JPH09129544A - 荷電粒子線転写方法 - Google Patents

荷電粒子線転写方法

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JPH09129544A
JPH09129544A JP7285524A JP28552495A JPH09129544A JP H09129544 A JPH09129544 A JP H09129544A JP 7285524 A JP7285524 A JP 7285524A JP 28552495 A JP28552495 A JP 28552495A JP H09129544 A JPH09129544 A JP H09129544A
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pattern
distortion
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substrate
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Mamoru Nakasuji
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分割転写方式でマスク上のパターンを基板上
に転写する際に、偏向系の偏向歪、又は対物レンズ系の
歪による転写歪を小さくする。 【解決手段】 マスクMのパターンをX方向に複数の主
視野に分割し、各主視野をそれぞれY方向に複数の副視
野に分割し、副視野を通過した電子ビームEBを偏向器
9,10,13,14を介して偏向すると共に、対物レ
ンズ11,12で集束することによって、その副視野の
パターンの縮小像をウエハW上の対応する副転写領域に
転写する。各副視野の対物レンズ11,12による縮小
像の歪を位置補正用の偏向器15で補正し、各副視野を
通過した電子ビームに対する偏向器9,10,13,1
4の偏向歪を補正するように、偏向器に対する駆動信号
と偏向量との関係を求めておく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電子ビー
ム、又はイオンビーム等の荷電粒子線を用いて、半導体
集積回路等の高密度パターンを半導体ウエハ等の基板上
に転写するための荷電粒子線転写方法に関し、特にマス
クパターンを複数の小領域に分割して各小領域のパター
ンを基板上の対応する領域に転写する分割転写方式の電
子線縮小転写装置等で使用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】例えば半導体メモリ素子等の微細パター
ンを形成するために、マスクに形成された原画パターン
を電子ビームを介して電子線レジストが塗布された半導
体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という)上に転写する
電子線縮小転写装置が使用されている。最近は、マスク
上の広い面積のパターンを高いスループットでウエハ上
に転写するために、マスク上のパターンを第1方向(走
査方向)に複数個の主視野に分割し、更にこれら複数個
の主視野をそれぞれその第1方向に直交する第2方向
(非走査方向)に複数個の副視野に分割して、電子ビー
ムを偏向することによってそれら複数個の副視野のパタ
ーンを順次ウエハ上に転写すると共に、その第1方向に
平行にマスクを走査するのと同期して逆方向にウエハを
走査することにより、所定の回路パターンをウエハ上の
各転写領域(1ダイ分の領域)に逐次縮小転写する分割
転写方式の電子線転写装置も開発されている。
【0003】このような分割転写方式の電子線転写装置
では、複数個の副視野のパターンを順次ウエハ上に転写
するために、各副視野を通過した電子ビームを光軸に垂
直な方向に偏向する第1偏向器と、その電子ビームより
対応する副視野の縮小像を形成する対物レンズ系と、そ
の縮小像をウエハ上で横ずれさせるための第2偏向器と
を有する結像レンズ系が使用されている。この場合、複
数個の主視野の走査方向の幅はそれぞれ狭いため、光軸
付近の副視野については結像レンズ系により転写される
像の歪はあまり問題とはならない。
【0004】一方、各主視野は非走査方向に長いため複
数個の副視野の中には、光軸から非走査方向にかなり離
れた位置に存在するものがある。このように光軸から離
れた副視野のパターンをウエハ上の対応する位置に転写
する場合、その結像レンズ系により転写される像には偏
向器の偏向歪や対物レンズ系の収差等に起因する歪が重
畳されることがある。ところが、従来の電子線転写装置
では転写されるパターンの集積度がそれ程高くないこと
もあって、そのような偏向歪や対物レンズ系の歪を補正
する方法については特に考えられていなかった。
【0005】また、電子線転写装置と同様にウエハ等の
基板上に回路パターンを形成するために、基板上で可変
の断面形状の電子ビームを走査する方式の電子線描画装
置も使用されている。このような電子線描画装置では、
種々の基本パターン(副視野に相当する)が形成された
マスクを使用し、このマスク上から選択された基本パタ
ーンを通過した電子ビームを直交する2方向(これをX
方向、Y方向とする)に偏向することによって基板上に
所望のパターンを描画している。従って、電子ビームの
偏向歪は描画誤差の要因となるため、従来より偏向歪を
駆動信号の多項式で近似することによって補正してい
た。この場合、一例としてマスク上の各基本パターンに
ついて、駆動信号の関数としてX方向及びY方向の偏向
歪の補正式を求めておき、その補正式を用いてマスク上
の全部の基本パターンについてそれぞれ偏向歪の補正が
行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように従来の分
割転写方式の電子線転写装置では、偏向器の偏向歪や対
物レンズ系の収差による転写歪の補正は特に行われてい
なかった。しかしながら、半導体集積回路等が一層微細
