JPH0885403A - バンパ取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 バンパの取付孔に対する段付ボルトの段付部
の位置合わせを注意を払って行なわなくても、段付ボル
トとバンパとの相対的な組合状態を正確に規制でき、ひ
いては段付ボルトの段付部にてバンパの取付孔の周縁部
分を潰してしまう不具合や車体に対するバンパの取付位
置が正規位置からずれてしまう不具合を回避することが
できるような構成のバンパ取付構造を提供する。 【構成】 バンパ２の取付孔１５を段付孔とし、取付孔
１５のうちの大径部１６はバンパ取付用の段付ボルト３
の段付部８より僅かに大きく構成すると共に、取付孔１
５のうちの小径部１７は段付ボルト３のねじ部６より僅
かに大きく構成し、段付ボルト３のねじ部６を取付孔１
５の小径部１７に挿通して段付ボルト３の締付を行なう
ようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車のバンパを段付
ボルトにて車体に取付けるための構造に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】樹脂成形バンパを車体に取付ける手段と
しては、通常、段付ボルトを用いるようにしている。こ
のように段付ボルトを樹脂成形バンパ取付手段として用
いるようにしているのは、ボルト締付けによりバンパ取
付部を潰さないようにするためである。

【０００３】図６は従来のバンパ取付構造を示すもので
あって、同図において、１は自動車の車体、２は樹脂成
形バンパ、３はこの樹脂成形バンパ２を車体１に締付固
定するための段付ボルト、４はナットである。上述の段
付ボルト３は、図６に示すように、頭部５とねじ部６と
の間にワッシャ部（鍔部）７及び段付部８が同軸状に一
体に設けられて成るものであり、段付部８の直径はねじ
部６の直径よりも大きく構成されている。また、ワッシ
ャ部７の直径は頭部５及び段付部８の直径よりも大きく
構成されると共に、段付部６の長さＬ₁ は樹脂成形バン
パ２の取付部９の板厚Ｌ₂ にほぼ等しく設定されてい
る。一方、樹脂成形バンパ２の取付部９には、前記段付
部８の直径よりも僅かに大きくかつワッシャ部７の直径
よりも小さな直径を有する取付孔１０が形成されてい
る。

【０００４】かくして、樹脂成形バンパ２の取付孔１０
に段付ボルト３のねじ部６を挿通して段付部８を前記取
付孔１０内に挿入配置した状態とし、この状態の下で段
付ボルト３を回転させてねじ部６を車体１の側に配置し
たナット４にねじ込むことにより樹脂成形バンパ２を車
体１に締付固定するようにしている。この際、段付部８
が樹脂成形バンパ２の取付部９の板厚方向の堅固なスペ
ーサとして存在するため、ワッシャ部７と車体１との間
に挟まれた取付部９の周縁部分が段付ボルト３の締付力
にて潰されてしまうような事態の発生が防止される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
如き従来のバンパ取付構造では、図６に示すように樹脂
成形バンパ２の取付孔１０と段付ボルト３の段付部８と
を正しく位置合わせして取付孔１０内に段付部８を挿入
した状態で段付ボルト３の締付作業を行なうようにすれ
ば何ら問題ないが、図７に示すように段付部８の軸心が
取付孔１０の中心から外れた状態のまま締付作業を行な
ってしまうと、段付ボルト３の締付力にて樹脂成形バン
パ２の取付孔１０の周縁部分（具体的には、段付部８と
車体１との間に挟まれた部分α）が潰されてしまう不具
合を生じる。実際には、このような事態を来すことが多
々あるのが実状である。

【０００６】このような状態で樹脂成形バンパ１が車体
に取付けられると、樹脂成形バンパ１は正規位置からず
れた位置に配置されることとなり、ひいてはフードとの
見切り幅が広くなってしまうという不具合を生じる。

