤を用いるのは非常に一般的であるが、
最近のスケール防止剤の主流はマレイン酸系やアクリル
酸系の合成高分子が主である。これらは、例えば、500p
pmのカルシウム化合物の存在する系に 10ppm程度添加す
ることでほぼ完全にスケ−ル抑制できる場合もあるよう
に、対象水系にごく僅か注入することにより、スケール
の付着を大幅に減少させる能力を有する。即ち、これら
従来の合成高分子系スケール防止剤は、スケール抑制に
関してはかなり満足すべき特性を有すると言える。しか
しながら、問題はスケール抑制の機能を果たした後の挙
動である。一般に合成高分子は微生物による分解、劣化
を受けにくく、成形用プラスチックスの分野でも環境保
全に対する関心の高まりとともに、易生分解性ポリマー
の開発がさかんに要求されて来ているが、水溶性ポリマ
ーの場合にはその性質上、目的を果たした後の分離回収
が困難なため、更に問題は深刻と言える。スケール防止
剤の場合も例外でなく、従来のマレイン酸系やアクリル
酸系の合成高分子は非常に生分解性が低いため、スケー
ル抑制力はこれらと同水準であり、しかも生分解性は通
常の低分子量体と同じ程高いポリマーを開発する必要が
あるとの要求がさかんになされるようになって来てい
る。
【0003】そこで、スケール抑制力のあるポリマーに
微生物分解性を付与させるべき種々の試み、あるいは新
たなポリマーの開発の試みがなされている。現在なされ
ているこれらの試みは下記のように分類される。 1)セルロース、澱粉等に化学的な修飾を行うことにより
水溶性、スケール抑制力等の機能を付与し、生分解性の
高いポリマーとする方法 2)アクリル酸系、マレイン酸系ポリマーへの生分解性付
与(主鎖中への生分解性部分の導入、易生分解性高分子
鎖へのグラフト化、分子量及びその分布の制御等によ
る) 3)機能性の高い脂肪族ポリエステル系化合物の開発 4)機能性の高いポリアミノ酸類の開発 このうち1)の方法は、化学的な修飾の度合を増せば新た
な機能がより効果的に発現するものの、それに応じて生
分解性は低下してしまう欠点がある。また、2)のような
方法においても生分解性を向上させようとするほど、本
来果たすべきスケール抑制力が低下する欠点がある。従
って本質的解決法は、スケール抑制力が従来のスケール
防止剤と同じであり、生分解性も合わせ持つ新たな化合
物の開発を進める以外はないと考えられる。
【0004】本発明はそのようなポリマーの製造方法に
関わるものである。生分解性を有する点でポリグルタミ
ン酸やポリアスパラギン酸等のポリアミノ酸は従来より
注目されている化合物である。これらポリアミノ酸類は
DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)など医用高
分子分野で検討されているように、安全性に問題が無
く、生分解性も高いものである。また、Natl. Counc. R
es. Dev., NCRD(Isr.),P150-157(1977) に見られるよう
にそのスケール防止特性が、またJ. Cryst. Growth, Vo
l.57,No.2,P336-342(1982)に見られるようにその結晶化
抑制特性もかなり以前より注目されており、特にポリア
スパラギン酸は従来のスケール防止剤にない特性が注目
されていた。
【0005】しかし、いまだにポリアスパラギン酸等の
ポリアミノ酸はスケール防止剤として実用的に用いられ
るに至っていない。これは安価で実用的な製造方法がま
だ開発されていないためと考えられる。ポリアスパラギ
ン酸の製造方法は古くから検討されているが、最も一般
的な方法はアスパラギン酸モノマーを縮重合する方法で
ある。この方法は原料、生成物ともに融点が高いため、
固相重合法以外の方法を採用するのが困難であり、重合
時間が非常に長くなってしまう欠点がある。また、原料
のアスパラギン酸モノマーが安価でないのも欠点であ
る。他の方法としてマレアミド酸を原料とする方法、及
びそれに類似の方法がある。マレアミド酸は無水マレイ