化されるのに伴って、そのように残存している偏向歪や
対物レンズ系の歪を補正する必要性が高まっている。
【0007】これに関して、電子線描画装置では、駆動
信号の関数よりなる補正式を用いることによって、マス
ク上の各基本パターンについてそれぞれ偏向歪を補正し
ていた。しかしながら、対物レンズ系の歪は特に考慮さ
れていなかったと共に、各基本パターン(副視野)内で
の偏向歪は一定であるとみなして補正を行っていたた
め、光軸から離れた基本パターンでは偏向歪が残存して
いるという不都合があった。
【0008】また、分割転写方式では、マスク上の隣接
する副視野間の干渉を防止するために隣接する副視野間
に電子ビームを遮断するか、又は電子ビームを拡散する
境界領域(非パターン領域)が形成されている。これに
対して、各副視野のウエハ上への像は密着して接続され
ているため、各副視野のパターンをウエハ上に転写する
際には、偏向器を介してその境界領域の幅に対応する距
離だけ副視野の像を移動させる必要がある。この移動量
は、光軸を通り走査方向に平行な直線からの境界領域の
個数に比例するため、光軸から離れた副視野程大きい偏
向移動量を必要とする。一般に、偏向器による偏向量
は、偏向感度と偏向器に与える駆動信号量との積で表さ
れ、後者の駆動信号量は転写対象パターンの光軸からの
距離に応じて設定される。しかしながら、上述のように
隣接する副視野間に境界領域が介在する場合に、偏向器
に対して単純に当該副視野の光軸からの距離に応じた駆
動信号を供給しても、ウエハ上の像の転写位置が本来の
位置から外れてしまうため、何らかの方法で駆動信号量
のキャリブレーションを行う必要がある。
【0009】本発明は斯かる点に鑑み、分割転写方式で
マスク上のパターンを基板上に転写する際に、偏向系
(偏向器)の偏向歪、又は対物レンズ系の歪による転写
歪を小さくできる荷電粒子線転写方法を提供することを
第1の目的とする。更に本発明は、マスク上で隣接する
副視野間に境界領域が設けられたパターンを分割転写方
式で基板上に転写する際に、基板上ではそれら副視野の
像を密着して投影するために偏向系による荷電粒子線の
偏向量を正確に設定できる荷電粒子線転写方法を提供す
ることを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による荷電粒子線
転写方法は、マスク(M)に形成された転写用パターン
を複数個の主視野(321,322,…,32J)に分割し、
これら複数個の主視野をそれぞれ複数個の副視野(33
1,332,…,33N)に分割し、これら複数個の副視野毎
に順次荷電粒子線を照射してその各副視野のパターンを
結像レンズ系(9〜15)を介して基板(W)上に転写
すると共に、マスク(M)と基板(W)とを同期して移
動することにより、その転写用パターンを基板(W)上
に転写する荷電粒子線転写方法において、基板(W)上
に転写されるパターンの歪をその副視野毎に補正するよ
うにしたものである。
【0011】斯かる本発明によれば、荷電粒子光学系の
光軸から離れた副視野のパターンを基板(W)上に転写
する際の偏向系の偏向歪、若しくは対物レンズ系の歪、
又はこれら両方の歪を相殺するように、その副視野の基
板上での像の位置が補正される。従って、偏向系の偏向
歪、又は対物レンズ系の歪による転写歪が小さくなる。
【0012】この場合、結像レンズ系(9〜15)が、
マスク(M)の各副視野のパターンを通過した荷電粒子
線を偏向する偏向系(9,10,13〜15)と、その
各副視野のパターンを通過した荷電粒子線を基板(W)
上で集束する対物レンズ系(11,12)とから構成さ
れ、基板(W)上に転写されるパターンの歪が対物レン
ズ系(11,12)による歪であるときには、その転写
用パターンの結像位置をその偏向系を介して補正するこ
とが望ましい。即ち、その偏向系が転写される像の位置
補正用の偏向器としても使用される。
【0013】逆に、基板(W)上に転写されるパターン
の歪が偏向系(9,10,13〜15)による歪である
場合には、基板(W)上に転写されるパターンの歪に応
じてその偏向系による偏向量を補正することが望まし
い。次に、これらの発明において、基板(W)上に転写
されるパターンの歪を補正するためのパラメータを副視
野(331,332,…,33N)毎に記憶することが望まし
い。これによって、記憶されたパラメータに基づいて容
易に転写歪を補正できる。
【0014】この場合、一例として、複数個の副視野
(331,332,…,33N)毎に内部の複数点での基板
(W)上への転写位置の歪を実測し、このように実測さ
れた複数の歪の最大値と最小値との平均値のそれぞれを
それら副視野毎に記憶されるパラメータとすることがで
きる。具体的に、n番目の副視野では光軸に近い点と光
軸から遠い点とを含む複数点で投影像の第1方向への歪
Δxni(i=1,2,…)、及びその第1方向に直交す
る第2方向への歪Δyniが実測され、歪Δxniの最大値
及び最小値をそれぞれΔxnmax,Δxnminとして、歪Δ
niの最大値及び最小値をそれぞれΔynmax,Δynmin
とすると、n番目の副視野については、次のように定ま
る第1方向への歪の補正量Δxn 、及び第2方向への歪
の補正量Δyn がパラメータとして記憶される。
【0015】 Δxn =(Δxnmax+Δxnmin)/2 (1A) Δyn =(Δynmax+Δynmin)/2 (1B) この結果、例えば第2方向についての最大の残留歪Δy
nrは次のようになる。 Δynr=Δynmax−{(Δynmax+Δynmin)/2} =(Δynmax−Δynmin)/2 (2) これに対して単純に副視野内の歪の平均値を補正値とす
ると、最大の残留歪が大きくなる場合がある。また、
(2)式の残留歪が許容値以下であれば転写は可能で、
その残留歪が許容値を超えるときには、何らかの調整が
必要であることが分かる。
【0016】また、別の例として、複数個の副視野(3
1,332,…,33N)毎に内部の複数点で偏向系(9,
