JPH0890130A - 鍛造による金属形材の造形方法およびその装置 - Google Patents

鍛造による金属形材の造形方法およびその装置

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JPH0890130A
JPH0890130A JP22847294A JP22847294A JPH0890130A JP H0890130 A JPH0890130 A JP H0890130A JP 22847294 A JP22847294 A JP 22847294A JP 22847294 A JP22847294 A JP 22847294A JP H0890130 A JPH0890130 A JP H0890130A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 1〜数パスで、所定のウェブ厚さおよびウェ
ブ高さに対し、フランジ幅の大きい大形H形材や軌条の
造形加工することができる、あるいはフランジ幅の調整
範囲が大きな金属形材をサイズフリーに加工することが
できる鍛造による金属形材の造形方法およびその装置を
提供する。 【構成】 四角形断面の素材1をパスラインPに沿って
送りながら、上下に対向する上下ダイス41および左右
に対向する左右ダイス45で素材1を圧下する鍛造によ
る金属形材の造形方法において、パスラインPに平行な
垂直面内で一定の閉曲線を描くように上下ダイス41を
周期的に駆動するとともに、水平面内で一定の閉曲線を
描くように左右ダイス45を周期的に駆動し、上下ダイ
ス41の圧下率でウエブ厚を調整し、左右ダイス45の
圧下率でウエブ高さを調整するとともに、上下ダイス4
1および左右ダイス45の圧下率、ならびに上下ダイス
41のパスライン方向の速度と左右ダイス45のパスラ
イン方向の速度との速度差によりフランジ幅を調整す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鍛造による金属形材
の造形方法およびその装置に関する。
【0002】この発明は、鋼、アルミニウム合金、銅合
金その他金属材料よりなるH形材、軌条などの金属形材
の粗造形または中間造形に利用される。
【0003】
【従来の技術】従来、金属形材たとえば形鋼の粗圧延で
は、長方形断面の素材から、複数のカリバーを有する水
平ロール対を持つ、1台の圧延機で、複数パスのリバー
ス圧延により、断面長辺側の長さ(ウェブ高さ)を圧下
し、短辺側の長さ(フランジ幅)を広げ、短辺側中央部
の厚さ(ウェブ厚み)を圧下する加工をしている。
【0004】鍛造による金属粗形片の製造方法として、
特開昭56−1236号公報には、長方形断面の素材を
垂直方向と水平方向から同時に圧下する方法が開示され
ている。この加工により、素材厚みにより大きなフラン
ジ幅の粗形鋼片を得ることができる。また、第118回
日本鉄鋼協会講演大会Vol.2(1989)、1571頁
に開示されているように長方形断面の素材の長辺側を上
下の金敷により拘束し、短辺側を左右の金敷で所定の寸
法まで圧下して、素材厚よりも大きなフランジ幅を製造
する鍛造加工法が開示されている。
【0005】さらに、熱延板を製造する際、スラブの幅
を圧下する方法として、特開平2−52104号公報に
はスラブ短辺側を左右の金型により圧下と送りを同時に
作用させて加工する方法が示されている。また、特開昭
60−127002号公報には、スラブ短辺側に左右の
金型により圧下する方法が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の形鋼の粗圧延に
よる方法で、各種製品サイズに応じて多数のウェブ高
さ、フランジ幅を粗造形するには、一般に、素材断面と
して、長辺長さが10種類以上、粗造形の圧延パス数も
20前後必要であり、素材集約と圧延能率の点から効率
的ではない。鍛造による粗形鋼片の製造方法として、特
開昭56−1236号公報に開示されている方法では、
ウェブ高さとウェブ厚を所定の寸法にした場合、フラン
ジ幅はほぼ一定の値に限定され、各種の製品サイズに対
応する粗造形鋼片の各種のフランジ幅をサイズフリーに
製造することは困難である。また、第118回日本鉄鋼
協会講演大会Vol.2(1989)、1571頁に開示さ
れている方法で、鍛造により、ウェブ高さを所定の寸法
に圧下した場合も、同様に、各種のフランジ幅をサイズ
フリーに製造することは困難である。さらに、特開平2
−52104号公報あるいは特開昭60−127002
号公報にあるように、鍛造により熱延板の幅方向の圧下
と材料送りを同時に作用させて、あるいは圧延により幅
方向の圧下を作用させて、熱延板を所定のスラブ幅寸法
に圧下した場合、幅広がり(ドッグボーンとよぶ)形状
はほぼ一定の寸法になる。
【0007】すなわち、従来の形鋼の粗圧延法、鍛造に
よる形鋼の粗加工法、あるいは熱延板のスラブ幅圧下法
では、長方形断面の素材から粗造形工程におけるウェブ
高さ、およびフランジ幅を数パス以下で効率的にサイズ
フリーに製造することは困難である。
【0008】この発明は、1〜数パスで、所定のウェブ
厚さおよびウェブ高さに対し、フランジ幅の大きい大形
H形材や軌条の造形加工することができる、あるいはフ
ランジ幅の調整範囲が大きな金属形材をサイズフリーに
加工することができる鍛造による金属形材の造形方法お
よびその装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の鍛造による金
属形材の造形方法は、四角形(正方形または長方形)断
面の素材をパスラインに沿って送りながら、上下に対向
する上下ダイスおよび左右に対向する左右ダイスで素材
を圧下する鍛造による金属形材の造形方法において、パ
スラインに平行な垂直面内で一定の閉曲線を描くように
上下ダイスを周期的に駆動するとともに、水平面内で一
