JPH0910897A - 薄鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents

薄鋳片の連続鋳造方法

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JPH0910897A
JPH0910897A JP15592695A JP15592695A JPH0910897A JP H0910897 A JPH0910897 A JP H0910897A JP 15592695 A JP15592695 A JP 15592695A JP 15592695 A JP15592695 A JP 15592695A JP H0910897 A JPH0910897 A JP H0910897A
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roll
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upper roll
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Yoshihisa Shirai
善久 白井
Masazo Furukawa
雅三 古川
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】薄鋳片の連続鋳造方法を提供する。 【構成】上ロール傾斜角度γが下記〜を満たす条件
で鋳造する双ロール横注ぎ式の薄鋳片の連続鋳造方法。 上ロールと溶湯との濡れ角度θが15°以上。 下ロールと溶湯との引上げ角度βが60°以下。 ノズル、溶湯及び下ロールが接する三重点での溶湯ヘ
ッドHが400mm 以下。 【効果】表面の湯じわや凹凸などの欠陥がない薄鋳片
を、鋳込み開始時の引出し不可、湯漏れなどの問題もな
く、安定して得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素鋼、ステンレス
鋼、銅合金等の金属の薄鋳片を、水平方向に供給される
溶融金属(以下、 溶湯という)から直接、双ロール式鋳
造機によって連続的に製造する方法に関する。以下、こ
の方法を双ロール横注ぎ式という。
【0002】
【従来の技術】溶湯から直接、金属薄鋳片を製造する方
法にはいくつかの方式がある。図1は双ロール横注ぎ式
連続鋳造方法の例を説明する側面方向の縦断面図であ
る。図示する角度γが垂直方向と上下ロール1、2の軸
芯を結ぶ直線方向とがなす上ロール傾斜角度、角度θが
上ロール1と溶湯3との濡れ角度、角度βが下ロール2
と溶湯3との接触開始時の角度(引き上げ角度)、Lu
及びLL がそれぞれ上、下ロール1、2と溶湯3との接
触円弧長さ(以下、単に接触長さという)である。
【0003】このような双ロール横注ぎ式では、水平方
向からノズル4内の溶湯3を供給するため次のような利
点があり、試験開発が進められている。すなわち、溶湯
3のヘッドが小さく、操業が容易である。設備の高さが
小さくてすむ。一対の上下ロール1、2で各ロール表面
に形成させた凝固シェルを圧着させるので、薄鋳片5の
表面品質が良好などである。
【0004】「鉄鋼の初期凝固」〔日本鉄鋼協会編、
p.119〜122(平成6.11.15)〕には、上下ロールの径が異
なる異径双ロール横注ぎ式の連続鋳造方法が示されてい
る。この報告では、上ロール径は400mm 、下ロール径は
1400mm、溶湯と上及び下ロールとの接触長さは 100〜15
0mm 、鋳造速度は0.08〜0.8m/s(4.8〜48m/min)である。
【0005】この方法では、上ロールが溶湯に10mm深さ
で浸漬していることから、上ロールと溶湯との濡れ角度
θは18°程度であると推測される。
【0006】特公平1−59062号公報には、同径の
上下ロールで上ロール傾斜角度γ=15〜45°(水平から
45〜85°)として、鉛合金薄板を製造する方法が示され
