JPH09110720A - 中和されたウイルスを含む医薬組成物およびその用途 - Google Patents

中和されたウイルスを含む医薬組成物およびその用途

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JPH09110720A
JPH09110720A JP8224171A JP22417196A JPH09110720A JP H09110720 A JPH09110720 A JP H09110720A JP 8224171 A JP8224171 A JP 8224171A JP 22417196 A JP22417196 A JP 22417196A JP H09110720 A JPH09110720 A JP H09110720A
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hepatitis
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Gerald Dr Eder
ジェラルド・エーデル
Johann Dr Eibl
ヨハン・エイブル
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Immuno AG fuer Chemisch Medizinische Produkte
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒトおよび動物の免疫力を強化して病原体、
特に変異率の高いウイルスに対する十分な防御を提供す
ること。 【解決手段】 変異率の高いウイルスまたは多くの遺伝
子型および/またはサブタイプで存在するウイルスによ
って引き起こされるウイルス性疾患の予防および/また
は治療のための医薬組成物であって、濃縮されたおよび
/または精製されたウイルスおよび/またはそのフラグ
メントと中和抗体とを含む結合体および/または複合体
を含有することを特徴とする、組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウイルスと中和抗
体とを組み合わせて含有する医薬組成物およびその用途
に関する。
【0002】
【従来の技術】病原体またはそのフラグメントの少量に
前もって曝露することによりそれ以降の重篤な疾病を防
御することができるということが認識されて、天然痘、
黄熱病、狂犬病、ポリオ、麻疹およびおたふくかぜなど
の主なウイルス性疾患を予防することが可能になってい
る。特に抗ウイルス薬が少ないという点から、ウイルス
に対するワクチン類は、劇的な成功を収めている。
【0003】いくつかの明らかに確立したワクチン開発
法が存在する。免疫系を刺激するのに用いられるがそれ
自体なんらの重篤な疾病の原因とはならない、標的ウイ
ルスとは別のウイルス群が存在する。この方法は、天然
痘または牛痘の病原体と戦うのに選択された。しかし、
重篤な疾病をおこす力は失っているが、免疫系を刺激す
るのに必要な抗原のコンフォメーションは失わないとい
う方法で人工的にウイルスを変性することもある。その
ような弱毒化した(活性を弱めた)、生きたウイルス
が、現在、麻疹、ポリオ、おたふく風邪および風疹のワ
クチンにおいて採用されている。
【0004】対応するウイルスを、ワクチンとして用い
る前にこれを殺してしまう更なる方法も可能である。こ
の場合、複製能力および病原性の喪失にもかかわらず、
必要な抗原はそのまま残存していなければならない。生
ワクチンに対して、これらの死菌ワクチンの不利な点
は、それらの免疫効果が弱く、それゆえに効果的な防御
を確実にするためには一定の間隔で定期的に投与されな
ければならないことである。
【0005】ワクチン接種の成功は、ウイルスのフラグ
メント上に認められるウイルス抗原のみの存在により決
まることから、ワクチンはウイルスのフラグメントまた
は精製したウイルス蛋白からも製造できるといえる。と
りわけ、後者の方法は、将来、広範な応用が見いだされ
るはずである。というのは、今日、遺伝子工学によって
所望の抗原を簡単な方法で、かつ十分な量製造すること
ができるからである。この方法は、肝炎、ヘルペスおよ
びエイズウイルスに対する防御を得るために現在試みら
れているところである。
【0006】ウイルスの産生法とは無関係に、所望され
る性質は常に同一である。できるだけ長続きするような
免疫を誘導するために、ウイルスが、効果的に免疫系を
刺激しなければならないことは明らかである。さらに、
ワクチンはなんらかの重篤な副作用を有していてはなら
ない。そして、世界的に広く使用されるためには、その
ワクチンは、安価で、長期間にわたり安定なものでなけ
ればならない。
【0007】今日のウイルス製造の困難な点は、種々の
ワクチンが、ウイルスの突然変異率が高いために、不十
分な免疫しか提供できない点にある。そのような場合、
ホストにおいてより高い免疫性を生じさせ、それにより
ホストを効果的に病原体から守ることのできるワクチン
製造方法を模索する必要がある。
【0008】現在の技術においては、チンパンジーに感
染性の第VIII因子製剤を接種し、さらに同時にヒト免疫
グロブリン製剤を投与すると、これらのチンパンジーは
