JPH09105795A - 原子炉格納容器スプレイ系 - Google Patents

原子炉格納容器スプレイ系

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JPH09105795A
JPH09105795A JP7263856A JP26385695A JPH09105795A JP H09105795 A JPH09105795 A JP H09105795A JP 7263856 A JP7263856 A JP 7263856A JP 26385695 A JP26385695 A JP 26385695A JP H09105795 A JPH09105795 A JP H09105795A
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JP
Japan
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water
spray
pressure
containment vessel
reactor containment
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JP7263856A
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English (en)
Inventor
Hiroichi Minato
博一 湊
Fumio Totsuka
文夫 戸塚
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、軽水冷却型原子炉において万一の圧
力容器破損時に消火系水の注水設備の性能向上により放
射性物質の環境への放出を低減する技術を提供するもの
である。 【解決手段】消火系水の注水設備系統配管に蓄圧タンク
8を接続し、ろ過水タンク10から消化系電動ポンプ9
を用いて蓄圧タンク8に冷却水を一度貯留し、大流量の
冷却水を間欠的に格納容器スプレイする機構を備えた構
造である。 【効果】ドライウェル3に放出された気体状放射性物質
を格納容器スプレイ除染と圧力抑制プール5のスクラビ
ングにより効率的に除去し、環境への放射能放出を低減
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉格納容器内
の事故発生時に格納容器とその内部を冷却するためのス
プレイ系に利用される技術に属する。
【0002】
【従来の技術】苛酷事故対策の一つである原子炉格納容
器冷却設備について、従来技術を図2に示す。これは日
本原子力学会誌1995vol.33No.5の「アクシ
デントマネジメントの発電炉への整備計画の現状」に記
載されたものである。
【0003】以下に従来例にしたがって説明する。
【0004】原子炉圧力容器1が破損すると高温高圧の
1次冷却系から原子炉格納容器2内に多量の蒸気が放出
され、原子炉格納容器2内の温度・圧力が上昇する。こ
の時現在の原子力プラントでは、原子炉格納容器2の過
圧・過温破損を防ぐために非常用炉心冷却系の一つであ
る残留熱除去系が起動して圧力抑制プール5の水を原子
炉格納容器内にスプレイし、原子炉格納容器内を冷却す
る構造となっている。しかし、何らかの残留熱除去系が
起動できず注水に失敗した場合を想定し、原子炉格納容
器内の温度・圧力モニターの信号を監視している中央制
御室作業員の手動操作で原子炉格納容器内にスプレイを
行うことができる消火系水を用いた注水設備を設けてい
る。
【0005】なお沸騰水型原子力プラントでは、スプレ
イノズル数はプラントにより若干の違いがあるが、使用
されている原子炉格納容器内のスブレイノズルは1個当
たり吐出口を7個持っており、図6に典型的なノズルの
例を示す。
【0006】従来の消火系からの注水設備は、残留熱除
去系の原子炉格納容器内のスプレイヘッド6にろ過水タ
ンク10を水源とする消火系との接続配管を設け、消火
系ポンプを用いて注水する構造である。
【0007】原子炉格納容器の内部に蒸気が放出され高
温高圧となるような場合には、消火系の電動ポンプ9を
起動し、原子炉格納容器のドライウェル部3に水を注入
することにより原子炉格納容器内の蒸気を凝縮して減圧
冷却するとともに、ドライウェル部に浮遊する放射性物
質を注入水とともに圧力抑制プール5に移行させる。さ
らにドライウェル3とウェットウェル気相部4とはベン
