JPH09127811A - 定着装置 - Google Patents

定着装置

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JPH09127811A
JPH09127811A JP28609695A JP28609695A JPH09127811A JP H09127811 A JPH09127811 A JP H09127811A JP 28609695 A JP28609695 A JP 28609695A JP 28609695 A JP28609695 A JP 28609695A JP H09127811 A JPH09127811 A JP H09127811A
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JP
Japan
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heating roller
fixing device
heat
roller
heat conducting
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Application number
JP28609695A
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English (en)
Inventor
Takashi Kimura
隆 木村
Shinichi Adachi
真一 安達
Kazuto Kishi
和人 岸
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加熱ローラの端部温度上昇を改善し、ホットオ
フセットの発生、加熱ローラの劣化等が生じない定着装
置を提供する。 【解決手段】本発明では、熱源が一体的に形成された、
あるいは内部に熱源1が設けられた加熱ローラ2と、該
加熱ローラ2と一部で圧接する加圧ローラ3とを有し、
前記圧接部にて記録体5を挾持搬送することにより、加
熱ローラ2の熱エネルギーを記録体5に付与せしめる定
着装置において、加熱ローラ2の表面周方向の一部に対
向し、加熱ローラ2と接しない位置に熱伝導手段6を有
する。すなわち、加熱ローラ2と非接触の位置に熱伝導
部材6を設けることにより、小サイズ紙を連続通紙した
ときに発生する端部温度上昇を低減することができ、端
部温度上昇によって発生する加熱ローラの破損や紙送り
時の紙しわの発生、高温オフセットの問題が改善され、
信頼性、高画質を実現した定着装置が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、ファクシ
ミリ、電子写真プリンタ等の電子写真記録装置におい
て、紙、フィルムなどの記録体面上に形成された加熱溶
融性のトナーからなる画像を加熱して永久固着画像とし
て記録体面上に定着する加熱定着方式の定着装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】紙やフィルムなどの記録体上に形成した
トナー画像を定着する方法としては、一般に熱によりト
ナーを溶融して記録体面上に定着する加熱定着方式が用
いられている。そして加熱定着方式の中でも、熱ローラ
方式が熱効率が高く、安全であるなどの理由で最も広く
使われている。この熱ローラ方式は、2つのローラを圧
接し、そのうちの少なくとも一方のローラを加熱し、こ
の2つのローラの圧接部分(ニップ部と称す)で記録体
を挾持搬送することにより未定着トナーを加熱し、記録
体面上に定着させる方式である。上記2つのローラのう
ち一方を加熱する場合、加熱する方のローラを加熱ロー
ラ(または定着ローラ)と呼び、他方のローラを加圧ロ
ーラと呼ぶ。そして加熱ローラの内部には、ハロゲンラ
ンプあるいはセラミックスヒータ等の熱源が、加熱ロー
ラの軸方向に内装されている。また、別の形態として
は、加熱ローラの内面あるいは外面に発熱抵抗層が形成
されている、または、加熱ローラそのものが、セラミッ
クスヒータ、導電性樹脂、導電性繊維などの発熱材料で
形成されている。また、加熱ローラの外側表面には温度
センサーが取り付けられており、ニップ部の温度が定着
に適した温度に維持されるように、熱源への電力供給量
が制御されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、上記のような加
熱定着装置においては、軸方向の温度分布を均一にする
ことが困難であった。すなわち小サイズの記録体が通過
する領域(通紙部領域)では、記録体(記録用紙及び記
録体上の未定着トナー)の加熱のために熱が消費される
が、被通紙部領域では記録体により熱が奪われないの
で、加熱ローラの熱は蓄積し、この被通紙部領域のニッ
プ部の温度が、所定温度に維持管理される通紙部領域の
ニップ部の温度よりも高くなってしまう(いわゆる端部
温度上昇の発生)。このため小サイズ記録体を連続通紙
した後、大サイズ記録体を通紙した場合(例えばA4サ
イズ用紙を連続通紙した後、A3サイズの用紙を通紙す
る場合)、大サイズの記録体に定着ムラやシワが発生し
たり、未定着トナー像の非通紙部に対応した部分のトナ
ーが溶けすぎて加熱ローラに付着し記録体の表面を汚す
(いわゆるホットオフセット)等の問題が生じていた。
また、非通紙部の温度が高くなりすぎると、非定着部と
通紙部で加熱ローラに大きな温度差が生じ、高温部と低
温部での熱膨張の違いから、加熱ローラに歪みが生じ、
劣化するという問題もある。特に、ガラスやセラミック
スのパイプ表面に発熱抵抗体を形成した加熱ローラ(表
面発熱ローラ)は、定着を行なうローラ表面を直接加熱
するため、加熱効率がよい点、加熱ローラの低熱容量化
ができ昇温時間の短縮化が可能で、そのため未使用時に
は加熱ローラへの通電をoffでき省エネルギーである
という点で優れた定着方式であるが、この表面発熱ロー
ラの場合には、端部温度上昇による熱膨張の違いから、
小サイズ紙通紙領域と非通紙領域でローラ径が異なって
しまい、記録体のシワの発生や、さらには加熱ローラが
破損してしまうという不具合も生じてしまう。
【0004】また、発熱ローラタイプは、フィルムを介
した定着装置(一般に低速機用)に比べ、フィルムのシ
ワや寄りが無いことから、中速〜高速機(20CPM以
上)の定着装置用にも対応可能であるが、通紙間隔が高
速になるほど非通紙部の温度上昇が増すことから、より
端部温度上昇に対する対策が必要である。
【0005】ここで、軸方向の温度分布を均一にして、
上記の問題を解決する手段としては、以下の各公報に記
載された技術がある。
【0006】(1)特開平4−51799号公報:上記
公報には、定着装置の非通紙部を選択的に冷却する冷却
手段を設け、定着装置の温度分布を冷却手段により均一
にする技術が開示されている。具体的には、ファンとダ
クトにより、通紙中にのみ非通紙領域に選択的に風を送
り、非通紙部の温度上昇を防止する技術である。しかし
ながら、これは送風手段(ファン)を用いているため、
送風時の音が大きく、騒音の要因となる。また、ファン
とダクトを用いることから装置が大がかりとなり、コス
トが高くなるばかりでなく、画像形成装置が大きくなっ
てしまうという欠点がある。さらに、この方法のように
ファンによる冷却手段を用いた場合には、定着ヒータに
より加熱した熱が、有効に用いられず、熱効率が低下す
るという欠点もある。
【0007】(2)特開平6−11983号公報:上記
公報には、紙サイズに応じて放熱部材を定着ローラの端
部に当接し、放熱により端部温度上昇を防止する技術が
開示されている。具体的には、ローラ状の放熱部材を、
小サイズ紙通紙時の非通紙領域に配置し、非通紙部の温
度が上昇したときに、放熱部材を定着ローラに当接し
て、上昇した熱を放熱することにより定着ローラの軸方
向の温度分布を均一にする技術である。しかしながら、
この方法では、放熱部材を定着ローラに圧接、離脱する
ための駆動機構が必要となり、コストが高くなるという
欠点が有る。また、可動部を有しているため、長時間の
使用に対して故障、破損が生じやすいという欠点もあ
る。さらに、この方法のようにファンによる冷却手段を
用いた場合には、送風時の騒音の問題や、定着ヒータに
より加熱した熱が有効に用いられず、熱効率が低下する
という欠点もある。
【0008】(3)特開平5−281877号公報:上
記公報には、定着ローラ内部に2つ以上の発熱体を設
け、紙幅に応じてこれら発熱体を制御する技術が開示さ
れている。詳しくは、定着ローラの軸方向に発熱分布が
異なる2つの発熱体を、定着ローラ内部に設け、定着手
段の表面温度や記録材の幅に応じて、発熱体を適宜選択
して駆動することによって、端部温度上昇を防止する技
術である。しかし、定着ローラ内部に2つ以上の発熱体
を入れた場合、定着ローラを小型化することが困難であ
るという問題が生じる。特に、使用する紙サイズが多種
である場合(例えば、A3用機でA4,B4,B5サイ
ズの記録紙やさらには、はがき等を印字する場合)、何
れの記録紙でも端部温度上昇を解決し、定着ローラの表
面温度を精度良く均一化するには、その分の発熱分布が
異なる発熱体を用いる必要があり、定着ローラ内部に設
けた場合、定着ローラを大径化しないと配置できないと
いう問題が生じ、その結果、装置が大型化してしまうと
いう欠点がある。また、熱源を一体化した定着ローラ
(ローラ表面あるいは内面に発熱抵抗体を形成した定着
ローラなど)の場合には、対処できないという欠点もあ
る。
【0009】(4)特開平6−250540号公報:上
記公報記載の技術では、加熱体と無端ベルト状のフィル
ムを介して圧接する加圧ローラの一部に、加圧ローラと
接して設けられた熱伝達手段、あるいは非接触で設けら
れた熱伝達手段を設けている。この方法は、加圧ローラ
に蓄熱する熱を熱伝達手段で均一にして、温度ムラを無
くし、通紙部と非通紙部との温度差を無くすものであ
る。しかしながら、加圧ローラは通常、記録体の印字面
の裏面側に配置されており、画像品質によりいっそう影
響を与える印字面の温度ムラを直接解決したものではな
い。特に加熱側の対策としては、フィルムを用いた場合
のものであり、加熱ローラの場合にはどうすればよいの
かは全く開示されていない。特に、表面加熱ローラの場
合には、その表面近傍に発熱体が形成されていて、絶縁
距離の確保などの安全性のうえから、周辺の部材配置に
は注意が必要であるにも関わらず、全く開示されていな
い。
【0010】また、上記公報で述べられている対策は、
加熱体と無端ベルト状のフィルムを介して定着を行なう
装置の場合のみであり、加熱ローラ、特に表面発熱ロー
ラの場合には、次のような加熱ローラ独特の問題がある
にも関わらず、どうすればよいのかは全く開示されてい
ない。つまり、表面発熱ローラの場合には、加熱体と加
圧ローラとの間に仲介する(加圧ローラに対して少しで
も冷却効果のある)ものが無いため、加圧ローラの温度
上昇及び、温度分布は加熱ローラの影響を大きく受ける
ことになる。さらに発熱ローラタイプはフィルムを介し
た定着装置(一般に低速機用)に比べ、フィルムのシワ
や寄りなどの駆動上の制限が比較的少ないことから、中
速〜高速機(20CPM以上)の定着装置用にも対応可
能であるが、通紙間隔が高速になるほど非通紙部の温度
上昇が増すことから、端部温度上昇に対する要求はさら
に厳しくなる。また、端部温度上昇による不具合点でも
加熱ローラの場合では、熱膨張の違いから、小サイズ紙
通紙領域と非通紙領域でローラ径が異なってしまい、記
録体のシワの発生や、さらには加熱ローラが破損してし
まうなど、加熱ローラ独特の問題が生じることから、加
圧ローラの温度分布においても適正に抑える必要がある
にも関わらず、全く開示されていない。
【0011】本発明は、これら従来技術の欠点に鑑みな
されたものであり、以下に示す各請求項の目的を達成す
ることを課題としている。
【0012】(請求項1の目的)加熱ローラの端部温度
上昇を改善し、ホットオフセットの発生、加熱ローラの
劣化等が生じない定着装置を提供することを目的とす
る。特に、ガラスやセラミックス等の表面に発熱抵抗体
を設けた加熱ローラの場合に生じる端部温度上昇による
加熱ローラの破損が発生しない定着装置を提供すること
を目的とする。またその上に、表面発熱方式に用いても
絶縁性の確保などの安全規格をクリアする定着装置を提
供することを目的とする。また、端部温度上昇の改善の
ための可動部を有さず、信頼性のある定着装置を提供す
ることを目的とする。さらにまた、端部温度上昇を改善
するために特別に電力を消費しない定着装置を提供する
ことを目的とする。
【0013】(請求項2の目的)請求項1の目的に加
え、加熱ローラの端部温度上昇を改善するうえで、その
効果が最も得られた定着装置を提供することを目的とす
る。
【0014】(請求項3の目的)請求項1の目的に加
え、加熱ローラの端部温度上昇を改善したうえに、さら
にその温度むらを無くす効果を高めた定着装置を提供す
ることを目的とする。
【0015】(請求項4の目的)請求項1の目的に加
