JPH088667Y2 - バスケット収納装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、家具や建具等の収納ス
ペースを区画するバスケット類の収納装置に関する。本
考案においてバスケットとは、かご状容器のほかに内部
収納スペースを仕切る板状その他棚部材をいう。

【０００２】

【従来の技術】例えばシステムキッチンにおいては、ド
アで仕切られた内部収納スペースを有効活用するため
に、棚部材で仕切ったり或いは回転バスケットを設ける
等した収納装置が採用されている。この種バスケット収
納装置としては、両側板にそれぞれスライドレールが固
定され、各スライドレールに棚板が架設されている。棚
板は収納位置から引出位置へと前後スライドして引出さ
れる。

【０００３】また、他のバスケット収納装置としては、
例えば流し台等の下部収納スペースの略中央に上下方向
への支柱を立設し、支柱を支軸として半円形の回転バス
ケットが回転自在に取付されているものが採用されてい
る。回転バスケットは、半円形部位を内部へと回転させ
て収納位置が構成され、半円形部材を手前側へと回転さ
せて引出位置が構成される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】前者のバスケット収納
装置においては、棚板が手前へスライドするために、引
出した状態では棚板に収納した物品によって奥側へ手を
差込することができないので、棚板で仕切られていない
奥側スペースへは通常使用しない物品を収納していた。
また、奥側が見え難いので、一体棚板から物品を取り去
らなければ奥側を確認することができず、使い勝手が良
くなかった。さらに、棚板に邪魔されるために、上下寸
法の大きな物品を奥側へ収納することができなかった。

【０００５】後者のバスケット収納装置においては、半
円形のバスケットを回転させる構造であるために、内部
収納スペースのうちの半円形部位しか仕切って活用でき
ないものであった。その場合に、中央の支柱が邪魔とな
るので、回転バスケット以外の内部収納スペースには物
品を収納することができず、いずれにしても収納効率が
低い欠点が避けられなかった。

【０００６】本考案は、バスケットとして使用できると
ともに内部収納スペースを十分に活用できるようにし、
奥側の物品を見やすく且つ取りやすくしたバスケット収
納装置の提供を目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本考案に係るバスケット収納装置は、家具類の一方側
板に固定される取付プレートと、この取付プレートに設
けられたリンク機構を介して収納スペース内の収納位置
と開口部側の引出位置とに水平移動するスライドフレー
ムと、このスライドフレームの先端に枢着されるバスケ
ットとを備え、スライドフレームの引出位置においてバ
スケットが開口部側方へ旋回される構成にある。本考案
は、好ましくは、一方側板に少なくとも上下一対の取付
プレートを固定し、各取付プレートにスライドアームを
夫々設けて実施される。この場合に、スライドフレーム
に上下にわたるバスケットフレームが枢着され、バスケ
ットフレームには上下方向にわたってバスケット係合部
が多数設けられている実施態様で実現される。さらに、
本考案は、収納位置においてロックされるとともに引出
位置においてロック解除されるバスケット保持手段を、
スライドフレームとリンク機構とに設ける実施態様で実
現される。

【０００８】

【作用】＊バスケットは、スライドフレームの後退によ
って収納スペース内の収納されており、扉等によって家
具類の開口部が閉じられている。開口部を開いてバスケ
ットを把持して手前に引出すると、リンク機構によって
スライドフレームが取付フレームに対して平行移動する
ので、バスケットは開口部側の引出位置へと移動する。
引出位置においてスライドフレームの先端は開口部より
突出しているので、バスケットはスライドフレームの先
端を軸として開口部側方へ旋回され、収納スペースの奥
側まで開放されることとなる。

【０００９】収納後には、バスケットを開口部側方から
開口部へと逆旋回させてスライドフレームと交差位置と
する。その状態でバスケットを奥側へ押し込みすると、
スライドフレームがリンク機構を介して後退して収納さ
れる。

【００１０】好ましくは、バスケットはバスケットフレ
ームの係合部に係合して任意の位置に任意数が取付され
る。また、バスケットは、バスケット保持手段によって
旋回が阻止されたままで収納位置と引出位置へとスライ
ドがなされる。

