JPH0894866A - 導波路型光スイッチ及びその製造方法 - Google Patents

導波路型光スイッチ及びその製造方法

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JPH0894866A
JPH0894866A JP22980294A JP22980294A JPH0894866A JP H0894866 A JPH0894866 A JP H0894866A JP 22980294 A JP22980294 A JP 22980294A JP 22980294 A JP22980294 A JP 22980294A JP H0894866 A JPH0894866 A JP H0894866A
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JP
Japan
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slit
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matching liquid
liquid
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Application number
JP22980294A
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English (en)
Inventor
Makoto Sato
佐藤  誠
Hideo Kobayashi
英夫 小林
Shigeru Kawamata
繁 川又
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Hitachi Cable Ltd
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 屈折率整合液体がスリット内で分散して液切
れを起こさず、しかも光路を切り替えるとき以外無給電
で保持できる導波路型光スイッチ及びその製造方法を提
供すること。 【構成】 光が伝搬する略矩形状のコア11がコア11
より低い屈折率を有するクラッド12で覆われると共に
互いに交差した複数の光導波路と、光導波路の交差部に
コア11を切断して設けたスリット13と、コア11と
略等しい屈折率を有すると共にスリット13内に収容さ
れた屈折率整合液体14と、屈折率整合液体14をスリ
ット13内で移動させて光の伝搬方向を切り替える給排
手段16a,16b、17a,17bとを備えた導波路
型光スイッチにおいて、スリット13に、屈折率整合液
体14の移動時に生じる衝撃を緩和する緩衝構造を形成
したことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伝搬する光の光路の切
り替え又は遮断のために用いられる導波路型光スイッチ
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光通信システムが高度化するに伴い、低
挿入損失、低ストローク特性を有する空間分割型スイッ
チの必要性が高まってきている。
【0003】空間分割型光スイッチとして、先に本出願
人らは図5に示すような導波路型光スイッチを提案した
(特願平2−269489号)。図5(a)は、従来の
導波路型光スイッチの平面図、図5(b)は図5(a)
におけるA−A線断面図をそれぞれ示している。
【0004】導波路型光スイッチ1は、石英基板2と、
石英基板2上に形成されたバッファ層3と、バッファ層
3上に形成され、T字状に交差するコア4と、コア4よ
り低い屈折率を有すると共にコア4及びバッファ層3を
覆うように形成されたクラッド5と、コア4の分岐部4
aに約45度の角度で導波路の交差部分を切断して形成
されたスリット6と、スリット6の周囲のクラッド5の
上面に形成された給排手段としての薄膜ヒータ7と、薄
膜ヒータ7、スリット6及びクラッド5を覆うように容
器8内に収容されコア4の屈折率と略等しい屈折率を有
する屈折率整合液体9とで構成されている。
【0005】この薄膜ヒータ7に給電すると、スリット
6の極近傍だけが加熱され、スリット6内の屈折率整合
液体9aが気化する。コア4内を矢印L1 方向に伝搬す
