JPH09142390A - 船舶用自動操舵装置 - Google Patents

船舶用自動操舵装置

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JPH09142390A
JPH09142390A JP7307747A JP30774795A JPH09142390A JP H09142390 A JPH09142390 A JP H09142390A JP 7307747 A JP7307747 A JP 7307747A JP 30774795 A JP30774795 A JP 30774795A JP H09142390 A JPH09142390 A JP H09142390A
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JP
Japan
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mode
automatic steering
reference course
ship
time
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Application number
JP7307747A
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English (en)
Inventor
Fuyuki Hane
冬希 羽根
Toshio Miyayama
俊雄 宮山
Naoki Iwabuchi
直希 岩渕
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Tokimec Inc
Original Assignee
Tokimec Inc
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Publication date
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  • Control Of Position, Course, Altitude, Or Attitude Of Moving Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 変針時の船舶の角加速度及び角速度の値を取
り込み且つ操舵機の性能及び船舶の特性を考慮し、旋回
半径一定の最適な変針軌道計画を可能にすることを目的
とする。 【解決手段】 参照針路に対する船首方位の偏差に基づ
いて命令舵角を出力する自動操舵装置と該自動操舵装置
に対して船首方位をフィードバックする制御ループとを
有する船舶用自動操舵装置において、自動操舵装置は、
軌道計画に基づいた最適参照針路を演算する軌道演算部
と制御ループを安定化させるために閉ループ制御を提供
するフィードバック制御器と制御ループの変針特性を高
めるために開ループ制御を提供するフィードフォワード
制御器と有する。軌道演算部は加速モードと等旋回半径
モードと減速モードとを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は船舶用自動操舵装置
のオートパイロットに関し、より詳細には斯かるオート
パイロットの変針時の性能向上に関する。
【0002】
【従来の技術】図7に従来の船舶用自動操舵装置の制御
系のブロック図を示す。斯かる制御系を以下に単に自動
操舵系と称する。自動操舵系は自動操舵装置即ちオート
パイロット120と操舵機16と加算器13と船体14
−1と船首方位検出器14−2とを含む。
【0003】自動操舵装置即ちオートパイロット120
は設定針路φC 、船首方位φ、船速V、旋回半径設定値
S 及びモード制御信号SGを入力し、命令舵角UC
出力する。操舵機16は命令舵角UC を入力して舵角U
を出力する。
【0004】操舵機16は舵角Uを命令舵角UC に迅速
に追従させるためのサーボ機構を有し、1次遅れ要素に
相当する。船体14−1には風、波浪等の外乱dが作用
する。加算器13は操舵機16の出力信号である舵角U
に角度換算した外乱dを加算する。
【0005】船体14−1は船舶の方位軸周りに回転す
る運動系であると見なすことができる。従って船舶の旋
回角速度は船首方位φの角速度(1階微分)dφ/dt
として表される。船体14−1は加算器13の出力信号
U+dを入力して旋回角速度dφ/dtを出力する。
【0006】船首方位検出器14−2は旋回角速度dφ
/dtより船首方位φを演算する。船首方位検出器14
−2はジャイロコンパス、磁気コンパス等を含むもので
あってよい。斯かる船首方位φはオートパイロット12
0にフィードバックされ、同時に自動操舵系の出力信号
φとして出力される。
【0007】自動操舵装置即ちオートパイロット120
は、一般に変針モードと保針モードとを有し、変針モー
ドは更に2つのモードを含む。ここでは保針モードをモ
ードK、2つの変針モードをそれぞれモードC1及びC
2と称する。これらは次のような内容を有する。
【0008】(A)変針モード:前の設定針路φC と異
なる設定針路φC が入力される変針時に対応する。 (1)モードC1:船首方位φを設定針路φC に一致さ
せるように機能する。 (2)モードC2:旋回角速度dφ/dtを旋回角速度
の設定値ωS に一致させるように機能する。旋回半径一
定の変針モードである。
【0009】(B)保針モード:モードK 前の設定針路φC を保持し続ける保針時に対応する。
【0010】図8を参照して自動操舵装置即ちオートパ
イロット120の構成と動作を説明する。オートパイロ
ット120はモード制御部120−1と線形要素120
−2と非線形要素120−3と微分器120−4と係数
器120−5と第1及び第2の加算器120−6及び1
20−7とを有し、設定針路又は設定方位φC 、船首方
位φ、船速V、旋回半径設定値RS 及びモード制御信号
SGを入力する。
【0011】第1の加算器120−6は設定針路φC
船首方位φの間の偏差ERR1=φ C −φを演算する。
微分器120−4は船首方位φを入力して旋回角速度d
φ/dtを演算する。係数器120−5は次式によって
旋回角速度の設定値ωS を演算する。
【0012】
【数1】ωS =V/RS
【0013】ここに、Vは船速、RS は旋回半径設定値
である。
【0014】第2の加算器120−7は旋回角速度の設
定値ωS と旋回角速度dφ/dtの間の偏差ERR2=
ωS −dφ/dtを演算する。
【0015】モード制御部120−1はモード制御信号
SGを入力し、モードC1かモードC2かモードKかを
判定し、モードK及びモードC1の場合には第1の加算
器120−6の出力である第1の偏差ERR1を出力
