JPH09110699A - 抗ウイルス剤 - Google Patents

抗ウイルス剤

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JPH09110699A
JPH09110699A JP26388695A JP26388695A JPH09110699A JP H09110699 A JPH09110699 A JP H09110699A JP 26388695 A JP26388695 A JP 26388695A JP 26388695 A JP26388695 A JP 26388695A JP H09110699 A JPH09110699 A JP H09110699A
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JP
Japan
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antiviral agent
nfκb
epc
hiv
day
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JP26388695A
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Kazuo Tsubota
一男 坪田
Kenichi Yoshida
研一 吉田
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Senju Pharmaceutical Co Ltd
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Senju Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウイルス感染症の遺伝子レベルにおける新し
い治療用の抗ウイルス剤を提供する。 【解決手段】 式: 【化1】 で表されるEPCまたはその塩を含有する抗ウイルス
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗ウイルス剤に関
する。さらに詳しくは、本発明は、アスコルビン酸とト
コフェロールとのリン酸ジエステル化合物またはその薬
理学的に許容できる塩を含有してなる抗ウイルス剤、特
にHIVウイルス感染症の治療に有用な抗ウイルス剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、酸化還元による細胞内情報伝達系
の制御が、リン酸化による制御同様、生物学的にきわめ
て重要であることが認識されつつある。例えば、HI
V、エプスタイン−バーウイルス(Epstein−Bar vir
us)などのウイルス感染細胞において、細胞は酸化スト
レスを強く受け、その後、チオレドキシンなどの内因性
還元物質の誘導が起こる。かかるレドックス制御システ
ムはシグナル系に介在する蛋白分子のSH基の修飾を介
して細胞内情報伝達系を極めて多様に調節する。特に、
核内転写因子のレドックス制御は、細胞環境の変化によ
る遺伝子発現調節機構の分子生物学的理解を大きく促進
している。核レセプタースーパーファミリーの一員であ
るグルココルチコイドレセプターがレドックス制御を受
け、その遺伝転写調節機能も変化することが知られてい
る。また、同じく転写因子であるNFκB、AP1、M
ybもレドックス制御を受けることが明らかにされつつあ
る。特に、NFκBは多くの免疫系遺伝子の発現に密接
に関与しているばかりか、HIVの増殖、すなわち、A
lDSの発症・進展に関わっている。さらに、Tリンパ
球において酸化ストレスがNFκBを誘導し、一方で内
因性外因性還元物質がNFκBの活性化を防ぐことを報
告されている。したがって、自己免疫疾患、AIDSを
はじめとしたウイルス感染症の遺伝子レベルにおける新
たな治療を考えるとき、NFκBはその標的分子として
きわめて有望といえる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、抗酸化
剤として公知の化合物であるEPCのNFκB活性化に
及ぼす影響を検討した結果、その作用がウイルス感染
症、特に、HIV感染症の治療に有用であり、該化合物
が抗ウイルス剤として期待できることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】EPCは、式:
