JPH0913165A - 電波透過型熱線遮断膜およびその成膜方法 - Google Patents
電波透過型熱線遮断膜およびその成膜方法Info
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- JPH0913165A JPH0913165A JP7162578A JP16257895A JPH0913165A JP H0913165 A JPH0913165 A JP H0913165A JP 7162578 A JP7162578 A JP 7162578A JP 16257895 A JP16257895 A JP 16257895A JP H0913165 A JPH0913165 A JP H0913165A
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- heat ray
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- sputtering
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- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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- Y02T10/80—Technologies aiming to reduce greenhouse gasses emissions common to all road transportation technologies
- Y02T10/88—Optimized components or subsystems, e.g. lighting, actively controlled glasses
Landscapes
- Special Wing (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Surface Treatment Of Glass (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】モリブデンからなるターゲットを用いて、二酸
化炭素を含む雰囲気中でスパッタリングを行う、酸化モ
リブデンを主成分とする電波透過型熱線遮断膜の成膜方
法。 【効果】高い遮熱性と、高い電波透過性とを併有し、面
内における特性が均一な電波透過型熱線遮断膜を安定し
て生産できる。
化炭素を含む雰囲気中でスパッタリングを行う、酸化モ
リブデンを主成分とする電波透過型熱線遮断膜の成膜方
法。 【効果】高い遮熱性と、高い電波透過性とを併有し、面
内における特性が均一な電波透過型熱線遮断膜を安定し
て生産できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電波透過型熱線遮断膜お
よびその成膜方法に関する。
よびその成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近赤外線の透過率が低く、太陽熱の流入
を低減する機能をもつ膜は熱線遮断膜と呼ばれている。
このような膜をコーティングした窓ガラスは、夏季にお
ける室内の温度上昇を抑制できるので、冷房負荷軽減の
目的で自動車や建築用窓ガラスに使われている。
を低減する機能をもつ膜は熱線遮断膜と呼ばれている。
このような膜をコーティングした窓ガラスは、夏季にお
ける室内の温度上昇を抑制できるので、冷房負荷軽減の
目的で自動車や建築用窓ガラスに使われている。
【0003】従来の熱線遮断膜は、Ag系やTiN系な
どの金属的導電性を有する低抵抗膜を熱線遮断層として
応用したものであり、その金属的導電性ゆえに近赤外領
域の熱線を反射すると同時に電波をも反射する特性を有
する。
どの金属的導電性を有する低抵抗膜を熱線遮断層として
応用したものであり、その金属的導電性ゆえに近赤外領
域の熱線を反射すると同時に電波をも反射する特性を有
する。
【0004】近年、自動車等のガラス窓上に直接ラジオ
等のアンテナを形成したいわゆるガラスアンテナが増加
している。また自動車電話や携帯電話に代表される移動