し、モードC2の場合には第2の加算器120−7の出
力である第2の偏差ERR2を出力する。
【0016】線形要素120−2は、比例+積分+微分
(PID)動作の機能、及びフィルタの機能を有する。
非線形要素120−3は天候調整機構を有する。
【0017】比例(P)動作及び微分(D)動作は、自
動操舵中に船体の安定を保持するように機能し、通常の
自動操舵系の周波数帯にて作動する。積分(I)動作は
外乱dが船体14−1に作用したとき船体14−1に生
じる船首方位φの偏差ERR1、ERR2を定常的にゼ
ロにするように機能し、通常の運行で使用する低周波数
域にて作動する。フィルタ機能は高周波域の外乱dを除
去するように作動する。
【0018】天候調整機構は、外乱dに起因して操舵機
16に不要な操作量が生ずることを防止するように作動
する。こうして、偏差信号ERR1、ERR2は線形要
素120−2と非線形要素120−3の各動作によって
処理され、命令舵角UC が生成され、斯かる命令舵角U
C はオートパイロット120の出力信号として出力され
る。
【0019】線形要素120−2の比例、微分、積分及
びフィルタの各ゲイン及び定数と非線形要素120−3
の天候調整機構の設定は、モードC1 、モードC2及
びモードKに対応した自動操舵系の性能により定められ
る。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】従来のオートパイロッ
ト120は、変針モードにおいて、操船時に最適な変針
軌道計画ができない欠点があった。変針軌道計画は、変
針モードにおいて、旋回角速度dφ/dtを所望の値に
設定するとき、操舵機16の性能(最大操舵角、追従角
速度等)を考慮しなければならないとき、又は変針時間
を予想するとき、等に必要となる。
【0021】従来の自動操舵系では、ステップ入力の旋
回角速度設定値ωS に旋回角速度dφ/dtを追従させ
ることだけが考慮されていたから、変針軌道計画の要求
に対応することができなかった。例えば、変針モードに
おいて、旋回角速度dφ/dt、命令舵角UC 、命令舵
角の微分値dUC /dt等がどのような値となるかを見
積もることができなかった。従って、変針軌道計画が事
前にできなかった。
【0022】また、通常、命令舵角UC を制限するリミ
ッタが設けられているため、非線形的要素が付加され、
命令舵角UC が大きい場合にはリミッタの影響が加わ
り、変針軌道の予想が益々困難となった。
【0023】更に、操舵機16の性能(許容舵角、追従
角速度)及び船体14−1の特性(船体の等価時定数
等)を適切に考慮することができなかったため、変針特
性の設定時と実際時とのずれが問題となった。これは省
エネルギ化や長寿命化の観点からも問題である。
【0024】更に、従来のオートパイロット120で
は、旋回半径一定の変針モードであるモードC2におい
て次のような課題を有する。モードC2では、上述のよ
うに、旋回角速度dφ/dtを旋回角速度の設定値ωS
に一致させるように機能し、フィードバック信号として
旋回角速度dφ/dtを使用する。
【0025】旋回角速度dφ/dtは微分器120−4
にて船首方位φを微分演算することによって得られる。
しかしながら、実際には微分器120−4にて旋回角速
度dφ/dtを生成するためには微分演算した後にノイ
ズ低減用のローパスフィルタを通過させるか又は推定器
(カルマンフィルタ又はオブザーバ)等の方法を必要と
する。
【0026】更にフィードバック信号にはなるべく時間
遅れが小さいことが望ましいが微分器120−5にて不
可避的に遅れが生成される。
【0027】本発明は斯かる点に鑑み、変針モードにお
いて、操船時の最適な変針軌道計画ができる自動操舵装
置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明によると、例えば
図1に示すように、参照針路に対する船首方位の偏差に
基づいて命令舵角を出力する自動操舵装置と該自動操舵
装置に対して船首方位をフィードバックする制御ループ
とを有する船舶用自動操舵装置において、上記自動操舵
装置は、軌道計画に基づいた参照針路を演算する軌道演
算部と上記制御ループを安定化させるために閉ループ制
御を提供するフィードバック制御器と上記制御ループの
変針特性を高めるために開ループ制御を提供するフィー
ドフォワード制御器と有することを特徴とする。
【0029】本発明によると、フィードバック制御器1
2−3によって閉ループ系が提供され、斯かる閉ループ
系によって自動操舵系の制御ループの安定化が確保され
る。この閉ループ系は参照針路に対する船首方位の偏差
がゼロとなるように作動する。
【0030】本発明によると、フィードフォワード制御
器12−2によって開ループ系が提供され、開ループ系
によって自動操舵系の制御ループの変針特性が高められ
る。この開ループ系は船首方位が直ちに参照針路に一致
するように作動する。
【0031】本発明によると、軌道演算部12−1にお
いて、時間管理された参照針路が演算される。斯かる参
照針路は時間を変数とし且つ次の条件を満たす。
【0032】(1)加速モード、等旋回半径モード、減
速モードの各モード毎に時間管理された関数である。 (2)加速モードにおいて、参照針路の初期値として船
舶の旋回角速度及び角加速度が取り込まれる。 (3)加速モードと減速モードにおいて、時間に関する
2階微分は時間に関する2次関数となる。
【0033】(4)参照針路はモード切り換え時におい
て、時間に関して滑らかである、即ち連続的且つ2階微
分可能である。 (5)等旋回半径モードにおいて、参照針路の微分値は
船速と旋回半径設定値によって設定される。
【0034】本発明によると、船舶用自動操舵装置にお
いて、上記フィードバック制御器は上記参照針路に対す
る船首方位の偏差を入力してフィードバック舵角を出力
し、上記フィードフォワード制御器は上記参照針路を入
力してフィードフォワード舵角を出力し、上記自動操舵
装置は上記フィードバック舵角とフィードフォワード舵
角の和によって上記命令舵角を演算しそれを出力信号と
して出力するように構成されていることを特徴とする。
【0035】本発明によると、船舶用自動操舵装置にお
いて、上記自動操舵装置より出力された命令舵角と角度
換算した外乱を入力して舵角を演算する加算器を有し、
該加算器より出力された舵角を制御対象に入力するよう
に構成されていることを特徴とする。
【0036】本発明によると、船舶用自動操舵装置にお
いて、上記フィードフォワード制御器の伝達特性は、上
記制御対象に入力される舵角から上記船首方位までの伝
達特性と逆特性を有することを特徴とする。フィードフ
ォワード舵角の最大値はフィードフォワード舵角の1階
微分がゼロとなる時点で生じ、フィードフォワード舵角