急性の非A非B型肝炎を発病する。免疫グロブリンの適
用は、この場合は、感染を防ぐことができない(Spicht
in H.-P.ら、Journal of Medical Virology 12, 215-22
6(1983) )。
【0009】上記の研究の継続の結果は、Ederらにより
述べられており(Viral Hepatitisand Liver Disease,
550-552, 1988)、2年後および4年後の、実験室での
動物への接種の結果は、やはり非A非B型肝炎を発症し
た。
【0010】1990年に、同じ研究者グループが、チ
ンパンジーにおいて免疫グロブリンを多数回にわたって
静注することによって免疫異物排除が引き起こされない
ことを発見した(Clin. Exp. Immunol. 81, 454-458,19
90)。
【0011】Prince,A.Mら(The Journal of Infectiou
s Deseases, 165: 438-443; 1992)の論文には、チンパ
ンジーにHCVを再接種した場合には、試験動物の59
%がセロコンバージョンを示し、33%がHCV関連の
肝細胞の超微細構造の変化を示し、そして26%がC型
肝炎を発症した。合計で74%の試験動物が、HCVの
再感染の後に上記の症状の少なくとも1つの症状を示し
ていた。
【0012】Farci P.らの著書「Lack of protective I
mmunity Against Reinfection withHepatitis C Viru
s」(Science, 250, 135-140; 1992)において、5匹
のチンパンジーに対する実験が記載されており、それに
よるとHCV感染は、同種または異種の株による再感染
に対して、防御免疫をもたらさなかったということであ
る。それゆえ、著者らは効果的なHCVワクチンの開発
に関しては懐疑的であった。
【0013】免疫グロブリン製剤の単独投与、特に一次
的および二次的な抗体欠乏状態時の置換治療時、例えば
原発性血小板減少性紫斑病のような自己免疫および免疫
複合体病の治療や、細菌感染、特に、敗血症、髄膜炎ま
たは腹膜炎のような急性細菌感染、あるいは骨髄炎のよ
うな慢性細菌感染症などの細菌感染のアジュバント療法
時の投与は、公知の技術である。これらの場合、製剤は
静脈内投与される。ウイルス性疾患の即時予防のために
は、ガンマグロブリン(商品名Endobulin )の静注が採
用されることも公知である。
【0014】文献には、外皮を有するウイルスに対する
中和抗体の効果を決定する実験が記載されている(Natu
re, vol. 321, 244-246 (1986))。著者であるGollins
らは、中和抗体の作用機構の解明のためのインビトロモ
デルを記載している。これに関して免疫グロブリン処理
したP388D1細胞およびウサギ−IgGによるイン
ビトロ実験が実施されている。37℃における免疫グロ
ブリン添加によって、ウイルスエンベロープの除去(脱
外皮)が用量依存的に阻害され、それにより細胞の感染
が防御されることが示されている。245頁の右欄の最
終段落には、中和抗体の存在の結果ウイルス粒子とエン
ドソーム膜の融合が、阻害されることが考えられるとの
記載がある。この知見から、著者らは、将来の中和抗体
がどのように最適に構築されるべきかを導き出した。抗
原と中和抗体の複合体(complex)または結合体(conju
gate )の投与は、上記文献には記載がない。
【0015】それぞれ受動的および能動的免疫のため
に、ウイルスワクチンを、平行して、すなわち別々に投
与する、いわゆる同時ワクチン接種もまた、公知の技術
である。患者が感染の危機にさらされた場合にはすぐ
に、病原体の早急な中和のための高単位の免疫グロブリ
ン製剤および、内因性の抗体産生刺激のために適切な抗
原が、通常、この同時ワクチン接種においては投与され
る。例えば、FSMEウイルス(ウェスタンサブタイプ
のTBEウイルス)に特異的な免疫グロブリン製剤、お
よびそれに平行して、不活性化したウイルスをベースに
したFSMEワクチンが、後曝露(post-exposure )と
して用いられ成功している。これに関しては、Vaccine,
Vol. 13(6), 759-762,1995を参照されたい。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、改良
されたワクチンとなる医薬組成物を提供することであ
る。この医薬組成物は、特に、ヒトおよび動物において
免疫力を強化して、これにより、高度に変異しているウ
イルスの場合に、病原体に対する十分な防御を提供する
ものでなければならない。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、本発明に
従って、高い変異率を有するウイルス、または多くの遺
伝子型若しくはサブタイプで存在するウイルスに起因す
るウイルス性疾患の予防および/または治療処置のため
の医薬組成物により解決され、その時該組成物は、濃縮
されたおよび/または精製されたウイルスおよび/また
はそのフラグメントと中和抗体との結合体および/また
は複合体を含む。いいかえれば、場合により病原性であ
るウイルスを、抗体とともに、中和した形で、免疫化の
目的で投与することを意味する。