10,13〜15)に与える駆動信号と偏向量との関係
を実測し、このように実測された関係をその駆動信号の
多項式で近似し、このように近似された多項式の各次数
の係数のそれら副視野毎の最大値と最小値との平均値の
それぞれをそれら副視野毎のパラメータとして記憶し、
これらのパラメータに基づいて基板(W)上に転写され
るパターンの歪の補正を行ってもよい。
【0017】このように偏向系の駆動信号と偏向量との
関係を実測することにより、マスク上で隣接する副視野
間に境界領域が設けられている場合でも、基板上での転
写位置を所望の位置にずらすことができる。従って、基
板上ではそれら副視野の像を正確に密着して投影でき
る。具体的に、n番目の副視野で光軸に近い点及び光軸
から遠い点を含む複数点で偏向系に与える駆動信号D
nsi と偏向量Dniとの関係を実測し、実測結果を次のよ
うに駆動信号Dnsi の多項式で近似する。但し、添字i
はn番目の副視野内での計測点の順序を示し、Knij(j
=1,2,…)はj次の係数である。
【0018】 Dni=Kni1 nsi +Kni2 nsi 2+Kni3 nsi 3+… (3) その後、その副視野内での各次数の係数Knij の最大値
及び最小値をそれぞれmax(Knij),min(Knij)
として、各次数の係数の最大値と最小値との中間値より
なる係数knj(j=1,2,…)を次のように求める。 kn1={max(Kni1)+min(Kni1)}/2 (4A) kn2={max(Kni2)+min(Kni2)}/2 (4B) kn3={max(Kni3)+min(Kni3)}/2 (4C) そして、n番目の副視野に関して偏向系に与える駆動信
号Dnsと偏向量Dn との関係を示す近似多項式として次
式を使用する。
【0019】 Dn =kn1ns+kn2ns 2 +kn3ns 3 +… (5) この場合の3次までの残留する偏向歪ΔDnrは、次のよ
うに表される。 ΔDnr={(max(Kni1)−min(Kni1))/2}Dns +{(max(Kni2)−min(Kni2))/2}Dns 2 +{(max(Kni3)−min(Kni3))/2}Dns 3 +… (6) 従って、この式で偏向歪の補正残を計算して転写するこ
とにより高精度な転写ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
につき図面を参照して説明する。本例は、分割転写方式
の電子線縮小転写装置でマスクパターンの転写を行う場
合に本発明を適用したものである。図1は、本例で使用
される電子線縮小転写装置を示し、この図1において、
電子銃1から放出された電子ビームEBは、コンデンサ
レンズ2で平行ビームに変換された後、視野選択偏向器
3によって偏向されてマスクMのパターン領域から選択
された後述の1つの副視野に導かれる。以下では、電子
光学系の光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平
面内で図1の紙面に垂直にX軸を、図1の紙面に平行に
Y軸を取って説明する。この場合、視野選択偏向器3で
は、装置全体を統轄制御する主制御系5によって制御さ
れる偏向量設定部4からの駆動信号に応じて、電子ビー
ムEBをマスクM上でX方向、Y方向に偏向する。
【0021】マスクMはマスクステージ6上に保持さ
れ、マスクステージ6はマスクベース7上でX方向にマ
スクMを連続的に移動(走査)すると共に、Y方向にマ
スクMをステッピング移動する。マスクステージ6のY
方向の座標はレーザ干渉計8Yにより計測され、X方向
の2箇所の座標はレーザ干渉計8X1,8X2(図2参
照)により計測され、計測値が主制御系5に供給されて
いる。これら3軸の計測値によって、マスクステージ6
のX座標、Y座標、及び回転角(ヨーイング)が常時求
められ、これらの座標等に基づいて主制御系5はマスク
ステージ6の動作を制御する。
【0022】マスクMの1つの副視野を透過した電子ビ
ームEBは、第1主偏向器9及び第1副偏向器10によ
って光軸AX側に偏向され、磁気レンズよりなる第1対
物レンズ11及び第2対物レンズ12を介して集束され
つつ、第2主偏向器13、第2副偏向器14、及び位置
補正用の偏向器15によって偏向されて、電子線レジス
トが塗布されたウエハW上の対応する副転写領域にその
副視野内のパターンの反転された縮小像を転写する。マ
スクMからウエハWへの投影倍率βは、例えば1/4で
ある。主制御系5が偏向量設定部16を介して、第1主
偏向器9及び第1副偏向器10での電子ビームの偏向量
を設定すると共に、偏向量設定部17を介して、第2主
偏向器13、第2副偏向器14、及び位置補正用の偏向
器15での電子ビームの偏向量を設定する。位置補正用
の偏向器15は、第1対物レンズ11、及び第2対物レ
ンズ12の歪を補正するために使用される。これらの偏
向器としては、電磁偏向器、又は静電偏向器の何れでも
使用できる。
【0023】ウエハWは試料台18上に保持され、試料
台18はXYステージ19上に固定されている。XYス
テージ19は、試料台18をX方向に連続的に移動(走
査)すると共に、Y方向にステッピング移動する。試料
台18のY方向の座標はレーザ干渉計20Yにより計測
され、X方向の2箇所の座標はレーザ干渉計20X1,
20X2(図2参照)により計測され、計測値が主制御
系5に供給されている。これら3軸の計測値によって、
試料台18のX座標、Y座標、及び回転角が常時求めら
れ、これらの座標等に基づいて主制御系5はXYステー
ジ19の動作を制御する。
【0024】更に、ウエハWの斜め上方に反射電子検出
器21が設置され、反射電子検出器21の検出信号が主
制御系5に供給されている。本例の反射電子検出器21
は、マスクに設けられた所定のマークの像と、試料台1
8上の対応するマークとがX方向、又はY方向にそれぞ
れどれだけずれているかを検出するために使用される。
図2は、図1の電子線縮小転写装置をY方向から見た側
面図であり、この図2において、マスクM上の1つの副