の角速度の最大値は加速モードの始点時点又は終了時点
で生ずる。
【0037】本発明によると、船舶用自動操舵装置にお
いて、上記参照針路は、上記フィードフォワード舵角及
びその角速度の各々の最大値を取り込むことを特徴とす
る。
【0038】尚、本発明に関して、以下の文献が参考に
なろう。詳細は斯かる文献を参照されたい。 (1)“二次安定化トラッキング制御とその高速位置決
め装置への応用”山本他、計測自動制御学会論文集、v
ol.29、No.1、55/62(1993年)
【0039】
【発明の実施の形態】以下に図1〜図6を参照して本発
明の実施例について説明する。図1は本発明による船舶
用自動操舵装置の制御系即ち自動操舵系のブロック図を
示す。斯かる自動操舵系は自動操舵装置即ちオートパイ
ロット12と加算器13と制御対象14とを含む。制御
対象14は図7に示した船体14−1と船首方位検出器
14−2を一体化したものである。尚、操舵機16を省
略したのは、制御対象14にその性能を含ませたからで
ある。
【0040】オートパイロット12に入力信号として設
定針路φC 、設定値SV、船首方向の速度、即ち、船速
V及び船首方位φとが入力され、出力信号として命令舵
角U C が出力される。尚、設定値SVについては後に説
明する。
【0041】オートパイロット12より出力された命令
舵角UC は加算器13に供給される。加算器13は命令
舵角UC と角度換算の外乱dとを加算し、その結果U=
C+dを制御対象14に出力する。制御対象14の出
力は船首方位φとして出力され、且つオートパイロット
12にフィードバックされる。
【0042】次に本例の自動操舵装置即ちオートパイロ
ット12の構成及び動作を説明する。本例のオートパイ
ロット12は、軌道演算部12−1とフィードフォワー
ド制御器12−2とフィードバック制御器12−3と第
1及び第2の加算器12−4、12−5とを有する。
【0043】軌道演算部12−1は設定針路φC 、設定
値SV、船速V及び船首方位φを用いて最適な変針特性
を有する参照針路rを演算し、それを出力する。第1の
加算器12−4は軌道演算部12−1から出力された参
照針路rと制御対象14から出力された船首方位φとを
入力して、船首方位の偏差ERRを求める。斯かる偏差
ERRは次の式によって表され、フィードバック制御器
12−3に供給される。
【0044】
【数2】ERR=r−φ
【0045】フィードバック制御器12−3は斯かる偏
差ERRを入力してフィードバック舵角UFBを演算し、
それを第2の加算器12−5に供給する。フィードフォ
ワード制御器12−2は参照針路rを入力してフィード
フォワード舵角UFFを演算し、それを第2の加算器12
−5に供給する。第2の加算器12−5はフィードバッ
ク舵角UFBとフィードフォワード舵角UFFとを加算して
命令舵角UC を求める。斯かる命令舵角UC はオートパ
イロット12の出力信号として加算器13に供給され
る。
【0046】フィードバック制御器12−3は、自動操
舵系において閉ループ系を構成し、この閉ループ系は参
照針路rに対する船首方位φの偏差ERRをゼロにする
ように作動する。従って、フィードバック制御器12−
3は自動操舵系の制御ループの安定性を確保するように
機能する。
【0047】一方、フィードフォワード制御器12−2
は、自動操舵系において開ループ系を構成し、この開ル
ープ系は船首方位φを直ちに参照針路rに一致させるよ
うに作動する。従って、フィードフォワード制御器12
−2は自動操舵系の制御ループの変針特性の向上に寄与
するように機能する。
【0048】即ち、フィードフォワード制御器12−2
は、変針時の操船要求と船体特性を満足する参照針路r
を使用して、最適な変針軌道を有する船首方位φを実現
するように作用する。もし、船舶の積荷状態等の影響に
よって、フィードフォワード制御器12−2の作動だけ
では船首方位φが参照針路rに一致しない場合でも、フ
ィードバック制御器12−3の作動によって最終的には
船首方位φは参照針路rに一致する。
【0049】次に、本例のオートパイロット12を含む
自動操舵系の制御ループにおけるフィードフォワード制
御器12−2及びフィードバック制御器12−3の機能
をより詳細に説明する。
【0050】参照針路r及び外乱dから船首方位φまで
の伝達関数は次の式のように表される。次の式の第1項
は変針又は応答特性を表し、第2項は外乱特性を表す。
【0051】
【数3】 φ(s)=Gr (s)r(s)+Gd (s)d(s)
【0052】ここで、sはラプラス演算子である。Gr
(s)は参照針路rから船首方位φまでの伝達関数であ
り、Gd (s)は外乱dから船首方位φまでの伝達関数
であり、それぞれ次のように表される。
【0053】
【数4】Gr (s)=〔P(s)KFF(s)+P(s)
FB(s)〕/〔1+P(s)KFB(s)〕
【0054】
【数5】 Gd (s)=P(s)/〔1+P(s)KFB(s)〕
【0055】KFF(s)、KFB(s)はそれぞれフィー
ドフォワード制御器12−2及びフィードバック制御器
12−3の伝達関数である。P(s)は制御対象14の
伝達関数であり、次のように表される。
【0056】
【数6】P(s)=KS /〔(TS s+1)s〕
【0057】ここで、KS 、TS は船体14−1の操縦
性指数又はパラメータであり、それぞれ旋回力指数及び
追従安定性指数と称される。分母の因数sは船首方位検
出器14−2の積分特性による。
【0058】追従安定性指数TS 及び旋回力指数KS
極性は互いに同一であり、安定船では正、不安定船では
負である。尚、追従安定性指数TS 及び旋回力指数KS
は予め与えられているものとする。
【0059】上述のように、数3の式の右辺の第1項は
変針特性又は応答性を表し、第2項は外乱特性を表す。
第1項及び第2項にフィードバック制御器12−3の伝
達関数KFB(s)が含まれている。従って、フィードバ
ック制御器12−3は変針特性と外乱特性の両者に作用
する。これは、フィードバック制御器12−3によっ
て、自動操舵系における閉ループ系が構成されることに
よる。
【0060】従って、フィードバック制御器12−3
は、変針特性と外乱特性の両者を考慮して設計される。
フィードバック制御器12−3の設計は、例えば、従来
のオートパイロットの設計とほぼ同様な方法によってな
されてよい。
【0061】一方、フィードフォワード制御器12−2
の伝達関数KFF(s)は数3の式の第2項のみに含まれ
ている。従って、フィードフォワード制御器12−2は
変針特性のみに作用する。また、この伝達関数K
FF(s)は数4の式の分子に含まれているから、自動操
舵系の閉ループ系の安定性に寄与しない。即ち、フィー
ドフォワード制御器12−2は開ループ制御のみを行う