ン酸とアンモニアから簡単に製造できるため安価であ
り、原料コストの面からは魅力的である。にもかかわら
ずこの方法も実用化に至っていないのは、原料マレアミ
ド酸の融点は比較的低いにもかかわらず、生成物の融点
が高いのと、マレアミド酸の分解点が融点より低いため
であると考えられる。 一方、脂肪族ポリエステル系化
合物も生分解性を有することはよく知られており、他の
機能も合わせ持つような構造とすれば様々な可能性の考
えられるポリマーである。
【0006】例えば、主鎖にエステル結合があり、側鎖
に適当に官能基があり、分子量分布が適当であれば、生
分解性と他の機能を合わせ持つ可能性は充分にある。ポ
リリンゴ酸はそのような側面から注目されているポリマ
ーであり、特性がさまざまな角度から検討されるととも
に、安価な製造方法も試みられている。最も安価な製造
方法としては、リンゴ酸モノマーを直接的に縮重合させ
る方法が考えられるが、高分子論文集 Vol.44 No.9 701
-709に見られるようにその方法で得られるポリマーの重
量平均分子量はせいぜい1,000 〜1,500 とまだ重合度の
低いものしか得られておらず、有用な機能を発現できる
ようなポリマーとする条件は見いだされていない。他の
オキシカルボン酸類にいたってはリンゴ酸の場合よりも
はるかに少ない知見しか蓄積されていない。このよう
に、ポリアミノ酸と脂肪族ポリエステルは生分解性と他
の機能を合わせ持つポリマーとして注目され、具体的に
も最も接近しやすい系と考えられ、種々の試みがなされ
てきているが、スケール防止剤のようなかなりの量産を
要求される分野ではまだ実用的な製造法が確立されるに
至っていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特定
のオキシカルボン酸とマレアミド酸類の一定比率範囲の
混合物を非常に温和な条件で重合し、そのポリマーを加
水分解し得られたポリマーにオキシカルボン酸やマレア
ミド酸を各々単独で重合したポリマーやそれらポリマー
の単純な混合物に無い優れたスケール防止特性を持たせ
ることである。
【0008】
【課題が解決するための手段】本発明者らは、このよう
な背景下で、主鎖中にアミド結合またはエステル結合を
有し、側鎖に官能基を持つ種々のポリマーの合成を試
み、それらの特性の評価結果をもとにこの分野での突破
口を開くべく研究を進めてきた。その過程において、予
想もしなかった現象を見いだし、それを利用することに
より本発明に至ったものである。本発明の特定のオキシ
カルボン酸とは、その融点が170℃より低いオキシカ
ルボン酸、またはそれらの混合物、または融点が170
℃より低いオキシカルボン酸を1種類以上と融点が17
0℃以上のオキシカルボン酸との混合よりなる系であ
る。融点が170℃以下のオキシカルボン酸の具体例と
してはリンゴ酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることが出
来る。用いるオキシカルボン酸は少なくともその1種類
の融点が170℃以下であれば構わないのであるが、更
に融点の低い方が反応開始の温度をより低く出来てより
好ましいので、リンゴ酸、クエン酸の何れかが含まれる
のがより好ましい。リンゴ酸の場合は133℃以下でも
溶融するので非常に好ましい。マレアミド酸と他の化合
物の混合物を重合させること自体は、既にいくつかの試
みがなされている。US-4,590,260,特開昭61-218634,US
-4,696,981等では、マレアミド酸とリンゴ酸のアンモニ
ウム塩、アミド等との誘導体の混合物からコポリアミノ
酸を得る方法を提案している。
【0009】そこでは用途として化粧品ベース、特殊な
結着剤、皮膚の被覆剤等を意識しており、そのため基本
的にポリマー骨格全体がアミノ酸の結合した状態になっ
ていることが要求されるためかどうかは判らないが、あ
くまでもアミノ酸どうしの共重合体にこだわっている。
そしてそのためか否かは不明であるが、リンゴ酸そのも
のでなく、より高価なリンゴ酸のアンモニウム塩やアミ