視野のパターンに電子ビームEBが照射され、その副視
野のパターンが第1対物レンズ11及び第2対物レンズ
12を介してウエハW上に転写されている。また、第1
主偏向器9、第1副偏向器10、及び第2主偏向器1
3、第2副偏向器14はX方向にはマスクM上で±1個
分の副視野程度の幅で電子ビームEBを偏向できると共
に、位置補正用の偏向器15は、電子ビームEBに対し
てX方向にもY方向と同様に作用している。
【0025】分割転写方式でマスクMのパターンをウエ
ハW上の1つのダイ(半導体チップ)に相当する転写領
域に転写する際には、図2に示すように、マスクMのY
方向に伸びたパターンを順次ウエハW上に転写すると共
に、マスクMを+X方向(又は−X方向)に速度VMで
走査するのと同期して、ウエハWを−X方向(又は+X
方向)にほぼ速度β・VMで走査する。上述のように、
βは投影倍率であり、マスクMの走査方向とウエハWの
走査方向とが逆であるのは、ウエハW上に反転像が投影
されるからである。
【0026】図3(a)は転写対象のマスクMの一例を
示し、この図3(a)において、マスクMのパターン領
域31はX方向(走査方向)に一定幅の主視野321,3
2,…,32J に分割され、各主視野はそれぞれY方向
(非走査方向)に一定幅の副視野331,332,…,33
N(J,Nはそれぞれ2以上の整数)に分割され、各副視
野33n(n=1〜N)内にそれぞれ転写用のパターンが
形成されている。そして、図1の電子銃1からの電子ビ
ームEBはそのパターン領域31から選択された1つの
副視野に照射されるようになっている。また、隣接する
主視野321,322,…,32J はそれぞれ電子ビームを
遮断、又は散乱(拡散)する一定幅の境界領域(非パタ
ーン領域)341,342,…,34J-1 で仕切られてお
り、隣接する副視野331,332,…,33N も、それぞ
れ電子ビームを遮断、又は散乱する一定幅の境界領域
(非パターン領域)351,352,…,35N-1 で仕切ら
れており、各副視野のパターンを順次ウエハW上に転写
する際に、隣接する副視野のパターンとの間で干渉が生
じないように構成されている。
【0027】電子線用のマスクMとしては、窒化シリコ
ン(SiN)等の薄膜にて電子ビームの透過部を形成
し、その薄膜の表面に設けたタングステン等の薄膜を散
乱部とする所謂散乱マスク、又はタングステン製の散乱
基板内に設けた抜き穴を電子ビームの透過部とする所謂
穴空きステンシルマスク等が存在するが、本例では何れ
のマスクでも使用できる。
【0028】図3(b)は、ウエハW上の1ダイ分に相
当する1つの転写領域36を示し、この図3(b)にお
いて、転写領域36はX方向に所定ピッチで主転写領域
37 1,372,…,37J に分割され、各主転写領域はそ
れぞれY方向に所定ピッチで副転写領域381,382,
…,38N に分割されている。そして、一例として、ウ
エハW上の主転写領域371,372,…,37J にそれぞ
れマスクMの主視野32 1,322,…,32J のパターン
が縮小転写され、且つ各主転写領域内では副転写領域3
1,382,…,38N にそれぞれマスクMの副視野33
1,332,…,33 N のパターンが縮小転写されるように
なっている。この場合、副視野331,33 2,…,33N
のパターンは、それぞれ光軸AXとの間に介在する境界
領域(非パターン領域)351,352,…,35N-1 の幅
の合計値の投影倍率分だけウエハW上でY方向に横ずれ
して転写され、ウエハW上の副転写領域381,382,
…,38N はY方向に密着して接続されるようになって
いる。更に、ウエハW上の主転写領域371,372,…,
37J もX方向に密着して接続されている。このため、
マスクMの走査速度と、ウエハWの走査速度との比は、
マスクM上の境界領域341,342,…,34J-1 に対応
する割合で投影倍率βと異なっている。
【0029】なお、例えばウエハW上の異なる位置の複
数の副転写領域に互いに同一のパターンが縮小転写され
るような場合には、マスクM上の対応する複数の副視野
を1つの副視野にまとめることによって、マスクMのパ
ターンを圧縮するようにしてもよい。このようにマスク
Mのパターンを圧縮した場合には、例えば図3(a)の
副視野331 のパターンは必ずしもウエハW上の副転写
領域381 に転写されるとは限らず、各副視野331
33N を通過した電子ビームに対する偏向量はそれぞれ
最大値と最小値との間の任意の値になり得る。
【0030】図1に戻り、主制御系5に接続された不図
示の露光データ記憶装置より、露光対象のマスクMのパ
ターン構成や、ウエハW上の複数の転写領域の配列の情
報等の露光データが主制御系5に供給される。この露光
データに基づいて、主制御系5は偏向量設定部4,1
6,17を介して電子ビームEBのX方向、及びY方向
への偏向量を制御すると共に、マスクステージ6及びウ
エハ側の試料台18の位置及び移動速度を制御すること
によって、ウエハW上の各転写領域にそれぞれ目標とす
るパターンを転写する。
【0031】この際に、図3(a)に示すように、マス
クMの主視野321 〜32J はそれぞれY方向に長いた
め、副視野331 〜33N 中の特に両端部近傍の副視野
は光軸AXからかなり離れた領域に位置し、偏向器9,
10,13,14による偏向歪や対物レンズ11,12
による歪に伴う転写歪が大きくなる。更に、マスクM上
の副視野331 〜33N の間には境界領域351 〜35
N-1 が存在し、偏向器9,10,13,14による偏向
量には、境界領域351 〜35N-1 に対応するオフセッ
ト補正を行う必要がある。そこで、本例では以下のよう
に、マスクMの副視野331 〜33N 毎に偏向器の偏向
歪や、対物レンズによる歪を補正するためのパラメータ
を求めて記憶しておき、主制御系5ではそのパラメータ
に基づいて転写歪の補正を行うようにしている。
【0032】次に、図1及び図4を参照してマスクMの
副視野331 〜33N 毎に偏向器の偏向歪や、対物レン