【0018】本発明は、一般に、哺乳動物の治療、すな
わち、ヒトおよび動物の治療を指向している。
【0019】とりわけ、高い変異率を有するウイルス類
は、標的ウイルスとして特に重要である。多くの変異し
たウイルス変異株により引き起こされるであろうウイル
ス性疾患に対する、普遍的に予防および/または治療す
るためのワクチンは、いまだに存在していない。感染性
の物質に対する抗体が形成されるとすぐに、これらのウ
イルスにはさらなる変異の危険性がすでに存在し、それ
により、その時点の抗体は、もはや中和機能を有しな
い。変異率の高いウイルスは、特に、それらが変異した
形において生物体を繰り返し感染させることができると
いう特徴がある。この、いわゆる再感染は、とりわけ、
準種(quasi-species )、遺伝子型、サブタイプなどの
非常に様々なタイプに由来するウイルスにおいて観察さ
れる。
【0020】特に、標的ウイルスは血液を介して感染し
得る(血液伝播性)ウイルスの一種である。これらのウ
イルスは、体液、例えば血液、血清または血漿から単離
される。これに関して、肝炎ウイルス類としては、例え
ばHAV、HBVおよびHCVを含めて、のみならず例
えばHIV−1のようにいわゆるAIDSウイルス、さ
らには、パルボウイルス、サイトメガロウイルス、エプ
スタイン−バーウイルスを挙げることが必要である。
【0021】体液から単離可能であって、長期間のイン
キュベーションおよび/または比較的長期間のviremia
(血流中のウイルスの存続時間)により部分的に区別で
きるウイルスを別として、ヒトの病原性ウイルスは、と
りわけ持続的に非常に様々な形で現れるとされる。
【0022】例えば、それらの変異性によって、種々の
インフルエンザAウイルスが存在し、それらの感染は対
応する不活性型をベースにしたワクチンによってのみ防
御できる。中和したインフルエンザAウイルスをベース
にした本発明の製剤により、個々に発生した種と関係な
く、一種類の製剤を何年にもわたって世界的に広く用い
ることが初めて可能になった。該製剤の安定性によっ
て、少なくとも2年以上にわたって保存することも可能
になった。とりわけ、活性型で存在するインフルエンザ
ウイルスの一つあるいは別個の混合物が、本発明の医薬
組成物中に含まれる。ウイルスの活性化は、例えば酵素
処理、とくにトリプシンにより行われる。それによっ
て、対応の酵素阻害剤、例えばトリプシン阻害剤なども
使用でき、該阻害剤はウイルスの精製過程において、使
いきったり、および/または分離されたりする。
【0023】この目的のために、適切な(特異的)抗体
を有する精製されたおよび/または濃縮されたウイルス
は、ウイルスが中和されるという方法だけでなく、更に
加えてインビボで増殖性感染を起こさないような方法で
処理される。増殖性感染とは、ウイルスの産生にもかか
わらず、なんらウイルス性疾患を生じないことを意味す
る。
【0024】本発明の医薬組成物は、特に、ウイルス性
疾患の予防用ワクチンとして有用である。本発明による
予防効果は、現状の技術において示されている同時ワク
チン接種から見ると、驚くべきものである。
【0025】
【発明の実施の形態】今日まで、濃縮したおよび/また
は精製したウイルスと中和抗体からなる結合体および/
または複合体を、高い変異率を有するウイルス、あるい
は数多くの遺伝子型および/またはサブタイプの形で存
在するウイルスが原因である、ウイルス性疾患の予防お
よび/または治療に用いて成功することは技術上知られ
ていなかった。上記したEderらの、HCV感染第VIII因
子製剤によるチンパンジーの感染に関する文献(1988)
に指摘のあるように、最初、免疫グロブリンとの同時
(平行または同時)投与は、チンパンジーのHCV感染
および肝臓の炎症を防止できなかった。近年の感染実験
においては、本発明により、HCV感染物質のかわりに
精製HCVが採用され、試験動物の感染は再感染の観点
から調節できるようになった。この場合、試験動物はウ
イルス性肝炎の形態学的および生化学的兆候をなんら示
さなかった。これに関して興味深いのは、用いられた免
疫グロブリン製剤が、HCV−コアおよびNS3蛋白、
すなわちウイルスの非構造的成分に対する抗体を含有し
ていたことである。これにより投与される用量は、非常
に大きく、100mg/kg であって、免疫グロブリンG5
00mg/kg までは投与できると思われる。
【0026】本発明の製剤中のウイルスは、中和抗体と
ともに、特に複合体および/または結合体として存在す
る。成分の結合は、免疫親和性の結果として存在する
が、共有結合としても形成することができ、場合によっ
てはリンカーによって結合している。これは、例えば化
学的架橋反応により、または硫黄結合の形成により可能
である。
【0027】しかし、複合体の結合は、静電的、疎水性
またはファンデルワールス力の結果としても存在しう
る。さらなる好適な態様においては、抗原および細胞の
成分は、固体担体に吸着されるかおよび/または共吸着
されている。固体担体は、また、例えば、リポソームま
たはリン脂質小胞のような脂質成分であってもよい。こ
れにより、吸着剤としてアジュバントを用いることがと
くに有利である。とりわけ、無機塩をベースにしたアジ
ュバントがこの目的には適切である。詳細には、アルミ
