JPH0892025A - 歯科セメント用ガラス粉末 - Google Patents
歯科セメント用ガラス粉末Info
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Abstract
優れた特性を有するとともに、さらに優れた強度の歯科
用セメントを調製するために使用する、フルオロアルミ
ノシリケートを含む歯科用ガラス粉末を提供する。 【構成】 フッ素成分の出発原料として、フッ化ナトリ
ウム、フッ化アルミニウム、及びフッ化ストロンチウム
を含み、前記フッ化ナトリウム及びフッ化アルミニウム
の配合重量比が20:80〜70:30であるフルオロ
アルミノシリケートガラスを含むことを特徴とする歯科
セメント用ガラス粉末。
Description
粉末に関するものである。さらに詳細には、本発明は、
歯科用グラスアイオノマーセメントの調製に好適なフル
オロアルミノシリケートガラスを含む歯科セメント用ガ
ラス粉末に関するものである。
歯冠の接合材、矯正歯の接合材、裏層材等として歯科用
セメントが広く使用されてきた。例えば、特公昭50-265
73号に開示されている、ZnO 及び MgOを含む歯科用ポリ
カルボキシレートセメント用粉末、特開昭62-72363号に
開示されているリン酸四カルシウム(Ca4P2O9)粉末を含
む歯科用セメント組成物、及び特開昭63-153070 号に開
示されているα−リン酸三カルシウム粉末を含む歯科用
セメント組成物などがある。しかし、これらの出願に開
示されている歯科用セメント粉末組成物は、水難溶性微
粒子であって、微粒子間の空気が除去され難く、均一な
ペースト状にするのが難しいという欠点があり、さらに
生体に対する親和性、歯質接着性が不十分で、硬化体が
透明性に欠け、審美性が劣るなど歯科用セメントとして
欠点を有していた。このような欠点を解決するために、
フルオロアルミノシリケートガラスを含む歯科用グラス
アイオノマーセメントが開発された。例えば、特開昭63
-182238 号公報に開示されているガラス類及びそれらを
含有するポリカルボン酸セメント組成物や特開昭63-201
038 号公報に開示されている歯科用グラスアイオノマー
セメント用ガラス粉末から調製した歯科用セメントは、
生体に対する親和性が極めて良好で、歯質接着性があ
り、硬化体が半透明で審美性に優れ、さらにこのセメン
ト中に含まれるフッ素の働きにより歯質強化作用が期待
できるなど歯科用セメントとして優れた特性を有してい
る。しかし、歯の修復用充填材、インレー又は歯冠の接
合材、矯正歯の接合材として、より高い強度、特に圧縮
強度が高い歯科用グラスアイオノマーセメントが求めら
れている。
用グラスアイオノマーセメントの優れた特性を有すると
ともに、さらに優れた強度の歯科用セメントを調製する
ために使用する、フルオロアルミノシリケートを含む歯
科用ガラス粉末を提供することを目的とする。
を解決するために研究を行った結果、出発原料としてク
リオライト(氷晶石、Na3AlF6)を用いず、各成分ナトリ
ウム、アルミニウム、フッ素の3成分を、それぞれ所定
の配合重量比でフッ化ナトリウム(NaF) 及びフッ化アル
ミニウム(AlF3)で加えることにより、従来の歯科用グラ
スアイオノマーセメントよりもさらに強度の優れた歯科
用セメントが得られることを見出した。したがって、本
発明は、フッ素成分の出発原料として、フッ化ナトリウ
ム、フッ化アルミニウム、及びフッ化ストロンチウムを
含み、該フッ化ナトリウム及びフッ化アルミニウムの配
合重量比が20:80〜70:30であるフルオロアル
ミノシリケートガラスを含むことを特徴とする歯科セメ
ント用ガラス粉末を提供する。
ートガラスの重量を基準として、フッ化ストロンチウム
が5〜20重量%含まれている前記歯科セメント用ガラ
ス粉末を提供する。また、本発明の好ましい実施態様で
は、該歯科用セメント用ガラス粉末に含まれている、フ
ルオロアルミノシリケートガラスが下記の原料成分を含
んでいる。 二酸化ケイ素(SiO2) 10〜60重量% フッ化ストロンチウム(SrF2) 5〜20重量% 酸化アルミニウム(Al2O3) 5〜30重量% フッ化ナトリウム(NaF) 1〜20重量% フッ化アルミニウム(AlF3) 1〜20重量% リン酸アルミニウム(AlPO4) 10〜40重量%。 この表はガラスの原料成分を重量%で表示し、総重量を
100%として組成範囲を100分率で特定したもので
ある。
化アルミニウム、及びフッ化ストロンチウムを含み、前
記フッ化ナトリウム及びフッ化アルミニウムの配合重量
比が20:80〜70:30である原料成分を使用する
ことを特徴とする、フルオロアルミノシリケートガラス
を含む歯科セメント用ガラス粉末の製造方法、及び原料
成分の重量を基準として、フッ化ストロンチウムが5〜
20重量%含まれている原料成分を用いる該製造方法、
並びに、下記の組成の原料成分を用いる該製造方法を提
供する。 二酸化ケイ素(SiO2) 10〜60重量% フッ化ストロンチウム(SrF2) 5〜20重量% 酸化アルミニウム(Al2O3) 5〜30重量% フッ化ナトリウム(NaF) 1〜20重量% フッ化アルミニウム(AlF3) 1〜20重量% リン酸アルミニウム(AlPO4) 10〜40重量%。 以下、本発明について詳細に説明する。
