JPH0885864A - 有機分子の薄膜製造方法および薄膜パターン製造方法 - Google Patents

有機分子の薄膜製造方法および薄膜パターン製造方法

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JPH0885864A
JPH0885864A JP22515394A JP22515394A JPH0885864A JP H0885864 A JPH0885864 A JP H0885864A JP 22515394 A JP22515394 A JP 22515394A JP 22515394 A JP22515394 A JP 22515394A JP H0885864 A JPH0885864 A JP H0885864A
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英治 信時
Koji Hamano
浩司 浜野
Shigeru Kubota
繁 久保田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄膜の品質およびパターニング加工性を幅広
く制御できる有機分子の薄膜製造方法および薄膜パター
ン製造方法を得ることを目的とする。 【構成】 真空中で蒸発させた有機分子の吸着性が平滑
な基板表面に比べ高くなるような形状の変化を伴う加工
処理を基板1の表面に施す第一の工程を行う。形状変化
は、例えば有機金属、有機分子などを蒸発させてその粒
子2を基板1表面に付着させる。次に、基板1に真空中
で有機分子を供給して薄膜を形成させる第二の工程を行
う。 【効果】 有機分子で構成される薄膜の構造を制御する
ことができ、高品質な薄膜が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、有機分子の薄膜製造
方法および薄膜パターン製造方法、特に、構造を制御し
た高品質な薄膜を形成することによって、高性能あるい
は高機能な薄膜を得る有機分子の薄膜製造方法および薄
膜パターン製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、有機分子から構成される薄膜を形
成する手法として、様々な薄膜製造方法が用いられてい
る。有機薄膜を形成する際に重要なポイントは、その薄
膜中で分子をある方向に揃えること(分子配向制御)、
結晶性を制御すること、結晶方位をある方向に揃えるこ
と(結晶配列制御)、凝集形態を制御し稠密でかつ均一
な連続膜とすること、所望の位置・形態にパターニング
することなどが挙げられる。配列制御を行わない場合、
分子レベルの機能の異方性が相殺されバルクレベルでは
機能が低下する。また、凝集形態として島状の不均一な
膜を例にとると、こうした形態では機能の大きな損失を
もたらす。こうした理由により、分子配向、結晶性、結
晶サイズ、結晶配列、凝集形態などの制御による薄膜の
高品質化は、個々の分子の持つミクロな物性を分子の集
合体である超薄膜に積極的に反映させた、光・電子デバ
イス用材料としての応用の観点から重要となっている。
【0003】一般的な有機分子からなる薄膜の製造法の
一つとして真空蒸着法がある。真空蒸着法は、有機分子
の存在する蒸発源を加熱し、分子を真空中に放出し、基
板に輸送することによって薄膜を形成する方法である。
輸送された分子は一定時間基板上に付着する。成長形態
により異なるが、付着した分子は基板上に滞在し、分子
同士の衝突などを繰り返しながら、核を形成する。発生
した核は飛来してくる分子を捕獲し、あるいは核同士の
融合などを伴いながら膜を形成する。上記薄膜形成プロ
セスは分子配向、結晶性、結晶配列あるいは凝集形態な
どの分子性薄膜の品質に大きく影響することから、薄膜
形成プロセス中の蒸発速度、基板温度などの膜形成条件
が調整されている(例えば「ジャーナル オブ クリス
タル グロース(L.Crystal Growth)」69巻231
頁、1984年参照)。なお、基板に対して蒸発した分
子を供給する速度(分子線強度)は、上記蒸発速度に比
例し、この蒸発速度を調整することは基板に対して照射
される分子線強度を調整することを意味する。
【0004】一次元直鎖状分子を例にとると、大きな分
子線強度または基板温度が高温あるいはその両方で膜を
形成する場合、分子線強度と基板温度の双方によって決
まる基板表面上分子の過飽和度が大きくなり、分子軸が
基板に対してラテラル方向に配向する。また、小さな分
子線強度または基板温度が低温あるいはその両方で膜を
形成する場合、過飽和度が小さくなり、分子軸が基板に
対してノーマルに配向する。このように分子配向は、分
子線強度および基板温度により制御できる。しかしなが
ら、分子線強度や基板温度などの膜形成条件を操作する
だけでは、分子配向以外の膜の品質を決める結晶性、結
晶サイズおよび凝集形態などが同時に決定されてしま
い、膜の品質制御性に制約があった。
【0005】フタロシアニン類やペリレン誘導体などの
2次元平面状の縮合多環芳香族を例にとると、基板温度
が高温ほど結晶性が高くなるとともに、結晶サイズが大
きくなる(例えば「シン ソリッド フィルムズ(Thin
Solid Films)」215巻213頁、1992年あるい
は「アプライド フィジックス レターズ(Appl.Phys.
Lett.)60巻3223頁、1992年参照)。しかし
ながら、基板温度などの膜形成条件の操作だけでは、膜
の品質を決める分子配向、結晶配列、凝集形態などが同
時に決定されてしまい、膜の品質制御性に制約があっ
た。典型的な例として、高温では結晶サイズが大きくな
るが、膜の稠密性が損なわれることが挙げられる。以上
のように、膜形成条件である分子線強度および基板温度
の操作だけでは、膜の品質を決定する分子配向、結晶
性、結晶配列および凝集形態などの構造因子および選択
的吸着性を個別に制御できないという問題があった。
【0006】これに対して基板の表面を加工するという
解決法がある。例えば、厳格な格子整合性が要求される
共有結合性のシリコン基板表面に存在するダングリング
ボンドを水素原子でターミネートし、その上に有機結晶
を配列成長させる試み、(例えば「アプライド フィジ
ックス レターズ(Appl.Phys.Lett.)61巻2021
頁、1992年参照)、あるいは、相互作用に周期性が
無く、面内方向における配向・配列が制御できない非晶
質基板などの表面をポリマーラビング膜で被覆し、その
上にエピタキシャル成長させる試みなどである(例えば
「アプライドフィジックス レターズ(Appl.Phys.Let
t.)」54巻2287頁、1989年あるいは「ジャー
ナル オブ ケミカル フィジックス(J.Chem.Phy
s.)」88巻6647頁、1988年参照)。しかしな
がら、こうした基板表面を加工する手法は材料の違いに
よって有効に作用しない場合があり問題となっていた。
【0007】一方、一般的に、分子性薄膜を構成する有
機分子は隣接する有機分子とファンデルワールス力に代
表される比較的弱い結合で結びついている。従って、基
板表面の全面に有機分子からなる分子性薄膜を真空中で
形成させた後、スピンコート法などによるレジスト膜の
塗布、露光、現像およびエッチングなどの通常の半導体
加工プロセスを用いて上記分子性薄膜パターンを与える
場合、上記多段階の半導体加工プロセスが分子性薄膜の
分子配向、結晶性、結晶配列および凝集形態などによっ
て決定される膜の品質に悪影響を及ぼすことが問題であ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したような有機分
子の薄膜製造方法では、有機分子からなる薄膜を作製す
る際の作製条件を操作するだけでは、膜の品質を決定す
る分子配向、結晶性、結晶配列および凝集形態などの構
造およびパターニング加工性を個別に制御できないとい
う問題点があった。この発明は、このような問題点を解
決するためになされたもので、薄膜の品質およびパター
ニング加工性を、有機分子の付着性あるいは膜形成初期
過程における成長性の観点から、より幅広く制御できる
有機分子の薄膜製造方法および薄膜パターン製造方法を
得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項第1項
に係る発明は、真空中で蒸発させた有機分子の吸着性が
平滑な基板表面に比べ高くなるような形状の変化を伴う
加工処理を上記基板表面に施す第一の工程と、加工処理
を施した基板に真空中で有機分子を供給して上記基板表
面に薄膜を形成させる第二の工程とを含み、上記第一の
工程による加工処理によって上記第二の工程における薄
膜の形成初期段階を制御するものである。
【0010】この発明の請求項第2項に係る発明は、第
一の工程として、真空中で蒸発させた原子あるいは分子
を付着させることによってその蒸着物からなる粒子を基
板表面に形成し、第二の工程として、真空中で蒸発させ
た有機分子の基板に対する供給速度または基板温度ある
いはその両方を調整することによって、上記粒子を中心
に有機分子を成長させ薄膜を形成させるものである。
【0011】この発明の請求項第3項に係る発明は、第
一の工程における粒子を構成する蒸着物材料と、第二の
工程における膜を形成する有機分子とが異なるものであ
る。
【0012】この発明の請求項第4項に係る発明は、第
一の工程として、光または光および磁場を与え光化学反
応を施して粒子を形成する、あるいは形成させた粒子に