ズによる歪を補正するためのパラメータを求める方法の
一例につき説明する。先ず、図1のマスクMの代わりに
マスクステージ6上に、所定のアライメントマークが形
成された評価用マスクを載置する。図4(a)は、その
評価用マスクに形成されたアライメントマークを示し、
この図4(a)において、X方向に伸びた複数の線状パ
ターン(電子ビームの透過部)をY方向にランダムなピ
ッチで配列してなるY軸のアライメントマーク39Y
と、アライメントマーク39Yを90°回転した形状の
X軸のアライメントマーク39Xとが、Y方向に所定間
隔で形成されている。
【0033】そして、図1のウエハWの代わりに試料台
18上に、所定の評価用マークが形成された評価用ウエ
ハを載置する。図4(b)は、その評価用ウエハ上に形
成された評価用マークの配列を示し、この図4(b)に
おいて、Y方向に所定ピッチで配列された副転写領域3
1,382,…,38N にそれぞれ3対の評価用マークが
形成されている。副転写領域381,382,…,38N
Y方向へのピッチは、通常のマスクMの副視野331
33N のパターンが転写される副転写領域のピッチと同
一である。具体的に、1番目の副転写領域381 内に
は、光軸に最も近い−Y方向の端部にX軸の評価用マー
ク41X1 、及びY軸の評価用マーク41Y1 が近接し
て形成され、光軸から最も離れた一方(+Y方向、且つ
−X方向)の端部にX軸の評価用マーク42X1 、及び
Y軸の評価用マーク42Y1 が近接して形成され、光軸
から最も離れた他方(+Y方向、且つ+X方向)の端部
にX軸の評価用マーク43X1 、及びY軸の評価用マー
ク43Y1 が近接して形成されている。
【0034】同様に、他の副転写領域38m(m=2〜
N)にも、それぞれ1番目の副転写領域381 内と同じ
配列で、光軸に最も近いX軸の評価用マーク41Xm
Y軸の評価用マーク41Ym 、光軸から最も離れた一方
のX軸の評価用マーク42Xm、Y軸の評価用マーク4
2Ym 、及び光軸から最も離れた他方のX軸の評価用マ
ーク43Xm 、Y軸の評価用マーク43Ym が形成され
ている。そして、Y軸の評価用マーク41Yn,42Yn,
43Yn(n=1〜N)は、代表的に図4(c)の拡大し
た評価用マーク41Y2 で示すように、それぞれ図4
(a)のY軸のアライメントマーク39Yを図1のマス
クMからウエハWへの投影倍率βで縮小したランダムな
パターンとなっており、例えば評価用マーク41Y2
構成する複数の線状パターンが電子ビームを散乱するパ
ターンとなっている。また、X軸の評価用マーク41X
n,42Xn,43Xn は、それぞれ評価用マーク41Y2
を90°回転した形状である。
【0035】従って、本例では評価用マスクのX軸のア
ライメントマーク39Xの試料台18上への縮小像が、
例えば評価用ウエハ上のX軸の評価用マーク41Xn,4
2X n,43Xn の何れかとX方向に合致すると、図1の
反射電子検出器21からの検出信号が最大になることか
ら、主制御系5では、アライメントマーク39Xの縮小
像がX軸の何れかの評価用マークとX方向に合致したか
どうかを検出できるようになっている。同様に反射電子
検出21の検出信号より、主制御系5は、Y軸のアライ
メントマーク39Yの縮小像がY軸の何れかの評価用マ
ーク41Yn,42Yn,43Yn とY方向に合致したかど
うかを検出できるようになっている。更に、本例では、
X軸の評価用マーク41Xn,42Xn,43Xn 、及びY
軸の評価用マーク41Yn,42Yn,43Yn の正確な位
置関係が別の座標測定装置によって予め計測されてい
る。
【0036】次に、図1のウエハ側のXYステージ19
を駆動して、その評価用ウエハを移動することによっ
て、図4(b)の副転写領域381,382,…,38N
配列の中心をほぼ光軸AXに合致させる。このために
は、その評価用ウエハに位置合わせ用のマークを形成し
ておき、このマークの試料台18に対する相対位置を不
図示のアライメントセンサで検出するようにしてもよ
い。同様に、図4(a)のアライメントマーク39X,
39Yの配列の中心が光軸AXにほぼ合致するようにマ
スクステージ6の位置決めを行う。
【0037】その後、レーザ干渉計8Y,8X1,8X
2の計測値に基づいてマスクステージ6をX方向、Y方
向に駆動して評価用マスクを移動することによって、図
4(b)の端部の副転写領域38N のX軸の評価用マー
ク41XN 上に、図4(a)のアライメントマーク39
Xの像が転写されると設計上で予測される副視野の位置
にそのアライメントマーク39Xを移動する。この際に
アライメントマーク39Xの位置は、図3(a)で示し
たように、通常のマスクM上で副視野331 〜33N
に設けられる境界領域351,352,…,35N-1 を考慮
した位置に移動される。そして、視野選択偏向器3でそ
のアライメントマーク39X上に電子ビームEBを照射
した状態で、偏向器9,10,13,14による電子ビ
ームEBのY方向への偏向量を設計値に設定し、X方向
への偏向量を設計値に対して前後に所定幅で振ることに
よって、アライメントマーク39Xの縮小像を評価用マ
ーク41XN 上でX方向に走査する。この場合、それら
4個の偏向器9,10,13,14はそれぞれ独立に駆
動されるが、以下では第1主偏向器9の動作のみについ
て説明する。他の偏向器についても同様に扱われる。
【0038】そして、主制御系5では、反射電子検出器
21からの検出信号が最大となるとき、即ちアライメン
トマーク39Xの縮小像が評価用マーク41XN とX方
向に合致するときの、第1主偏向器9に対する駆動信号
量を記憶する。この第1主偏向器9の偏向感度は既知で
あるため、その駆動信号量にその偏向感度を乗ずること
によって、そのアライメントマーク39Xの縮小像のそ
の評価用ウエハ上でのX方向への偏向量が求められる。
この偏向量、及びマスクステージ6のX座標、Y座標、
回転角に基づいて、評価用マーク41XN のマスクステ
ージ6の座標系でのX座標xN1が求めれる。そして、こ