体通信が急速に普及するにつれ、移動体側や室内側のア
ンテナを用いて通信できることが求められている。
等のアンテナを形成したいわゆるガラスアンテナが増加
している。また自動車電話や携帯電話に代表される移動
体通信が急速に普及するにつれ、移動体側や室内側のア
ンテナを用いて通信できることが求められている。
【0005】熱線遮断膜が存在しない場合は問題がない
が、冷房負荷軽減の目的で従来の熱線遮断膜を設けると
ガラス面上の低抵抗膜面で電波が反射されるため、ガラ
スアンテナや室内アンテナを使用できなかった。
が、冷房負荷軽減の目的で従来の熱線遮断膜を設けると
ガラス面上の低抵抗膜面で電波が反射されるため、ガラ
スアンテナや室内アンテナを使用できなかった。
【0006】同様に、建築用窓ガラスの場合も熱線遮断
膜による電波遮蔽の問題があり、熱線遮断性と電波透過
性の両立が求められている。電波透過性を高めるには膜
の抵抗を高めればよいことが知られている。要求される
シート抵抗値は用途に応じて異なるが、数百kΩ以上で
あればおおむね充分な特性が得られる。
膜による電波遮蔽の問題があり、熱線遮断性と電波透過
性の両立が求められている。電波透過性を高めるには膜
の抵抗を高めればよいことが知られている。要求される
シート抵抗値は用途に応じて異なるが、数百kΩ以上で
あればおおむね充分な特性が得られる。
【0007】そこで、膜の高抵抗化を図ることにより電
波透過性に優れる膜が開発され、現在使用されている。
この種の膜材料としてクロムやステンレスの窒化物や酸
化物系がある。
波透過性に優れる膜が開発され、現在使用されている。
この種の膜材料としてクロムやステンレスの窒化物や酸
化物系がある。
【0008】しかし、これらの膜系の場合、熱線遮断性
を高めるために膜を厚くすると、可視光の透過率も急激
に低下するため、高可視光透過性と高遮熱性の両立が困
難であった。このため、高可視光透過率を確保するため
には熱線遮断性を犠牲にしなければならず、自動車用フ
ロントガラスなどのように70%以上の高可視光透過率
が要求される部位では充分な遮熱性は期待できなかっ
た。
を高めるために膜を厚くすると、可視光の透過率も急激
に低下するため、高可視光透過性と高遮熱性の両立が困
難であった。このため、高可視光透過率を確保するため
には熱線遮断性を犠牲にしなければならず、自動車用フ
ロントガラスなどのように70%以上の高可視光透過率
が要求される部位では充分な遮熱性は期待できなかっ
た。
【0009】上述のクロムやステンレスの窒化物や酸化
物系の欠点を解決できる熱線遮断膜材料として、酸化タ
ングステンや酸化モリブデンをわずかに還元した膜が挙
げられる。
物系の欠点を解決できる熱線遮断膜材料として、酸化タ
ングステンや酸化モリブデンをわずかに還元した膜が挙
げられる。
【0010】これらの膜はいわゆるエレクトロクロミッ
ク材料としてよく知られており、充分に酸化された状態
では透明であるが、電気化学的方法で還元することによ
り、長波長の可視光領域から近赤外領域にかけて吸収を
生じるようになる。こうした分光特性の膜は青色に着色
して見える。波長1μm付近に吸収のピークをもつの
で、可視光透過率を高く保ったまま、近赤外線の透過率
を低くできる。すなわち高透明性と高遮熱性の両立が期
待される材料である。これらの膜の抵抗は高いため電波
透過性を損うことがない。
ク材料としてよく知られており、充分に酸化された状態
では透明であるが、電気化学的方法で還元することによ
り、長波長の可視光領域から近赤外領域にかけて吸収を
生じるようになる。こうした分光特性の膜は青色に着色
して見える。波長1μm付近に吸収のピークをもつの
で、可視光透過率を高く保ったまま、近赤外線の透過率
を低くできる。すなわち高透明性と高遮熱性の両立が期
待される材料である。これらの膜の抵抗は高いため電波
透過性を損うことがない。
【0011】酸化タングステンと酸化モリブデンとを比
べると、両者は同等の遮熱性能をもつ膜材料であるが、
酸化モリブデンの方が、材料費が酸化タングステンに比
べてはるかに安いため、低コスト化が図れ工業的に望ま
しい材料といえる。
べると、両者は同等の遮熱性能をもつ膜材料であるが、
酸化モリブデンの方が、材料費が酸化タングステンに比