ものである。
【0062】次に図2及び図3を参照して本例によるフ
ィードフォワード制御器12−2及びフィードバック制
御器12−3の構成例を説明する。本例では、フィード
フォワード制御器12−2の伝達関数KFF(s)を次の
ように設定する。
【0063】
【数7】KFF(s)≡P(s)-1
【0064】ここで、添字(−1)は逆数を表す。数7
の式を数4の式に代入すると次のようになる。
【0065】
【数8】 Gr (s)=〔1+P(s)KFB(s)〕/〔1+P(s)KFB(s)〕 =1
【0066】この場合、フィードバック制御器12−3
に起因する閉ループ系の遅れはフィードフォワード制御
器12−2の補償効果によって打ち消され、参照針路r
が直接的に船首方位φとなる。従って、参照針路rが与
えられるとほぼ同時に船首方位φは参照針路rに等しく
(φ=r)なる。
【0067】更に、参照針路rとフィードフォワード舵
角UFFの関係を数7の式より求めると次のようになる。
【0068】
【数9】 UFF(s)=P(s)-1r(s) =(TS 2 +s)r(s)/KS
【0069】図2はフィードフォワード制御器12−2
の構成例を示すブロック図である。sはラプラス演算子
である。フィードフォワード制御器12−2は、例え
ば、2つの微分動作部12−2A、12−2Bと比例ゲ
インTS を有する比例動作部12−2Cと加算器12−
2Dと比例ゲイン1/KS を有する比例動作部12−E
とを有するように構成してよい。数9の式を時間領域に
よって表すと次のようになる。
【0070】
【数10】 UFF(t)=〔TS ・r”(t)+r’(t)〕/KS
【0071】ここで、tは時間を表し、r’(t)、
r”(t)は、それぞれ参照針路rの時間に関する1階
微分、2階微分を表す。この式より明らかなように、フ
ィードフォワード制御器12−2は少なくとも2階微分
可能な参照針路r(t)を入力して、数10の式の演算
を行い、得られたフィードフォワード舵角UFF(t)を
出力する。
【0072】次に図3を参照してフィードバック制御器
12−3の構成例を説明する。本例によると、フィード
バック制御器12−3の伝達関数KFB(s)を、例えば
次のように設定する。
【0073】
【数11】KFB(s)=KP +TD s/(TF s+1)
2 +1/(TI s)
【0074】ここに、KP は比例ゲイン、TD は微分時
定数、TF はフィルタ時定数、TIは積分時定数であ
る。
【0075】フィードバック制御器12−3は図示のよ
うに、比例ゲインKP を有する比例動作部12−3A、
微分時定数TD を有する微分動作部12−3B、積分時
定数TI を有する積分動作部12−3C、フィルタ時定
数TF を有する2段のローパスフィルタ12−3D及び
加算器12−3Eを有するように構成してよい。
【0076】但し、変針時では、応答性を良くするため
に、積分動作部12−3Cは保針時の値を保持した状態
にて維持され、比例動作部12−3A、微分動作部12
−3B及びフィルタ12−3Dのみが作動する。変針後
には、積分動作部12−3Cは偏差ERRが静定した状
態より作動開始される。
【0077】次に、図4〜図6を参照して軌道演算部1
2−1について説明する。図4は軌道演算部12−1の
構成例を示す。図示のように、本例の軌道演算部12−
1は、軌道計画部12−1Aと針路演算部12−1Bと
含み、上述のように設定針路φC 、船速V、設定値SV
及び船首方位φ(既にオートパイロット12に入力され
ているため図示していない。)を入力して参照針路rを
出力する。
【0078】設定値SVは、次のような値を含む。 (1)旋回半径の設定値:RS (2)フィードフォワード舵角UFFの設定値:UR (3)フィードフォワード舵角の角速度UFF’の設定
値:ωR
【0079】船首方位の角速度、即ち、旋回角速度の設
定値ωS は数1の式によって表されるように、旋回半径
の設定値RS と船速Vによって求められる。
【0080】フィードフォワード舵角UFFの設定値UR
及びフィードフォワード舵角の角速度UFF’の設定値ω
R は、操舵機16の性能を考慮して、フィードフォワー
ド舵角UFFの最大値及びフィードフォワード舵角の角速
度UFF’の最大値を使用してそれぞれ設定される。
【0081】こうして、変針時において、旋回角速度の
設定値ωS によって操船要求が満たされ且つ設定値
R 、ωR によって操舵機16の追従可能領域にて使用
することができる最適な参照針路rの実現が可能にな
る。
【0082】船首方位φは変針開始時の旋回角速度と旋
回角加速度の各値を作るために用いる。即ち、次のよう
に表される。
【0083】
【数12】φ’(tC )=dφ/dt|t =t Cφ”
(tC )=d2 φ/dt2 |t =t C
【0084】ここで、tC は変針開始時点である。これ
らの値は、例えば変針中に新たに別の変針を実施する場
合、外乱によって船が動揺している場合の変針等で必要
となる。旋回角加速度値φ”(tC )及び旋回角速度値
φ’(tC )は、軌道演算部12−1の初期値として取
り込まれる。
【0085】軌道計画部12−1Aは、設定針路φC
船速V、設定値SV、旋回角加速度値φ”(tC )及び
旋回角速度値φ’(tC )を用いて、加速、等旋回半径
及び減速の3モードにより構成された参照針路rを演算
するように構成されている。軌道計画部12−1Aは更
に、フィードフォワード舵角UFFの最大値及びその角速
度dUFF/dtの最大値が、それぞれフィードフォワー
ド舵角の設定値UR 及びその角速度の設定値ωR 以下と
なるように制限する。
【0086】針路演算部12−1Bは、軌道計画部12
−1Aによって演算された又は設定された定数、即ち、
各モード時間Ta 、Tv 、Td 、加速及び減速定数
βa 、β d 、旋回角速度の設定値ωS 、初期値C1a、C
2a、C3v、C2d、C3dを用いて、時々刻々の参照針路r
を演算し出力する。これらの定数については以下に説明
する。
【0087】先ず参照針路rと設定針路φC の関係を説
明する。参照針路rの変化量即ち変針量Δrは次のよう
に設定針路φC の変化量として表される。
【0088】
【数13】Δr=φC −φC0
【0089】ここで、添字0は前回の値を表す。尚、説
明を簡単化するために、以下に、前回の設定針路φC0
0、変針開始時点tをt=0とするが、それによって、
任意時点を開始時点とする場合に対する説明の一般化が
損なわれることはない。
【0090】軌道計画部12−1Aの動作について詳細
に説明する。先ず基本となる参照針路r、フィードフォ
ワード舵角UFF及びその角速度dUFF/dt=UFF’に
ついて説明する。
【0091】本例によると、参照針路rは、次のような