【０００７】本発明は、このような実状に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、バンパの取付孔に対する
段付ボルトの段付部の位置合わせを注意を払って行なわ
なくても、段付ボルトとバンパとの相対的な組合状態を
正確に規制でき、ひいては段付ボルトの段付部にてバン
パの取付孔の周縁部分を潰してしまう不具合や車体に対
するバンパの取付位置が正規位置からずれてしまう不具
合を回避することができるような構成のバンパ取付構造
を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明では、頭部とねじ部との間に前記ねじ部よ
り大径の段付部を有する段付ボルトをバンパの取付孔に
挿通して前記バンパを車体に締付固定するようにしたバ
ンパ取付構造において、前記バンパの取付孔を大径部と
小径部とを有する段付孔とし、前記取付孔のうちの大径
部は前記段付ボルトの段付部より僅かに大きく構成する
と共に、前記取付孔のうちの小径部は前記段付ボルトの
ねじ部より僅かに大きく構成し、前記段付ボルトのねじ
部を前記取付孔の小径部に挿通して前記段付ボルトの締
付を行なうようにしている。

【０００９】また、本発明では、前記バンパが樹脂成形
バンパであり、前記段付ボルトの締付により、前記取付
孔の小径部箇所の段差状突出部分から成るボルト位置決
め部が押し潰された状態で前記バンパの締付固定を行な
うようにしている。

【００１０】

【作用】段付ボルトをバンパの取付孔に組付ける際に、
段付ボルトのねじ部を前記取付孔の小径部に挿通するだ
けでねじ部の軸心と取付孔の中心とが互いに合致せしめ
られ、これにより段付ボルトとバンパとの相互間の組付
けが正規の状態に規制される。そのため、これらの間に
相対的な位置ずれを生じるおそれがなく、ひいてはこの
位置ずれに伴うバンパ取付位置のずれ（正規位置からの
ずれ）が防止される。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例について図１〜図５を
参照して説明する。なお、これらの図において図６と同
様の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略
する。

【００１２】図１は本発明に係るバンパ取付構造を備え
た四輪自動車１２を示すものであって、樹脂をブロー成
形して成る樹脂成形バンパ２が四輪自動車１２の前部箇
所であってかつフロントフード１３の下方箇所にフロン
トバンパとして配設されている。すなわち、図２及び図
３に示すように、上述の樹脂成形バンパ２の上部は、車
体１の一部を構成するフロントアッパメンバ１ａに段付
ボルト３及びナット４により締付固定されている。な
お、図示を省略したが、樹脂成形バンパ２の上部以外の
箇所においても車体１への取付けがなされている。

【００１３】ここで、フロントアッパメンバ１ａへの樹
脂成形バンパ２の取付構造について詳述すると、次の通
りである。まず、樹脂成形バンパ２の上端縁２ａには、
図３（ａ），（ｂ）に明示するように、段付きの取付孔
（段付孔）１５が形成されている。この取付孔１５は、
樹脂成形バンパ２の外面２ｂ側に設けられた大径部１６
と、樹脂成形バンパ２の裏面（取付面）２ｃ側に設けら
れた小径部１７とから成り、大径部１６及び小径部１７
の中心がそれぞれ一致されてこれらが同軸状に成形され
ている。また、これらの大径部１６及び小径部１７は円
形孔として成形されており、前記大径部１６の直径は、
樹脂成形バンパ２の締付固定に用いられる段付ボルト３
の段付部８より僅かに大きく構成されると共に、前記小
径部１７の直径は、段付ボルト３のねじ部６の直径より
僅かに大きく構成されている。そして、取付孔１５の小
径部１７の箇所には、リング状突起部分から成るボルト
位置決め部１８が設けられている。

【００１４】なお、本例においては、取付孔１５の大径
部１６の深さ及び小径部１７の肉厚は互いにほぼ等しく
構成されており、前記ボルト位置決め部１８の厚さは樹
脂成形バンパ２の肉厚のほぼ１／２に設定されている。

【００１５】かくして、樹脂成形バンパ２の上端縁２ａ
をフロントアッパメンバ１ａへ取付けるに際しては、ま
ず、図３（ａ）に示すように、段付ボルト３のねじ部６
を樹脂成形バンパ２の外面２ｂの側から樹脂成形バンパ
２の取付孔１５の大径部１６を通してその小径部１７内
に挿通する。これに伴い、段付ボルト３と樹脂成形バン
パ２とは、前記ねじ部６と取付孔１５の小径部１７との
間の嵌合作用により相対的な位置規制がなされた状態で
互いに組付けられることとなる。