え、加熱ローラの端部温度上昇を解決した上に、さらに
その加熱昇温時間を短縮した定着装置を提供することを
目的とする。
【0016】(請求項5の目的)請求項1の目的に加
え、加熱ローラの端部温度上昇を解決したうえに、その
ための部品作成を容易にし、コストの安い定着装置を提
供することを目的とする。
【0017】(請求項6の目的)加熱ローラの端部温度
上昇を改善し、ホットオフセットの発生、加熱ローラの
劣化等が生じない定着装置を提供することを目的とす
る。特に、ガラスやセラミックス等の表面に発熱抵抗体
を設けた加熱ローラの場合に生じる端部温度上昇による
加熱ローラの破損が発生しない定着装置を提供すること
を目的とする。また、端部温度上昇の改善のための可動
部を有さず、信頼性のある定着装置を提供することを目
的とする。さらにまた、端部温度上昇を改善するために
特別に電力を消費しない定着装置を提供することを目的
とする。
【0018】(請求項7の目的)請求項6の目的に加
え、加熱ローラの端部温度上昇を改善したうえに、表面
発熱方式に用いても絶縁性の確保などの安全規格をクリ
アする定着装置を提供することを目的とする。
【0019】(請求項8の目的)請求項6の目的に加
え、加熱ローラの端部温度上昇を改善したうえに、さら
に加熱ローラを傷つけることがなく、信頼性のある定着
装置を提供することを目的とする。
【0020】(請求項9の目的)請求項6の目的に加
え、加熱ローラの端部温度上昇を解決した上に、さらに
その加熱昇温時間を短縮した定着装置を提供することを
目的とする。
【0021】(請求項10の目的)請求項6の目的に加
え、加熱ローラの端部温度上昇を改善したうえに、さら
にその温度むらを無くす効果を高めた定着装置を提供す
ることを目的とする。また、多数枚印字した場合などに
も、端部温度上昇改善効果の低下しない定着装置を提供
することを目的とする。
【0022】(請求項11の目的)請求項6の目的に加
え、加熱ローラの端部温度上昇を改善したうえに、さら
にその温度むらを無くす効果を高めた定着装置を提供す
ることを目的とする。また、多数枚印字した場合などに
も、端部温度上昇改善効果の低下しない定着装置を提供
することを目的とする。
【0023】(請求項12の目的)加熱ローラの端部温
度上昇を改善し、ホットオフセットの発生、加熱ローラ
の劣化等が生じない定着装置を提供することを目的とす
る。特に、ガラスやセラミックス等の表面に発熱抵抗体
を設けた加熱ローラでの端部温度上昇を改善すると共
に、表面発熱ローラの場合に生じる端部温度上昇による
加熱ローラの破損が発生しない定着装置を提供すること
を目的とする。また、端部温度上昇の改善のための可動
部を有さず、信頼性のある定着装置を提供することを目
的とする。さらにまた、端部温度上昇を改善するために
特別に電力を消費しない定着装置を提供することを目的
とする。
【0024】(請求項13の目的)請求項12の目的に
加え、加熱ローラの端部温度上昇を改善するうえで、加
熱ローラや加圧ローラに機械的な負荷を与えることのな
い定着装置を提供することを目的とする。
【0025】(請求項14の目的)請求項12の目的に
加え、加熱ローラの端部温度上昇を改善するうえで、よ
り効果的に、加圧ローラの温度均一化を高めた定着装置
を提供することを目的とする。
【0026】(請求項15の目的)請求項12の目的に
加え、加熱ローラの端部温度上昇を改善するうえで、加
圧ローラからの放熱効果を高めた定着装置を提供するこ
とを目的とする。
【0027】(請求項16の目的)請求項12の目的に
加え、加熱ローラの端部温度上昇を改善するうえで、加
圧ローラからの放熱効果を高めた定着装置を提供するこ
とを目的とする。
【0028】(請求項17の目的)請求項12の目的に
加え、加熱ローラの端部温度上昇を解決したうえに、そ
のための部品作成を容易にしコストの安い定着装置を提
供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、熱源が一体的に形成され
た、あるいは内部に熱源が設けられた加熱ローラと、該
加熱ローラと一部で圧接する加圧ローラとを有し、前記
圧接部にて記録体を挾持搬送することにより、前記加熱
ローラの熱エネルギーを記録体に付与せしめる定着装置
において、前記加熱ローラの表面周方向の一部に対向
し、前記加熱ローラと接しない位置に熱伝導手段を有す
る構成としたものである。
【0030】請求項2記載の発明は、請求項1記載の定
着装置において、前記熱伝導手段が、21W/m・K以
上の熱伝導率を有する構成としたものである。
【0031】請求項3記載の発明は、請求項1記載の定
着装置において、前記熱伝導手段に冷却手段が設けられ
ている構成としたものである。
【0032】請求項4記載の発明は、請求項1記載の定
着装置において、前記熱伝導手段に、前記加熱ローラ表
面との距離を変える移動手段が設けられている構成とし
たものである。
【0033】請求項5記載の発明は、前記熱伝導手段が
定着装置のカバーと一体的に形成されている構成とした
ものである。
【0034】請求項6記載の発明は、熱源が一体的に形
成された、あるいは内部に熱源が設けられた加熱ローラ
と、該加熱ローラと一部で圧接する加圧ローラとを有
し、前記圧接部にて記録体を挾持搬送することにより、
前記加熱ローラの熱エネルギーを記録体に付与せしめる
定着装置において、前記加熱ローラの表面周方向の一部
に、前記加熱ローラと接する熱伝導手段を有する構成と
したものである。
【0035】請求項7記載の発明は、請求項6記載の定
着装置において、前記熱伝導手段が絶縁性材料からなる
構成としたものである。
【0036】請求項8記載の発明は、請求項6記載の定
着装置において、前記熱伝導手段はローラ状部材であ
り、前記加熱ローラの回転と共に該ローラ状の熱伝導部
材が回転する構成としたものである。
【0037】請求項9記載の発明は、請求項6記載の定
着装置において、前記熱伝導手段に、前記加熱ローラ表
面と接離するための接離手段が設けられている構成とし
たものである。
【0038】請求項10記載の発明は、請求項6記載の
定着装置において、前記熱伝導手段に冷却手段が設けら
れた構成としたものである。
【0039】請求項11記載の発明は、請求項6記載の
定着装置において、前記熱伝導手段が、複数設けられて
いる構成としたものである。
【0040】請求項12記載の発明は、熱源が一体的に
形成された、あるいは内部に熱源が設けられた加熱ロー
ラと、該加熱ローラと一部で圧接する加圧ローラとを有
し、前記圧接部にて記録体を挾持搬送することにより、
前記加熱ローラの熱エネルギーを記録体に付与せしめる
定着装置において、前記加圧ローラの軸方向表面の一部
に、前記加圧ローラを記録体が通過する最大通紙領域の
幅の80%よりも広い範囲で接触するように熱伝導手段
を配置した構成としたものである。
【0041】請求項13記載の発明は、請求項12記載
の定着装置において、前記熱伝導手段が、前記加圧ロー
ラの軸方向表面の一部に対向し、前記加圧ローラを記録
体が通過する最大通紙領域の幅の80%よりも広い範囲
で、前記加圧ローラと所定の隙間を有して非接触となる
ように配置されている構成としたものである。
【0042】請求項14記載の発明は、請求項12及び
請求項13記載の定着装置において、前記熱伝導手段
は、前記記録体の進行方向と直角方向に延びて形成さ
れ、少なくとも最大通紙領域(幅)以上の長さを有し、
加圧ローラの最大通紙領域以上の範囲で加圧ローラ軸方
向に接触または所定の隙間で非接触に配置されている構
成としたものである。
【0043】請求項15記載の発明は、請求項12及び
請求項13記載の定着装置において、前記熱伝導手段
は、前記加圧ローラ周方向表面に沿って前記加圧ローラ
を覆うように形成されている構成としたものである。
【0044】請求項16記載の発明は、請求項12及び
請求項13記載の定着装置において、前記熱伝導手段が
加圧ローラに対して複数個配置されている構成としたも
のである。
【0045】請求項17記載の発明は、請求項12及び
請求項13記載の定着装置において、前記熱伝導手段が
定着装置のカバーと一体的に形成されている構成とした
ものである。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して詳細に説明する。まず、請求項1〜5記載の
発明について説明する。
【0047】(請求項1の説明)図1及び図2により請
求項1記載の発明を説明する。尚、図1は定着装置の要
部斜視図、図2は定着装置の要部断面図である。図1,
2において、符号2は加熱ローラ、1は該加熱ローラ2
を加熱するための熱源であり、3は加圧ローラである。
符号7は加熱ローラ2表面の温度を検知するための温度
センサである。熱源1はハロゲンランプなどからなり、
加熱ローラ2の軸方向に加熱ローラの全長とほぼ等しい
長さで配設されており、温度センサ7の検知値に応じ
て、加熱ローラ2の内面を軸方向に均一に加熱できるよ
うになっている。加圧ローラ3は、バネなどで構成され
る圧接機構によって、図中の矢印A方向に加圧され、加
熱ローラ2に圧接されている。符号4は記録紙やOHP
フィルムなどの記録体5を、ニップ部(加圧ローラ3と
加熱ローラ2の接触部)に導入するためのガイドであ
る。符号6は熱伝導部材である。この熱伝導部材6の材
料としては、アルミニウム(Al),ニッケル(N
i),銅(Cu),鉄(Fe),ステンレス(SUS)
などの金属及びその合金、高熱伝導性のセラミック等が
用いられる。熱伝導部材6の長さは、最大通紙領域(加
熱ローラ軸方向の最大通紙幅)のサイズ(大サイズ紙
幅)に対応した長さ程度あればよい。
【0048】熱伝導部材6は加熱ローラ2と非接触で配
置され、その間の距離は、あまり長すぎると、加熱ロー
ラ2の熱が熱伝導部材6に効率よく伝わらず、その結
果、加熱ローラ表面に生じた温度分布を効率良く解消す
ることができないため、適当な設定範囲がある。これ
は、加熱ローラの回転速度や、熱伝導部材の大きさ、材
質などによっても異なるが、通常、5mm以下、最適に
は2mm以下に設けられる。熱伝導部材6の設置位置と
しては、加熱ローラ2の円周上であればどこでもよい
が、加熱ローラ上には、温度センサ7や温度ヒューズ
(図示せず)などの素子が設けられ、加熱ローラ2の温
度制御を行なっているので、それらの素子と干渉しない
位置に設けることが、容易に設けることができる点で望
ましい。熱伝導部材6の、加熱ローラ周方向の幅として
は、熱が十分伝熱する幅であればよい。それは、加熱ロ
ーラ2の回転速度、加熱ローラ2と熱伝導部材6の距
離、熱伝導部材6の材質(熱伝導率、比熱といった温度
特性値や比重)などによって異なるが、毎分65枚印字
する程度のコピー、プリンタまでであれば、通常2mm
以上有していればよい。また、それ以上の機械であれ
ば、5mm以上は必要である。
【0049】次に請求項1の発明の作用について説明す
る。電子写真方式の複写機(以下、PPCと記す)、レ
ーザープリンターや、電子写真方式のファクシミリ(以
下、PPFと記す)等に用いられている電子写真記録装
置では、印字開始により、記録体は帯電、露光、現像、
転写という電子写真作像プロセスにより、その表面にト
ナー像が形成される。加熱ローラ2の長さより小サイズ
の記録体(小サイズ紙)5を連続印字した場合、トナー
像が形成された記録体5は、図中矢印B方向より搬送さ
れ、定着部すなわち加熱ローラ2と加圧ローラ3とのニ
ップ部に搬送され、そこで加熱ローラ2の熱によって、
トナーが定着される。その後、トナー像が定着された記
録紙は、ニップ部を通過して、定着部を出ていく。すな
わち、記録紙によって加熱ローラ2の熱エネルギーが奪
われ、それによって、加熱ローラ2の温度が低下するた
め、発熱体1を駆動して加熱ローラ2を必要温度にまで
加熱する。小サイズ紙を連続通紙した場合、小サイズ紙
の通過領域のみ加熱ローラ2の熱エネルギーが奪われ
る。通常、加熱ローラ2の温度検知は、加熱ローラ2の
ほぼ中央すなわち小サイズ紙の通過領域で行なうため、
温度が低下すると、発熱体1を駆動して加熱ローラ2の
温度を定着設定温度まで上昇させる。しかしながら、小
サイズ紙の非通紙領域でも同様に加熱されるため、非通
紙領域では温度低下が無いにもかかわらず、加熱するこ
とによって、温度が設定温度より上がってしまう(いわ
ゆる端部温度上昇の発生)。
【0050】しかし、本発明では、加熱ローラ2の近傍
に非接触で熱伝導部材6を設けることにより、加熱ロー
ラ2の熱が輻射、対流によって熱伝導部材6に伝熱す
る。このとき、高温部(非通紙領域)では、低温部(小
サイズ紙通紙領域)より多くの熱が熱伝導部材6に伝熱
するが、熱伝導部材6は高熱伝導性であるので、ほぼ均
一になる。このようにして、非通紙領域と通紙領域の温
度が均一化されて、端部温度上昇の発生を低減すること
ができる。
【0051】(実施例1)図1及び図2に示す構成で、
以下に示すような構成条件を設定してA3記録紙用の定
着装置を作成し、それにA4幅の記録紙を連続通紙した
ときの非通紙部の温度上昇を測定した。また、比較例と