ト配管で連結され、当該配管上には真空破壊弁7が設け
られており、ウェットウェル気相部圧力がドライウェル
圧力よりも大きくなると真空破壊弁7が開いてウェット
ウェル気相部4のガスをドライウェル3に逃がす構造と
なっている。
【0008】また、原子炉格納容器2の圧力が設計限界
圧力を超えて上昇し原子炉格納容器の破損に至らないよ
うに、原子炉格納容器内のガスを排気筒に導いて放出す
る原子炉格納容器ベントが設けられている。
【0009】ウェットウェル気相部4からのベントを使
用すると排気筒からの放出ガスには圧力抑制プールの除
染効果が期待できるため、ウェットウェルが満水になる
まではウェットウェル気相部ベントのみが使用される。
さらにドライウェルベントがウェットウェル満水後も原
子炉格納容器内の圧力を逃がす機能を確保するために設
置されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術は、炉
心が損傷する事象が生じ、何らかの理由で圧力容器の冷
却に失敗し破損した圧力容器から蒸気とともに放射性物
質が放出され、さらに残留熱除去系の原子炉格納容器内
のスプレイが動作しなかった場合に、中央制御室の作業
員が消火系を用いた原子炉格納容器内にスプレイを行う
ものである。
【0011】この場合、残留熱除去系を用いた圧力抑制
プール水の再循環による原子炉格納容器の冷却ではない
ため、外部の水源から冷却水を注入することになる。
【0012】この時大流量の注水を行うと圧力抑制プー
ルの水位が上昇し、ウェットウェル内を短時間で満水状
態にしてしまう。
【0013】このような状態では原子炉格納容器内の放
射性物質の圧力抑制プールによる除染を期待して設置さ
れているウェットウェルベントは機能しなくなり、原子
炉格納容器の破損をさけるためにドライウェルベントを
使用することになる。
【0014】このため消火系からの注水設備は、原子炉
格納容器を冷却して蒸気を凝縮し原子炉格納容器内の圧
力を抑制するために必要な量の冷却水を注入でき、かつ
ウェットウェル気相部からのベントを長時間利用できる
ように流量を絞って運転する必要がある。
【0015】一方、原子炉格納容器内のスプレイには上
記の圧力・温度抑制効果に加えて、原子炉圧力容器から
放出されドライウェル中に浮遊している放射性物質をス
プレイ液滴に吸着・溶解させて圧力抑制プールに移行さ
せる効果が期待されている。スプレイによる気相中の放
射性物質の除去効率は、液滴径が小さいほど向上するこ
とが知られているが、スプレイ流量を絞るとスプレイノ
ズル部で微小な液滴を形成することが困難となる。
【0016】すなわち、スプレイ除染効率の向上のため
には、スプレイ流量を増加することが望ましい。
【0017】また、上記従来技術ではドライウェルを連
続スプレイしているため、常にドライウェルの圧力はウ
ェットウェル気相の圧力よりも若干低い程度になってお
り、ドライウェル内の放射性物質が気体とともにベント
管を通り圧力抑制プール中に放出されることはない。
【0018】すなわち従来の消火系からの注水設備によ
るスプレイ中は、圧力抑制プール水による放射性物質の
除去は行われず、放射性物質が圧力抑制プール水をくぐ
る際の放射性物質の除去効果である、スクラビングによ
る除染効果は期待できない。しかし、環境に放出される
放射性物質をさらに低減するためには、スクラビングに
よる放射性物質除去の効果もあることが望ましい。
【0019】したがって、本発明の第1目的は、スプレ
イ除染効率の向上を果たすことにあり、第2目的は、ス
プレイ除染効率の向上を持続して果たすことにあり、第
3目的は、スプレイ除染効率の向上とスクラビングによ
る除染効果とを向上することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記第1目的を達成する
ための手段は、原子炉格納容器内に装備されたスプレイ
手段と、前記スプレイ手段に連通接続されて注水が貯え
られる蓄圧タンクとを備えた原子炉格納容器スプレイ系
である。
【0021】上記第2目的を達成するための手段は、原
子炉格納容器内に装備されたスプレイ手段と、前記スプ
レイ手段に注水配管で接続された蓄圧タンクと、前記蓄
圧タンクに送水口が他の注水配管で接続した送水ポンプ
と、前記送水ポンプの吸込み口が連通接続された水源
と、前記蓄圧タンクと前記スプレイ手段との間の注水配
管に装備された開閉弁とを備えた原子炉格納容器スプレ