定の閉曲線を描くように左右ダイスを周期的に駆動し、
上下ダイスの圧下率でウエブ厚を調整し、左右ダイスの
圧下率でウエブ高さを調整するとともに、上下ダイスお
よび左右ダイスの圧下率、ならびに上下ダイスのパスラ
イン方向の速度と左右ダイスのパスライン方向の速度と
の速度差によりフランジ幅を調整する。
【0010】上下ダイスおよび左右ダイスが描く閉曲線
は、それぞれ圧下方向および材料送り方向の運動成分を
含んでいる。これら閉曲線の形状は、ダイス駆動1周期
での圧下率、送り量、およダイス駆動周期を考慮して、
理論的にあるいは実験によって決める。上下ダイスおよ
び左右ダイスの圧下率は、素材および鍛造後の金属形材
の形状、寸法によって決める。上下ダイス駆動周期と左
右ダイス駆動周期は同じであってもよく、あるいは異な
っていてもよい。
【0011】上下ダイスのパスライン方向の速度(材料
送り速度)と左右ダイスのパスライン方向の速度(材料
送り速度)との速度差を調整するには、上下ダイス駆動
周期と左右ダイス駆動周期とが等しい場合、ダイス駆動
1周期当たりの送り量(以下、送り変位振幅という)を
互いに独立して調整する。送り変位振幅が等しい場合、
上下ダイス駆動周期と左右ダイス駆動周期とを互いに独
立して調整する。
【0012】材料を複数パスで造形する場合、パスごと
に上下ダイスおよび左右ダイスが描く閉曲線を設定す
る。このとき必要に応じて、上下ダイス駆動周期および
左右ダイス駆動周期も設定する。
【0013】この発明の金属形材の鍛造造形装置は、上
下に対向する上下ダイスと、左右に対向する左右ダイス
とを備えた金属形材の鍛造造形装置において、パスライ
ンに平行な垂直面内で一定の閉曲線を描くように上下ダ
イスを駆動するとともに、水平面内で一定の閉曲線を描
くように左右ダイスを駆動するダイス駆動装置と、上下
ダイスのパスライン方向の速度および左右ダイスのパス
ライン方向の速度をそれぞれ独立して調整可能なダイス
速度調整装置とを備えている。
【0014】ダイス駆動装置では、駆動源として電動モ
ータ、油圧または空気圧アクチュエータを用いる。ダイ
スを一定の閉曲線を描くように駆動する装置として、偏
心軸、偏心カム、偏心リングあるいはリンク機構などの
組合せを用いる。
【0015】上下ダイスと左右ダイスの材料送り速度の
差(相対速度)を調整するには、ダイス速度調整装置と
して、 上下ダイスおよび左右ダイスのダイス駆動装置に設
けた減速機の減速比調整装置、 偏心カムのカム形状切替え機構、偏心軸または偏心
リングの偏心率調整機構、リンク長さ調整機構、 上下ダイスおよび左右ダイスにそれぞれ独立して設
けたダイス駆動用モータの回転数調整装置、 などを用いる。
【0016】上記鍛造造形装置を、ハウジングと、ハウ
ジングに取り付けられた、パスライン方向に延びる上下
ダイス送り案内手段と、上下ダイス送りブロックと、上
下ダイス送り案内手段に案内されて移動可能な上下ダイ
ス送りブロックと、上下ダイス送りブロックの案内手段
に上下動可能にはめ合った上下ダイス圧下ブロックと、
上下ダイス圧下ブロックに取り付けられた上下ダイス
と、ハウジングに取り付けられた、パスライン方向に延
びる左右ダイス送り案内手段と、左右ダイス送り案内手
段に案内されて移動可能な左右ダイス送りブロックと、
左右ダイス送りブロックの案内手段に左右動可能にはめ
合った左右ダイス圧下ブロックと、左右ダイス圧下ブロ
ックに取り付けられた左右ダイスと、上下ダイス送りブ
ロックに連結された上下ダイス送り偏心機構と、上下ダ
イス圧下ブロックに連結された上下ダイス圧下偏心機構
と、左右ダイス送りブロックに連結された左右ダイス送
り偏心機構と、左右ダイス圧下ブロックに連結された左
右ダイス圧下偏心機構と、上下ダイス送り偏心機構、上
下ダイス圧下偏心機構、左右ダイス送り偏心機構、およ
び左右ダイス圧下偏心機構を駆動するダイス駆動装置と
により構成するようにしてもよい。
【0017】上記ダイス送りブロックおよびダイス圧下
ブロックの案内手段として、案内板、案内溝、案内穴な
どが用いられる。
【0018】また、上記ダイス駆動装置を、モータと、
モータと前記上下ダイス送り偏心機構および上下ダイス
圧下偏心機構とを連結する上下ダイス駆動伝動装置と、
モータと前記左右ダイス送り偏心機構および左右ダイス
圧下偏心機構とを連結された左右ダイス駆動伝動装置と
により構成するようにしてもよい。
【0019】上記ダイス駆動伝動装置として、歯車伝動
機構、ベルト伝動機構、チェーン伝動機構などが用いら
れる。
【0020】
【作用】この発明では、上下ダイスおよび左右ダイスに
より、四角形断面の材料は、垂直および水平方向から鍛
造加工され、所要形状の金属形材に造形される。材料
は、ダイスの動きにより垂直方向および水平方向から同
時に周期的に連続して鍛造され、かつ、ダイスの送り方
向の動きにより材料の長手方向に周期的に連続して送ら
れる。その際、左右ダイスの間隙を調整することにより
ウェブ高さが調整され、上下ダイスの間隙を調整するこ
とによりウェブ厚さが調整される。さらに、上下ダイス
と左右ダイスの間隙の調整および上下ダイスと左右ダイ
スの材料送り速度の差(相対速度)の調整により、フラ
ンジ幅が調整される。
【0021】左右ダイスの圧下により、フランジ部の材
料は左右ダイスと上下ダイスとの間隙に沿って上下に伸
びる。上下ダイスの圧下によってもフランジは上下に伸
びるが、左右ダイスによる伸びよりも小さい。
【0022】上下ダイスの材料送り速度が左右ダイスの
材料送り速度より大きい場合は、上下ダイスおよび左右
ダイスの材料送り速度が等しい場合に比較して、フラン
ジに作用する材料進行方向応力が引張側に増加し、フラ
ンジ幅は減少する。反対に、上下ダイスの材料送り速度
が左右ダイスの材料送り速度より小さい場合は、上下ダ
イスおよび左右ダイスの材料送り速度が等しい時に比較
して、フランジに作用する材料進行方向応力が圧縮側に