条件を有するように構成される。 (1)加速モード、等旋回半径モード及び減速モードの
3モードより構成され、各モード毎に時間管理される。
参照針路r(t)は、各モード毎に時間tを変数とする
関数となる。 (2)加速モードと減速モードでは、参照針路r(t)
の時間tに関する2階微分は2次関数となる。
【0092】(3)等旋回半径モードでは、参照針路r
(t)の時間tに関する1階微分は船速Vと旋回半径設
定値RS により設定される。 (4)加速モードでは、参照針路r(t)は船舶の旋回
角加速度d2 φ/dt 2 =φ”及び旋回角速度dφ/d
t=φ’の値を初期値として取り込む。
【0093】このような条件を満たす参照針路r(t)
の例について説明する。船首方位φの初期値φ0 は直接
的には用いられない。何故なら、オートパイロット12
への変針命令量は現在の船首方位φに対する変化量Δφ
として与えられるからである。
【0094】(1)加速モード:〔0≦t≦Ta 〕 通常、変針開始時において、船舶は旋回角加速度φ”及
び旋回角速度φ’の値を有する。従って加速モードでは
それらの値を初期値として取り込む。加速モードの目的
は、モード終了時(t=Ta )に参照針路の角速度r’
を旋回角速度の設定値ωS に一致させ、船舶の初期運動
量を減衰させることである。加速モードにおける参照針
路ra (t)は次のように表される。
【0095】
【数14】 ra ”(t)=αa /Ta 2 2 +βa /Ta t+C1aa ’(t)=αa /(3Ta 2 )t3 +βa /(2T
a )t2 +C1at+C2aa (t)=αa /(12Ta 2 )t4 +βa /(6T
a )t3+C1a/2t2 +C2a
【0096】ここで、ra は加速モードにおける参照針
路、ra ’はその時間に関する1階微分、ra ”はその
時間に関する2階微分である。tは時間、Ta は加速時
間、βa は加速定数である。C1a、C2aはそれぞれ加速
モードにおける参照針路の角加速度r”の初期値及び参
照針路の角速度r’の初期値である。定数αa を求める
ために加速モードの終了時点(t=Ta )において参照
針路ra (t)の2階微分値ra ”(t)がゼロとなる
ことを利用する。
【0097】
【数15】ra ”(Ta )=αa +βa +C1a=0
【0098】これより、定数αa が求められる。
【0099】
【数16】αa =−βa −C1a
【0100】C1a、C2aは上述のように、それぞれ参照
針路の角加速度r”及び角速度r’の初期値であるが、
ここでは船舶の旋回角加速度φ”及び旋回角速度φ’の
初期値を用いる。従って次のように表される。
【0101】
【数17】C1a=φ”(0) C2a=φ’(0)
【0102】ここで、φは船首方位、φ’及びφ”はそ
の時間に関する1階微分及び2階微分である。
【0103】(2)等旋回半径モード:〔Ta ≦t≦
(Ta +TV )〕 等旋回半径モードでは、参照針路の角速度r’は旋回角
速度の設定値ωS に等しく又角加速度r”はゼロであ
る。従って参照針路r v(t)は次のように表される。
【0104】
【数18】rv ”(t)=0 rv ’(t)=ωSv (t)=ωS (t−Ta )+C3v
【0105】ここで、rv は等旋回半径モードにおける
参照針路、rv ’はその時間に関する1階微分、rv
はその時間に関する2階微分である。Tv は等旋回半径
時間、ωS は旋回角速度の設定値、C3vは等旋回半径モ
ードにおける参照針路rの初期値である。尚、旋回角速
度の設定値ωS は上述のように旋回半径の設定値RS
船速Vより数1の式によって求められる。
【0106】等旋回半径モードの開始時点と加速モード
の終了時点の各々において、参照針路r、その微分値
r’及びその2階微分値r”は互いに等しい。従って次
の式が成り立つ。
【0107】
【数19】 rv ”(Ta )=ra ”(Ta )=0 rv ’(Ta )=ra ’(Ta )=(Ta /6)(βa +4C1a)+C2a =ωS v (Ta )=ra (Ta )=(Ta 2 /12)(βa +5C1a) +C2aa =C3v
【0108】(3)減速モード:〔(Ta +TV )≦t
≦(Ta +TV +Td )〕 減速モードでは、モードの終了時点にて参照針路の角速
度r’及び角加速度r”がゼロとなるように減衰され
る。
【0109】
【数20】rd ”(t)=βd /Td 2 (t−Ta −T
V 2−βd /Td (t−Ta −TV ) rd ’(t)=βd /(3Td 2 )(t−Ta −TV
3−βd /(2Td )(t−Ta −TV 2 +C2dd (t)=βd /(12Td 2 )(t−Ta −TV
4−βd /(6Td )(t−Ta −TV 3 +C2d(t
−Ta −TV )+C3d
【0110】ここで、rd は減速モードにおける参照針
路、rd ’はその時間に関する1階微分、rd ”はその
時間に関する2階微分である。Td は減速時間、βd
減速定数である。C2d、C3dはそれぞれ減速モードにお
ける参照針路の角速度r’の初期値及び参照針路rの初
期値である。減速モードの開始時点と等旋回半径モード
の終了時点の各々において、参照針路、その微分値及び
その2階微分値は互いに等しい。従って次の式が成り立
つ。
【0111】
【数21】rd ”(Ta +TV )=rv ”(Ta
V )=rd ”(Ta +TV +Td )=0 rd ’(Ta +TV )=rv ’(Ta +TV )=ωS
2dd ’(Ta +TV +Td )=−βd d /6+ωS
0 rd (Ta +TV )=rv (Ta +TV )=ωS V
3v=C3d
【0112】次にフィードフォワード舵角UFF及びその
角速度dUFF/dtについて説明する。軌道計画におい
て操舵機の舵角は命令舵角UC ではなく、フィードフォ
ワード舵角UFFを指す。参照針路rが制御対象14の逆
モデルであるフィードフォワード制御器12−2に入力
されると、その出力がフィードフォワード舵角UFFであ
る。従って以下に随時フィードフォワード舵角UFFを単
に操舵機の舵角と称し、その角速度dUFF/dt=
FF’を単に舵角角速度と称することとする。
【0113】舵角UFF及び舵角角速度dUFF/dtの最
大及び最小値は装備された操舵機の性能に関係する。操
舵機への実際の入力はフィードフォワード舵角UFFとフ
ィードバック舵角UFBの和である命令舵角UC である。
フィードフォワード舵角UFFは確定値であるが、フィー
ドバック舵角UFBは船舶と設定値のパラメータの間のず
れ、非線形項、外乱等の影響に起因して生じるため不確
定値である。従ってこれらを考慮したフィードフォワー
ド舵角UFFの最大値を既定することによって操舵機の舵
角の作動可能な範囲内で軌道計画が実現できる。
【0114】操舵機の舵角角速度は、フィードフォワー