る光は、このスリット6の壁面で反射し、直交するコア
へ曲げられて矢印L2 方向へ伝搬する。
【0006】薄膜ヒータ7への給電を停止すると、スリ
ット6の周辺は放熱により冷却され、気化していた屈折
率整合液体が凝結して液体に戻り、スリット6内は再び
屈折率整合液体で満たされるので、矢印L1 方向へ伝搬
する光は矢印L3 方向へ直進する。
【0007】以上のように導波路型光スイッチ1は、ス
リット6への屈折率整合液体9の供給及び排出動作を、
加熱冷却による液体の蒸発凝結によって行うことによ
り、高速のスイッチング動作を実現することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た導波路型光スイッチ1には次のような課題がある。
【0009】給排手段により屈折率整合液体9を狭いス
リット6内で急激に移動させると、スリット6の端部に
屈折率整合液体9が衝突して粒状に分散するキャビテー
ションが発生する。
【0010】このため、屈折率整合液体9がスリット6
内に多数分散して液切れの状態になり、光路の切り替え
ができなくなることがある。また、光通信システムでは
膨大な数の光スイッチを有するため、通常は消費電力が
「零」で、切り替えるときのみに電力を必要とする自己
保持機能を有する光スイッチが不可欠となる。しかし、
上述した導波路型光スイッチ1には自己保持機能につい
ての配慮がなされておらず、光路を切り替えて保持する
には薄膜ヒータ7への給電を連続させなければならな
い。このため、電力消費が大きく、経済性に問題があ
る。さらに、熱が蓄積して導波路型光スイッチ1全体が
高温になり、駆動させていない他の導波路型光スイッチ
に影響を及ぼし、誤動作の原因になる。
【0011】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、屈折率整合液体がスリット内で分散して液切れを起
こさず、しかも光路を切り替えるとき以外無給電で保持
できる導波路型光スイッチ及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、光が伝搬する略矩形状のコアがコアより低
い屈折率を有するクラッドで覆われると共に互いに交差
した複数の光導波路と、光導波路の交差部にコアを切断
して設けたスリットと、コアと略等しい屈折率を有する
と共にスリット内に収容された屈折率整合液体と、屈折
率整合液体をスリット内で移動させて光の伝搬方向を切
り替える給排手段とを備えた導波路型光スイッチにおい
て、スリットに、屈折率整合液体の移動時に生じる衝撃
を緩和する緩衝構造を形成したものである。
【0013】本発明の導波路型光スイッチはスリット
を、端部に向かってテーパ状に狭く、あるいは端部の一
部が狭く形成したものである。
【0014】本発明の導波路型光スイッチはスリットの
両端部に屈折率整合液体で満たされた液溜をそれぞれ設
けると共にスリット内に屈折率整合液体を所定量だけ収
容し、両液溜内の液体が給排手段によって移動せずかつ
スリット内に収容された屈折率整合液体がスリット内を
移動するようにしたものである。
【0015】本発明の導波路型光スイッチはスリットが
形成されたクラッドを封止するための表面キャップとの
貼り合わせ面に、スリットを取り囲むような溝が少なく
とも1本形成したものである。
【0016】本発明の導波路型光スイッチは、次の(a)
〜(h) の工程で製造することができる。
【0017】(a) 一方の基板の表面に光導波路用ガラス
膜として、バッファ層、バッファ層より高い屈折率を有
するコア層、コア層より低い屈折率を有しコア層を覆う
クラッド層、を順次積層する工程、(b) クラッド層の上
に、フォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィに
より光導波路をパターン化する工程、(c) ドライエッチ
ングプロセスにより、コア及びスリットを形成する工
程、(d) 他方の基板の表面に薄膜ヒータ用の金属膜を形
成する工程、(e) フォトリソグラフィにより給排手段と
しての発熱体、電極及び配線をパターン化する工程、
(f) ドライエッチングにより電極及び配線を形成する工
程、(g) スリットに屈折率整合液体を所定量だけ収容す
る工程、(h) 両基板の機能部を有する面を減圧下で密封
する工程。
【0018】本発明の導波路型光スイッチは、両基板の