増加して、フランジ幅は増加する。これにより、左右ダ
イスの圧下率が一定、すなわちウェブ高さが一定で、か
つ上下ダイスの圧下率が一定、すなわちウェブ厚さが一
定の場合でも、上下ダイスと左右ダイスの材料送りの相
対速度の調整により、フランジ幅が調整される。
【0023】この結果、1〜数パスで、所定のウェブ厚
さ、ウェブ高さに対し、フランジ幅の大きい大形H形材
の粗造形加工あるいはフランジ幅の調整範囲が大きな金
属形材をサイズフリーに加工することが可能となる。
【0024】
【実施例】金属形材がH形鋼片である場合を例として、
この発明の実施例を説明する。
【0025】図1および図2は、この発明の造形方法を
実施する形鋼鍛造装置の一例を示すもので、図1は上記
鍛造装置の正面図、および図2は側面図である。
【0026】形鋼鍛造装置は、主としてハウジング1
0、ダイス保持装置20、ダイス40およびダイス駆動
装置50とからなっている。
【0027】ハウジング10は、全体として箱形に構成
されている。すなわち、ハウジング10は四角形フレー
ム状の架台11の4隅にそれぞれ支柱12が設けられて
いる。4本の支柱12は頂部に頂部フレーム14が取り
付けられており、また上側中間フレーム15および下側
中間フレーム16が上下に間隔をおいて取り付けられて
いる。
【0028】ダイス保持装置20は、上ダイス保持装置
21、下ダイス保持装置、左ダイス保持装置31および
右ダイス保持装置とからなっている。下ダイス保持装置
は、上ダイス保持装置21と同様に構成され、作用す
る。また、右ダイス保持装置も左ダイス保持装置31と
同様に構成され、作用する。したがって以下、上ダイス
保持装置21について説明し、下ダイス保持装置は図面
で上ダイス保持装置21と同一の参照符号を付け、その
説明は省略する。同様に、左ダイス保持装置31につい
て説明し、右ダイス保持装置は図面で左ダイス保持装置
31と同一の参照符号を付け、その説明は省略する。
【0029】上ダイス保持装置21は上側中間フレーム
15の上面に、下ダイス保持装置21は下側中間フレー
ム16の上面にそれぞれ支持されている。また、左ダイ
ス保持装置31および右ダイス保持装置31は、上側中
間フレーム15と下側中間フレーム16上の支持ビーム
17とによりそれぞれ支持されている。
【0030】上ダイス保持装置21は、上ダイス送り案
内板22がパスラインP(図6参照)の方向に沿って水
平に延びており、またパスラインPの両側にあって互い
に向かい合い、対となっている。上ダイス送りブロック
23の案内溝24が上ダイス送り案内板22にはめ合っ
ており、上ダイス送りブロック23はパスラインPの方
向に沿って進退可能である。上ダイス送りブロック23
には、後述の上ダイス送り偏心機構91が上ダイス送り
アーム93を介して連結されている。上ダイス送りブロ
ック23に設けられた案内穴25に、円筒状の上ダイス
圧下ブロック26が上下動可能にはめ合っている。上ダ
イス圧下ブロック26の先端部(下端部)に上ダイス保
持部材28が取り付けられており、後端部に後述の上ダ
イス圧下偏心機構95が上ダイス圧下アーム97を介し
て連結されている。また、上ダイス41が上ダイス保持
部材28の下端に着脱可能に取り付けられている。
【0031】上側中間フレーム15の下面および支持フ
レーム17の上面にそれぞれ、左ダイス送り案内板32
が固定されている。左ダイス送り案内板32は、パスラ
インPの方向に沿って水平に延びており、またパスライ
ンPの両側にあって互いに向かい合い、対となってい
る。左ダイス送りブロック33の溝部34が左ダイス送
り案内板32にはめ合っており、左ダイス送りブロック
33はパスラインPの方向に沿って進退可能である。左
ダイス送りブロック33には、後述の左ダイス送り装置
が連結されている。左ダイス送りブロック33に設けら
れた案内穴35に、円筒状の左ダイス圧下ブロック36
がパスラインPに対し直角方向に進退可能にはめ合って
いる。左ダイス圧下ブロック36の先端部(右端部)に
左ダイス保持部材38が取り付けられており、後端部に
後述の左ダイス圧下偏心機構141が左ダイス圧下アー
ム143を介して連結されている。左ダイス45が、左
ダイス保持部材38の先端に着脱可能に取り付けられて
いる。
【0032】図3〜図5は、H形鋼の造形に用いられる
ダイス40を示している。ダイス40は、上ダイス、下
ダイス、左ダイス、および右ダイスからなっている。
上、下ダイス41の作業面42はダイス幅方向の中央部
が高くなっており、また材料進行方向にダイス間隙が減
少するように勾配がつけられている。左、右ダイス45
の作業面46は平らになっており、また材料進行方向に
ダイス間隙が減少するように勾配がつけられている。
左、右ダイス45の作業面46は、上、下ダイス41の
作業面42よりも材料入り口側(上流側)に長く延びて
いる。したがって、ダイス40で形成されるカリバーの
断面形状は前半が長方形で、後半がH形となっている。
材料が進行するにつれて圧下率が増加し、初め左、右ダ
イス45のみで長方形断面に造形され、造形途中で上下
ダイス41と左右ダイス46との両者によりH形に造形
される。なお、この実施例ではダイスが形成するカリバ
ーの断面はH形であるが、製品の形状および寸法に対応
したカリバー形状とする。この発明の方法によれば、ウ
ェブ高さ、ウェブ厚さおよびフランジ幅をサイズフリー
に粗造形できるが、鍛造造形装置で粗造形したのち、後
段の圧延で所定の製品形状を製造するためには、粗造形
における所定のフランジ厚さを確保する必要がある。し
たがって、種々のサイズの幅を持った上下ダイスが必要
となる。このような場合に対応するには、ウェブ高さの
ある範囲ごとに、上下ダイスの幅、すなわち図4の上下
ダイス41の寸法bを変更すればよい。
【0033】図1、図2および図6に基づいて、ダイス
駆動装置50について説明する。なお、ダイス駆動装置
50で、下ダイス送り装置および下ダイス圧下装置の装
