JPH09119036A - 人工芝パイル用糸条 - Google Patents

人工芝パイル用糸条

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JPH09119036A
JPH09119036A JP27869995A JP27869995A JPH09119036A JP H09119036 A JPH09119036 A JP H09119036A JP 27869995 A JP27869995 A JP 27869995A JP 27869995 A JP27869995 A JP 27869995A JP H09119036 A JPH09119036 A JP H09119036A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアミド樹脂を主成分とする人工芝パイル
用糸条であって、単体の繊維として圧縮回復力、耐摩耗
性、耐衝撃性、加工性に優れ、且つ柔軟性に優れた糸条
を提供する。 【解決手段】 (A)ポリアミド樹脂70〜99重量%と、
(B)ポリエチレン系樹脂組成物1〜30重量%とからな
り、該(B)ポリエチレン系樹脂組成物が、線状低密度
ポリエチレン50〜100重量%と、無水マレイン酸変性ポ
リエチレン系樹脂0〜50重量%とからなるポリアミド樹
脂組成物を溶融紡糸して成形される人工芝パイル用糸
条。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミド樹脂お
よびポリエチレン系樹脂からなるポリアミド樹脂組成物
から形成され、柔軟性、耐摩耗性、耐衝撃性、加工性等
にすぐれた人工芝パイル用糸条に関する。
【0002】
【従来技術】人工芝は、一般的に、一次基布と称するポ
リプロピレン繊維等からなる織布に熱可塑性樹脂製のパ
イル糸を刺し通して(タフティング)、パイルがル−プ
した頂部をカットして芝葉をなし、次いで、裏面にラテ
ックス材を塗布して一次基布にパイル糸を固定して製造
されているが、従来、この種の人工芝のパイルに用いら
れる糸条は、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレンまた
はポリアミド樹脂などからなる合成繊維が多く用いられ
てきた。
【0003】これらの内、ポリ塩化ビニリデン製の糸条
は、使用後の焼却時に有毒ガスが発生するという問題点
があり、ポリプロピレン製の糸条は、耐候性や耐へたり
性に劣るという欠点があり、これに比較して、ポリアミ
ド樹脂製の糸条は、圧縮回復力、耐摩耗性、耐へたり
性、風合い等に優れており、多くの用途の人工芝パイル
として多用されている。しかしながら、ポリアミド樹脂
は柔軟性に欠け、パイルが直立しすぎる傾向があり、砂
入り人工芝としての使用に際して、パイル間隙に充填さ
れた砂が使用の度に飛散、移動して遍在、硬化してしま
うという問題点や、人工芝の製造工程において、ポリア
ミド樹脂製の糸条をタフティングする際、糸条の剛性が
強いために屈曲性が悪く、タフト効率が悪いなどの問題
点があった。
【0004】そこで、ポリアミド樹脂の柔軟性等を補足
する目的で、ナイロン繊維とポリプロピレン繊維を混在
させて人工芝として植設する方法(特開平4-37923号公
報)、ポリアミド繊維とポリエチレン繊維とを撚り合わ
せて植毛する方法(特開平7-48778号公報)等が提案さ
れている。しかしながら、ポリアミド繊維とポリエチレ
ン繊維やポリプロピレン繊維を混用または混撚する方法
では、見かけ上の柔軟性は改良されるものの、ポリアミ
ド繊維自体は柔軟性が改良されるわけではなく、タフテ
ィング工程におけるタフト効率に劣るという問題点は解
消されておらず、柔軟性に優れたポリアミド繊維製の人
工芝パイル用糸条は、いまだ見いだされていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明は
上記課題を解決するために鋭意検討の結果、ポリアミド
樹脂と特定のポリエチレン系樹脂からなるポリアミド樹
脂組成物から形成され、柔軟性、耐摩耗性、耐衝撃性、
加工性等に優れた人工芝パイル用糸条を見い出し本願発
明を完成するに至ったものである。
【0006】
【課題を解決する手段】本発明は、(A)ポリアミド樹
脂70〜99重量%と、(B)ポリエチレン系樹脂組成物1
〜30重量%とからなり、該(B)ポリエチレン系樹脂組
成物が、線状低密度ポリエチレン50〜100重量%と、無
水マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂0〜50重量%とか
らなるポリアミド樹脂組成物から形成されることを特徴
とする人工芝パイル用糸条である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるポリアミド樹
脂は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナ
イロン11、ナイロン12等が挙げられ、これらのポリ
アミド樹脂は1種単独または2種以上を組合わせて用い
ても差し支えない。
【0008】本発明で用いられる線状低密度ポリエチレ
ンは、チ−グラ−触媒等を用いる高中低圧法及びその他
の公知の方法によるエチレンと炭素数3〜12のα−オ
レフィンとの共重合体である。具体的なα−オレフィン
としては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−
ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン
などを挙げることができる。これらのうち好ましいのは
1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどである。
【0009】上記線状低密度ポリエチレンは、密度が0.