ド等の誘導体を用い、マイクロ波を用いたり、反応初期
より190℃以上の高温等にする厳しい条件を採用して
いるにもかかわらず、収率が50%を超している例は非
常に少ない。また、それ自体が低融点である水溶性ポリ
マーとマレアミド酸の混合体をマレアミド酸の融点より
低い温度で加熱しても、重合体が得られるであろうこと
は容易に推定出来る。しかしながら、そのような方法に
おいては用いられた低融点のポリマーは、反応後は機能
を持たない希釈剤となるだけであり、有用な利用がされ
ているとは言い難い。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、上に述べたような方法
とは全く異なるものである。その理由を下記に述べる。 1)マレアミド酸単独の重合に比べて温和な条件で反応
を行うことが可能であり、高い収率で重合度の高いポリ
マーを容易に得られる。 2)オキシカルボン酸は、マレアミド酸より融点が低い
ことによっても反応条件の緩和に寄与するが、それ自体
も重合する。その到達重合度はオキシカルボン酸だけで
は不可能な水準である。 3)即ち、オキシカルボン酸はマレアミド酸と相互に適
当に影響を与えあいながら重合しており、それぞれのモ
ノマーが単独で重合した混合物ではない。これは、13
−NMR分析で確認されている。 4)得られるポリマーの特徴も単に脂肪族ポリエステル
の特性とポリアミノ酸の特性をたし合わせただけのもの
とは異なり、シリカ系スケールにも効果が高い。
【0011】マレアミド酸類とは、よく知られた無水マ
レイン酸とアンモニアの反応により得られるマレアミド
酸を対象とするが、その反応において生成する不純物で
あるマレイン酸のアンモニウム塩を多量に含んでいても
一向に構わない。オキシカルボン酸はマレアミド酸類に
対して 5/95(wt/wt )以上必要であるが、90/10以上
存在しても効果が発現できない。 5/95 より少ないと
マレアミド酸単独の場合とあまり変わらない挙動を示
し、重合の際に再固化の現象が起きたりして重合が厄介
であるし、得られるポリマ−の特性もマレアミド酸単独
の場合と変わらない。90/10より多く存在する場合に
は、オキシカルボン酸だけで重合する場合と同様重合が
あまり進まず、得られるポリマーの機能性も低い。最も
好ましい範囲は7.5 /92.5〜70/30である。原料組成が
この範囲内にある場合に得られるポリマーの特性の特徴
は、マレアミド酸単独、あるいはオキシカルボン酸単独
の重合体やそれらの混合体と異なり、シリカ系のスケー
ル抑制にも効果があり、カルシウム系スケールやマグネ
シウム系スケールの抑制に関してもシリカ分の影響を受
けにくいことである。従来のマレイン酸系、アクリル酸
系のスケ−ル防止剤も、シリカスケールの抑制には全く
効果が無いばかりか、カルシウム系スケールやマグネシ
ウム系スケールの抑制能がシリカ分の存在で低下するこ
とが判っているので、これは該ポリマーがスケール防止
剤として極めて優れていることを示すものと言える。こ
れらの混合物を溶融重合させる方法は全く通常の溶融重
合の装置を用いて可能であるが、高粘度対応型の表面更
新型装置が好ましい。即ち、普通の型式の回転攪拌型装
置ではヘリカル型、アンカー型、リボン翼型等の攪拌羽
根を用いるのが適当であるし、特殊な型式の重合器とし
ては単軸あるいは2軸の横型攪拌重合器等が考えられ
る。原料の供給方法もさまざま考えられるが、オキシカ
ルボン酸を溶融させておき、そこに徐々にマレアミド酸
を添加して行き、常に溶融状態を保つようにするのがよ
り好ましい。
【0012】反応雰囲気はチッソ等の不活性ガス雰囲気
下もしくは真空下が好ましいが、反応に伴い生成する水
を適当な速度で除去出来るならば特に制限は無い。反応
の追跡は発生水分量、粘度の変化等で可能である。反応
温度は反応初期は170℃以下、できれば155℃以下
が好ましいが一定程度反応が進んだ後はより高温下にし
ても一向に差し支えない。反応初期においては未反応の
