JPH089625B2 - テイコプラニン誘導体 - Google Patents

テイコプラニン誘導体

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JPH089625B2
JPH089625B2 JP63111720A JP11172088A JPH089625B2 JP H089625 B2 JPH089625 B2 JP H089625B2 JP 63111720 A JP63111720 A JP 63111720A JP 11172088 A JP11172088 A JP 11172088A JP H089625 B2 JPH089625 B2 JP H089625B2
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teicoplanin
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acid
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アドリアーノ・マラバルバ
アルド・トラーニ
ジヨルジヨ・タルツイア
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グルポ・レペチツト・エス・ピー・エイ
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K9/00Peptides having up to 20 amino acids, containing saccharide radicals and having a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K9/006Peptides having up to 20 amino acids, containing saccharide radicals and having a fully defined sequence; Derivatives thereof the peptide sequence being part of a ring structure
    • C07K9/008Peptides having up to 20 amino acids, containing saccharide radicals and having a fully defined sequence; Derivatives thereof the peptide sequence being part of a ring structure directly attached to a hetero atom of the saccharide radical, e.g. actaplanin, avoparcin, ristomycin, vancomycin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は式I 式中、 Aは水素を表わすか、またはOAはN−〔(C10〜C11)脂
肪族アシル〕−β−D−2−デオキシ−2−アミノグル
コピラノシルを表わし、 Mは水素を表わすか、またはOMはα−D−マンノピラノ
シルを表わし、ただし、Mが水素を表わす場合には、A
も水素を表わすものとする、 の34−デ−(アセチルアミノグルコピラノシル)−34−
デオキシテイコプラニン誘導体及びその付加塩である新
規な抗生物質に関する。
本発明書において、「(C10〜C11)脂肪族アシル」は
炭素原子10個または11個の飽和または不飽和脂肪族アシ
ル基を表わす。(C10〜C11)脂肪族アシル基の好ましい
例は次のものである:(Z)−4−デセノイル、8−メ
チルノナノイル、デカノイル、8−メチルデカノイル及
び9−メチルデカノイル。
A及びMが上に定義した如き糖部分を表わす場合、こ
れらのものはO−グリコシド結合を介して核部分に結合
し、全てのアミド結合はトランソイド配向(transoid o
rientation)である。
本発明の化合物は抗微生物活性(antimicrobial acti
vity)、即ち、ある凝固酸素−陰性ブドウ球菌(coagul
ase−negative staphylococci)を含めて、グラム陽性
バクテリアに対して活性を有する。
本化合物はテイコプラニン、テイコプラニン因子、成
分、プソイドアグリコンまたはその誘導体の位置34で糖
単位の選択的条件下で還元的置換によつて、或いは適当
な34−デ−(アセチルアミノグルコピラノシル)−34−
デオキシ−35,52−ジデヒドロ−テイコプラニン誘導体
の触媒的水素添加によつて製造される。
テイコプラニンは、同化可能な炭素、窒素及び無機塩
源を含む培養媒質中で菌株アクチノプラネス・テイコミ
セテイカス(Actinoplanes teichom yceticus nov.s
p.)ATCC31121を培養することによつて得られる、以前
はテイコマイシン(teichomycin)と称した抗生物質の
国際的非所有名[international non−proprietary nam
e(INN)]である(米国特許第4,239,751号参照)。上
に引用した特許に記載された方法によれば、テイコマイ
シンA1、A2及びA3を含む抗生物質複合体は分離した発酵
汁から、適当な水溶性有機溶媒で抽出し、そして普通の
方法に従つて抽出溶液から沈殿させることによつて回収
される。
次に単離された抗生物質複合体の大部分の因子である
テイコマイシンA2を他の因子から、セフアデイクス
(Sephadex )によつてカラムクロマトグラフイーを
用いて分離する。
英国特許出願公告明細書第2121401号は抗生物質テイ
コマイシンA2は実際には5種の密接に関連した共生成し
た主成分の混合物であることを開示している。
最近の構造解析によれば、テイコプラニンA2(以前は
テイコマイシンA2)主成分1、2、3、4及び5は式II 式中、OAは−N−[(C10〜C11)脂肪族アシル]−β−
D−2−デオキシ−2−アミノグルコピラノシルを表わ
し、OBはN−アセチル−β−D−2−デオキシ−2−ア
ミノ−グルコピラノシルを表わし、OMはα−D−マンノ
ピラノシルを表わす、 によつて表わすことができる。
更に詳細には、テイコプラニンA2成分1においては、
[(C10〜C11)脂肪族アシル]置換基は(Z)−デセノ
イルを表わし、テイコプラニンA2成分2においては、8
−メチルノナノイルを表わし、テイコプラニンA2成分3
においては、デカノイルを表わし、テイコプラニンA2
分4においては、8−メチルデカノイルを表わし、テイ
コプラニンA2成分5においては、9−メチルデカノイル
を表わす。
全ての糖部分は、存在する場合、O−グリコシド結合
を介してテイコプラニン核に結合している。
加えて、テイコプラニン、その純粋な因子またはあら
ゆる割合における該因子の混合物を1つまたは2つの糖
部分の選択的加水分解によつて一元性の抗生物質生成物
に転化し得ることが見出された。
これらのものは抗生物質L17054及び抗生物質L17046と
命名され、ヨーロツパ特許出願公告明細書第119575号及
び同第1195754号にそれぞれ記載されている。
抗生物質L17054の製造に対する好ましい加水分解条件
は次の通りである:0.5N塩酸、70℃乃至90℃間の温度及
び一般に15乃至90分間の時間。
抗生物質L17054は上記式IIによつて表わされる、但
し、Aは水素を表わし、OBはN−アセチル−β−D−2
−デオキシ−2−アミノ−グルコピラノシルを表わし、
OMはα−D−マンノピラノシルを表わし、ここで、糖部
分はO−グリコシド結合を介してペプチド核に結合す
る。
抗生物質L17046の製造に対する好ましい加水分解条件
は次の通りである:1〜3N塩酸、50℃乃至90℃間の温度及
び一般に30乃至60分間の時間。
抗生物質L17046は上記式IIによつて表わされる、但
し、A及びMは水素原子を表わし、OBはN−アセチル−
β−D−2−デオキシ−2−アミノ−グルコピラノシル
を表わし、ここで、糖部分はO−グリコシド結合を介し
てペプチド核に結合する。
テイコプラニン化合物の全ての糖部分の完全な選択的
開裂によつて、いわゆる抗生物質L17392であるアグリコ