イ系である。
【0022】上記第3目的を達成するための手段は、ド
ライウェルとウェットウェルとがベント流路で連通され
ている原子炉格納容器であって、その原子炉格納容器の
スプレイ系に消火系配管を接続し、必要に応じて消火系
ポンプを用いてろ過水タンク水を原子炉格納容器にスプ
レイする軽水冷却型原子炉において、消火系ポンプと原
子炉格納容器スプレイの間に分岐を設けて設置した消火
系水を一時貯留する蓄圧タンクと、配管分岐の前後の配
管上に設けた蓄圧タンク入口弁および蓄圧タンク出口弁
と、蓄圧タンク圧力計と、蓄圧タンク圧力計の圧力高信
号で出口弁を開放し蓄圧タンク圧力計の圧力低信号で出
口弁を閉止する弁制御器と、以上の機器を消火系および
格納容器スプレイ系から隔離する弁とから構成されるこ
とを特徴とする原子炉格納容器スプレイ系である。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の実施例では、消火系から
の注水設備配管上に蓄圧タンクを設置することにより原
子炉格納容器への大流量の間欠スプレイが可能になる。
【0024】まず大流量スプレイの原理を作用を中心に
して述べる。
【0025】一般的には同じ断面積の放出口を持つスプ
レイノズルから水を放出すると、流量が大きい場合には
微小な液滴が噴出するが、流量が小さい場合には液滴は
形成せず放出口から水流として流れ落ちるという知見が
ある。
【0026】すなわち消火系を用いた原子炉格納容器内
のスプレイには、残留熱除去系格納容器スプレイモード
で用いる大流量用スプレイヘッドより注水するため、流
量を絞って運転すると液滴が形成しないという欠点があ
る。
【0027】一般的な知見として、スプレイによる気相
中の放射性物質の除去効率は、液滴が形成すると大きく
なることが知られている。
【0028】またスプレイノズル1個当たりの流量が1
0L/min であれば直径2mm以下のスプレイ水滴が形成
する事が確かめられている。
【0029】さらにスプレイによる放射性物質の除去効
率は、スプレイ液滴の体積当たりの表面積が大きいほ
ど、すなわち粒径が小さいほど向上する。
【0030】従ってスプレイ除去効率を向上させるため
には、スプレイ流量を大きくすることにより液滴径を小
さくするのが望ましい。
【0031】ただし原子炉格納容器への注水流量は、圧
力抑制プール水位の増加の抑制という設計要求を満足す
る必要があるため、単純に注水量を増やすことはできな
い。そこで本発明の実施例では、消火系水を一度蓄圧タ
ンクに貯留し、蓄圧タンク内が設定圧力以上になった時
点で出口弁を開放して原子炉格納容器に貯留水を注入す
ることにより、時間平均のスプレイ流量を増やすことな
く短時間に大流量のスプレイを行い、スプレイの液滴径
を小さくしている。
【0032】次に間欠スプレイの作用について述べる。
【0033】図3に間欠スプレイ方式によるドライウェ
ル圧力およびウェットウェル気相部圧力の変化の傾向を
表す図を示す。
【0034】まずドライウェルに注目すると、ドライウ
ェル圧力が原子炉圧力容器から放出される蒸気により徐
々に増加する。
【0035】ドライウェル圧力がウェットウェル気相部
圧力と比較して高いため、ドライウェルに放出された蒸
気とともに気相中の放射性物質が、ベント管を通って圧
力抑制プールに放出される。
【0036】この時圧力抑制プールでは放射性物質がス
クラビングされ、ウェットウェル気相部には非凝縮性ガ
スが放出される。
【0037】この非凝縮性ガスのためにウェットウェル
気相部の圧力は次第に上昇するが、原子炉格納容器の圧
力が設定値を超えた場合、運転員は消火系による原子炉
格納容器への注水を開始し、ドライウェルスプレイヘッ
ドから消火系水がスプレイされる。
【0038】ドライウェルスプレイが開始され、蒸気が
凝縮してドライウェル内の圧力が低下すると、ウェット
ウェル気相部圧力がドライウェル圧力と比較して高くな
ることにより、ドライウェルに接続しているベント配管
上の真空破壊弁が開放してドライウェルに非凝縮性ガス
を逃がし、ウェットウェル気相部圧力を下げる。
【0039】本発明の実施例による構成を持つ消火系か
らの注水設備で間欠スプレイすると、原子炉格納容器は
このサイクルを繰り返しつつ減圧・冷却され、1サイク
ルごとにドライウェル中の放射性物質を含むガスが圧力
抑制プール水をくぐるため、スクラビングによる放射性
物質除去が繰り返し起こり、連続スプレイの場合と比較