【0005】
【化2】
【0006】[式中、R1およびR2は、同一または異な
って水素原子またはメチル基を示す。]で表されるリン
酸ジエステル化合物であり、例えば、特公平2−444
78号や特開昭62−205091号に開示され、そこ
に記載される方法またはそれに準じて適宜合成すること
ができる。EPCやその塩は、抗白内障剤、更年期障害
予防・治療剤、美肌作用を有する化粧品(特公平2−4
4478号)、抗炎症剤(特公平1−27044号)、抗
潰瘍剤(特開昭63−270626号)さらには虚血性臓
器障害予防・治療剤(特開平2−111722号)などの
種々の用途に有用であることが既に知られている。しか
しながら、それらが抗ウイルス剤として有用であること
は、未だ、知られていない。
【0007】かくして、本発明は、EPCまたはその薬
理学的に許容できる塩(以下、本化合物という)を含有
してなる抗ウイルス剤を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の抗ウイルス剤に用いられ
る本化合物は、遊離のものであっても、その薬理学的に
許容できる塩であっても、本発明の目的のため適宜に使
用することができる。薬理学的に許容できる塩として
は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ
金属塩やカルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ
土類金属塩などが例示されるが、これら以外の塩であっ
ても薬理学的に許容できる塩であればいずれのものであ
っても適宜に使用することができる。
【0009】本発明の抗ウイルス剤には、目的と必要に
応じて、本化合物のうち1種または2種以上を適宜組み
合わせて含有させることもできる。本化合物は、毒性が
きわめて低く安全性に優れているので、本発明の目的の
ため有利に用いることができる[例えば、L−アスコル
ビン酸−DL−α−トコフェロールリン酸ジエステルカ
リウム(以下、EPC−Kと略称する。)のLD50:経
口投与5g/kg(ラット)、静脈注射100mg/kg(ラッ
ト)以上]。
【0010】本発明の抗ウイルス剤は、経口的にあるい
は非経口的(例えば、静脈注射、皮下注射、筋肉注射、
点滴)にウイルス感染症の治療、特に、HIVウイルス
感染症の治療に適宜に使用される。製剤の形態として
は、例えば、錠剤、顆粒、散剤、カプセル剤などの固形
製剤または注射剤などの液剤のいずれにも、公知の方法
により適宜調製することができる。これら製剤には、通
常用いられる賦形剤、結合剤、崩壊剤、分散剤、再吸収
促進剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳
化剤、等張化剤、安定化剤や、pH調整剤などの各種添
加剤を適宜使用してもよい。
【0011】本化合物を抗ウイルス剤として使用する場
合の用量は、使用する化合物の種類、患者の年齢、体
重、性別、適応症状およびその剤型などによって異なる
が、例えば、注射剤の場合、成人1日1回約0.5〜2
00mg、好ましくは、約2〜50mg程度、内服剤の場合
は、成人1日数回、1回量約5〜2,000mg、好まし
くは約20〜500mg程度投与するのがよい。
【0012】本発明の抗ウイルス剤には、本発明の目的
に反しないかぎり、その他の抗ウイルス剤および/また
は別種の薬効を奏する成分を含有させてもよい。
【0013】
【実施例】つぎに、試験例および製剤実施例を挙げて、
本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによ
って限定されるものではない。 試験例1 I.材料と方法 1.材料 (1)細胞 がん研究振興財団(Japanese Cancer Research Res
ources Bank)より供与されたヒト神経膠芽細胞腫T9
8G細胞を使用した。細胞は10%牛胎児血清、2mM
グルタミン酸、1mMビルビン酸ナトリウム、0.1mM
非必須アミノ酸配合加修飾イーグル培地(MEM:Mod
ified Eagle's Medium)で継代培養した。 (2)試薬 NFκBの誘導にはTNFα(1nM、大日本製薬)を用
いた。また、EPC−K1はEPU(EPCのアスコル
ビン酸部分がウリジンとなった化合物)は千寿製薬製造