ニウム、鉄および遷移元素金属の水酸化物が適切であ
る。これらアジュバントは、免疫反応を刺激するのみで
はなく、免疫複合体を安定化する。なかでも、中和され
たウイルスが再活性化し、おそらく中和抗体の離脱によ
って病原性となる可能性がある場合に、より安定な免疫
複合体が必要である。安定剤の添加は、インビトロおよ
びインビボの半減期を延長し、それにより、本発明の医
薬製剤を投与した後には結合していないウイルスが存在
しないことを確実にする。
【0028】本発明の医薬製剤の安定性は、例えば、本
発明の製剤を血漿中または相応の適切な媒体中で一定条
件下でインキュベートするように設計されたインキュベ
ーション実験により試験することができる。例えば、該
製剤を約37℃で、数日にわたってインキュベートし、
免疫複合体の離脱による解離状態、および/または、場
合によっては分離した、すなわち結合がはずれた、およ
び場合によっては再活性化されたウイルスおよび/また
は抗体の測定を記録することができる。
【0029】安定化効果を有利に示すさらなるアジュバ
ントとして、無機物質、例えば、その水酸化物およびリ
ン酸塩を含む様々なアルミニウム化合物または鉄化合
物、油、リン脂質(特に小胞形態の)、ポリペプチド、
またはサイトカインも挙げられる。
【0030】本発明の組成物は、好ましくはフラビウイ
ルスまたはペスチウイルスを含む。特に好適な態様によ
れば、本発明の組成物はC型肝炎ウイルスを含む。しか
しながら、それに限定されるものではない。
【0031】しかし、原則として、本発明の医薬組成物
において、DNAウイルスおよびRNAウイルスが用い
られる。それにより、パルボウイルス、パポバウイル
ス、ヘパドナウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイ
ルス、およびポックスウイルスの科が、ヒトに関連した
DNAウイルスとして挙げられる。これらの科の中で特
に重要なのは、パルボウイルスB19、パポバウイルス
JC、BK、およびSV40、パピローマウイルス、B
型肝炎ウイルス、アデノウイルス、1型および2型単純
ヘルペスウイルス、水痘−帯状疱疹ウイルス、EBV、
CMVおよび6型ヘルペスウイルスである。
【0032】ヒトに関連したRNAウイルスおよびそれ
らによって引き起こされる疾患の中でも、以下のものが
特に挙げられる:トガウイルス科由来の風疹、フラビウ
イルス科由来のC型肝炎、カルシウイルス科由来のE型
肝炎、ピコルナウイルス科由来のA型肝炎およびコクサ
ッキー(Cox-sackie)ウイルス、またはレトロウイルスの
グループのHTLV−IおよびIIならびにHIVウイル
ス。例えば、レオウイルス、ロタウイルスまたはカリフ
ォルニアチック熱(California tick fever) ウイルス、
ならびにA型肝炎ウイルス(ピコルナウイルス科)また
はE型肝炎ウイルス(カリシウイルス科)が外皮のない
ウイルスの例として挙げられるべきである。
【0033】好適な態様によれば、本発明の医薬組成物
は精製された形態の、特に、高度に濃縮されたかもしく
は純粋な形態の中和されたウイルスを含有する。
【0034】高度に純粋なウイルスの使用は、種々の遺
伝子型および/またはサブタイプが分離され得るという
さらなる利点を有する。その結果、抗体のよりよい中和
効果が得られる。
【0035】本発明の組成物の生産のために提供される
ウイルスの精製は、好ましくはクロマトグラフィー法
(特にアフィニティークロマトグラフィーまたはゲル濾
過)、濾過(例えば、ナノフィルター)、吸着処理、沈
殿(特にアルコールもしくは界面活性剤との沈殿反応)
または遠心分離(特に密度勾配遠心)により実施され
る。それらにより、出発物質に混入している物質は、ま
ず医薬として受容可能な程度にまでとり除かれる。
【0036】ウイルスが培養培地から精製されるのと同
じように、結合体および/または複合体として存在して
いる中和されたウイルスも同じ方法を用いてさらに精製
され得る。それにより中和されていないウイルスが分離
されることが確実になるであろう。
【0037】本発明のさらなる実施態様によれば、ウイ
ルスは、原核生物または真核生物において産生された組
換えウイルスに関する。さらに、ウイルスとしての適切
な抗原を有するウイルスフラグメントを用いることもま
た可能である。
【0038】本発明のさらなる実施態様によれば、医薬
組成物は、中和されたおよび/または中和され得るウイ
ルスの他に不活化されたウイルスを含む。
【0039】本発明はまた、不活化されたウイルスに限
られた用途に関する。この場合、用いられるウイルス画
分は、ウイルスの不活化のため好ましくは化学的にまた
は物理的に処理されている。
【0040】化学的および/または物理的方法で処理さ
れた不活化されたウイルスの場合、不活化は、抗体によ
る中和の前もしくは免疫複合体および/または免疫結合
体上で行われ得る。特に、熱処理、放射線処理および化
学物質(例えば、溶媒および/または界面活性剤、なら
びにカオトロピック物質)による処理がこれには適切で
ある。
【0041】本発明の医薬組成物の中和に用いられる抗
体は、好ましくは血漿または血漿画分から単離される。
しかし、細胞培養物から抗体を単離することも可能であ
る。
【0042】好適な態様によれば、得られた抗体は、存