91〜0.94g/cm3、好ましくは0.915〜0.925g/cm3のもので
ある。即ち、密度が0.91g/cm3未満では、耐摩耗性の改
良効果が十分でなく、0.94g/cm3を超えると圧縮回復力
が不十分となり好ましくない。また、該線状低密度ポリ
エチレンのメルトフロ−レ−ト(以下MFRと称す)は
0.1〜20g/10min.、好ましくは0.2〜10g/10min.、より好
ましくは0.3〜5g/10min.である。MFRが0.1g/10min.
未満では成形性が良好とは云えず、20g/10min.を超える
とポリアミド樹脂への分散性が偏り好ましくない。
【0010】本発明で用いられる無水マレイン酸変性ポ
リエチレン系樹脂は、無水マレイン酸をポリエチレン系
樹脂にグラフト変性させる公知の方法によって得られ
る。即ち、ポリエチレン系樹脂および無水マレイン酸を
ラジカル開始剤の存在下で押出機内で溶融混練させてグ
ラフト反応させる溶融法あるいはポリエチレン系樹脂を
溶媒に溶解させ、無水マレイン酸およびラジカル開始剤
を添加して反応させる溶液法により、無水マレイン酸を
ポリエチレン系樹脂にグラフト変性させる方法等であ
る。ここで、変性されるポリエチレン系樹脂としては、
超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密
度ポリエチレン等のエチレン単独重合体もしくはエチレ
ンとα−オレフィン共重合体、またはエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等
のエチレン共重合体等が挙げられ、これらの内では線状
低密度ポリエチレンが好ましい。
【0011】得られた無水マレイン酸変性ポリエチレン
系樹脂中の無水マレイン酸の付加量は、好ましくは0.01
〜0.2重量%、より好ましくは0.05〜0.1重量%のもので
ある。
【0012】上記線状低密度ポリエチレンと無水マレイ
ン酸変性ポリエチレン系樹脂の配合割合は、線状低密度
ポリエチレン50〜100重量%に対して無水マレイン酸変
性ポリエチレン系樹脂0〜50重量%としたものである。
即ち、無水マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂が50重量
%を超えて配合されると、糸条の柔軟性が低下する傾向
にあり、加工性も劣ったものとなり好ましくない。
【0013】上記ポリアミド樹脂と線状低密度ポリエチ
レンの配合割合は、ポリアミド樹脂70〜99重量%に対し
て線状低密度ポリエチレン1〜30重量%、好ましくはポ
リアミド樹脂80〜95重量%に対して線状低密度ポリエチ
レンが5〜20重量%の範囲である。即ち、線状低密度ポ
リエチレンが1重量%未満では柔軟性の改良効果が期待
できず、30重量%を超えるとと圧縮回復力を損なうため
問題となる。
【0014】本発明に用いられるポリアミド樹脂組成物
には、その使用目的により本発明の主旨を逸脱しない範
囲において、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑
剤、難燃剤、帯電防止剤、無機充填剤、架橋剤、発泡
剤、着色剤等の添加剤を配合してもよい。
【0015】本発明の人工芝パイル用糸条は、前述のポ
リアミド樹脂組成物から紡糸し成形された糸条である。
糸条の形態は特に制限されることはなく、例えば、紡糸
ノズルから押出し延伸したモノフィラメント、偏平モノ
フィラメント、マルチフィラメント、或いはフィルム成
形した後に細断してテ−プ状となし延伸したフラットヤ
−ンやスプリットヤ−ンなどである。糸条は、パイルに
用いるにあたり、熱圧縮ギア法、ニットデニット法、ス
タフィング法、エアジェット法など公知の方法を採用し
て捲縮加工を施すことができる。