して、熱伝導部材を設けない場合での測定も行なった。
【0052】 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm 加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :アルミニウム 熱源 :ハロゲンランプ 熱源供給電力 :1000W 熱伝導部材材料、形状:材料=アルミニウム 形状=板状 長さ305mm、幅10mm、厚さ5mm 熱伝導部材〜加熱ローラ間距離=1mm 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0053】ここで、図3は本実施例での非通紙部温度
上昇を示したグラフ、図4は比較例(熱伝導部材を用い
ない場合)の非通紙部の温度上昇を示したグラフであ
る。図3、図4からわかるように、本発明により、小サ
イズ紙を連続通紙した場合の非通紙部温度上昇は低下
し、中央部(通紙部)の温度との差が小さくなる。ま
た、この定着装置を用いて、A4サイズ紙を50枚連続
通紙した直後に、トナー画像を形成したA3サイズ紙を
通紙して、その定着画像を評価した結果、実施例の場合
には、良好な定着画像が得られたのに対して、比較例で
は、端部でオフセットが生じて、劣悪な画像となった。
【0054】(実施例2)図5(図1に対応)及び図6
に請求項1の発明の別の実施例を示す。図5は定着装置
の要部斜視図、図6は定着装置の要部断面図である。図
5,6において、符号10は熱源が一体化された発熱機
能を有する加熱ローラである。図7はその加熱ローラ1
0の構造例を示した断面図である。図7(a)に示す加
熱ローラは、基材11の表面に発熱抵抗体12を形成
し、さらにその上に、トナーとの離形性を向上すると共
に、他の部材と発熱抵抗体との接触で発熱抵抗体が損傷
するのを防ぎ、また発熱抵抗体を電気的に絶縁する目的
で、テフロンなどの耐熱樹脂層13を形成したものであ
る。また、同図(b)に示す加熱ローラは、パイプ状の
基材11の内面に発熱抵抗体12を形成し、基材11の
表面には前述の耐熱樹脂層13を形成してなるものであ
る。また、同図(c)に示す加熱ローラは、導電性繊維
や、カーボン分散したセラミックス(いわゆる自己発熱
セラミックス)や樹脂などのように、それ自体が発熱す
る材料からなるローラ9の表面に、耐熱樹脂層13を形
成してなるものである。
【0055】図7(a),(b)に示す加熱ローラのロ
ーラ基材11の材料としては、ガラスやセラミックス、
あるいはAl,SUSなどの金属が用いられる。金属を
用いる場合には、発熱抵抗体12との電気的絶縁のため
にSiO2 、ポリイミドなどの樹脂材料等による絶縁層
を設ける必要がある。また、加熱ローラの基材として
は、図7(c)に示したような基材そのものが発熱体9
となっているものでもよい。そのようなものとしては、
例えばセラミックスや樹脂中に導電性材料を分散したも
の、導電性繊維を筒状に形成したものなどが挙げられ
る。これら加熱ローラは、図1,2の例のようなハロゲ
ンランプ等を熱源に用いた定着方式に比べ、熱源と加熱
ローラとが一体となっているので、加熱ローラの加熱効
率がよく、さらに熱源が定着が行なわれる加熱ローラ表
面近傍を直接加熱するため、加熱効率がよく、消費電力
の低減が図れるという点、昇温時間が短くなり、PP
C、レーザープリンター、PPF等の印字までのいわゆ
るウエイトタイムが短くなるという点で極めて優れた定
着方式である。
【0056】しかし一方では、高速機に用いた場合、基
材として熱伝導率の悪い、構成が簡単で(絶縁層が不
要)コストの安いガラスやセラミックスを使用した場
合、端部温度上昇が比較的大きくなりやすいという不具
合もある。しかし、本発明のように、熱伝導部材6を加
熱ローラ10の近傍に設けることにより、上記不具合を
解消することができる。また、本実施例のような表面近
傍を直接加熱するタイプの加熱ローラの場合、表面近傍
に発熱体が形成されており、その発熱体に大きな電圧が
かかる(通常1次側電圧:100V)ため、熱伝導部材
6として金属を用いた場合には、放電などが発生するの
を防止するために、その絶縁距離を十分確保する必要が
あるが、本発明では、熱伝導部材6が加熱ローラ10と
非接触で配置されるため、放電や電気的短絡の発生とい
う不具合もない。
【0057】さて、以上の構成で以下に示すような構成
条件を設定してA3用定着装置を作成し、それにA4幅
の記録紙を連続通紙したときの非通紙部の温度上昇を測
定した。また、比較例として、予備加熱手段である熱伝
導部材を設けない場合での測定も行なった。
【0058】 加熱ローラ構成 :図7(a) 加熱ローラ熱源供給電力:700W 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm :加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :ガラス 熱伝導部材材料、形状 :材料=アルミニウム 形状=板状 長さ305mm、幅10mm、厚さ5mm 熱伝導部材〜加熱ローラ間距離1mm 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0059】図8は本実施例での非通紙部温度上昇を示
したグラフ、図9は比較例の熱伝導部材を用いないとき
の非通紙部の温度上昇を示したグラフであり、図9では
大きな端部温度上昇が生じていることがわかる。また、
図8,9からわかるように、本発明により、小サイズ紙
を連続通紙した場合の非通紙部温度上昇は低下し、中央
部(通紙部)の温度との差が飛躍的に小さくなり、大き
く改善されていることがわかる。また、この定着装置を
用いて、A4サイズ紙を50枚連続通紙した直後に、ト
ナー画像を形成したA3サイズ紙を通紙して、その定着
画像を評価した結果、実施例2の構成の場合には、良好
な定着画像が得られたのに対して、比較例では、端部で
オフセットが生じて、劣悪な画像となった。
【0060】(請求項2の説明)次に請求項2記載の発
明の実施例について述べる。 (実施例3)図5,6に示す構成の定着装置において、
熱伝導部材6の材料を変えて、端部温度上昇を解決する
ための熱伝導部材の検討を行なった。端部温度上昇は、
加熱ローラ10が完全に均一になる必要はなく、ある温
度以下に抑えられていればよい。ここで「ある温度」と
は、小サイズ紙を連続通紙した後で、最大通紙幅の記録
紙を通紙したときに、端部温度上昇によって高温オフセ
ットが発生しない温度のことであり、この温度以下に抑
える必要がある。またさらに、端部温度上昇が発生した
ときに、高温部と低温部の温度差による熱膨張の違いで
加熱ローラが破損しない温度のことでもあり、この温度
以下に抑える必要がある。そのような温度は、使用する
トナー、定着設定温度などによっても異なるが、一般的
なトナーの場合、端部温度上昇が発生しても、220℃
以下になるようにする必要がある。そこで、熱伝導部材
6の材料を変えて、どの程度の熱伝導率であれば、端部
温度上昇を許容値以下に抑えることができるかを評価し
た。尚、定着装置は図5,6の構成とし、構成条件を以
下のように設定した。
【0061】 加熱ローラ構成 :図7(a) 加熱ローラ熱源供給電力:700W 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm :加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :ガラス 熱伝導部材材料、形状 :材料=アルミニウム,SUS, アルミナセラミックス,ガラス, テフロン樹脂 形状=板状 長さ305mm、幅10mm、厚さ5mm 熱伝導部材〜加熱ローラ間距離1mm 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0062】下記の表1は、A4サイズ紙を連続50枚
通紙した時の非通紙部の温度を測定した結果である。こ
の結果、熱伝導率としては、21W/m・K以上(アル
ミナセラミックス以上)あれば、端部の温度が220℃
以下に抑えることができることがわかった。また、50
枚連続通紙した直後に、トナー画像を形成したA3サイ
ズ紙を通紙して、その定着画像を評価した結果、熱伝導
率が、アルミナセラミックス以上の場合には、良好な定
着画像が得られたのに対して、ガラスやテフロン樹脂で
は、端部でオフセットが生じて、劣悪な画像となった。
【0063】
【表1】
【0064】(請求項3の説明)次に、図10により請
求項3記載の発明の実施例を説明する。図10は請求項
3の一実施例を示す定着装置の要部斜視図であり、本実
施例の定着装置は基本的には図5に示した定着装置と同
様の構成であるが、熱伝導部材6には、熱伝導部材を冷
却するための冷却手段14が形成されている。この冷却
手段14としては、例えばペルチェ素子などのように積
極的に熱伝導部材を冷却するものでもよいし、図示のよ
うに放熱部材14を熱伝導部材6に付加するというよう
に、熱伝導部材6の冷却を自然放熱によって行なうもの
でもよい。特に放熱部材による自然放熱は、熱伝導部材
6の冷却のために特に電力を必要としないことから好適
に用いられる。放熱部材の材料としては、Al,Cuな
どの金属や、窒化ホウ素や窒化アルミニウムのような高
熱伝導性セラミックスなどのように熱伝導性の優れた材
料が用いられる。また、放熱部材の形状としては、図1
1に示すように、放熱用のフィンを形成した形状
(a)、空気との接触面積を大きく得るため、熱伝導部
材より大きく比較的大面積の板状に形成したもの
(b)、その板状の放熱部材に、空気の通過をよくして
放熱効果を高めるために、丸穴(c)や長穴(d)など
を形成したもの、など何れも好適に使用できる。この穴
の形状としては、上記の丸穴や長穴に限らず、星形、菱
形など板の中に形成できる形状であればよいのは言うま
でもない。
【0065】次に本発明の作用について説明する。請求
項1の説明で述べたように、加熱ローラ10の熱は熱伝
導部材6により吸収される。その熱量は、加熱ローラ1
0の表面温度と熱伝導部材6の温度との差に対応した
熱、言い換えれば熱伝導部材6がほぼ均一な温度をして
いるため、加熱ローラ10の温度に対応して、高温の部
分からは多くの熱量が、低温の部分からはそれより少な
い熱量が吸収される。小サイズ紙を連続して通紙してい
くと、熱伝導部材自身の温度も上昇してしまい、加熱ロ
ーラ10からの熱吸収能力が低下し、徐々にではある
が、端部温度上昇が大きくなっていく。本実施例では、
熱伝導部材6に冷却手段14を設けることにより、熱伝
導部材の温度上昇を抑えることができ、それによって、
小サイズ紙を多数枚定着しても、端部温度上昇を改善し
た定着装置が得られた。以下に請求項3の具体的な実施
例を示す。
【0066】(実施例4)図10の構成で以下に示すよ
うな構成条件を設定してA3用定着装置を作成し、それ
にA4幅の記録紙を連続通紙したときの非通紙部の温度
上昇を測定した。
【0067】 加熱ローラ構成 :図7(a) 加熱ローラ熱源供給電力:700W 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm :加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :ガラス 熱伝導部材材料、形状 :材料=アルミニウム 形状=板状 長さ305mm、幅10mm、厚さ5mm 熱伝導部材〜加熱ローラ間距離1mm 熱伝導部材放熱板 :材料=アルミニウム 形状=図11(b)の形状 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0068】この定着装置で、A4サイズ紙を連続50
枚通紙した時の端部温度上昇値と、放熱板無しのときに
同様に50枚通紙した時の端部温度上昇値とを比較する
と、本実施例の方が約1/2の端部温度上昇値であっ
た。この定着装置を用いて、A4サイズ紙を100枚連
続通紙した直後に、トナー画像を形成したA3サイズ紙
を通紙して、その定着画像を評価した結果、良好な定着
画像が得られた。
【0069】(請求項4の説明)次に、図12により請
求項4記載の発明の実施例を説明する。図12は請求項
4の一実施例を示す定着装置の要部斜視図であり、本実
施例の定着装置は基本的には図5に示す定着装置と同様
の構成であるが、本実施例では、熱伝導部材6は加熱ロ
ーラ10と非接触で配置されており、その熱伝導部材6
には、加熱ローラとの間の距離を変えるための移動手段
17が付加されている。本実施例では、移動手段17に
より熱伝導部材6の位置(熱伝導部材6と加熱ローラ1
0との間の距離)を変えることによって、小サイズ紙の
連続通紙を行なうとき、すなわち端部温度上昇が発生す
る可能性のある時には、熱伝導部材6を加熱ローラ10
と近接した位置に設置し、それ以外の時、特に印字のた
めに加熱ローラを待機状態から印字状態にするために、
加熱ローラを定着設定温度に立ち上げるときには、加熱
ローラから離れた位置に設置する。このようにすること
で、端部温度上昇がないとき、特に高速に設定温度に立