在する可能性のあるウイルスの不活化および/または完
全除去のために前処理されている画分に存在する。
【0043】血液を介して感染するウイルスの場合、高
度免疫血清および/または病原体と接触した患者由来の
血清から単離され得る抗体が、特に本発明の組成物の産
生に適切である。好ましい抗体はポリクローナル抗体、
特に、単一特異性または複数特異性であり得るヒト抗体
である。単一特異性抗体を用いる場合、多数の抗体の混
合物が好ましい。
【0044】本発明の医薬組成物中のウイルスを中和す
るために用いられる抗体は1以上のエピトープに対する
ものである。この抗体は1以上のウイルス抗原に対する
ものであることが特に好ましい。
【0045】本発明の医薬組成物を中和するために用い
られる抗体は、DNAウイルスならびにRNAウイルス
に対するものである。これらには、エンベロープを有す
るウイルスおよび/またはむき出しのウイルスがある。
それにより、抗体はコアタンパク質、すなわち非構造タ
ンパク質に対するかおよび/またはエンベロープタンパ
ク質に対するものとすることが好ましい。
【0046】どの場合においても、選択された抗体がウ
イルスを中和することが必要とされる。中和は、ウイル
スがもはや病原的には機能しないが、増殖性にホストに
感染し得るかぎり可能であり得る。
【0047】この場合の増殖性感染とは、ホストが病気
になることなくウイルスが複製し少なくとも部分的にウ
イルス粒子を再度形成するというように定義される。増
殖性感染が可能なウイルスの中和の場合、本発明の医薬
組成物において過剰の抗体を使用することが好ましい。
それにより、たとえインビボでウイルスの複製を伴って
も、患者の体内では病毒力が疾患に至ることが無いこと
が確実になる。
【0048】特定の実施態様はウイルスの中和に関する
が、それにより増殖性感染が妨げられる。好ましい抗体
として、生物体をウイルス性疾患から保護する性質を有
する防御抗体が用いられる。抗体の選択は、曝露実験
(「攻撃誘発モデル(チャレンジモデル)」)で行われ
得る。モデル動物を病原体に曝露した後、用いられた抗
体が疾患の発生に対して防御するかどうかあるいはその
結果を評価し得る。生理学的指標(例えば、抗体力価も
しくは他の血液値および/または動物の死)の変化は基
準の一つである。
【0049】本発明により用いられる抗体は、好ましく
は実質的に免疫グロブリンの凝集のない天然の完全な抗
体である。それにより、許容できないほど高い非特異的
抗補体活性が防げる。抗体の遊離のすなわち結合してい
ないFc部分が実質的に免疫応答に寄与しているので、抗
体フラグメントは適切さにかけることが示された。
【0050】好適な態様によれば、本発明の組成物は、
ウイルスの中和もしくは免疫応答の促進を向上させる物
質をさらに含んでもよい。従って、本発明の組成物は、
例えば、補体を含んでもよい。
【0051】好適な態様によれば、本発明の組成物は、
静脈内投与に適切である。それとともに、この製剤は、
ドイツ薬局法DAB10(1994年第3回補遺)「静脈内
使用のためのヒト由来の免疫グロブリン」のガイドライ
ンに従って静脈に受容可能な免疫グロブリン製剤として
規定された特徴を有する。さらなる実施態様は、経口的
に投与され得るか、粘膜から吸収され得る抗体を含む適
切な組成物に関する。特に、粘膜から吸収され得ること
が知られているIgAもこれらの1つである。
【0052】さらに、それらの抗体、例えば初乳からの
抗体組成物に応答する抗体はまた、粘膜から投与され得
るとも規定される。
【0053】本発明の組成物の静脈投与および経口投与
の可能性に加え、さらに全身的もしくは局所的モードの
投与が可能である。特に、対応するワクチンは筋肉内も
しくは皮下、直腸、鼻腔内もしくは腔内に投与され得
る。
【0054】ところで、投与されるIgGの用量は、例
えば、一次抗体および二次抗体欠乏状態の置換治療にお
いて通常与えられる用量の高い方の値の範囲内であり得
る。この場合、14日間で1000mg/kg 体重まで投与
される。平均の用量は治療的血漿交換に用いられる用量
に等しい;原則として200mg/kg 体重が投与される
が、この場合、静脈内ガンマグロブリンは一日1000
mg/kg 体重まで増加させ得る。
【0055】IgGの投与に関する低い方の値は、ウイ
ルス感染の即時予防の値と一致し得る。用量は明らかに
低く、例えば、A型肝炎には10〜20mg/kg 体重そし
てはしかおよび水痘には50mg/kg 体重である。
【0056】試験の状態に応じて100mg/kg 体重を最
少用量として投与することが好ましく、特に、それらの
2から5倍の用量、すなわち200〜500mg/kg 体重
が好ましい。
【0057】本発明の医薬組成物中の抗体は、高用量の
投与が可能なように、高濃度で含まれていることが好ま
しい。
【0058】本発明の医薬組成物におけるウイルスと抗
体との比に関しては、安全性努力を十分に考慮するため
に、ウイルスの中和に必要とされる抗体量より多くの量
を用いることが望ましい。しかし、これに関して、抗体
の用量は本発明の目的、すなわち免疫化が妨げられるよ
うな、高用量であってはならない。
【0059】本発明によって行われたチンパンジーでの
動物実験は、ウイルスによる感染後の疾患の経過の緩和