べてはるかに安いため、低コスト化が図れ工業的に望ま
しい材料といえる。
【0012】従来、この酸化モリブデン膜を得るために
は電気化学的手法に依っていた。すなわち、あらかじめ
ガラス基板上に酸化インジジウムや酸化錫等の透明導電
膜を形成し、この上に蒸着法やスパッタリング法等の真
空成膜法、またはゾルゲル法等の塗付法で酸化モリブデ
ン膜を形成する。次に、水素イオンやリチウム等の1価
イオンを含む電解液中に浸漬し、膜側を負電位として還
元することにより青色の還元された膜が得られる。
は電気化学的手法に依っていた。すなわち、あらかじめ
ガラス基板上に酸化インジジウムや酸化錫等の透明導電
膜を形成し、この上に蒸着法やスパッタリング法等の真
空成膜法、またはゾルゲル法等の塗付法で酸化モリブデ
ン膜を形成する。次に、水素イオンやリチウム等の1価
イオンを含む電解液中に浸漬し、膜側を負電位として還
元することにより青色の還元された膜が得られる。
【0013】しかし、下地として導電膜を用いるため、
電波透過性が得られない欠点があり、また、工程数が多
くなるため、材料費が安いという利点が活かされなかっ
た。
電波透過性が得られない欠点があり、また、工程数が多
くなるため、材料費が安いという利点が活かされなかっ
た。
【0014】これに対して、スパッタリング法を用いて
成膜条件を厳密に制御すれば、電気化学的手法を用いな
くても還元気味の青色の酸化モリブデン膜を得ることは
できる。しかし、通常の反応性スパッタリング法では、
再現性よく、色むらのない、青色酸化モリブデン膜の作
製は非常に困難であった。以下にその理由を示す。
成膜条件を厳密に制御すれば、電気化学的手法を用いな
くても還元気味の青色の酸化モリブデン膜を得ることは
できる。しかし、通常の反応性スパッタリング法では、
再現性よく、色むらのない、青色酸化モリブデン膜の作
製は非常に困難であった。以下にその理由を示す。
【0015】通常、反応性スパッタリング法で酸化モリ
ブデン膜を作製する場合、モリブデンターゲットを酸素
(O2 )を含んだアルゴン(Ar)雰囲気中でスパッタ
リングする。O2 が少ないとメタリックな不透明膜が、
O2 が多いと透明な膜が得られる。これらの中間領域の
条件を選べば青色を示す膜(遮熱性良好な膜)が得られ
るがその条件幅はきわめて狭い。
ブデン膜を作製する場合、モリブデンターゲットを酸素
(O2 )を含んだアルゴン(Ar)雰囲気中でスパッタ
リングする。O2 が少ないとメタリックな不透明膜が、
O2 が多いと透明な膜が得られる。これらの中間領域の
条件を選べば青色を示す膜(遮熱性良好な膜)が得られ
るがその条件幅はきわめて狭い。
【0016】このため、真空ポンプの排気速度の経時変
化や、ガス供給系の経時変化に起因する極微量のO2 濃
度の変動で、酸化されすぎて透明膜になったり、酸化不
充分でメタリックな膜になったりし、再現性よく同じ透
過率の青色膜を得ることは困難であった。
化や、ガス供給系の経時変化に起因する極微量のO2 濃
度の変動で、酸化されすぎて透明膜になったり、酸化不
充分でメタリックな膜になったりし、再現性よく同じ透
過率の青色膜を得ることは困難であった。
【0017】また、成膜中、チャンバ内でO2 濃度に分
布が生じると面内で色むらが生じ、均一な膜を得ること
が困難である。したがって、窓ガラスのように大面積基
板の場合、基板全面に均一な特性を得ることは実質上不
可能であった。
布が生じると面内で色むらが生じ、均一な膜を得ること
が困難である。したがって、窓ガラスのように大面積基
板の場合、基板全面に均一な特性を得ることは実質上不
可能であった。
【0018】さらに、O2 だけでなく同様な酸化の効果
を有する残留ガス(おもにH2 O)の影響も受けやすい
ため、生産装置の残留ガス圧の経時変動にともない可視
光透過率も変化してしまうので、青色酸化モリブデン膜
の再現性よい生産は不可能であった。酸化タングステン
の場合も製造条件がきわめて狭い点では同様である。
を有する残留ガス(おもにH2 O)の影響も受けやすい
ため、生産装置の残留ガス圧の経時変動にともない可視
光透過率も変化してしまうので、青色酸化モリブデン膜
の再現性よい生産は不可能であった。酸化タングステン
の場合も製造条件がきわめて狭い点では同様である。
【0019】このように、酸化タングステン膜や酸化モ