のX座標xN1、及びウエハW側の試料台18のX座標、
Y座標、回転角より、評価用マーク41XN の試料台1
8の座標系でのX座標xN1’が求められる。同様に、ア
ライメントマーク39Xを対応する位置に移動して第1
主偏向器9による偏向量を制御することによって、図4
(b)のX軸の評価用マーク42XN,43XN の試料台
18上でのX座標xN2’,xN3’が算出される。
【0039】その後、図1のマスクステージ6を介して
評価用マスクを移動することによって、図4(b)の端
部の副転写領域38N のY軸の評価用マーク41YN
に、図4(a)のアライメントマーク39Yの像が転写
されると設計上で予測される副視野の位置にアライメン
トマーク39Yを移動する。この際にアライメントマー
ク39Yの位置は、図3(a)で示したように、通常の
マスクM上で副視野331 〜33N 間に設けられる境界
領域351,352,…,35N-1 を考慮した位置に移動さ
れる。そして、視野選択偏向器3でそのアライメントマ
ーク39Y上に電子ビームEBを照射した状態で、偏向
器9,10,13,14を介して電子ビームEBをY方
向に設計値に対して前後に所定幅で振って、反射電子検
出器21の検出信号をモニタすることによって、マスク
ステージ6の座標系上での評価用マーク41YN のY座
標yN1が求められる。そして、このY座標yN1、及びウ
エハ側の試料台18のX座標、Y座標、回転角より、評
価用マーク41YN の試料台18の座標系でのY座標y
N1’が求めれる。
【0040】同様にして、他の2個のY軸の評価用マー
ク42YN,43XN の試料台18の座標系でのY座標y
N2’,yN3’が計測される。更に、図4(b)の全ての
副転写領域38n(n=1〜N)内のX軸の評価用マーク
41Xn,42Xn,43Xn 、及びY軸の評価用マーク4
1Yn,42Yn,43Yn のそれぞれの試料台18の座標
系上でのX座標、及びY座標が計測される。
【0041】次に、それらの計測値を用いてマスク上の
副視野毎のパターンの対物レンズ11,12による歪を
補正するためのパラメータの算出を行う。一例として、
図4(b)に示すように、評価用ウエハ上のY方向の端
部の副転写領域381 に対応する副視野、即ち図3の端
部の副視野331 におけるパラメータの算出を行うもの
とする。この際に、図1の対物レンズ11,12は軸対
称であるため、図4(b)のY方向の両端部の副転写領
域381,38N における評価用マークの計測値を使用す
る。そのため、副転写領域381 内のX軸の評価用マー
ク41X1,42X1,43X1 の試料台18の座標系で計
測されたX座標をそれぞれx11’,x12’,x13’とし
て、Y軸の評価用マーク41Y1,42Y1,43Y1 の試
料台18の座標系で計測されたY座標をそれぞれ
11’,y12’,y13’とする。また、予め別の座標計
測装置で計測してある評価用マーク41X1,42X1,4
3X1,41XN,42XN,43XN のX座標をそれぞれx
11”,x12”,x13”,xN1”,xN2”,xN3”とし
て、評価用マーク41Y1,42Y1,43Y1,41YN,4
2Y N,43YN のY座標をそれぞれy11”,y12”,y
13”,yN1”,yN2”,yN3”とする。
【0042】この場合、副視野331 の光軸に近い位置
での対物レンズによるX方向への歪をΔxn1、Y方向へ
の歪をΔyn1とすると、これらの歪は次のように表され
る。 Δyn1=(y11’−yN1’)−(y11"−yN1”) (7A) Δxn1=(x11’−xN1’)−(x11"−xN1”) (7B) 一方、その副視野内の光軸から遠い2つの位置での対物
レンズのX方向への歪Δxn2,Δxn3、及びY方向への
歪Δyn2,Δyn3は次のようになる。
【0043】 Δyn2=(y12’−yN2’)−(y12"−yN2”) (8A) Δxn2=(x12’−xN2’)−(x12"−xN2”) (8B) Δyn3=(yN3’−y13’)−(yN3”−y13") (9A) Δxn3=(xN3’−x13’)−(xN3”−x13") (9A) このとき、これらの歪の内で光軸に近い位置での歪Δx
n1,Δyn1がその副視野内での最小の歪Δxnmin,Δy
nminとなる。また、光軸から離れた位置での2つのX方
向への歪Δxn2,Δxn2の内の大きい方をΔxnmaxとし
て、2つのY方向への歪Δyn2,Δyn2の内の大きい方
をΔynmaxとすると、副視野331 の対物レンズによる
縮小像のX方向への歪Δxn 、及びY方向への歪Δyn
として次の値を使用する。
【0044】 Δyn =(Δynmin+Δynmax)/2 (10A) Δxn =(Δxnmin+Δxnmax)/2 (10B) そして、これらの歪Δxn ,Δyn を副視野331 にお
ける歪補正用のパラメータとして記憶し、副視野331
のパターンをウエハW上に転写する際には、図1の位置
補正用の偏向器15を動作させてそれらの歪Δxn ,Δ
n を相殺するように電子ビームEBを偏向する。これ
によって、副視野331 のパターンは歪が補正されてウ
エハW上に転写される。また、それらのΔxn ,Δyn
は副視野内の歪の最大値と最小値との平均値(中間値)
であるため、その副視野内の全体で残留する歪は最小と
なる。同様に他の副視野についても、各副視野内の歪の
最大値と最小値との平均値を歪補正用のパラメータとす
ることによって、高精度に歪の補正が行われる。
【0045】次に、図1の第1主偏向器9における偏向
歪の補正方法の一例につき説明する。他の偏向器10,
13,14についても同様である。この場合にも、図4
(a)のアライメントマーク39X,39Yが形成され
た評価用マスクを使用し、図4(b)の評価用マークが
形成された評価用ウエハを使用する。そして、図4
(b)の評価用ウエハの上端の副転写領域381 に対応
する図3(a)の端部の副視野331 での偏向歪を計測
するものとする。このため、マスクステージ6を駆動し
て、図4(b)の副転写領域381 内のY軸の評価用マ