ている。上記γが15°未満では上ロールと溶湯との間の
接触長さが短くなり、上ロールで形成される凝固シェル
厚さが小さくなる。γが45°を超えると上ロールで形成
される凝固シェルが非常に厚くなり、操業トラブルが生
じるため、好ましくないとしている。
【0007】特公平3−28253号公報には、上ロー
ル径が下ロール径よりも小さく、上ロール傾斜角度γ=
0〜45°とする金属薄板の製造方法が示されている。こ
の発明の実施例によれば、上ロール径は200mm 、下ロー
ル径は1000mmであり、溶湯とロールとの接触長さは130m
m 、鋳造速度は20m/min である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の双ロール横注ぎ
式連続鋳造方法では、薄鋳片の厚さは1〜5mmのものが
得られるが、鋳片表面には湯じわや割れ等の欠陥が多
く、品質上問題がある。しかし、最近、鋳片の表面品質
を確保するために下記の対策が採られつつある。
【0009】鋳造速度の高速化:鋳造速度を大きくする
ことにより、上ロール側では凝固開始点が湯面より下方
にずれて、ガスおよび酸化物の巻き込みや湯面変動の影
響を受けにくい。このため、鋳片表面の肌は平滑で良好
になる〔「鉄鋼の初期凝固」、日本鉄鋼協会編、p. 127
〜130(H6.11.15) 参照〕。
【0010】下ロール側については、噛み込み疵と称す
る表面疵が低減する。これは、鋳造速度を増大すること
により、ノズル先端の溶湯流れが増大してノズル先端の
異常凝固が軽減されるためと考えられている〔「鉄鋼の
初期凝固」、日本鉄鋼協会編、p. 139〜142(H6.11.15)
参照〕。
【0011】生産性を向上させるためにも、鋳片厚さは
そのままで鋳造速度を大きくすることが望まれる。
【0012】緩冷却化:ロール表面で溶湯が冷却、凝固
する時の抜熱速度を小さくし、凝固シェル厚さの不均一
成長を抑制して、表面割れやポロシティ欠陥を防止しよ
うとするものである。緩冷却する方法には、ロール表面
にセラミックスなどの低熱伝導率材を溶射またはメッキ
する、ロールスリーブに低熱伝導率材を使用するなどが
ある。
【0013】これらの方法は、いずれも鋳片の厚さが小
さくなる方向のものである。これらの表面品質改善策を
実施しながら鋳片の厚さを従来並に確保するためには、
溶湯と上下ロールとの接触長さを大きく(200mm 以上)
にしなければならない。
【0014】しかし、従来の双ロール横注ぎ式連続鋳造
方法では前述のように、溶湯とロールとの接触長さは 1
00〜150mm と小さい。さらに、前記の報告や発明の方法
においては、図1に示す上ロールと溶湯との濡れ角度
θ、引き上げ角度βおよび三重点A部での溶湯ヘッドの
三つの条件と鋳片品質との関係を明確には考慮していな
い。
【0015】このような従来の装置や方法において、単
に湯面位置を高くしたり、ノズル位置を下げたりして、
溶湯とロールとの接触長さを大きくした場合、下記のa
〜 cのような問題が発生する場合がある。
【0016】a.鋳片の上ロール側表面に割れや湯じわが
発生して品質不良となる。
【0017】b.鋳込み初期において、下ロールで凝固し
たシェルが引き上がらず、鋳片が得られない。
【0018】c.溶湯のヘッドが大きくなり、溶湯が下ロ
ールとノズルとの間から漏れて操業できなくなる。
【0019】以上のように、従来の双ロール横注ぎ式連
続鋳造方法においては、鋳片品質を確保しつつ1〜5mm
厚の薄鋳片を得ることは難しく、操業上のトラブルも多
い。
【0020】本発明の目的は、上記課題を解決すること
ができる双ロール横注ぎ式の薄鋳片の連続鋳造方法を提
供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は下記の薄
鋳片の連続鋳造方法にある。
【0022】水平方向から溶融金属を供給する方式の双
ロール式鋳造機を用いて薄鋳片を製造する連続鋳造方法
であって、垂直方向と上下ロールの軸芯を結ぶ直線方向
