JPH09108331A - 抗血栓性持続高分子材料及びその製造方法 - Google Patents

抗血栓性持続高分子材料及びその製造方法

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JPH09108331A
JPH09108331A JP7271164A JP27116495A JPH09108331A JP H09108331 A JPH09108331 A JP H09108331A JP 7271164 A JP7271164 A JP 7271164A JP 27116495 A JP27116495 A JP 27116495A JP H09108331 A JPH09108331 A JP H09108331A
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heparin
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vinyl polymer
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JP7271164A
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Koji Yamashita
光司 山下
Yoshichika Akiyama
芳周 秋山
Nobuhiko Iwabori
伸彦 岩堀
Tatsuo Oshikawa
達夫 押川
Masaki Ogawa
雅樹 小川
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NIPPON SHERWOOD KK
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Abstract

(57)【要約】 抗血栓性持続高分子材料とその製造方法 【課題】 優れた抗血栓活性を長期間持続し得る医療用
材料を提供すること。 【解決手段】 アミノ化塩素化ビニル系ポリマーとジア
ルデヒドとを反応させてω−ホルミル−α−ヒドロキシ
アルキルアミノ基グラフトポリマーを生成し、ヘパリン
と尿素との反応によって得たウレイドヘパリンを上記グ
ラフトポリマーと縮合反応させアルキレン基とウレア結
合とよりなるペンダント部分を介してヘパリンを塩素化
ビニル系ポリマーにグラフト重合させる。得られた高分
子材料は固定化されたヘパリンの運動性に優れ、抗血栓
性を長期間持続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血小板凝集や凝固
因子活性の抑制作用或いは血栓溶解作用を示す生理活性
物質、特にヘパリン、を表面に固定化した抗血栓性医用
高分子材料に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子材料により作られた医療用器具、
例えば体外血液循環回路或いは人工血管、人工臓器等の
体内埋設医療用器材は、抗血栓性や抗菌性等に制約を受
けることがあったり、それらの性能の持続性に劣るた
め、使用中に比較的短期間で新しい器具に置換すること
が行われている。そのため医療担当者の労力負担が増
し、或いは患者に苦痛を繰り返し与えることになり、医
療面で解決を要する緊急な課題とされている。従って、
生理活性物質を材料表面に固定し、長期に亙って抗血栓
性等の生理活性を維持し得る材料を開発する努力が従来
続けられてきた。
【0003】抗血栓性を示す生理活性物質としては、血
栓溶解剤としてのウロキナーゼ、血小板凝集阻止剤とし
てのプロスタサイクリン等が知られているが、中でも分
子量約6千〜2万のムコ多糖類の一種であるヘパリン
は、アンチトロンビンIIIによるセリンプロテアーゼ
系血液凝固因子の阻害即ちフィブリノーゲンからフィブ
リンへの転化の阻止を促進して架橋フィブリンを生成せ
ず、血液凝固阻止作用に優れているため、ヘパリンを高
分子材料に固定化したものが多用されている。
【0004】上記ヘパリンとは、下記化学式、化1に示
されるような化学構造を有し、糖類に弱酸性のカルボン
酸、強酸性のアミノ硫酸および硫酸基を有しており、哺
乳類の組織、特に牛の肝、肺、豚や羊の腸粘膜から抽出
し、分画法で精製される。
【0005】
【化1】
【0006】かかるヘパリンを抗血栓性材料に固定化す
る方法としては、従来、主としてヘパリンと高分子材料
とを混合させるブレンド法、高分子材料上にヘパリンを
イオン結合で結合させるイオン結合法及びヘパリンと高
分子材料とを共有結合する方法等が知られている。
【0007】上記ブレンド法は、ヘパリンと高分子とを
単純に物理的に混合させるものである。この方法によれ
ば、図2に模式的に示すような混合状態となり、ヘパリ
ン自身はそのままの状態で利用されるので、その固有の
性質は短期間内では発揮されるが、ヘパリンが血流によ
り溶出流亡して経時的に抗血栓性が失われるという問題