して放射性物質の除去量の増加が期待できる。
【0040】以下に本発明の実施例をより具体的に説明
する。
【0041】図1に適用した原子炉格納容器のスプレイ
系の概略図で本発明の実施例の全体構成を説明する。
【0042】図1において本発明の実施例の注水設備
は、水源にろ過水タンク10を用いており、ろ過水の移
送には消火系電動ポンプ9を用いる。
【0043】現行の消火系電動ポンプ9の設計吐出圧力
は約8kg/cm2 で、ろ過水タンク10から90ton/h
程度の流量で冷却水を移送する能力を持っており、中央
制御室作業員により遠隔操作で手動起動できる。
【0044】注水配管でもある消火系配管は消火系隔離
弁17および蓄圧タンク入口弁11を介して、配管に分
岐を設けて設置した蓄圧タンク8に接続されている。
【0045】配管分岐の先は、蓄圧タンク出口弁12お
よび原子炉格納容器のスプレイ系の隔離弁18を介し
て、ドライウェルスプレイ側の原子炉格納容器のスプレ
イ系に接続している。
【0046】さらに残留熱除去系配管上には、消火系水
の注水設備による原子炉格納容器への注水がドライウェ
ルスプレイ側にのみ行われるよう、ウェットウェルスプ
レイ系隔離弁20が設けられている。
【0047】なお原子炉格納容器内にはドライウェル3
からの気相中ガスを圧力抑制プール5に放出するための
ベント管14と、原子炉格納容器の冷却が必要な場合に
残留熱除去系からの冷却水をドライウェル3およびウェ
ットウェル気相部4にスプレイするドライウェルスプレ
イヘッド6およびウェットウェルスプレイヘッド19が
設置されている。
【0048】またウェットウェル気相部圧力高の時に蓄
積ガスをドライウェルに逃がすために、真空破壊弁7を
設けている。
【0049】本発明の蓄圧タンク8の容量は2ton であ
り、蓄圧タンクの底部に消火系配管を接続する構造で、
内部の圧力を監視するために蓄圧タンク圧力計13が設
けられている。
【0050】この蓄圧タンク圧力計13は、圧力6kg/
cm2 で蓄圧タンク圧力高の信号を出し、2kg/cm2 で蓄
圧タンク圧力低の信号を出すように設定しており、蓄圧
タンク入口弁11および蓄圧タンク出口弁12には、弁
の開閉を制御するためそれぞれ蓄圧タンク入口弁制御器
15および蓄圧タンク出口弁制御器16がついている。
【0051】蓄圧タンク圧力低信号により蓄圧タンク入
口弁制御器15が蓄圧タンク入口弁11を開放し、蓄圧
タンク出口弁制御器16が蓄圧タンク出口弁12を閉止
する。
【0052】一方、蓄圧タンク圧力高信号により蓄圧タ
ンク入口弁制御器15が蓄圧タンク入口弁11を閉止
し、蓄圧タンク出口弁制御器16が蓄圧タンク出口弁1
2を開放する。
【0053】以上の設備を消火系および原子炉格納容器
から隔離する機能を持つ消火系隔離弁17および原子炉
格納容器のスプレイ系の隔離弁18は、中央制御室作業
員が遠隔操作で開放できる構造となっている。
【0054】次に本発明の実施例の動作を説明する。
【0055】図5に蓄圧タンク回りの機器・弁の概略図
を用いて消火系水の注水設備動作時の弁の開閉状態を表
す図を示す。
【0056】事故時に消火系水の注水設備によるスプレ
イが必要となった場合、中央制御室作業員が消火系電動
ポンプ9を手動起動し、さらに消火系隔離弁17および
原子炉格納容器のスプレイ系の隔離弁18を開放する。
【0057】この時、蓄圧タンク内に水が入っておらず
圧力が低いことから蓄圧タンク入口弁11は開放、蓄圧
タンク出口弁12は閉止しており、蓄圧タンク8には消
火系ポンプで供給される冷却水が貯留される。
【0058】そしてタンクの内部圧力が上限設定値であ
る6kg/cm2 になると、蓄圧タンク圧力計13から蓄圧
タンク圧力高信号が弁制御器15に伝達され、蓄圧タン
ク入口弁11を閉止するとともに蓄圧タンク出口弁12
が開放し、冷却水がスプレイヘッド6を通ってドライウ
ェル3にスプレイされる。
【0059】スプレイにより蓄圧タンク内の圧力が低下
していき下限設定値である2kg/cm2 になると、蓄圧タ
ンク圧力計13から蓄圧タンク圧力低信号が蓄圧タンク
入口弁制御器15に伝達され、蓄圧タンク出口弁12を
閉止するとともに蓄圧タンク入口弁11を開放し、再び
蓄圧タンクに注水する。
【0060】消火系水の注水設備が稼働している間は以
上の貯留−注水サイクルが繰り返される。
【0061】次に蓄圧タンクによるスプレイ流量増加の
効果である、スプレイ除去効率の向上について説明す