とがなす上ロール傾斜角度γが下記〜を満たす条件
で鋳造することを特徴とする薄鋳片の連続鋳造方法。
【0023】上ロールと溶融金属との濡れ角度θが15
°以上。
【0024】下ロールと溶融金属との接触開始時の角
度(引き上げ角度)βが60°以下。
【0025】溶融金属を供給するノズル、溶融金属お
よび下ロールが接する部分(三重点部)での溶融金属の
ヘッドHが400mm 以下。
【0026】この方法では、溶湯と上下ロールとの接触
長さはいずれも、200mm 以上600 mm以下とするのが望ま
しい。
【0027】
【作用】図2により、本発明における各部および角度の
定義を説明する。図2の例は、双ロール横注ぎ式連続鋳
造機における側面方向の要部の縦断面図である。
【0028】図2に示すように、上ロール1は上ロール
傾斜角度γで溶湯3の供給側に傾けて配置されている。
溶湯3を供給するノズル4、溶湯3および下ロール2が
接する部分Aが三重点である。この三重点A部における
溶湯3のヘッドがHである。
【0029】上ロール1と溶湯3とは濡れ角度θで接
し、溶湯3は三重点A部において下ロール2と接触を開
始し、このときの角度が引上げ角度βである。図2にお
いて、αu は上ロール1と溶湯3との接触角度、αL は
下ロール2と溶湯3との接触角度である。接触角度αu
およびαL の部分の上下ロール1、2の外周面と溶湯3
との接触長さが、図1に示すLu およびLL である。
【0030】本発明方法においては、前記の鋳造条件
〜になるように上ロール傾斜角度γを決定して鋳造す
る。次に鋳造条件を前記〜に限定した理由を説明す
る。
【0031】実際に鋳造する場合、上下ロールは、図2
に示すように上ロール傾斜角度γを維持して、ロール間
隔χ(薄鋳片5の厚さ)に応じて離れた状態にある。本
発明方法はこの鋳造状態において前記〜の条件を確
保する。
【0032】上ロール1と溶湯3の濡れ角度θ:15°
以上 上ロール1と接する溶湯3の湯面は、上ロール1の回転
により引き込まれる傾向があり、鋳造速度が大きいと
き、または溶湯3の表面張力が大きく粘性が小さいとき
にその傾向は大きくなる。ここで、上ロール1の溶湯3
への浸漬深さが小さすぎたり、または上ロール1の径が
大きすぎて濡れ角度θが15°よりも小さくなったりする
と、さらに引き込まれる湯面長さが大きくなって実際に
溶湯3が上ロール1と接触して凝固する長さが短くな
り、十分な厚さの上ロール側凝固シェル6が形成されな
い。わずかな湯面変動(±1mm程度)であっても、溶湯
3と上ロール1との接触長さが大きく変動して上ロール
側凝固シェル6の厚さが不均一となり、表面割れや湯じ
わ等の表面欠陥が多発する。
【0033】このため、濡れ角度θは15°以上として実
際の上記接触長さを確保し、湯面変動による上ロール側
凝固シェル6の厚さの不均一を改善して表面割れや湯じ
わを低減し、上ロール1側の鋳片品質を確保する。
【0034】濡れ角度θの望ましい上限は60°程度であ
る。この角度θが60°程度を超えて大きくなりすぎる
と、上ロール1のシャフト(図示せず)まで溶湯3に浸
漬されるか、または三重点A部でのヘッドHが大きくな
りすぎるという問題が生じる。
【0035】下ロール2と溶湯3との接触開始時の角
度(引き上げ角度)β:60°以下 鋳造を開始するとき、下ロール2と摺動しているノズル
4内に溶湯3が供給され、溶湯3の湯面位置が上昇し、
下ロール2と溶湯3とが接触したときから下ロール側凝
固シェル7が生成する。この凝固シェル7を下ロール2
の回転により引き上げ、更に上下ロール1、2で圧着し
て薄鋳片5として引き出す必要がある。
【0036】引き上げ角度βが60°を超えると、下ロー
ル側凝固シェル7の先端が上下ロール1、2間で、上下
ロール1、2の軸芯を結ぶ直線まで引き上がらない場合
が多くなる。引き上がらなければ、この凝固シェル7が
上下ロール1、2間に堆積して、やがては上下ロール
1、2の回転が止まるか、または上下ロール1、2間の