ン分子、またはデグルコテイコプラニンを生じ、このも
のはA、B及びMが各々個々に水素を表わす上記式IIに
よつて表わされる。この選択的加水分解法はヨーロツパ
特許出願第146053号に記載されている。
同様な構造式を有する物質がヨーロツパ特許出願公告
明細書第0090578号に開示されており、抗生物質A41030
因子Bと命名されている。
この物質は微生物学的方法を用いて得られ、該方法に
は適当な媒質中で菌株ストレプトミセス・ビルギニアエ
(Streptomyces Virginiae)NRRL12525またはStreptomy
ces Virginiae NRRL15156の発酵、単離、精製、そして
抗生物質A41030、少なくとも7因子の抗生物質複合体、
含まれる抗生物質A41030因子Bのその成分への分離が含
まれる。
上記のある化合物、即ち、テイコプラニン、テイコプ
ラニンA2複合体、テイコプラニンA2成分1、テイコプラ
ニンA2成分2、テイコプラニンA2成分3、テイコプラニ
ンA2成分4、テイコプラニンA2成分5、抗生物質L17054
及びあらゆる割合におけるその混合物は本発明の誘導体
の製造に対する適当な出発物質である。
本発明の方法において出発物質として使用し得る34−
デ−(アセチルアミノグルコピラノシル)−34−デオキ
シ−35,52−ジデヒドロテイコプラニン誘導体は式III 式中、 Aは水素を表わすか、またはOAはN−[(C10〜C11)脂
肪族アシル]−β−D−2−デオキシ−2−アミノグル
コピラノシルを表わし、 Mは水素を表わすか、またはOMはα−D−マンノピラノ
シルを表わし、ただし、Mが水素を表わす場合には、A
も水素を表わすものとする、 及びその付加塩によつて表わされる。
上記の如く、本発明の化合物は、テイコプラニン、テ
イコプラニン因子、成分、プソイドアグリコンまたはそ
の誘導体の位置34で糖単位の還元的置換によつて、或い
は式IIIの対応する34−デ−(アセチルアミノグルコピ
ラノシル)−34−デオキシ−35,52−ジデヒドロ−テイ
コプラニン誘導体の接触水素添加によつて製造すること
ができる。
更に詳細には、式IIIの対応する34−デ−(アセチル
アミノグルコピラノシル)−34−デオキシ−35,52−ジ
デヒドロテイコプラニン誘導体の接触水素添加は水性ア
ルコール性媒質中にて好ましくは室温及び大気圧下で行
われる。
この水素添加に使用し得る触媒の典型的な例は通常の
水素添加触媒、例えば遷移金属または遷移金属誘導体、
例えば一般に適当な担体に担持させた酸化物、例えば硫
酸バリウムに担持させたパラジウム、木炭に担持させた
パラジウム、アルミナに担持させたパラジウム、炭酸カ
ルシウムに担持させたパラジウム、白金、酸化白金、木
炭に担持させたロジウム等である。殊に好ましくは水素
添加触媒は木炭に担持させたパラジウム、最も好ましく
は木炭に担持させた5%パラジウムである。反応媒質は
触媒並びに出発物質及び最終生成物と適合しなければな
らず、好ましくは酸性にした水性アルコール性媒質であ
る。しかしながら、ある場合には、塩基性担体、例えば
アルミナまたはCaCO3の場合における如く、触媒によつ
てやや塩基性媒質を必要とする。この場合、反応媒質に
は有利にはトリエチルアミンの如きアルキルアミン、ま
たは他の非反応性アミンが含まれる。チヤーコールに担
持させた5%パラジウムに加えて、また適当な触媒とし
て、チヤーコールに担持させた10%パラジウム、硫酸バ
リウムに担持させた10%パラジウム、炭酸カルシウムに
担持させた5%パラジウム、チヤーコールに担持させた
5%ロジウムを例として挙げることができる。
好ましい酸性の水性アルコール性媒質は鉱酸、例えば
塩酸の存在下における水及び水溶性の、好ましくは炭素
原子1〜4個の低級アルカノールの混合物によつて表わ
される。
好ましくは、塩酸をハロゲン化水素酸として用い、一
方、殊に好ましい低級アルカノールはメタノール及びエ
タノール、最も好ましくはメタノールである。一般に、
水性アルコール性混合物はアルコールが大部分の成分を
表わす均等混合物である。好ましい混合物は1:1〜3:1で
ある。好ましい混合物は70:30、アルコール:酸性水混
合物である。更に好ましい混合物はメタノール(または
エタノール)及び0.04N塩酸の70:30混合物である。反応
温度は一般に20℃乃至60℃間、更に有利には室温であ
る。
圧力は他の反応パラメータ、例えば触媒のタイプ及び
濃度並びに温度に応じて変えることができ、周囲圧から
5気圧(0.5MPa)まで変えることができる。通常、反応
を完了させるために過剰量の水素を必要とし、該反応を
NMRにより出発物質の減少を監視するか(35,52二重結合
に関連するピークの消失)、或いは試料を温和な還元剤
で処理した後、より好脂性生成物における関連した転位
が認められなくなるHPLCにより観察することができる。
この還元剤の例は酸水溶液から水素を発生し得る金
属、例えば塩酸中の亜鉛またはスズ、或いは電気化学系
において同様な標準還元電位を有する他の物質である。
この前処理が必要であり、その理由は、本発明の化合
物及び対応する35,52−不飽和中間体がクロマトグラフ
系において極めて同様な移動度を有し、そしてこれらの
混合物を上記の方法によつてのみ有効に分析または分離
することができないためである。
不溶性物質を濾過または他の普通の方法によつて除去
した後、所望の生成物をそれ自体公知の方法に従つて単
離し、そして精製する。例えば濾液を少容量に濃縮し、
生成物を非−溶媒の添加によつて沈殿させ、更に必要に
応じて、結晶化またはクロマトグラフイーによつて精製
することができる。
上記の触媒的水素添加法の唯一の欠点は、多分、テイ
コプラニンA2成分1が出発物質である場合、このものは
(C10〜C11)脂肪族アシルが(Z)−4−デセノイルを
表わす式Iの対応する化合物に転換されず、(C10
C11)脂肪族アシルがデカノイルを表わす式Iの対応す
る化合物に転換されることである。
即ち、これらの条件下で、位置56のグルコースアミン
部分のN−アシル置換基における二重結合が還元され
る。従つて、(C10〜C11)脂肪族アシルが不飽和基であ
る式Iの化合物を製造するためには、他の反応径路に従
うべきである。
これには適当な反応媒質中で、アシル鎖における不飽
和に影響を及ぼさぬ条件下で、例えば水素化ホウ素アル
カリ金属またはアルカリ土類金属のモル過剰量の存在下
において、テイコプラニンA2成分1または同様なテイコ
プラニンA2を含む混合物からN−アセチル−β−D−2
−デオキシ−2−アミノグルコピラノシル基の選択的除
去が含まれる。水素化ホウ素アルカリ金属またはアルカ
リ土類金属の典型的な例は水素化ホウ素リチウム、ナト
リウム、カリウムまたはカルシウム及びシアノ水素化ホ
ウ素ナトリウムである。温度は15℃乃至60℃間であるこ
とができるが、しかし、好ましくは室温である。溶媒は
有極性の非プロトン性溶媒及び有極性の非プロトン性溶
媒の混合物である。この混合物は好ましくは1:1混合物
であるが、しかし、また0.5:1.5乃至1.5:0.5の混合物を
用いることもできる。
有極性の非プロトン性溶媒の典型的な例は有機アミ
ン、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルホルムア
ミド、ホスホルアミド、例えばヘキサメチルホスホルア
ミド、スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド及び
ジエチルスルホキシド等である。
有極性のプロトン性溶媒の典型的な例は低級アルカノ
ール、グリコール及びそのエーテル及びエステル、例え
ばメタノール、エタノール、プロパノール、エチレング
リコール、プロピレングリコール、メトキシエタノール
等である。
好ましい溶媒混合物はジメチルホルムアミド:メタノ
ールの1:1(v/v)混合物である。反応時間は他の反応パ
ラメータに明白に依存し、一般に、室温で24乃至96時間
の間である。反応過程をNMR、または上記の如く温和な
還元剤で処理した後、HPLCによつて追跡することができ
る。
得られる反応混合物は出発物質に対応する式IIIの35,
52−不飽和化合物並びに対応する式Iの飽和化合物(但
し、(C10〜C11)脂肪族アシル鎖の不飽和化は、存在す