置・部材は、上ダイスのものと同じである。したがっ
て、下ダイス送り装置および下ダイス圧下装置の装置・
部材については、上ダイスのものと同一の参照符号を付
け、その説明は省略する。同様に、右ダイス送り装置お
よび右ダイス圧下装置についての説明も省略する。
【0034】無段変速機付きのモータ51が、ハウジン
グ10の架台11に固定されている。上下ダイス原動ベ
ルト車61および左右ダイス原動マイタ歯車101が、
モータ51の出力軸52に取り付けられている。一方、
上下ダイス原動軸62が、ハウジング10の支柱12に
軸受63を介してモータ出力軸52に平行に取り付けら
れている。また、左右ダイス原動軸102が、ハウジン
グ10の支柱12に軸受103を介してモータ出力軸5
2に直角に取り付けられている。上下ダイス原動軸62
に上下ダイス従動ベルト車65、上ダイス原動歯車6
7、および下ダイス原動ベルト車68が取り付けられて
いる。前記上下ダイス原動ベルト車61と上下ダイス従
動ベルト車65との間に、タイミングベルト66が懸け
渡されている。
【0035】ダイス駆動装置50は、上下ダイス駆動装
置60および左右ダイス駆動装置100を備えている。
まず、上下ダイス駆動装置60について説明する。
【0036】上ダイス原動軸70が、ハウジング10の
支柱12に軸受71を介してモータ出力軸52に平行に
取り付けられている。上ダイス原動歯車67にかみ合う
上ダイス従動歯車73および上ダイス原動ベルト車74
が、上ダイス原動軸70に固着されている。上ダイス従
動軸76が、軸受77を介してハウジング10の頂部フ
レーム14に取り付けられている。上ダイス従動ベルト
車78、および上ダイス送り原動ベルト車80が、上ダ
イス従動軸76に固着されている。
【0037】上ダイス原動ベルト車74と上ダイス従動
ベルト車78との間に、タイミングベルト79が懸け渡
されている。上ダイス中間軸82がハウジング10の頂
部フレーム14に軸受83を介して取り付けられてい
る。上ダイス中間軸82に上ダイス送り従動ベルト車8
4および上ダイス送り原動マイタ歯車86が固着されて
いる。上ダイス送り原動ベルト車80と上ダイス送り従
動ベルト車84との間に、タイミングベルト85が懸け
渡されている。上ダイス送り駆動軸88がハウジング1
0に軸受89を介して垂直に支持されている。上ダイス
送り駆動軸88に上ダイス送り従動マイタ歯車90およ
び上ダイス送り偏心機構91が設けられている。上ダイ
ス送り偏心機構91は偏心カム(図示しない)を備えて
いる。偏心カムの形状は、圧下と送りにより材料を加工
する際に、ダイス入口側より出口側で送り速度が大きく
なるように、指数曲線にしてある。これにより、圧延加
工と同様に、ダイスと材料接触領域における材料送り方
向のダイス速度と材料速度の差を小さくして、滑りを減
らすことにより摩擦力を減らして滑らかな加工が可能に
なっている。上ダイス送り従動マイタ歯車90は上記上
ダイス送り原動マイタ歯車86にかみ合っている。上ダ
イス送り偏心機構91には上ダイス送りアーム93が連
結されており、上ダイス送りアーム93は前記上ダイス
送りブロック23が連結されている(図7参照)。
【0038】上ダイス圧下偏心機構95が、上ダイス従
動軸76に固着されている。上ダイス送り偏心機構95
は、偏心リング(図示しない)を備えている。上記上ダ
イス圧下偏心機構95には上ダイス圧下アーム97が連
結されており、上ダイス圧下アーム97の下端は、前記
上ダイス圧下ブロック26が連結されている。
【0039】なお、上ダイス41側の上ダイス従動軸7
6と同様の下ダイス従動軸76が架台11に軸受77を
介して取り付けられている。下ダイス従動ベルト車78
が下ダイス従動軸76に取り付けられている。前記上下
ダイス原動軸62に固着された下ダイス原動ベルト車6
8と下ダイス従動ベルト車78との間に、タイミングベ
ルト79が懸け渡されている。
【0040】つぎに、左右ダイス駆動装置100につい
て説明する。
【0041】ハウジング10の支柱12に軸受103を
介して支持された前記左右ダイス原動軸102の上端
に、左右ダイス従動マイタ歯車104が、下端に左右ダ
イス原動ベルト車105がそれぞれ取り付けられてい
る。左右ダイス従動マイタ歯車104は、前記左右ダイ
ス原動マイタ歯車101にかみ合っている。また、左右
ダイス従動軸107が、ハウジング10の支柱12に軸
受(図示しない)を介して左右ダイス原動軸102に平
行に取り付けられている。左右ダイス従動軸107の下
端部に左右ダイス従動ベルト車110が、また上端部に
左ダイス原動歯車112がそれぞれ固着されている。左
右ダイス原動ベルト車105と左右ダイス従動ベルト車
110との間に、タイミングベルト111が懸け渡され
ている。
【0042】左ダイス原動軸115が、ハウジング10
の支柱12に軸受(図示しない)を介して左右ダイス原
動軸102に平行に取り付けられている。左ダイス原動
軸115の上端部に左ダイス従動歯車118が、また下
端部に左ダイス原動ベルト車119がそれぞれ固着され
ている。左ダイス従動歯車118は、上記左ダイス原動
歯車112にかみ合っている。左ダイス従動軸121
が、ハウジング10の支柱12に軸受122を介して左
右ダイス原動軸102に平行に取り付けられている。左
ダイス従動軸121の下端部に左ダイス従動ベルト車1
23が、中間部に左ダイス送り原動ベルト車125がそ
れぞれ取り付けられている。また、左ダイス中間軸12
6が、ハウジング10の支柱12に軸受127を介して
左右ダイス原動軸102に平行に取り付けられている。
【0043】左ダイス中間軸126に左ダイス送り従動
ベルト車128および左ダイス送り原動マイタ歯車13
0が固着されている。左ダイス送り原動ベルト車125
と左ダイス送り従動ベルト車128との間に、タイミン
グベルト129が懸け渡されている。左ダイス送り駆動
軸132がハウジング10に軸受(図示しない)を介し
