JPH09136970A

JPH09136970A - 合成樹脂成形品及びこの成形品を用いた筺体

Info

Publication number: JPH09136970A
Application number: JP29680995A
Authority: JP
Inventors: Toshimitsu Tsukui; 利光津久井; Hitoshi Tsukahara; 仁塚原
Original assignee: Sanyo Electric Co Ltd
Current assignee: Sanyo Electric Co Ltd
Priority date: 1995-11-15
Filing date: 1995-11-15
Publication date: 1997-05-27

Abstract

(57)【要約】【課題】割れにくい合成樹脂成形品を提供する。【解決手段】第１、第２、第３合成樹脂と無機系充填
剤とを混合して合成樹脂成形品を形成したので、同じ力
が加わった場合でも歪み量が非常に大きくなり、合成樹
脂成形品を割れにくくすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、複数の合成樹脂
を混合して成形した合成樹脂成形品及びこの成形品を用
いた筺体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】空気調和機などに使用されている筺体
は、例えば、特公平７−２４３４３号公報に記載された
ものがある。このような筺体は、例えば合成樹脂で成形
されている。また、このような合成樹脂の成形品は、一
般的にインジェクション成形（射出成形）と呼ばれてい
る方法で成形されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述したような合成樹
脂成形品は、例えば、伸び率３００％以上であり、且
つ、曲げ弾性率１５００〜２０００ＭＰａの合成樹脂
（例えば、ポリプロピレン）とタルクや炭酸カルシウム
などの無機系充填剤とを混合させて、樹脂成形品を成形
していた。このような合成樹脂成形品は、必要な形を得
るために、インジェクション成形と呼ばれる成形方法で
形成されている。このような方法で成形される場合は、
合成樹脂が金型に注入され、分流した溶融材料（合成樹
脂材料）の２つの流れが合流する部分が必ず生じること
になる。この部分を、一般的にはウェルドと呼んでい
る。このウェルドの部分は、やや冷えかかった状態で合
成樹脂同士がくっついているので、他の部分に比べて強
度的に弱くなり、ウェルドの部分には、他の部分に加わ
った力よりも弱い力が加わった場合でも、ぱちんとかぴ
しっとか音をたてて割れることが多いという欠点があっ
た。特に冬季のように、気温が低く合成樹脂が変形しに
くい時期にこの合成樹脂成形品が割れやすい。

【０００４】この発明は、力が加わった場合でも割れに
くい合成樹脂成形品及びこの成形品を用いた筺体を提供
するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項１に記載の発明は、伸び率３００％以上であ
り、且つ、曲げ弾性率１５００〜２０００ＭＰａの第１
合成樹脂と、伸び率３０％以下であり、且つ、曲げ弾性
率２０００〜２４００ＭＰａの第２合成樹脂と、ゴム、
エラストマ、ポリエチレンのうち少なくとも１つ以上の
第３合成樹脂と、無機系充填剤とを混合して合成樹脂成
形品を形成したものである。

【０００６】請求項２に記載の発明は、前記第１合成樹
脂を３０〜５０重量％、前記第２合成樹脂を３０〜５０
重量％、前記第３合成樹脂を１〜２０重量％、かつ、前
記無機系充填剤を１０〜３０重量％とし、これらの合成
樹脂及び無機系充填剤を混合して合成樹脂成形品を形成
したものである。

【０００７】請求項３に記載の発明は、請求項２に記載
された第１合成樹脂と、第２合成樹脂と、第３合成樹脂
と、無機系充填剤とを混合した合成樹脂でインジェクシ
ョン成形により合成樹脂成形品を形成したものである。

【０００８】請求項４に記載の発明は、請求項３に記載
の合成樹脂成形品を筺体に用いたものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を図面に基
づき説明する。図１は、空気調和機１の外観図で、両ユ
ニットの前面側を示しているので実際の設置とは異なっ
ている。空気調和機１は主に室内ユニット（筺体）２と
室外ユニット（筺体）３とで構成され、これら両機は冷
媒管（ユニット間配管）４、温水管（ユニット間配管）
５、およびユニット間ケーブル６で接続されている。
尚、このユニット間ケーブルを介して、室内と室外との
制御装置同士が信号の授受を行えるようになっている。