点がある。
【0008】又、イオン結合法では、ヘパリンと高分子
の両者が陰イオン或いは陽イオンを持ち、プラス(+)
とマイナス(−)電荷間で静電気的クーロン力により引
き合うので、ブレンド法よりも性能の持続性がある。こ
の方法の典型例としては、材料表面にトリドデシルメチ
ルアンモニウムクロリド(TDMAC)を吸着させ、ヘ
パリンをイオン結合させたTDMAC−ヘパリンが挙げ
られる(人工臓器12巻1号、195−198、198
3年)。これは、図3に模式的に示すように、高分子材
料に吸着したアンモニウムイオンを介してヘパリンがイ
オン結合したものであるから、吸着したアンモニウム塩
が高分子上から脱着すればヘパリンは失われることとな
る。又、かかるイオン結合法によるものでも、極性の大
きい水性媒体中にイオン解離性媒質が溶解している生体
内溶液中では、ブレンド法と同様に溶出流亡という問題
点がある。TDMAC−ヘパリンでこの問題点を改善す
る試みとしてTDMACにイオン結合したヘパリン同士
をグルタルアルデヒドで架橋した架橋TDMAC−ヘパ
リンが提案されている(前掲「人工臓器」)。図4に示
したこの架橋によりヘパリンの溶出流亡は改善された
が、一方ヘパリンの抗血栓性が著しく低下するという問
題が生じた。また、別のイオン結合法として、ヘパリン
化親水性材料(H−RSD)が開発された(前掲「人工
臓器」)。この材料は、親水性高分子の内部にヘパリン
をイオン結合させたもので、材料表面のヘパリンが溶出
流亡すると、材料内部のヘパリンが常に補給されること
となる。これによって長期間に亙り抗血栓性が維持され
るとしているが、ヘパリンの溶出流亡という点では根本
的な改善とはならないのみならず、血流中に溶出したヘ
パリンによる異常出血等の惧れがある。
【0009】又、前記ヘパリンと高分子材料とを共有結
合する方法としては、例えば、特開昭58−10053
号及び特開平4−197264号各公報により提案され
ている。前者の方法は、ポリウレタンとセルロースエス
テルとの混合溶液を医療器材の表面に塗布して皮膜を形
成した後、アルカリ処理、過ヨウ素酸処理してアルデヒ
ド基を形成し、酸性でヘパリンを共有結合させるもので
ある。この方法によれば、ヘパリンの抗血栓性活性部位
としてヘパリン上に多数存在するスルホンアミドのアミ
ノ基も共有結合に関与して抗血栓性が失われる可能性が
あり、更にヘパリンと高分子間に多数の架橋結合が生成
してヘパリンの運動性が制限され、抗血栓性は益々損な
われる。又、後者の方法では、アミノ化ポリ塩化ビニル
のアミノ基にポリエチレングリコールジグリシジルエー
テルの末端グリシジル基の一方を共有結合させた後、他
方の末端とヘパリン分子上のアミノ基を共有結合させる
というものである。この方法によれば、図5に模式的に
示すように、上記同様ヘパリン分子上に多数存在するア
ミノ基がポリ塩化ビニルから多数延びるスペーサーにそ
れぞれ結合して架橋するため、ヘパリンの運動性が低下
し、抗血栓活性が減殺され、或いはポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテルの両末端がポリ塩化ビニルの
アミノ基と結合する可能性が避けられず、ヘパリンの固
定化が十分に達成されないという問題点がある。このよ
うに共有結合によって固定化されたヘパリンはヘパリン
の溶出流亡という問題点を一応解決するが、結合するヘ
パリンの部位、或いは高分子とヘパリンの距離、高分子
とヘパリン間の結合の強さによっては、ヘパリンの運動
性が十分保持できず、抗血栓性が損なわれることがあ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来技術の問題
点に鑑み、本発明の目的とするところは、ヘパリンの血
流中における溶出流亡を防ぐと共に、ヘパリンの選択的
に決定された結合位置を以て高分子と適宜な距離を保ち
且つヘパリン同士の適宜な間隔を保った状態でグラフト
することにより、ヘパリンの柔軟な運動性を制約するこ
となく、優れた抗血栓性を長期間持続し得る高分子材
料、特に塩素化ビニル系ポリマー、例えばポリビニルク
ロリドよりなる材料を提供することにある。更に具体的
には、ヘパリン分子の末端部分の1箇所乃至ヘパリン分
子が分岐状の場合は複数箇所の末端部分の還元性ヘミア
セタール環の官能基部と高分子鎖との間に挿入された適
当な炭素数と適宜な長さ及び柔らかさを有するスペーサ
ーを介してヘパリンと高分子材料とを共有結合させると
共に、ヘパリン同士の間隔を過密とすることのない分子
設計によって、スペーサーの柔軟性とヘパリンがその末
端で位置特異的且つ適宜な密度で結合していることによ
り、図1に模式的に示すように、ヘパリンが血流中に溶
出流亡することなく、恰も鯉幟り状の単独分子であるよ
うな挙動が可能となり、優れた抗血栓性を長期間に亙っ
て維持し得る高分子材料を取得するにある。本発明の最
終的な目的は、血液と接触して、優れた抗血栓性持続性