【００１６】次いで、図３（ｂ）に示すように、樹脂成
形バンパ２の取付面２ｃをフロントアッパメンバ１ａに
当てがい、段付ボルト３のねじ部６をフロントアッパメ
ンバ１ａの挿通孔１９に挿通してナット４にねじ込む。
これに応じて、段付ボルト３の段付部８が取付孔１５の
大径部１６内に挿入されて取付孔１５の段差面２０に当
接され、取付孔１５の段差部分から成るボルト位置決め
部１８が段付部８とフロントアッパメンバ１ａとの間に
挾み込まれた状態になる。

【００１７】そして、段付ボルト３をさらに回転させて
ナット４にねじ込むと、図３（ｃ）に示すように、段付
ボルト３の締付力により前記取付孔１５のボルト位置決
め部（段差部分）１８がねじ込み作業が進むにつれて段
付部８とフロントアッパメンバ１ａとの間で押し潰さ
れ、この段付部８及びナット４がフロントアッパメンバ
１ａに挾着されて樹脂成形バンパ２の締付固定がなされ
る。

【００１８】なお、四輪自動車１２のフロントバンパの
材質として一般的に使用される樹脂材料は、比較的柔ら
かく割れにくいため、段付ボルト３の締付作業により加
えられる締付力にて充分に押し潰すことが可能である。

【００１９】このような構成のバンパ取付構造によれ
ば、段付ボルト３のねじ部６のみを取付孔１５の小径部
１７内に差込むだけで段付ボルト３及び樹脂成形バンパ
２が前記ねじ部６とボルト位置決め部１８とによる位置
決め作用にて互いに正規の組付状態に規制され、段付部
８とフロントアッパメンバ１ａとの間に樹脂成形バンパ
２の板厚の全体が挟み込まれてしまうような事態、すな
わち、段付ボルト３と樹脂成形バンパ２との組付けが正
規の組付状態からずれてしまうような事態を生じるおそ
れがなくなる。その結果、フロントアッパメンバ１ａに
対する樹脂成形バンパ２の取付位置にずれを生じるのを
確実に防止することができ、フロントフード１３に対す
る樹脂成形バンパ２の見切り幅に関する品質を良好にす
ることができる。

【００２０】また、図４は本発明の別の実施例を示すも
のであって、本例は、樹脂成形バンパ２の取付孔１５の
大径部１６と小径部１７との配置関係を既述の実施例と
は逆に構成したものである。具体的には、樹脂成形バン
パ２の外面２ｂの側に小径部１７を形成すると共に、そ
の裏面２ｃの側に大径部１６を形成するようにしたもの
である。

【００２１】本例の場合には、段付ボルト３のねじ部６
を樹脂成形バンパ２の外面２ｂの側から小径部１７に差
込み、段付ボルト３の段付部８をボルト位置決め部１８
を介して大径部１６に対応配置させて段付ボルト３の締
付作業を行なう。これに伴い、前記ボルト位置決め部１
８が押し潰されて前記段付部８が大径部１６内に嵌合配
置された状態となり、この状態で樹脂成形バンパ２の締
付固定がなされる。

【００２２】また、図５は本発明のさらに別の実施例を
示すものであって、本例は、樹脂成形バンパ２の取付孔
１５の段付構造を変更したものである。具体的には、取
付孔１５の大径部１６は樹脂成形バンパ２の外面２ｂ及
び裏面２ｃの双方側にそれぞれ形成し、樹脂成形バンパ
２の肉厚方向の中間部分に小径部１７を形成してボルト
位置決め部１８を設けるようにしたものである。

