JPH089378Y2 - エンジンの吸気ポート構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は吸気多弁エンジンの吸気ポート構造に関す
る。

〔従来技術〕

最近、自動車用エンジンとして、吸気通路の燃焼室に
対する開口面積を大きくして充填効率を高めるため、各
気筒の燃焼室に至る吸気通路の下流部を２つ又は３つの
分岐吸気ポートに分岐させ、燃焼室内に開口した各分岐
吸気ポートの下流端部を吸気弁で開閉するようにした吸
気多弁エンジンが実用化されている。

通常、上記吸気多弁エンジンでは、吸気通路がシリン
ダヘッド内に湾曲状に形成され、分岐吸気ポートはこの
湾曲状に形成された吸気通路の上流側の合流部から、そ
の軸心が略並列状になるように、下流側へいくにつれて
断面形状が徐々に連続的に変化して分岐されている。と
ころが、上記のように吸気分岐ポートを略並列状に分岐
させた場合、合流部から分岐吸気ポートに至る分岐途中
の断面形状が横長に大きく変化するため、流通抵抗が増
大するという問題がある。

そこで、例えば、特開昭60−192859号公報には、シリ
ンダヘッド内の吸気通路を略ストレート状に形成すると
ともに、分岐吸気ポートの軸心が略正三角形の頂点に位
置するように、各吸気分岐ポートを合流部から徐々に連
続的に分岐させ、この分岐途中の断面形状を真円に極力
近い状態で徐々に連続的に変化させ、分岐途中の断面形
状の変化率を小さくして流通抵抗を低減するように構成
した吸気多弁エンジンの吸気通路構造が記載されてい
る。

上記吸気通路構造では、吸気通路が略ストレート状に
形成されているので、吸気の大部分は吸気通路の略中央
部を流通することになる。従って、分岐途中の断面形状
を真円に極力近い状態で徐々に連続的に変化させ、その
断面形状の変化率を極力小さくすることにより、流通抵
抗を低減することが出来る。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、上記公報に記載の吸気通路構造を吸気通路
が湾曲状に形成された一般的な構成の量産エンジンに適
用した場合には、湾曲の内径側と外径側とで吸気の流量
が異なり、外径側の吸気流量が多くなるにも係わらず、
内径側と外径側の断面形状の変化率が略同じになるた
め、外径側の流通抵抗を十分に低下することが出来ず、
最適な吸気通路構造とはいえない。

本考案の目的は、吸気通路の流通抵抗が特に大きくな
る上流側約1/2長さ部分において吸気流量の多い湾曲の
外径側の断面形状の変化率を極力小さくして吸気の流通
抵抗を大幅に低減し得るエンジンの吸気ポート構造を提
供することである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に係るエンジンの吸気ポート構造は、シリンダ
ヘッド内に湾曲状に形成され、上流側の合流部から下流
側へいくにつれて断面形状が徐々に連続的に変化して途
中で複数の分岐吸気ポートに分岐する吸気通路を備えた
吸気多弁エンジンの吸気ポート構造において、上記吸気
通路の上流側約1/2長さ部分の断面形状の変化率が吸気
通路の湾曲の内径側よりも外径側で小さくなるように形
成し、吸気通路の下流側約1/2長さ部分の断面形状の変
化率が吸気通路の湾曲の内径側よりも外径側で大きくな
ように形成したものである。

〔作用〕

本考案に係るエンジンの吸気ポート構造においては、
シリンダヘッド内に湾曲状に形成され、上流側の合流部
から下流側へいくにつれて断面形状が徐々に連続的に変
化して途中で複数の分岐吸気ポートに分岐する吸気通路
において、その吸気通路の上流側約1/2長さ部分の断面
形状の変化率が、吸気通路の湾曲の内径側よりも外径側
で小さくなるように形成されるので、吸気流が大きく方
向変換される関係上流通抵抗が特に大きくなる吸気通路
の上流側約1/2長さ部分において吸気流量の多い湾曲の
外径側の表面積を極力小さくしてその流通抵抗を少なく
出来、吸気の流通抵抗を大幅に低減できる。