を有する医療用機器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するための抗血栓性持続高分子材料の製造方法は、部分
アミノ化塩素化ビニル系ポリマーとα,ω−アルキレン
ジアルデヒドとを反応させることによりω−ホルミル−
α−ヒドロキシアルキルアミノ基グラフト塩素化ビニル
系ポリマーを生成する第1工程、ヘパリンと尿素を反応
させることによりヘパリン分子の還元性末端に一級アミ
ノ基を有するウレイドヘパリンを生成する第2工程、及
び前記第1工程によって得られたω−ホルミル−α−ヒ
ドロキシアルキルアミノ基グラフト塩素化ビニル系ポリ
マーと上記第2工程によって得られたウレイドヘパリン
の末端アミノ基との縮合反応によりアルキレン基とウレ
ア結合とよりなるペンダント部分を介してヘパリンを塩
素化ビニル系ポリマーにグラフト重合させる第3工程か
らなることを特徴とする。
【0012】本発明方法に用いられる部分アミノ化塩素
化ビニル系ポリマーはポリビニルクロリド、ポリビニリ
デンクロリド、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピ
レン、それらのコポリマー、及びブレンドポリマーより
なる群から選ばれた少なくとも1種の塩素原子の一部を
アミノ基で置換した塩素含有ポリマーであり、中でもポ
リビニルクロリド(以下、PVCと略記する)、特に軟
質PVCがその柔軟性、強靭性、透明性、易加工性等優
れた特性の故に好ましい。部分アミノ化塩素化ビニル系
ポリマーは、上記の塩素含有ポリマーにアジ化ナトリウ
ムを反応させてアジド基を導入し、更にアジド基を還元
することによって得られる。この際、塩素含有ポリマー
の含有塩素に対してアジド基を5〜95モル%、好まし
くは10〜80モル%導入することがよい。特に、部分
アミノ化塩素化ビニル系ポリマーが部分アミノ化軟質P
VCである場合は、通常塩素化ポリオレフィン等に較べ
て塩素含有率が高いので、軟質PVCの含有塩素に対し
てアジド基を5〜80モル%、好ましくは10〜70モ
ル%導入することによって本発明の目的を達成すること
ができる。
【0013】本書を通じて、塩素含有ポリマーに対する
「アジド基の導入率」、或いは「アジ化率」とは、塩素
含有ポリマーの含有塩素原子がアジ化された結果アジド
基に置換された比率を塩素原子に対するアジド基のモル
%で表示した数値を意味するものと解すべきである。同
様に、塩素含有ポリマーに対する「アミノ基の導入率」
とは、上記アジド基が還元された結果生成したアミノ基
について、塩素含有ポリマーの元来含有していた塩素原
子に対する比率をモル%で表示した数値と定義する。更
に、本発明方法において、部分アミノ化塩素化ビニル系
ポリマーとα,ω−アルキレンジアルデヒドとを反応さ
せる工程によって生成したω−ホルミル−α−ヒドロキ
シアルキルアミノ基グラフト塩素化ビニル系ポリマーに
ついて、「アルデヒドの導入率」とは、反応前の部分ア
ミノ化塩素化ビニル系ポリマーの含有する全アミノ基の
モル数に対して、導入されたアルデヒド基即ちω−ホル
ミル−α−ヒドロキシアルキルアミノ基のモル数の比率
をパーセント表示した数値と定義するものとする。更に
また、「ヘパリン分子の導入率」又は「ヘパリン分子の
グラフト率」とは、部分アミノ化塩素化ビニル系ポリマ
ーの元来(アミノ化前に)含有する塩素原子に対するモ
ル%で表示した数値と定義する。
【0014】前記α,ω−アルキレンジアルデヒドは、
好ましくは炭素数3〜6個の直鎖ジアルデヒドであり、
最も好ましくは炭素数5個のグルタルアルデヒドであ
る。
【0015】本発明方法によって取得される抗血栓性持
続高分子材料は、ヘパリン分子がその還元末端部分のヘ
ミアセタール部位に直鎖状に結合して延びる尿素結合と
アルキレン基とよりなるペンダント枝部分を介して塩素
化ビニル系ポリマーにグラフト重合して固定化されたこ
とを特徴とする。上記ペンダントを構成するアルキレン
基は、好ましくは炭素数3〜6個、最も好ましくは炭素
数5個の直鎖アルキレン基である。
【0016】上記抗血栓性持続高分子材料は、前記塩素
化ビニル系ポリマーの含有塩素原子のヘパリン分子によ
る置換率、即ち、ヘパリン分子の導入率は好ましくは5
〜95モル%、更に好ましくは10〜80モル%であ
る。特に、塩素化ビニル系ポリマーが軟質PVCである
場合は、通常塩素化ポリオレフィン等に較べて塩素含有
率が高いので、上記ヘパリン分子の導入率は5〜80モ
ル%、好ましくは10〜70モル%とすることによって
本発明の目的を達成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成をその作用と
共に詳述するが、以下の説明においては、便宜上、塩素
化ビニル系ポリマーとして最も重要且つ汎用性のある軟
質PVCについて主として述べる。
【0018】先ず、本発明に用いられる、部分アミノ化
PVCの典型的合成法、即ち、軟質PVCとアジ化ナト