リブデン膜は、従来の電気化学的な方法では電波透過性
の付与や低コスト化、安定製造が困難であった。またス
パッタリング法を用いた製造方法の場合、小面積または
非常に限定された成膜条件のもとで作製すれば、高熱線
遮断性が得られるが、チャンバ内のO2 やH2 Oの影響
を非常に敏感に受ける欠点があり、大面積基板に適用す
ることは困難であった。このため実際の生産では、再現
性よく大面積基板上に安定して均一な特性の膜を得るこ
とが望めないことからこれまでに工業化、実用化されて
いなかった。
リブデン膜は、従来の電気化学的な方法では電波透過性
の付与や低コスト化、安定製造が困難であった。またス
パッタリング法を用いた製造方法の場合、小面積または
非常に限定された成膜条件のもとで作製すれば、高熱線
遮断性が得られるが、チャンバ内のO2 やH2 Oの影響
を非常に敏感に受ける欠点があり、大面積基板に適用す
ることは困難であった。このため実際の生産では、再現
性よく大面積基板上に安定して均一な特性の膜を得るこ
とが望めないことからこれまでに工業化、実用化されて
いなかった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高い遮熱性
と、高い電波透過性と、優れた生産安定性とを有し、面
内における特性が均一である電波透過型熱線遮断膜とそ
の成膜方法の提供を目的とする。
と、高い電波透過性と、優れた生産安定性とを有し、面
内における特性が均一である電波透過型熱線遮断膜とそ
の成膜方法の提供を目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、基体上に電波
透過型熱線遮断膜を成膜する方法において、モリブデン
からなるターゲットを用いて、二酸化炭素を含む雰囲気
中でスパッタリングし、酸化モリブデンを主成分とする
電波透過型熱線遮断膜を成膜することを特徴とする電波
透過型熱線遮断膜の成膜方法である。
透過型熱線遮断膜を成膜する方法において、モリブデン
からなるターゲットを用いて、二酸化炭素を含む雰囲気
中でスパッタリングし、酸化モリブデンを主成分とする
電波透過型熱線遮断膜を成膜することを特徴とする電波
透過型熱線遮断膜の成膜方法である。
【0022】また、本発明は、酸化モリブデンを主成分
とする電波透過型熱線遮断膜において、前記膜中に炭素
を含むことを特徴とする電波透過型熱線遮断膜である。
とする電波透過型熱線遮断膜において、前記膜中に炭素
を含むことを特徴とする電波透過型熱線遮断膜である。
【0023】以下に二酸化炭素雰囲気でのスパッタリン
グの効果について説明する。表1に、青色酸化モリブデ
ン膜を得るために必要な酸化性ガス濃度を示す。酸化性
ガス濃度としてO2 とCO2 を比較して示す。これらの
ガスをArガスに混入してスパッタリングを行った。ス
パッタリング電力密度は、4.6W/cm2 、スパッタ
リング圧力は、2.0×10-3Torrとした。
グの効果について説明する。表1に、青色酸化モリブデ
ン膜を得るために必要な酸化性ガス濃度を示す。酸化性
ガス濃度としてO2 とCO2 を比較して示す。これらの
ガスをArガスに混入してスパッタリングを行った。ス
パッタリング電力密度は、4.6W/cm2 、スパッタ
リング圧力は、2.0×10-3Torrとした。
【0024】O2 雰囲気でのスパッタリングでは、O2
濃度34%以下でメタリックな吸収膜、36%以上で透
明膜となり、青色酸化モリブデン膜が得られる範囲は酸
素ガス量が34〜36%というわずか2%の幅の領域で
あり、非常に狭い。
濃度34%以下でメタリックな吸収膜、36%以上で透
明膜となり、青色酸化モリブデン膜が得られる範囲は酸
素ガス量が34〜36%というわずか2%の幅の領域で
あり、非常に狭い。
【0025】これに対しO2 のかわりにCO2 雰囲気中
でのスパッタリングでは、青色膜が得られる酸化性ガス
濃度の条件幅は70〜100%と大幅に拡がることを新
規に見出した。このようにO2 のかわりにCO2 を酸化
性ガスとして用いることにより、製造条件幅が2%から
30%と15倍に拡大し、安定して生産できることが確
認された。
でのスパッタリングでは、青色膜が得られる酸化性ガス
濃度の条件幅は70〜100%と大幅に拡がることを新