機能部を有する面を減圧下で密封する工程に、液体の表
面張力及び/または紫外線硬化樹脂を用いたものであ
る。
【0019】
【作用】上記構成によれば、屈折率整合液体を収容する
スリットが、端部に向かって狭くなるように形成されて
いるので、屈折率整合液体の粘性をスリットの端部に向
かって増大させるのに等しくなり、スリット内に減圧封
止されている屈折率整合液体を給排手段により急激に移
動させても、この屈折率整合液体がスリットの端部に近
付くに従って減速されるため、端部の壁面に衝突する衝
撃波によって屈折率整合液体が粒状に分散することがな
い。また、スリットの端部に屈折率整合液体を収容した
液溜を形成したので、スリット内に減圧封止されている
屈折率整合液体を給排手段により急激に移動させても、
液溜に収容された屈折率整合液体が移動時に発生する衝
撃が緩和される。スリットの端部において、屈折率整合
液体がクラッドの壁面に接する表面積が、クラッドの壁
面に接していない表面積より大きいため、表面張力に大
きな差が生じ、これが保持力として屈折率整合液体が安
定に保持される。スリットは端部に向かってテーパ状に
狭く形成されているので、表面積を小さくしようとする
液体の性質により、給排手段を停止しても液体が端部に
向かって移動し続け、スリットの途中に孤立した液体が
残るのを防ぐことができる。この他、スリットの周囲に
リング状の封止溝を形成し、液体介在させた2枚の基板
を貼り合わせる際、間隔が狭い部分と封止溝の広い部分
とが設けられていることにより、液体の表面張力差を大
きくすることができ、減圧空間での密封を容易に行うこ
とができる。
【0020】給排手段が屈折率整合液体をスリットのス
リーブ内に供給すると、スリットの表面における屈折率
差がなくなり、光導波路内の光はスリットを直進する。
給排手段によってスリットの端部に移動した屈折率整合
液体は表面張力によってスリット内に保持されるので、
給排手段が供給を停止してもスイッチングの状態を保持
する。逆に給排手段が光導波路のスリットのスリーブ内
から屈折率整合液体を他端に排出すると、スリットの表
面における屈折率差が大きくなり、光導波路内の光が反
射されて分岐方向に曲げられ、スイッチングの状態が反
転する。この場合、給排手段が排出を停止しても屈折率
整合液体は表面張力によってスリットの端部に保持され
る。
【0021】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づい
て詳述する。
【0022】図1は本発明の導波路型光スイッチの一実
施例の平面図である。
【0023】光導波路は、石英基板10の上に、屈折率
が異なる複数のSiO2 の層を重ねた構造を有してお
り、光が伝搬するコア11と、コア11を覆う低屈折率
のクラッド12とを有している。光導波路は、3つの枝
路11a〜11cを有しており、枝路11a,11bは
直線上に、枝路11cは枝路11a,11bに略直交す
るように配置されている。これら3つの枝路11a〜1
1cで略T字形状の分岐部11dが形成されている。分
岐部11dには、コア11を切断すると共に枝路11a
と枝路11cの双方に例えば約45度の傾斜を有するス
リット13が形成されている。スリット13は、端部に
向かって狭くなっており、コア11及びクラッド12を
石英基板10に対して垂直に切断するように形成されて
緩衝構造を構成している。スリット13には、屈折率整
合液体14が半分程収容されている。屈折率整合液体1
4は、光導波路を構成するコア11の屈折率に略等しい
屈折率を有する液体である。石英基板10上のクラッド
12は、表面キャップ用基板15で覆われており、この
表面キャップ用基板15には、給排手段としての薄膜ヒ
ータ16a,16bと電極及び配線17a,17bが形
成されている。石英基板10と表面キャップ用基板15
とが、減圧空間で、スリット13と薄膜ヒータ16a,
16bとが向かい合うように貼り合わせることにより導
波路型光スイッチ18が形成される。
【0024】この導波路型光スイッチ18は、薄膜ヒー
タ16a,16bのいずれか一方に給電することができ
るようになっている。閉空間のスリット13内に収容さ
れている屈折率整合液体14は、スリット内の一端のス
リーブ側から他端のスリーブ側に移動自在になっている
と共に、屈折率整合液体14の移動に伴ってコア11の
枝路11a,11bの切断面が屈折率整合液体14で覆