マレアミド酸が分解を起こすことが有り得るが、中期以
降はその心配がなく温度が高い方が粘度、反応速度の面
で好ましいからである。
【0013】本発明で融点が170℃以下のオキシカル
ボン酸を少なくとも1種類を用いるのは、反応の初期よ
りマレアミド酸の融点より低い融点のオキシカルボン酸
を溶融状態にしマレアミド酸の分解を抑制し適当な速度
で重合反応を進行させ得るようにするためである。この
ようにして得られたポリマーはそのままでは水に不溶で
あるが、アルカリ水によって加水分解を受け、ポリマー
は水溶性となる。加水分解は、例えばNaOH水溶液を
用いて攪拌しながら加温下で行われる。その水溶液はそ
のままでもスケール防止剤として使用可能である。ま
た、そのままでは塩の形になっているがなんらかの方法
で酸バックしてカルボキシル基型にしての使用もまた可
能である。次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。
【0014】
【実施例】
[製造例−1]撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガ
ス導入管を付けた5L反応容器に、リンゴ酸400g
r、マレアミド酸2,800grを仕込み、窒素雰囲気
下にして温度135℃で3時間反応させた。反応開始か
ら停止時までに水が約450gr留出し、粘度の高い反
応生成物が約2,700gr得られた。この反応生成物
400grを全量1,000grでpH8.6〜8.8
となるようNa OH水溶液に溶かし、60〜80℃に加
熱し加水分解させた。GPC分析では加水分解溶液中の
有機化合物には重量平均分子量1,000以下の低分子
量体は存在せず、Mw=4,000であった。なお、重
量平均分子量はポリエチレングリコ−ル換算である。ま
た、日本電子(株)製、JEOL EX−270型のN
MRで分析したデータは、以下の通りである。13 C−NMR(270MHz,D2 O) δppm:3
7.0〜45.1,52.8〜56.9, 71.8〜72.5, 133.1 〜140.0,
172.8〜184.0
【0015】[製造例−2]リンゴ酸100gr、マレ
アミド酸700grをベンチニーダーに仕込み、窒素雰
囲気下で135℃に加熱した。すぐに溶解したが、1.
5時間かけ150℃まで温度を上昇させ、そこで反応を
停止した。 水留出は115grで約680grの高粘
度生成物が得られた。 製造例−1と同様にして得た加
水分解溶液中のポリマーはMw=5,500であり、N
MRデータは以下の通りであった。13 C−NMR(270MHz,D2 O) δppm:4
0.1〜45.5, 54.0〜56.9, 72.0〜73.0, 133.0 〜140.5,
174.1〜183.9
【0016】[製造例−3]リンゴ酸400gr、マレ
アミド酸400grで製造例−2と同様のことを行い、
Mw=3,300のポリマ−水溶液を得た。NMRデー
タは以下の通りであった。13 C−NMR(270MHz,D2 O) δppm:4
0.0〜45.0, 54.6〜57.1, 71.8〜72.9, 133.1 〜 140.9,
174.6 〜183.5
【0017】[製造例−4]リンゴ酸に替えクエン酸を
用いて温度を155℃とし、他は製造例−1と同様のこ
とを行い、Mw=4,200のポリマー水溶液を得た。
NMRデータは以下の通りであった。13 C−NMR(270MHz,D2 O) δppm:3
3.9〜47.8, 52.6〜56.7, 71.8〜72.3, 133.1 〜140.0,
173.7〜184.5
【0018】[製造例−5]リンゴ酸に替え酒石酸を用
いて温度を170℃とし、他は製造例−1と同様のこと
を行い、Mw=4,000のポリマ−水溶液を得た。
【0019】[製造例−6]リンゴ酸400gr、クエ
ン酸300gr、マレアミド酸200grで用いて製造
例−2と同様のことを行い、Mw=2,900のポリマ
ー水溶液を得た。
【0020】〔実施例−1〕製造例−1〜6で得られた