ち上げるときに、加熱部材から熱伝導部材に熱エネルギ
ーが奪われて、加熱ローラの加熱効率が低下し、設定温
度に維持するのに大きな電力を要するという不具合や、
立ち上げ時間が遅くなって、印字可能になるまでの待ち
時間が長くなると言った不具合がなく、しかも端部温度
上昇も改善された定着装置が実現できる。
【0070】熱伝導部材6の移動手段17としては、例
えば熱伝導部材6に接続したソレノイド15とバネ16
で構成し、外部からの信号によりソレノイド15を駆
動、非駆動することによって、加熱ローラ10と近接し
た位置と離れた位置との間を移動させる手段や、図示し
ないが、熱伝導部材に接続した形状記憶合金やバイメタ
ルなどの熱に感応して変形する材料によって作成された
部材によって、端部の温度により近接位置と離れた位置
との間を移動させる手段などが用いられる。前者の手段
の場合、ソレノイド15を駆動する条件としては、用紙
カセットの選択とプリント枚数(PPCの場合には、コ
ピー枚数)の情報から、小サイズ紙を連続印字すると判
断されたときや、加熱ローラ10や、加圧ローラ3の端
部に設けられた温度センサ(図示せず)による端部温度
検知により、端部温度が規定値より高くなったと判断さ
れたときなどに駆動する。熱伝導部材6と加熱ローラ1
0との間の距離は、近接した位置、すなわち小サイズ紙
の連続通紙で発生する端部温度上昇を低減するための設
置位置としては、前述したように通常5mm以下、最適
には2mm以下であり、離れた位置としては、立ち上が
り時間に大きく影響を与えない位置まで離せばよく、通
常5mmより離れた位置、最適には10mm以上に設置
する。以下に請求項4の具体的な実施例を示す。
【0071】(実施例5)図12の構成で以下に示すよ
うな構成条件を設定してA3用定着装置を作成し、それ
にA4幅の記録紙を連続通紙したときの非通紙部の温度
上昇を測定した。また、熱伝導部材6を加熱ローラ10
から離した位置に移動した状態で、この定着装置を室温
から定着設定温度まで立ち上げ、その時間を測定した。
また、比較のため、熱伝導部材6を加熱ローラ10に近
接した位置のまま立ち上げ時間測定を行なった。
【0072】 加熱ローラ構成 :図7(a) 加熱ローラ熱源供給電力:700W 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm :加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :ガラス 熱伝導部材材料、形状 :材料=アルミニウム 形状=板状 長さ305mm、幅10mm、厚さ5mm 近接時の位置 :熱伝導部材〜加熱ローラ間距離1mm 離した時の位置 :熱伝導部材〜加熱ローラ間距離6mm 熱伝導部材放熱板 :材料=アルミニウム 形状=図11(b)の形状 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0073】この定着装置で、A4サイズ紙を50枚連
続通紙した直後に、トナー画像を形成したA3サイズ紙
を通紙して、その定着画像を評価した結果、良好な定着
画像が得られた。また、立ち上がり時間の比較でも、本
実施例では、10秒以下で室温から加熱ローラ設定温度
間で昇温することができたのに対して、比較例では、1
0秒以上かかってしまった。
【0074】(請求項5の説明)次に、図13により請
求項5記載の発明の実施例を説明する。図13は請求項
5の一実施例を示す定着装置の要部断面図であり、本実
施例の定着装置では、熱伝導部材6は、加熱ローラ10
を覆うカバー18と一体的に形成されている。この作成
方法としては、耐熱性樹脂で作成されたカバー18に金
属のフィルムを貼って熱伝導部材6を形成したり、蒸着
などの薄膜形成技術によって、樹脂カバー18の内面に
AlやNi、Cuなどの金属膜を形成して熱伝導部材6
を形成してもよい。また、熱伝導部材6そのもので加熱
ローラのカバーを兼ねてもよい。このようにすることに
よって、定着装置を組み立てるときに、熱伝導部材を組
み付けるという手間が省け、組み立て工数が減り、コス
ト低減になる。
【0075】次に、請求項6〜11記載の発明について
説明する。 (請求項6の説明)図14及び図15により請求項6記
載の発明を説明する。尚、図14は定着装置の要部斜視
図、図15は定着装置の要部断面図である。図14,1
5において、符号2は加熱ローラ、1は該加熱ローラ2
を加熱するための熱源であり、3は加圧ローラである。
符号7は加熱ローラ2表面の温度を検知するための温度
センサである。熱源1はハロゲンランプなどからなり、
加熱ローラ2の軸方向に加熱ローラの全長とほぼ等しい
長さで配設されており、温度センサ7の検知値に応じ
て、加熱ローラ2の内面を軸方向に均一に加熱できるよ
うになっている。加圧ローラ3は、バネなどで構成され
る圧接機構によって、図中の矢印A方向に加圧され、加
熱ローラ2に圧接されている。符号4は記録紙やOHP
フィルムなどの記録体5を、ニップ部(加圧ローラ3と
加熱ローラ2の接触部)に導入するためのガイドであ
る。符号6は熱伝導部材である。この熱伝導部材6の材
料としては、Al,Ni,Cu,Fe,SUSなどの金
属及びその合金、高熱伝導性のセラミック等が用いられ
る。熱伝導部材6の長さは、最大通紙幅のサイズ(大サ
イズ紙)に対応した長さ程度あればよい。
【0076】熱伝導部材6は加熱ローラ2と接触して設
けられており、バネなどの加圧部材で加熱ローラ2に適
当な力で押し付けられている。熱伝導部材の設置位置と
しては、加熱ローラ2の円周上であればどこでもよい
が、加熱ローラ上には、温度センサ7や温度ヒューズ
(図示せず)などの素子が設けられ、加熱ローラ2の温
度制御を行なっているので、それらの素子と干渉しない
位置に設けることが、組立が容易となるため望ましい。
熱伝導部材6の、加熱ローラ周方向の幅としては、加熱
ローラ2の回転速度、熱伝導部材6の断面形状、熱伝導
部材6の材質(熱伝導率、比熱といった温度特性値や比
重)などによって異なるが、熱が十分伝熱する幅であれ
ばよい。熱伝導部材6の断面形状としては、図23に示
すような、(a)板状、(b)凸状、(c)円柱状、
(d)加熱ローラの形状に沿って窪んだ凹状など何れで
もよい。
【0077】次に請求項6の発明の作用について説明す
る。PPC、レーザープリンターやPPF等に用いられ
ている電子写真記録装置では、印字開始により、被記録
体は帯電、露光、現像、転写という電子写真作像プロセ
スにより、その表面にトナー像が形成される。加熱ロー
ラ2の長さより小サイズの記録体(小サイズ紙)5を連
続印字した場合、トナー像が形成された記録体5は、図
中矢印B方向より搬送され、定着部すなわち加熱ローラ
2と加圧ローラ3とのニップ部に搬送され、そこで加熱
ローラ2の熱によって、トナーが定着される。その後、
トナー像が定着された記録紙は、ニップ部を通過して定
着部を出ていく。すなわち、記録紙によって加熱ローラ
2の熱エネルギーが奪われ、それによって、加熱ローラ
2の温度が低下するため、発熱体1を駆動して加熱ロー
ラ2を必要温度にまで加熱する。小サイズ紙を連続通紙
した場合、小サイズ紙の通過領域のみ加熱ローラ2の熱
エネルギーが奪われる。通常、加熱ローラ2の温度検知
は、加熱ローラ2のほぼ中央すなわち小サイズ紙の通過
領域で行なうため、温度が低下すると、発熱体1を駆動
して加熱ローラ2の温度を定着設定温度まで上昇させ
る。しかしながら、小サイズ紙の非通紙領域でも同様に
加熱されるため、非通紙領域では温度低下が無いにもか
かわらず、加熱することによって、温度が設定温度より
上がってしまう。
【0078】しかし、本発明では、加熱ローラ2に、熱
伝導部材6を当接して設けているので、加熱ローラ2の
熱が熱伝導によって熱伝導部材6に伝熱する。このと
き、高温部(非通紙領域)では、低温部(小サイズ紙通
紙領域)より多くの熱が熱伝導部材6に伝熱するが、熱
伝導部材6は高熱伝導性であるので、その温度はほぼ均
一になる。このようにして、非通紙領域と通紙領域の温
度が均一化されて、端部温度上昇の発生を低減すること
ができる。
【0079】(実施例6)図14及び図15に示す構成
で、以下に示すような構成条件を設定してA3記録紙用
の定着装置を作成し、それにA4幅の記録紙を連続通紙
したときの非通紙部の温度上昇を測定した。また、比較
例として、熱伝導部材を設けない場合での測定も行なっ
た。
【0080】 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm 加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :アルミニウム 熱源 :ハロゲンランプ 熱源供給電力 :1000W 熱伝導部材材料、形状:材料=アルミニウム 形状=板状 長さ305mm、幅10mm、厚さ5mm 押し付け圧=100gf 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0081】ここで、図16は本実施例での非通紙部温
度上昇を示したグラフである。また、比較例(熱伝導部
材を設けない場合)の非通紙部の温度上昇を示したグラ
フは、先の図4に示したものと同じである。図16、図
4からわかるように、本発明により、小サイズ紙を連続
通紙した場合の非通紙部温度上昇は低下し、中央部(通
紙部)の温度との差が小さくなる。また、この定着装置
を用いて、A4サイズ紙を50枚連続通紙した直後に、
トナー画像を形成したA3サイズ紙を通紙して、その定
着画像を評価した結果、本実施例の場合には良好な定着
画像が得られたのに対して、比較例では、端部でオフセ
ットが生じて、劣悪な画像となった。
【0082】(実施例7)図17(図14に対応)及び
図18に請求項6の発明の別の実施例を示す。図17は
定着装置の要部斜視図、図18は定着装置の要部断面図
である。図17,18において、符号10は熱源が一体
的に形成された発熱機能を有する加熱ローラであり、先
の図5,6に示した加熱ローラと同様の構造のものであ
る。すなわち、加熱ローラ10の断面構造は先の図7に
示したものと同様であり、例えば、図7(a)に示すよ
うに、基材11の表面に発熱抵抗体12を形成し、さら
にその上に、トナーとの離形性を向上すると共に、他の
部材と発熱抵抗体との接触で発熱抵抗体が損傷するのを
防ぎ、また発熱抵抗体を電気的に絶縁する目的で、テフ
ロンなどの耐熱樹脂層13を形成したもの、または、同
図(b)に示すように、パイプ状の基材11の内面に発
熱抵抗体12を形成し、基材11の表面には、前述の耐
熱樹脂層13を形成してなるもの、あるいは、同図
(c)に示すように、導電性繊維や、カーボン分散した
セラミックス(いわゆる自己発熱セラミックス)や樹脂
などのように、それ自体が発熱する材料からなるローラ
9の表面に耐熱樹脂層13を形成してなるものなどがあ
る。
【0083】加熱ローラのローラ基材11の材料として
は、ガラスやセラミックス、あるいはAl,SUSなど
の金属が用いられる。金属を用いる場合には、発熱抵抗
体12との電気的絶縁のためにSiO2 、ポリイミドな
どの樹脂材料等による絶縁層を設ける必要がある。これ
ら加熱ローラは、図14,15の例のようなハロゲンラ
ンプ等を用いた定着に比べ、熱源と加熱ローラとが一体
となっているので、加熱ローラの加熱効率がよく、さら
に熱源が定着が行なわれる加熱ローラ表面近傍を直接加
熱するため、加熱効率がよく、消費電力の低減が図れる
という点、昇温時間が短くなり、PPC、レーザープリ
ンター、PPF等の印字までのいわゆるウエイトタイム
が短くなるという点で極めて優れた定着方式である。
【0084】しかし一方では、高速機に用いた場合、基
材として熱伝導率の悪い、構成が簡単で(絶縁層が不
要)、コストの安いガラスやセラミックスを使用した場
合、端部温度上昇が比較的大きくなりやすいという不具
合もあるが、本発明のように、熱伝導部材6を加熱ロー
ラ10に当接して設けることにより、上記不具合を解消
することができる。また、本実施例のような表面近傍を
直接加熱するタイプの加熱ローラの場合、表面近傍に発
熱体が形成されており、その発熱体に大きな電圧がかか
る(通常1次側電圧:100V)ため、熱伝導部材6と
して金属を用いるときには、放電などが発生するのを防
止するために、耐熱樹脂層を十分厚くする必要がある。
また、安全規格を考慮に入れると、絶縁距離としては、
0.7mm以上の膜厚を確保する必要がある。
【0085】さて、図17,18の構成で以下に示すよ
うな構成条件を設定してA3用定着装置を作成し、それ
にA4幅の記録紙を連続通紙したときの非通紙部の温度
上昇を測定した。また、比較例として、熱伝導部材を設
けない場合での測定も行なった。
【0086】 加熱ローラ構成 :図7(a) 加熱ローラ熱源供給電力:700W 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm :加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :ガラス 熱伝導部材材料、形状 :材料=アルミニウム 形状=板状 長さ305mm、幅10mm、厚さ5mm 押し付け圧=50gf 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0087】図19は本実施例での非通紙部温度上昇を