リウムとの反応により、PVC上の塩素原子の一部をア
ジド基と置換し、更にアジド基を還元してアミノ基とな
し、任意の比率でアミノ基が導入された部分アミノ化P
VCを合成する方法は従来公知であり、下記反応式化2
によって表される。
【0019】
【化2】
【0020】上記の軟質PVCとアジ化ナトリウム(N
aN3 )との反応は、通常、PVCのN,N−ジメチル
ホルムアミド(DMF)溶液にNaN3 を添加し、昇温
下に反応させる。反応生成物は水に再沈させ、メタノー
ル洗浄、乾燥を経てアジ化PVCとして得られる。この
反応においてアジド基の導入率は、好ましくは5〜80
モル%、更に好ましくは10〜70モル%である。この
導入率は主として反応時間の関数であり反応時間の増加
と共に導入率が増大することが知られている。上記範囲
の導入率を達成するには、約60℃の反応温度におい
て、少なくとも約1時間、好ましくは少なくとも約2時
間を要し、上記範囲のアジド基の導入率を達成するよう
適宜に反応時間を調節する。上記アジド基の導入率が5
モル%未満では、後次工程におけるアルデヒドの導入率
が過小となり、従って最終的にヘパリンのグラフト密度
が不足して十分な抗血栓性効果を奏することができない
虞れが生じる。一方、アジド基の導入率が80モル%を
超えると、ヘパリンのグラフト密度が過大となり、ヘパ
リンの運動性が阻害され同様に抗血栓性効果が低減する
傾向がある。また、塩素化ビニル系ポリマーとして塩素
化ポリエチレン或いは塩素化ポリプロピレン等を選択し
た場合には、それらの塩素化率がPVCに比較して一般
に少ないので、アジ化の反応条件を調節してアジド基の
導入率の上限値を95モル%、好ましくは80モル%に
まで増大することによりヘパリンのグラフト密度をPV
Cの場合と同等水準に保持することができる。
【0021】このようにして得られたアジ化PVCは乾
燥テトラヒドロフラン(THF)に溶解し、アジ化PV
Cに対して約10〜80重量%、好ましくは25〜50
重量%の範囲内で適量の水素化リチウムアルミニウム
(LiAlH4 )を添加し、例えば窒素ガス等の不活性
雰囲気中、好ましくは昇温下に反応させることによりア
ミノ化される。好適な反応温度は0℃〜65℃、好まし
くは55℃〜65℃であり、約1〜4時間、好ましくは
1.5〜2.5時間の反応時間でアジド基を実質的に完
全にアミノ化することができる。次いで反応液に水を添
加して残存するLiAlH4 を分解し、無機塩を濾別
し、濾液を濃縮することにより、部分アミノ化PVCが
分離される。かくしてPVCの塩素原子がアトランダム
に適宜な間隔をおいてアミノ基に置換された部分アミノ
化PVCが得られる。
【0022】本発明方法の第1工程においては、このよ
うにして得られた部分アミノ化PVCにα,ω−直鎖ア
ルキレンジアルデヒドを反応させる。即ち、部分アミノ
化PVCに対して、約30〜200重量%のα,ω−直
鎖アルキレンジアルデヒドを含む水溶液に部分アミノ化
PVCを浸漬し、室温乃至約50℃の温度で一昼夜乃至
4日間反応させることにより、化学反応式化3に示すよ
うに、アルキレンジアルデヒドの一端のアルデヒド基が
部分アミノ化PVCのアミノ基と結合することにより、
ω−ホルミル−α−ヒドロキシアルキルアミノ基がPV
C主鎖に適度な密度でグラフト重合し側鎖導入PVCが
得られる。
【0023】
【化3】
【0024】ここに用いられるα,ω−直鎖アルキレン
ジアルデヒドは、炭素数3〜6個のもの、即ちマロンア
ルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド及
びアジピンアルデヒドが好ましく、特にグルタルアルデ
ヒドが後次工程でそれに結合するヘパリンの適宜な運動
性を確保するための柔軟且つ適宜な長さのグラフト枝部
を与える上で最適である。これらのジアルデヒドは単独
使用又は複数の併用でもよい。
【0025】α,ω−直鎖アルキレンジアルデヒドの部
分アミノ化PVCへの導入率、即ちω−ホルミル−α−
ヒドロキシアルキルアミノ基の導入率は、PVCのアミ
ノ基の導入率、ジアルデヒドの量、反応時間、反応温度
等により異なり、ジアルデヒドの量、反応時間の増大と
共に増大する。通常部分アミノ化PVC1重量部に対し
1〜100重量部のジアルデヒド量で、1日〜4日間の
反応が適当である。アルデヒドの量と反応時間を増大す
ることによって略100モル%の導入率を得ることがで
きるが、ヘパリンの抗血栓性と運動性とを良好に保つた
めには、既述の通りPVCに対するアミノ基の導入率を
約5〜80モル%、好ましくは約10〜70モル%とな
るように調節し、ヘパリンの導入率をもその範囲となす
のが好適である。アルデヒドの導入率を過度に増やす
と、最終的にそれに結合するヘパリンの密度も過多とな
り運動性が損なわれるのみならず、ジアルデヒドの両端
がアミノ基と結合する傾向が現れるので好ましくない。
但し、塩素化ビニル系ポリマーとして塩素化ポリエチレ
ン或いは塩素化ポリプロピレン等を選択した場合には、