ポリマー水溶液について、冷却水系を想定しての、高濃
度運転時の冷却水に相当する合成水を用いるスケール付
着防止試験を行った。 試験液 試薬の塩化カルシウム(CaCl2 ・2H2 O)、硫酸
マグネシウム(Mg SO4 ・7H2 O)、メタケイ酸ナ
トリウム(Na2Si O3 ・9H2 O)を用いカルシウム
硬度280ppm、マグネシウム硬度280ppm、M
アルカリ度600ppm、シリカ350ppmとなるよ
うに調節した。 スケ−ル付着防止試験 ポリマー濃度が10ppmとなるように添加した試験液
の3Lをビーカーに入れ、マグネチックスターラーで攪
拌した。試験液中に300w銅製パイプヒーター(伝熱
面積14.4cm2 )を浸漬し、ヒーター表面にスケー
ルを析出させた。ビーカー内の温度は35℃となるよう
に冷却水を通して試験液を循環した。試験液は、液の濁
りを防ぐために、1L/hrの割合で供給、ブローを行
い、一回の試験時間を5時間とした。付着したスケール
はヒーターを5%塩酸中に浸漬して、溶解分を分析して
カルシウムスケール分とし、不溶解分はかき落として秤
量しシリカスケール分として、100cm2 当りの付着
量に換算し、スケール付着防止率を求めた。 X=ポリマー無添加時の付着量(g/100cm2 ) Y=ポリマー添加時の付着量上に述べた方法によるスケ
ール付着防止試験の結果は、製造例−1〜6のポリマ−
においては表−1のようであり、カルシウムスケールに
関してもシリカスケ−ルに関しても高い防止率を示し
た。
【0021】
【表1】 表−1 本発明のポリマーのスケール付着防止試験結果 カルシウムスケール シリカスケール 添加ポリマー 付着量 防止率 付着量 防止率 (g/100cm2) (%) (g/100cm2) (%) 無 4.68 0 0.75 0 製造例−1 0.62 87 0.04 95 −2 0.52 89 0.02 97 −3 0.65 86 0.03 96 −4 0.72 85 0.02 97 −5 0.76 84 0.03 96 −6 0.79 83 0.01 99 ───────────────────────────────────
【0022】〔実施例−2〕茨城県内の3ケ所より採取
の汚泥を用いて、MITI法で、製造例−1〜6のポリ
マーの生分解性を評価した。28日間での分解率は表−
2のようであり、どのポリマーも非常に高い分解率であ
った。
【0023】
【表2】 表−2 本発明のポリマーの生分解性試験結果 ポリマー 製造例−1 2 3 4 5 6 ──────────────────────────────── 生分解率(%) 85 82 87 84 83 90 ────────────────────────────────
【0024】〔比較例−1〕実施例−1に準じてマレイ
ン酸系ポリマー(商品名 ベルクレン200)、アクリ
ル酸系ポリマー(商品名 アクアリックDL−40)の
従来のスケール防止剤のスケール付着防止試験を行っ
た。結果は表−3のようであり、両スケール防止剤とも
にカルシウムスケールに対してはかなりの効果を示した
が、シリカスケールの付着抑制の効果は小さかった。
【0025】
【表3】 表−3 従来のスケール防止剤のスケール付着防止試験結果 カルシウムスケール シリカスケール スケール防止剤 付着量 防止率 付着量 防止率 (g/100cm2) (%) (g/100cm2) (%) ─────────────────────────────────── 無 4.68 0 0.75 0 マレイン酸系 1.95 58 0.48 36 アクリル酸系 2.13 55 0.54 28 ───────────────────────────────────
【0026】〔比較例−2〕実施例−2に準じて、比較
例−1に用いたスケール防止剤の生分解性を調べたとこ
ろ、マレイン酸系スケール防止剤の分解率〜2%、アク
リル酸スケール防止剤の分解率〜1%と極めて低い分解
率であった。
【0027】〔比較例−3〕リンゴ酸のみ800grで
製造例−2と同様の反応を試みたが、得られたポリマー