スにおける原料粉末としての二酸化ケイ素の割合は、ガ
ラス原料粉末の総重量に対して10〜60重量%、好ま
しくは、20〜40重量%とするのが適当である。二酸
化ケイ素が60重量%より多いとセメント硬化物の強度
が低下し、反応性が鈍くなり、逆に10重量%よりも少
ないとガラス化が困難で、セメント硬化物の崩壊率が大
きくなり、セメント硬化物の強度が低下する。本発明の
ガラスにおける原料粉末としてのフッ化ストロンチウム
の割合は、ガラス原料粉末の総重量に対して5〜20重
量%、好ましくは、10〜18重量%とするのが適当で
ある。フッ化ストロンチウムが20重量%より多いと練
和時の操作性が悪く、逆に5重量%より少ないとセメン
ト硬化物の破砕強度が低下する。
酸化アルミニウムの割合は、ガラス原料成分の総重量に
対して5〜30重量%、好ましくは、8〜18重量%と
するのが適当である。酸化アルミニウムが30重量%よ
り多いとガラス溶融温度が高く、また、セメント組成物
の透明性が得られなくなり、逆に5重量%より少ないと
セメント組成物の反応性が鈍くなる。本発明のガラス粉
末における原料粉末としてのフッ化ナトリウムの割合
は、ガラス原料成分の総重量に対して1〜20重量%、
好ましくは、6〜16重量%とするのが適当である。フ
ッ化ナトリウムが20重量%より多いとセメント硬化物
の崩壊率が大きくなり、強度も低下する。逆に1重量%
より少ないとセメント硬化物の破砕強度が低下する。
てのフッ化アルミニウムの割合は、ガラス原料成分の総
重量に対して5〜20重量%、好ましくは、8〜16重
量%とするのが適当である。フッ化アルミニウムが20
重量%より多いとガラス溶融温度が高く、また、セメン
ト組成物の透明性が得られなくなり、逆に少ないとセメ
ント組成物の反応性が鈍くなる。本発明のガラス粉末に
おける原料としてのリン酸アルミニウムの割合は、ガラ
ス原料成分の総重量に対して10〜40重量%、好まし
くは、15〜25重量%とするのが適当である。このリ
ン酸アルミニウムが40重量%より多いとセメント硬化
物の崩壊率が大きくなり、強度も低下する。逆に10重
量%より少ないとセメント硬化物の破砕強度が低下す
る。前記ガラス成分中において、フッ化ナトリウム及び
フッ化アルミニウムの配合重量比は20:80〜70:
30、好ましくは30:70〜60:40である。配合
重量比が前記範囲以外では、従来の歯科用セメントと同
程度の強度しか望めず、さらに優れた強度を有する歯科
用セメントは得られない。
う秤量し、1000℃以上、好ましくは1200℃〜1
500℃の温度で溶融した後、冷却し、粉砕することに
より、本発明のガラス粉末を製造する。この、ガラス粉
末の平均粒径が、0.02〜15μm、好ましくは1.0〜
12μmとなるように粉砕する。なお、この平均粒径
は、長径と短径との平均値を採った、いわゆる長短平均
径を示している。本発明のガラス粉末を用いて歯科用セ
メント組成物を調製する場合、本発明のガラス粉末とと
もに、通常、歯科用セメント組成物に使用されている公
知の充填材、顔料などを特に制限なく利用できる。その
使用量は、ガラス粉末90〜100重量部、充填材0〜
10重量部、顔料0〜1重量部の範囲とすることが好ま
しい。充填材として代表的なものは、例えば、石英、コ
ロイダルシリカ、カオリン、チタニア、硫酸バリウムで
あり、顔料として代表的なものは、例えば、黄酸化鉄、
カーボンなどである。なお、本発明のセメントの硬化剤
として、公知のグラスアイオノマーセメント用硬化剤を
特に限定することなく使用できる。例えば、線状のアク
リル酸重合体、アクリル酸と、他の共重合性不飽和モノ
マーとの共重合体、ポリマレイン酸などである。本発明
では、これらのセメント硬化剤を30〜55重量%、好
ましくは40〜50重量%含む水溶液にして使用する。
本発明のガラス粉末を用いる歯科用セメントを調製する
場合、本発明のガラス粉末を含むセメント組成物(P)
を使用直前にセメント硬化剤の水溶液(L)と混合し、
練和するが、一般的に(P)/(L)(重量比)が1〜
4、好ましくは1.5〜2.5の割合となるように用いる。
メントを調製することにより、従来の歯科用セメントの
優れた特性を有するとともに、さらに強度に優れたセメ
ント硬化物が得られる。
する。なお、実施例中「部」、「%」は重量を基準とし
て示す。 〔硬化剤水溶液の調製方法〕水64.00部、エタノール
8.00部、イタコン酸4.00部を入れたフラスコをセッ
トした合成反応装置を80℃に保ち、重合開始剤として
過硫酸アンモニウム(APS)0.7部を水4.00部と混
合したものを加えた後、アクリル酸16.00部を滴下ロ
ートを介して2時間かけて均一に滴下した。滴下終了後
追加触媒としてAPS0.30部を水4.00部と混合した
ものを加え、更に80℃で90分間エージングを行っ
た。次に、未反応モノマーを除去するために、これを凍
結真空乾燥し、得られた粉末49.50部と水45.0部と
を混合し、硬化剤水溶液を得た。
た配合割合(単位:部)で各原料をボールミルに入れ、
20分間、混合、粉砕し、その混合物をアルミナルツボ