光または光ならびに磁場を与えて光化学反応を施すもの
である。
【0013】この発明の請求項第5項に係る発明は、第
一の工程における基板表面に粒子を形成させるため供給
する少なくとも一つの蒸発物は、ラジカル原子あるいは
ラジカル分子である。
【0014】この発明の請求項第6項に係る発明は、第
一の工程として、基板表面上に付着させたサーモトロピ
ックな液晶性を示す化合物に磁場を印加することにより
この液晶性化合物を特定方向に配向し、第二の工程とし
て、上記液晶性化合物上に有機分子からなる薄膜を形成
することにより有機分子の配向または結晶方位を所望の
方向に配向させるものである。
【0015】この発明の請求項第7項に係る発明は、平
滑な基板表面上の所望の位置に形状の変化を伴う加工を
施す第一の工程と、薄膜形成初期過程における有機分子
の基板表面での付着率と有機分子の選択加工部位の付着
率の差が大きくなるように有機分子供給速度あるいは基
板温度またはその両方を調整し、上記基板上における有
機薄膜パターンの配置および形状を制御する第二の工程
とを含むものである。
【0016】この発明の請求項第8項に係る発明は、第
一の工程として、平滑な基板表面をエッチングし凹凸部
を形成する、あるいは平滑な基板表面上に薄膜を形成し
てこの薄膜をパターニングして凹凸部を形成し、第二の
工程において、有機分子供給速度あるいは基板温度また
はその両方を調整して上記凹凸部のうち凸部の側面より
有機分子を特定方向に結晶成長させるものである。
【0017】この発明の請求項第9項に係る発明は、第
一の工程として、平滑な基板表面上にこの基板と異なる
材料からなる薄膜を形成し、この薄膜をパターニングし
て凸部を形成し、第二の工程において、有機分子供給速
度または基板温度あるいはその両方を調整し上記凸部側
壁に選択的に有機分子を付着させ、分子配向を制御する
ものである。
【0018】この発明の請求項第10項に係る発明は、
第一の工程として、走査型トンネル顕微鏡あるいは原子
間力顕微鏡などに用いられている微細な探針により1μ
m以下のサイズのマイクロパターンを形成し、第二の工
程として、有機分子供給速度または基板温度あるいはそ
の両方を調整し特定の位置に1μm以下のサイズの微小
な有機結晶を形成するものである。
【0019】
【作用】この発明の請求項第1項においては、膜成長初
期過程における吸着特性を利用することにより、従来に
ない膜構造制御あるいは膜の高品質化が可能となる。
【0020】この発明の請求項第2項においては、基板
表面上に密度が調整された原子、イオンあるいは分子か
らなる粒子を予め存在させることにより、結晶サイズ、
膜の凝集形態などが制御でき膜構造制御あるいは膜の高
品質化が可能となる。
【0021】この発明の請求項第3項においては、基板
表面上に密度が調整された原子、イオンあるいは薄膜構
成分子と異なる分子からなる粒子を予め存在させること
により、薄膜構成分子からなる核形成を抑えながら、結
晶サイズ、膜の凝集形態などが制御でき、より広範な条
件下で高品質な薄膜が得られる。
【0022】この発明の請求項第4項においては、基板
表面上に密度が調整された同一分子からなる安定な粒子
を予め存在させることにより、薄膜構成分子からなる核
形成を抑えながら、結晶サイズ、膜の凝集形態などが制
御でき高品質な薄膜が得られる。
【0023】この発明の請求項第5項においては、基板
表面上に密度が調整された安定な粒子を予め存在させる
ことにより、薄膜構成分子からなる核形成を抑えなが
ら、結晶サイズ、膜の凝集形態などが制御でき高品質な
薄膜が得られる。
【0024】この発明の請求項第6項においては、与え
る磁場により配向方向が制御された有機化合物からなる
高機能薄膜が得られる。
【0025】この発明の請求項第7項においては、選択
加工部位の付着力の違いにより、結晶配列あるいは分子
配向あるいは基板表面上のパターンの形状と配置が制御
できる。
【0026】この発明の請求項第8項においては、凹凸
部の構成により、所望の方向に結晶成長した薄膜パター
ンが直接得られる。
【0027】この発明の請求項第9項においては、従来
法では得られない分子配向あるいは結晶配列が得られ
る。
【0028】この発明の請求項第10項においては、微
細な薄膜パターンを所望の位置に配することができ、か
つパターン中の分子配向あるいは結晶形状を制御するこ
とができる。
【0029】
【実施例】通常、基板上の欠陥やステップなどが核の源
として作用すると考えられているが、これらは制御され
たものではない。これ以外に、基板表面上で拡散運動を
展開している分子同士が衝突して結合し、他の分子を捕
捉することにより形成される核の成長様式は、分子線強
度および基板温度である程度制御できるが、膜成長中の
条件が一定である場合制御性が劣る。ところが、この発
明によれば、膜成長初期過程における吸着特性を利用す
ることにより従来にない膜構造制御あるいは膜の高品質
化が可能となった。以下、この発明を実施例に基づいて
詳細に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限
定されるものではない。
【0030】実施例1.この発明では、平滑な基板表面
に形状の変化を伴う加工処理を施す第一の工程および、
次いで加工処理基板に有機分子薄膜を形成させる第二の
工程を組み合わせて薄膜を製造する。基板としては、特
に制限はない。第一の工程における加工処理は、平滑な
基板表面上に第二の工程において有機薄膜の形成を制御
できる基板表面形状の変化を与えるものであれば、どの
ようなものでも構わない。形状変化は、例えば図1に示
すように、粒子状のもの(粒子2)であっても、図2に
示すような矩形状のパターン(凹パターン3、凸パター
ン4)であっても良く、そのサイズは分子サイズレベル
からμmオーダーの範囲で適用可能である。
【0031】第二の工程における有機薄膜の作製方法と
しては、真空蒸着法、分子線蒸着法、分子線エピタキシ
ャル成長法、クラスターイオンビーム法、CVD法、プ
ラズマCVD法、プラズマ蒸着法、イオンプレーティン
グ法などの真空プロセスが使用可能である。これらの中
でも、分子の配向性、結晶の配列性など膜質の観点か
ら、真空蒸着法、分子線蒸着法、分子線エピタキシャル
成長法が好ましい。
【0032】また、例えば第一の工程において基板表面
に粒子を与える場合、第二の工程が同一の真空装置で引
き続き行えるという観点から、第一の工程は第二の工程
と同様な方法が好ましく、中でも真空蒸着法、分子線蒸
着法、分子線エピタキシャル成長法などが適当である。
真空蒸着法、分子線蒸着法、分子線エピタキシャル成長
法の場合、分子線強度、基板の温度、堆積時間などを制
御することによって、有機膜を形成しようとする基板上
すべてに均一に粒子を形成する。ここで、分子線強度
は、分子線モニターなどによって監視・制御するが、堆
積速度を例えば水晶振動子上に付着する膜による周波数
変化から読みとる方式を用いて監視・制御しても良い。
なお、分子線強度は、真空度、るつぼ形状ならびにるつ
ぼ温度によって制御することができる。
【0033】一方、例えば基板表面に矩形のパターンを
与える場合は、第一の工程において所望の位置に凹凸の
パターン(凹凸部)を形成させる。凹凸パターン形成法
としては、特に制限はなく、真空プロセスに限らずいか
なる手法でも適用できる。以上の例にあるように、第一
の工程において粒子あるいは凹凸のパターンを表面に与
えるなどして加工処理した基板を真空チャンバー内に設
置し、第二の工程において真空中で蒸発させた有機分子
を上記基板に照射して薄膜を形成する。この時、薄膜の
作製条件としては特に制限はないが、真空度は10-2
a以上が好ましい。基板表面上に形成した粒子あるいは
凹凸パターンは、薄膜を形成する有機分子を真空中で蒸
発させ基板上に到達したときに作用する。
【0034】すなわち、図3および図4の模式図に示す
ように、第二の工程で膜形成条件である基板温度および
分子線強度を調整することにより、基板表面に供給する
有機分子を選択的に、上記形状変化部位で捕獲し、有機
薄膜の成長初期段階を制御する。基板表面上の吸着およ
び吸着した分子同士が集まり固定される過程を膜形成の
初期段階と定義すると、基板温度、分子線強度などの従
来の膜成長条件だけでは成長初期過程の制御性に劣るの
に対して、この発明では表面に導入した粒子2あるいは
凹凸パターン(図4では凸パターン3)などによって制
御性を向上させることができる。
【0035】この発明において、適用できる有機分子薄
膜材料として特に制限はなく、あらゆる有機分子化合物
に適用できるが、真空中での加熱により分解せず、蒸発
できる有機分子であることが望ましい。例えば、ポルフ
ィリン、金属ポルフィリン、フタロシアニン、金属フタ
ロシアニン、メロシアニン、ペリレン、ナフタレン、フ
ェナントレン、ペンタセン、テトラセン、クリセン、コ
ロネン、ピレンおよび他の縮合多環芳香族化合物および
これら誘導体、あるいはクマリン、ペリノン、チアジア
ゾールピリジン、ヒドラジン、オキサジアゾール、ピラ
ゾリン、チアジアゾピリジン、ペンタフェニルシクロペ
ンタジイン、ローダミン色素やフルオレセイン色素など
のキサンテン色素、アクリジン色素、オキサジン色素、
ピリリウム色素、オキソベンズアントラセン色素などの
化合物およびその誘導体、あるいはテトラチアフルバレ
ン(TTF)、テトラシアノキノジメタン(TCN
Q)、TTF−TCNQ錯体で代表される電荷移動錯