規に見出した。このようにO2 のかわりにCO2 を酸化
性ガスとして用いることにより、製造条件幅が2%から
30%と15倍に拡大し、安定して生産できることが確
認された。
【0026】実際の生産装置の場合、製造条件幅が広い
ことに加えて長時間運転した場合の生産安定性も重要と
なる。特にスパッタリング等の真空装置の場合、残留ガ
ス圧力(主として水分)の変動が膜質に及ぼす影響が大
きいため、残留ガスの変動に対して安定に製膜できるこ
とが重要となる。図1に残留ガス圧力と酸化モリブデン
膜の可視光透過率の関係を示す。
ことに加えて長時間運転した場合の生産安定性も重要と
なる。特にスパッタリング等の真空装置の場合、残留ガ
ス圧力(主として水分)の変動が膜質に及ぼす影響が大
きいため、残留ガスの変動に対して安定に製膜できるこ
とが重要となる。図1に残留ガス圧力と酸化モリブデン
膜の可視光透過率の関係を示す。
【0027】O2 雰囲気中でのスパッタリングでは、残
留ガス圧力が1桁変わると可視光透過率が約15%変化
する。これに対しCO2 雰囲気中でのスパッタリングで
は、透過率の変化は5%程度であり、透過率変動が約1
/3に低減している。
留ガス圧力が1桁変わると可視光透過率が約15%変化
する。これに対しCO2 雰囲気中でのスパッタリングで
は、透過率の変化は5%程度であり、透過率変動が約1
/3に低減している。
【0028】すなわち、O2 スパッタリングでは、残留
ガスの影響を受けやすく可視光透過率が変化しやすいの
に対し、CO2 スパッタリングでは、生産安定性が大き
く改善される。
ガスの影響を受けやすく可視光透過率が変化しやすいの
に対し、CO2 スパッタリングでは、生産安定性が大き
く改善される。
【0029】本発明では、上述のように、酸化モリブデ
ンを成膜する際に、酸化性ガスとしてO2 のかわりにC
O2 を用いるので、チャンバ内の酸化性ガスや残留ガス
の変動の影響を受けにくく、安定して成膜できる。こう
したCO2 スパッタリング法で作製したMoOx 膜を2
次イオン質量分析法(SIMS)で分析した結果、膜中
にはモリブデンに対して0.01原子%以上の炭素
(C)が含まれていた。
ンを成膜する際に、酸化性ガスとしてO2 のかわりにC
O2 を用いるので、チャンバ内の酸化性ガスや残留ガス
の変動の影響を受けにくく、安定して成膜できる。こう
したCO2 スパッタリング法で作製したMoOx 膜を2
次イオン質量分析法(SIMS)で分析した結果、膜中
にはモリブデンに対して0.01原子%以上の炭素
(C)が含まれていた。
【0030】図2および図3に本発明の熱線遮断膜を用
いた積層体の代表例の断面図を示す。図2は2層からな
る積層体、図3は3層からなる積層体、を示す。1は基
体、2はCO2 雰囲気で作製した炭素(C)を0.01
原子%以上含む酸化モリブデンを主成分とする膜、3は
保護膜である。本発明における基体1としては、ガラス
板の他、プラスチック等のフィルムや板も使用できる。
いた積層体の代表例の断面図を示す。図2は2層からな
る積層体、図3は3層からなる積層体、を示す。1は基
体、2はCO2 雰囲気で作製した炭素(C)を0.01
原子%以上含む酸化モリブデンを主成分とする膜、3は
保護膜である。本発明における基体1としては、ガラス
板の他、プラスチック等のフィルムや板も使用できる。
【0031】本発明における酸化モリブデンを主成分と
する膜2は、先に述べたように、酸化不充分な膜であ
り、波長1μm付近の近赤外光を吸収する膜である。酸
化モリブデンを主成分とする膜2のシート抵抗は1×1
04 Ω/□以上が好ましい。シート抵抗が低くなるほ
ど、電波透過性が不良となる。
する膜2は、先に述べたように、酸化不充分な膜であ
り、波長1μm付近の近赤外光を吸収する膜である。酸
化モリブデンを主成分とする膜2のシート抵抗は1×1
04 Ω/□以上が好ましい。シート抵抗が低くなるほ
ど、電波透過性が不良となる。
【0032】酸化モリブデンを主成分とする膜2の膜厚
は5〜300nmが好ましい。5nm未満では充分な遮
熱性能が得られず、300nm超では内部応力による膜
剥がれが生じるので好ましくない。
は5〜300nmが好ましい。5nm未満では充分な遮
熱性能が得られず、300nm超では内部応力による膜