示したグラフである。また、比較例(熱伝導部材を設け
ない場合)の非通紙部の温度上昇を示したグラフは、先
の図9に示したものと同じであり、大きな端部温度上昇
が生じていることがわかる。図19と図9からわかるよ
うに、本発明により、小サイズ紙を連続通紙した場合の
非通紙部温度上昇は低下し、中央部(通紙部)の温度と
の差が飛躍的に小さくなり、大きく改善されていること
がわかる。また、この定着装置を用いて、A4サイズ紙
を50枚連続通紙した直後に、トナー画像を形成したA
3サイズ紙を通紙して、その定着画像を評価した結果、
本実施例の構成の場合には良好な定着画像が得られたの
に対して、比較例では、端部でオフセットが生じて、劣
悪な画像となった。
【0088】(請求項7の説明)次に請求項7記載の発
明の実施例について述べる。前述したように、表面近傍
を直接加熱するタイプの加熱ローラ10の場合、表面近
傍に発熱抵抗体12が形成されており(図7参照)、そ
の発熱抵抗体に大きな電圧がかかる(通常、1次電圧:
100V)ため、熱伝導部材6として金属を用いるとき
には、放電などが発生するのを防止するために、耐熱樹
脂層13を十分厚くする必要がある。そこで請求項7の
発明では、図17,18の定着装置において、熱伝導部
材6の材料として絶縁性材料を用いることによって、発
熱抵抗体と近接した位置に金属が配置されることがなく
なり、耐熱樹脂層に生じたピンホールなどによって、放
電や電流のリークなどの心配がなくなる。また、熱伝導
部材6を絶縁性材料で形成した場合には、加熱ローラ1
0の耐熱樹脂層13が薄くてもよく、耐熱樹脂層の材
料、加工性の面から低コストになるばかりか、一般的に
耐熱樹脂層13は熱伝導率が悪く、発熱抵抗体12で発
生した熱が、定着が行なわれる耐熱樹脂層の表面に伝わ
るのが遅くなり、立ち上がり時間が遅くなるなどの不具
合がなくなる。ただし、熱伝導部材6の作用が、高温領
域からより多くの熱を吸収して均一化することであるこ
とから、高熱伝導性である方が望ましい。すなわち、熱
伝導部材6の熱伝導率は大きい方がよい。また、熱伝導
部材6は、150℃〜220℃の高温に直接接すること
から、この温度に対して耐熱性を有する必要がある。こ
のような材料としては、窒化ホウ素や窒化アルミニウム
などのいわゆる高熱伝導性のセラミックスが適してい
る。
【0089】(実施例8)図17,18の構成で熱伝導
部材6に絶縁性材料を用い、以下に示すような構成条件
を設定してA3用定着装置を作成した。
【0090】 加熱ローラ構成 :図7(a) 加熱ローラ熱源供給電力:700W 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm :加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :ガラス 熱伝導部材材料、形状 :材料=窒化ホウ素セラミックス 形状=板状 長さ305mm、幅10mm、厚さ5mm 押し付け圧=50gf 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0091】上記構成の定着装置でA4幅の記録紙を5
0枚連続通紙した直後に、トナー画像を形成したA3サ
イズ紙を通紙して、その定着画像を評価した結果、良好
な定着画像が得られた。
【0092】(請求項8の説明)図20により請求項8
記載の発明の実施例を説明する。定着装置の基本的な構
成は図17,18と同様であるが、本実施例における熱
伝導部材6はローラ状に形成されている。さらにその両
端は、ベヤリング、樹脂リングなどからなる軸受によっ
て回転可能に固定されている。定着動作を行なうために
加熱ローラ10が回転するとき、ローラ状の熱伝導部材
6は加熱ローラ10に接触しているため連れ回りで回転
する。こうすることで、加熱ローラ表面と熱伝導部材6
とが擦れて、その摩擦によって加熱ローラ表面の柔らか
い耐熱樹脂材料が傷ついたり、最悪の場合にはその下の
発熱抵抗体まで損傷し、定着画像が乱れたり、最悪には
全く定着できなかったりするということがなく、端部温
度上昇を改善し、しかも信頼性に優れた定着装置が実現
できた。
【0093】(請求項9の説明)図21により請求項9
記載の発明の実施例を説明する。図21は請求項9の一
実施例を示す定着装置の要部斜視図であり、この定着装
置は基本的には図17に示す定着装置と同様の構成であ
るが、本実施例では、熱伝導部材6は加熱ローラ10と
当接して配置されており、その熱伝導部材6には、加熱
ローラと当接する位置と離れた位置とに移動させるため
の接離手段27が付加されている。本実施例では、接離
手段27により熱伝導部材6を接触、非接触の状態に位
置を変えることによって、小サイズ紙の連続通紙を行な
うとき、すなわち端部温度上昇が発生する可能性のある
時には、熱伝導部材6を加熱ローラ10と当接した位置
に設置し、それ以外の時、特に印字のために加熱ローラ
を待機状態から印字状態にするために、加熱ローラを定
着設定温度に立ち上げるときには、加熱ローラから離れ
た位置に設置する。このようにすることで、端部温度上
昇がないとき、特に高速性が要求される設定温度への立
ち上げ時には、加熱ローラから熱伝導部材に熱エネルギ
ーが奪われて、加熱ローラの加熱効率が低下し、設定温
度に維持するのに大きな電力を要するという不具合や、
立ち上げ時間が遅くなって、印字可能になるまでの待ち
時間が長くなると言った不具合を起こすことがなく、し
かも端部温度上昇も改善された定着装置が実現できる。
またさらに、不必要なときに熱伝導部材が加熱ローラと
接触して、加熱ローラが回転することによって摩擦で加
熱ローラ表面が損傷するということも防ぐことができ
る。
【0094】熱伝導部材6の接離手段27としては、例
えば熱伝導部材6に接続したソレノイド25とバネ26
で構成し、外部からの信号によりソレノイド25を駆
動、非駆動することによって、加熱ローラ10と接触、
離間させる手段や、図示しないが、熱伝導部材に接続し
た形状記憶合金やバイメタルなどの熱に感応して変形す
る材料により作成された部材によって、端部の温度によ
り接触、離間させる手段などが用いられる。前者の手段
の場合、ソレノイド25を駆動する条件としては、用紙
カセットの選択とプリント枚数(PPCの場合には、コ
ピー枚数)の情報から、小サイズ紙を連続印字すると判
断されたときや、加熱ローラ10や、加圧ローラ3の端
部に設けられた温度センサ(図示せず)による端部温度
検知により、端部温度が規定値より高くなったと判断さ
れたときなどに駆動する。離したときの熱伝導部材6と
加熱ローラ10との間の距離は、立ち上がり時間に大き
く影響を与えない位置まで離せばよく、通常2mmより
離れた位置に設置する。以下に請求項9の具体的な実施
例を示す。
【0095】(実施例9)図21の構成で以下に示すよ
うな構成条件を設定してA3用定着装置を作成し、それ
にA4幅の記録紙を連続通紙したときの非通紙部の温度
上昇を測定した。また、熱伝導部材6を加熱ローラ10
から離した位置に移動した状態で、この定着装置を室温
から定着設定温度まで立ち上げ、その時間を測定した。
また、比較のため、熱伝導部材6を加熱ローラ10に接
触した位置のまま立ち上げ時間測定を行なった。
【0096】 加熱ローラ構成 :図7(a) 加熱ローラ熱源供給電力:700W 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm :加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :ガラス 熱伝導部材材料、形状 :材料=アルミニウム 形状=板状 長さ305mm、幅10mm、厚さ5mm 離した時の位置 :熱伝導部材〜加熱ローラ間距離5mm 熱伝導部材放熱板 :材料=アルミニウム 形状=図11(b)の形状 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0097】この定着装置で、A4サイズ紙を50枚連
続通紙した直後に、トナー画像を形成したA3サイズ紙
を通紙して、その定着画像を評価した結果、良好な定着
画像が得られた。また、立ち上がり時間の比較でも、本
実施例では、10秒以下で室温から加熱ローラ設定温度
間で昇温することができたのに対して、比較例では、1
0秒以上かかってしまった。またさらに、この定着装置
により最大通紙幅(A3サイズ)の記録紙を1000枚
通紙した後の加熱ローラの表面を比較したところ、本実
施例では特に損傷がなかったにも関わらず、比較例の場
合には、表面の耐熱性樹脂層に擦れた傷が生じていた。
【0098】(請求項10の説明)次に、図22により
請求項10記載の発明の実施例を説明する。図22は請
求項10の一実施例を示す定着装置の要部斜視図であ
り、本実施例の定着装置は基本的には図17に示した定
着装置と同様の構成であるが、熱伝導部材6には、熱伝
導部材を冷却するための冷却手段14が形成されてい
る。この冷却手段14としては、例えばペルチェ素子な
どのように積極的に熱伝導部材を冷却するものでもよい
し、図示のように放熱部材14を熱伝導部材6に付加す
るというように、熱伝導部材6の冷却を自然放熱によっ
て行なうものでもよい。特に放熱部材による自然放熱
は、熱伝導部材6の冷却のために特に電力を必要としな
いことから好適に用いられる。放熱部材の材料として
は、Al,Cuなどの金属や、窒化ホウ素や窒化アルミ
ニウムのような高熱伝導性セラミックスなどのように熱
伝導性の優れた材料が用いられる。また、放熱部材の形
状としては、先の図11に示した放熱部材と同様の形状
が適用でき、放熱用のフィンを形成した形状(a)、空
気との接触面積を大きく得るため、熱伝導部材より大き
く比較的大面積の板状に形成したもの(b)、その板状
の放熱部材に、空気の通過をよくして放熱効果を高める
ために、丸穴(c)や長穴(d)などを形成したもの、
など何れも好適に使用できる。この穴の形状としては、
上記の丸穴や長穴に限らず、星形、菱形など板の中に形
成できる形状であればよいのは言うまでもない。
【0099】次に本発明の作用について説明する。請求
項6の説明でも述べたように、加熱ローラ10の熱は熱
伝導部材6により吸収される。その熱量は、加熱ローラ
10の表面温度と熱伝導部材6の温度との差に対応した
熱、言い換えれば熱伝導部材6がほぼ均一な温度をして
いるため、加熱ローラ10の温度に対応して、高温の部
分からは多くの熱量が、低温の部分からはそれより少な
い熱量が吸収される。小サイズ紙を連続して通紙してい
くと、熱伝導部材自身の温度も上昇してしまい、加熱ロ
ーラ10からの熱吸収能力が低下し、徐々にではある
が、端部温度上昇が大きくなっていく。本実施例では、
熱伝導部材6に冷却手段14を設けることにより、熱伝
導部材の温度上昇を抑えることができ、それによって、
小サイズ紙を多数枚定着しても、端部温度上昇を改善し
た定着装置が得られた。以下に請求項10の具体的な実
施例を示す。
【0100】(実施例10)図22の構成で以下に示す
ような構成条件を設定してA3用定着装置を作成し、そ
れにA4幅の記録紙を連続通紙したときの非通紙部の温
度上昇を測定した。
【0101】 加熱ローラ構成 :図7(a) 加熱ローラ熱源供給電力:700W 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm :加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :ガラス 熱伝導部材材料、形状 :材料=アルミニウム 形状=板状 長さ305mm、幅10mm、厚さ5mm 押し付け圧=50gf 熱伝導部材放熱板 :材料=アルミニウム 形状=図11(b)の形状 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0102】この定着装置で、A4サイズ紙を連続50
枚通紙した時の端部温度上昇値と、放熱板無しのときに
同様に50枚通紙した時の端部温度上昇値とを比較する
と、本実施例の方が約1/2の端部温度上昇値であっ
た。この定着装置を用いて、A4サイズ紙を100枚連
続通紙した直後に、トナー画像を形成したA3サイズ紙
を通紙して、その定着画像を評価した結果、良好な定着
画像が得られた。
【0103】(請求項11の説明)次に、図24により
請求項11記載の発明の実施例を説明する。図24は請
求項11の一実施例を示す定着装置の要部断面図であ
り、本実施例の定着装置では、加熱ローラ10に当接し
て熱伝導部材6が複数個(図示の例では3個)設けられ
ている。前述したように、加熱ローラ10の熱は熱伝導
部材6により吸収されるため、小サイズ紙を連続して通
紙していくと、熱伝導部材自身の温度も上昇してしま
い、加熱ローラ10からの熱吸収能力が低下し、徐々に
ではあるが、端部温度上昇が大きくなっていく。熱伝導