体、ジアセチレンおよびその誘導体などが挙げられる。
また、アセチレン、ピロール、チオフェン、フェニレ
ン、フラン、セレノフェン、ベンゾチオフェン、ベンソ
フラン、インドール、ピリダジン、フェニレンビニレ
ン、チエニレンビニレン、イソチアナフテン、アニリ
ン、アズレン、カルバゾールなどから構成される繰り返
し単位数が3以上のオリゴマーあるいは2種以上の単位
分子で構成される共重合体などが挙げられる。
【0036】実施例2.図1に示すように、まず、第一
の工程により真空中で金属、有機金属、半導体、イオン
結晶、セラミックス、有機分子などを蒸発させて清浄か
つ平滑な基板1上にこれら粒子2を付着させる。第二の
工程によって微結晶からなる有機薄膜を形成する場合、
第一の工程において基板温度を低くあるいは有機分子供
給速度を高くあるいはその両方に設定して、上記粒子を
例えば基板表面に存在する粒子密度が例えば50μm-2
程度になるよう多量にかつ均一に散在させる。
【0037】第二の工程によって大きな単結晶からなる
有機薄膜を形成する場合、第一の工程において基板温度
を高くあるいは有機分子供給速度を低くあるいはその両
方に設定して、上記粒子を例えば基板表面の粒子密度が
例えば1μm-2程度になるよう少量散在させる。上述し
たように、粒子の基板表面上に存在させる密度は基板
種、真空度、基板温度あるいは有機分子供給速度などの
作製条件により必要に応じて調整しなければならない。
第一の工程で得られた粒子は、原子、イオンあるいは分
子が凝集したもので、大きさに特に制限はないが、直径
が1〜500nmのものが使用可能で、粒子を基板表面
上に多量に均一に形成させる場合は、例えば直径1〜1
0nmとサイズを小さくする。
【0038】ここで、第一の工程で形成する粒子の作製
法の一例として真空蒸着法を示したが、粒子を形成する
材料の作製法は真空プロセスであればいずれの手法でも
適用でき、例えば分子線蒸着法、分子線エピタキシャル
成長法、クラスターイオンビーム法、CVD法、プラズ
マCVD法、プラズマ蒸着法、イオンプレーティング法
などが使用可能である。基板としては平滑であればどの
ようなものでも良く、サファイア結晶、石英、ガラス、
アルカリハライド結晶、シリコン、ゲルマニウム、Ga
Asなどの化合物半導体、各種プラスチック、分子性結
晶などの基板が適用できる。さらには、基板上に膜を被
覆したもの、あるいは処理を施したものでも良い。
【0039】次に、図3に示すように、第二の工程とし
て、第一の工程によって予め形成した粒子2の存在する
基板1の表面に、真空中で有機分子を蒸発させて付着さ
せる。この時、膜を形成する有機分子が少なくとも粒子
2上と粒子が存在しない基板1表面上とで付着する速度
が変わるよう膜形成条件を設定する必要がある。例えば
簡単には、分子線強度を強くするあるいは基板温度を高
くするあるいはその両方を行うなどが挙げられる。な
お、第二の工程において基板1の温度を高くする場合、
第一の工程で形成した粒子2が基板1表面から脱離する
ことのないよう、粒子2が基板1表面に存在する温度領
域内に設定する必要がある。このようにして、第二の工
程で有機分子膜を形成することによって、第一の工程で
形成した粒子2の種類と密度によってその結晶サイズお
よび凝集体サイズを制御する。第一の工程で基板1表面
に形成した粒子2が第二の工程でどのように作用するか
は必ずしも明確ではないが、有機分子が膜として成長す
るときの核あるいは核の源として作用し、粒子2の存在
する点から膜の成長が進行する。
【0040】図5に模式的に示すように、結晶性が高く
通常の真空蒸着法では特異な結晶形態をとる結果不均質
ないし不連続な有機分子薄膜6を与える有機化合物の場
合、この発明によれば、第一の工程で予め基板1表面に
高い密度の粒子を存在させることにより、図6に模式的
に示すように、極めて微細な結晶あるいはアモルファス
からなる均質ないし連続な有機分子薄膜7を与えること
ができる。これとは反対に、図5に模式的に示すよう
に、結晶性が高くある大きさの多結晶の集合体となる結
果不均質ないし不連続の有機分子薄膜6を与える有機化
合物の場合、この発明によれば、第一の工程で予め基板
表面に低い密度の粒子を存在させることにより、図7に
示すように、大きな単結晶から構成される有機分子薄膜
8を与えることができる。
【0041】実施例3.ここでは、実施例2に関するよ
り具体的な例を示す。第一の工程として、真空度が10
-5Paの真空中で、クヌーセンセル(Kセル)内に収容
した次の化学構造式1に示すビフェニルジチオールを加
熱することにより蒸発させアルカリハライドの一種であ
るKCl基板の(001)表面にビフェニルジチオール
分子で構成される粒子を付着させた。
【0042】
【化1】
【0043】このとき、基板温度は−160℃に設定し
た。また、上記粒子の密度は、堆積速度およびシャッタ
ー開閉により調整し、供給量の目安を水晶振動子からな
る膜厚センサーでモニターした。堆積速度は、0.1n
m/min(分)とした。第一の工程は、表示膜厚が2
nmで終了した。引き続き、第二の工程として、第一の
工程と同様のビフェニルジチオールの粉末をKセルにて
加熱して蒸発させ、基板表面に付着させた。この時の基
板温度は25℃、堆積速度は3nm/minとした。最
終的な膜厚は、100nmとした。第一の工程を経由し
ない場合、例えば2〜10μm径の不均質な結晶からな
る膜となった。これに対して、第一の工程を経由した場
合、500nm径以下の極めて微細な結晶からなる均質
な薄膜を得ることができた。
【0044】実施例4.まず、第一の工程として、真空
中で、金属、有機金属、半導体、イオン結晶、セラミッ
クス、あるいは第二の工程で用いる有機分子と異なる有
機分子などを蒸発させて清浄かつ平滑な基板上にこれら
の粒子を付着させる。微結晶からなる有機薄膜を形成す
る場合、基板温度を低く、有機分子供給速度を高く設定
して上記粒子を多量にかつ均一に散在させる。大きな単
結晶からなる有機薄膜を形成する場合、基板温度を高
く、有機分子供給速度を低く設定して上記粒子を少量散
在させる。粒子の密度及びサイズは実施例2で示したの
と同様である。この時、基板種、真空度、基板温度およ
び有機分子供給速度などの作製条件によって、必要に応
じて粒子の基板表面上での密度を制御することが好まし
い。
【0045】ここで、第一の工程で形成する粒子の作製
法の一例として真空蒸着法を示したが、粒子を形成する
材料の作製法はいずれの手法でも構わず、例えば分子線
蒸着法、クラスターイオンビーム法、CVD法、プラズ
マCVD法、プラズマ蒸着法、イオンプレーティング法
などが使用可能である。基板としては清浄かつ平滑であ
ればどのようなものでも良く、サファイア結晶、石英、
ガラス、アルカリハライド結晶、シリコン、ゲルマニウ
ム、GaAsなどの化合物半導体、各種プラスチックな
どの基板が適用できる。さらには、基板上に膜を被覆し
たものあるいは処理を施したものでも良い。
【0046】次に、第二の工程として、予め形成した粒
子の存在する基板表面に真空中で有機分子を蒸発させて
付着させる。このとき、膜を形成する有機分子が上記粒
子の存在しない基板表面に成長核を形成しないよう、蒸
着条件を設定することが好ましい。例えば、堆積速度を
高くする、あるいは基板温度を制御することなどが挙げ
られる。なお、基板温度を高くする場合、粒子が基板表
面に存在する温度領域内に設定する。このように付着さ
せた有機分子膜は、粒子の密度によってその結晶サイズ
および凝集体サイズを制御される。基板表面に形成した
粒子の働きは必ずしも明確ではないが、有機分子が膜と
して成長するときの核あるいは核の源として作用し、粒
子の存在する点から膜の成長が進行する。
【0047】結晶性が極めて高く、通常の真空蒸着法で
は特異な結晶形態をとる結果不均質ないし不連続の薄膜
を与える有機化合物の場合、この発明によれば、第一の
工程で予め基板表面に高い密度の粒子を存在させること
により、極めて微細な結晶あるいはアモルファスからな
る均質膜ないし連続膜を与えることができる。結晶性の
ため、ある大きさの多結晶の集合体となる結果、不均質
ないし不連続の薄膜を与える有機化合物の場合、この発
明によれば、第一の工程で予め基板表面に低い密度の粒
子を存在させることにより、大きな単結晶からなる薄膜
を与えることができる。
【0048】実施例5.ここでは、実施例4に関するよ
り具体的な例を示す。第一の工程として、真空度が10
-5Paの真空中で、AuをEB加熱方式で蒸発させアル
カリハライドの一種であるKCl基板の(001)表面
にAu原子で構成される粒子を付着させた。このとき、
基板温度は200℃に設定した。また、上記粒子の密度
は、堆積速度およびシャッター開閉により制御し、供給
量の目安を水晶振動子からなる膜厚センサーでモニター
した。堆積速度は、1nm/minとした。第一の工程
は、表示膜厚が2nmで第一の工程を終了した。第二の
工程として、同じ成長室内のAuと異なる蒸発源から、
有機化合物であるビフェニルジチオールの粉末をクヌー
センセルにて加熱して蒸発させ、基板表面に付着させ
た。この時の基板温度は25℃、堆積速度は1nm/m
inとした。第一の工程を経由しない場合、基板温度は
25℃、堆積速度は1nm/minでは、膜が形成でき
ないか、あるいはできても不均質な結晶からなる膜とな
った。これに対して、この発明による第一の工程を経由
した場合、500nm径以下の極めて微細な結晶からな