ド舵角UFFの微分値UFF’で対応させる。この値UFF
を操舵機の追従角速度性能の領域内の所定の値として取
り込むことによって、操舵機の遅れの影響を小さくする
ことができる。
【0115】フィードフォワード舵角UFF及びその角速
度dUFF/dt=UFF’は次の式によって表される。
尚、数9の式も参照されたい。
【0116】
【数22】 UFF(t)=(TS /KS )(r”+r’/TS ) UFF’(t)=(TS /KS )(a1 2 +a2 t+a
3
【0117】a1 、a2 、a3 は係数であり、次の式に
よって表されるように、加速モード及び減速モード毎に
それぞれ異なる値として求められる。尚、加速モード及
び減速モードに対してそれぞれ添字a、dを付す。
【0118】
【数23】a1a=αa /(TS a 2 ) a2a=(1/Ta )(2αa /Ta +βa /TS ) a3a=βa /Ta +C1a/TS1d=βd /(TS d 2 ) a2d=(1/Td )(2βd /Td −βd /TS ) a3d=−βd /Td
【0119】次に舵角UFFが最大となる時点を求める。
数22の式より明らかなように、舵角UFFは、参照針路
の角速度r’及び角加速度r”を含み、加速モード及び
減速モードの各々にて極値を有する。舵角UFFが極値と
なる時点は、舵角角速度UFF’をゼロとおくことによっ
て得られる。数22の式にてUFF’=0とおくと時間t
に関する2次方程式が得られる。これを解いて次の式が
得られる。
【0120】
【数24】t=−a2 /(2a1 )+flgs√〔(a2
2a1 2 −a3 /a1
【0121】a1 、a2 、a3 は数23の式によって表
される係数である。flgsは極性定数であり、安定船の場
合は+1、不安定船の場合は−1である。参考として数
24の式の右辺の2つの項の大小関係を次式に示す。数
24の式の右辺の第1項をt 1 、第2項をt2 とする。
【0122】(1)加速モード:
【0123】
【数25】t1 =−TS −Ta βa /(2αa ) t2 ≒|TS
【0124】(2)減速モード:
【0125】
【数26】t1 =−TS −Td /2 t2 ≒|TS
【0126】従って、舵角UFFが極値となる時点t(>
0)は、安定船ではTS >0だからt=t1 +t2 、不
安定船ではTS <0だからt=t1 −t2 である。
【0127】極性定数flgs(=±1)は、舵角UFFが極
値となる時点tが、安定船及び不安定船の各々の場合
に、加速モードの時間〔0≦t≦Ta 〕及び減速モード
の時間〔(Ta +TV )≦t≦(Ta +TV +Td )〕
内の値となるように選択される。舵角UFFの最大値は、
数24の式によって表される時間tを数22の式のUFF
に代入することによって得られる。
【0128】次に舵角角速度UFF’が最大となる時点及
び舵角角速度UFF’の最大値を求める。数22の式に示
されるように、舵角角速度UFF’は時間tの2次関数で
あり、その1階微分は時間tの1次関数である。従っ
て、舵角角速度UFF’の最大値及び最小値は加速モード
及び減速モードの開始時点又は終了時点に起きる。
【0129】舵角角速度UFF’は、加速モードでは船舶
の運動の初期値の影響を受けるが、減速モードではその
影響は受けない。従って加速モードでは舵角角速度
FF’の絶対値はモードの開始時点と終了時点では異な
るが、減速モードでは舵角角速度UFF’の絶対値はモー
ドの開始時点と終了時点では同一である。以上より次の
式が成り立つ。
【0130】
【数27】UFFa (0)=(TS /KS )(βa /T
a +C1a/TS ) UFFa (Ta )=−(TS /KS )(βa /Ta +2
1a/Ta ) UFFd (0)= −UFFd (Ta )=(TS βd
/(KS d
【0131】加速モードにおいて、UFFa (0)とU
FFa (Ta )の絶対値の大きさは、C1aの極性によっ
て変化する。UFFa (0)とUFFa (Ta )の絶対
値の大きい方に対して舵角角速度の設定値ωR を置き換
えることによって、軌道計画に舵角角速度UFF’の制限
を導入することができる。
【0132】軌道計画部12−1Aは上述の内容を用い
る。表1に、変針量rSIG 、旋回角速度の設定値ωS
最大舵角の設定値UR 、及び最大舵角角速度の設定値ω
R の達成水準を示す。これら設定値の全てを満足する参
照針路ra 、rv 、rd を一意的に求めることはできな
いので、設定値の達成水準は必須のものと必須でないも
の、即ち、可変設定値がある。従って表1に示すよう
に、必須設定値を満足させながら、可変設定値を調節し
て参照針路を演算する。
【0133】
【表1】
【0134】図5に軌道計画部12−1Aの動作の手順
を示す。ステップ101にて軌道計画部12−1Aの動
作が開始される。ステップ102にて設定針路φC 、設
定値SV、船速V及び加速モードの初期値C1a、C2a
入力される。上述のように、設定値SVは、変針時にお
ける旋回半径設定値RS とフィードフォワード舵角の設
定値UR 及びその角速度設定値ωR を含む。数17の式
に示すように、初期値C1a、C2aはそれぞれ船舶の角加
速度及び角速度の初期値φ”(0)、φ’(0)であ
る。
【0135】ステップ103にて加速モードの設定が行
われる。加速モードの設定について説明する。先ず数1
の式によって旋回角速度の設定値ωS が定められる。加
速時間Ta と加速定数βa は、数27の式によって表さ
れる舵角角速度UFF’の最大値を用いて得られる。舵角
角速度UFF’の最大値は加速モードの開始時点(t=
0)又は終了時点(t=Ta )にて生ずる。
【0136】
【数28】
【0137】ここで、flg a は極性定数、CR 、CRa
それぞれ軌道定数及び加速モードの軌道定数である。軌
道定数CR は次のように表される。
【0138】
【数29】CR =ωR (KS /TS
【0139】旋回角速度の設定値ωS は加速モードの終
了時点(t=Ta )における参照針路の角速度r’に一
致する。従って数28式を数19の式の第2式に代入す
ると加速時間Ta に関する2次方程式が得られる。
【0140】
【数30】t=0:CRaa 2 +4C1aa +6(C2a
−ωS )=0 t=Ta :CRaa 2 +2C1aa +6(C2a−ωS
=0
【0141】この2つの式よりTa を解くと次のように
なる。
【0142】
【数31】t=0: Ta =−2C1a/CRa+√〔(2C1a/CRa2 −6
(C2a−ωS )/CRa〕 t=Ta : Ta =−C1a/CRa+√〔(C1a/CRa2 −6(C2a
−ωS )/CRa
【0143】次に加速定数βa を求める。先ずωS とC