剥がれが生じるので好ましくない。
【0033】酸化モリブデンを主成分とする膜を作製す
るときのスパッタリングガス中のCO2 量は特に限定さ
れない。装置の種類やスパッタリング電力などの成膜条
件によって必要量が異なるので、それに応じて決めれば
よい。また、酸化力調整のため、O2 、CO、CH4 等
のガスを添加してもよい。
るときのスパッタリングガス中のCO2 量は特に限定さ
れない。装置の種類やスパッタリング電力などの成膜条
件によって必要量が異なるので、それに応じて決めれば
よい。また、酸化力調整のため、O2 、CO、CH4 等
のガスを添加してもよい。
【0034】保護層3としては、Zn、Zr、Si、S
n、TiおよびAlからなる群から選ばれる1種以上の
金属の酸化物膜または窒化物膜を使用できる。保護層3
は、耐候性や機械的耐久性を向上させるので好ましく用
いられる。色調、可視光透過率を考慮すると、保護層3
の膜厚は2〜200nmが望ましい。
n、TiおよびAlからなる群から選ばれる1種以上の
金属の酸化物膜または窒化物膜を使用できる。保護層3
は、耐候性や機械的耐久性を向上させるので好ましく用
いられる。色調、可視光透過率を考慮すると、保護層3
の膜厚は2〜200nmが望ましい。
【0035】
(例1)直流スパッタリング法により、ソーダライムガ
ラス基板上に、CO2 のみを用い、2.0×10-3To
rrの雰囲気中で、モリブデンをターゲットとして、酸
化モリブデン膜を50nm形成した。基板は無加熱、ス
パッタリング電力密度は4.6W/cm2 であった。
ラス基板上に、CO2 のみを用い、2.0×10-3To
rrの雰囲気中で、モリブデンをターゲットとして、酸
化モリブデン膜を50nm形成した。基板は無加熱、ス
パッタリング電力密度は4.6W/cm2 であった。
【0036】得られた膜の、可視光透過率は73.9
%、日射エネルギー透過率は70.2%であり遮熱性は
良好であった。得られた膜は、色むらがなく面内均一性
も良好であった。膜中のC濃度は5.0原子%であっ
た。
%、日射エネルギー透過率は70.2%であり遮熱性は
良好であった。得られた膜は、色むらがなく面内均一性
も良好であった。膜中のC濃度は5.0原子%であっ
た。
【0037】(例2)直流スパッタリング法により、熱
線吸収グリーンガラス基板上に、例1と同様にして酸化
モリブデン膜を50nm形成し、次いで、O2 のみを用
い、2.0×10-3Torrの雰囲気中で、亜鉛をター
ゲットとして、酸化亜鉛膜を75nm形成した。基板は
無加熱、スパッタリング電力密度は、酸化モリブデン膜
の成膜時に4.6W/cm2 、酸化亜鉛膜の成膜時に
は、6.9W/cm2 であった。
線吸収グリーンガラス基板上に、例1と同様にして酸化
モリブデン膜を50nm形成し、次いで、O2 のみを用
い、2.0×10-3Torrの雰囲気中で、亜鉛をター
ゲットとして、酸化亜鉛膜を75nm形成した。基板は
無加熱、スパッタリング電力密度は、酸化モリブデン膜
の成膜時に4.6W/cm2 、酸化亜鉛膜の成膜時に
は、6.9W/cm2 であった。
【0038】得られた膜の、可視光透過率は72.0
%、日射エネルギー透過率は55.8%であり、遮熱性
はかなり良好であった。得られた膜は、色むらがなく面
内均一性良好であった。膜中のC濃度は5.0原子%で
あった。
%、日射エネルギー透過率は55.8%であり、遮熱性
はかなり良好であった。得られた膜は、色むらがなく面
内均一性良好であった。膜中のC濃度は5.0原子%で
あった。
【0039】(例3)直流スパッタリング法により、ソ
ーダライムガラス基板上に、ArとO2 との体積比が6
3.3:36.7で、2.0×10-3Torrの雰囲気
中で、モリブデンをターゲットとして、酸化モリブデン
膜を50nm形成した。基板は無加熱、スパッタリング
電力密度は4.6W/cm2 であった。
ーダライムガラス基板上に、ArとO2 との体積比が6
3.3:36.7で、2.0×10-3Torrの雰囲気
中で、モリブデンをターゲットとして、酸化モリブデン
膜を50nm形成した。基板は無加熱、スパッタリング
電力密度は4.6W/cm2 であった。
【0040】得られた膜は、中央部が青く周辺部は透明
となり、面内均一性不良であった。膜中のC濃度は0.