る場合、影響を受けない)を含み、このものをそれ自体
公知の単離法に従つて処理して生ずる個体を単離する
際、上記の如く温和な還元剤で処理し、式Iの所望の化
合物を生成させる。すでに述べた如く、式IIIの35,52−
不飽和化合物をより好脂性物質に選択的に転換するが、
但し、式Iの化合物に影響を及ぼさぬこの温和な還元剤
は好ましくは酸水溶液から水素を発生し得る金属、例え
ばZnまたはSn、或いは電気化学系において同様な標準還
元電位を有する物質である。還元剤をモル過剰量で用
い、温度は一般に10℃乃至60℃間、好ましくは15℃乃至
30℃間であり、有利には室温である。次に式Iの所望の
化合物がそれ自体公知の単離法によつて得られる。例え
ば不溶性物質を濾過した後、水性混合物を水とほとんど
混和せぬ溶媒、例えば炭素原子4個またはそれ以上のア
ルコール、例えばn−ブタノールで抽出する。有機層を
中性pH値に調節し、少容量に濃縮する。非−溶媒、例え
ばエチルエーテルで沈殿させて個体を生じ、このものを
適当な溶媒混合物、例えばアセトニトリル:水2:8(v/
v)に溶解する。
次にこの溶液のpH値を酸性値、好ましくは2乃至4.5
間、最も好ましくは約3にし、次に逆相シリカゲルカラ
ムに通し、より好脂性副生成物から式Iの所望の生成物
を分離する。
好ましい溶離混合物の例は水と有極性の非プロトン性
溶媒、例えばアセトニトリルとの混合物である。
また水素化ホウ素金属を用いる上記の置換法は、触媒
的水素添加によつて、前もつて単離または精製せずにか
なり良好な収率を伴つて、対応する式Iの化合物との混
合物として式IIIの中間化合物を製造するために有利で
あり、この混合物を対応する式Iの化合物に有利に還元
することができる。
殊に、基質がテイコプラニンA2成分1と異なる場合、
或いはテイコプラニンA2成分1が存在するが、しかし、
(C10〜C11)脂肪族アシルが(Z)−4−デセノイルの
代りにデカノイルを表わす式Iの化合物を望む場合、こ
のものは式IIIの中間化合物を還元処理した際、上記の
触媒的水素添加によつて得ることができる。かくして、
上で得られる混合物を、前もつて単離工程を行わずに、
そのまま触媒的に水素添加することができる。次に式I
の所望の化合物をそれ自体公知の方法に従つて単離する
ことができ、該方法には溶媒による抽出、非−溶媒によ
る沈殿並びにカラムクロマトグラフイー及び殊に上記の
如き逆相カラムクロマトグラフイーによる精製が含まれ
る。
また、式IIIの化合物を、テイコプラニン出発物質か
らN−アセチル−β−D−2−デオキシ−2−アミノ−
グルコピラノシル基の除去が、存在する場合、他の糖部
に同時に影響を及ぼすことなく、そして核ペプチドの実
質的なエピマー化をきたすことなく起こるような選択的
塩基性条件下で製造することができる。「テイコプラニ
ン出発物質」なる用語は上記の出発物質のいずれかの1
つ、即ち、米国特許第4,239,751号、更にその精製法に
従つて得られるようなテイコプラニン、テイコプラニン
A2複合体、式II、但し、Aは水素を表わすか、またはOA
は−N−〔(C10〜C11)脂肪族アシル〕−β−D−2−
デオキシ−2−アミノ−グルコピラノシルを表わし、こ
こで、(C10〜C11)脂肪族アシルは上に定義した意味を
有し、Bは水素を表わすか、またはOBはN−アセチル−
β−D−2−デオキシ−2−アミノ−グルコピラノシル
を表わし、Mは水素を表わすか、またはOMはα−D−マ
ンノピラノシルを表わし、条件として、A、B及びMは
同時に水素を表わすことができず、そしてMは、Aが水
素を表わす場合にのみ、水素を表わすものとする、の化
合物及びその塩またはあらゆる割合におけるその混合物
を示すために用いる。
該選択的塩基性条件は約60℃よりも低い温度で有極性
有機溶媒中の強アルカリを表わす。
有極性有機溶媒の典型的な例は低級アルカノール、低
級アルキルカルボキシアミド、低級アルキルスルホキシ
アミド、低級アルキルホスホルアミド、低級アルキルス
ルホキシド及び低級アルキルスルホラン等、並びにその
混合物である。
上記の低級アルカノールはメタノール、エタノール、
プロパノール、1−メチルエタノール、ブタノール及び
2−メチルプロパノールを含めて、炭素原子1〜4個の
アルコールである。
上に用いた如き「低級アルキル」なる用語は炭素原子
1個、2個、3個または4個のアルキル基を表わす。
低級アルキルカルボキシアミドの例はジメチルホルム
アミド、ジエチルホルムアミド等である。好ましい低級
アルキルスルホキシドはジメチルスルホキシドであり、
好ましい低級アルキルスルホンはジメチルスルホンであ
り、そして好ましい低級アルキルホスホルアミドはヘキ
サメチルホスホルアミドである。
本発明の好ましい具体例によれば、上に定義した如き
有極性有機溶媒は有極性の非プロトン性有機溶媒及び有
極性の非プロトン性有機溶媒の混合物である。上に定義
したこれらの溶媒の中で、好ましい有極性の非プロトン
性溶媒は第三アルキルアミド並びにジアルキルスルホキ
シド及びスルホランであり、一方、好ましい有極性の非
プロトン性有機溶媒は低級アルカノールである。
上記の如く、出発物質からN−アセチル−D−2−デ
オキシ−2−アミノ−クルコピラノシル基の置換に対し
て必要な塩基性条件は強アルカリを用いて得られる。該
強アルカリの好ましい例は濃水性アルカリ金属水酸化
物、アルカリ金属酸化物及び炭素原子1個、2個、3個
または4個のアルカリ金属アルコレートである。アルカ
リ金属は好ましくはナトリウムまたはカリウムであり、
好ましいアルコキシ基はメトキシ、エトキシ、プロポキ
シ及びブトキシである。
塩基がアルカリ金属アルコレートを表わす場合、有極
性有機溶媒は好ましくは対応するアルカノールであり、
可能ならば、上に定義した有極性の非プロトン性溶媒と
の混合物である。この方法を効果的に行うために、反応
環境は水の限定された量を含まなければならない。一般
に、これは多くの場合に水和物である出発物質にすでに
存在する。
強アルカリがアルカリ金属水酸化物または酸化物であ
る場合、約0.5〜2%(w/w)、または15〜20モル過剰量
の水の量が極めて好ましい。水のより多い量は副反応を
助ける反応過程によつて負に妨害する。
また反応温度を調節する必要があり、一般に60℃以下
に保持すべきである。
好ましい反応温度は0℃乃至50℃間であるが、しか
し、最も好ましくは且つ有利には室温である。反応時間
は他の反応パラメータに応じて変わる。反応過程をTL
C、好ましくはHPLC法によつて追跡するために、精通せ
る者は反応条件を調節することができ、そして反応が終
了したとみなす時期を決定することができる。
本方法の好ましい具体例は、有極性有機溶媒がジメチ
ルホルムアミド及びジメチルスルホキシドの混合物であ
り、強アルカリが濃水酸化カリウム水溶液であり、そし
て反応温度が室温である上記の如き方法によつて表わさ
れる。好ましくは、ジメチルホルムアミド(DMF)及び
ジメチルスルホキシド(DMSO)間の割合は4:1乃至3:2
(v/v)であり、一方、水酸化カリウム水溶液の好まし
い濃度は85乃至90%(w/w)間である。
本方法の他の好ましい具体例は、強アルカリが上に定
義した如きアルカリ金属アルコレートであり、そして有
極性有機溶媒が、随時上に定義した如き有極性の非プロ
トン性溶媒、好ましくはジメチルホルムアミドの存在下
における該アルコレートに対応するアルカノールである
上記の如き方法によつて表わされる。強アルキル/有極
性有機溶媒の好ましい混合物は、この場合、ジメチルホ
ルムアミド中の1〜10%メタノール性ナトリウムメチレ
ートである。
出発物質が抗生物質L17046、即ち、A及びMが水素原
子を表わし、そしてOBが上に定義した如き糖部分である
上記式IIの出発物質である場合、温和な塩基性条件下
で、例えば室温で約24〜72時間、対応するアルカノール
の存在下において、アルカリ金属アルコレートのモル過
剰量(50〜100倍過剰量)で、次に例えば鉱酸の水溶
液、典型的には0.5〜1N塩酸で温和な酸処理によつて、
対応するデーグリコシル化された化合物が得られる。
加えて、式Iの化合物の糖部分を選択的に除去し、式
Iの他の化合物に転換することができる。
OA及びOMが上に定義した如き糖部分を表わす式Iの化
合物を、強い濃水性有機酸中で調節された酸化水分解に