【００１１】

【実施例】以下図面の一実施例により本考案を説明す
る。図１は家具類に組込みされたバスケット収納装置の
概略図、図２はバスケット収納装置の全体斜視図、図３
は取付プレートとスライドフレームとの分解斜視図、図
４はバスケット収納装置の収納位置を示す断面図、図５
はバスケット収納装置の引出位置を示す断面図、図６は
バスケット収納装置の旋回位置を示す断面図である。バ
スケット収納装置１は、家具類１０の一方側板１１に少
なくとも上下一対固定される取付プレート２，２と、こ
の取付プレート２に設けられたリンク機構４を介して収
納スペース１２の収納位置Ａと開口部側の引出位置Ｂと
に移動するスライドフレーム３と、このスライドフレー
ム３の先端３３に枢着されるバスケット７とを備え、ス
ライドフレーム３の引出位置Ｂにおいてバスケット７が
開口部側方位置Ｃへ旋回されて構成される。

【００１２】前記上下のスライドフレーム３，３には、
バスケット７・・を取付するためのバスケットフレーム
６が垂直に取付されるとともに、このバスケットフレー
ム６を保持するバスケット保持手段５が取付されてい
る。

【００１３】詳述すると、取付プレート２は、上下フレ
ーム２１，２２と垂直フレーム２３とから一側を開口す
る断面コ字形を呈し、手前側から奥側へと細長に形成さ
れている。この取付プレート２は、垂直プレート２３か
ら延ばした座面２４からねじ２５によって一方側板１１
に水平に固定される。図示するように、座面２４をねじ
２６によって取付プレート２に固定することができる。
上下フレーム２１，２２には回転軸２７，２８が設けら
れ、この回転軸２７，２８にリンク機構４の一端が取付
されている。回転軸２７，２８は好ましくは前後方向に
離間配置され、手前側の回転軸２７は上フレーム２１の
一面から軸を切欠等した連結回転軸２７ａが突出されて
いる。取付プレート２，２が上下一対配置される場合に
は、上位の取付プレート２からは下位へ向けて連結回転
軸２７ａが突出され、下位の取付プレート２からは上位
に向けて連結回転軸２７ａが突出される構造にデキる。
従って、連結回転軸２７ａ，２７ａの間が連結板２９で
連結される。

【００１４】次に、スライドフレーム３は、上下フレー
ム３１，３２と垂直フレーム３４とから一側を開口する
断面コ字形を呈し、手前側から奥側へと細長に形成され
ている。このスライドフレーム３は取付フレーム２とは
互いに開口部を対向させ、上下フレーム２１，３１，２
２，３２とがスライド可能に位置されている。上下フレ
ーム３１，３２には回転軸３５，３６とが前後に離間配
置され、リンク機構４の他端が取付されている。回転軸
３６は割りピン構造にできる。また、垂直フレーム３３
には切欠部３７が前側の回転軸３５の近傍に設けられ、
バスケット保持手段５が表出されている。また、スライ
ドフレーム３は、先端３３が取付プレート２の先端より
も手前側に延長され、延長された上下フレーム３１，３
２には受穴３８，３８が設けられている。

【００１５】さらに、リンク機構４は、例えば二枚の平
行リンクから構成することができ、この場合には二枚の
リンクプレート４１，４２を備える。リンクプレート４
１，４２は、断面略コ字形を呈し、上下両端の受穴４
３，４４に前述の回転軸２７，２８，３５，３６が枢着
される。受穴４４は回転軸２７の端部形状に対応して矩
形形状にできる。リンクプレート４１または４２とスラ
イドフレーム３との間にはスプリング４５が掛け渡さ
れ、いずれのスライド位置においてもばね力が作用され
るものとする。手前側のリンクプレート４１にはバスケ
ット保持手段５の一方が設けられている。

【００１６】バスケット保持手段５は、リンクプレート
４１に設けられた押圧部材５１と回転軸３５にもうけら
れたロックレバー５２とから構成できる。押圧部材５１
は、基端部に設けた雄ねじ部５３がナット５４を介して
リンクプレート４１に固定され、リンクプレート４１が
手前側に移動した場合にスライドフレーム側へ突出する
ように直交状態で設けられ、先端部５１ａを丸くした棒
状に形成できる。

【００１７】また、ロックレバー５２は全体として略Ｌ
字形に形成され、中心孔５５を回転軸３５に挿通されて
回転可能に支持され、ばね５６でロック方向への付勢力
が付与されている。ロックレバー５２の一端には作動片
５７が切欠部３７から表出され、作動片５７の鉤部５８
がロック方向に設けられ、鉤部５８でバスケットフレー
ム６がロックされる構成である。また、ロックレバー５
２の他端には受片５９が設けられ、前記押圧部材５１の
移動によってロック解除方向へ押圧されるように配置さ
れている。