部材6の温度上昇値は、熱伝導部材6の熱容量に大きく
起因する。すなわち熱容量が大きいと、温度は上がりに
くく、逆に熱容量が小さいとすぐに熱くなる。この熱容
量は、熱伝導部材6の材質できまる比熱と、その質量に
よって決まる。質量は材料の持つ比重と体積で決まるた
め、同じ材料であれば、大きさが大きいほど暖まりにく
くなる。本実施例では、熱伝導部材6を複数設けること
により、その体積を実質的に増やして、熱伝導部材の温
度上昇を抑えることができる。また、熱伝導部材6を複
数設けることによって、1つで同じ体積を得るときに比
べて、加熱ローラ10との接触面積も大きく取ることが
できて、加熱ローラ10から熱伝導しやすくなり、端部
温度上昇の改善効率が上がるという利点もある。それに
よって、小サイズ紙を多数枚定着しても、端部温度上昇
を改善した定着装置が得られた。
【0104】次に、請求項12〜17記載の発明につい
て説明する。 (請求項12の説明)図25及び図26により請求項1
2記載の発明を説明する。尚、図25は定着装置の要部
斜視図、図26は定着装置の要部断面図である。図2
5,26において、符号2は加熱ローラ、1は該加熱ロ
ーラ2を加熱するための熱源である。符号7は加熱ロー
ラ2表面の温度を検知するための温度センサである。熱
源1はハロゲンランプなどからなり、加熱ローラ2の軸
方向に加熱ローラの全長とほぼ等しい長さで配設されて
おり、温度センサ7の検知値に応じて、加熱ローラ2の
内面を軸方向に均一に加熱できるようになっている。符
号3は加圧ローラであり、この加圧ローラ3は、バネな
どで構成される圧接機構によって、図中の矢印A方向に
加圧され、加熱ローラ2に圧接されている。符号4は記
録紙やOHPフィルムなどの記録体5を、ニップ部(加
圧ローラ3と加熱ローラ2の接触部)に導入するための
ガイドである。符号6は熱伝導部材である。熱伝導部材
6の材料としては、Al,Ni,Cu,Fe,SUSな
どの金属及びその合金、高熱伝導性のセラミック等が用
いられる。また、熱伝導部材6は、加圧ローラ3の軸方
向表面の一部に、加圧ローラ3を記録体5が通過する最
大領域の幅の80%よりも広い範囲で接触するように配
置されている。
【0105】次に請求項12の発明の作用について説明
する。PPC、レーザープリンターやPPF等に用いら
れている電子写真記録装置では、印字開始により、被記
録体は帯電、露光、現像、転写という電子写真作像プロ
セスにより、その表面にトナー像が形成される。加熱ロ
ーラ2の長さより小サイズの記録体(小サイズ紙)5を
連続印字した場合、トナー像が形成された記録体5は、
図中矢印B方向より搬送され、定着部すなわち加熱ロー
ラ2と加圧ローラ3とのニップ部に搬送され、そこで加
熱ローラ2の熱によって、トナーが定着される。その
後、トナー像が定着された記録紙は、ニップ部を通過し
て、定着部を出ていく。すなわち、記録紙によって加熱
ローラ2の熱エネルギーが奪われる。従って、小サイズ
紙を連続通紙した場合、小サイズ紙の通過領域のみ加熱
ローラ2の熱エネルギーが奪われる。同様に加熱ローラ
2と接している加圧ローラ3も記録紙に熱を奪われ、加
圧ローラ表面における記録紙の通紙部と非通紙部にも温
度差が生じる。
【0106】しかし、本発明では、加圧ローラ3の表面
に熱伝導部材6を接触させることにより、加圧ローラ3
の非通紙部に蓄積された熱エネルギーは熱伝導部材6に
伝熱される。熱伝導部材6は高熱伝導性であるので、ほ
ぼ均一の温度になり、さらに熱伝導部材6に蓄積された
熱エネルギーは、加圧ローラ3の通紙部に供給される。
このようにして、加圧ローラ3の非通紙領域と通紙領域
の温度が均一化されることにより、端部温度上昇の発生
を低減することができる。
【0107】また、本発明では、熱伝導部材6の接触す
る領域として加圧ローラの最大通紙領域の80%とし
た。これは端部温度上昇は小サイズ記録紙の連続通紙時
に特に顕著になることから、例えばA3記録紙用の定着
装置の場合、最大サイズであるA3記録紙のワンランク
小さいサイズの記録紙であるA4幅の記録紙を連続通紙
した場合について考えれば、A4幅(210mm)はA
3幅(297mm)の約70.7%に相当することか
ら、非通紙部は、加圧ローラ3の最大通紙領域の約7
0.7%以上の範囲になる。ここで、熱伝導部材6は通
紙部と非通紙部の温度を均一にするためのものであるか
ら、当然熱伝導部材もこの範囲以上の領域に接触させる
必要がある。この領域の設定基準としては、端部温度上
昇が発生したときに、高温部と低温部の温度差による熱
膨張の違いで、加熱ローラ2が破損しない温度以下に抑
える必要がある。そのような温度は、使用するトナー、
定着設定温度などによっても異なるが、一般的なトナー
の場合、端部温度上昇が発生しても、220℃以下にな
るようにする必要がある。そこで、加圧ローラ3と熱伝
導部材6の接触幅を変えて、どの程度の接触領域(幅)
であれば端部温度上昇を許容値以下に抑えることができ
るかを評価した。その評価方法として、以下のような実
施例11及び実施例12を試みた。
【0108】(実施例11)図25及び図26の構成
で、以下に示すような構成条件を設定してA3用定着装
置を作成し、それにA4幅の記録紙を連続通紙したとき
の非通紙部の温度上昇を測定した。熱伝導部材6の加圧
ローラ3との接触領域としては、図38に示すように、
最大通紙領域の(a)71%、(b)80%、(c)1
00%とした。また、比較例として、熱伝導手段を設け
ない場合での測定も行なった。
【0109】 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm 加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :アルミニウム 熱源 :ハロゲンランプ 熱源供給電力 :1000W 熱伝導部材材料、形状:材料=アルミニウム 形状=板状 幅10mm、厚さ5mm 長さ211mm,238mm,297mmの3種 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0110】ここで、図27は本実施例での非通紙部温
度上昇を示したグラフである。また、比較例(熱伝導部
材を設けない場合)の非通紙部の温度上昇を示したグラ
フは先の図4に示したものと同じである。図27、図4
からわかるように、本発明により、小サイズ紙を連続通
紙した場合の非通紙部温度上昇は低下し、中央部(通紙
部)の温度との差が小さくなる。さらに図27の結果よ
り、加圧ローラ3と熱伝導部材6の接触領域としては8
0%以上であれば、端部の温度を220℃以下に抑える
ことができることがわかった。また、50枚連続通紙し
た直後に、トナー画像を形成したA3サイズ紙を通紙し
て、その定着画像を評価した結果、80%、100%の
場合には、良好な定着画像が得られたのに対して、71
%及び比較例では、端部でオフセットが生じて劣悪な画
像となった。すなわち熱伝導部材6の接触する領域とし
ては、加圧ローラ最大通紙領域の80%以上の領域であ
れば、加圧ローラに熱伝導部材を接触させることによ
り、端部温度上昇を解消することができた。
【0111】(実施例12)図28(図25に対応)及
び図29に請求項12の発明の別の実施例を示す。図2
8は定着装置の要部斜視図、図29は定着装置の要部断
面図である。図28,29において、符号10は熱源が
一体的に形成された発熱機能を有する加熱ローラであ
り、先の図5,6に示した加熱ローラと同様の構造のも
のである。すなわち、加熱ローラ10の断面構造は先の
図7に示したものと同様であり、例えば、図7(a)に
示すように、基材11の表面に発熱抵抗体12を形成
し、さらにその上に、トナーとの離形性を向上すると共
に、他の部材と発熱抵抗体との接触で発熱抵抗体が損傷
するのを防ぎ、また発熱抵抗体を電気的に絶縁する目的
で、テフロンなどの耐熱樹脂層13を形成したもの、ま
たは、同図(b)に示すように、パイプ状の基材11の
内面に発熱抵抗体12を形成し、基材11の表面には、
前述の耐熱樹脂層13を形成してなるもの、あるいは、
同図(c)に示すように、導電性繊維や、カーボン分散
したセラミックス(いわゆる自己発熱セラミックス)や
樹脂などのように、それ自体が発熱する材料からなるロ
ーラ9の表面に、耐熱樹脂層13を形成してなるものな
どがある。
【0112】加熱ローラのローラ基材11の材料として
は、ガラスやセラミックス、あるいはAl,SUSなど
の金属が用いられる。金属を用いる場合には、発熱抵抗
体12との電気的絶縁のためにSiO2 、ポリイミドな
どの樹脂材料等による絶縁層を設ける必要がある。これ
ら加熱ローラは、図25,26の例のようなハロゲンラ
ンプ等を用いた定着方式に比べ、熱源と加熱ローラとが
一体となっているので、加熱ローラの加熱効率がよく、
さらに熱源が定着が行なわれる加熱ローラ表面近傍を直
接加熱するため、加熱効率がよく、消費電力の低減が図
れるという点、昇温時間が短くなり、PPC、レーザー
プリンター、PPF等の印字までのいわゆるウエイトタ
イムが短くなるという点で極めて優れた定着方式であ
る。
【0113】しかし一方では、高速機に用いた場合、基
材として熱伝導率の悪い、構成が簡単で(絶縁層不要)
コストの安いガラスやセラミックスを使用した場合、端
部温度上昇が比較的大きくなりやすいという不具合もあ
るが、本発明のように、熱伝導部材6を加圧ローラ3に
接触して設けることにより、上記不具合を解消すること
ができる。
【0114】さて、図28,29の構成で以下に示すよ
うな構成条件を設定してA3用定着装置を作成し、それ
にA4幅の記録紙を連続通紙したときの非通紙部の温度
上昇を測定した。熱伝導部材の加圧ローラへの接触領域
としては、最大通紙領域の80%とした(図38
(b))。また、比較例として、熱伝導部材を設けない
場合での測定も行なった。
【0115】 加熱ローラ構成 :図7(a) 加熱ローラ熱源供給電力:700W 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm :加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :ガラス 熱伝導部材材料、形状 :材料=アルミニウム 形状=板状 長さ238mm、幅10mm、厚さ5mm 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0116】図30は本実施例での非通紙部温度上昇を
示したグラフである。また、比較例(熱伝導部材を設け
ない場合)の非通紙部の温度上昇を示したグラフは先の
図9に示したものと同じであり、大きな端部温度上昇が
生じていることがわかる。図30と図9からわかるよう
に、本発明により、小サイズ紙を連続通紙した場合の非
通紙部温度上昇は低下し、中央部(通紙部)の温度との
差が飛躍的に小さくなり、大きく改善されていることが
わかる。また、この定着装置を用いて、A4サイズ紙を
50枚連続通紙した直後に、トナー画像を形成したA3
サイズ紙を通紙して、その定着画像を評価した結果、本
実施例の構成の場合には良好な定着画像が得られたのに
対して、比較例では、端部でオフセットが生じて、劣悪
な画像となった。
【0117】(請求項13の説明)図28に示す構成の
定着装置において、加圧ローラ3と熱伝導部材6との間
に隙間を設けた場合での端部温度上昇を解決するための
検討を行なった。この場合の定着装置の構成例を図31
に示す。図31において、熱伝導部材6は加圧ローラ3
と非接触に配置され、その間の距離ΔLは、あまり長す
ぎると加圧ローラ3の熱が熱伝導部材6に効率よく伝わ
らず、その結果、加圧ローラ表面に生じた温度分布を効
率よく解消することができないため、適当な設定範囲が
ある。これは、加圧ローラの回転速度や、熱伝導部材の
大きさ、材質などによっても異なるが、通常5mm以
下、最適には1.0mm以下に設けられる。端部温度上
昇は、加熱ローラが完全に均一になる必要はなく、ある
温度以下に抑えられていればよい。この「ある温度」と
は、小サイズ紙を連続通紙した後で、最大通紙幅の記録
紙を通紙したときに、端部温度上昇によって高温オフセ
ットが発生しない温度のことであり、この温度以下に抑
える必要がある。またさらに、端部温度上昇が発生した
ときに、高温部と低温部の温度差による熱膨張の違い
で、加熱ローラが破損しない温度のことでもあり、この
温度以下に抑える必要がある。そのような温度は、使用
するトナー、定着設定温度などによっても異なるが、一
般的なトナーの場合、端部温度上昇が発生しても、22
0℃以下になるようにする必要がある。
【0118】(実施例13)本発明では、図31の構成
で加圧ローラ3と熱伝導部材6の距離を変えて、どの程
度の距離であれば、端部温度上昇を許容値以下に抑える
ことができるかを評価した。また、熱伝導部材の加圧ロ
ーラに対する接触領域としては、最大通紙領域の80%
とした(図38(b))。