る。
【0062】蓄圧タンク圧力による弁開閉の設定圧力
は、図4に示すスプレイノズル吐出口1個当たりのスプ
レイノズル差圧とスプレイ流量の関係に基づいて決定し
ている。
【0063】図4には、国内の沸騰水型原子力プラント
のスプレイノズル数が120前後であることから、吐出
口1個当たりの流量にプラント全体の吐出口数を掛けた
ものを消火系からの注水設備系統流量の目安として記載
した。
【0064】図4の曲線は、流路の断面積が急激に減少
する形状であるノズルの吐出流速が、非粘性非圧縮性流
体に対しては圧力損失の平方根に比例するという一般的
な知見に基づき、実機で使用されているスプレイノズル
入口の径と吐出口の径を用いて、便宜上もっとも単純な
入口1つ出口1つのノズルを仮定し、差圧と流量の関係
を導いたものである。
【0065】消火系系統の設計流量は90ton/h程度
でスプレイノズル吐出口で2L/min程度の流量である
ため、図4によれば連続スプレイ時にはスプレイノズル
の圧力損失は無視できるほど小さい。
【0066】ここで本発明の実施例の蓄圧タンクを用い
て注水圧力を上げることにより、一時的にスプレイノズ
ル前後の圧力差が増加し、大流量スプレイを行った場合
と同等の液滴径を持つスプレイを降らせることが可能に
なる。
【0067】消火系ポンプの吐出圧力が8kg/cm2 程度
であるため、蓄圧タンク出口弁を開放する上限圧力設定
値を6kg/cm2 、蓄圧タンク出口弁を閉止する下限圧力
設定値を2kg/cm2 とする。
【0068】この圧力範囲で運転すると、蓄圧タンクに
蓄積される冷却水量が1ton 程度であり、消火系の系統
水量が90ton/h であることから、冷却水貯留に必要
な時間は約40秒となる。
【0069】原子炉格納容器への注水圧力が6kg/cm2
〜2kg/cm2 であるため、図4よりこの時スプレイノズ
ル吐出口では1000〜2000ton/h 程度の流量に
相当するスプレイ液滴を確保することができ、1ton の
貯留水は約2秒で原子炉格納容器に注入される。
【0070】原子炉格納容器スプレイモードにおける定
格流量が1700ton/h 程度であるため、残留熱除去
系と同等のスプレイ液滴が得られ、除染効率が向上する
ことが期待できる。
【0071】本発明では蓄圧タンク圧力計13と蓄圧タ
ンク入口弁制御器15および蓄圧タンク出口弁制御器1
6により、蓄圧タンク入口弁11および蓄圧タンク出口
弁12が自動制御されて間欠スプレイ操作される。
【0072】この間欠スプレイによる圧力抑制プール5
のスクラビングによる放射性物質除去効果の向上につい
て以下に説明する。
【0073】まず蓄圧タンク8に冷却水を貯留している
間は、原子炉圧力容器1から放出された蒸気によりドラ
イウェル3は次第に圧力が増加する。この段階ではドラ
イウェル中の放射性物質は、ガスとともにベント管14
を通って圧力抑制プール5でスクラビングされ、非凝縮
性ガスがウェットウェル気相部4に蓄積する。
【0074】この間ウェットウェル気相部圧力はドライ
ウェル圧力に追従する形で上昇する。この後蓄圧タンク
の貯留水がドライウェルにスプレイされると、蒸気の凝
縮によりドライウェル圧力は低下する。
【0075】しかしウェットウェル気相部4の非凝縮性
ガス圧力はスプレイにより変化しないため、ベント配管
上の真空破壊弁7が開放しドライウェルにガスを逃が
す。
【0076】その後蓄圧タンク圧力低によりスプレイが
停止すると、再びドライウェル圧力の増加に伴いドライ
ウェルに浮遊している放射性物質は圧力抑制プール水に
よりスクラビングされる。
【0077】すなわち従来の連続スプレイ方式では消火
系水の注水設備起動前の原子炉格納容器内の圧力上昇時
にのみ期待されるスクラビング効果が、間欠注水サイク
ルごとに得られるため、水溶性および粒子状の放射性物
質の除去効率を向上することができる。
【0078】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、蓄圧圧力で蓄
圧タンク内の注水を勢い良く大流量にてノズルから原子
炉格納容器内に散布されるから、散布液滴が小さくて流
量も多いから、原子炉格納容器中の気体状放射性物質の
スプレイ除去効率の向上が図れるという効果が得られ
る。
【0079】請求項2の発明によれば、蓄圧圧力で蓄圧
タンク内の注水を勢い良く大流量にてノズルから原子炉
格納容器内に散布されるから、散布液滴が小さくて流量