て垂直に支持されている。左ダイス送り駆動軸132に
左ダイス送り従動マイタ歯車135および左ダイス送り
偏心機構137が設けられている。左ダイス送り偏心機
構137は偏心カム(図示しない)を備えている。上ダ
イス送り偏心機構91と同様に偏心カムの形状を指数曲
線とし、滑らかに加工できるようにしている。左ダイス
送り従動マイタ歯車135は上記左ダイス原動マイタ歯
車130にかみ合っている。左ダイス送り偏心機構13
7には左ダイス送りアーム139が連結されており、左
ダイス送りアーム139は前記左ダイス送りブロック3
3が連結されている。
【0044】左ダイス従動軸121の上端部に左ダイス
圧下偏心機構141が取り付けられている。左ダイス圧
下偏心機構141は、偏心リング(図示しない)を備え
ている。左ダイス圧下偏心機構141には左ダイス圧下
アーム143が連結されており、左ダイス圧下アーム1
43の先端に、前記左ダイス圧下ブロック36が連結さ
れている。
【0045】なお、前記左右ダイス従動軸107の中間
部に、右ダイス原動ベルト車113が固着されている。
右ダイス従動ベルト車123が、右ダイス従動軸121
に取り付けられている。上記右ダイス原動ベルト車11
3と右ダイス従動ベルト車123との間に、タイミング
ベルト124が懸け渡されている。
【0046】上記のように構成された形鋼鍛造装置によ
りH形鋼を鍛造粗造形する方法を、図6を参照して説明
する。
【0047】長方形断面の素材1の寸法および造形する
製品(H形鋼)3の寸法に基づいて、上、下ダイス41
および左、右ダイス46の送り変位振幅、ダイス駆動1
周期当りの圧下量およびダイス駆動周期をあらかじめ設
定する。送り変位振幅は、上下および左右ダイス送り偏
心機構91、137の偏心カムの形状により調整する。
偏心カムは複数の形状のものを準備しておき、送り変位
振幅に応じて適当なものを選択する。ダイス駆動1周期
当りの圧下量は、上下および左右ダイス圧下偏心機構9
5、141の偏心リングの偏心量により調整する。ダイ
ス駆動周期は、ダイス駆動装置50の歯車伝動装置ある
いはベルト伝動装置の減速比により調整する。この実施
例では、上下ダイス送り偏心機構91の偏心カムの形状
と左右ダイス送り偏心機構137の偏心カムの形状とを
適当に選択して、上下ダイス41の送り速度と左右ダイ
ス45の送り速度との間の速度差を調整している。
【0048】モータ51を駆動すると、上下ダイス原動
ベルト車61および同従動ベルト車65、上ダイス原動
歯車67および同従動歯車73、ならびに上ダイス原動
ベルト車74および同従動ベルト車78を介して上ダイ
ス従動軸76が回転する。上ダイス従動軸76の回転に
より、上ダイス送り原動ベルト車74および同従動ベル
ト車78、ならびに上ダイス送り原動マイタ歯車86お
よび同従動マイタ歯車90を介して上ダイス送り偏心機
構91が駆動される。上ダイス送り偏心機構91の駆動
により、上ダイス41が送り方向に往復動する。また、
上ダイス圧下偏心機構95が駆動され、上ダイス41が
上下動する。上ダイス41の送り方向の往復動と上下動
とにより、上ダイス41は閉曲線を描くように運動す
る。一方、下ダイス原動ベルト車68および同従動ベル
ト車78を介して下ダイス従動軸76が回転駆動され
る。これにより、上ダイス41と同様にして、下ダイス
45がダイス送り方向に往復動するとともに、上下動
し、上ダイス41と同じ閉曲線を描くように運動する。
【0049】モータ51の駆動により、左右ダイス原動
マイタ歯車101および同従動マイタ歯車104、左右
ダイス原動ベルト車105および同従動ベルト車110
を介して左右ダイス従動軸107が回転する。そして、
上、下ダイス41と同様に左、右ダイス45が閉曲線を
描くように運動する。上、下ダイス41および左、右ダ
イス45は1台のモータ51で、上下ダイス駆動装置6
0および左右ダイス駆動装置100により駆動されるの
で、すべてのダイス41、45は同調して所定の閉曲線
を描くように運動する。
【0050】運動する上、下ダイス41、および左、右
ダイス45が形成するカリバーに、長方形断面の素材1
がローラテーブル145により供給される。素材1は
上、下ダイス41および左右ダイス45で送られなが
ら、繰り返し圧下され、H形形状に造形される。
【0051】2パス以上で造形する場合、H形に成形さ
れカリバーを通過した材料3をローラテーブル145で
後退させる。また、上、下ダイス41および左、右ダイ
ス45の送り量および圧下量を設定しなおす。そして、
上、下ダイス41、および左、右ダイス45が形成する
カリバーに、前パスでH形に成形した材料3をローラテ
ーブル145で送り込み、鍛造造形する。
【0052】図1の形鋼鍛造装置を用いた形鋼粗造形工
程における鍛造加工例について説明する。
【0053】表1に鍛造条件を示す。入側材料温度11
00℃で、幅1200mm×厚さ250mm×長さ1000
0mmの熱間鋼の素材から2パスでウェブ厚さ110mm、
ウェブ高さ650〜865mmに圧下して、所定のウェブ
厚さ、ウェブ高さ、フランジ幅に加工した。圧下振幅
は、上下ダイスで±33mm、左右ダイスで±16.5mm
である。送り変位振幅は、上下ダイス、左右ダイスとも
±16.5〜49.5mmである。鍛造の際の上下ダイス
および左右ダイスの変位の周波数は1.63Hzである。
【0054】
【表1】
【0055】図8に実施例の上下ダイスの圧下振幅±3
3mmと送り変位振幅±16.5mmの場合の上下ダイスの
2次元の変位の軌跡を示す。左右ダイスの変位の軌跡は
圧下変位が上下ダイスの1/2になる以外は同様であ
る。図中の角度は、偏心軸の回転角度である。
【0056】図9に実施例の上下ダイスの圧下振幅±3
3mmと送り変位振幅±49.5mmの場合の上下ダイスの
2次元の変位の軌跡を示す。なお、左右ダイスの変位の
軌跡は圧下変位が上下ダイスの1/2になる以外は同様