われたり、露出したりするようになっている。
【0025】次に実施例の作用を述べる。
【0026】まず、一方の薄膜ヒータ16aだけに給電
することにより、薄膜ヒータ16aが発熱し、この熱に
よってスリット13の一端のスリーブ側に収容されてい
る屈折率整合液体14が他端のスリーブ側に急激に移動
を開始するが、スリット13の幅が端部に向かって狭く
形成されて緩衝構造となっているため、屈折率整合液体
14の速度は徐々に減速されて端部に到達し、この結果
コア11の枝路11a,11bの切断面が屈折率整合液
体14で覆われて没することになる。枝路11a,11
bが屈折率整合液体14に没することによって、枝路1
1a,11bとスリット13との屈折率差がなくなり、
矢印L11方向から枝路11aに入射した光は、枝路11
bを介して矢印L12方向へ直進する。
【0027】ここで、薄膜ヒータ16aへの給電を停止
すると、スリット13の他端のスリーブ側に移動した屈
折率整合液体14は表面張力の差によってその位置で保
持され、枝路11aから分岐部11dに入射した光は、
依然として矢印L12方向へ直進する。
【0028】次に、他方の薄膜ヒータ16bだけに給電
することにより、薄膜ヒータ16bが発熱し、この熱に
よってスリット13の他端のスリーブ側に移動した屈折
率整合液体14が他端のスリーブ側から排出されて一端
のスリーブ側に移動し、スリット13内の枝路11a,
11bが露出する。枝路11a,11bが屈折率整合液
体14から露出すると、矢印L11方向から枝路11aに
入射した光の方向は、屈折率の差によってスリット13
の壁面で反射され、直交する枝路11cへ切り替えられ
矢印L13方向へ進む。この薄膜ヒータ16bへの給電を
停止しても液体の表面張力により、屈折率整合液体14
は移動したスリット13の端部に保持される。この結
果、スリット13のスリーブ内に屈折率整合液体14が
無い状態が持続される。このため、無給電状態で矢印L
11方向に枝路11aに入射した光は、依然としてスリッ
ト13の内壁で反射して枝路11cを介して矢印L13
向に出射され続ける。
【0029】以上において本発明の光導波路型スイッチ
は、スリット13の一方のスリーブから他方のスリーブ
への屈折率整合液体14の給排動作を、スリット13上
に設けたいずれか一方の薄膜ヒータ16a(16b)に
給電することにより、高速でスイッチング動作を行うこ
とができ、かつ、屈折率整合液体14の表面張力を利用
した保持力で屈折率整合液体14を保持する、自己保持
機能を有する。
【0030】したがって屈折率整合液体がスリット内で
分散して液切れを起こさず、しかも光路を切り替えると
き以外無給電で保持できる導波路型光スイッチを実現す
ることができる。
【0031】次に導波路型光スイッチの製造方法につい
て述べる。
【0032】図2は本発明の導波路型光スイッチの製造
方法を示す図である。
【0033】まず、一方の基板としての石英基板10に
化学的気相成長法(熱CVD、プラズマCVD等)、ス
パッタリング法、電子ビーム蒸着法、火炎堆積法等を用
いて、コア11より屈折率の低いSiO2 膜からなる厚
さ約10μmのバッファ層19を形成する。SiO2
上に屈折率制御用添加物TiO2 ,GeO2 等の不純物
をドープした厚さ約8μmのコア層20を形成する。そ
の後、フォトリソグラフィの手法を用いて直交する光導
波路の枝路11a〜11cのパターン形成を行い、エッ
チングガスにCHF3 を用いた反応性ドライエッチング
(RIE)によってエッチングし、厚さ幅共に約8μm
のコア11を形成する(図2(a))。
【0034】SiO2 に屈折率制御及びガラス軟化点調
節用添加物P2 5 ,B2 3 等をドープして得られる
厚さ約20μmのクラッド(コア11より低い屈折率を
有する)12を、化学的気相成長法によってコア11及
びバッファ層19の上に形成する。
【0035】コア11の分岐部11dにフォトリソグラ
フィの手法でスリット13のパターンを形成し、反応性
ドライエッチングによって両端側が狭いテーパ状のスリ
ット13を形成する。これとともにスリット13を取り
囲むように、スリット13の周囲に溝12aを形成する
(図2(b))。
【0036】次に他方の基板としての石英ガラスからな
る表面キャップ用基板15上に、スパッタリングを用い
て薄膜ヒータ16a,16b用の抵抗体としてCrと、