それらの塩素化率がPVCに比較して一般に少ないの
で、含有塩素の最高95モル%、好ましくは80モル%
にまでアジ化したアジド基の略100モル%をアルデヒ
ドと置換することにより、ヘパリンの導入率をPVCの
場合と同等水準に保持することができる。
【0026】本発明方法の第2工程においては、ヘパリ
ンと尿素とを反応させる。即ち、好ましくはヘパリンの
ナトリウム塩の約0.5〜0.8g/cc水溶液に小過
剰の尿素を添加して、室温乃至80℃好ましくは約60
℃前後の温度で1〜2時間反応させ、更に希硫酸を加え
て引き続き数時間乃至10時間反応を続けた後、炭酸カ
ルシウム及び活性炭等を加えて攪拌しつつ冷却後濾過し
て、ヘパリンの還元性末端(C1 )に尿素の一端のNH
基部が結合し、末端に一級アミノ基を有するウレイドヘ
パリン(還元性末端アミノ化ヘパリン)を得る。この反
応を下記反応式化4に示す。
【0027】
【化4】
【0028】ヘパリンの還元性末端の数は直鎖状ヘパリ
ンの場合は1個であるが、ヘパリンを産生する動物種等
によっては、或る少ない確率で分岐状ヘパリンも存在
し、その場合には各分枝の先端の還元性末端にも尿素は
結合する。しかしながら、全体としては無視し得る量で
あると言える。この反応において、尿素がヘパリンの還
元性末端(C1 )に結合することは、グルコースを用い
たシミュレーションによって本発明者等により確認され
ている。
【0029】次いで、本発明方法の第3工程において
は、前記第1工程で得られた側鎖導入PVCと前記第2
工程で得られた末端アミノ化ヘパリンとを反応させて、
ω−ホルミル−α−ヒドロキシアルキルアミノ側鎖の自
由末端アルデヒド基(ホルミル基)と還元性末端アミノ
化ヘパリンの自由末端一級アミノ基とを縮合反応により
共有結合させる。即ち、側鎖導入PVCと小過剰の還元
性末端アミノ化ヘパリンとの混合水溶液を室温乃至約5
0℃で数日間反応させることによって容易に得られる。
この反応式を下記化5に示す。
【0030】
【化5】
【0031】上述の本発明方法によって得られた抗血栓
性高分子材料は、ヘパリン分子がその還元性末端部分の
ヘミアセタール部位に直鎖状に結合して延びる尿素結合
とアルキレン基とよりなるペンダント枝部分を介してP
VCにグラフト重合して固定化されており、このペンダ
ント枝部分を構成するアルキレン基は炭素数3〜6個、
好ましくは5個の直鎖アルキレン基で適宜な長さと柔軟
性を有すると共に、各結合部は強固な共有結合である。
又、ヘパリン分子の導入率即ちグラフト率は部分アミノ
化PVCの元来含有するアミノ基に対して約5〜80モ
ル%、好ましくは約10〜70モル%である。導入率が
約5モル%未満となるとヘパリンの抗血栓性が劣り、ま
た、約80モル%を超えるとヘパリンの密度が過大とな
り、運動性が妨げられるため同様に抗血栓性が阻害され
るので好ましくない。
【0032】本発明を、生体内或は生体外で血液と接触
する医療用器具、例えば人工血管、人工心臓、ペースメ
ーカー、人工腎臓、人工肺、カテーテル、脱送血カニュ
ーラ、一時的血流バイパスチューブ等に応用するには、
部分アミノ化塩素化ビニル系ポリマ−よりなるこれらの
器具を押出し成形、射出成形等、常法により成形した
後、α,ω−アルキレンジアルデヒド処理によりω−ホ
ルミル−α−ヒドロキシアルキルアミノ基を上記ポリマ
ー主鎖にグラフト重合させ、引き続きそれに末端アミノ
化ヘパリンを反応させることにより、優れた長期持続性
の抗血栓性を医療用器具に付与することができる。ま
た、通常の材料を用いて成形した医療用器具に本発明の
材料をコーティングして使用することもできる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を更に実施例について具体的に
詳述する。実施例中、抗血栓性の評価は、次の試験法に
よった。 [血栓形成時間(TFT− Thrombus Formation Time)
の測定]チャンドラー(Chandler)の回転チューブ法に
従い、長さ約36cm、内径3mmのチューブにヒトク
エン酸血を全血で0.9ml注入し、直ちに両端を接続
してループを形成する。ループを23度に傾斜させた回
転台上に載置し、16回転/分の速度で1分間回転させ
る。次いでループを開き、1/4M CaCl2を0.
1ml添加した後、再度ループを回転台の上に載置し1
6回転/分の速度で回転させ、チューブ内の血液が流動
性を失うまでに要した時間をTFTとする。
【0034】(製造例) 部分アミノ化PVCの合成:軟質PVC(数平均重合
度:1100)2gをDMF40mlに溶解し、2gの
アジ化ナトリウムを加え、60℃、3時間反応させた
後、水に再沈させメタノールで洗浄し乾燥させることに
よりアジ化率60%のアジ化PVCを高収率で得た。こ
のものはFT−IR−スペクトル:1270cm-1(C
H−Cl),2150cm-1(N3 ),2900cm-1
(CH3 )、元素分析値:炭素37.80%,水素4.