である。図中の角度は、偏心軸の回転角度である。
【0057】それぞれの場合について、この発明の効果
を把握するため、この実施例では幅の異なる3種類の上
下ダイスを使用した。
【0058】また、粗造形に必要なパス数は、1〜数パ
スである。1パスの場合、造形可能であるが、鍛造荷重
が大きくなり、大規模の鍛造設備が必要になる。また、
3パス以上の多パスにした場合、負荷は小さくなり、小
規模の鍛造設備で加工できるが、生産能率が低下する。
したがって、この実施例では、生産能率と設備規模が適
切な2パスで所定の形状を造形する例について、以下に
説明する。
【0059】なお、いずれの上下ダイスを用いた場合で
も、ウェブ厚さ圧下率は、第1パスでは25%、第2パ
スでは42%、全圧下率は57%の同じ条件とし、ウェ
ブ高さ圧下率およびその全圧下率は、ダイスの幅に応じ
て以下の3水準の条件とした。
【0060】(1)幅b=364mm(図4の上下ダイス
の幅b)の上下ダイスを用いた場合、ウェブ高さ圧下率
は、第1パスで21%、第2パスで31%、全圧下率は
46%である。
【0061】(2)幅b=466mmの上下ダイスを用い
た場合、ウェブ高さ圧下率は、第1パスで18%、第2
パスで23%、全圧下率は37%である。
【0062】(3)幅b=586mmの上下ダイスを用い
た場合、ウェブ高さ圧下率は、第1パスで13%、第2
パスで17%、全圧下率は27%である。
【0063】なお、上記の3種類の幅の上下ダイスに対
し、左右ダイスは、1種類で同じものを用いた。上下ダ
イス、左右ダイスの送り変位振幅は、3種類の幅の上下
ダイスおよび1種類の左右ダイスに対し、第1パスで
は、±16.5mmである。第2パスでは、±16.5〜
49.5mmの範囲で上下ダイスと左右ダイスの送り変位
振幅を調整して、上下ダイスにより圧下されるウェブと
左右ダイスで圧下されるフランジの間で相互に作用する
応力を調整することにより、フランジ幅を制御した。
【0064】図10に、幅b=364mmの凸型カリバー
をもつ上下ダイスとフラットカリバー(カリバーレス)
をもつ左右ダイスを用いて、鍛造した場合の材料断面形
状を示す。
【0065】図10(a)に素材断面形状を示す。素材
幅B0 は1200 mm 、素材高さH0 は250 mm であ
る。図10(b)に上下ダイスと左右ダイスの送り速度
が等しく、送り変位振幅±16.5mmで、ウェブ高さB
w1940mmに鍛造した場合の第1パス出側の材料断面形
状を示す。フランジ幅さBf1は290 mm であり、ウエ
ブ厚tw1は190 mm である。図10(c)に第1パス
出側の図10(b)の断面の材料を素材として上下ダイ
スと左右ダイスの送り速度を等しくし、送り変位振幅を
±16.5mmとして、ウェブ高さBw2650mmに鍛造し
た場合の第2パス出側の材料断面形状である。フランジ
幅Bf2は360 mm であり、ウエブ厚tw2は110 mm
である。図10(d)に第1パス出側の図10(b)の
断面の材料を素材として上下ダイスの送り速度を左右ダ
イスの送り速度より大きくし、上下ダイスと左右ダイス
の送り変位振幅を各々±49.5mm,±16.5mmとし
て、ウェブ高さBw2650mmに鍛造した場合の第2パス
出側の材料断面形状を示す。フランジ幅Bf2は320 m
m であり、ウエブ厚tw2は120 mm である。図10
(e)に第1パス出側の図10(b)の断面の材料を素
材として上下ダイスの送り速度を左右ダイスの送り速度
より小さく、上下ダイスと左右ダイスの送り変位振幅を
各々±16.5mm,±49.5mmとして、ウェブ高さB
w2650mmに鍛造した場合の第2パス出側の材料断面形
状を示す。フランジ幅Bf2は420 mmであり、ウエブ
厚tw2は110 mm である。上下ダイスと左右ダイスの
送り速度に差を付けながら圧下することにより出側フラ
ンジ幅Bf2を変化させることがわかる。
【0066】図11に、幅b=364mm,466mm,5
86mmの凸型カリバーをもつ上下ダイスとフラットカリ
バー(カリバーレス)をもつ左右ダイスを用いて、12
00×250×10,000の素材を先の(1)〜
(3)の圧下率の条件で、上下ダイスおよび左右ダイス
の送り速度を等しくし、上下ダイスの送り変位振幅
1 、左右ダイスの送り変位振幅a2 を±16.5mmと
して鍛造した場合の第1パス出側のウェブ高さBw1とフ
ランジ幅Bf1の関係を示す。
【0067】(1)幅b=364mmの上下ダイスを用
い、上下ダイスと左右ダイスの送り速度が等しく、送り
変位振幅±16.5mmの場合、第1パス出側のウェブ厚
さは200mm、ウェブ高さは944mm、フランジ幅は2
84mmである。 (2)幅b=466mmの上下ダイスを用い、上下ダイス
と左右ダイスの送り速度が等しく、送り変位振幅±1
6.5mmの場合、第1パス出側のウェブ厚さは200m
m、ウェブ高さは977mm、フランジ幅は277mmであ
る。 (3)幅b=586mmの上下ダイスを用い、上下ダイス
と左右ダイスの送り速度が等しく、送り変位振幅±1
6.5mmの場合、第1パス出側のウェブ厚さは200m
m、ウェブ高さは1042mm、フランジ幅は270mmで
ある。
【0068】図12に、幅b=364mm,466mm,5
86mmの凸型カリバーをもつ上下ダイスとフラットカリ
バー(カリバーレス)をもつ左右ダイスを用いて、鍛造
した場合の第2パス出側のウェブ高さBw2とフランジ幅
f2の関係を示す。
【0069】(1)幅b=364mmの上下ダイスを用い
ると、 上下ダイスと左右ダイスの送り速度が等しく、送り変
位振幅±16.5mmの場合(図12の破線で示す)、第
2パス出側のウェブ厚さは110mm、ウェブ高さは65
0mm、フランジ幅は360mmである。 上下ダイスの送り速度が左右ダイスの送り速度より大
きく、各々の送り変位振幅が±49.5mm,±16.5
mmの場合(図12の一点鎖線で示す)、第2パス出側の