のものを使用した。ビタミンC(VitC)、ビタミンE
(VitE)はナカライ(株)より購入した。
【0014】2.方法 (1)プラスミドの作成 転写因子NFκBの転写誘導活性はルシフェラーゼ法を
用いて検討した。レポータープラスミドHIV−Luc、
HIV(△kB)−LucおよびpNFκBHLは東京工業大
学半田宏教授より供与されたものを使用した。HIV−
Luc、HIV(△kB)−Lucは、各々、HIV−LT
R、NFκBを除いたHIV−LTRをルシフェラーゼ
発現ベクターPGV−B(東洋インキ)の上流に組み込ん
だものである。pNFκBHLはNFκB特異的DNA
結合認識配列として、HIVプロモーター上のκB配列
(5'−AAGGGACTTTCCGCTGGGGAC
TTTCCAG−3')を用い、DNAシンセサイザー
で合成し、タンデムに4つ結合させた。その3'側にT
ATAボックスを含むHIVプロモーター断片(−45
〜+83)を連結し、PGV−Bに組み込んだ。遺伝子
導入の効率はβガラクトシダーゼ発現プラスミド(ファ
ルマシア)で補正した。 (2)遺伝子導入法 細胞を12ウェルプラスチック皿で培養し、30〜50
%密の状態でリン酸緩衝液で3回洗浄後、Opti−ME
M無血清培地(GlBCO)と交換した。遺伝子導入はリ
ボフェクチン法を用いた。1ウェル当たり、4μlのリ
ポフェクチンと2μgのpNFκBHLを混合し、ミセル
形成後、Opti−MEM無血清培地に添加し、9時間イ
ンキュベートした。
【0015】(3)ルシフェラーゼ法 pNFκBHLが導入された細胞にEPC−K1、EP
U、VitC、VitEをTNFα添加30分前に前添加し
た。1nM TNFα添加後、12時間培養し、リン酸
緩衝液で2回洗浄後、200μlの細胞溶解液(東洋イン
キ)で細胞を溶解した。さらに、エッペンドルフ・チュ
ーブに溶解液を移して遠心後、上清20μlを測定に用
いた。ルシフェラーゼ活性の測定はLumat LB950
1(Berthold)を用い、RLU(Reactive Light U
nit)で表した。また、4回の実験の平均値をそれぞれ
の測定値とした。結果を図1に示す。 (4)核抽出液の採取(Dignamらの方法) 細胞をコラーゲンコートした100mmプラスチック皿で
培養後、リン酸緩衝液で2回洗浄した。さらに、Opti
−MEM無血清培地で24時間培養し、EPC−K1、
EPU、VitC、VitE前添加(30分)、1nM TN
Fα添加4時間培養した。その後、リン酸緩衝液で2回
洗浄後、ラバーポリースマンで細胞を剥離し、エッペン
ドルフ・チューブに収集した。遠心後、細胞沈査を12
0μlの低張緩衝液(hypotonic buffer:10mMトリス
緩衝液、5mM塩化カリウム、1.5mM塩化マグネシウ
ム、5mM 2−メルカプトエタノール)に再溶解し、
遠心分離した。さらに、溶菌緩衝液(lysis buffer:1
0mMトリス緩衝液、5mM塩化カリウム、1.5mM塩化
マグネシウム、5mM 2−メルカプトエタノール、0.
4%ノニデットP−40)で細胞膜を溶解し核分画を採
取した。核分画は20mMトリス緩衝液、20mM塩化カ
リウム、0.2mM EDTA、1.5mM塩化マグネシウ
ム、25%グリセリン、5mM 2−メルカプトエタノ
ール、0.5mMフェニルメチルスルホニルフルオリドか
らなる緩衝液15μlで溶解し、さらに、20mMトリス
緩衝液、600mM塩化カリウム、0.2mM EDT
A、1.5mM塩化マグネシウム、25%グリセリン、5
mM 2−メルカプトエタノール、0.5mMフェニルメ
チルスルホニルフルオリドからなる緩衝液60μlを添
加し、30分間氷上でインキュベートした。その後、遠
心分離し、上清を核抽出液とした。
【0016】(5)ゲルシフト法 核抽出液中のNFκBはκB認識配列(GGGACTT
TCC)を含む二本鎖オリゴヌクレオチド(5'−CT
CGAGTTGAGGGGACTTTCC CAGGC
G−3')をプローブとして検出した。プローブは二本鎖
オリゴヌクレオチドをDNAポリメラーゼのクレノー断
片を用いて、[α−32P]dCTP(アマーシャム)で
3'−末端標識された。各試薬反応後の核抽出液2μg
と、標識した二本鎖オリゴヌクレオチド(30,000cp
m)を20mM HEPES緩衝液、60mM塩化カリウ
ム、1mMジチオスレイール、50μg/ml牛アルブミ