43%,窒素35.63%、固体13C−NMR:δ=4
9.9ppm(CH2 ),67.1ppm(CHN3
であった。
【0035】このアジ化PVC3gを乾燥THF160
mlに溶解し、水素化リチウムアルミニウム1.2gを
加えて60℃、2時間反応させた後、水を加えて残りの
水素化リチウムアルミニウムを分解し、無機塩を濾過
し、濾液を濃縮して部分アミノ化PVCを高収率で得
た。このもののアミノ化率即ちアミノ基の導入率は約6
0%であり、FT−IR−スペクトル:1600cm-1
(CH−NH2 のC−N),3500cm-1(CH−N
2 のN−H)、固体13C−NMR:δ=52.7pp
m(CH2 ),63.2ppm(CHN3 )、固体15
−NMR:δ=−172.5ppm(CH−NH2 )で
あった。
【0036】(実施例1) 部分アミノ化PVC上への側鎖の導入 上記製造例で得られた部分アミノ化PVCの0.37g
を25%グルタルアルデヒド水溶液2.0g(グルタル
アルデヒド純分換算:0.5g)に入れ、45℃で24
時間反応させ、濾過し水で洗浄、乾燥させPVC上に4
−ホルミル−1−ヒドロキシブチルアミノ基の側鎖を導
入した。このグラフトPVCにおける側鎖導入率、即ち
アルデヒドの導入率(反応前における部分アミノ化PV
Cの全アミノ基のモル数に対して導入されたアルデヒド
基のモル数の百分率)は39モル%であった。また、F
T−IR−スペクトル:1400,1710cm-1(C
2 −CHO),1560,3740cm-1(CH−N
H−CH2 )、固体13C−NMR:δ=48.5ppm
(CH2 ),188.7ppm(CHO)であった。
【0037】(実施例2)25%グルタルアルデヒド水
溶液の量を0.50g〜3.00gに変化させる以外は
上記実施例1と同様にしてPVC上に4−ホルミル−1
−ヒドロキシブチルアミノ基の側鎖を導入した。この場
合のグルタルアルデヒドの量とアルデヒドの導入率との
関係を、表1及び図6に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1および図6から理解される通り、ジア
ルデヒドの量を増やすとアルデヒドの導入率は増大す
る。
【0040】(実施例3)25%グルタルアルデヒド水
溶液の量を2.00gとし、反応時間を1日〜4日に変
化させる以外は上記実施例1と同様にしてPVC上に4
−ホルミル−1−ヒドロキシブチルアミノ基の側鎖を導
入した。この場合のグルタルアルデヒドの量とアルデヒ
ドの導入率との関係を、表2及び図7に示す。
【0041】
【表2】
【0042】また、25%グルタルアルデヒド水溶液の
量を3.00gとし、反応時間を1日〜4日に変化させ
る以外は上記実施例1と同様にしてPVC上に4−ホル
ミル−1−ヒドロキシブチルアミノ基の側鎖を導入し
た。この場合のグルタルアルデヒドの量とアルデヒドの
導入率との関係を、表3及び図8に示す。
【0043】
【表3】
【0044】表2、3および図7、8から理解される通
り、この反応において、グルタルアルデヒドの量及び反
応時間の増加と共にアルデヒドの導入率が増大すること
が解る。
【0045】(実施例4) ヘパリン末端へのアミノ基の導入 ヘパリンナトリウム塩0.4gを0.6mlの水に溶か
し、それに0.6gの尿素を加え60℃で90分間反応
させた。次いで、0.33mlの硫酸を0.6mlの水
に入れた溶液を加えて68℃で8時間反応させた後、更
に20mlの水を加え、0.67gの炭酸カルシウムと
0.15gの活性炭を加えて冷えるまで一晩攪拌した。
これを濾過し、濾液を濃縮することにより末端アミノ化
ヘパリンを得た。このもののアミノ基の導入率は約40
モル%であった。
【0046】(参考例)ヘパリンに代えてD−グルコー
スを用い、上記実施例4と同様にして尿素を反応させる
シミュレーション試験を行った。得られたグルコース−
尿素誘導体は、 13C−NMRの結果、尿素の一端のアミ
ノ基が位置選択的にグルコースの還元性末端(C1 )の
水酸基と反応して共有結合していることが確認された。
ヘパリンの構成ヘミアセタール単位と類似構造のグルコ
ースにおけるこのシミュレーション試験により、上記末
端アミノ化ヘパリンも同様に還元性末端(C1 )の水酸
基がアミノ化されていることが立証されたと言える。
【0047】(実施例5) PVC上へのヘパリンの導入 上記実施例4で得られた還元性末端アミノ化ヘパリン
0.4gを0.6mlの水に溶かし、上記実施例1で得
られた側鎖導入PVCの0.3gを加え、45℃で3日
間反応させた。反応液を濾過し、水で洗浄、乾燥するこ
とによって、PVC上にヘパリンの還元性末端部を、炭
素数5個のアルキレン基と尿素結合とよりなるペンダン
ト枝部を介して共有結合させたヘパリン化PVCを高収
率で得た。このもののFT−IR−スペクトル:119
0,1400cm-1(NHSO3 -)であった。
【0048】(実施例6)前記製造例で得られた部分ア
ミノ化PVCで成形した長さ約40cm、内径3mmの
チューブを25%グルタルアルデヒド水溶液に浸漬し、
45℃で24時間反応させ、PVC上に4−ホルミル−
1−ヒドロキシブチルアミノ基の側鎖を導入した。この
グラフトPVCチューブに前記実施例4と同様にして製
造した還元性末端アミノ化ヘパリンを45℃で3日間反
応させ、PVC上にヘパリンの還元性末端部を、炭素数
5個のアルキレン基と尿素結合とよりなるペンダント枝
部を介して共有結合させたヘパリン化PVCよりなるチ
ューブを得た。
【0049】(実施例7)前記製造例において、軟質P