が、請求項に記載の医薬製剤の投与により得られ得るこ
とをはっきりと示した。本発明の製剤は、肝臓の組織学
的改善を導き、それにともなってウイルスによって感染
された患者の肝機能の向上を導く。
【0060】本発明は、HCV感染後の疾患の経過の緩
和に限定されないが、そのかわり全体として、ウイルス
感染において一般に病原体に対してホストの免疫を高め
ることを引き起こすのに適切な医薬組成物に関する。本
発明の医薬組成物は、頻繁な変異により表現型を定常的
に変えるウイルスに対するワクチンとして特に適切であ
る。
【0061】限定的な防御は、慢性疾患に特に有利であ
る。どのような場合でも、本発明の医薬組成物は、チン
パンジ−においてC型肝炎に対する完全な防御は導かな
かったが、疾患は予想したほど深刻ではなかった。これ
により、肝機能値が未処置のチンパンジ−に比べて向上
していることが観察された。血清中の肝臓特異的酵素A
LT(アミノ−アラニントランスフェラーゼ)は未処置
のチンパンジーと比べて、増加しなかった。肝臓のウイ
ルス(hepatotropic virus)が、防御抗体の非存在下での
感染において、血清中の肝臓酵素(ALT=アミノ−ア
ラニントランスフェラーゼ、AST=アミノ−アスパラ
ギン酸トランスフェラーゼ)を増加させるという意味で
肝機能の変化を導くことが知られている。肝臓酵素AL
Tの増加は、一般に肝細胞の壊死の発現である。慢性的
な感染においては、肝炎ウイルスによる結果として一カ
月から一年にわたる肝細胞の傷害が生じ得、そして血清
肝臓酵素の増加を持続させる結果となり得る。
【0062】その後、肝臓組織の変化はまた、それによ
り肝硬変を生じる結果となり、そして肝臓ガンの発症は
例えばB型肝炎による結果として生じ得る。C型肝炎に
関しては、この時期はALT値のわずかな上昇を伴う
が、慢性度はB型肝炎によるより著しく高い。C型肝炎
が肝臓ガンの原因のひとつして重要な役割を果たすかど
うかはまだわかっていない。肝炎の慢性度の強さもま
た、これらの抗体形成しないウイルスの変異率に依存し
得るか、または特異的抗体の遅延形成が原因であり得
る。慢性化はまた、同じウイルスの他の遺伝子型または
サブタイプの再感染によっても引き起こされ得る。限定
された感染および/または慢性化の予防はすでに成功が
見られている。
【0063】さらに、本発明は、医薬組成物を調製する
ためのキットを包含する。ここで、このキットは、
(a)精製されたウイルスおよび/または画分中に濃縮
されたウイルス、および(b)このウイルスを中和する
抗体を含む。
【0064】さらに、本発明は、ウイルスの感染後の疾
患の経過を緩和するのに適切な医薬製剤を製造するため
の、抗体により中和されたウイルスの使用を包含する。
本発明によれば特に肝臓の組織学的な改善が得られ、そ
れは実際には患者の肝機能を向上させる。
【0065】本発明は以下の実施例により、詳細に示さ
れる。
【0066】以下の実施例は肝臓関連ウイルスを用いる
実験を示す。ほかのウイルスの場合には、各々の標的器
官が試験され、判断されなければならない。
【0067】
【実施例】 材料と方法: 1.実験動物:本発明による医薬組成物による予防療法
の防御効果を試験するには、チンパンジーが好適な動物
モデルである(Taborら、J. Med. Primatol. 12: 305-31
8, (1983))。しかし、ある種のウイルスでは、その他の
霊長類も使用することができる(例えば、E型肝炎につ
いては、サイノモルガスサル(cynomolgus ape))。
【0068】特定の実験に使われたことがない(naive)
チンパンジー(pan troglodytes)8匹を、この実験のた
めに用いた。チンパンジーは、健康で、B、CおよびD
型肝炎のいかなるマーカーをも有してはおらず、ヒト由
来物質、例えば第VIII因子濃縮物、または医薬組成物
(PCと略す)に使用するウイルスに対するワクチンを
用いる実験に供されていてはならない。チンパンジー
は、生物安全性レベル(biosafety level) 2に相当する
動物施設に収容されていなければならない。チンパンジ
ー8匹のうち2匹は、コントロール動物としてPCを投
与しなかった。その他のチンパンジーには、PCを、静
脈内、筋肉内、または皮下もしくは皮内に、4週間また
は6か月の間隔で繰り返し投与した(可能であれば、そ
れぞれ2匹づつ)。全ての血液試料を採取し、ケタミン
麻酔下で肝生検を実施した。
【0069】2.肝炎の血清学:少なくとも4か月続く
実験の前の段階において、B、CおよびD型肝炎のマー
カーについて、チンパンジーを用いて試験を行った。予
想されるウイルスばかりでなく、起こり得る干渉のため
にも、以下の試験は陰性でなければならない: B型肝炎表面抗原 B型肝炎表面抗体 B型肝炎コア抗体(IgGおよびIgM) B型肝炎抗原および抗体 PCRによるHBVのDNA C型肝炎抗体 C型肝炎リバ(riba)試験 PCRによるHCVのRNA D型肝炎抗体 D型肝炎抗原
【0070】他の製剤、例えばE型肝炎に対する製剤を
試験するのであれば、このウイルス、つまりE型肝炎に
対するすべてのマーカーもまた、陰性でなければならな
い。すべての試験は、内および、もし可能であれば外の
品質管理に従わなければならない。すべての試験は、2