電極及び配線17a,17b用の導体としてAuとをそ
れぞれ厚さが約0.5μmになるように積層膜を形成す
る。薄膜ヒータ16a,16bがスリット13の真上の
位置に配置されるようにフォトリソグラフィでパターン
を形成する。その後、まずAu膜を反応性ドライエッチ
ングでエッチングして電極及び配線17a,17bを形
成する。Cr膜をエッチングすることにより薄膜ヒータ
16a,16bが形成される(図2(c))。
【0037】その後、石英基板10と表面キャップ用基
板15とを各々チップ状に切断する。
【0038】石英基板10に形成されたスリット13内
に屈折率整合液体14として粘性の低いシリコンオイル
を、スリット13の容積の約1/3に分注して収容す
る。その後、光導波路が設けられたチップ状の石英基板
10と、薄膜ヒータ16a,16bと電極及び配線17
a,17bが形成された面に比較的粘性の高いシリコン
オイルを塗布した表面キャップ用基板15とを、機能部
(スリット13及び薄膜ヒータ16a,16b)を有す
る面が向かい合うように(図2(c)に示した表面キャ
ップ用基板15を裏返して)約1Paの減圧空間で貼り
合わせる。その後、チップ状の石英基板10と表面キャ
ップ用基板15の周辺部とを紫外線硬化樹脂21で封じ
て固定する(図2(d))。さらにその後、枝路11a
〜11cに光ファイバを取り付け、配線17a,17b
に給電用リード線を取り付けて導波路型光スイッチ18
が形成される。
【0039】上述のように製造された導波路型光スイッ
チは、スリットに、屈折率整合液体の移動時に生じる衝
撃を緩和する緩衝構造を形成したので、屈折率整合液体
がスリット内で分散して液切れを起こさず、しかも光路
を切り替えるとき以外無給電で保持できる。
【0040】図3は本発明の導波路型光スイッチの他の
実施例の平面図である。
【0041】図1に示した実施例との相違点は、スリッ
ト30の両端に液溜31a,31bが形成されている点
である。これらの液溜31a,31bは、スリット30
を形成するときに、同時にスリット30の両端にスリッ
ト30に連通する空間を形成し、両空間に屈折率整合液
体32a,32bを満たすことにより形成される。スリ
ット30内の一端部には所定量の屈折率整合液体32c
が収容されている。スリット30上には両液溜31a,
31bから離れた位置に2つの薄膜ヒータ33a,33
bが設けられている。
【0042】このような導波路型光スイッチの一方の薄
膜ヒータ33aに電極及び配線34aを介して給電する
と、閉空間のスリット30に収容した屈折率整合液体3
2cは、一方の薄膜ヒータ33aが設けられている位置
から他端部に向かって移動し、液溜31aには屈折率整
合液体32aが残っている。
【0043】一方、移動した屈折率整合液体32cは他
端部の液溜31bの屈折率整合液体32bと一体化す
る。ここで薄膜ヒータ33aの給電を停止しても液溜3
1bの屈折率整合液体32bはコア11やクラッド12
のガラス壁面と接している面が大きいため、屈折率整合
液体32bの表面張力差により、スリット30の端部に
強く保持されている。液溜31b内の屈折率整合液体3
2bは、表面張力により移動中の屈折率整合液体32c
を誘引するので、液溜31b内の屈折率整合液体32b
と一体化した屈折率整合液体32cはより強く自己保持
される。すなわち、液溜31b(31a)は緩衝材とし
て機能しており、スリット30は緩衝構造を有している
のである。
【0044】このとき枝路11aと枝路11cとの間は
屈折率整合液体32cで満たされているため、枝路11
aに矢印L31方向から入射した光は、スリット30を透
過して枝路11bを経て矢印L32方向に進む。
【0045】これとは逆に他方の薄膜ヒータ33bに電
極及び配線34bを介して給電すると、屈折率整合液体
32cは他方の薄膜ヒータ33bが設けられている位置
から一端部に向かって移動し元の位置に保持される。こ
のため枝路11aと枝路11bとの間には屈折率整合液
体32cが無くなり、空間で遮断されるので矢印L31
向から枝路11aに入射した光はスリット30の壁面で
反射して枝路11cを経て矢印L33方向に出射する。
【0046】以上において、本実施例によれば薄膜ヒー
タ33a,33bのいずれか一方に給電することによ
り、屈折率整合液体32cがスリット30内で分散して
液切れを起こさず、しかも光路を切り替えるとき以外無