【0016】人工芝パイル用糸条として、その繊度は、
人工芝の用途によって異なるが、通常は100〜10,000d
r、汎用的には1,000〜5,000drである。つまり、繊度が1
00dr未満では、絨毯状となり芝生の風合いが得られ難
く、圧縮回復力も劣ったものとなり、また、繊度10,000
drを超えると適度な植毛密度が得られず、柔軟性に欠け
好ましくない。
【0017】本発明で得られた人工芝パイル用糸条の使
用方法の一例としては、例えば、経糸及び緯糸に繊度50
0〜2,000drのポリエステル製、ポリプロピレン製などの
延伸テ−プを用いて、スルザ−型、ウオ−タ−ジェット
型織機などにより、平織、綾織などの組織で織成された
50〜200g/m2の織布などを一次基布として、人工芝パイ
ル用糸条を、5/32〜5/16ケ゛-シ゛、4〜10ステッチ/インチの打込
密度で植設して、基布の裏面にラテックス材を塗布し、
裏材と貼合し、乾燥固化して人工芝を得ることができ
る。
【0018】
【実施例】
試験方法 (1)密度:JIS K6760に準拠 (2)MFR:JIS K6760に準拠 (3)引張強力、伸度:JIS K6760に準拠 (4)曲げ弾性率:ASTM D790に準拠 (5)乾熱収縮率:熱風循環式オ−ブン中で135℃で10分間
乾燥後の収縮を測定した。 (6)摩耗試験:ASTM C501−84に準拠 (7)白化試験:STDと比較し、目視により下記の通り
判定した。 ○:白化が目だたない。 △:白化がやや目だつ。 ×:白化が目だち易い。 (8)加工性試験:糸条の押出加工性を下記の通り判定し
た。 ○:押出加工性良好 △:押出加工性やや不安定。 ×:押出加工性不良。
【0019】
【実施例】
実施例1 ポリアミド樹脂としてナイロン6を94重量%と、ポリエ
チレン系樹脂として線状低密度ポリエチレン(密度=0.
920g/cm3、MFR=1.0g/10min.)6重量%とからなる
樹脂組成物を、押出機に投入して、シリンダ−部温度26
0℃で溶融押出し、インフレ−ションフィルム成形法に
よりフィルムを成形した。このフィルムを20mm幅にスリ
ットし、150℃の熱板上で3.8倍に縦一軸延伸し、次い
で、熱風循環式のオ−ブンにより温度120℃、弛緩率0.9
2で弛緩熱処理を行い、繊度3,000drの人工芝パイル用糸
条を得た。得られた糸条の物性評価結果を表1に示す。
【0020】実施例2〜5 実施例1で用いたナイロン6と線状低密度ポリエチレン
を表1記載の組成比にて実施例1と同様に行った。得ら
れた糸条の物性評価結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】実施例6〜10 実施例1で用いたナイロン6と線状低密度ポリエチレン
に加え、無水マレイン酸変性線状低密度ポリエチレン
(密度=0.93g/cm3、MFR=1.0g/10min.)を表2記載
の組成比にて実施例1と同様に行った。得られた糸条の
物性評価結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】比較例1 実施例1で用いたナイロン6を99.5重量%と線状低密度
ポリエチレン0.5重量%を用いた他は実施例1と同様に
行った。得られた糸条の物性評価結果を表3に示すが、
柔軟性に劣り、加工性も不良であった。
【0025】比較例2 実施例1で用いたナイロン6を68重量%と線状低密度ポ
リエチレン32重量%を用いた他は実施例1と同様に行っ
た。得られた糸条の物性評価結果を表3に示すが、強
力、伸びが劣り、耐摩耗性、白化試験が不十分であっ
た。
【0026】比較例3 実施例1で用いたナイロン6を94重量%と線状低密度ポ
リエチレン2重量%、実施例6で用いた無水マレイン酸
変性線状低密度ポリエチレン4重量%を用いた他は実施