溶湯が凝固して操業不能になる。
【0037】このように、鋳造開始時に薄鋳片5をスム
ーズに引き出すために、引き上げ角度βが60°以下とな
るように下ロール2に対してノズル4の配置位置を決め
る。
【0038】引き上げ角度βの望ましい下限は15°程度
である。この下限を超えて小さくしすぎると、溶湯3と
下ロール2との接触長さを確保するためには下ロール2
の径を非常に大きくしなければならず、設備全体が大き
くなるという問題が生ずる。
【0039】三重点A部での溶湯3のヘッドH:400m
m 以下 下ロール2とノズル4とは一定の押圧で摺動させるか、
またはわずかな隙間(0.5mm 以下)を開けて保たれ、溶
湯3が漏れないようにしている。しかし、回転する下ロ
ール2と高温の溶湯3を保持するノズル4とをロール軸
方向に均一に押圧して摺動させ、または均一な隙間を確
保することは容易ではない。三重点A部でのヘッドHが
400mm より大きくなると押圧の弱い部分または隙間がや
や大きい部分から溶湯3が漏れるか、または湯差しして
操業が中断することが多くなる。
【0040】このように、溶湯3が漏れないようにして
安定に操業するため、三重点A部でのヘッドHは400mm
以下とした。溶湯ヘッドHはできるだけ小さくするのが
望ましいが、上下ロール1、2と溶湯3との接触長さを
或る一定量確保するためには、少なくとも40mm程度が必
要である。
【0041】上下ロール径については特に限定されるも
のではないが、薄鋳片厚さを確保するために溶湯とロー
ルとの接触長さを大きくする場合、ロール径が小さいと
下記の点で好ましくない。
【0042】ロールは、溶湯と接しているときは加熱さ
れて温度が上昇し、溶湯または薄鋳片と離れると内部の
冷却によって温度が低下する。溶湯との接触長さは薄鋳
片の必要厚さにより一定となるので、ロール径が小さい
とロール径が大きい場合に比べ、冷却されて温度が低下
する時間が短くなる。このため、ロールの熱負荷は大き
くなり、ロール表面温度が高くなる。したがってロール
が熱変形して薄鋳片形状が悪化するか、またはロール寿
命が短くなる。
【0043】また、ロール径が小さいと、溶湯とロール
との大きな接触長さを得るには、三重点A部での溶湯ヘ
ッドHを大きくしなければならない。先に述べたよう
に、このヘッドHが大きくなるとノズルから湯漏れしや
すくなる。
【0044】以上により、ロールの外径は上下共に1000
mm以上とするのが望ましい。一方、設備上からは、ロー
ル径をむやみに大きくすると装置全体の大きさも大きく
なり、多額の製作費用がかかるため、ロール径は2000mm
以下とするのが望ましい。さらに上下ロールは同径であ
っても異径であってもよい。また、ロールには前記の緩
冷却化対策を構じるのが望ましい。
【0045】双ロール横注ぎ式連続鋳造方法を用いる場
合、操業を安定させ鋳片品質を確保するためには、溶湯
とロールとの必要な接触長さに対して、上記〜の各
条件をすべて満たすようにして鋳造する必要がある。た
だし、上ロール傾斜角度γの望ましい範囲は10〜20°程
度である。この条件では、濡れ角度θと引き上げ角度β
の各条件を満たした上で三重点A部でのヘッドHを小さ
くすることができるからである。
【0046】このときの鋳造速度の望ましい範囲は40〜
100m/min程度である。鋳造速度が40m/min 程度未満では
高速化が達成されない。一方、100 m/min 程度を超える
と薄鋳片の厚さが薄くなりすぎ、1〜5mm厚さの薄鋳片
を得ることが困難となる。
【0047】一般的に、ロール表面から形成される凝固
シェル厚さd(mm)は、下記(1) 式のように表される。
【0048】 d=K√(t)=K√(L/1000・V)・・・・・・・・・・・(1) ここで、K:凝固係数(mm/min0.5) 、L:溶湯とロール
との接触長さ(mm)、V:鋳造速度(m/min) である。
【0049】上ロールと下ロールとで形成した凝固シェ
ルが合わさって鋳片となる。鋳造速度Vが大きい(例え