る均質な薄膜を得ることができた。
【0049】実施例6.まず、第一の工程として、真空
中で有機金属分子あるいは有機分子などを蒸発させて、
平滑な基板表面上に照射する。この時、図8の模式図に
示すように、光または光ならびに磁場を蒸発した有機金
属分子あるいは有機分子10に与え、光化学反応を引き
起こし、光化学反応後に生成した結合11を介し、上記
基板1表面上に粒子9を形成させる。光または光ならび
に磁場は、真空中に存在し基板1表面に向かって飛行し
ている上記分子に与えても、基板表面上の上記分子に与
えてもどちらでも良い。あるいは、第一の工程として、
真空中で有機金属分子あるいは有機分子などを蒸発させ
て、平滑な基板表面上に上記分子を照射する。この操作
により、まず基板表面上に粒子を形成させる。すなわ
ち、図9に示すように、基板表面上の粒子9に光または
光ならびに磁場を与える(図9(a))。次いで、固相
で光化学反応を引き起こしても良い(図9(b))。
【0050】光化学反応としては、どのようなものでも
良いが、分子間の結合を生成するものが好ましい。分子
種としては、光化学反応を起こす有機金属あるいは有機
分子であればどのようなものでも適用可能である。光化
学反応を施すことにより、粒子の形成条件範囲を広げる
こと、あるいは粒子の固定化を行うことなどが可能とな
る。与える光の波長および照射強度は、有機分子供給速
度および基板温度などの形成条件とともに誘起する光化
学反応に応じて調整する必要がある。印加する磁場は、
真空槽内に強磁場を発生できるマグネットを設置し、1
テスラ以上で行うのが望ましい。粒子の密度およびサイ
ズは実施例2で示したものと同様である。粒子の密度
は、基板種、真空度、基板温度および有機分子供給速度
などの作製条件によって必要に応じて調整することが好
ましい。ここで、基板として実施例1と同様のものが使
用可能である。
【0051】第二の工程として、第一の工程で予め形成
した粒子の存在する基板表面に真空中で有機分子を蒸発
させて付着させる。このとき、膜を形成する有機分子が
上記粒子の存在しない基板表面に成長核を形成しないよ
うに、例えば、堆積速度を高くする、あるいは基板温度
を制御することなど蒸着条件を設定することが好まし
い。ここで、光化学反応を用いない粒子の形成に比較し
て基板温度が高い領域での安定性に富むが、基板温度を
高くする場合、粒子が基板表面に存在する温度領域内に
設定する必要がある。このように付着させた有機分子膜
は、粒子の密度によってその結晶サイズおよび凝集体サ
イズを制御することが可能となる。基板表面に形成した
粒子の働きは必ずしも明確ではないが、有機分子が膜と
して成長するときの核あるいは核の源として作用し、粒
子の存在する点から膜の成長が進行する。
【0052】結晶性が極めて高く、通常の真空蒸着法で
は特異な結晶形態をとる結果不均質ないし不連続の薄膜
を与える有機化合物の場合、この発明によれば、第一の
工程で予め基板表面に高い密度の粒子を存在させること
により、極めて微細な結晶あるいはアモルファスからな
る均質膜ないし連続膜を与えることができる。結晶性の
ため、ある大きさの多結晶の集合体となる結果、不均質
ないし不連続の薄膜を与える有機化合物の場合、この発
明によれば、第一の工程で予め基板表面に低い密度の粒
子を存在させることにより、大きな単結晶からなる薄膜
を与えることができる。
【0053】実施例7.ここでは、実施例6に関するよ
り具体的な例を示す。第一の工程として、真空度が10
-5Paの真空中で、化学構造式1に示したビフェニルジ
チオールと次の化学構造式2に示したビフェニルジエチ
ニルを別の蒸発源から同時に加熱方式で蒸発させ、かつ
KCl基板鏡面研磨表面(001)にKrFエキシマレ
ーザ(波長:248nm)を上記分子の蒸発と同時に照
射した。
【0054】
【化2】
【0055】このときの光照射エネルギーは、5mj/
cm2・pulse(パルス)、10Hzであり、蒸発
分子を基板に供給している間常に光を照射した。基板温
度は25℃に設定した。基板上に生成させる粒子は、有
機分子供給速度およびシャッター開閉により制御し、供
給量の目安を水晶振動子からなる膜厚センサーで堆積速
度にてモニターした。堆積速度を0.2nm/sec
(秒)とし、表示膜厚2nmで第一の工程を終了した。
第二の工程として、上記同様の蒸発源から、有機化合物
であるビフェニルジチオールの粉末をクヌーセンセルに
て加熱して蒸発させ、基板表面に付着させた。この時の
基板温度は25℃、堆積速度は0.1nm/secとし
た。
【0056】第一の工程を経由しない場合、膜作製条件
をいかに設定しても、膜が形成できないか、あるいはで
きても不均質な結晶からなる膜となった。しかしなが
ら、第一の工程を経由した場合、極めて微細な結晶から
なる均質な薄膜を得ることができた。なお、この実施例
における第一の工程で生成した粒子は上記2種の分子が
光化学反応し、繰り返し単位数nの分布は不確定である
が、化学構造式3に示した分子で構成されていた。
【0057】
【化3】
【0058】実施例8.第一の工程において、グロー放
電により有機分子あるいは無機分子からなる蒸気をプラ
ズマ化し、高エネルギー状態のラジカル分子などの反応
活性種を生成させる。図10に示すように、反応活性種
発生装置15で発生した反応活性種12を真空槽14に
導入し、ビームとして基板1に照射する。この時、反応
活性種12のビーム強度あるいは基板温度または反応活
性種12のビーム照射時間さらにはその組み合わせによ
り、生成する粒子の種類あるいは構造あるいは基板表面
上での密度を制御する。なお、反応活性種12のビーム
照射時に、セル16により第一の工程で用いる第2の有
機分子13を同時に基板1上に照射しても良い。さらに
は、反応活性種12からなるビーム照射時に光あるいは
磁場を与えて基板1表面上での反応を制御しても良い。
なお、図10中、17は第二の工程で薄膜を形成する有
機分子を発生させるセルである。
【0059】プラズマ化した反応活性種の生成方法とし
て、一例を示す。ガス分子としてO2、N2、Cl2
2、CCl22、CH4、SiH4、H2Se、C26
nn-2、(CH36(SiO)2ヘキサメチルジシロ
キサン、スピロピラン、コロネン、ペリレン、金属フタ
ロシアニン、フラーレンなどを薄膜製造真空装置に設置
したセル内に導入する。次に、ガス圧10〜1000P
aでセル外部に巻き付けたRFコイルによってラジオ波
を印加して放電し、誘導結合によりプラズマにエネルギ
ーを供給する。ラジカル化した反応活性種は放電された
プラズマからの発光スペクトルをモニターすることによ
り確認できる。この反応活性種中にはイオン化したもの
が含まれていても良い。放電によってプラズマ化した反
応活性種は、セルからピンホールあるいはノズルを介し
て薄膜を成長させる真空槽に導入する。真空槽の真空度
を10-5〜10-8Paとセルの真空度より高くすること
によって、導入された反応活性種をビーム状で基板表面
に照射する。
【0060】基板表面上に照射した反応活性種を、基板
上で化学反応を起こさせ化学結合を生成させる。さらに
は同時に基板表面に照射した有機分子を活性化し、有機
分子同士あるいは有機分子と反応活性種、あるいは有機
分子ないし反応活性種化と先に反応した反応生成物と化
学的な反応を起こさせる。この時の反応はラジカルを経
由した反応であると考えられ、この反応により有機分子
が互いに共有結合した反応生成物が与えられる。このと
き分子線強度あるいは反応活性種のビーム強度または基
板温度ないし反応時間などあるいはその組み合わせを調
整することにより、基板表面上の粒子の構造あるいは凝
集形態または基板表面上の密度が制御できる。
【0061】反応生成物は有機分子が互いに共有結合し
たものであるため、化学的および物理的に安定であり、
その後の第二の工程における有機分子薄膜の形成の時の
諸条件により、膜の品質に悪影響を及ぼす凝集あるいは
再蒸発などを引き起こさない。第二の工程において、有
機分子は第一の工程で基板表面上に予め形成した粒子に
より作用されながら、膜を形成する。また、第一の工程
において、放電によって生成した反応活性種と同時に第
二の有機分子を基板表面に照射した場合、有機分子に化
学反応を誘起し、第二の有機分子あるいは第二の有機分
子と反応活性種が構成原料となる粒子を形成できる。こ
のとき、生成された粒子の化学構造は明確とならない場
合が多いが、分子同士が不規則に架橋した構造のものが
形成されている。
【0062】また、第一の工程において、基板表面に反
応活性種と同時に基板表面上に照射した第二の有機分子
に光を照射した場合、基底状態にある第二の有機分子を
励起して化学的に活性化することができることから、よ
り効率良く粒子を形成できる場合がある。用いる光とし
て特に制約はないが、有機分子種に応じて光の波長を選
択することが望ましい。有機分子が基底状態から励起状
態に遷移できる範囲内において、与える光の波長により
有機分子の励起状態を制御することが可能となる。こう
して、光照射によって活性化した有機分子は先に放電に
よって生成させた反応活性種と反応し、第二の有機分子
あるいは第二の有機分子と反応活性種が構成原料となる
粒子を形成できる。
【0063】第二の工程は、実施例1および実施例2で
示したものと同様な手法を用いる。以上のようにして、
結晶性が極めて高く通常の真空蒸着法では特異な結晶形
態をとる結果、不均質ないし不連続の薄膜を与える有機