ン、8%フィコール、2μg ポリ(dl−dC)中で室温に
て30分間インキュベートした。さらに、4%ポリアク
リルアミドゲルを用いて電気泳動し、オートラジオグラ
フィーで検討した。得られたオートラジオグラムを図2
に示す。
【0017】II.成績 1.NFκBの遺伝子転写誘導能に及ぼす影響 細胞にpAP1HLをトランスフェクト後、TNFαに
よるNFκBの遺伝子転写誘導能に及ぼす各種薬剤の影
響をルシフェラーゼ法を用いて検討した。TNFα非存
在下では、EPC−K1、EPU、VitE、VitCはい
ずれもルシフェラーゼ活性に影響しなかった。しかし、
TNFα(1nM)存在下では、EPC−K1は濃度依
存性(0.1、1μM)にpNFκBHLの発現を抑制し
た。また、EPU(1μM)、VitE(1μM)、VitC
(1μM)もTNFαで誘導したルシフェラーゼ活性を抑
制する傾向は認めたが、EPC−K1に比較してその作
用は弱いものと思われた。さらに、HIV−Luc、HI
V(△kB)−Lucをトランスフェクト後同様の実験を行
なった結果、HIV−LTRプロモーターのTNFαに
よるNFkB活性化を介した誘導もEPC1μMによっ
て抑制されることが明らかとなった。結果を図3に示
す。
【0018】2.NFκBのDNA結合能に及ぼす影響 各種試薬によるNFκBのDNA結合能に及ぼす影響を
ゲルシフト法を用いて検討した。T98G細胞におい
て、構成的に発現するNFκBは認めなかった。1nM
TNFαはNFκBのDNA結合能を明らかに誘導し
た。さらに、TNFαによるNFκBのDNA結合能の
誘導を1μM EPCは抑制したが、1μMEPU、1
μM VitE、1μM VitCはほとんど作用しなかっ
た。ここで、蛋白−DNA複合体中の構成蛋白は各種N
FκB関連抗体とのインキュベートによるスーパーシフ
ト法により、p65とp50の二量体であることを確認し
た。以上の結果から、EPCはTNFαによるNFκB
の活性化を抑制し、NFκB応答性遺伝子の発現を負に
調節しうることが判明した。さらに、HIV−LTRプ
ロモーターの誘導をも抑制したことは本化合物が、自己
免疫疾患、AIDSをはじめとしたウイルス感染症の治
療薬として有効であることを示している。
【0019】製剤実施例1内服錠 EPC−K 100mg 乳糖 75mg デンプン 20mg ポリエチレングリコール6000 5mg 以上の成分を常法により混和し、1錠分の錠剤とする。
必要に応じて糖衣を付してもよい。
【0020】製剤実施例2 以上の成分を常法により混和し無菌濾過する。濾液を無
菌的に5mlずつガラスアンプルに充填熔閉し、注射剤と
する。
【0021】
【発明の効果】本発明の製剤は、EPCのNFκB活性
化を介する免疫系遺伝子の発現抑制による有用な抗ウイ
ルス活性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 試験例1におけるルシフェラーゼ法による活
性測定結果を示すグラフである。
【図2】 試験例1におけるゲルシフト法によるオート
ラジオグラムである。
【図3】 試験例1におけるNFκBの遺伝子転写誘導
能に及ぼす影響を試験した結果を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: 【化1】 [式中、R1およびR2は、同一または異なって水素原子
    またはメチル基を示す。]で表されるリン酸ジエステル
    化合物またはその薬理学的に許容できる塩を含有してな
    る抗ウイルス剤。
  2. 【請求項2】 HIVウイルス感染症治療用である請求
    項1記載の抗ウイルス剤。
JP26388695A 1995-10-12 1995-10-12 抗ウイルス剤 Withdrawn JPH09110699A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113164608A (zh) * 2021-02-02 2021-07-23 学校法人日本医科大学 抗病毒剂

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113164608A (zh) * 2021-02-02 2021-07-23 学校法人日本医科大学 抗病毒剂

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