例1と同様に行った。得られた糸条の物性評価結果を表
3に示すが、柔軟性に劣り、加工性も不良であった。
【0027】比較例4 実施例1で用いたナイロン6を94重量%と実施例6で用
いた無水マレイン酸変性線状低密度ポリエチレン6重量
%を用いた他は実施例1と同様に行った。得られた糸条
の物性評価結果を表3に示すが、柔軟性に劣り、加工性
も不良であった。
【0028】比較例5 実施例1で用いたナイロン6を82重量%と線状低密度ポ
リエチレン8重量%、実施例6で用いた無水マレイン酸
変性線状低密度ポリエチレン10重量%を用いた他は実施
例1と同様に行った。得られた糸条の物性評価結果を表
3に示すが、柔軟性に劣り、加工性も不良であった。
【0029】
【表3】
【0030】比較例6 実施例1で用いたナイロン6を94重量%と低密度ポリエ
チレン6重量%を用いた他は実施例1と同様に行った。
得られた糸条の物性評価結果を表4に示すが、強力、伸
びが劣り、耐摩耗性、白化試験が不十分であった。
【0031】比較例7 実施例1で用いたナイロン6を94重量%と高密度ポリエ
チレン6重量%を用いた他は実施例1と同様に行った。
得られた糸条の物性評価結果を表4に示すが、柔軟性に
劣り、耐摩耗性、白化試験が不充分であった。
【0032】比較例8 実施例1で用いたナイロン6を94重量%とポリプロピレ
ン6重量%を用いた他は実施例1と同様に行った。得ら
れた糸条の物性評価結果を表4に示すが、柔軟性に劣
り、耐摩耗性、白化試験が不充分であった。
【0033】
【表4】
【0034】こうした結果から以下のことがわかる。一
般に、ポリアミド樹脂とポリエチレン系樹脂組成物を溶
融混練して得られるポリアミド樹脂組成物は、両成分が
非相溶性であり、結晶性の相違から均一な結晶構造は得
られない。しかしながら、本願発明においては、特定の
配合比からなる組成物から形成される両成分の海島構造
が、その相間において適度の応力吸収効果をもつために
柔軟性を付与する効果を有し、本願発明の目的を達成で
きるものと考えられる。ポリエチレン系樹脂組成物の一
部が、無水マレイン酸でグラフト変性されているポリエ
チレン系樹脂を含有している場合は、両成分の非相溶性
は改良され、引張強力などの機械的強度は増加する傾向
にあるが、柔軟性、加工性等は低下する傾向にある。
【0035】
【発明の効果】本発明の人工芝パイル用糸条は、ポリア
ミド樹脂と特定のポリエチレン系樹脂組成物とからなる
ポリアミド樹脂組成物から形成される糸条であり、圧縮
回復力、耐摩耗性、耐衝撃性、加工性に優れ、且つ柔軟
性に優れたものとして人工芝パイル用として極めて有効
なものであり、この人工芝パイル用糸条から得られる人
工芝は、野球場、ゴルフ場、サッカ−場、テニスコ−ト
等の運動競技施設、公園や庭園の緑化、また各種建築物
のテラスやベランダ、或いは展示用の装飾用途など多目
的に使用される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリアミド樹脂70〜99重量%と、
    (B)ポリエチレン系樹脂組成物1〜30重量%とからな
    り、 該(B)ポリエチレン系樹脂組成物が、 線状低密度ポリエチレン50〜100重量%と、 無水マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂0〜50重量%と
    からなるポリアミド樹脂組成物から形成されることを特
    徴とする人工芝パイル用糸条。
JP7278699A 1995-10-26 1995-10-26 人工芝パイル用糸条 Expired - Lifetime JP3002121B2 (ja)

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