週間間隔で実施した。
【0071】3.肝酵素:肝機能試験のため、および/
または急性炎症の指標として、アラニン アミノトラン
スフェラーゼ(ALT EC 2.6.1.2)および
ガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(G−GT E
C 2.3.2.2.)の両方を用いた。肝酵素につい
ては、毎週試験を行った。健康なチンパンジーは、ヒト
のそれと一致する血清中ALT濃度を有している(Eder
ら、研究におけるチンパンジーの役割(The Role of the
Chimpanzee in Research)、Symp., Vienna, 156-165,
(1994)) 。測定は、ドイツ臨床化学学会(German Societ
y for Clinical Chemistry)(1972) の推奨する方法に従
って行った。肝細胞膜透過性の増大または肝細胞壊死の
結果、肝細胞傷害が起きた場合、血清中ALT値が上昇
する(Thefield ら、Dtsch. Med. Wschr. 994: 343-351
(1974), Wallnoeferら、in Synopsis der Leberkrankhe
iten, Thieme Verlag, Stuttgart, (1974), Schmidt
ら、Laboratory and Clinical Science, New York, 411
-487 (1983), Wuest H, Klin. Gastroenterologie in 2
Beanden, Thieme Verlag, Stuttgart, (1984)) 。チン
パンジーでは、B型肝炎ウイルスの接種により、チンパ
ンジーの70〜100%で、ALT値が顕著に上昇する
ことが知られている(Taborら、1983) 。C型肝炎ウイル
スの発見前は、正常値の上限の2.5倍以上にALTが
上昇することは、C型肝炎を示すと考えられていた。他
のウイルスによって惹起される肝炎においても、ALT
の上昇が認められていた(Eder,EBV肝炎チンパンジー
におけるALTおよびG−GTの上昇(ALT- and G-GT i
ncrease in EBV hepatitis chimpanzees) 、結果は未発
表)。一方、酵素G−GTは、吸収または分泌において
高度な役割を果たしている細胞(つまり、肝臓、腎臓お
よび膵臓)の膜において、主に検出される。G−GTの
生物学的役割は、まだ十分に解明されていない。酵素A
LTとは対照的に、G−GTは、膜結合性であり、胆管
およびクッパー細胞において検出される(Rosalikら、Cl
in. Chem. Acta 39: 41-47 (1972), Rosalikら、Clin.
Chem. 7:53-107 (1975); Valenzaら、J. Med. Primato
l. 14:350-315 (1985); Weillら、ガンマ−グルタミル
トランスフェラーゼ:生物医学薬理学の進歩(Gamma-glu
tamyltransferases: advances in biomedical pharmaco
logy), 3rd series, Masson, Paris, page 195-198 (19
82))。G−GTは、柔細胞において、小さい割合で認め
られた。G−GTは、血清中に活発に分泌されるため、
この酵素は、細胞膜の傷害を示す最も敏感な指標であ
り、肝炎の検出に好首尾に使用することができる。G−
GTの上昇を伴う、胆管の閉塞およびアルコールの摂取
量および/または乱用は、除外されなければならない。
我々自身の未発表の試験では、G−GTは、肝臓の炎症
の検出においては、ALTよりも優れた指標であること
が認められている。定量は、ドイツ臨床化学学会(the G
erman Society for ClinicalChemistry)(Persijn ら、
J. Clin. Chem. Clin. Biochem. 149, 421-427 (1976))
の推奨する方法により行った。チンパンジーにおける正
常値は、ヒトのそれと一致した。
【0072】4.肝組織の試験:実験前および実験段階
において2週間の間隔で、チンパンジーの肝の穿刺を行
った。メンギニ(Menghini)またはその他の市販のシステ
ムによる肝生検用針を用いた。採取した肝組織試料を、
光学顕微鏡による検査のためパラホルムアルデヒドで固
定し、免疫組織化学的検査のため液体窒素中で衝撃凍結
し、電子顕微鏡による検査のためグルタルアルデヒドで
固定した。すべての試験は、コードされた形で実施し
た。光学顕微鏡による検査を目的とする試料は、ヘマト
キシリン−エオシン、PASおよびマロリーで定法どお
り染色した。ウイルスの一つ以上の抗原と反応するポリ
クローナルおよびモノクローナル抗体を、免疫組織化学
的検査に用いた。抗体を、フルオレセインまたはビオチ
ンのいずれかと結合させた。
【0073】チンパンジーの肝生検所見のすべての結果
は、実験の前段階では正常でなければならない。低グレ
ードの、非特異的反応性肝炎は、時に全く健康なチンパ
ンジーでも認められるため、容認することができる。実
験段階の間に得られた結果は、ヒトスコアシステムによ
って評価した(0点〜18点)(Ishakら、J. Hepatol.