よつて、OMが上記のとおりであり、そしてAが水素であ
る対応する化合物に転換することができる。この場合に
濃有機酸は好ましくは濃度75%乃至95%間の水性トリフ
ルオロ酢酸であり、反応温度は好ましくは10℃乃至50℃
間である。好ましい加水分解条件は室温で約90%トリフ
ルオロ酢酸によつて表わされる。反応時間は他の特定の
反応パラメータに応じて変わるが、しかし、いずれの場
合にも、反応をTLCまたは好ましくはHPLC法によつて監
視することができる。同様な選択的加水分解はヨーロツ
パ特許出願第146822号に記載されている。
本発明の他の具体例によれば、OA及びOMが上に定義し
た糖部分を表わす式Iの化合物或いはAが水素を表わ
し、そしてOMが上に定義した糖部分を表わす式Iの化合
物を、20℃乃至100℃間の温度で、強鉱酸、強有機酸及
び強酸陽イオン交換樹脂から選ばれる溶媒と適合し得る
強酸の存在下において、反応温度で液体である脂肪酸及
びα−ハロゲン化された脂肪酸、反応温度でわずかに水
と混和し得る液体である脂肪族及び環式脂肪族アルコー
ル、反応温度でわずかに水と混和し得る液体であるフエ
ニル置換された低級アルカノール、但し、該フエニル部
分は随時(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルコキシま
たはハロ基をもつていてもよい、並びに反応温度で液体
であるβ−ハロゲン化された低級アルカノールから選ば
れる有機プロトン性溶媒中で選択的加水分解によつて、
A及びMが水素原子を表わす式Iの対応する化合物に転
換することができる。
また、選択的加水分解を強鉱酸、例えばハロゲン化水
素、例えば塩化水素または臭化水素の存在下において、
非プロトン性溶媒、例えば低級アルキルエーテルまたは
ポリエーテル、例えばジメトキシエタン中で行うことが
できる。有利には、この場合に好ましい反応温度は室温
である。
この場合、好ましい加水分解条件は、65℃乃至85℃間
の温度で、ハロアルカノール、例えばトリフルオロエタ
ノール中の鉱酸、例えば塩酸の使用によつて表わされ
る。
同様な基質における同様な選択的加水分解はヨーロツ
パ特許出願第146053号に記載されている。
本発明の化合物の好ましい付加塩は製薬学的に許容し
得る酸及び/または塩基付加塩である。
「製薬学的に許容し得る酸及び/または塩基付加塩」
なる用語によつて、生物学的、製造及び調製物の観点か
ら製薬学的実施並びに動物生長促進における用途に適合
する酸及び/または塩基塩が含まれる。
式Iの化合物の典型的且つ適当な酸付加塩には有機及
び無機強酸、例えば塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リ
ン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスル
ホン酸、ベンゼンスルホン酸、ピクリン酸、安息香酸等
との標準反応によつて生ずる塩が含まれる。
塩を生成する塩基の典型的な例には次のものが含まれ
る:アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、例
えば水酸化ナトリウム、カリウムまたはカルシウム;ア
ンモニア及び無機、脂肪族、脂環式または芳香族アミ
ン、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチル
アミン、ジエチルアミン、ピリジン、ピペリジン及びピ
コリン。
本発明の遊離アミノまたは非−塩化合物の対応する付
加塩への転化及びその逆、即ち、本発明の化合物の付加
塩の非−塩または遊離アミノ型への転化は通常の技術範
囲内であり、そして本発明に包含される。
例えば式Iの化合物を、その非−塩型を水性溶媒に溶
解し、そして選んだ酸または塩基のややモル過剰量を加
えることにより、対応する酸または塩基付加塩に転化す
ることができる。
次に生ずる溶液または懸濁液を凍結乾燥し、所望の塩
を回収する。ある場合には、凍結乾燥の代りに、有機溶
媒で抽出し、分離した有機相を少容量に濃縮し、非溶媒
を加えて沈殿させることによつて、目的の塩を回収する
ことができる。
非−塩型が溶解する有機溶媒に目的の塩が不溶性であ
る場合、選んだ酸または塩基の化学量論的量またはやや
モル過剰量の添加後、非−塩型の有機溶液から濾過によ
つて塩を回収する。
非−塩型は水性溶媒に溶解した対応する酸または塩基
塩から、非−塩型を遊離させるために中和することによ
つて製造することができる。次にこの非−塩型を例えば
有機溶媒で抽出して回収するか、または選んだ酸もしく
は塩基を加え、上記の如く処理して、他の塩基または酸
付加塩に転化する。
中和に続いて脱塩を必要とする場合、普通の脱塩法を
用いることができる。
例えば調節された細孔径のポリデキストラン樹脂(例
えばSephadex L H 20)またはシラン化したシリカゲル
におけるカラムクロマトグラフイーを有利に用いること
ができる。所望の塩を水溶液で溶離した後、水及び有極
性または非極性有機溶媒の混合物の直線勾配溶離法また
は段階勾配溶離法を用いて、例えばアセトニトリル/水
の50:50からアセトニトリル約100%までを用いて所望の
生成物を溶離する。
当該分野において公知の如く、有利な精製法として、
製薬学的に許容し得る酸(塩基)または製薬学的に許容
し得ぬ酸(塩基)による塩生成法を用いることができ
る。生成させ、そして単離した後、式Iの化合物の塩型
を対応する非−塩または製薬学的に許容し得る塩に転化
することができる。
しかしながら、式Iの化合物及びその塩の特性の類似
にかんがみて、式Iの化合物の生理学的活性に関する場
合に、本明細書に述べたことがまた製薬学的に許容し得
る塩に適用され、そしてまたその逆も可能である。
本発明の化合物はグラム陽性バクテリアに対して主に
活性な半合成抗バクテリア剤(antibacter ial agent
s)として有用である。
本発明の典型的な化合物のある物理−化学及び生物学
的データを次の第I表に示す。
第I表 化合物 OA OM 1(a−e) GNHCOR1-5 −M 1a GNHCOR1 −M 1b GNHCOR2 −M 1c GNHCOR3 −M 1d GNHCOR4 −M 1e GNHCOR5 −M 2または1(b−e) GNHCOR2-5 −M 3 OH −M4 OH −OH 注: −GNHCOR1-5=N−[(C11〜C10)脂肪族アシル]−β
−D−2−デオキシ−2−アミノグリコピラノシル、但
し、(C10〜C11)脂肪族アシルは下に定義した如きR1
R2、R3、R4及びR5を表わす:R1=(Z)−4−デセノイ
ル、R2=8−メチルノナノイル、R3=デカノイル、R4
8−メチルデカノイル及びR5=9−メチルデカノイル。
−M=α−D−マンノピラノシル。
HPLC分析 次の第II表は本発明の化合物の典型的な例のtRを示
す。
分析はレオダイン(Rheodyne)モデル7125の20μlル
ープ注入器及びパーキン−エルマー(PERKIN−ELMER)L
C 15 UV 検出器を備えたバリアン(VARIAN)メデル5
000LCポンプを用いて254nmで行つた。
試料溶液:0.01 N HCl/CH3CN、3:7(v/v)1ml中試料
化合物1mg。
カラム:ペリソルブ(Perisorb)RP−8[C−8脂肪族
鎖をもつシラン化したシリカゲル;30μm;メルク・カン
パニー(Merck Co.)]で充填したプレカラム(5cm)、
次にリクロソルブ(LiChrosorb)RP−8(C−8脂肪族
鎖をもつシラン化したシリカゲル;10μm;Merck Co.)で
充填したステンレス・スチール製(250×4mm)カラム・
ハイバー(Hibar)RT 250−4(Merck)。
溶離剤:A=0.2% 水性 HCO2NH4 B=100% CH3CN 溶離条件:30分間にA15%から35%まで中のBの直線勾配
溶離。
流速:2ml/分。
第II表 化合物 tR 1a 15.9 1b 17.7 1c 18.2 1d 20.7 1e 21.4 3 7.8 4 10.1 テイコプラニンA2成分1 14.2 テイコプラニンA2成分2 16 テイコプラニンA2成分3 15.5 テイコプラニンA2成分4 18.9 テイコプラニンA2成分5 19.8 抗生物質L17054 6.8 次の表(第III表)は分析結果、塩型、高速原子衝撃