給電で保持できる。
【0047】図4は本発明の導波路型光スイッチのさら
に他の実施例の平面図である。
【0048】図1に示した実施例との相違点は、スリッ
ト40の端部の一部を狭く形成した点である。
【0049】導波路型光スイッチの一方の薄膜ヒータ4
1aに電極及び配線42aを介して給電すると、一端部
に位置した屈折率整合液体43は、他端部に向かって移
動するが、スリット40の端部の狭くなった部分で減速
されると共にその端部で保持される。すなわち、このス
リット40の端部の狭くなった部分が緩衝材として機能
するのである。
【0050】ここで薄膜ヒータ41aの給電を停止して
も屈折率整合液体43は表面張力によって端部に強く保
持される。このため上述した実施例と同様に枝路11a
と枝路11bとの間は屈折率整合液体43で満たされて
いるので、矢印L41方向から枝路11aに入射した光は
スリット40を透過して枝路11bを介して矢印L42
向に出射する。
【0051】他方の薄膜ヒータ41bに電極及び配線4
2bを介して給電すると、他端部に位置した屈折率整合
液体43は、一端部に向かって逆方向に移動し、スリッ
ト40の端部の狭くなったところで減速されると共にそ
の端部に保持される。このため枝路11aと枝路11b
との間には屈折率整合液体43が無くなり、空間で遮断
されるので矢印L41方向から枝路11aに入射した光は
スリット40の壁面で反射して枝路11cを経て矢印L
43方向に出射する。
【0052】以上において、本実施例によれば薄膜ヒー
タ41a,41bのいずれか一方に給電することによ
り、屈折率整合液体43がスリット40内で分散して液
切れを起こさず、しかも光路を切り替えるとき以外無給
電で保持できる。
【0053】尚、本実施例ではスリット40の端部の狭
い部分と広い部分とを別々に加熱した場合で説明した
が、薄膜ヒータ41a,41bをスリット幅に応じて個
別に加熱量を制御するようにしてもよい。この場合スリ
ットの幅(容積)に応じて加熱されるので、屈折率整合
液体の加熱不足や加熱過剰を防止することができ、故障
や誤動作を防止することができる。
【0054】尚、本実施例では、給排手段としてヒータ
を用いて屈折率整合液体の蒸気圧力による駆動の場合に
ついて述べたが、これに限定されるものではなく、例え
ば静電力やローレンツ力等屈折率整合液体をスリーブに
給排させることができれば他の手段を用いてもよい。
【0055】また、本実施例では、屈折率整合液体及び
封止用液体として、シリコンオイルを用いた場合で説明
したが、例えば屈折率整合液体としてエチルアルコール
や水等の光の透過性の高い液体を用い、封止用液体とし
て比較的粘性の高い不揮発性の真空封止用グリースや紫
外線硬化樹脂等を用いてもよい。
【0056】さらに本実施例では、給排手段としてのヒ
ータをスリットの上面に設けたが、スリットの下面や側
面に設けてもよく、ヒータが屈折率整合液体に直接接触
するように形成されているが、ヒータの表面を薄い保護
膜で覆ってもよい。
【0057】またさらに本実施例では、光スイッチを1
単位素子の場合について説明したが、石英基板上に、例
えばコアをマトリクス状に構成して多数の光スイッチを
集積してもよい。
【0058】またさらに本実施例では、基板として石英
基板を用いた場合について説明したが、多成分系ガラ
ス、半導体(GaAs、InP等)、強誘電体(LiN
bO3 、LiTaO3 等)及びサファイア等を用いても
よい。
【0059】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を発揮する。
【0060】(1) 給排手段により移動した屈折率整合液
体がスリットの端部で分散し、液切れを起こすのを防ぐ
ことができるので、信頼性の高いスイッチング動作が得
られる。
【0061】(2) クラッドに形成されたスリットの周囲
に溝を設け、液体の表面張力の差を利用することによ
り、液体を介在させた2枚の基板を減圧空間で密封して
接着することができる。
【0062】(3) 安定な自己保持機能を有することか
ら、スイッチング時にパルス状の給電をすればよく、そ
れ以外は無給電で保持することができるため消費電力を
低減することができる。
【0063】(4) スイッチングの給電時間が短いため、
蓄熱がなく連続使用が可能であり、冷却装置を必要とし
ない。
【0064】(5) 蓄熱がないため、光スイッチ素子間の