【００１０】７はワイヤレス式のリモコン、２Ａは電源
プラグ、２Ｂは吹出し方向を変えるためのフラップ、２
Ｃはドレンホース、２Ｄは吸込グリル、２Ｅは表示部
で、運転ランプやリモコンからの信号を受信するための
受信部を備えている。３Ａはファンガード、３Ｂは燃焼
ガスの排気口、３Ｃは吸気口である。３Ｆは前面カバ
ー、３Ｇは側面バーで、これらカバー３Ｆ、３Ｇやファ
ンガード３Ａは、この請求範囲に記載の合成樹脂成形品
で、インジェクション成形（射出成形）により形成され
ている。そして、これらカバー３Ｆ、３Ｇやファンガー
ド３Ａなどで筺体３を構成している。３Ｈは天カバーで
ある。

【００１１】前記合成樹脂成形品３Ｆ、３Ｇ、３Ａは、
第１合成樹脂、第２合成樹脂、第３合成樹脂、無機系充
填剤を混合した合成樹脂から成形している。この第１合
成樹脂は、伸び率３００％以上であり、且つ、曲げ弾性
率１５００〜２０００ＭＰａ（メガパスカル）の合成樹
脂、例えばポリプロピレン樹脂を用いている。

【００１２】第２合成樹脂は、伸び率３０％以下であり
（伸び率０％を含む、但しこの伸び率０％のものは今の
ところ見つかっていない）、且つ、曲げ弾性率２０００
〜２４００ＭＰａの合成樹脂、例えばポリプロピレン樹
脂を用いている。

【００１３】第３合成樹脂は、ゴム、エラストマ、ポリ
エチレンのうち少なくとも１つ以上を用いている。

【００１４】無機系充填剤は、例えばタルクと炭酸カル
シウムとを用いている。

【００１５】そして、第１合成樹脂を４０重量％と、第
２合成樹脂を４０重量％と、第３合成樹脂を１０重量％
と、無機系充填剤を１０重量％との割合で使用してい
る。

【００１６】このような割合で混合された合成樹脂から
成形された本案の合成樹脂成形品は、従来の合成樹脂成
形品（第１合成樹脂が７５重量％、無機系充填剤が２５
重量％、表１参照）とどのくらいたわみ量が違うかを、
実験した。この実験は、試料となる合成樹脂成形品を、
幅約１５０ミリメートル、支持する２点Ａ１、Ａ２の間
隔を１００ミリメートルとし、中央部分に重りなどの力
を徐々に増加するように加えていき、試料が割れるまで
のたわみ量を測定した（図４参照）。この測定結果を図
３に示す。また、表１に、各合成樹脂等の割合を示す。
尚、この合成樹脂成形品は、従来のものも本案のものも
同一の金型でインジェクション成形（射出成形）された
ものであり、共にウェルドが形成されているものであ
る。

【００１７】

【表１】

【００１８】この図３から判るように、強度的には余り
強くなっていないが（従来のものが１６．３Ｋｇに対し
て、本案のものが１８．０Ｋｇ）、たわみ量は約４倍
（従来のものが４．１ｍｍに対して、本案のものが１
５．０ｍｍ）になり、本願のものを少々曲げたぐらいで
は割れないようになっているのが判る。

【００１９】このような合成樹脂で形成された筺体３
は、特にその組立工程において、湾曲させなければなら
ないときがある。例えば、ファンガード３Ａを前面カバ
ー３Ｆの開口に挿入しなければならないようなときであ
る（図２参照）。このような場合、従来のものでは、湾
曲させるときに非常に割れやすいものであった。特に、
冬季のようなファンガード３Ａが冷えて湾曲しにくく割
れやすく、更に、ウェルドと呼ばれている部分を曲げよ
うとした場合特に割れやすいものであった。しかし、こ
のファンガード３Ａは、表１に示すような合成樹脂で成
形されており、たわみ量も図３に示すように非常に大き
いので、組立時にファンガードが割れることや、組立後
の筺体に使用している合成樹脂成形品が割れるようなこ
とが防止される。

【００２０】特許請求の範囲に記載のように、第１合成
樹脂を３０〜５０重量％にする理由は、３０重量％未満
では堅くなりすぎてもろくなるため、３０重量％は最低
限必要である。５０重量％を越えると、柔らかくなりす
ぎて、合成樹脂が湾曲や変形しやすくなり過ぎるので、
５０重量％を越えないようにする必要がある。