【００１８】前記バスケットフレーム６は４つの枠６１
〜６４から上下に細長い矩形枠状に構成することがで
き、手前側の上下枠６１，６２には軸受板６５が側方へ
それぞれ延長され、軸受板６５からは軸ピン６６がそれ
ぞれ突出されている。この軸ピン６６，６６がスライド
フレーム先端３３の受穴３８，３８に係入されて旋回自
在に組付される。バスケットフレーム６の奥枠６４は前
記ロックレバー５２によって係合及び解除されるように
位置される。

【００１９】バスケットフレーム６の手前枠６３と奥枠
６４には、上下方向にわたって所望間隔ごとにバスケッ
ト係合部としての係合穴６７・・が多数設けられてい
る。係合穴６７は、中央を広巾とした挿入穴６８に連通
され、挿入穴６８の上下を細巾として係合可能に構成さ
れる。また、バスケットフレーム６の上枠６１の内側に
は鉤部５８に係合されるロック受板６９が設けられてい
る。

【００２０】さらに、前記バスケット７は、バスケット
フレーム６の係合穴６７に取付られる。バスケット７の
上部からは、先端を下方に曲げてフック片７１，７１を
形成し、フック片７１，７１が挿入穴６８，６８から挿
入されて係合穴６７，６７の狭さによって係止される。
この場合にバスケット７の下部からは手前枠６３と奥枠
６４とに当接する当接端７２，７２が突出され、上部の
フック片７１，７１で係止されたバスケット自重を当接
端７２，７２の当接で支持している。当接端７２にはゴ
ム等の緩衝材７３を被覆しておくことが望ましい。上下
方向の所望位置に所望数のバスケット７が取付される。

【００２１】なお、取付プレート２にはリンク機構の中
間にストッパ８が設けられ、スライドフレーム３の移動
衝撃が緩和される。ストッパ８にはゴムやプラスチック
などの弾性体８１が付設されている。

【００２２】上記構成に基づく作用を説明する。図４に
示すように、リンクプレート４１，４２の他端が奥側に
後退しているので、スライドフレーム３は収納位置を構
成する。手前側のリンクプレート４１の後退によって、
押圧部材５１はロックレバー５２の受片５９に当接され
ていないので、鉤部５８がバスケットフレーム６のロッ
ク受板６９に係合してばね力に従って保持している。バ
スケット７は、スライドフレーム６に直交する状態で家
具類１０の開口部に位置している。

【００２３】図５に示すように、バスケット７を手前側
へ引出すと、リンクプレート４１，４２のフレーム側が
収納位置から平行して手前側へ移動するので、スライド
フレーム３が手前側へ移動することとなる。移動過程に
おいて、押圧部材５１がロックレバー５２に当接してい
ないので、ロック解除されることなくバスケット７が引
出されて開口部側の引出位置Ｂへと移行する。スライド
フレーム３は、先端３３が開口部よりも手前側へ飛び出
しているので、バスケット７も開口部から飛び出した状
態で引出位置Ｂとなる。

【００２４】引出位置Ｂにおいて、手前側のリンクプレ
ート４１の移動によって押圧部材５１がロックレバー側
へ接近し、受片５９を押圧する。受片５９が図中時計方
向へ移動するので、作動片５７も時計方向へ移動し、鉤
部５８がロック受板６９への係合を解除する。

【００２５】図６に示すように、バスケットフレーム６
は、手前枠６３の軸ピン６６によってスライドフレーム
先端３３から開口部側方位置Ｃへと旋回されるので、バ
スケット７も同位置へと旋回される。これによって、開
口部が開放されて奥側まで肉視され、収納スペース１２
の奥側からの物品の出し入れが可能となる。

【００２６】収納に際しては、バスケット７を開口部側
方位置Ｃから開口部へと逆旋回させ、引出位置Ｂを構成
する。その状態でバスケット７を奥側へ押し込みする
と、スライドフレーム３がリンク機構４を介して後退し
て収納位置Ａとなる。押し込み開始に際しては、バスケ
ットフレーム６の奥枠６４にロックレバー５２の鉤部５
８が係合してバスケット７を保持しつつ後退される。