ウェブ高さは650mmである。フランジに作用する材料
進行方向応力は、上下ダイスと左右ダイスの送り速度が
著しい場合に比較して、引張側に増加し、フランジ幅は
320mmに減少する。 上下ダイスの送り速度が左右ダイスの送り速度より小
さく、上下ダイスの送り振幅および左右ダイスの送り変
位振幅が±16.5mm,±49.5mmの場合(図12の
二点鎖線で示す)、第2パス出側のウェブ高さは640
mmである。フランジに作用する材料進行方向応力は、上
下ダイスと左右ダイスの送り速度が等しい場合に比較し
て、圧縮側に増加し、フランジ幅は420mmに増加す
る。
【0070】(2)幅b=466mmの上下ダイスを用い
ると、 上下ダイスと左右ダイスの送り速度が等しく、送り変
位振幅±16.5mmの場合(図12の破線で示す)、第
2パス出側のウェブ厚さは110mm、ウェブ高さは74
5mm、フランジ幅は330mmである。 上下ダイスの送り速度が左右ダイスの送り速度より大
きく、上下ダイスの送り変位および左右ダイスの送り変
位振幅が各々±49.5mm,±16.5mmの場合(図1
2の一点鎖線で示す)、第2パス出側のウェブ高さは7
50mmである。フランジに作用する材料進行方向応力
は、上下ダイスと左右ダイスの送り速度が著しい場合に
比較して、引張側に増加し、フランジ幅は270mmに減
少する。 上下ダイスの送り速度が左右ダイスの送り速度より小
さく、上下ダイスの送り変位および左右ダイスの送り変
位振幅が各々±16.5mm,±49.5mmの場合(図1
2の二点鎖線で示す)、第2パス出側のウェブ高さは7
40mmである。フランジに作用する材料進行方向応力
は、上下ダイスと左右ダイスの送り速度が等しい場合に
比較して、圧縮側に増加し、フランジ幅は390mmに増
加する。
【0071】(3)幅b=586mmの上下ダイスを用い
ると、 上下ダイスと左右ダイスの送り速度が等しく、送り変
位振幅±16.5mmの場合(図12の破線で示す)、第
2パス出側のウェブ厚さは110mm、ウェブ高さは86
5mm、フランジ幅は300mmである。 上下ダイスの送り速度が左右ダイスの送り速度より大
きく、上下ダイスの送り変位振幅および左右ダイスの送
り変位振幅が各々±49.5mm,±16.5mmの場合
(図12の一点鎖線で示す)、第2パス出側のウェブ高
さは870mmである。フランジに作用する材料進行方向
応力は、上下ダイスと左右ダイスの送り速度が等しい場
合に比較して、引張側に増加し、フランジ幅は240mm
に減少する。 上下ダイスの送り速度が左右ダイスの送り速度より小
さく、上下ダイスの送り変位振幅および左右ダイスの送
り変位振幅が各々±16.5mm,±49.5mmの場合
(図12の二点鎖線で示す)、第2パス出側のウェブ高
さは850mmである。フランジに作用する材料進行方向
応力は、上下ダイスと左右ダイスの送り速度が等しい場
合に比較して、圧縮側に増加し、フランジ幅は360mm
に増加する。
【0072】このように、上下ダイスの送り速度と左右
ダイスの送り速度の相対値を変化することによって、フ
ランジ幅を変化させることが可能であることがわかる。
【0073】この実施例では、送り変位振幅が±16.
5〜49.5mm、周波数が1.63Hzで、比較的小さい
ため、材料送り速度も小さく、2パス加工での生産能率
(時間当たりの加工材料重量)は、100ton/hで、従
来の圧延加工の1/2程度であるが、例えば、送り変位
振幅を5倍、周波数を2倍にすれば、生産能率は、10
00ton/hで、圧延加工の5倍に向上し、高能率加工が
可能になる。
【0074】以上のように、この実施例では、1種類の
長方形断面の素材から、幅が3種類の上下ダイスと1種
類の左右ダイスを用いて、9種類のウェブ厚さ、ウェブ
高さ、フランジ幅の組み合わせのサイズフリー加工が可
能である。
【0075】言うまでもなく、上下ダイスの幅の種類
を、必要に応じて多く揃えればよい。
【0076】一方、従来の水平ロールによる粗造形の圧
延法は、数種類の断面寸法の素材を用いて、10種類以
上の粗造形用ロールを用いて、前半のパスでは、素材断
面の長辺側を垂直方向にして不安定な姿勢で長辺側を圧
下して、ウェブ高さとフランジ幅の調整をした後、後半
のパスでウェブ厚さを調整して合計約20パスで造形す
る。したがって、この方法では、従来の圧延法に比較し
て、少ない工具でサイズフリー加工および大形形鋼の粗
造形加工が実現され、さらにダイスの送り変位振幅と周
波数を増加することにより容易に高能率加工が可能であ
る。また、素材断面の長手方向を水平にした安定な姿勢
で加工されるため、寸法精度を目標値に調整することも
操業上、容易である。
【0077】
【発明の効果】この発明により、一般に、1〜2の少な
い種類の長方形断面の素材から、幅が数種類の上下ダイ
スと1種類の左右ダイスの少ない工具を用いて、圧下と
送りの2次元の周期的変位をする4ダイスを用いた1〜
数パスの連続鍛造加工により、約10種類のウェブ厚
さ、ウェブ高さ、フランジ幅の組み合わせの金属形材の
粗造形のサイズフリー加工が実現される。また、圧下振
幅と周波数の調整により高速高能率加工が可能である。
したがって、素材の集約による上流側の材料鍛造工程で
の経済的効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の造形方法を実施する形鋼鍛造装置の
一例を示す正面図である。
【図2】図1に示す形鋼鍛造装置の側面図である。
【図3】上記形鋼鍛造装置に装着された上、下ダイスお
よび左、右ダイスの一例を示す平面図である。
【図4】上記上、下ダイスおよび左、右ダイスの正面図
である。
【図5】上記上、下ダイスの側面図である。
【図6】上記形鋼鍛造装置のダイス駆動装置を模式的に
示す図面である。
【図7】上、下ダイスの保持部材および駆動部を示す平
断面図である。
【図8】圧下振幅が±33mm、送り変位振幅が±16.