VCに代えて、PVCとポリビニリデンクロリドとの等
モル共重合体(数平均重合度約800)を用いる他は同
一条件でアミノ化し、アミノ基の導入率約70モル%の
部分アミノ化塩素化ビニル系コポリマーを得た。このコ
ポリマーより長さ約40cm,内径3mmのチューブを
作成し、25%のマロンアルデヒド、25%のスクシン
アルデヒド及び25%のアジピンアルデヒドにそれぞれ
浸漬し、上記実施例6に準じて、部分アミノ化塩素化ビ
ニル系コポリマー上にヘパリンの還元性末端部を、それ
ぞれ炭素数3個、4個および6個のアルキレン基と尿素
結合とよりなるペンダント枝部を介して共有結合させた
3種類のヘパリン化塩素化ビニル系コポリマーよりなる
チューブを得た。
【0050】(比較例)数平均分子量約1,100のポ
リエチレングリコールジグリシジルエーテルを100倍
容の水に溶かした溶液に、上記実施例6で使用した部分
アミノ化PVCの長さ約40cm、内径3mmのチュー
ブを浸漬し、45℃で24時間反応させることにより、
部分アミノ化PVCのアミノ基とポリエチレングリコー
ルジグリシジルエーテルの一端のグリシジル基とを共有
結合させ、グリシジルポリエチレングリコールがグラフ
トしたPVCチューブを得た。このグラフト重合体チュ
ーブを、ヘパリンのナトリウム塩1.0重量%を含む生
理食塩水に浸漬し、45℃で4日間反応させることによ
り、他方のグリシジル基とヘパリン分子上のアミノ基と
を共有結合させた。この方法により、図5に模式的に示
すように、ヘパリン分子上に多数存在するアミノ基がP
VCから多数延びるポリエチレングリコールよりなるス
ペーサーにそれぞれ結合して架橋した網状構造の高分子
よりなるチューブが得られた。
【0051】上記実施例6及び7と比較例により製造し
た5種類の抗血栓性チューブ及び、対照例として未処理
の軟質PVCよりなる同一寸法のチューブについてそれ
ぞれ抗血栓性の評価を行った結果、対照例の未処理軟質
PVCチューブは僅か30分以内に凝血しチューブ内の
血が流動性を失ったが、実施例6と7及び比較例のもの
は何れも3時間経過しても良好な流動性を保持してい
た。3時間経過後、チューブを裂開し、チューブ内表面
を走査電子顕微鏡で観察したところ、ヘパリンがポリマ
ーに網状構造で架橋結合した比較例のものには表面に少
量の血小板、フィブリン網等、血液有形成分の付着が認
められたが、実施例6および7の本発明のものには血液
有形成分の付着は全く認められず、その優れた抗血栓性
が立証された。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、ヘパリン分子の末端部
分の1箇所(ヘパリン分子が分岐状の場合は複数箇所)
の末端部分の還元性ヘミアセタール環の官能基部と高分
子鎖との間に挿入された適当な炭素数による適宜な長さ
及び柔らかさを有するスペーサーを介してヘパリンと高
分子材料とを共有結合させると共に、ヘパリン同士の間
隔を過密とすることがないように適宜な密度を以て配列
した分子構造が得られる。従って、スペーサーの適度な
長さと柔軟性とヘパリンがその末端で位置特異的且つ適
宜な密度で強固に共有結合していることにより、ヘパリ
ンは活性点を失うことなく、また、血流中に溶出流亡す
ることもなく、恰も鯉幟り状に端部で係留された単独分
子であるような挙動が可能となり、優れた抗血栓性を長
期間に亙って維持し得る高分子材料が提供される。ま
た、本発明の抗血栓性高分子材料は、血液凝固阻止作用
に優れた固定化ヘパリンが血流中に溶出流亡することが
ないから、ヘパリンの血液中蓄積による異常出血等の副
作用の危険を伴わない。更に、本発明により、血液と接
触して、優れた抗血栓性持続性を有する医療用機器が得
られ、従来頻繁な交換を必要としていた体内埋設医療機
器或は体外に設置されるフローセル、バイパスチューブ
のカニューラ等の脱送血系統を長期間継続して使用でき
るため、医療担当者の労力と患者の苦痛とを軽減するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗血栓性高分子材料におけるヘパリン
の結合状態を示す模式図である。
【図2】従来公知の抗血栓性高分子材料において、ヘパ
リンが高分子にブレンドされた状態を示す模式図であ
る。
【図3】従来公知の抗血栓性高分子材料において、ヘパ
リンが高分子とイオン結合した状態を示す模式図であ
る。
【図4】従来公知の抗血栓性高分子材料において、ヘパ
リンが高分子とイオン結合し更にヘパリン同士を架橋結
合させた状態を示す模式図である。
【図5】従来公知の抗血栓性高分子材料において、ヘパ
リン上のアミノ基により高分子と網状に架橋結合した状
態を示す模式図である。
【図6】本発明方法により、グルタルアルデヒドを部分
アミノ化PVCに導入する反応において、グルタルアル
デヒドの量とアルデヒド導入率との関係を示す線図であ
る。
【図7】本発明方法により、グルタルアルデヒドを部分
アミノ化PVCに導入する反応において、反応時間とア
ルデヒド導入率との関係を示す線図である。
【図8】本発明方法により、グルタルアルデヒドを部分
アミノ化PVCに導入する反応において、グルタルアル
デヒドの量を増加した場合の反応時間とアルデヒド導入
率との関係を示す線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩堀 伸彦 静岡県磐田郡浅羽町梅山2639−2 (72)発明者 押川 達夫 静岡県浜名郡新居町中之郷1687−1 (72)発明者 小川 雅樹 静岡県袋井市友永1217−1 日本シャーウ ッド株式会社研究開発センター内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヘパリン分子がその還元性末端部分のヘミ