はMw=1,200程度の重合度の低いものであった。
また、実施例−1に準じたスケール付着防止試験におい
ても、ポリマー無添加の場合と変わらない結果であり、
スケール付着抑制能は観察されなかった。
【0028】〔比較例−4〕リンゴ酸800gr、マレ
アミド酸70grを用いて製造例−2と同様の試みを行
った場合も、結果は比較例−3と同様であった。
【0029】〔比較例−5〕マレアミド酸のみ3、20
0grで製造例−1と同様の反応を試みた.最初しばら
くは粉体の状態で攪拌していたのが、途中より一部溶融
状態に変化し、ついで再び固化する現象が起きた。固化
した時には攪拌不能になった。
【0030】〔比較例−6〕マレアミド酸のみ800g
rをベンチニーダーに仕込み、窒素雰囲気下で135℃
に加熱した。 時間の経過とともに粉体--->半溶融状態
--->溶融状態と変化を示したが、溶融状態になった後1
50℃に昇温した。昇温後約1時間で再び固化する現象
が見られ、攪拌が困難となったため反応を停止した.
生成物を製造例−1と同様に加水分解してGPCで調べ
ると、Mw=4、500まで重合は進行していることが
判った。そこでこのポリマーのスケール付着防止能を実
施例−1に準じて調べた。結果は、カルシウム付着量=
1.20gr/100cm2 、同防止率=74%であっ
たが、シリカスケールに関しては付着量=0.40gr
/100cm2 、防止率=47%で好ましくなかった。
【0031】〔比較例−7〕比較例−3で得られたポリ
マーと比較例−6で得られたポリマーを、重量比で1:
7の割合で混合し、製造例−1と同様に加水分解して、
スケール付着防止能を実施例−1に準じて調べた。結果
は、カルシウム付着量=1.30gr/100cm2
同防止率=72%であったが、シリカスケールに関して
は付着量=0.50gr/100cm2 、防止率=33
%で好ましくなかった。
【0032】
【発明の効果】本発明に従えば、安価な原料、簡単なプ
ロセスでスケール抑制力、生分解性に優れた水溶性ポリ
マーが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梶原 庄一郎 神奈川県足柄上郡山北町岸950番地 三菱 瓦斯化学株式会社山北工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が170℃以下のオキシカルボン酸
    とマレアミド酸の混合物、または融点が170℃以下の
    オキシカルボン酸が少なくとも1種類は含まれるオキシ
    カルボン酸の複数種とマレアミド酸の混合物を、少なく
    とも反応開始時点においては170℃以下の温度で溶融
    させ重合体を得た後に、その重合体を加水分解して得ら
    れる水溶性ポリマー。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の水溶性ポリマーを冷却
    水系、海水淡水化プロセス、カン水の脱塩化プロセス等
    に使用するスケール防止方法。
  3. 【請求項3】 融点が170℃以下のオキシカルボン酸
    がリンゴ酸、クエン酸または酒石酸である請求項1に記
    載の水溶性ポリマー。
  4. 【請求項4】 オキシカルボン酸/マレアミド酸の比が
    5/95(wt/wt )以上90/10未満である請求項1に記載
    の水溶性ポリマー。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の水溶性ポリマーの製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007253073A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Kurita Water Ind Ltd 水処理装置及び水処理方法

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