化合物の場合、この発明によれば、第一の工程でラジカ
ル活性種を用いることにより予め基板表面に高い密度の
粒子を存在させ、極めて微細な結晶あるいはアモルファ
スからなる均質膜ないし連続膜を与えることができる。
結晶性のためにある大きさの多結晶の集合体となる結
果、不均質ないし不連続の薄膜を与える有機化合物の場
合、この発明によれば、第一の工程でラジカル活性種を
用いることにより予め基板表面に低い密度の粒子を存在
させ、大きな単結晶からなる薄膜を与えることができ
る。
【0064】実施例9.ここでは、実施例8に関するよ
り具体的な実施例を示す。真空槽に取り付けたラジカル
分子発生セルに酸素を100Paになるよう導入し、ラ
ジオ波の印加により酸素ラジカルを発生させた。発生さ
せた酸素ラジカルはセルと真空槽とを隔離しているバル
ブを調整することにより、真空槽内に導入した。導入し
た酸素ラジカルは、Kセルから蒸発させた第二の有機分
子であるビフェニルジエチニルと同時にKCl単結晶基
板を鏡面研磨した表面(001)に照射した。酸素ラジ
カル導入時の真空槽の真空度は10-4Pa、これに加え
第二の有機分子を蒸発させた時の真空度は10-3Paで
あった。このとき、基板温度は25℃とした。上記第一
の工程によって、基板表面上にはビフェニルジエチニル
を構成原料とする架橋構造を有する粒子が、50μm-2
程度の密度で形成された。引き続いて行った第二の工程
により、上記粒子が形成された基板表面上にビフェニル
ジチオール分子をKセルから蒸発させ照射した。このと
きの、真空度は10-4Pa、堆積速度は5nm/min
であった。その結果、ビフェニルジチオールの多結晶か
らなる均質な膜が形成された。
【0065】実施例10.第一の工程として、基板上に
液晶分子を展開する。液晶相としては、ネマテイック,
スメクテイックA,スメクテイックC,カイラルネマテ
イック,カイラルスメクテイックおよびディスコテイッ
ク相のいずれでも良い。また、用いる液晶分子としては
特に制約はなく、メルクZLI1132(商品名)など
の組成物であっても良い。また、さらにはメソゲン基を
高分子骨格中に有するもの、あるいはメソゲン基を側鎖
として高分子主鎖にペンダントしたものでも良い。基板
としては特に制限はなく、金属、サファイア結晶、石
英、ガラス、アルカリハライド結晶、シリコン、ゲルマ
ニウム、GaAsなどの化合物半導体、各種プラスチッ
クなどの基板が適用できる。さらには、基板上に膜を被
覆したもの、あるいはラビングおよび斜方蒸着などの処
理を施したものでも良い。
【0066】図11の模式図に示すように、第一の工程
において、基板上に液晶分子19を展開したものを真空
中に導入し、基板1上の液晶分子19をマグネット18
による磁場中にて配向させる。配向させる磁場の強さと
しては、液晶分子19に依存するが1テスラ以上が好ま
しい。次いで、第二の工程として配向させた液晶分子1
9の存在する基板1上に、薄膜を形成する有機分子20
を蒸発させる。なお、液晶に印加する磁場は、有機分子
20の蒸発中にも発生させても良い。以上の第一の工程
を経由することによって、第二の工程で形成する薄膜中
の有機分子の配向を制御する。
【0067】実施例11.ここでは、実施例10に関す
るより具体的な実施例を示す。まず第一の工程として、
石英基板上に次の化学構造式4で示すシアノビフェニル
系液晶であるメルク5CB(商品名)を滴下した。
【0068】
【化4】
【0069】この基板を大気開放している真空チャンバ
ー内に設置し、ネマティック相を示す30℃に温度設定
した。その後、超伝導マグネットにより10T(テス
ラ)の磁場を発生させ、基板法線方向に磁場を作用させ
た。しかる後、真空チャンバー内を真空排気すると同時
に基板を−100℃に冷却した。次いで、第二の工程と
して、基板温度が−100℃に到達するとともに磁場を
遮断し、次の化学構造式5で示すオリゴフェニレンビニ
レン誘導体をKセルから蒸発させ基板に照射し膜を形成
した。
【0070】
【化5】
【0071】このときの真空度は10-6Paであり、堆
積速度は1nm/minであった。上述した液晶による
処理を施していない石英基板上には分子配向がランダム
な膜が形成された。これに対して、この発明によりる液
晶による表面処理を施した石英基板上には、基板面に対
して垂直な方向に分子長軸が配向したオリゴフェニレン
ビニレン誘導体膜が形成できた。
【0072】実施例12.第一の工程として、清浄かつ
平滑な基板上に凹凸部を形成する。基板としては清浄か
つ平滑であればどのようなものでも良く、サファイア結
晶、石英、ガラス、アルカリハライド結晶、シリコン、
ゲルマニウム、GaAsなどの化合物半導体、各種プラ
スチックなどの基板が適用できる。また、上記基板上
に、各種有機・無機結晶薄膜を形成したものでも良い。
凹凸部としては、形状が制御されたものであればいかな
るものでも適用できる。例えば、レジストパターン、レ
ジストを利用してエッチングにより形成される基板の溝
が挙げられる。また、さらにレジストパターンを利用し
て形成する他の金属、半導体あるいは絶縁体などからな
る薄膜パターンなどが挙げられる。この薄膜パターンの
形成には、従来の半導体プロセスを利用するのが好まし
い。
【0073】次に、第二の工程として凹凸の形状変化を
伴う加工を施した基板表面上に真空中で蒸発させた有機
分子を照射する。このとき、照射する分子線の強度およ
び基板温度を調整することにより、図12の模式図に示
すように、基板1全面に有機分子20が付着することが
ないようにし、かつ選択的にパターン加工を施した部分
にのみ付着するように制御することによって基板表面上
に有機分子薄膜パターン21を与える。ここで、分子線
強度および基板温度は、用いる分子種に応じて適宜調整
する。
【0074】さらに、図12について詳細に述べる。基
板1上に、第一の工程で凸パターン3を所望の位置に形
成させる。次に、第二の工程で有機分子20を真空中で
蒸発させ基板1に供給する。このとき、蒸発分子量およ
び基板温度を調整し、基板1全面に蒸発分子が吸着する
ことなく、選択的に凸パターン3の側方部に吸着させ
る。こうした条件を設定することにより、凸パターン3
の側方部を成長出発点として凸パターン3の側面の法線
方向に蒸発させた有機分子薄膜パターン21を成長させ
る。なお、レジストなどから形成した凸パターン3は、
有機分子からなる単結晶薄膜パターン21を形成した後
に、単結晶薄膜パターンが溶解しない溶剤にて除去する
ことが可能である。
【0075】実施例13.ここでは、実施例12に関す
るより具体的な実施例を示す。基板として、石英を用い
た。第一の工程として、基板上にポジ型レジストAZ1
350(商品名)をスピンコート法により塗布し、露
光、現像することによりレジストパターンを形成した。
レジストパターンの典型的なサイズを厚み500nm、
長さ5μm、幅1μmとした。レジストを形成した後、
真空中で100℃、1時間加熱処理し、基板表面吸着物
を除去した。このときの真空度は、10-8Pa台であっ
た。引き続き、第二の工程として、真空中でKセル中に
収容された次の化学構造式6で示されるバナジルフタロ
シアニンを蒸発させ、レジストパターンを形成した基板
上に分子線として照射した。
【0076】
【化6】
【0077】このバナジルフタロシアニンの蒸発には、
Kセル加熱温度を450℃に設定し、基板温度は300
℃とした。バナジルフタロシアニンの蒸発に伴い、成長
室内の真空度は10-7Paとなった。以上の作製方法に
よってレジストパターンの側部から延びた長さ100μ
m、幅5μm、厚み300nmのバナジルフタロシアニ
ンからなる分子結晶薄膜パターンを形成した。その後、
レジストパターンをアセトンで除去することにより、バ
ナジルフタロシアニンパターンのみを得た。
【0078】実施例14.第一の工程として、まず、平
滑な基板上に凹凸部を形成する。基板としては平滑であ
ればどのようなものでも良く、サファイア結晶、石英、
ガラス、アルカリハライド結晶、シリコン、ゲルマニウ
ム、GaAsなどの化合物半導体、各種プラスチックあ
るいは金属板などの基板が適用できる。また、上記基板
上に、各種有機・無機結晶薄膜を形成したものでも良
い。この時、薄膜パターンの分子配向あるいは結晶配列
を制御することが可能となる。中でも、特定方向に分子
結晶を成長させるために、単結晶基板、ポリマーラビン
グ膜被覆基板、斜方蒸着膜被覆基板、LB膜被覆基板な
どの使用が好ましい。凹凸部としては、形状が制御され
たものであればいかなるものでも良い。例えば、レジス
トパターン、レジストを利用してエッチングにより形成
される基板の溝が挙げられる。また、さらにレジストパ
ターンを利用して形成する他の金属、半導体あるいは絶
縁体などからなる薄膜パターンなどが挙げられる。この
薄膜パターンの形成には、従来の半導体プロセスを利用
するのが好ましい。
【0079】次に、第二の工程として凹凸の形状変化を
伴う加工を施した基板表面上に真空中で蒸発させた有機
分子を照射する。このとき、照射する分子線の強度およ
び基板温度を調整することにより、図13の模式図に示
すように、基板全面に有機分子が付着することがないよ
うにし、かつ選択的にパターン加工を施した部分にのみ
付着するように制御することによって基板表面上に薄膜
パターンを与える。ここで、分子線強度および基板温度
は用いる分子種に応じて調整する。このとき、薄膜パタ
ーンの分子配向あるいは結晶配列を制御することが可能