【００２３】本例の場合には、段付ボルト３のねじ部６
を取付孔１５の小径部１７に差込んで段付ボルト３を樹
脂成形バンパ２に組付けたときに、段付ボルト３の段付
部８の一部分が樹脂成形バンパ２の外面２ｂ側の大径部
１６内に嵌着された状態となり、段付ボルト３の締付作
業を進めていく際に前記ボルト位置決め部１８が押し潰
されて樹脂成形バンパ２の締付固定がなされる。

【００２４】図４及び図５にそれぞれ示す実施例の場合
にも、既述の実施例の場合と同様の作用効果を得ること
ができる。

【００２５】以上、本発明の実施例につき述べたが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発
明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能で
ある。例えば、樹脂成形バンパ２の取付孔１５に形成さ
れるボルト位置決め部１８の断面形状やその肉厚等は必
要に応じて各種に変更可能である。また、本発明は、樹
脂成形バンパ２の上端縁２ａの取付けに限らず、種々の
部分の取付構造にも適用できることは言う迄もない。

【００２６】

【発明の効果】以上の如く、本発明は、バンパの取付孔
を段付孔とし、前記取付孔のうちの大径部は前記段付ボ
ルトの段付部より僅かに大きく構成すると共に、前記取
付孔のうちの小径部は前記段付ボルトのねじ部より僅か
に大きく構成するようにし、前記段付ボルトのねじ部を
前記取付孔の小径部に挿通して前記段付ボルトの締付を
行なうようにしたものであるから、取付孔の小径部箇所
の段差状突出部分をボルト位置決め部として利用するこ
とができ、段付ボルトのねじ部を前記取付孔の小径部に
差込むだけの簡単な作業により特別な注意を払うことな
く段付ボルトと取付孔との位置合わせを正確に行なうこ
とができる。すなわち、段付ボルトのねじ部を取付孔の
小径部に差込むだけでバンパと段付ボルトとの相対的な
組付状態が一義的に規制されることとなり、従って、バ
ンパの取付作業性の向上を図ることができる上に、段付
ボルトの段付部と車体との間にバンパの取付孔の周縁部
分を挾み込んだ状態で締付作業を行ってしまうような事
態を未然に回避することができる。そのため、車体に対
するバンパの取付位置が正規に位置からずれてフードと
の見切り幅が広くなってしまうような不具合の発生を防
止でき、見切り幅に関する品質を向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るバンパ取付構造を備えた四輪自動
車の斜視図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ線断面図である。

【図３】本発明の実施例を説明するためのものであて、
（ａ），（ｂ）及び（ｃ）は樹脂成形バンパを段付ボル
トにてフロントアッパメンバに締付固定する手順を説明
するための断面図である。

【図４】本発明の別の実施例を説明するための断面図で
ある。

【図５】本発明のさらに別の実施例を説明するための断
面図である。

【図６】従来のバンパ取付構造を説明するための断面図
である。

【図７】樹脂成形バンパと段付ボルトとの組付が悪い状
態を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 車体 １ａ フロントアッパメンバ ２ 樹脂バンパ ３ 段付ボルト ４ ナット ５ 頭部 ６ ねじ部 ８ 段付部 １５ 取付孔（段付孔） １６ 大径部 １７ 小径部 １８ ボルト位置決め部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 頭部とねじ部との間に前記ねじ部より大
   径の段付部を有する段付ボルトをバンパの取付孔に挿通
   して前記バンパを車体に締付固定するようにしたバンパ
   取付構造において、前記バンパの取付孔を大径部と小径
   部とを有する段付孔とし、前記取付孔のうちの大径部は
   前記段付ボルトの段付部より僅かに大きく構成すると共
   に、前記取付孔のうちの小径部は前記段付ボルトのねじ
   部より僅かに大きく構成し、前記段付ボルトのねじ部を
   前記取付孔の小径部に挿通して前記段付ボルトの締付を
   行なうようにしたことを特徴とするバンパ取付構造。
2. 【請求項２】 前記バンパが樹脂成形バンパであり、前
   記段付ボルトの締付により、前記取付孔の小径部箇所の
   段差状突出部分から成るボルト位置決め部が押し潰され
   た状態で前記バンパの締付固定を行なうようにしたこと
   を特徴とする請求項１に記載のバンパ取付構造。