も多いから、原子炉格納容器中の気体状放射性物質のス
プレイ除去効率の向上が図れ、蓄圧タンク内の注水が低
下したら弁を閉じてポンプで蓄圧タンク内に注水を送水
して蓄圧させることにより初期設定が成され、その後に
弁を開放することにより、再度蓄圧圧力で蓄圧タンク内
の注水を勢い良く大流量にてノズルから原子炉格納容器
内に散布することを繰り返せるから、スプレイからの注
水散布による気体状放射性物質の除去効率をさらに向上
することが出来るという効果が得られる。
【0080】請求項3の発明によれば、原子炉の苛酷事
故発生時に格納容器の過圧破損または過温破損を防ぐた
めに設置された消火系水を共用しながら、その消火系水
を用いた注水設備に蓄圧タンクを設けて間欠スプレイす
ることにより原子炉格納容器の冷却性能を維持しつつ、
ドライウェル中の気体状放射性物質のスプレイ除去効率
の向上および圧力抑制プールのスクラビング効率の向上
の結果、環境への放出放射能低減が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による原子炉格納容器のスプ
レイ系の概略を示した系統図である。
【図2】従来の原子炉格納容器スプレイ系の概略を示し
た系統図である。
【図3】本発明の一実施例におけるスプレイ系でドライ
ウェルに間欠注水した場合のドライウェル圧力およびウ
ェットウェル気相部圧力の変化とウェットウェル内の放
射性物質の挙動に係わる現象を併せて示したグラフ図で
ある。
【図4】実機に使用されているスプレイノズル吐出口1
個当たりのスプレイノズル差圧とスプレイ流量の関係を
示したグラフ図である。
【図5】本発明の実施例における消火系水の注水設備動
作時の弁の開閉状態を差圧タンク圧力高低2状態に渡っ
て示した系統図である。
【図6】沸騰水型原子力プラントに使用されている原子
炉格納容器内のスプレイノズルの典型的な例を示すノズ
ルの半断面表示図である。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器、2…原子炉格納容器、3…ドライ
ウェル、4…ウェットウェル気相部、5…圧力抑制プー
ル、6…スプレイヘッド、7…真空破壊弁、8…蓄圧タ
ンク、9…消火系電動ポンプ、10…ろ過水タンク、1
1…蓄圧タンク入口弁、12…蓄圧タンク出口弁、13
…蓄圧タンク圧力計、14…ベント管、15…蓄圧タン
ク入口弁制御器、16…蓄圧タンク出口弁制御器、17
…消火系隔離弁、18…隔離弁、19…ウェットウェル
スプレイヘッド、20…ウェットウェルスプレイ系隔離
弁。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子炉格納容器内に装備されたスプレイ手
    段と、前記スプレイ手段に連通接続されて注水が貯えら
    れる蓄圧タンクとを備えた原子炉格納容器スプレイ系。
  2. 【請求項2】原子炉格納容器内に装備されたスプレイ手
    段と、前記スプレイ手段に注水配管で接続された蓄圧タ
    ンクと、前記蓄圧タンクに送水口が他の注水配管で接続
    した送水ポンプと、前記送水ポンプの吸込み口が連通接
    続された水源と、前記蓄圧タンクと前記スプレイ手段と
    の間の注水配管に装備された開閉弁とを備えた原子炉格
    納容器スプレイ系。
  3. 【請求項3】ドライウェルとウェットウェルとがベント
    流路で連通されている原子炉格納容器であって、その原
    子炉格納容器のスプレイ系に消火系配管を接続し、必要
    に応じて消火系ポンプを用いてろ過水タンク水を原子炉
    格納容器にスプレイする軽水冷却型原子炉において、消
    火系ポンプと原子炉格納容器スプレイの間に分岐を設け
    て設置した消火系水を一時貯留する蓄圧タンクと、配管
    分岐の前後の配管上に設けた蓄圧タンク入口弁および蓄
    圧タンク出口弁と、蓄圧タンク圧力計と、蓄圧タンク圧
    力計の圧力高信号で出口弁を開放し蓄圧タンク圧力計の
    圧力低信号で出口弁を閉止する弁制御器と、以上の機器
    を消火系および格納容器スプレイ系から隔離する弁とか
    ら構成されることを特徴とする原子炉格納容器スプレイ
    系。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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