【００２７】上記一実施例によれば、バスケット保持手
段５がリンク機構４と連動しているので、スライドフレ
ーム３の移動に伴って、収納位置Ａではバスケットフレ
ーム６を自動的にロック保持することができ、引出位置
Ｂではバスケットフレーム６のロックを自動的に解除す
ることができるので、引出したときのみに開口部側方位
置Ｃへの旋回を行え、誤動作のおそれを一掃することが
できた。また、バスケットフレーム６に係合穴６７を上
下にわたって多数設けたので、所望位置を選択して任意
数のバスケット７をフック片７１によって引っかけて取
付することができ、収納物品に対応した棚構成が簡単に
行える。

【００２８】上記一実施例において取付プレート２とス
ライドフレーム３とを図示説明したが、これに限定する
趣旨ではなく、両者２，３の間にリンク機構４を収納可
能な異なる形状で実施可能である。また、リンク機構４
としては、取付プレート２に対してスライドフレーム３
が平行移動できる構造であれば、任意に採用可能であ
る。さらに、バスケット７を図示説明したが、棚板や各
種間仕切ユニット等も採用可能である。さらにまた、上
下一対の取付プレート２，２を図示説明したが、３個以
上取付て実施することもできる。１個の場合には、上位
に配置して吊り構造あるいは片持ち構造として実施可能
である。

【００２９】

【考案の効果】以上のように本考案によれば、家具類の
収納スペースにバスケットを設置して物品を収納させる
とともにバスケットを手前側へ引出して使用することが
できるうえ、バスケットを開口部側方へ旋回させて家具
類の開口部から収納スペースを開放することができ、使
い勝手を向上させることができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す家具類に組込みされた
バスケット収納装置の概略図である。

【図２】本考案の一実施例を示す家具類に組込みされた
バスケット収納装置の全体斜視図である。

【図３】本考案の一実施例を示す取付プレートとスライ
ドフレームとの分解斜視図である。

【図４】本考案の一実施例を示すバスケット収納装置の
収納位置を示す断面図である。

【図５】本考案の一実施例を示すバスケット収納装置の
引出位置を示す断面図である。

【図６】本考案の一実施例を示すバスケット収納装置の
旋回位置を示す断面図である。

【図７】本考案の一実施例を示すバスケットフレームと
バスケットとを示す要部斜視図である。

【符号の説明】

１ バスケット収納装置 ２ 取付プレート ３ スライドフレーム ４ リンク機構 ５ バスケット保持手段 ６ バスケットフレーム ７ バスケット ８ ストッパ １０ 家具類 １１ 一方側板 １２ 収納スペース ２１，２２ 上下フレーム（取付プレート） ２３ 垂直フレーム（取付プレート） ２７，２８ 回転軸 ２９ 連結板 ３１，３２ 上下フレーム（スライドフレーム） ３４ 垂直フレーム（スライドフレーム） ３５，３６ 回転軸 ３７ 切欠部 ５１ 押圧部材 ５２ ロックレバー ５７ 作動片 ５８ 鉤部 ６１，６２ 上下枠 ６３ 手前枠 ６４ 奥枠 ６６ 軸ピン ６９ ロック受板 ７１ フック片

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 田中 哲 大阪府大阪市北区中之島２丁目３番18号 大建工業株式会社内 (72)考案者 橋本 政義 東京都台東区入谷１丁目27番４号 高橋金 物株式会社内

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 家具類の一方側板に固定される取付プレ
   ートと、この取付プレートに設けられたリンク機構を介
   して収納スペース内の収納位置と開口部側の引出位置と
   に水平移動するスライドフレームと、このスライドフレ
   ームの先端に枢着されるバスケットとを備え、スライド
   フレームの引出位置においてバスケットが開口部側方へ
   旋回されるバスケット収納装置。
2. 【請求項２】 取付プレートが一方側板に少なくとも上
   下一対固定され、各取付プレートにスライドアームがそ
   れぞれ設けられている請求項１記載のバスケット収納装
   置。
3. 【請求項３】 スライドフレームには上下にわたるバス
   ケットフレームが枢着され、バスケットフレームには上
   下方向にわたってバスケット係合部が多数設けられてい
   る請求項１記載のバスケット収納装置。
4. 【請求項４】 スライドフレームとリンク機構とには収
   納位置においてロックされるとともに引出位置において
   ロック解除されるバスケット保持手段が設けられている
   請求項１記載のバスケット収納装置。