    アセタール部位に直鎖状に結合して延びる尿素結合とア
    ルキレン基とよりなるペンダント部分を介して塩素化ビ
    ニル系ポリマーにグラフト重合して固定化されたことを
    特徴とする抗血栓性持続高分子材料。
  2. 【請求項2】前記塩素化ビニル系ポリマーがポリビニル
    クロリド、ポリビニリデンクロリド、塩素化ポリエチレ
    ン、塩素化ポリプロピレン、それらのコポリマー、及び
    ブレンドポリマーよりなる群から選ばれた少なくとも1
    種の塩素原子を含むポリマーである請求項1の抗血栓性
    持続高分子材料。
  3. 【請求項3】前記塩素化ビニル系ポリマーがポリビニル
    クロリドである請求項2の抗血栓性持続高分子材料。
  4. 【請求項4】前記アルキレン基が炭素数3〜6個の直鎖
    アルキレン基である請求項1〜3の何れか1項に記載の
    抗血栓性持続高分子材料。
  5. 【請求項5】前記アルキレン基が炭素数5個の直鎖アル
    キレン基である請求項4の抗血栓性持続高分子材料。
  6. 【請求項6】塩素化ビニル系ポリマーの含有塩素原子に
    対して5〜95モル%の置換率を以てヘパリン分子が置
    換され固定化されてなる請求項1〜5の何れか1項に記
    載の抗血栓性持続高分子材料。
  7. 【請求項7】上記ヘパリンの置換率が10〜80モル%
    である請求項6の抗血栓性持続高分子材料。
  8. 【請求項8】上記塩素化ビニル系ポリマーが軟質ポリビ
    ニルクロリドであり、前記置換率が5〜80モル%であ
    る請求項7の抗血栓性持続高分子材料。
  9. 【請求項9】前記置換率が10〜70モル%である請求
    項8の抗血栓性持続高分子材料。
  10. 【請求項10】部分アミノ化塩素化ビニル系ポリマーと
    α,ω−アルキレンジアルデヒドとを反応させることに
    よりω−ホルミル−α−ヒドロキシアルキルアミノ基グ
    ラフト塩素化ビニル系ポリマーを生成する第1工程、ヘ
    パリンと尿素を反応させることによりヘパリン分子の還
    元性末端に一級アミノ基を有するウレイドヘパリンを生
    成する第2工程、及び前記第1工程によって得られたω
    −ホルミル−α−ヒドロキシアルキルアミノ基グラフト
    塩素化ビニル系ポリマーと上記第2工程によって得られ
    たウレイドヘパリンの末端アミノ基との縮合反応により
    アルキレン基とウレア結合とよりなるペンダント部分を
    介してヘパリンを塩素化ビニル系ポリマーにグラフト重
    合させる第3工程からなることを特徴とする抗血栓性持
    続高分子材料の製造方法。
  11. 【請求項11】前記部分アミノ化塩素化ビニル系ポリマ
    ーがポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、塩
    素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、それらのコ
    ポリマー、及びブレンドポリマーよりなる群から選ばれ
    た少なくとも1種の塩素原子の一部をアミノ基で置換し
    たポリマーである請求項10の製造方法。
  12. 【請求項12】前記部分アミノ化塩素化ビニル系ポリマ
    ーが軟質ポリビニルクロリドである請求項11の製造方
    法。
  13. 【請求項13】部分アミノ化塩素化ビニル系ポリマー
    が、塩素化ビニル系ポリマーにアジ化ナトリウムを反応
    させてアジド基を導入し、アジド基を還元することによ
    って得られる請求項10〜12の何れか1項に記載の製
    造方法。
  14. 【請求項14】塩素化ビニル系ポリマーの含有塩素原子
    に対して5〜95モル%の導入率でアジド基を導入する
    請求項13の製造方法。
  15. 【請求項15】上記導入率が10〜80モル%である請
    求項14の製造方法。
  16. 【請求項16】上記塩素化ビニル系ポリマーが軟質ポリ
    ビニルクロリドであり、前記アジド基の導入率が5〜8
    0モル%である請求項14の製造方法。
  17. 【請求項17】上記導入率が10〜70モル%導入する
    請求項16の製造方法。
  18. 【請求項18】前記α,ω−アルキレンジアルデヒドが
    炭素数3〜6個の直鎖ジアルデヒドである請求項10〜
    17の何れか1項に記載の製造方法。
  19. 【請求項19】前記α,ω−アルキレンジアルデヒドが
    グルタルアルデヒドである請求項18の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106220762A (zh) * 2016-08-25 2016-12-14 中国科学院长春应用化学研究所 一种pvc基聚合物及其制备方法以及一种pvc基均相阴离子交换膜及其制备方法
CN115607750A (zh) * 2021-07-16 2023-01-17 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 一种原位抗凝改性医用pvc材料、其制备方法及应用

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