ば40m/min 以上)場合、またはロールを緩冷却として凝
固係数Kが小さい(例えば15mm/min0.5 以下)場合、鋳
片厚さを確保するには接触長さLを大きくする必要があ
る。
【0050】必要な接触長さLは、必要な鋳片厚さおよ
び鋳造速度により異なるが、前記の(1) 式等の関係式か
ら算出する。例えば、前記の(1) 式を使用する場合、凝
固係数Kはロールの冷却能や溶湯の種類によって異なる
ため、あらかじめ試験して求めておく必要がある。
【0051】表面品質の改善策を実施しながら鋳片の厚
さを従来並に確保するためには、溶湯と上下ロールとの
接触長さLu 、LL を大きく(200mm 以上)するのが望
ましい。一方、接触長さLu 、LL が600mm を超えると
溶湯ヘッドHが過大となるなどの問題が生ずる。
【0052】本発明方法では、濡れ角度θ、引き上げ角
度βおよび上ロール傾斜角度γは次の計算式により求め
ることができる。
【0053】上ロール径をDu (mm)、上ロールと溶湯と
の接触角度をαu 、上ロールと溶湯との接触長さをLu
(mm)、下ロール径をDL (mm)、下ロールと溶湯との接触
角度をαL 、下ロールと溶湯との接触長さをLL (mm)と
すると、αu およびαL は下記(2) 、(3) 式となる。
【0054】 αu (°)=(360・Lu)/(π・Du)・・・・・・・・・・・・(2) αL (°)=(360・LL)/(π・DL)・・・・・・・・・・・・(3) 濡れ角度θと上ロール傾斜角度γとの関係は下記(4)
式、引き上げ角度βと上ロール傾斜角度γとの関係は下
記(5) 式となる。
【0055】 θ=αu −γ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4) β=γ+αL ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5) 三重点A部での溶湯ヘッドHは、下記(6) 式で求められ
る。
【0056】 H(mm)=〔cos γ−cos(αu −γ) 〕×Du/2 +〔cos γ−cos(αL +γ) 〕×DL/2+χ・cos γ・・(6) ここで、χは上下ロールの間隔(mm)である。
【0057】溶湯ヘッドHの維持は、次のような方法で
行うことができる。
【0058】所定のヘッドHとなるように、ノズルとは
別の溶湯保持容器(取鍋など)からノズル内に供給する
溶湯量を調整してノズル内の溶湯量を制御する。ノズル
内の湯面位置の検出には、湯面レベル計(渦電流式およ
びレーザ式の距離計など)を用い、位置が高くなりすぎ
た場合は溶湯保持容器からノズル内への供給量を少な
く、逆に低くなりすぎた場合は供給量を多くして湯面位
置が一定になるように制御する。
【0059】上記の本発明方法は、厚さが1〜5mmの範
囲の薄鋳片であれば、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、
銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金など
の金属に適用することができる。
【0060】
【実施例】上下ロール径Du 、DL と上ロール傾斜角度
γを各々変化させ、前記の (2)〜(6) 式を用いて、濡れ
角度θ、引き上げ角度βおよび三重点部での溶湯ヘッド
Hを求めた。これらの値から、濡れ角度θが15°以上、
引き上げ角度βが60°以下および三重点部でのヘッドH
が400mm 以下となる本発明範囲を求めた。表1、表2お
よび図3〜図5にこれらの結果を示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】図3は溶湯とロールとの接触長さLが200m
m の場合、図4はL=400mmの場合、図5はL=600mmの場
合である。ここでは、上下ロール径が同じ場合としたが
ロール径が異なる場合でも同様にして実施できる。
【0064】鋳造は下記条件で行った。