〔考案の効果〕

本考案に係るエンジンの吸気ポート構造によれば、上
記〔作用〕の項で詳述したように、吸気通路の上流側約
1/2長さ部分の断面形状の変化率を湾曲の内径側よりも
外径側で小さくなるように形成したので、吸気流が大き
く方向変換される関係上流通抵抗が特に大きくなる吸気
通路の上流側約1/2長さ部分において吸気流量の多い外
径側の吸気の流通抵抗を極力少なくして吸気抵抗を大幅
に低減出来る。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

本実施例は、３つの分岐吸気ポートを有する吸気多弁
エンジンの吸気ポート構造に本考案を適用した場合のも
のである。

第１図に示すように、エンジンＥにはシリンダブロッ
ク１とシリンダヘッド２とピストン３とで燃焼室４が形
成され、シリンダヘッド２内にはその左側壁部から湾曲
して燃焼室４に連通された吸気通路５と、右側壁部から
湾曲して燃焼室４に連通された１対の排気ポート６とが
形成され、吸気通路５はその途中で３つの吸気分岐ポー
ト7a,7b,7aに分岐され、吸気分岐ポート7a,7b,7aの下流
端部及び排気ポート６の上流端部は第２図に示すように
燃焼室４の上壁面に開口され、シリンダヘッド２の左側
壁部には吸気マニホールドの分岐吸気管８が固着され、
分岐吸気管８の下流端近傍部の上壁部にはインジェクタ
９が吸気通路５の上流端付近に斜め下向きに向けて傾斜
状に装着され、シリンダヘッド２の幅方向略中央部には
燃焼４に臨む点火プラグ10が装着され、分岐吸気管８を
流通する吸気は略水平に吸気通路５へ流入され、吸気通
路５で略鉛直に滑らかに方向切換えされ燃焼室４に供給
される。

上記シリンダヘッド２の各吸気分岐ポート7a,7b,7aの
下流端には吸気弁11がバルブガイド12を介して上下動自
在に装着され、また各排気ポート６上流端には排気弁13
がバルブガイド14を介して上下動自在に装着され、各吸
気弁11及び各排気弁13は燃焼室４に向けて傾斜状に装着
され、各吸気分岐ポート7a,7b,7aの下流端部及び排気ポ
ート６の上流端部には環状のバルブシート15が圧入さ
れ、各吸気弁11及び排気弁13のステム11a・13aはバルブ
シート15の略中央部を挿通して燃焼室４内へ延び、その
下端部にはバルブシート15に下方から略気密状に当接可
能な傘状の弁体11b・13bが形成され、吸気分岐ポート7
a,7b,7a及び排気ポート６は、吸気弁11及び排気弁13が
図示外の動弁機構でその軸方向に駆動されることにより
クランク軸の回転に同期して開閉駆動される。

上記ピストン３の上端壁部には、第３図に示すよう
に、弁体11b・13bの下端部がピストン３の上端壁部に干
渉しないようにするため、中央の吸気弁11の弁体11bに
対応する位置に略円形の凹部3aが形成され、両側の吸気
弁11の弁体11b及び排気弁13の弁体13bに対応する位置に
略半円状の凹部3bが形成されている。

次に、上記吸気通路５の構造について説明する。

上流吸気通路５は、第１図・第４図〜第８図に示すよ
うに、その上流端付近の合流部5aから下流側へいくにつ
れて徐々に連続的に断面形状が変化して途中で両側１対
の吸気分岐ポート7aと中央の吸気分岐ポート7bとに分岐
されるとともに、吸気分岐ポート7aが吸気分岐ポート7b
よりもやや湾曲の外径側に形成される。