2aが等しいとき、数19の式の第2式にωS =C2aを代
入して加速定数βa が得られる。
【0144】
【数32】βa =−4C1a
【0145】次にωS とC2aが等しくないとき、旋回角
速度の設定値ωS 及び初期値C1a、C2aより、加速モー
ドの軌道定数CRaを求め、加速時間Ta 及び加速定数β
a を計算する。表2に加速モードの軌道定数CRaの計算
条件、即ち、旋回角速度の設定値ωS と加速モードの初
期値C2aとの間の大小関係及び初期値C1aとゼロとの間
の大小関係によって、舵角角速度UFF’の最大値の時点
t及び極性定数flg aがどのような値となるかを示す。
【0146】
【表2】
【0147】ステップ104にて減速モードが設定され
る。減速時間Td 、減速定数βd は舵角角速度UFF’の
最大値及び旋回角速度設定値ωS は減速モードの終了時
点でゼロとなることを用いて関係づけられる。従って数
27の式の第3式と数21の式の第3式によって次の式
が得られる。
【0148】
【数33】βd /Td =CRd=flg d Rd =√(6|ωS |/CR
【0149】ここで、flg d は極性定数であり、符号判
別関数signを使用して次のように表される。
【0150】
【数34】flg d =−sign(rSIG
【0151】rSIG は3つのモードにおける変針量Δr
の総和を表す。ステップ105にて加速、等旋回半径及
び減速モードにおける参照針路rの変化量、即ち変針量
Δrを求める。加速モードにおける参照針路rの変化量
をΔra 、等旋回半径モードにおける参照針路rの変化
量をΔrv 、減速モードにおける参照針路rの変化量を
Δrd とする。これらは次のように表される。
【0152】
【数35】Δra =ra (Ta )−ra (0)=(Ta
2 /12)(βa +5C1a)+C2aa Δrv =rv (Ta +Tv )−rv (Ta )=ωS v Δrd =rd (Ta +Tv +Td )−rd (Ta
v )=−βd d 2 /12+ωS d =βd d 2
12 rSIG =Δra +Δrv +Δrd
【0153】但し、加速モードと減速モードでの変化量
Δra 、Δrd は等旋回半径モードでの変化量Δrv
り優先されるから、等旋回半径モードの時間、即ち、等
旋回半径時間Tv は次式より求められる。
【0154】
【数36】Tv =Δrv /ωS
【0155】ここで、Δrv =rSIG −Δra −Δrd
である。ステップ106にて等旋回半径モードが存在す
るか否かが判定される。等旋回半径モードが存在する場
合には次の式が成り立つ。
【0156】
【数37】Δrv ≧0
【0157】数37の式が成り立つ場合にはステップ1
07に進み、数37の式が成り立たてい場合にはステッ
プ103に戻り、可変調節値である旋回角速度設定値ω
S が再度設定される。旋回角速度設定値ωS が再度設定
される場合、旋回半径設定値RS も再設定される。
【0158】ステップ107ではフィードフォワード舵
角の最大値(絶対値) maxUFFが演算される。フィード
フォワード舵角の最大値 maxUFFは加速モード又は減速
モードのいずれかにおいて生ずる。従って2つのモード
にて最大値を求めて両者を比較し、より大きい方が最大
値 maxUFFである。
【0159】フィードフォワード舵角UFFの最大値 max
FFが生ずる時点は数24の式によって表される。従っ
て数24の式のtを数22の式に代入することによって
フィードフォワード舵角の最大値 maxUFFが求められ
る。
【0160】
【数38】 max|UFFa |≧ max|UFFd |: maxUFF= max|UFFa | max|UFFa |< max|UFFd |: maxUFF= max|UFFd
【0161】ステップ108にてフィードフォワード舵
角の最大値 maxUFFが最大フィードフォワード舵角の設
定値UR と比較される。
【0162】
【数39】maxUFF≦UR
【0163】数39の式が成り立つ場合にはステップ1
09に進み、数39の式が成り立たない場合にはステッ
プ103に戻る。こうして、本例によると、フィードフ
ォワード舵角の最大値 maxUFFは、常にフィードフォワ
ード舵角の設定値UR より小さい値になるように制限さ
れる。
【0164】ステップ109では参照針路rを演算する
ために必要な定数、即ち、各モード時間Ta 、Tv 、T
d 、設定値ωS 、加速及び減速定数βa 、βd 、初期値
1a、C2a、C3v、C2d、C3dを求める。ステップ11
0にて軌道計画部12−1Aの動作が終了し、これらの
値は針路演算部12−1Bに出力される。
【0165】以上は船速Vが一定の場合であるが、実際
には船速Vは変化する。従って数1の式に示されるよう
に、旋回角速度の設定値ωS も変化し、また旋回角速度
の設定値ωS に関連した各種定数も変化する。特に、減
速モードにおける各定数Td、βd 、C2d、C3dは、減
速モードの開始時点、即ち、等旋回半径モードの終了時
点t=Ta +Tv において再設定される。
【0166】等旋回半径モードの終了時点t=Ta +T
v における旋回角速度の設定値ωSは時点t=Ta +T
v における船速Vを数1の式に代入して得られる。減速
時間Td 、減速定数βd 、初期値C2d、C3dは次の式に
よって求められる。
【0167】
【数40】Td =2Δrd /ωS βd =CRdd2d=ωS3d=Δra +Δrv
【0168】ここに、ωS は時点t=Ta +Tv におけ
る旋回角速度の設定値である。また減速モードの変針量
Δrd はΔrd =rSIG −(Δra +Δrv )によって
求められる。
【0169】最後に針路演算部12−1Bの動作を説明
する。針路演算部12−1Bは軌道計画部12−1Aよ
り供給されたモード時間Ta 、Tv 、Td 、設定値
ωS 、加速及び減速定数βa 、βd 、初期値C1a
2a、C3v、C2d、C3dを使用して各モード毎の参照針
路r(t)を演算し、それを出力する。
【0170】加速モード、等旋回半径モード及び減速モ
ードにおける参照針路r(t)は、数14の式の第3
式、数18の式の第3式及び数20の式の第3式によっ
てそれぞれ求められる。また参照針路r(t)が求めら
れると、数22の式を使用して、各モードにおけるフィ
ードフォワード舵角UFFが求められる。
【0171】図6に参照針路r(図6B)とフィードフ
ォワード舵角UFF(図6A)の時間応答の例を示す。こ
こでは変針量Δrを+、加速モードの初期値C1a、C2a
をゼロとした。
【0172】以上本発明の実施例について詳細に説明し
てきたが、本発明は上述の実施例に限ることなく本発明
の要旨を逸脱することなく他の種々の構成が採り得るこ
とは当業者にとって容易に理解されよう。
【0173】