となる。分子配向あるいは結晶配列を行うためには、単
結晶基板、ポリマーラビング膜被覆基板、斜方蒸着膜被
覆基板、LB膜被覆基板などの使用が好ましい。
【0080】さらに、図13について詳細に述べる。単
結晶基板22を用いた場合、第一の工程で凸パターン3
はその側面を単結晶基板表面の結晶軸方位にあわせて形
成させる。上記単結晶基板の結晶軸に対する凸パターン
3の側面の方向は用いる有機分子に応じて選択する。次
に、第二の工程で有機分子を真空中で蒸発させ上記基板
に供給する。このとき、蒸発分子量および基板温度を調
整して、基板全面に蒸発分子が吸着することなく、選択
的に凸パターン3の側方部に吸着させる。こうした条件
を設定することにより、凸パターン3の側方部を成長出
発点として凸パターン3の側面の法線方向に蒸発させた
有機分子からなる結晶を成長させる。この実施例によっ
て、有機分子(単)結晶薄膜パターン23を所望の位置
に形成することができる。
【0081】実施例15.ここでは、実施例14に関す
るより具体的な実施例を示す。基板として、KCl単結
晶表面(001)面を用いた。第一の工程として、この
KCl単結晶基板24上にネガ型レジストONNR−2
0(商品名)をスピンコート法により塗布し、露光、現
像することによりレジストパターンを形成した。レジス
トパターンの典型的なサイズを厚み500nm、長さ5
μm、幅1μmとした。図14に示すように、レジスト
パターン25は、長さ方向をKCl基板結晶軸方向[1
10]に水平あるいは垂直方向に位置するように形成し
た。また、レジストパターン26はKCl基板結晶軸方
向[100]に水平あるいは垂直方向に位置するよう形
成した。レジストを形成した後、真空中で100℃、1
時間加熱処理し、基板表面吸着物を除去した。
【0082】このときの真空度は、10-6Pa台であっ
た。引き続き、第二の工程として、真空中で化学構造式
1で示した4,4’−ビフェニルジチオールを蒸発さ
せ、レジストパターンを形成した基板上に分子線を照射
した。上記ビフェニルジチオールの蒸発には、Kセルを
用いて、加熱温度を60℃に設定した。また、基板温度
は室温とした。ビフェニルジチオールの蒸発に伴い、成
長室内の真空度は10-4Paとなった。以上の作製方法
によってレジストパターン25の側部からKCl結晶基
板軸[110]に垂直あるいは水平な方向に延びた、長
さ100μm、幅5μm、厚み500nmのビフェニル
ジチオールからなる分子結晶薄膜パターンを形成した。
さらに、レジストパターン26の側部からKCl結晶基
板軸[110]に垂直および水平の両方向に分岐するよ
うに、長さ100μm、幅5μm、厚み500nmのビ
フェニルジチオールの分子結晶薄膜パターン27を形成
した。
【0083】実施例16.第一の工程として、まず、平
滑な基板上に、基板表面を構成する材料と異なる材料か
らなる凸パターンを形成する。基板としては平滑な、サ
ファイア結晶、石英、ガラス、アルカリハライド結晶、
シリコン、ゲルマニウム、GaAsなどの化合物半導
体、各種プラスチックあるいは金属板などの基板が適用
できる。また、上記基板上に、各種有機・無機結晶薄膜
を形成したものでも良い。なお、基板として後述の第二
の工程で与える薄膜を構成する有機分子の付着力が小さ
いものが好ましい。凸パターンとしては、形状が制御さ
れ、第二の工程で与える有機分子に対して基板より付着
力ないし付着率の大きいものであればいかなるものでも
適用できる。例えば、レジストパターン、あるいは他の
金属、半導体あるいは絶縁体などからなる薄膜パターン
などが挙げられる。この薄膜パターンの形成には、従来
の半導体プロセスを利用するのが好ましい。
【0084】第二の工程として、上記レジストパターン
あるいはそれ以外の薄膜パターンを形成した基板に、真
空中で蒸発させた有機分子を照射する。図15に示すよ
うに、分子の有機分子供給速度あるいは基板温度または
その両方を調整することにより、基板1上に有機分子5
が付着することがないようにし、かつ選択的に凸パター
ン28にのみ付着するように制御する。通常、凸パター
ン28のみ有機分子5が付着するように、有機分子供給
速度を小さくし、基板温度を高くすることによって、基
板上に選択的に有機薄膜パターン29を形成することが
できる。また、結晶性、結晶配列、分子配向あるいは膜
の形態など膜の品質に対する基板表面の与える影響を抑
え、形成した凸パターン28によって上記薄膜の品質の
制御が可能となる。
【0085】例えば、図15に示すように、通常の蒸着
法で有機分子供給速度あるいは基板温度などの成長条件
を設定するだけでは、例えば分子配向が基板にノーマル
となり、基板に対してラテラルに配向することが困難で
ある場合、この実施例によってラテラル配向することが
可能となる。2つの離れた凸パターンを金属ないし半導
体で構成した場合、この間に膜の性質を制御した有機分
子膜を構成することにより、ミクロな電子デバイスが構
成できる。電子デバイスとしては、キャパシタ、整流素
子、電界効果トランジスタ、光電変換素子、発光ダイオ
ード、非線形光学素子などが挙げられる。また、基板面
法線方向に対して斜め方向から蒸発分子を入射すること
により、凸パターンの側面に対して入射分子線強度を強
くすることができ、より選択的に凸パターンの側面に有
機分子膜を形成することができる。特に、第二の工程中
に基板面内方向の回転を止めることにより、凸パターン
の片方の側面のみ有機薄膜を形成することができる。
【0086】実施例17.ここでは、実施例16に関す
るより具体的な実施例を示す。化学構造式2で示される
ビフェニルジエチニル分子は基板温度を室温とした場
合、有機分子供給速度を高くすることによって膜を形成
することができ、そのときの分子配向として基板面法線
方向に分子長軸を配向させた結晶を形成するため、基板
面内方向に分子の長軸を配向させた結晶薄膜を形成する
ことが困難であった。この実施例は、ビフェニルジエチ
ニル分子からなる結晶薄膜パターンを、結晶を構成する
分子の長軸方向を基板面内方向に配向させた例である。
【0087】まず第一の工程で、シリコンウエハー基板
の鏡面研磨表面(100)上に、通常のフォトリソグラ
フィー法により、ライン状の金パターンを形成した。金
パターンの代表的なサイズとして、長さ0.5mm、幅
0.5μm、高さ2μmとし、一対の金パターン間の距
離は2μmとした。この金パターンを施した基板を10
-6Pa台の真空中に導入し、200℃で1時間加熱処理
した。化学構造式1に示したビフェニルジエチニルをK
セルに充填し、これを加熱しビフェニルジエチニルを蒸
発させることによって、真空中に導入した上記基板表面
に分子線として照射した。基板温度は25℃とし、分子
線を照射している間、基板は面内方向に回転した。基板
面法線方向からの分子線入射角度は30゜とし、堆積速
度は10nm/minとした。蒸着を行っている間、真
空度は10-4Pa台であった。上記、蒸着プロセスによ
って、ビフェニルジエチニル薄膜は金パターン上ならび
に一対の金パターン間に形成された。
【0088】これは、基板温度25℃で、上記堆積速度
の場合、ビフェニルジエチニルの蒸気圧が高いため、基
板表面には付着せず金のみに付着したためと考えられ
る。また、金パターン上のみならず金パターンの側壁に
もビフェニルジエチニル分子が吸着、結晶成長し、金パ
ターン間の基板表面上をビフェニルジエチニル薄膜が覆
ったものと推測される。得られた薄膜パターンをFT−
IRスペクトルにおける、分子長軸に対して垂直に遷移
双極子モーメントを持つ808cm-1のベンゼン環のC
H面外変角振動による吸収と、分子長軸に対して平行に
遷移双極子モーメントを持つ1477cm-1のエチニル
基のCH伸縮振動の吸収を比較することによって分子配
向を調べた。その結果、この実施例での薄膜パターン
は、ベンゼン環のCH面外変角振動による吸収強度に対
するエチニル基のCH伸縮振動の吸収強度が、分子方向
がランダムであるKBr錠剤法で測定した場合の0.5
83に比べて1.93と大きくなっていた。このこと
は、薄膜パターンを構成しているビフェニルジエチニル
分子の長軸が基板に対して平行に配向していることを示
している。
【0089】実施例18.ここでは、実施例16に関す
るより具体的な実施例を示す。この実施例は、有機薄膜
を利用したデバイス製造工程において、有機薄膜のパタ
ーニングを必要としない、簡単なプロセスを与えるもの
である。まず、無アルカリガラスウエハー上にクロムパ
ターンを通常の蒸着法およびフォトリソグラフィーによ
って作製した。クロムパターンの幅は5μm、厚さは5
0nmである。この上に、Ar/O2ガス雰囲気でのス
パッタ法でSiO2膜を形成した。こうして形成した基
板上に、第一の工程において上記実施例17と同様に、
通常のフォトリソグラフィー法により、ライン状の金パ
ターンを形成した。金パターンの代表的なサイズとし
て、長さ0.5mm、幅0.5μm、高さ2μmとし、一
対の金パターン間の距離は2μmとした。この金パター
ンを施した基板を10-6Pa台の真空中に導入し、20
0℃で1時間加熱処理した。
【0090】第二の工程として、昇華精製を2回行った
化学構造式7に示したニッケルフタロシアニンをKセル
に充填し、これを加熱してニッケルフタロシアニンを蒸
発させることによって、真空中に導入した上記基板表面
に分子線として照射した。
【0091】
【化7】
【0092】基板温度は200℃とし、分子線を照射し