5mmである場合の上下ダイス(左右ダイス)の軌跡図で
ある。
【図9】圧下振幅が±33mm、送り変位振幅が±49.
5mmである場合の上下ダイス(左右ダイス)の軌跡図で
ある。
【図10】素材、第1パス出側の粗造形材、および第2
パス出側の粗造形材の断面図である。
【図11】上下ダイス幅をパラメータとした、第1パス
出側におけるウエブ高さとフランジ幅との関係を示す線
図である。
【図12】上下ダイス幅およびダイスの送り変位振幅を
パラメータとした、第2パス出側におけるウエブ高さと
フランジ幅との関係を示す線図である。
【符号の説明】
1 長方形断面素材 3 加工された粗形鋼片材料 10 ハウジング 11 架台 12 支柱 20 ダイス保持部材 21 上(下)ダイス保持装置 22 上(下)ダイス送り案内板 23 上(下)ダイス送りブロック 26 上(下)ダイス圧下ブロック 28 上(下)ダイス保持部材 31 左(右)ダイス保持装置 32 左(右)ダイス送り案内板 33 左(右)ダイス送りブロック 36 左(右)ダイス圧下ブロック 28 左(右)ダイス保持部材 40 ダイス 41 上下ダイス 45 左右ダイス 50 ダイス駆動装置 51 モータ 60 上下ダイス駆動装置 62 上下ダイス原動軸 70 上(下)ダイス原動軸 76 上(下)ダイス従動軸 82 上(下)ダイス中間軸 88 上(下)ダイス送り駆動軸 91 上(下)ダイス送り偏心機構 93 上(下)ダイス送りアーム 95 上(下)ダイス圧下偏心機構 97 上(下)ダイス圧下アーム 100 左右ダイス駆動装置 102 左右ダイス原動軸 107 左(右)ダイス従動軸 126 左(右)ダイス中間軸 132 左(右)ダイス送り駆動軸 137 左(右)ダイス送り偏心機構 139 左(右)ダイス送りアーム 141 左(右)ダイス圧下偏心機構 143 左(右)ダイス圧下アーム 145 ローラテーブル P パスライン

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 四角形断面の素材をパスラインに沿って
    送りながら、上下に対向する上下ダイスおよび左右に対
    向する左右ダイスで素材を圧下する鍛造による金属形材
    の造形方法において、パスラインに平行な垂直面内で一
    定の閉曲線を描くように上下ダイスを周期的に駆動する
    とともに、水平面内で一定の閉曲線を描くように左右ダ
    イスを周期的に駆動し、上下ダイスの圧下率でウエブ厚
    を調整し、左右ダイスの圧下率でウエブ高さを調整する
    とともに、上下ダイスおよび左右ダイスの圧下率、なら
    びに上下ダイスのパスライン方向の速度と左右ダイスの
    パスライン方向の速度との速度差によりフランジ幅を調
    整することを特徴とする鍛造による金属形材の造形方
    法。
  2. 【請求項2】 上下に対向する上下ダイスと、左右に対
    向する左右ダイスとを備えた金属形材の鍛造造形装置に
    おいて、パスラインに平行な垂直面内で一定の閉曲線を
    描くように上下ダイスを周期的に駆動するとともに、水
    平面内で一定の閉曲線を描くように左右ダイスを周期的
    に駆動するダイス駆動装置と、上下ダイスのパスライン
    方向の速度および左右ダイスのパスライン方向の速度を
    それぞれ独立して調整可能なダイス速度調整装置とを備
    えたことを特徴とする金属形材の鍛造造形装置。
  3. 【請求項3】 ハウジングと、ハウジングに取り付けら
    れた、パスライン方向に延びる上下ダイス送り案内手段
    と、上下ダイス送り案内手段に案内されて移動可能な上
    下ダイス送りブロックと、上下ダイス送りブロックの案
    内手段に上下動可能にはめ合った上下ダイス圧下ブロッ
    クと、上下ダイス圧下ブロックに取り付けられた上下ダ
    イスと、ハウジングに取り付けられた、パスライン方向
    に延びる左右ダイス送り案内手段と、左右ダイス送り案
    内手段に案内されて移動可能な左右ダイス送りブロック
    と、左右ダイス送りブロックの案内手段に左右動可能に
    はめ合った左右ダイス圧下ブロックと、左右ダイス圧下
    ブロックに取り付けられた左右ダイスと、上下ダイス送
    りブロックに連結された上下ダイス送り偏心機構と、上
    下ダイス圧下ブロックに連結された上下ダイス圧下偏心
    機構と、左右ダイス送りブロックに連結された左右ダイ
    ス送り偏心機構と、左右ダイス圧下ブロックに連結され
    た左右ダイス圧下偏心機構と、上下ダイス送り偏心機
    構、上下ダイス圧下偏心機構、左右ダイス送り偏心機
    構、および左右ダイス圧下偏心機構を駆動するダイス駆
    動装置とを備えた請求項2記載の金属形材の鍛造造形装
    置。
  4. 【請求項4】 前記ダイス駆動装置がモータと、モータ
    と前記上下ダイス送り偏心機構および上下ダイス圧下偏
    心機構とを連結する上下ダイス駆動伝動装置と、モータ
    と前記左右ダイス送り偏心機構および左右ダイス圧下偏
    心機構とを連結する左右ダイス駆動伝動装置とからなる
    請求項3記載の金属形材の鍛造造形装置。
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