【００２１】また、第２合成樹脂を３０〜５０重量％に
する理由は、３０重量％未満では、（第１合成樹脂とは
逆に）柔らかくなりすぎて、合成樹脂が湾曲や変形しや
すくなり過ぎるので、３０重量％は最低限必要である。
５０重量％を越えると堅くなりすぎてもろくなるため、
５０重量％を越えないようにする必要がある。

【００２２】また、第３合成樹脂を１〜２０重量％にす
る理由は、合成樹脂を柔らかくする添加剤として使用し
ており、１重量％未満ではその効果が発揮されず、２０
重量％以上になると柔らかくなりすぎるので２０重量％
以内にするのが望ましい。

【００２３】更に、無機系充填剤を１０〜３０重量％に
する理由は、１０重量％未満では、その剛性が不充分の
ため、１０重量％以上は必要であり、３０重量を越える
とその剛性が強くなりすぎるので、３０重量％以内が望
ましい。また、この無機系充填剤は、剛性をアップさせ
るためのタルクと、粘りをだすための炭酸カルシウムと
を使用している。

【００２４】尚、本願発明では、第１合成樹脂と第２合
成樹脂とを混合しているが、伸び率が３００％以上であ
り、且つ、曲げ弾性率が２０００ＭＰａ以上の合成樹脂
がもしあればこれを使用しても構わない。但し、このよ
うな性質を示す合成樹脂は今現在見つかっていないの
で、第１合成樹脂と第２合成樹脂とを混合させて、この
ような性質の合成樹脂を製造している。

【００２５】この実施の形態では、合成樹成形品を、空
気調和機の外装体に利用した例を示したが、外装体以外
の他の筺体、例えば電装箱等に利用しても良い。

【００２６】

【発明の効果】請求項１、２、３、４に記載の発明によ
れば、合成樹脂成形品に力が加わった場合でも、従来の
ものと比べてたわみ量が大きいので、合成樹脂成形品を
割れにくくすることができる。

【００２７】特に、請求項３、４に記載のものでは、そ
のインジェクション成形時に形成されるウェルドの部分
は特に割れやすいものの、この合成樹脂成形品のたわみ
量が大きく変形しやすいため、割れにくくすることがで
きる。

【００２８】特に、請求項４に記載の筺体では、その組
立時や組立後に変形させるような力が加わりやすいが、
たわみ量が大きく変形し易いため、この合成樹脂成形品
を用いた筺体は割れにくい。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の合成樹脂成形品を用いた筺体（空気
調和機）の斜視図である。

【図２】同筺体の組立方法を示す説明図である。

【図３】本発明の合成樹脂成形品と従来の合成樹脂成形
品とにおいて、たわみ量と強度との関係を示す線図であ
る。

【図４】たわみ量を調べるための実験を示す説明図であ
る。

【符号の説明】

２室内ユニット（筺体）３室外ユニット（筺体）３Ａファンガード（合成樹脂成形品）３Ｆ前面カバー（合成樹脂成形品）３Ｇ側面カバー（合成樹脂成形品）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】伸び率３００％以上であり、且つ、曲げ
弾性率１５００〜２０００ＭＰａの第１合成樹脂と、伸
び率３０％以下であり、且つ、曲げ弾性率２０００〜２
４００ＭＰａの第２合成樹脂と、ゴム、エラストマ、ポ
リエチレンのうち少なくとも１つ以上の第３合成樹脂
と、無機系充填剤とを混合して成形したことを特徴とす
る合成樹脂成形品。
【請求項２】前記第１合成樹脂を３０〜５０重量％、
前記第２合成樹脂を３０〜５０重量％、前記第３合成樹
脂を１〜２０重量％、かつ、前記無機系充填剤を１０〜
３０重量％とし、これらの合成樹脂及び無機系充填剤を
混合して形成したことを特徴とする合成樹脂成形品。
【請求項３】請求項２に記載された第１合成樹脂と、
第２合成樹脂と、第３合成樹脂と、無機系充填剤とを混
合した合成樹脂でインジェクション成形したことを特徴
とする合成樹脂成形品。
【請求項４】請求項３に記載の合成樹脂成形品を用い
たことを特徴とする筺体。