ている間、基板は面内方向に回転した。基板面法線方向
からの分子線入射角度は30゜とした。蒸着を行ってい
る間、真空度は10-6Pa台であった。基板温度が20
0℃と高温であるため、基板表面にはニッケルフタロシ
アニン分子は付着せず、上記蒸着プロセスによって、ニ
ッケルフタロシアニン薄膜は金パターン上および一対の
金パターン間および金パターン側面にのみ形成された。
【0093】さらに、図16の断面図に示すような一対
の金パターン28aをソース・ドレイン電極とし、クロ
ムパターンをゲート電極31とすることにより、有機薄
膜パターン29であるニッケルフタロシアニンが半導体
として作用する電界効果トランジスタを基板30上に構
成した。この実施例で示したトランジスタは、SiO2
膜からなるゲート絶縁膜32を介してゲート電極31か
ら半導体に電界を印加する絶縁ゲート型トランジスタで
ある。ゲート電極31に負電圧を印加した場合、ソース
・ドレイン間を流れるチャネル電流が増加した。静的な
電気特性から求めたキャリヤ移動度は10-2cm2/V
secであった。
【0094】実施例19.図17に示すように、第一の
工程として、走査トンネル顕微鏡(STM)および原子
間力顕微鏡(AFM)などに用いられている微細な探針
33を用いて、基板1上に薄膜マイクロパターン35を
形成する。基板1としては平滑であればどのようなもの
でも良く、サファイア結晶、石英、ガラス、アルカリハ
ライド結晶、シリコン、ゲルマニウム、GaAsなどの
化合物半導体、各種プラスチック、分子性結晶などの基
板が適用できる。また、上記基板上に、各種有機・無機
結晶薄膜あるいは両親媒性有機分子LB膜を形成したも
のでも良い。
【0095】第一の工程におけるマイクロパターンの形
成方法としては特に制限はないが、例えばSTM探針に
電圧を印加することにより、基板構成原子あるいは構成
分子を探針に吸着させ引き抜く、STM探針に電圧を印
加することにより基板構成原子あるいは構成分子をアブ
レートさせる、AFM探針を基板表面に近付け探針と基
板表面とに作用する引力により基板表面を構成する原子
あるいは分子を引き抜く、STMないしAFM探針を用
いて前述同様の手法にて基板全面に吸着させた原子ある
いは分子を引き抜く、あるいはSTMないしAFM探針
を用いて上述と同様の手法にて基板上に吸着させた原子
あるいは分子を移動させ所望の位置に配置させることな
どが挙げられる。
【0096】吸着分子あるいは両親媒性有機分子LB膜
を用いる場合は、有機薄膜作製時の基板加熱により真空
中に蒸発しないよう、不活性ガスあるいは空気中での加
熱あるいは光照射またはその両方によって分子間で反応
させ固定化することが好ましい。この固定化の場合、磁
場を用いても良い。第二の工程として、上記薄膜マイク
ロパターン35を形成した基板1上に、真空中で蒸発さ
せた有機分子2を照射する。このとき、マイクロパター
ン形成部以外の基板1表面上に有機分子2が付着しない
ように、有機分子供給速度あるいは基板温度またはその
両方を調整する。模式的に上記微小な探針33によって
基板1表面をエッチングし、微小な凹パターン34を形
成させる。
【0097】実施例20.ここでは、実施例19に関す
るより具体的な実施例を示す。第一の工程においてま
ず、化学構造式8で示されるポリ(メチルメタクリレー
ト)(PMMA)を金蒸着膜(膜厚200nm)でコー
トしたシリコン基板(100)上にスピンコートした。
【0098】
【化8】
【0099】PMMAのスピンコートは、0.5%クロ
ロベンゼン溶液から回転数2000rpm(回転)、6
0sec(秒)で行い、膜厚を20nmとした。スピン
コート後、PMMA膜を10-1Paの真空中で170℃
で加熱処理した。カンチレバー上にマウントしたAFM
の尖った探針を圧電アクチュエーターによりPMMA膜
に接触させた。探針とPMMA膜の原子間力はカンチレ
バー上部からの反射レーザー光を検出することによって
測定した。探針とPMMA膜に働く斥力は、ピエゾアク
チュエーターのフィードバック制御により10-20nN
に保持した。探針として、窒化シリコンで構成され、こ
れに金を50nmコートしたものを用いた。
【0100】金でコートされた探針とPMMA膜下の金
蒸着膜の間に、金蒸着膜に対して探針に直流電圧−10
V印加した。このときの電流は1−10pAであった。
このような状態で、探針をPMMA表面上の0.1μm
×0.1μmの領域を走査した。その後、メチルイソブ
チルケトンとイソプロピルアルコールの1:1溶液で現
像した。現像後、メタノールでリンスした後、乾燥空気
ブローにより乾燥させた。以上の操作により、0.1μ
m×0.1μmの領域に凹部を形成した。
【0101】次に第二の工程において、上記凹パターン
を有する基板を10-8Paに真空排気した真空チャンバ
ー内に設置した。Kセル中に充填した化学構造式6で示
されるバナジルフタロシアニンを加熱し、蒸発させ分子
線を基板に照射した。基板温度は200℃、堆積速度は
0.1nm/minとした。ここまでの構成は、図18
に示すようになる。図中、36はPMMAスピンコート
膜である。この実施例において、予め基板表面にミクロ
凹パターンを与えることによって、ミクロ凸パターン部
に選択的にバナジルフタロシアニンを形成することがで
きた。
【0102】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明の請求項
第1項は、真空中で蒸発させた有機分子の吸着性が平滑
な基板表面に比べ高くなるよう形状の変化を伴う加工処
理を上記基板表面に施す第一の工程と、加工処理を施し
た基板に真空中で有機分子を供給して上記基板表面に薄
膜を形成させる第二の工程とを含むので、有機分子で構
成される薄膜の構造を制御することができ、高品質な薄
膜を与えることができるという効果を奏する。その結
果、高機能あるいは高性能な有機分子薄膜を提供でき
る。応用的な観点から、将来の光情報通信・光コンピュ
ータ・光情報処理分野における非線形光学効果を応用し
た光デバイス、光導波路、あるいはトランジスタ、光電
変換素子、発光ダイオード、分子素子などの電子デバイ
スのキーコンポーネントである薄膜の製造に利用するこ
とができるという効果も奏する。
【0103】この発明の請求項第2項は、第一の工程と
して、真空中で蒸発させた原子あるいは分子を付着させ
ることによってその蒸着物からなる粒子を基板表面に形
成し、第二の工程として、真空中で蒸発させた有機分子
の基板に対する供給速度または基板温度あるいはその両
方を調整することによって、上記粒子を中心に有機分子
を成長させ薄膜を形成させるので、結晶サイズ、膜の凝
集形態などが制御でき、膜構造制御あるいは膜の高品質
化が可能となるという効果を奏する。
【0104】この発明の請求項第3項は、第一の工程に
おける粒子を構成する蒸着物材料と、第二の工程におけ
る膜を形成する有機分子とが異なるので、薄膜構成分子
からなる核形成を抑えながら、結晶サイズ、膜の凝集形
態などが制御でき、より広範な条件下で高品質な膜が得
られるという効果を奏する。
【0105】この発明の請求項第4項は、第一の工程と
して、光または光および磁場を与え光化学反応を施して
粒子を形成する、あるいは形成させた粒子に光または光
ならびに磁場を与えて光化学反応を施すので、薄膜構成
分子からなる核形成を抑えながら、結晶サイズ、膜の凝
集形態などが制御でき、より広範な条件下で高品質な膜
が得られるという効果を奏する。
【0106】この発明の請求項第5項は、第一の工程に
おける基板表面に粒子を形成させるために供給する少な
くとも一つの蒸発物をラジカル原子あるいはラジカル分
子とするので、薄膜構成分子からなる核形成を抑えなが
ら、結晶サイズ、膜の凝集形態などが制御でき、より広
範な条件下で高品質な膜が得られるという効果を奏す
る。
【0107】この発明の請求項第6項は、第一の工程と
して、基板表面上に付着させたサーモトロピックな液晶
性を示す化合物に磁場を印加することによりこの液晶性
化合物を特定方向に配向し、第二の工程として、上記液
晶性化合物上に有機分子からなる薄膜を形成することに
より有機分子の配向または結晶方位を所望の方向に配向
させるので、与える磁場により配向方向が制御された有
機化合物からなる高機能薄膜が得られるという効果を奏
する。
【0108】この発明の請求項第7項は、平滑な基板表
面上の所望の位置に形状の変化を伴う加工を施す第一の
工程と、薄膜形成初期過程における有機分子の基板表面
での付着率と有機分子の選択加工部位の付着率の差が大
きくなるように有機分子供給速度あるいは基板温度また
はその両方を調整し、上記基板上における有機薄膜パタ
ーンの配置および形状を制御する第二の工程とを含むの
で、選択付着部位の付着力の違いにより結晶配列あるい
は分子配向あるいは基板表面上のパターンの形状と配置
が制御できるという効果を奏する。
【0109】この発明の請求項第8項は、第一の工程と
して、平滑な基板表面をエッチングして凹凸部を形成す
る、あるいは平滑な基板表面上に薄膜を形成しこの薄膜
をパターニングして凹凸部を形成し、第二の工程におい
て、有機分子供給速度あるいは基板温度またはその両方
を調整して上記凹凸部のうち凸部の側面より有機分子を
特定方向に結晶成長させるので、凹凸部の構成により所
望の方向に結晶成長した薄膜パターンを直接与えること
ができるという効果を奏する。
【0110】この発明の請求項第9項は、第一の工程と