法(FAB)質量スペクトルおける(M+H)+ピーク及び電位
差分析結果を示す。
C、H、N、Clに対する分析結果は理論値の±0.4%
の範囲内であつた。熱重量分析(TGA)によつて測定し
た重量損失(溶媒含量)は常に約6〜7%であつた。酸
素雰囲気下にて900℃で測定した無機残渣は常に<0.3%
であつた。分析結果は表中に示した塩型を示す。
FAB−MS正イオンスペクトルを、標準FAB源及び高磁場
を備えたクラトス(Kratos)MS−50装置で記録した。試
料をチオグリセリン:ジグリセリン1:1(v/v)混合物に
分散させ、Xe原子の6−9KeVで衝撃した。
酸−塩基滴定(PK MCS)を、2−メトキシエタノール
[メチルセロソルブ(Methyl Cellosolve )]:水
4:1(v/v)中で、適量の0.01N HClの添加後、0.01NaOH
によつて行つた。示した当量重量(FW)は溶媒含量及び
無機残渣に対して補正した。
本発明の化合物の抗バクテリア活性を標準寒天−希釈
試験によつて試験管内で立証することができる。
等感作試験(Isosensitest)肉汁[オキソイド(Oxoi
d)]及びトツド−ヒユーイト(Todd−Hewitt)肉汁
[デイフコ(Difco)]をそれぞれ増殖しているブドウ
球菌属(staphylococci)及び連鎖球菌属(streptococc
i)に対して用いた。肉汁培養液を、最終接種物が約104
集落形成単位/ml(CFU/ml)になるように希釈した。最
少抑制濃度(MIC)は、37℃で18〜24時間培養後、明白
な増殖を示さぬ最少濃度とみなす。式Iの典型的な化合
物の抗バクテリア試験の結果(MIC)を、生体内効力に
おけるデータと共に次の第VII表に示す。本化合物のED
50値(mg/kg)は、アリオリ(V.Arioli)等により、ジ
ヤーナル・オブ・アンチバイオテイクス(Journal of A
ntibiotics)29、511(1976)に記載された方法に従
い、化膿性連鎖球菌(S.pyogenes)L49で実験的に感染
させたマウスにおいて測定した際に得られた。
上記の抗微生物活性にかんがみて、本発明の化合物
を、該活性成分に敏感な病原バクテリアに起因する感染
病の予防及び処置に対する医薬及び獣医薬に使用する抗
微生物用調製物の活性成分として用いることができる。
かかる処置において、これらの化合物をそのまま、或
いはあらゆる割合における混合物の形態で用いることが
できる。
本発明の化合物を経口的、局部的または非経口的に投
与することができるが、しかしながら、非経口投与が好
ましい。投与経路に応じて、これらの化合物を種々な投
与形態に調製物化することができる。経口投与に対する
調製物はカプセル剤、錠剤、液状溶液または懸濁液の形
態であることができる。当該分野において公知の如く、
カプセル剤及び錠剤には、活性成分に加えて、普通の賦
形剤、例えば客希釈剤、例えばラクトース、リン酸カル
シウム、ソルビトール等、潤滑剤、例えばステアリン酸
マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、結合
剤、例えばポリビニルピロリドン、ゼラチン、ソルビト
ール、トラガカント、アラビアゴム、風味剤、並びに許
容し得る崩壊剤及び湿潤剤を含ませることができる。一
般に、水性または油性溶液または懸濁液における液体調
製物には普通の添加物、例えば懸濁剤を含ませることが
できる。局部的用途に対して、また本発明の化合物を鼻
及び咽喉の粘膜または肺組織を通して吸収するために適
する形態において調製することができ、有利には液体ス
プレーまたは吸入剤、ロゼンジ或いは咽喉塗布剤の形態
をとることができる。
目または耳の薬剤に対して、調製物は液体または半液
体形態であることができる。局部的施用物は軟膏、クリ
ーム、ローシヨン、塗布剤または粉剤の如き疎水性また
は親水性ベースに調製物化することができる。
肛門部投与のために、本発明の化合物を普通の賦形
剤、例えばココア乳脂、ロウ、鯨ロウまたはポリエチレ
ングリコール及びその誘導体と混合した坐剤の形態で投
与することができる。
注射用組成物は油状または水性賦形剤中の懸濁液、溶
液または乳液の形態であることができ、そして処方剤、
例えば懸濁剤、安定剤及び/または分散剤を含ませるこ
とができる。
また、活性成分は、適当な賦形剤、例えば無菌水で使
用時に再生するための粉剤形態であることができる。
投与する活性成分の量は処置する患者の大きさ及び症
状、投与の経路及び回数、並びに含まれる薬剤に依存す
る。
一般に、本発明の化合物は活性成分約0.5乃至30mg/kg
体重間からなる投薬量で有効であり、好ましくは1日に
2〜4回に分けて投与する。殊に好ましい組成物は約20
〜300mg/単位を含有する投与単位形態に調製したもので
ある。
製薬学的組成物の製造の典型的な例は次の通りであ
る: 非経口用溶液を、注射用の無菌水2mlに溶解した化合
物Ib 100mgを用いて調製する。
非経口用溶液を、注射用の無菌水3mlに溶解した化合
物2の250mgを用いて調製する。
局部用軟膏を化合物3の200mgポリエチレングリコー
ル400U.S.P.3.6g ポリエチレングリコール4000U.S.P.6.2g を用いて調製する。
薬剤としてのその活性に加えて、本発明の化合物は動
物生長促進剤として用いることができる。
この目的のために、1種またはそれ以上の本発明の化
合物を適当な飼料として経口的に投与する。使用する正
確な濃度は、飼料の正常量を消費する場合、生長促進有
効量で活性剤を与えるために必要な濃度である。
動物飼料に本発明の活性化合物の添加は、好ましくは
活性化合物の有効量を含有する適当な飼料予備混合物を
製造し、そしてこの予備混合物を完全飼料に配合するこ
とによつて行われる。
また、中間濃厚物または活性成分を含む飼料補助剤を
飼料中に配合することができる。
かかる飼料予備混合物及び完全飼料を製造し、そして
投与し得る方法は参考図書に記載されており[例えば
「アプライド・アニマル・ヌートリツシヨン」(“Appl
ied Animal Nutrition")、ダブリユ・エイチ・フリー
ドマン・アンド・カンパニイー(W.H.Freedman and C
o.)、サンフランシスコ(S.Francisco)、USA、1969、
または「ライブストツク・フイーズ・アンド・フイーデ
イング」(“Livestock Feeds and Feeding")、オー・
アンド・ビー・ブツクス(O and B Books)、カルバリ
ス(Corvallis)、オレゴン(Oregon)、USA、197
7)」、そして、これを本明細書に参照として加える。
式IIIの中間体のある物理−化学データを次の第VIII
表に示す。
次の表(第IX表)は分析結果、塩型、高速原子衝撃法
(FAB)質量スペクトルにおける(M+H)+ピーク、並びに
電位差分析及びHPLC分析結果を示す。
C、H、N、Clに対する分析結果は理論値の±0.4%
範囲内であつた。熱重量分析(TGA)によつて測定した
重量損失(溶媒含量)は常に約6〜7%であつた。酸素
雰囲気下にて900℃で測定した無機残渣は常に<0.3%で
あつた。分析結果は表中に示した塩型を示す。
FAB−MS正イオンスペクトルを、標準FAB源及び高磁場
を備えたKratos MS−50装置で記録した。飼料をチオグ
リセリン:ジグリセリン1:1(v/v)混合物に分散させ、
Xe原子の6−9KeVビームで衝撃した。
酸−塩基滴定(PK MCS)を2−メトキシエタノール(M
ethyl Cellosolve ):水4:1(v/v)中で、適量の0.01
N HClの添加後、0.01NaOHによつて行つた。示した当量
重量(EW)は溶媒含量及び無機残渣に対して補正した。
HPLCはRheodyneモデル7125の20μlループ注入器及び
UV検出器を備えたVarianモデル5000LCポンプによつて25
4nmで行つた。
カラム:Perisorb RP−8(30μm)(C−8脂肪族鎖
をもつシラン化したシリカゲル;Merck Co.)で充填した
プレカラム(5cm)、次にLi−Chrosorb RP−8(C−8
脂肪族鎖をもつシラン化したシリカゲル;10μm;Merck C
o.)で充填したステンレス・スチール製(250×4mm)カ