【0119】 加熱ローラ構成 :図7(a) 加熱ローラ熱源供給電力:700W 加熱ローラのサイズ :幅長さ335mm、径30mm、厚さ0.6mm :加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :ガラス 熱伝導部材材料、形状 :材料=アルミニウム 形状=板状 長さ238mm、幅10mm、厚さ5mm 熱伝導部材〜加圧ローラ間距離ΔL ΔL=0.5,1,2,5,10(mm) 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0120】図32はA4サイズ紙を連続50枚通紙し
た時の非通紙部の温度を測定した結果である。この結
果、加圧ローラ3と熱伝導部材6の距離ΔLとしては、
5.0mm以下であれば、端部の温度を220℃以下に
抑えることができることがわかった。また、50枚連続
通紙した直後に、トナー画像を形成したA3サイズ紙を
通紙して、その定着画像を評価した結果、0.5mm,
1mm,2mm,5mmの場合には、良好な定着画像が
得られたのに対して、10mmでは端部でオフセットが
生じて、劣悪な画像となった。
【0121】(請求項14の説明)図33により請求項
14記載の発明の実施例を説明する。加圧ローラ3の温
度を均一化するためには、加圧ローラの軸方向全体に熱
伝導部材6を接触させることが最も望ましいが、加圧ロ
ーラ上を搬送される記録紙のシワの発生やあるいは記録
紙上のトナー画像への影響の点では、最大通紙幅での温
度均一化が達成できれば良く、図33のように、最大通
紙幅全体(100%)より長い熱伝導部材6を接触する
ことにより、実施例11及び実施例12での最大通紙幅
の80〜100%の例の結果(図27の(a),
(b)、図30)より端部温度上昇をさらに低減できる
ことがわかる。ところが加熱ローラ10が表面発熱ロー
ラの場合であれば、最大通紙部より外側であっても、加
圧ローラ3が熱伝導部材6で均一化(冷却)されている
領域と非均一領域(高温)の温度差により、加熱ローラ
に影響する。すなわち熱膨張の違いから、加熱ローラ軸
方向での径が異なってしまい、ローラの回転不良やさら
には加熱ローラが破損してしまうという問題がある。こ
のことから、加熱ローラ10が表面発熱ローラの場合
は、熱伝導部材と加圧ローラの設置範囲としては、加圧
ローラの軸方向全体に熱伝導部材が接触または非接触し
て配置されていることが望ましい。
【0122】(請求項15の説明)図34及び図35に
より請求項15記載の発明の実施例を説明する。定着装
置の基本的な構成は図28と同様であるが、本実施例に
おける熱伝導部材6の形状としては、加圧ローラ3の熱
を効率よく吸収するために、加圧ローラ3との接触面積
(または所定の隙間を隔てて非接触時での対向面積)は
広い方がよいことから、図34に示すように、熱伝導部
材6は、加圧ローラ周方向に沿って加圧ローラ3を囲う
形状が効果的である。また、小サイズ紙を連続して通紙
していくと、熱伝導部材自身の温度も上昇してしまい、
加圧ローラからの熱吸収能力が低下し、徐々にではある
が端部温度上昇が大きくなっていくことから、熱伝導部
材自身も熱を放出(自然放熱)しやすい形状が好まし
く、従って、熱伝導部材自身の表面積は大きい方が良
い。図35は図34に示す熱伝導部材6の形状例を示す
図であって、(a)は熱伝導部材の表面を凸凹に形成し
た例、(b)は熱伝導部材の面に無数の穴を設けた例で
あり、何れの場合も熱伝導部材6の表面積が大きくな
り、放熱性能が向上し、加圧ローラからの熱吸収能力を
向上することができる。
【0123】(実施例14)さて、請求項15の具体的
な実施例として、図34の構成で以下に示すような構成
条件を設定してA3用定着装置を作成し、それにA4幅
の記録紙を連続通紙したときの非通紙部の温度上昇を測
定した。
【0124】 加熱ローラ構成 :図7(a) 加熱ローラ熱源供給電力:700W 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm :加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :ガラス 熱伝導部材材料、形状 :材料=アルミニウム 形状=加圧ローラの半分を覆う形状(図34) 長さ305mm、幅36mm、厚さ5mm 熱伝導部材〜加圧ローラ間距離1mm 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0125】この定着装置で、A4サイズ紙を連続50
枚通紙した時の端部温度上昇値と、比較例として熱伝導
部材の形状が板状の場合(例えば図31の例)で同様に
50枚通紙した時の端部温度上昇値とを比較すると、本
実施例の方が約2/3の端部温度上昇値であった。この
定着装置を用いて、A4サイズ紙を100枚連続通紙し
た直後に、トナー画像を形成したA3サイズ紙を通紙し
て、その定着画像を評価した結果、良好な定着画像が得
られた。
【0126】(請求項16の説明)図36により請求項
16記載の発明の実施例を説明する。図36は請求項1
6の一実施例を示す定着装置の要部断面図であり、定着
装置の基本的な構成は図28と同様であるが、本実施例
の定着装置では、加圧ローラ3に対して熱伝導部材6が
複数個(図示の例では2個)設けられている。請求項1
2の説明でも述べたように、加熱ローラ10の熱は加圧
ローラ3に伝えられ、加圧ローラ3の熱が熱伝導部材6
により吸収される。その熱量は、加圧ローラ3の表面温
度と熱伝導部材6の温度との差に対応した熱、言い換え
れば熱伝導部材6がほぼ均一な温度をしているため、加
圧ローラ3の温度に対応して、高温の部分からは多くの
熱量が、低温の部分からはそれより少ない熱量が吸収さ
れる。ところが、小サイズ紙を連続して通紙していく
と、熱伝導部材自身の温度も上昇してしまい、加圧ロー
ラ3からの熱吸収能力が低下し、徐々にではあるが、端
部温度上昇が大きくなっていく。これを解決するために
は、熱伝導部材6の熱容量を大きく(すなわち体積を大
きく)することが必要であるが、限られた設置スペース
の面で限界があるという問題がある。そこで本実施例で
は、図36に示すように、加圧ローラ3に対して熱伝導
部材6を複数個配置することで、熱伝導部材全体での熱
的容量を大きくし、熱伝導部材の温度上昇を抑えること
ができ、それによって、小サイズ紙を多数枚定着して
も、端部温度上昇を改善した定着装置が得られた。以下
に具体的な実施例を示す。
【0127】(実施例15)請求項16の具体的な実施
例として、図36の構成で以下に示すような構成条件を
設定してA3用定着装置を作成し、それにA4幅の記録
紙を連続通紙したときの非通紙部の温度上昇を測定し
た。
【0128】 加熱ローラ構成 :図7(a) 加熱ローラ熱源供給電力:700W 加熱ローラのサイズ :幅335mm、径30mm、厚さ0.6mm :加熱部の長さ305mm 加熱ローラ材料 :ガラス 熱伝導部材材料、形状 :材料=アルミニウム 形状=円筒状×2本(図36) 長さ305mm、φ10mm 記録紙 :リコータイプ6200紙 記録紙送り速度 :90mm/s 加熱ローラ設定温度 :180℃
【0129】この定着装置で、A4サイズ紙を連続50
枚通紙した時の端部温度上昇値と、比較例として熱伝導
部材が円筒状のもの1本のみの場合で同様に50枚通紙
した時の端部温度上昇値とを比較すると、本実施例の方
が約2/3の端部温度上昇値であった。この定着装置を
用いて、A4サイズ紙を100枚連続通紙した直後に、
トナー画像を形成したA3サイズ紙を通紙して、その定
着画像を評価した結果、良好な定着画像が得られた。
【0130】(請求項17の説明)図37により請求項
17記載の発明の実施例を説明する。図37は請求項1
7の一実施例を示す定着装置の要部断面図であり、本実
施例の定着装置では、熱伝導部材6は定着装置のカバー
18と一体的に形成されており、図示の例では、カバー
18の加圧ローラ3側を覆う内壁面に一体的に設けられ
ている。この熱伝導部材6の作成方法としては、耐熱性
樹脂で作成されたカバーに金属のフィルムを貼って熱伝
導部材6を形成したり、あるいは蒸着などの薄膜形成技
術により、樹脂カバー18の内面にAlやNi、Cuな
どの金属膜を形成して熱伝導部材6を形成してもよい。
また、熱伝導部材そのもので定着装置の加圧ローラ側の
カバーを兼ねてもよい。このようにすることによって、
定着装置を組み立てるときに、熱伝導部材を組み付ける
という手間が省け、組立工数が減り、コスト低減にな
る。
【0131】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以
下のような効果が得られる。請求項1記載の発明によれ
ば、加熱ローラと非接触の位置に熱伝導部材を設けるこ
とにより、小サイズ紙を連続通紙したときに発生する端
部温度上昇を低減することができ、端部温度上昇によっ
て発生する加熱ローラの破損や紙送り時の紙しわの発
生、さらには小サイズ紙連続通紙直後に大サイズ紙を通
紙したときに発生する端部での高温オフセットが改善さ
れ、信頼性、高画質を実現した定着装置が得られる。さ
らに、本発明を熱源が一体的に形成された表面発熱ロー
ラに用いることにより、端部温度上昇を解決したうえ
に、放電の発生、電気的短絡の発生など安全規格に対し
てもクリアした定着装置を実現することができた。
【0132】請求項2記載の発明によれば、請求項1の
構成に加えて、端部温度上昇を解決するための、熱伝導
部材の材料の最適化を行なうことで、実際に定着装置と
して用いた場合の高温オフセットや紙シワが発生しない
温度に、端部温度を抑えることができ、高画質化が図れ
た。
【0133】請求項3記載の発明によれば、請求項1の
構成に加えて、熱伝導部材に冷却手段を付加したので、
熱伝導部材自身が高温になり加熱ローラからの吸熱効率
が低下するという不具合を防ぐことができ、小サイズ紙
を多数枚連続印字しても、端部温度上昇による加熱ロー
ラの破損、紙しわの発生、高温オフセットの発生がない
定着装置を実現できた。
【0134】請求項4記載の発明によれば、請求項1の
構成に加えて、移動手段により熱伝導部材の位置(熱伝
導部材と加熱ローラとの間の距離)を変えるようにした
ので、端部温度上昇が発生するのを抑え、さらに、加熱
ローラから熱伝導部材に熱エネルギーが奪われて加熱ロ
ーラの加熱効率が低下し設定温度に維持するのに大きな
電力を要するという不具合や、立ち上げ時間が遅くなっ
て印字可能になるまでの待ち時間が長くなると言った不
具合のない定着装置が実現できた。
【0135】請求項5記載の発明によれば、請求項1の
構成により端部温度上昇を低減したうえに、さらに、熱
伝導部材を定着装置のカバーと一体的に形成することに
よって、定着装置の組み立て時に、熱伝導部材を組み付
けるという手間が省け、組み立て工数が減り、コスト低
減になる。
【0136】請求項6記載の発明によれば、加熱ローラ
に接して熱伝導部材を設けることにより、小サイズ紙を
連続通紙したときに発生する端部温度上昇を低減するこ
とができ、端部温度上昇によって発生する加熱ローラの
破損や紙送り時の紙しわの発生、さらには小サイズ紙連
続通紙直後に大サイズ紙を通紙したときに発生する端部
での高温オフセットが改善され、信頼性、高画質を実現
した定着装置が得られる。
【0137】請求項7記載の発明によれば、請求項6の
構成に加えて、熱伝導部材として高熱伝導性で絶縁性の
材料を用いたので、端部温度上昇を改善したうえに、表
面発熱方式の加熱ローラに用いても発熱抵抗体との間で
の放電や電流リークなどの恐れがなく、絶縁性の確保な
どの安全規格をクリアする定着装置が実現できた。
【0138】請求項8記載の発明によれば、請求項6の
構成により端部温度上昇を改善したうえに、さらに熱伝
導部材をローラ形状にして、加熱ローラの回転に従っ
て、熱伝導部材も回転するようにしたので、加熱ローラ
と擦れて傷つけるようなことがなく、信頼性のある定着
装置を実現することができた。
【0139】請求項9記載の発明によれば、請求項6の
構成に加えて、移動手段により熱伝導部材の位置(加熱
ローラと接触する位置と離間した位置)を変えるように
したので、端部温度上昇が発生することを抑え、さら
に、立ち上げ時間が速い定着装置が実現できた。またさ
らに、不必要なときに接触することで、摩擦によって加
熱ローラ表面が損傷するという不具合を防ぐことがで
き、信頼性のある定着装置を実現することができた。
【0140】請求項10記載の発明によれば、請求項6
の構成に加えて、熱伝導部材に冷却手段を付加したの
で、熱伝導部材自身が高温になり加熱ローラからの吸熱
効率が低下するという不具合を防ぐことができ、小サイ
ズ紙を多数枚連続印字しても、端部温度上昇による加熱
ローラの破損、紙しわの発生、高温オフセットの発生が
ない定着装置を実現できた。
【0141】請求項11記載の発明によれば、請求項6
の構成に加えて、熱伝導部材を複数設けたので、熱伝導
部材自身が高温になり加熱ローラからの吸熱効率が低下
するという不具合を防ぐことができ、また、複数の熱伝
導部材全体での接触面積も増大することにより、加熱ロ
ーラからの熱伝導が大きくなって、小サイズ紙を多数枚
連続印字しても、端部温度上昇による加熱ローラの破