して、平滑な基板表面上にこの基板と異なる材料からな
る薄膜を形成し、この薄膜をパターニングして凸部を形
成し、第二の工程において、有機分子供給速度または基
板温度あるいはその両方を調整し上記凸部側壁に選択的
に有機分子を付着させ、分子配向を制御するので、従来
法では得られない分子配向あるいは結晶配列が得られる
という効果を奏する。
【0111】この発明の請求項第10項は、第一の工程
として、走査型トンネル顕微鏡あるいは原子間力顕微鏡
などに用いられている微細な探針により形成する1μm
以下のサイズのマイクロパターンを形成し、第二の工程
として、有機分子供給速度または基板温度あるいはその
両方を調整し特定の位置に1μm以下のサイズの微小な
有機結晶を形成するので、微細な薄膜パターンを所望の
位置に配することができ、かつパターン中の分子配向あ
るいは結晶形状を制御することができるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1〜3における第一の工程
で形状の変化を伴う加工処理(粒子状付着物の形成)を
施した基板の概略斜視図である。
【図2】 この発明の実施例1における第一の工程で形
状の変化を伴う加工処理(矩形状)を施した基板の概略
斜視図である。
【図3】 この発明の実施例1〜3において粒子状付着
物を形成した基板に有機分子が付着する状態を示す模式
図である。
【図4】 この発明の実施例1において矩形状加工を施
した基板に有機分子が付着する状態を示す模式図であ
る。
【図5】 従来の方法で製造した有機分子薄膜を示す模
式図である。
【図6】 この発明の実施例2において製造した有機分
子薄膜を示す模式図である。
【図7】 この発明の実施例2において製造した有機分
子薄膜を示す模式図である。
【図8】 この発明の実施例6および7における第一の
工程で有機金属または有機分子供給時に光または磁場あ
るいはその両方を与えたときの粒子の形成状態を示す模
式図である。
【図9】 この発明の実施例6および7における第一の
工程で有機金属または有機分子供給時に形成した粒子に
光または磁場あるいはその両方を与えたときの粒子の形
成状態を示す模式図である。
【図10】 この発明の実施例8および9における第一
の工程で少なくともひとつの供給材料がラジカルである
場合に使用する装置の概略図である。
【図11】 この発明の実施例10および11における
第一の工程で基板表面上の液晶分子に磁場を与える場合
に使用する装置の概略図である。
【図12】 この発明の実施例12および13における
矩形状加工を施した基板上で第二の工程により有機分子
を供給して有機分子薄膜パターンを形成する状態を示す
模式図である。
【図13】 この発明の実施例14および15における
単結晶基板上に第二の工程で有機分子を供給して有機分
子薄膜パターン結晶を形成する状態を示す模式図であ
る。
【図14】 この発明の実施例14および15における
第一の工程で基板結晶軸方向に対する方向を調整して矩
形状加工を行ったKCl基板上に、第二の工程で有機分
子薄膜パターンを形成する状態を示す模式図である。
【図15】 この発明の実施例16〜18における第一
の工程で基板に比べ有機分子の付着率が高い凸パターン
を形成した基板上に、第二の工程で配向制御して有機分
子薄膜パターンを形成する状態を示す模式図である。
【図16】 この発明の実施例16〜18におけるトラ
ンジスタ素子の概略断面図である。
【図17】 この発明の実施例19および20における
第一の工程で微小な探針で微細加工した基板上に、第二
の工程で有機分子薄膜パターンを形成する状態を示す模
式図である。
【図18】 この発明の実施例19および20において
PMMAを塗布したのち第一の工程にて微小な探針で微
細加工した基板上に、第二の工程で有機分子薄膜パター
ンを形成する状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 基板、2 粒子、3 凸パターン、4 凹パター
ン、5 有機分子、6不均質ないし不連続な有機分子薄
膜、7 均質ないし連続な有機分子薄膜、8大きな単結
晶から構成される有機分子薄膜、9 粒子、10 有機
金属分子または有機分子、11 光化学反応後に生成し
た結合、12 反応活性種、13 有機分子、14 真
空槽、15 反応活性種発生装置、16、17 セル、
18マグネット、19 液晶分子、20 有機分子、2
1 有機薄膜パターン、22単結晶基板、23 有機分
子結晶薄膜パターン、24 KCl単結晶基板、25、
26 レジストパターン、27 分子結晶薄膜パター
ン、28 凸パターン、28a Auパターン、29
有機薄膜パターン、30 基板、31 ゲート電極、3
2 ゲート絶縁膜、33 探針、34 凹パターン、3
5 薄膜マイクロパターン、36 PMMAスピンコー
ト膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜野 浩司 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 久保田 繁 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空中で蒸発させた有機分子の吸着性が
    平滑な基板表面に比べ高くなるような形状の変化を伴う
    加工処理を上記基板表面に施す第一の工程と、 加工処理を施した基板に真空中で有機分子を供給して上
    記基板表面に薄膜を形成させる第二の工程とを含むこと
    を特徴とする有機分子の薄膜製造方法。
  2. 【請求項2】 第一の工程として、真空中で蒸発させた
    原子あるいは分子を付着させることによってその蒸着物
    からなる粒子を基板表面に形成し、第二の工程として、
    真空中で蒸発させた有機分子の基板に対する供給速度ま
    たは基板温度あるいはその両方を調整することによっ
    て、上記粒子を中心に有機分子を成長させ薄膜を形成さ
    せることを特徴とする請求項第1項記載の有機分子の薄
    膜製造方法。
  3. 【請求項3】 第一の工程における粒子を構成する蒸着
    物材料と、第二の工程における膜を形成する有機分子と
    が異なることを特徴とする請求項第2項記載の有機分子
    の薄膜製造方法。
  4. 【請求項4】 第一の工程として、光または光および磁
    場を与え光化学反応を施して粒子を形成する、あるいは
    形成させた粒子に光または光ならびに磁場を与えて光化
    学反応を施すことを特徴とする請求項第2項記載の有機
    分子の薄膜製造方法。
  5. 【請求項5】 第一の工程における基板表面に粒子を形
    成させるために供給する少なくとも一つの蒸発物は、ラ
    ジカル原子あるいはラジカル分子であることを特徴とす
    る請求項第2項記載の有機分子の薄膜製造方法。
  6. 【請求項6】 第一の工程として、基板表面上に付着さ
    せたサーモトロピックな液晶性を示す化合物に磁場を印
    加することによりこの液晶性化合物を特定方向に配向
    し、第二の工程として、上記液晶性化合物上に有機分子
    からなる薄膜を形成することにより有機分子の配向また
    は結晶方位を所望の方向に配向させることを特徴とする
    請求項第1項記載の有機分子の薄膜製造方法。
  7. 【請求項7】 平滑な基板表面上の所望の位置に形状の
    変化を伴う加工を施す第一の工程と、 薄膜形成初期過程における有機分子の基板表面での付着
    率と有機分子の選択加工部位の付着率の差が大きくなる
    ように有機分子供給速度あるいは基板温度またはその両
    方を調整し、上記基板上における有機薄膜パターンの配
    置および形状を制御する第二の工程とを含むことを特徴
    とする有機分子の薄膜パターン製造方法。
  8. 【請求項8】 第一の工程として、平滑な基板表面をエ
    ッチングし凹凸部を形成する、あるいは平滑な基板表面
    上に薄膜を形成してこの薄膜をパターニングして凹凸部
    を形成し、第二の工程において、有機分子供給速度ある
    いは基板温度またはその両方を調整して上記凹凸部のう
    ち凸部の側面より有機分子を特定方向に結晶成長させる
    ことを特徴とする請求項第7項記載の有機分子の薄膜パ
    ターン製造方法。
  9. 【請求項9】 第一の工程として、平滑な基板表面上に
    この基板と異なる材料からなる薄膜を形成し、この薄膜
    をパターニングして凸部を形成し、第二の工程におい
    て、有機分子供給速度または基板温度あるいはその両方
    を調整し上記凸部側壁に選択的に有機分子を付着させ、
    分子配向を制御することを特徴とする請求項第7項記載
    の有機分子の薄膜パターン製造方法。
  10. 【請求項10】 第一の工程として、走査型トンネル顕
    微鏡あるいは原子間力顕微鏡などに用いられている微細
    な探針により1μm以下のサイズのマイクロパターンを
    形成し、第二の工程として、有機分子供給速度または基
    板温度あるいはその両方を調整し特定の位置に1μm以
    下のサイズの微小な有機結晶を形成することを特徴とす
    る請求項第7項記載の有機分子の薄膜パターン製造方
    法。
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