ラムHibar RT250−4(Merck)。
クロマトグラフ条件:溶離剤A、0.2%水性HCO2NH4
溶離剤B、100%CH3CN;流速2ml/分で、30分間にA中の
B15%から35%までの直線勾配溶離;注入20μl。最終
濃度約1mg/mlを得るために十分に希釈した溶液試料を注
入することによつて、反応を監視した。CH3CN:0.2%水
性HCO2NH4(または中間体IIIに対しては0.1N HCl)1:1
(v/v)混合物10ml中の各生成物10mgの溶液(20μl)
を注入することによつて、最終生成物をチエツクした。
以下の製造例及び実施例は本発明を更に説明するため
のものであり、本発明を限定するものと解釈してはなら
ない。
製造例1 42−α−D−マンノシル−56−N−アシル−β−D−グ
ココサミニル−35,52−ジデヒドロ−34−デオキシテイ
コプラニンアグリコン(中間体I)の製造 a)CH3OH1中の市販の85%KOH50g(0.75モル)の溶
液をDMF/DMSO3:2(v/v)混合物2.5l中のテイコプラニン
(水約15% w/w含有)23g(12ミリモル)の撹拌された
溶液に室温で滴下した。得られた懸濁液を室温で(反応
容器をソーダ石灰を含むバルブで密封した)24時間撹拌
した。10℃で48時間放置した後、メタノール1を加
え、生じた褐色の溶液を室温で2時間撹拌した。エーテ
ル1を添加して個体を分離し、これを捕集し、メタノ
ール1に懸濁させた。不溶性物質を捕集し、エーテル
1で洗浄し、真空下にてP2O5上で一夜室温で乾燥し、
対応するカリウム塩型で粗製の表題化合物21gを得た。
この粗製のカリウム塩7gをCH3CN/H2O1:2(v/v)混合
物400mlに溶解し、生じた濁つた溶液を氷酢酸でpH2.8に
し、次にシラン化されたシリカゲル(Silicagel 60、Me
rck Co.;0.06−0.2mm)25g及びブタノール500mlを加え
た。溶媒を減圧下で完全に蒸発させ、残拌を0.01M水性N
H4H2PO4中に同一のシラン化されたシリカゲル1.5kgを含
むカラムの上部に入れた。カラムを300ml/時の速度で3
時間にわたり0.5%水性酢酸中CH3CN10%から70%までの
直線勾配溶離で展開した。各25mlのフラクシヨンを捕集
し、HPLCによつてチエツクした。表題の複合体の5種の
純粋な成分を含むフラクシヨンをプールし、ブタノール
を加え、この混合物をCH3CN及びH2Oの双方が完全に除去
されるまで濃縮した。1NHCl 5mlを加え、この溶液を少
容量に濃縮した。次に酢酸エチルを加えて個体を沈殿さ
せ、これを濾過によつて捕集し、エーテルで洗浄し、真
空下にて室温で一夜乾燥し、表題化合物の純粋な塩酸塩
5.04gを得た。
b)分子内塩の製造 H2O/CH3CN 2:1(v/v)混合物200ml中の上記塩酸塩
1.7g(1ミリモル)の溶液を0.1N NaOHでpH6に調節し
た。ブタノール80mlを加えた後、混合物を約40mlの最終
容量に濃縮した。個体が分離し、これを濾過によつて捕
集し、水50ml及びアセトン/エチルエーテル1:2(v/v)
混合物で洗浄し、真空下にて室温(P2O5上)で48時間乾
燥し、分子内塩として表題の化合物1.4gを得た。
製造例2 42−α−D−マンノシル−35,52−ジデヒドロ−34−デ
オキシ−テイコプラニンアグリコン(中間体II)の製造 a)抗生物質L17054から メタノール200mlの市販の85%KOH1.8gの溶液をDMF/DM
SO 3:2(v/v)混合物300ml中の抗生物質L170541.1g
(0.7ミリモル)の撹拌された溶液に室温で加えた。生
じた懸濁液を室温で30時間撹拌し、次にエチルエーテル
800mlを加えた。沈殿物を捕集し、エーテルで洗浄し、
真空下にて室温で一夜撹拌し、カリウム塩として粗製の
表題化合物1.2gが得られ、このものを、シラン化された
シリカゲル750gを充填したカラムで、中間体Iに対して
上に述べた条件で、但し、250ml/時の速度で24時間にわ
たり、水中のアセトニトリル5%から35%までの直線勾
配溶離法によつて溶離するカラムクロマトグラフイーに
よつて精製した。表題の純粋な化合物を含むフラクシヨ
ンをプールし、上記製造例に述べた如くして処理した。
アセトニトリル及び水の双方を除去した後、生じたブタ
ノール性溶液に1N HCl 1mlを加え、これを約40mlの最
終容量に濃縮した。エーテルを加えて個体を分離し、濾
過によつて捕集し、エーテルで洗浄し、真空下にて35℃
で一夜乾燥し、表題化合物の塩酸塩0.6gを得た。
b)中間体Iから i)90%水性トリフルオロ酢酸(TFA)60ml中の上記製
造例1の方法に従つて得られた如き中間体I 5g(3ミ
リモル)の溶液を5℃で10分間、そして室温で90分間撹
拌した。次にエチルエーテル240mlを加え、分離した沈
殿物を捕集し、メタノール200mlに再溶解した。不溶性
物質を濾別し、濾液を減圧下で少容量に濃縮した。エー
テルを加えて個体を分離し、これを捕集し、エーテルで
洗浄し、真空下にて35℃で一夜乾燥し、表題化合物の純
粋なトリフルオロアセテート3.96gを得た。
ii)90%水性TFA100ml中の粗製の中間体Iカリウム塩
(HPLCによりピーク面積の百分率として表わしたタイタ
ー85%;不純物ははつきりしない副生成物による)6g
(3ミリモル)の溶液を0℃で15分間、そして室温で2
時間撹拌した。溶媒を減圧下にて室温で完全に蒸発させ
た。油状残渣をH2O:CH3CN1:1(v/v)混合物150mlに溶
解し、生じた溶液を水300mlで希釈し、0.5%水性HCO2NH
4:CN90:10(v/v)混合物中にシラン化されたシリカゲル
750gを含むカラムの上部に加えた。カラムをまずH2O:C
H3CN85:15(v/v)混合物500mlで洗浄し、次に250ml/時
の速度で24時間にわたり、0.001N HCl中のアセトニト
リル15%から30%までの直線勾配溶離で展開し、一方、
各25mlフラクシヨンを捕集した。表題の純粋な化合物を
含むフラクシヨンをプールした。存在する一部結晶性の
生成物を捕集し、アセトニトリル/エチルエーテル1:2
(v/v)混合物で洗浄し、真空下にて室温で一夜乾燥し
(P2O5上)、分子内塩として表題の純粋な化合物0.85g
を得た。最終的に乾燥ブタノール性懸濁液約200mlが得
られるように十分なブタノールを加えた後、母液を濃縮
した。1N HCl3mlを加えた後、透明な溶液を生じ、これ
を減圧下で少容量に濃縮した。エチルエーテルを加え、
個体を分離し、濾過によつて捕集し、エーテルで洗浄
し、真空下にて室温で一夜乾燥(KOHペレツト上)、表
題化合物の純粋な塩酸塩2.3gを得た。
製造例3 35,52−ジデヒドロ−34−デオキシ−テイコプラニンア
グリコン(中間体III)の製造 a)中間体Iから ジメトキシエタン(DME)50ml中の中間体I(製造例
1参照)0.6gの撹拌された懸濁液中に乾燥HClを徐々に
吹き込み、一方、内部温度を15〜20℃に保持した。透明
な溶液が2、3時間後に生じ、次にこのものを減圧下で
蒸発乾固させた。残渣をH2O:CH3CN75:25(v/v)混合物
100mlに溶解し、得られた溶液をH2O中のシラン化したシ
リカゲル100gのカラムの上部に加えた。このカラムを15
0ml/時の速度で20時間にわたり、0.001N HCl中のCH3CN
25%から60%までの直線勾配溶離で展開し、一方、各15
mlフラクシヨンを捕集した。純粋な中間体IIIを含むフ
ラクシヨンをプールし、最終的に乾燥ブタノール溶液約
100mlが得られるように十分なブタノールを加えた後、
濃縮した。乾燥塩化水素性エチルエーテル300mlを加え
て個体を分離し、これを捕集し、エーテルで洗浄し、真
空下にて室温で48時間撹拌し(KOHペレツト上)、塩酸
塩として表題化合物0.35gを得た。
b)中間体IIから ジメトキシエタン(DME)100ml中の中間体II(製造例
2参照)3gの撹拌された懸濁液に96〜98%H2SO425mlを
0℃に冷却しながら滴下した。生じた溶液を室温で5時
間撹拌し、次にエーテル250mlを加え、分離した個体を
捕集し、エーテルで洗浄し、真空下にて室温で一夜乾燥
し、硫酸塩として表題化合物2.5gを得た。