ーク41Y1 上にY軸のアライメントマーク39Yの縮
小像が結像されると予測される副視野の位置にそのアラ
イメントマーク39Yを移動する。この際には、図3
(a)に示す境界領域351 〜35N-1 の幅も考慮され
ている。
【0046】そして、この位置で図1の偏向器9,1
0,13,14を動作させてアライメントマーク39Y
の縮小像を評価用マーク41Y1 上でY方向に走査し
て、反射電子検出器21の検出信号からアライメントマ
ーク39Yが評価用マーク41Y 1 とY方向に合致する
ときの第1主偏向器9に対する駆動信号Dns10を記憶
し、マスクステージ6の2次元座標、及びウエハ側の試
料台18の2次元座標を求める。次に、副視野331
通過した電子ビームのY方向への偏向量を最大偏向量の
1/3倍、2/3倍、及び1倍に切り換えてそれぞれ第
1主偏向器9に対する駆動信号Dns1k(k=1〜3)を
計測する。このためには、図1のウエハ側のXYステー
ジ19を駆動して、図4(b)の副転写領域381 を光
軸に対してY方向に順次最大露光半径の1/3倍、2/
3倍、及び1倍の位置に移動して、それぞれアライメン
トマーク39Yの縮小像が評価用マーク41Y1 と合致
するときの第1主偏向器9に対する駆動信号Dns1kを計
測すればよい。
【0047】このとき、第1主偏向器9に対する駆動信
号の差分(Dns1k−Dns10)と駆動信号Dns1kとの比の
値は、XYステージ19の移動量ΔY1k(マスクステー
ジ6の振動等による位置変化を補正した相対的な移動
量)と第1主偏向器9による偏向量(これをDn1k とす
る)との比の値と等しい。従って、第1主偏向器9に駆
動信号Dns1kを供給したときの偏向量Dn1k は、次式よ
り求めることができる。
【0048】 Dn1k =Dns1k・ΔY1k/(Dns1k−Dns10) (11) この結果、駆動信号Dns1kと偏向量Dn1k との組み合わ
せが3組できるため、各組の数値を係数Kn1j(j=1,
2,3)を用いてそれぞれ次式で対応させる。 Dn1k =Kn11 ns1k+Kn12 ns1k 2 +Kn13 ns1k 3 (12) この式は3組あるため、それら3個の係数Kn11,Kn12,
n13 を計算できる。同様にして、図4(b)のY軸の
評価用マーク42Y1 についても第1主偏向器9に対す
る駆動信号Dns2kと偏向量Dn2k との関係を計測し、
(12)式の係数に対応する係数Kn2j(j=1,2,
3)を求める。更に、図4(b)の評価用マーク43Y
1 についても第1主偏向器9に対する駆動信号Dns3k
偏向量Dn3kとの関係を計測し、(12)式の係数に対
応する係数Kn3j(j=1,2,3)を求める。
【0049】その後、これらの係数の内で光軸に近い位
置での係数Kn1j がその副視野に関する最小の係数mi
n(Knij)となる。また、光軸から離れた位置での2つ
の係数Kn2j,Kn3j の内の大きい方を最大の係数max
(Knij)として、次式より係数knj(j=1,2,3)
を求める。 kn1={max(Kni1)+min(Kni1)}/2 (13A) kn2={max(Kni2)+min(Kni2)}/2 (13B) kn3={max(Kni3)+min(Kni3)}/2 (13C) そして、これらの係数knjを副視野331 における第1
主偏向器9の偏向歪を補正するためのパラメータとして
記憶する。実際に副視野331 のパターンを転写する際
には、第1主偏向器9に与える駆動信号Dnsと偏向量D
n との関係を示す近似多項式として次式が使用される。
【0050】 Dn =kn1ns+kn2ns 2 +kn3ns 3 (14) これによって、その副視野331 のパターンを転写する
際のY方向への残留偏向歪は、補正する前の最大値と最
小値との中間の値になり、高精度にパターンの転写が行
われる。この場合、係数knjを定める過程で図3(a)
の境界領域35 1 〜35N-1 の幅が考慮されているた
め、ウエハ上に隣接する副視野のパターンを正確に密着
して転写できる利点がある。
【0051】他の副視野についても同様に近似多項式が
定められる。また、本例では、走査方向(X方向)には
パターンを大きく振る必要がないため、X方向への偏向
歪はあまり問題とならないが、X軸のアライメントマー
ク39Y及び評価用マークを使用することによって、X
方向への偏向歪も良好に補正できる。なお、本発明は上
述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しな
い範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、副視野毎に基板上に転
写されるパターンの歪を補正しているため、分割転写方
式でマスク上のパターンを基板上に転写する際に、偏向
系(偏向器)の偏向歪、又は対物レンズ系の歪による転
写歪を小さくできる利点がある。更に、レンズ系として
かなり大きい歪があるレンズを用いても高精度転写が可
能になるので、主視野を大きくすることができる。ある
いは、同様の理由で荷電粒子光学鏡筒のマスクと基板と
の間の距離を小さくできる。また、同様の理由で大きい
副視野で転写できるため、高いスループットで転写を行
うことができる。
【0053】この場合、結像レンズ系が、マスクの各副
視野のパターンを通過した荷電粒子線を偏向する偏向系
と、その各副視野のパターンを通過した荷電粒子線を基
板上で集束する対物レンズ系とから構成され、基板上に
転写されるパターンの歪はその対物レンズ系による歪で
あり、その転写用パターンの結像位置をその偏向系を介
して補正するときには、特に別途補正用のレンズを設け
る必要がないため、荷電粒子光学鏡筒の構成を簡略化で
きる。
【0054】一方、その基板上に転写されるパターンの
歪はその偏向系による歪であり、その基板上に転写され
るパターンの歪に応じてその偏向系による偏向量を補正
するときにも、特に別途補正用のレンズを設ける必要が
ないため、荷電粒子光学鏡筒の構成を簡略化できる。ま