22:696-699 (1985))。ウイルス感染、例えばC型肝炎に
ついて記載されているような超微細構造変化は、特に電
子顕微鏡による検査において判断した(Pfeiferら、Virc
how Archive B Cell Pathol. 20: 617-627 (1980), Sch
aff ら、Virchow Archive B Cell Pathol. 45: 301-312
(1984), Schaff ら、J. Ultrastr. Path. 14: 303-309
(1990))。
【0074】5.医薬組成物:PCには、免疫グロブリ
ン製剤をすでに含有させていたか、あるいは免疫グロブ
リン製剤を、増殖性感染をもたらさないウイルスを含有
する製剤とは別に投与した。
【0075】C型肝炎の実験では、ウイルス製剤は、数
種の遺伝子型、および数種のサブタイプの混合物を含む
ことができる。
【0076】用いたウイルスの量は、増殖性ウイルスの
濃度、103 CID 50/ml に対応するものである。
静脈内投与したガンマグロブリンの投与量は、100mg
/kg体重とした。
【0077】実験方法:両方のコントロール動物には、
医薬組成物を投与しなかった。実験動物における適当な
抗体形成が得られた後に、いずれの動物も攻撃誘発実験
に付した。攻撃誘発用量は、疾患の場合に増殖性である
ことが認められているウイルスの平均濃度に対応し、例
えばC型肝炎では101.5 CID/ml とした。
【0078】結果:医薬製剤を投与されなかったコント
ロールのチンパンジーのいずれにおいても、適当な潜伏
期間後のウイルス感染、ALT上昇を伴うまたは伴わな
いG−GTの上昇、およびウイルスゲノム同等物(equiv
alents) を、攻撃誘発後に検出することができた。これ
により、攻撃誘発物質の有効性が証明された。
【0079】PCの投与後、受動的に投与され、過剰に
存在していた抗体は、その半減期に応じて残っている実
験動物において検出することができた。攻撃誘発後、最
少用量のPCを投与されたチンパンジーは、攻撃誘発物
質として共に投与されたウイルス抗原の最長の半減期を
示した。
【0080】免疫されたチンパンジーでは、ウイルス感
染と関連した肝臓の超構造的変化は電子顕微鏡によって
検出されず、光学顕微鏡によっても、急性肝炎は検出さ
れなかった。攻撃誘発の結果、肝酵素ALTおよびG−
GTの上昇はなく、ウイルスは、血清または肝組織から
単離されなかったし、PCR法によって連続的に検出さ
れることもなかった。すなわち、本発明の医薬製剤の投
与により、チンパンジーのウイルス感染に対する免疫を
高めたこと、未処置のチンパンジーに比べて、肝機能が
保護されたことが確認された。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、ヒトおよび動物の免疫
力を強化して病原体、特に変異率の高いウイルスに対す
る十分な防御が提供される。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変異率の高いウイルスまたは多くの遺伝
    子型および/またはサブタイプで存在するウイルスによ
    って引き起こされるウイルス性疾患の予防および/また
    は治療のための医薬組成物であって、濃縮されたおよび
    /または精製されたウイルスおよび/またはそのフラグ
    メントと中和抗体とを含む結合体および/または複合体
    を含有することを特徴とする、組成物。
  2. 【請求項2】 前記中和抗体が防御抗体を構成する、請
    求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 前記ウイルスがインビボでの増殖性感染
    をおこさない、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 前記組成物がさらに補体を含む、請求項
    1〜3に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 前記抗体が、100〜1000mg/kg 体
    重の用量の投与を可能にする濃度で存在する、請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 前記精製されたウイルスが、該ウイルス
    を含む材料の超遠心および/またはナノ濾過により得ら
    れる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 前記ウイルスおよび/またはそのフラグ
    メントが原核生物または真核生物において組換えにより
    産生されたものである、請求項6に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 前記組成物が、前記ウイルスの不活化の
    ために化学的におよび/または物理的に前処理される、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 【請求項9】 前記組成物が、化学的方法および物理的
    方法によって不活化されたウイルスをさらに含む、請求
    項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 【請求項10】 前記組成物が静脈内投与に適したもの
    である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 【請求項11】 前記抗体が粘膜投与に適したものであ
    る、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 【請求項12】 前記抗体が、血漿または血漿画分に由
    来する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成
    物。
  13. 【請求項13】 前記抗体が、存在する可能性のあるウ
    イルスを不活化および/または除去するために処理され
    る画分に由来する、請求項1〜12のいずれか1項に記
    載の組成物。
  14. 【請求項14】 前記抗体が、1つ以上のエピトープに
    対するものである、請求項1〜13のいずれか1項に記
    載の組成物。
  15. 【請求項15】 前記抗体が、1つ以上のウイルス抗原
    に対するものである、請求項1〜14のいずれか1項に
    記載の組成物。
  16. 【請求項16】 前記抗体が、コアタンパク質および/
    または非構造タンパク質および/またはエンベロープタ
    ンパク質に対するものである、請求項1〜15のいずれ
    か1項に記載の組成物。
  17. 【請求項17】 前記抗体が、フラビウイルスまたはペ
    スチウイルスに対するものである、請求項1〜16のい
    ずれか1項に記載の組成物。
  18. 【請求項18】 前記抗体が、C型肝炎ウイルスに対す
    るものである、請求項17に記載の組成物。
  19. 【請求項19】 前記組成物が、数種の遺伝子型ならび
    に数種のサブタイプの混合物を含む、請求項18に記載
    の組成物。
  20. 【請求項20】 請求項1〜19のいずれか1項に記載
    の組成物を調製するためのキットであって、 a )前記精製されたウイルス、および b )該ウイルスを中和する抗体 を含むことを特徴とする、キット。
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