実施例1:化合物1(a〜e)の製造 (方法A1) DMF:CH3OH、2:1(v/v)混合物1.5l中のテイコプラニ
ンA210g(約5ミリモル)の撹拌された溶液に、水素化
ホウ素ナトリウム[各々約0.4gのペレツト、アルドリツ
チ(Aldrich)]100gを5℃〜14℃で加えた。10℃〜15
℃で6時間、そして20℃〜25℃で120時間撹拌した後、
反応混合物を、5℃〜10℃に冷却しながら、メタノール
3l中の氷酢酸160mlの溶液中に注いだ。得られた溶液を
減圧下にて45℃で約150mlの容量に濃縮し、沈殿物を濾
別した。次に濾液を減圧下にて50℃で蒸発乾固させた。
無機塩並びに表題化合物及び対応する35,52−ジデヒド
ロ誘導体の混合物[U.V.示差タイトレーシヨン(differ
ential titration)及び1H−H.M.R.スペクトから比6:
4]約50%を含む残渣(約19g)をジメチルホルムアミド
(400ml)中の37%塩酸(126ml)の冷(0℃〜5℃)溶
液に再溶解した。Zn粉末(33g)を加えた後、生じた混
合物を20℃〜22℃で1時間撹した。この間、35,52−ジ
デヒドロ誘導体はより好脂性誘導体に完全に転化され、
一方、表題化合物は末変化であつた。次に不溶性物質を
濾別し、濾液に水1.5lを加えた。n−ブタノール1.5lで
抽出した後、有機層を水(2×500ml)で洗浄し、次にI
N水酸化ナトリウムでpH6にし、減圧下にて45℃で少容量
(約100ml)に濃縮した。この濃縮した濁つたブタノー
ル性溶液をはげしく撹拌しながらCH3CN:H2O 2:8(v/
v)混合物1中に注ぎ、得られた溶液を0.1N塩酸でpH3
にし、同一溶媒混合物[CH3CN:H2O 2:8(v/v)]中の
シラン化したシリカゲル(0.063−0.2mm;Merck)1.4kg
のカラムに加えた。このカラムを約400ml/時の流速で20
時間にわたり、0.001N塩酸中のアセトニトリル20%から
70%までの直線勾配溶離で展開し、一方、HPLCで監視し
て各20mlフラクシヨンを捕集した。表題化合物の純粋な
成分1〜5またはその混合物を含むフラクシヨンをプー
ルし、2倍容量のn−ブタノールを加えた。得られた混
合物を減圧下にて35℃で少容量(約100ml)に濃縮し、
そしてエチルエーテル(300ml)を加えた。分離した固
体を濾過によつて捕集し、エチルエーテル(200ml)で
洗浄し、真空下にて室温で一夜乾燥し、化合物1(a〜
e)、塩酸塩0.79g(約8.5%)を得た。
上記の逆相カラムクロマトグラフイーから別個に成分
1a、1b,1c、1d及び1eを捕集するか、或いは該複合体の
代りに、テイコプラニンA2の成分1〜5のいずれかから
出発して、対応する単一成分(即ち、化合物1a、1b、1
c、1dまたは1e)が純粋な状態で得られた。
実施例2:化合物2の製造 a)テイコプラニンA2から(方法A2) DMF:CH3OH 1:1(v/v)混合物200ml中のテイコプラニ
ンA210g(約5ミリモル)の撹拌された溶液に、水素化
ホウ素ナトリウム(各々約0.5gのペレット、Aldrich)7
5gを0℃〜5℃で加えた。反応混合物を5℃〜10℃で3
時間、そして室温で24時間撹拌し、次に10℃〜15℃に冷
却し且つ撹拌しながら、CH3CN(1)中の氷酢酸(150
ml)の溶液中に注いだ。得られた溶液を減圧下にて45℃
で約200mlの容量に濃縮し、生じた沈殿物を濾別した。
水100mlを加えた後、濾液(HPLCにより、本質的に表題
化合物を含有する)を5%Pd/C 5gの存在下において室
温及び常圧下で30分間水素添加した(H2約200mlを吸収
した)。次に同一触媒5gを加え、水素添加を上記同一条
件下で約40分間続けた(更にH2220mlを吸収した)。触
媒をセライト(Celite)BDH−545濾過助剤(20g)のパ
ネルを通して濾別し、濾液を減圧下にて50℃で少容量
(約50ml)に濃縮した。酢酸エチル(450ml)を加え、
分離した固体を捕集し、エーテル(200ml)で洗浄し、C
H3CN:H2O 1:1(v/v)混合物200mlに再溶解した。シラ
ン化したシリカゲル(0.063−0.2mm;Merck)50g及び水8
00mlをはげしく撹拌しながら加えた後、得られた懸濁液
を水中の同一シリカゲル1.4kgのカラムの上部に加え
た。カラムを600ml/時の速度で10時間にわたり、0.001N
HCl中の10%CH3CNから0.01N HCl中の60%CH3CNまで
の直線勾配溶離で展開し、一方、HPLCで分析しながら各
25mlフラクシヨンを捕集した。表題の純粋な化合物を含
むフラクシヨンをプールし、最終的に乾燥ブタノール性
の濁つた溶液約60mlが得られるように十分なn−ブタノ
ールを加えた後、減圧下にて25℃で濃縮した。エチルエ
ーテル(約240ml)を加え、分離した固体を濾過によつ
て捕集し、エーテル100mlで洗浄し、真空下にて40℃で
一夜乾燥し、塩酸塩として表題化合物0.76gを得た。化
合物2を純粋でない状態で含む上記のフラクシヨンをプ
ールし、そして実質的に上記の如く処理して、化合物2
の他の収穫物が得られた。
上記の逆相カラムクロマトグラフイーから別個に成分
1b、1c、1d及び1eを捕集し、上記の如く処理し、単一成
分1b、1c、1d及び1eが得られた。テイコプラニンA2の成
分のいずれかより出発して、対応する純粋な誘導体が得
られた、但し、上記の条件下で、テイコプラニンA2成分
1は常に化合物1cを生成した。
b)中間体Iから(方法B) CH3CN:0.04N HCl 7:3(v/v)混合物300ml中の中間
体I(製造例1参照)3.4g(約2ミリモル)の溶液を5
%Pd/C(1.5g)の存在下において室温及び常圧下で水素
添加した。30分後、H2約57mlを吸収し、次に同一触媒2g
を加え、水素添加を上記の条件下で続けた。H270mlを吸
収した際、触媒をセライトBDH−545濾過助剤上で濾過し
て除去した。水200ml及びn−ブタノール400mlを加えた
後、濾液を真空下にて25℃で濃縮し、ほとんどのメタノ
ールを蒸発させた。有機層を分離し、真空下にて25℃で
少容量(約50ml)に濃縮した。酢酸エチル(350ml)を
加え、分離した固体を濾過によつて捕集し、エーテル
(100ml)で洗浄し、真空下にて40℃で一夜乾燥し、塩
酸塩として表題化合物2.5gを得た。
実施例3:化合物3の製造 a)抗生物質L17054から(方法A2) 実質的に実施例2a)に述べた方法に従つて、抗生物質
L17054から同様な収率(約8%)で、対応する塩酸塩と
して表題の化合物が得られた。唯一の相違は次の如く分
子内塩として単離する第二の収穫物の製造である。不純
な表題化合物を含むフラクシヨン(実施例2a)に述べた
如き逆相カラムクロマトグラフイーによる)をプール
し、ほとんどのアセトニトリルを減圧下にて40℃で蒸発
させた。生じた水性懸濁液を濾過し、濾液を37%塩酸で
pH約1.2にした。6℃で一夜放置した後、生じた沈殿物
を濾過によつて捕集し、CH3CN:H2O 1:1(v/v)混合物
に再溶解し、約1g/50mlの濃度にした。得られた溶液を1
N NaOHでpH約5.9にし、アセトニトリルを真空下にて40
℃で蒸発させた。生じた水性懸濁液から濾過によつて分
子内塩として純粋な表題化合物(収率約14%)を捕集し
た。
b)中間体IIから(方法B) 中間体II(製造例2参照)の触媒的水素添加を本質的
に実施例2b)に述べた条件下で行い、ほぼ同様な収率
(約70%)で、塩酸塩として表題化合物を得た。この場
合、最終生成物を、触媒の除去後、溶媒を蒸発させ、残
渣をアセトン及びエーテルと共に砕解することによつ
て、直接回収した。
c)化合物1または化合物2から(方法c) 90%水性トリフルオロ酢酸100ml中の化合物1(実施
例1参照)または化合物2(実施例2参照)5g(約3ミ
リモル)の溶液を約90分間にわたり室温で撹拌した。次
にエーテル300mlを加え、沈殿物を捕集し、メタノール3
00mlに再溶解した。不溶性物質を濾別し、濾液を真空下
にて35℃で少容量(約20ml)に濃縮した。エーテル(80
ml)を加え、分離した固体を濾過によつて捕集し、エー
テル(100ml)で洗浄し、真空下にて40℃で一夜乾燥
し、トリフルオロアセテートとして純粋な表題化合物3.