01原子%以下であった。
となり、面内均一性不良であった。膜中のC濃度は0.
01原子%以下であった。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、高い遮熱性と、高い電
波透過性とを併有し、面内における特性が均一な電波透
過型熱線遮断膜を安定して生産できる。
波透過性とを併有し、面内における特性が均一な電波透
過型熱線遮断膜を安定して生産できる。
【0043】本発明の電波透過型熱線遮断膜は、前記の
優れた特性を有するため、自動車フロントガラス等の高
い可視光透過率が要求される部位にも使用できる。
優れた特性を有するため、自動車フロントガラス等の高
い可視光透過率が要求される部位にも使用できる。
【図1】残留ガス圧力と酸化モリブデン膜の可視光透過
率との関係を示すグラフ
率との関係を示すグラフ
【図2】本発明の熱線遮断膜を用いた2層構成の積層体
の断面図
の断面図
【図3】本発明の熱線遮断膜を用いた3層構成の積層体
の断面図
の断面図
1:基体 2:酸化モリブデンを主成分とする膜 3:保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 E06B 5/00 E06B 5/00 B 9/24 9/24 A // B60J 1/00 B60J 1/00 H (72)発明者 林 泰夫 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】基体上に電波透過型熱線遮断膜を成膜する
方法において、モリブデンからなるターゲットを用い
て、二酸化炭素を含む雰囲気中でスパッタリングし、酸
化モリブデンを主成分とする電波透過型熱線遮断膜を成
膜することを特徴とする電波透過型熱線遮断膜の成膜方
法。 - 【請求項2】酸化モリブデンを主成分とする電波透過型
熱線遮断膜において、前記膜中に炭素を含むことを特徴
とする電波透過型熱線遮断膜。 - 【請求項3】前記膜に含まれる炭素の量は、モリブデン
に対して0.01原子%以上であることを特徴とする請
求項2記載の電波透過型熱線遮断膜。 - 【請求項4】前記膜の膜厚が5〜300nmであること
を特徴とする請求項2または3記載の電波透過型熱線遮
断膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7162578A JPH0913165A (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 電波透過型熱線遮断膜およびその成膜方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7162578A JPH0913165A (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 電波透過型熱線遮断膜およびその成膜方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0913165A true JPH0913165A (ja) | 1997-01-14 |
Family
ID=15757256
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7162578A Pending JPH0913165A (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 電波透過型熱線遮断膜およびその成膜方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0913165A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002287330A (ja) * | 2002-03-01 | 2002-10-03 | Shin Etsu Chem Co Ltd | フォトマスク用ブランクス及びフォトマスク |
JP2006138010A (ja) * | 2004-10-16 | 2006-06-01 | Trikon Technol Ltd | スパッタリングのための方法及び装置 |
KR101480966B1 (ko) * | 2013-03-12 | 2015-01-15 | 한국생산기술연구원 | 근적외선영역의 선택적 차단기능을 갖는 이산화몰리브덴 분산졸 조성물의 제조방법 및 단열필름의 제조방법 |
-
1995
- 1995-06-28 JP JP7162578A patent/JPH0913165A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002287330A (ja) * | 2002-03-01 | 2002-10-03 | Shin Etsu Chem Co Ltd | フォトマスク用ブランクス及びフォトマスク |
JP2006138010A (ja) * | 2004-10-16 | 2006-06-01 | Trikon Technol Ltd | スパッタリングのための方法及び装置 |
KR101480966B1 (ko) * | 2013-03-12 | 2015-01-15 | 한국생산기술연구원 | 근적외선영역의 선택적 차단기능을 갖는 이산화몰리브덴 분산졸 조성물의 제조방법 및 단열필름의 제조방법 |
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