【0065】ロール:銅合金スリーブ(20mm厚)、内部
水冷 緩冷却化するために、スリーブ表面にAl2O3 を厚さ120
μm 溶射施工した。
【0066】溶 湯:SUS304(18Cr−8Ni鋼) 鋳造時の温度:1530℃ なお、予め同じ条件で試験し、得られた薄鋳片の凝固組
織から前記(1) 式の凝固係数Kが12mm/min0.5 であるこ
とを確認した。
【0067】この他の操業条件である鋳造速度V、得ら
れた薄鋳片厚さおよび操業結果を併せて表1および表2
に示す。
【0068】表1および表2に示すように、図3〜図5
に示す本発明範囲での上下ロール径および上ロール傾斜
角度を選択し、鋳造速度が40m/min の場合には操業上の
問題もなく、良好な品質の薄鋳片を得ることができた。
【0069】一方、濡れ角度θが15°よりも小さい場
合、引き上げ角度βが60°よりも大きい場合および三重
点部での溶湯ヘッドHが400mm より大きい場合には、鋳
造開始時に薄鋳片の引き出し不良、ノズルからの湯漏れ
による操業トラブルが生じた。
【0070】また、薄鋳片表面に割れや湯じわが発生
し、良好な品質の薄鋳片を安定して得ることができなか
った。
【0071】比較例の試験No.9に示すように、溶湯とロ
ールとの接触長さを従来と同様の150mm 、厚さ2.1mm の
薄鋳片を得るために鋳造速度を20m/min とした場合、比
較的安定した操業ではあったものの、得られた薄鋳片の
上面には湯じは、下面には噛み込み疵が多発した。
【0072】
【発明の効果】本発明方法によれば、鋳造速度を大きく
し、または緩冷却となるロールを使用して鋳片品質を改
善する場合のように、溶湯とロールとの接触長さが大き
くなっても、薄鋳片表面に湯じわや凹凸等の欠陥が発生
することがない。
【0073】操業面についても、鋳込み開始時の薄鋳片
引き出し不可、または溶湯がロールとノズルとの間から
漏れる等の問題もなく、安定して品質の良好な金属薄鋳
片を連続して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】双ロール横注ぎ式連続鋳造方法の例を説明する
側面方向の縦断面図である。
【図2】本発明の双ロール横注ぎ式連続鋳造方法におい
て、上ロール傾斜角度γ、濡れ角度θ、引き上げ角度β
および三重点A部でのヘッドHを説明する側面方向の縦
断面図である。
【図3】溶湯とロールとの接触長さL=200mm の場合の
本発明範囲を示す図である。
【図4】溶湯とロールとの接触長さL=400mm の場合の
本発明範囲を示す図である。
【図5】溶湯とロールとの接触長さL=600mm の場合の
本発明範囲を示す図である。
【符号の説明】
1:上ロール、 2:下ロール、3:溶湯、 4:ノズ
ル、 5:薄鋳片、6:上ロール側凝固シェル、
7:上ロール側凝固シェル、A:三重点、αu :上ロー
ルと溶湯との接触角度、 αL :下ロールと溶湯との接
触角度、β:引き上げ角度、 γ:上
ロール傾斜角度、H:三重点A部での溶湯ヘッド、
θ:濡れ角度、Lu :上ロールと溶湯との接触長さ、
LL :下ロールと溶湯との接触長さ、χ:上下ロール
間隔(薄鋳片5の厚さ)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水平方向から溶融金属を供給する方式の双
    ロール式鋳造機を用いて薄鋳片を製造する連続鋳造方法
    であって、垂直方向と上下ロールの軸芯を結ぶ直線方向
    とがなす上ロール傾斜角度γが下記〜を満たす条件
    で鋳造することを特徴とする薄鋳片の連続鋳造方法。 上ロールと溶融金属との濡れ角度θが15°以上。 下ロールと溶融金属との接触開始時の角度(引き上げ
    角度)βが60°以下。 溶融金属を供給するノズル、溶融金属および下ロール
    が接する部分(三重点部)での溶融金属のヘッドHが40
    0mm 以下。
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