8gを得た。
実施例4:化合物4の製造(方法D) a)化合物1または2から 1,2−ジメトキシエタン100ml中の化合物1または化合
物21.7g(約1ミリモル)の撹拌された懸濁液に、温度
を20℃〜25℃に保持しながら、乾燥HClを徐々に吹き込
んだ。2、3分以内に透明な溶液を生じ、約7時間後、
溶媒を減圧下にて50℃で蒸発させた。残渣を実施例2bに
述べた如くして、逆相カラムクロマトグラフイーによつ
て精製し、塩酸塩として表題化合物0.7gを得た。
b)化合物3から 反応を上記(実施例4a参照)の如き同一条件下で、但
し、化合物3(実施例3参照)1.4g(約1ミリモル)か
ら出発して、6時間行つた。粗製の生成物を回収し、逆
相カラムクロマトグラフイーによつて精製し(上記参
照)、塩酸塩として表題化合物0.9gを得た。
本発明の主なる特徴及び態様は以下のとおりである。
1.式I 式中、 Aは水素を表わすか、またはOAはN−[(C10〜C11
脂肪族アシル]−β−D−2−デオキシ−2−アミノグ
ルコピラノシルを表わし、 Mは水素を表わすか、またはOMはα−D−マンノピラ
ノシルを表わし、ただし、Mが水素を表わす場合には、
Aも水素を表わすものとする、 の34−デ−(アセチルアミノグルコピラノシル)−34−
デオキシテイコプラニン誘導体及びその付加塩。
2.OA及びOMが上記1に定義した糖部分を表わす上記1に
記載の化合物。
3.OAがβ−D−2−デオキシ−2−(8−メチルノナノ
イル)アミノグルコピラノシルを表わし、そのOMがα−
D−マンノピラノシルを表わす上記1に記載の化合物。
4.A及びMが水素を表わす上記1に記載の化合物。
5.式III 式中、 Aは水素を表わすか、またはOAはN−[(C10〜C11
脂肪族アシル]−β−D−2−デオキシ−2−アミノグ
ルコピラノシルを表わし、 Mは水素を表わすか、またはOMはα−D−マンノピラ
ノシルを表わし、ただし、Mが水素を表わす場合には、
Aも水素を表わすものとする、 の化合物を水性アルコール性媒質中で接触水素添加する
ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の化合物、
但し、OAがβ−D−2−デオキシ−2−((Z)−4−
デセノイル)アミノグルコピラノシルを表わす化合物は
除外する、の製造方法。
6.反応温度が室温であり、そして圧力が周囲圧である上
記5に記載の方法。
7.水素添加触媒が随時適当な担体に担持されていてもよ
い遷移金属または遷移金属誘導体である上記5に記載の
方法。
8.水素添加触媒を硫酸バリウムに担持させたパラジウ
ム、チヤーコールに担持させたパラジウム、アルミナに
担持させたパラジウム、炭酸カルシウムに担持させたパ
ラジウム、白金、酸化白金及びチヤーコールに担持させ
たロジウムから選ぶ上記5に記載の方法。
9.水素添加触媒をチヤーコールに担持させた5%パラジ
ウム、チヤーコールに担持させた10%パラジウム、硫酸
バリウムに担持させた10%パラジウム、炭酸カルシウム
に担持させた5%パラジウム及びチヤーコールに担持さ
せた5%ロジウムから選ぶ上記5に記載の方法。
10.式II 式中、 Aは水素を表わすか、またはOAはN−[(C10〜C11
脂肪族アシル]−β−D−2−デオキシ−2−アミノグ
ルコピラノシルを表わし、Bは水素を表わすか、または
OBはN−アセチル−β−D−2−デオキシ−アミノグル
コピラノシルを表わし、Mは水素を表わすか、またはOM
はα−D−マンノピラノシルを表わし、ただし、Bは、
A及びMが同時に水素である場合にのみ、水素を表わす
ことができ、そしてMは、Aが水素である場合にのみ、
水素を表わすことができるものとする、の化合物、その
塩またはその混合物から、(C10〜C11)脂肪族アシル官
能基の不飽和化に影響を及ぼさない条件下で、任意の割
合においてN−アセチル−β−D−2−デオキシ−2−
アミノグルコピラノシル基を選択的に除去することを特
徴とするOAがβ−D−2−デオキシ−2−((Z)−4
−デセノイル)アミノグルコピラノシルを表わす場合の
化合物を含む上記1に記載の化合物の製造方法。
11.選択的除去を適当な媒質中で水素化ホウ素アルカリ
金属またはアルカリ土類金属のモル過剰量の存在下にお
いて行う上記10に記載の方法。
12.選択的除去を水素化ホウ素アルカリ金属またはアル
カリ土類金属、例えば水素化ホウ素リチウム、カリウ
ム、ナトリウムまたはカルシウム或いはシアノ水素化ホ
ウ素ナトリウムの存在下において行う上記10に記載の方
法。
13.反応媒質が有極性の非プロトン性溶媒及び有極性の
プロトン性溶媒の混合物である上記10に記載の方法。
14.反応媒質がジメチルホルムアミド及びメタノール、
1:1(v/v)混合物である上記13に記載の方法。
15.最終生成物を、このものをそれ自体公知の方法によ
つてより好脂性副生成物から分離する前に、温和な還元
剤で処理する上記10に記載の方法。
16.温和な還元剤が、水性酸溶液から水素を発生し得る
金属、或いは電気化学系において同様な標準還元電位を
有する他の酸化還元剤のモル過剰量を表わす上記15に記
載の方法。
17.温和な還元剤が水性鉱酸中の亜鉛またはスズである
上記15に記載の方法。
18.反応温度が室温である上記15に記載の方法。
19.最終生成物の分離をカラムクロマトグラフイーによ
つて行う上記15に記載の方法。
20.薬剤として使用する上記1、2、3または4に記載
の化合物。
21.抗微生物的用途に対する薬剤の製造における上記
1、2、3または4に記載の化合物の使用。
22.製薬学的に許容し得る担体との混合物として上記
1、2、3または4に記載の化合物を含有する製薬学的
組成物。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式I 式中、 Aは水素を表わすか、またはOAはN−[(C10〜C11)脂
    肪族アシル]−β−D−2−デオキシ−2−アミノグル
    コピラノシルを表わし、 Mは水素を表わすか、またはOMはα−D−マンノピラノ
    シルを表わし、ただし、Mが水素を表わす場合には、A
    も水素を表わすものとする、 の34−デ−(アセチルアミノグルコピラノシル)−34−
    デオキシテイコプラニン誘導体及びその付加塩。
  2. 【請求項2】式III 式中、 Aは水素を表わすか、またはOAはN−[(C10〜C11)脂
    肪族アシル]−β−D−2−デオキシ−2−アミノグル
    コピラノシルを表わし、 Mは水素を表わすか、またはOMはα−D−マンノピラノ
    シルを表わし、ただし、Mが水素を表わす場合には、A
    も水素を表わすものとする、 の化合物又はその付加塩を水性アルコール性媒質中で接
    触水素添加することを特徴とする、OAがβ−D−2−デ
    オキシ−2−((Z)−4−デセノイル)アミノグルコ
    ピラノシルを表わす場合の化合物以外の特許請求の範囲
    第1項記載の化合物の製造方法。
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