【発明の効果】本発明によると、従来のオートパイロッ
トでは実現することができなかった操舵機の性能及び船
舶の特性を考慮した最適な変針軌道計画が実現可能とな
る利点がある。
【0174】本発明によると、操舵機の性能を取り込ん
だ最適な変針軌道計画が得られるので機器の負担を軽減
し省燃費を図ることができる利点がある。
【0175】本発明によると変針時の旋回角速度、変針
時間等を見積もることができるから、最適な運行計画を
達成することができる利点を有する。
【0176】本発明によると、フィードフォワード舵角
の最大値及びその角速度の最大値を確定することができ
るので、操舵機の入力にリミットを設ける必要がなく、
連続的な変針特性を保証することができる利点を有す
る。
【0177】本発明によると、変針時の船舶の運動の初
期値を取り込むように構成されているから、変針中に新
たな変針設定が可能となる利点を有する。
【0178】本発明は、ソフトウエア的処理によって実
現することができるから、マイクロコンピュータを搭載
している自動操舵装置に容易に付加することができる利
点がある。
【0179】本発明によると、変針モードのうち旋回半
径一定モードにおける変針特性が円滑になされることが
できる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動操舵系を示すブロック図であ
る。
【図2】本発明によるフィードフォワード制御器の動作
を示すブロック図である。
【図3】本発明によるフィードバック制御器の動作を示
すブロック図である。
【図4】本発明による軌道演算部の構成例を示す図であ
る。
【図5】本発明による軌道計画部の動作を示す流れ図で
ある。
【図6】本発明による参照針路とフィードフォワード舵
角の例を示す図である。
【図7】従来の船舶用自動操舵系の構成例を示す図であ
る。
【図8】従来の自動操舵装置(オートパイロット)の構
成を示す図である。
【符号の説明】
11 加算器 12 自動操舵装置(オートパイロット) 12−1 軌道演算部 12−2 フィードフォワード制御器 12−3 フィードバック制御器 12−4、12−5 加算器 13 加算器 14 制御対象 14−1 船体 14−2 船首方位検出器 16 操舵機 120 自動操舵装置(オートパイロット)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 参照針路に対する船首方位の偏差に基づ
    いて命令舵角を出力する自動操舵装置と該自動操舵装置
    に対して船首方位をフィードバックする制御ループとを
    有する船舶用自動操舵装置において、 上記自動操舵装置は、軌道計画に基づいた参照針路を演
    算する軌道演算部と上記制御ループを安定化させるため
    に閉ループ制御を提供するフィードバック制御器と上記
    制御ループの変針特性を高めるために開ループ制御を提
    供するフィードフォワード制御器と有し、上記軌道演算
    部によって求められる参照針路は加速モード、等旋回半
    径モード及び減速モードを含むように時間管理されてい
    ることを特徴とする船舶用自動操舵装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の船舶用自動操舵装置にお
    いて、 上記加速モードにおいて、上記参照針路の初期値とし
    て、変針開始時点の船舶の船首方位の角速度及び角加速
    度の値を取り入れるように構成されていることを特徴と
    する船舶用自動操舵装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の船舶用自動操舵装
    置において、 上記加速モード及び減速モードにおいて、上記参照針路
    の時間に関する2階微分は時間に関する2次関数となる
    ように構成されていることを特徴とする船舶用自動操舵
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の船舶用自動操
    舵装置において、 上記等旋回半径モードにおいて、上記参照針路の時間に
    関する1階微分は船速と旋回半径設定値より設定される
    ように構成されていることを特徴とする船舶用自動操舵
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載の船舶用自
    動操舵装置において、 上記フィードバック制御器は上記参照針路に対する船首
    方位の偏差を入力してフィードバック舵角を出力し、上
    記フィードフォワード制御器は上記参照針路を入力して
    フィードフォワード舵角を出力し、上記自動操舵装置は
    上記フィードバック舵角とフィードフォワード舵角の和
    によって上記命令舵角を演算しそれを出力信号として出
    力するように構成されていることを特徴とする船舶用自
    動操舵装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の船舶用自動操舵装置にお
    いて、 上記自動操舵装置より出力された命令舵角と角度換算さ
    れた外乱を入力して船舶の舵角を演算する加算器を有
    し、該加算器より出力された舵角を制御対象に入力する
    ように構成されていることを特徴とする船舶用自動操舵
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の船舶用自動操舵装置にお
    いて、上記フィードフォワード制御器は上記船舶の舵角
    から上記船首方位までの伝達特性の逆特性を有すること
    を特徴とする船舶用自動操舵装置。
  8. 【請求項8】 請求項5、6又は7記載の船舶用自動操
    舵装置において、 上記参照針路は上記フィードフォワード舵角及びその角
    速度の各々の最大値を取り込むことを特徴とする船舶用
    自動操舵装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012210941A (ja) * 2006-03-31 2012-11-01 Tokyo Keiki Inc 船舶用自動操舵装置
JP2013056658A (ja) * 2011-08-12 2013-03-28 Tokyo Keiki Inc 船舶用自動操舵装置

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JP2012210941A (ja) * 2006-03-31 2012-11-01 Tokyo Keiki Inc 船舶用自動操舵装置
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