に入れて1200℃で1時間焼成した後、急冷した。得
られたガラスの塊をボールミルで48時間、磨砕した
後、400メッシュの篩にかけ細い粒子のガラス粉末を
得た。このガラス粉末1.8gに対して、硬化剤水溶液を
1.0gの割合で練和し、物性を測定した。破砕抗力、崩
壊率を歯科用セメントJIST6602記載の方法に準
拠して測定した。さらに、表1及び2に示されている配
合割合に基づき、実施例1と同じ方法で本発明のガラス
粉末及び歯科用セメントを調製することにより、実施例
2〜7、比較例1〜4を行った。表3及び4に測定結果
を示した。
使用した各実施例の歯科セメント硬化物は、従来のガラ
ス粉末を使用した比較例1及び2の歯科用セメント、及
びフッ化ナトリウム及びフッ化アルミニウムの配合比が
本発明の範囲外である比較例2、3の歯科用セメントと
比べて、いずれも破砕抗力及び崩壊率が優れていた。
Claims (4)
- 【請求項1】 フッ素成分の出発原料として、フッ化ナ
トリウム、フッ化アルミニウム、及びフッ化ストロンチ
ウムを含み、前記フッ化ナトリウム及びフッ化アルミニ
ウムの配合重量比が20:80〜70:30であるフル
オロアルミノシリケートガラスを含むことを特徴とする
歯科セメント用ガラス粉末。 - 【請求項2】 フルオロアルミノシリケートガラスの重
量を基準として、フッ化ストロンチウムが5〜20重量
%含まれている請求項1記載の歯科セメント用ガラス粉
末。 - 【請求項3】 フルオロアルミノシリケートガラスが下
記の原料成分を含む請求項1又は2記載の歯科セメント
用ガラス粉末; 二酸化ケイ素(SiO2) 10〜60重量% フッ化ストロンチウム(SrF2) 5〜20重量% 酸化アルミニウム(Al2O3) 5〜30重量% フッ化ナトリウム(NaF) 1〜20重量% フッ化アルミニウム(AlF3) 1〜20重量% リン酸アルミニウム(AlPO4) 10〜40重量%。 - 【請求項4】 フッ化ナトリウム、フッ化アルミニウ
ム、及びフッ化ストロンチウムを含み、前記フッ化ナト
リウム及びフッ化アルミニウムの配合重量比が20:8
0〜70:30である原料成分を使用することを特徴と
する、フルオロアルミノシリケートガラスを含む歯科セ
メント用ガラス粉末の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP23298294A JP3450059B2 (ja) | 1994-09-28 | 1994-09-28 | 歯科セメント用ガラス粉末 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23298294A JP3450059B2 (ja) | 1994-09-28 | 1994-09-28 | 歯科セメント用ガラス粉末 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0892025A true JPH0892025A (ja) | 1996-04-09 |
JP3450059B2 JP3450059B2 (ja) | 2003-09-22 |
Family
ID=16947945
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23298294A Expired - Lifetime JP3450059B2 (ja) | 1994-09-28 | 1994-09-28 | 歯科セメント用ガラス粉末 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3450059B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6741696B1 (en) | 1999-11-12 | 2004-05-25 | Nec Corporation | Automatic call distributing method and system |
JP2006290803A (ja) * | 2005-04-11 | 2006-10-26 | Shiyoufuu:Kk | 未反応モノマーを軽減した医科歯科用材料 |
-
1994
- 1994-09-28 JP JP23298294A patent/JP3450059B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US6741696B1 (en) | 1999-11-12 | 2004-05-25 | Nec Corporation | Automatic call distributing method and system |
JP2006290803A (ja) * | 2005-04-11 | 2006-10-26 | Shiyoufuu:Kk | 未反応モノマーを軽減した医科歯科用材料 |
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JP3450059B2 (ja) | 2003-09-22 |
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