熱による干渉がなく、大規模マトリクス化及び高集積化
が容易に達成でき、信頼性の高い導波路型光スイッチを
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導波路型光スイッチの一実施例の平面
図である。
【図2】本発明の導波路型光スイッチの製造方法を示す
図である。
【図3】本発明の導波路型光スイッチの他の実施例の平
面図である。
【図4】本発明の導波路型光スイッチのさらに他の実施
例の平面図である。
【図5】(a)は従来の導波路型光スイッチの平面図、
(b)はそのA−A線断面図をである。
【符号の説明】
11 コ ア 12 クラッド 13 スリット 14 屈折率整合液体(シリコンオイル) 16a,16b 給排手段(薄膜ヒータ) 17a,17b 給排手段(電極及び配線)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川又 繁 茨城県土浦市木田余町3550番地 日立電線 株式会社アドバンスリサーチセンタ内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光が伝搬する略矩形状のコアが該コアよ
    り低い屈折率を有するクラッドで覆われると共に互いに
    交差した複数の光導波路と、該光導波路の交差部に前記
    コアを切断して設けたスリットと、前記コアと略等しい
    屈折率を有すると共に前記スリット内に収容された屈折
    率整合液体と、該屈折率整合液体を前記スリット内で移
    動させて光の伝搬方向を切り替える給排手段とを備えた
    導波路型光スイッチにおいて、前記スリットに、前記屈
    折率整合液体の移動時に生じる衝撃を緩和する緩衝構造
    を形成したことを特徴とする導波路型光スイッチ。
  2. 【請求項2】 前記スリットを、端部に向かってテーパ
    状に狭く、あるいは端部の一部が狭く形成したことを特
    徴とする請求項1記載の導波路型光スイッチ。
  3. 【請求項3】 前記スリットの両端部に前記屈折率整合
    液体で満たされた液溜をそれぞれ設けると共に前記スリ
    ット内に前記屈折率整合液体を所定量だけ収容し、該両
    液溜内の液体が前記給排手段によって移動せずかつ前記
    スリット内に収容された屈折率整合液体が前記スリット
    内を移動するようにしたことを特徴とする請求項1記載
    の導波路型光スイッチ。
  4. 【請求項4】 前記スリットが形成されたクラッドを封
    止するための表面キャップとの貼り合わせ面に、前記ス
    リットを取り囲むような溝が少なくとも1本形成したこ
    とを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の導
    波路型光スイッチ。
  5. 【請求項5】 次の工程(a) 〜(h) から成ることを特徴
    とする導波路型光スイッチの製造方法。 (a) 一方の基板の表面に光導波路用ガラス膜として、バ
    ッファ層、該バッファ層より高い屈折率を有するコア
    層、該コア層より低い屈折率を有し該コア層を覆うクラ
    ッド層、を順次積層する工程、(b) 該クラッド層の上
    に、フォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィに
    より光導波路をパターン化する工程、(c) ドライエッチ
    ングプロセスにより、コア及びスリットを形成する工
    程、(d) 他方の基板の表面に薄膜ヒータ用の金属膜を形
    成する工程、(e) フォトリソグラフィにより給排手段と
    しての発熱体、電極及び配線をパターン化する工程、
    (f) ドライエッチングにより前記電極及び前記配線を形
    成する工程、(g) 前記スリットに屈折率整合液体を所定
    量だけ収容する工程、(h) 前記両基板の機能部を有する
    面を減圧下で密封する工程。
  6. 【請求項6】 前記両基板の機能部を有する面を減圧下
    で密封する工程に、液体の表面張力及び/または紫外線
    硬化樹脂を用いたことを特徴とする請求項5記載の導波
    路型光スイッチの製造方法。
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