第４図〜第８図は湾曲状に形成された吸気通路５の断
面形状を上流側から段階的に示したもので、第４図に示
す吸気通路５の上流端の第１段階では、吸気通路５の湾
曲の外径側壁面16は略平坦に形成され、内径側壁面17は
その幅方向中央部が下方へ突出した略く字状に形成さ
れ、第１段階から第５図に示す第２段階にかけては、外
径側壁面16は第１段階と同様に略平坦に形成されるが、
内径側壁面17はその幅方向３等分位置が徐々に吸気通路
５の内方側へ突出状に形成されて３つの円弧面からなる
複合円弧面に形成され、第２段階から第６図に示す第３
段階にかけては、外径側壁面16が滑らかな円弧を描きな
がら徐々に吸気通路５の内方側へ突出状に形成され、内
径側壁面17はその幅方向３等分位置の突出が更に進行
し、第３段階から第７図に示す第４段階にかけては、外
径側壁面16の幅方向中央部が吸気通路５の内方側へ徐々
に突出状に形成されて３つの円弧面からなる複合円弧面
的に形成され、内径側壁面17の幅方向３等分位置の吸気
通路５の内方側へ突出が更に進行して一層変形の進行し
た複合円弧面に変形し、第４段階から第８図に示す第５
段階にかけては、外径側壁面16及び内径側壁面17の吸気
通路５の内方側への突出が更に進行して円形断面の吸気
分岐ポート7a,7b,7aが略完全に分岐し、第５段階から吸
気通路５の下流端部にかけて３つの吸気分岐ポート7a,7
b,7aが完全に分岐している。

次に、上記吸気通路５の作用について説明する。

上記吸気通路５の上流側約1/2長さ部分においては、
吸気流が大きく方向変換される関係上流通抵抗が特に大
きくなり易いが、この上流側約1/2長さ部分において、
湾曲状に形成された吸気通路５の外径側壁面16の断面形
状の変化率を内径側壁面17よりも小さくし、その表面積
を極力小さくしてあるので、内径側壁面17に沿って流れ
る吸気の流通抵抗は比較的大きくなるが、外径側壁面16
に沿って流れる吸気の流通抵抗が大幅に低減される。つ
まり、分岐吸気管８から略水平に流入した吸気が吸気通
路５内で滑らかに約45度方向変換されるとき、吸気流の
主流が吸気通路５の湾曲の外径側へ偏ることになるの
で、外径側壁面16に沿って流れる吸気の流通抵抗を重点
的に低減することにより、流通抵抗を全体として大幅に
低減出来る。

また、吸気通路５の下流側約1/2長さ部分において
は、３つの吸気分岐ポート7a,7b,7aに確実に分岐させる
為に、外径側壁面16の断面形状の変化率を内径側壁面17
の断面形状の変化率よりも大きく形成してある。

一方、インジェクタ９から噴出された燃料の一部は気
化せずに吸気通路５の内壁面に付着するが、インジェク
タ９が上流端付近の内径側壁面17に向けて設けられてい
るので、燃料は断面形状の変化率が大きく表面積が大き
い内径側壁面に付着することになり、付着燃料の気化が
促進される。

以上のように、吸気通路５の上流側約1/2長さ部分の
断面形状の変化率を内径側壁面17よりも外径側壁面16で
小さくするという簡単な構成で、吸気流量の多い外径側
壁面16の吸気の流通抵抗を低減して吸気通路５全体とし
ての流通抵抗を大幅に低減出来る。

また、インジェクタ９を表面積が大きい内径側壁面17
に向けることにより、気化せずに内径側壁面17に付着し
た燃料の気化を促進することが出来る。尚、吸気通路５
の内径側での流速が外径側での流速よりも高いので、燃
料の気化促進を図ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図はシリンダ
ヘッド及びその近傍の縦断面図、第２図はシリンダヘッ
ドの底面図、第３図はピストンの平面図、第４図は第１
図IV−IV線断面図、第５図は第１図Ｖ−Ｖ線断面図、第
６図は第１図VI−VI線断面図、第７図は第１図VII−VII
線断面図、第８図は第１図VIII−VIII線断面図である。 Ｅ……エンジン、２……シリンダヘッド、44A……燃焼
室、５……吸気通路、5a……合流部、7a,7b……吸気分
岐ポート、16……外径側壁面、17……内径側壁面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダヘッド内に湾曲状に形成され、上
   流側の合流部から下流側へいくにつれて断面形状が徐々
   に連続的に変化して途中で複数の分岐吸気ポートに分岐
   する吸気通路を備えた吸気多弁エンジンの吸気ポート構
   造において、 上流吸気通路の上流側約1/2長さ部分の断面形状の変化
   率が吸気通路の湾曲の内径側よりも外径側で小さくなる
   ように形成し、吸気通路の下流側約1/2長さ部分の断面
   形状の変化率が吸気通路の湾曲の内径側よりも外径側で
   大きくなるように形成したことを特徴とするエンジンの
   吸気ポート構造。