損、紙しわの発生、高温オフセットの発生がない定着装
置を実現できた。
【0142】請求項12記載の発明によれば、加圧ロー
ラに熱伝導部材を接触させることにより、小サイズ紙を
連続通紙した時に発生する端部温度上昇を低減すること
ができ、端部温度上昇によって発生する加熱ローラの破
損や紙送り時の紙しわ発生、さらには小サイズ紙連続通
紙直後に大サイズ紙を通紙したときに発生する端部での
高温オフセットが改善され、信頼性、高画質を実現した
定着装置が得られた。
【0143】請求項13記載の発明によれば、加圧ロー
ラに非接触の位置に熱伝導部材を設けたことにより、加
圧ローラに機械的な負荷を与えることなく、小サイズ紙
を連続通紙した時に発生する端部温度上昇を低減するこ
とができ、端部温度上昇によって発生する加熱ローラの
破損や紙送り時の紙しわ発生、さらには小サイズ紙連続
通紙直後に大サイズ紙を通紙したときに発生する端部で
の高温オフセットが改善され、信頼性、高画質を実現し
た定着装置が得られた。
【0144】請求項14記載の発明によれば、請求項1
2または請求項13の構成に加え、熱伝導部材を加圧ロ
ーラの最大通紙幅以上の範囲で接触または非接触の位置
に設けることにより、加圧ローラの有効範囲での温度均
一化が達成され、小サイズ紙連続通紙直後に大サイズ紙
を通紙したときに発生する端部での高温オフセットが改
善され、信頼性、高画質を実現した定着装置が得られ
た。
【0145】請求項15記載の発明によれば、請求項1
2または請求項13の構成に加え、熱伝導部材を、加圧
ローラ周方向表面に沿って該加圧ローラを覆うように配
置したことにより、加圧ローラからの放熱効果をさらに
高めることができ、それに伴って端部温度上昇もさらに
低減することができた。
【0146】請求項16記載の発明によれば、請求項1
2または請求項13の構成に加え、熱伝導部材を加圧ロ
ーラに対して複数個配置することにより、設置スペース
を増加せずに加圧ローラからの放熱効果をさらに高める
ことができ、加圧ローラの温度均一化が達成され、それ
に伴って端部温度上昇もさらに低減できた。また、同等
の放熱効果を得る形状としては、1つの熱伝導部材を配
置する場合に比べて、複数個配置する方が小さくでき、
省スペース化が図れた。
【0147】請求項17記載の発明によれば、請求項1
2または請求項13の構成に加え、熱伝導部材を定着装
置のカバーと一体的に形成することによって、定着装置
の組み立て時に、熱伝導部材を組み付けるという手間が
省け、組み立て工数が減り、コスト低減になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の一実施例を示す定着装置の要部斜視
図である。
【図2】図1に示す定着装置の要部断面図である。
【図3】請求項1の実施結果を示す図であって、図1,
2に示す構成でA3記録紙用の定着装置を作成して、A
4サイズの記録紙を連続通紙したときの非通紙部温度上
昇を示したグラフである。
【図4】本発明との比較例を示す図であって、ハロゲン
ランプを熱源として内蔵した加熱ローラを用い、本発明
の熱伝導部材を用いない構成の定着装置で、A4サイズ
の記録紙を連続通紙したときの非通紙部温度上昇を示し
たグラフである。
【図5】請求項1の別の実施例を示す定着装置の要部斜
視図である。
【図6】図5に示す定着装置の要部断面図である。
【図7】熱源が一体的に形成された、発熱機能を有する
加熱ローラの構成例を示す図である。
【図8】請求項1の別の実施結果を示す図であって、図
5,6に示す構成でA3記録紙用の定着装置を作成し
て、A4サイズの記録紙を連続通紙したときの非通紙部
温度上昇を示したグラフである。
【図9】本発明との別の比較例を示す図であって、熱源
が一体的に形成された加熱ローラを用い、本発明の熱伝
導部材を用いない構成の定着装置で、A4サイズの記録
紙を連続通紙したときの非通紙部温度上昇を示したグラ
フである。
【図10】請求項3の一実施例を示す定着装置の要部斜
視図である。
【図11】熱伝導部材の冷却手段として用いられる放熱
部材の形状例を示す図である。
【図12】請求項4の一実施例を示す定着装置の要部斜
視図である。
【図13】請求項5の一実施例を示す定着装置の要部断
面図である。
【図14】請求項6の一実施例を示す定着装置の要部斜
視図である。
【図15】図14に示す定着装置の要部断面図である。
【図16】請求項6の実施結果を示す図であって、図1
4,15に示す構成でA3記録紙用の定着装置を作成し
て、A4サイズの記録紙を連続通紙したときの非通紙部
温度上昇を示したグラフである。
【図17】請求項6の別の実施例を示す定着装置の要部
斜視図である。
【図18】図17に示す定着装置の要部断面図である。
【図19】請求項6の別の実施結果を示す図であって、
図17,18に示す構成でA3記録紙用の定着装置を作
成して、A4サイズの記録紙を連続通紙したときの非通
紙部温度上昇を示したグラフである。
【図20】請求項8の一実施例を示す定着装置の要部断
面図である。
【図21】請求項9の一実施例を示す定着装置の要部斜
視図である。
【図22】請求項10の一実施例を示す定着装置の要部
斜視図である。
【図23】請求項6の定着装置における熱伝導部材の断
面形状例を示す図である。
【図24】請求項11の一実施例を示す定着装置の要部
断面図である。
【図25】請求項12の一実施例を示す定着装置の要部
斜視図である。
【図26】図25に示す定着装置の要部断面図である。
【図27】請求項12の実施結果を示す図であって、図
25,26に示す構成でA3記録紙用の定着装置を作成
し、且つ、熱伝導部材の加圧ローラとの接触領域を最大
通紙領域の71%(a),80%(b),100%
(c)とした場合に、A4サイズの記録紙を連続通紙し
たときの非通紙部温度上昇を示したグラフである。
【図28】請求項12の別の実施例を示す定着装置の要
部斜視図である。
【図29】図28に示す定着装置の要部断面図である。
【図30】請求項12の別の実施結果を示す図であっ
て、図28,29に示す構成でA3記録紙用の定着装置
を作成し、熱伝導部材の加圧ローラとの接触領域を最大
通紙領域の80%とした場合に、A4サイズの記録紙を
連続通紙したときの非通紙部温度上昇を示したグラフで
ある。
【図31】請求項13の一実施例を示す定着装置の要部
断面図である。
【図32】請求項13の実施結果を示す図であって、図
31に示す構成でA3記録紙用の定着装置を作成し、熱
伝導部材の加圧ローラとの距離を0.5mm,1mm,
2mm,5mm,10mmと変えた場合に、A4サイズ
の記録紙を連続通紙したときの非通紙部温度上昇を示し
たグラフである。
【図33】請求項14の一実施例を示す定着装置の要部
斜視図である。
【図34】請求項15の一実施例を示す定着装置の要部
断面図である。
【図35】図34に示す定着装置の熱伝導部材の形状例
を示す図である。
【図36】請求項16の一実施例を示す定着装置の要部
断面図である。
【図37】請求項17の一実施例を示す定着装置の要部
断面図である。
【図38】請求項12の実施例の説明図であり、加圧ロ
ーラの最大通紙領域と熱伝導部材の接触領域との関係を
示す図である。
【符号の説明】
1 熱源(ハロゲンランプ等) 2 加熱ローラ(内部に熱源が設けられた加熱ロー
ラ) 3 加圧ローラ 4 ガイド 5 記録体(記録紙、OHPフィルム等) 6 熱伝導部材 7 温度センサ 9 自己発熱材料からなるローラ 10 加熱ローラ(熱源が一体的に形成された加熱ロ
ーラ) 11 基材 12 発熱抵抗体 13 耐熱樹脂層 14 冷却手段 15 ソレノイド 16 バネ 17 移動手段 18 定着装置のカバー 25 ソレノイド 26 バネ 27 接離手段

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱源が一体的に形成された、あるいは内部
    に熱源が設けられた加熱ローラと、該加熱ローラと一部
    で圧接する加圧ローラとを有し、前記圧接部にて記録体
    を挾持搬送することにより、前記加熱ローラの熱エネル
    ギーを記録体に付与せしめる定着装置において、 前記加熱ローラの表面周方向の一部に対向し、前記加熱
    ローラと接しない位置に熱伝導手段を有することを特徴
    とする定着装置。
  2. 【請求項2】前記熱伝導手段が、21W/m・K以上の
    熱伝導率を有することを特徴とする請求項1記載の定着
    装置。
  3. 【請求項3】前記熱伝導手段に冷却手段が設けられてい
    ることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 【請求項4】前記熱伝導手段に、前記加熱ローラ表面と
    の距離を変える移動手段が設けられていることを特徴と
    する請求項1記載の定着装置。
  5. 【請求項5】前記熱伝導手段が定着装置のカバーと一体
    的に形成されていることを特徴とする請求項1記載の定
    着装置。
  6. 【請求項6】熱源が一体的に形成された、あるいは内部
    に熱源が設けられた加熱ローラと、該加熱ローラと一部
    で圧接する加圧ローラとを有し、前記圧接部にて記録体
    を挾持搬送することにより、前記加熱ローラの熱エネル
    ギーを記録体に付与せしめる定着装置において、 前記加熱ローラの表面周方向の一部に、前記加熱ローラ
    と接する熱伝導手段を有することを特徴とする定着装
    置。
  7. 【請求項7】前記熱伝導手段が絶縁性材料からなること
    を特徴とする請求項6記載の定着装置。
  8. 【請求項8】前記熱伝導手段はローラ状部材であり、前
    記加熱ローラの回転と共に該ローラ状の熱伝導部材が回
    転することを特徴とする請求項6記載の定着装置。
  9. 【請求項9】前記熱伝導手段に、前記加熱ローラ表面と
    接離するための接離手段が設けられていることを特徴と
    する請求項6記載の定着装置。
  10. 【請求項10】前記熱伝導手段に冷却手段が設けられた
    ことを特徴とする請求項6記載の定着装置。
  11. 【請求項11】前記熱伝導手段が、複数設けられている
    ことを特徴とする請求項6記載の定着装置。
  12. 【請求項12】熱源が一体的に形成された、あるいは内
    部に熱源が設けられた加熱ローラと、該加熱ローラと一
    部で圧接する加圧ローラとを有し、前記圧接部にて記録
    体を挾持搬送することにより、前記加熱ローラの熱エネ
    ルギーを記録体に付与せしめる定着装置において、 前記加圧ローラの軸方向表面の一部に、前記加圧ローラ
    を記録体が通過する最大通紙領域の幅の80%よりも広
    い範囲で接触するように熱伝導手段を配置したことを特
    徴とする定着装置。
  13. 【請求項13】前記熱伝導手段が、前記加圧ローラの軸
    方向表面の一部に対向し、前記加圧ローラを記録体が通
    過する最大通紙領域の幅の80%よりも広い範囲で、前
    記加圧ローラと所定の隙間を有して非接触となるように
    配置されていることを特徴とする請求項12記載の定着
    装置。
  14. 【請求項14】前記熱伝導手段は、前記記録体の進行方
    向と直角方向に延びて形成され、少なくとも最大通紙領
    域(幅)以上の長さを有し、加圧ローラの最大通紙領域
    以上の範囲で加圧ローラ軸方向に接触または所定の隙間
    で非接触に配置されていることを特徴とする請求項12
    及び請求項13記載の定着装置。
  15. 【請求項15】前記熱伝導手段は、前記加圧ローラ周方
    向表面に沿って前記加圧ローラを覆うように形成されて
    いることを特徴とする請求項12及び請求項13記載の
    定着装置。
  16. 【請求項16】前記熱伝導手段が加圧ローラに対して複
    数個配置されていることを特徴とする請求項12及び請
    求項13記載の定着装置。
  17. 【請求項17】前記熱伝導手段が定着装置のカバーと一
    体的に形成されていることを特徴とする請求項12及び
    請求項13記載の定着装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008170957A (ja) * 2006-12-12 2008-07-24 Canon Inc ベルト搬送装置およびトナー像加熱装置
JP2010168068A (ja) * 2009-01-22 2010-08-05 Chuo Kagaku Co Ltd 包装容器及びその製造方法
JP2014174534A (ja) * 2013-03-13 2014-09-22 Ricoh Co Ltd 定着装置及び画像形成装置
JP2017027015A (ja) * 2015-07-15 2017-02-02 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置

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