た、その基板上に転写されるパターンの歪を補正するた
めのパラメータをその副視野毎に記憶する場合には、そ
のパラメータに基づいて補正を行えばよいため、歪の補
正を容易に行うことができる。
【0055】この際に、複数個の副視野毎に内部の複数
点の基板上への転写位置の歪を実測し、この実測された
複数の歪の最大値と最小値との平均値のそれぞれをそれ
ら副視野毎に記憶されるパラメータとする場合には、そ
れら副視野毎の残留歪を最小にすることができる。ま
た、複数個の副視野毎に内部の複数点でその偏向系に与
える駆動信号と偏向量との関係を実測し、このように実
測された関係をその駆動信号の多項式で近似し、このよ
うに近似された多項式の各次数の係数のそれら副視野毎
の最大値と最小値との平均値のそれぞれをそれら副視野
毎のパラメータとして記憶し、この記憶されたパラメー
タに基づいてその基板上に転写されるパターンの歪を補
正する場合には、それら副視野毎の残留偏向歪を最小に
することができる。更に、マスク上で隣接する副視野間
に境界領域が設けられたパターンを分割転写方式で基板
上に転写する際に、基板上ではそれら副視野の像を密着
して投影する場合でも、そのパラメータの中でそれら境
界領域の幅が考慮されているため、偏向系による荷電粒
子線の偏向量を正確に設定できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例で使用される電子線
縮小転写装置を示す構成図である。
【図2】図1の電子線縮小転写装置をY方向から見た側
面図である。
【図3】(a)は分割転写方式で転写されるマスクのパ
ターン配置の一例を示す一部を省略した平面図、(b)
は分割転写方式で転写されるウエハ上の1つの転写領域
を示す平面図である。
【図4】(a)はレンズの歪及び偏向歪を計測する際に
使用される評価用マスクのアライメントマークを示す
図、(b)はその計測の際に使用される評価用ウエハの
評価用マークの配置を示す一部を省略した図、(c)は
図4(b)中のC部の拡大図である。
【符号の説明】
M マスク W ウエハ 6 マスクステージ 9 第1主偏向器 10 第1副偏向器 11 第1対物レンズ 12 第2対物レンズ 13 第2主偏向器 14 第2副偏向器 15 位置補正用の偏向器 18 試料台 321 〜32J 主視野 331 〜33N 副視野 36 転写領域 39X X軸のアライメントマーク 41X1,42X1,43X1,41XN,42XN,43XN
X軸の評価用マーク

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスクに形成された転写用パターンを複
    数個の主視野に分割し、該複数個の主視野をそれぞれ複
    数個の副視野に分割し、前記複数個の副視野毎に順次荷
    電粒子線を照射して前記各副視野のパターンを結像レン
    ズ系を介して基板上に転写すると共に、前記マスクと前
    記基板とを同期して移動することにより、前記転写用パ
    ターンを前記基板上に転写する荷電粒子線転写方法にお
    いて、 前記基板上に転写されるパターンの歪を前記副視野毎に
    補正することを特徴とする荷電粒子線転写方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の荷電粒子線転写方法であ
    って、 前記結像レンズ系は、前記マスクの前記各副視野のパタ
    ーンを通過した荷電粒子線を偏向する偏向系と、前記各
    副視野のパターンを通過した荷電粒子線を前記基板上で
    集束する対物レンズ系とから構成され、 前記基板上に転写されるパターンの歪は前記対物レンズ
    系による歪であり、 前記転写用パターンの結像位置を前記偏向系を介して補
    正することを特徴とする荷電粒子線転写方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の荷電粒子線転写方法であ
    って、 前記結像レンズ系は、前記マスクの前記各副視野のパタ
    ーンを通過した荷電粒子線を偏向する偏向系と、前記各
    副視野のパターンを通過した荷電粒子線を前記基板上で
    集束する対物レンズ系とから構成され、 前記基板上に転写されるパターンの歪は前記偏向系によ
    る歪であり、 前記基板上に転写されるパターンの歪に応じて前記偏向
    系による偏向量を補正することを特徴とする荷電粒子線
    転写方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2、又は3記載の荷電粒子線
    転写方法であって、 前記基板上に転写されるパターンの歪を補正するための
    パラメータを前記副視野毎に記憶することを特徴とする
    荷電粒子線転写方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の荷電粒子線転写方法であ
    って、 前記複数個の副視野毎に内部の複数点の前記基板上への
    転写位置の歪を実測し、該実測された複数の歪の最大値
    と最小値との平均値のそれぞれを前記副視野毎に記憶さ
    れるパラメータとすることを特徴とする荷電粒子線転写
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の荷電粒子線転写方法であ
    って、 前記複数個の副視野毎に内部の複数点で前記偏向系に与
    える駆動信号と偏向量との関係を実測し、該実測された
    関係を前記駆動信号の多項式で近似し、該近似された多
    項式の各次数の係数の前記副視野毎の最大値と最小値と
    の平均値のそれぞれを前記副視野毎のパラメータとして
    記憶し、 該記憶されたパラメータに基づいて前記基板上に転写さ
    れるパターンの歪を補正することを特徴とする荷電粒子
    線転写方法。
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