JPH0884734A - マイクロ鉗子の製造方法 - Google Patents

マイクロ鉗子の製造方法

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JPH0884734A
JPH0884734A JP6221575A JP22157594A JPH0884734A JP H0884734 A JPH0884734 A JP H0884734A JP 6221575 A JP6221575 A JP 6221575A JP 22157594 A JP22157594 A JP 22157594A JP H0884734 A JPH0884734 A JP H0884734A
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JP
Japan
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cutting
rod
shaped object
micro forceps
boundary surfaces
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Application number
JP6221575A
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English (en)
Inventor
Isamu Aoki
勇 青木
Toshiro Higuchi
俊郎 樋口
Shinichiro Mihara
慎一郎 三原
Seisuke Tsuda
誠輔 津田
Atsushi Uchiumi
厚 内海
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 素材が微細な円柱状物であっても、安全性が
高く、目的物を好適につかみうる鰐口部を有するマイク
ロ鉗子を、容易に、かつ、高精度に製造する方法を提供
すること。 【構成】 棒状物に、下記(C)の加工が必ず含まれる
ように下記(A)〜(C)から選ばれる1以上の加工を
少なくとも施すことによって顎部品を形成し、この顎部
品を用いてマイクロ鉗子の鰐口部を構成することを特徴
とする。(A)塑性加工による面、ダボ等の形成。
(B)剪断加工による孔、切欠き等の形成。(C)1対
の切断具の各々の境界面に、その境界面を互いに密着さ
せて各々の凹部を1つに合わせたときに、棒状物が嵌合
しうる空間が形成される凹部を形成し、この空間に棒状
物を保持し、この1対の切断具を境界面を互いに密着さ
せた状態のままで相対的に変位させて作用点部を所望の
形状に切断する加工。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微細な管内等に挿入
し、目的物を的確に掴むことができる好ましい鰐口部を
先端部に有するマイクロ鉗子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロ鉗子は、細径の管状物の先端部
に設けられた開閉可能な把持構造を、手元部となる反対
端において遠隔的に開閉操作しうるものである。本明細
書では、このマイクロ鉗子先端部の把持構造を「鰐口
部」という。図1は、その鰐口部の構造の一例を模式的
に示す図である。同図では、マイクロ鉗子全体としての
胴体や、開閉の力を伝達する部材等は省略している。同
図の鰐口部は、一対の把持用部材A、Bが、支点部2の
回転軸を中心に互いに回転可能に結合されたものであ
る。本明細書では、この把持用部材を「顎部品」とい
う。顎部品A、Bは各々、目的物につかむための力を与
える作用点部1a、1bと、鰐口部の支点部2を共に構
成する支点部2a、2bと、操作側よりつかむための力
が与えられる力点部3a、3bとを有する。また、作用
点部1a、1bのなかでも目的物に直接接触する対物面
4a、4bには、目的物を好適に保持するための溝5が
必要に応じて設けられる。このような構成において、手
元部となる反対端からワイヤー等を用いて力点部3a、
3bに開閉のための力Fa、Fbを伝えると、例えば支
点部2の回転軸を中心に作用点部1a、1bが回転して
閉じ、目的物をつかむことができる。ただし、一対の顎
部品のうちの一方がマイクロ鉗子全体としての胴体に対
して固定され、他方の顎部品だけが可動であるような構
成例もある。
【0003】上記の様な鰐口部の構成によって、マイク
ロ鉗子は微細な間隙内の奥深くの目的物をつかむ必要の
ある種々の作業に用いられる。マイクロ鉗子は特に医療
の分野では有用であって、多くの場合、内視鏡やカテー
テルのワーキングチャンネルに挿入されて体腔内に導か
れ、目的部位の粘膜・細胞・異物等の目的物を採取する
ために用いられている。このためマイクロ鉗子は、第一
に細径であることが求められ、その外形が1mm以下で
あることを要求される場合もある。特に、内視鏡やカテ
ーテルへの収納性と生体に対する安全性の点から、長手
方向に垂直な断面形状は円形であることが求められる。
従って、鰐口部を一対で構成する顎部品は、微細な円柱
状物から更に微細に加工されねばならない。第二に、目
的物を的確につかむこと、または、噛み切ること等がで
きるように、作用点部の対物面には、図1に示す例のよ
うに溝5を形成することによる適当なパターンの歯を形
成することが求められる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、このような顎部
品は、主に、棒状物を素材とし切削加工を施すことによ
って形成していた。ところが、棒状物に切削加工を施す
ためには、バイスやチャック等の固定具による確実な固
定が前提条件となる。しかし、固定具からの露出部分の
微小化や、材料の変形の問題から、微小な棒状物を素材
として顎部品を加工することは困難であった。特に、素
材の棒状物が微細な円柱状であるような場合は、少なく
とも長手軸を含む外径部分は固定具内に収められる。そ
のため、切削加工を施すことはより困難となっていた。
また、上記微小な外径の円柱状物という条件にさらに加
えて、顎部品の作用点部に適当なパターンの歯を形成す
ることが求められる場合、手仕上げによる低い生産性、
樹脂等による特殊な固定方法の必要性、加工精度の低下
等の種々の問題が障害となり、加工は極めて困難となっ
ていた。
【0005】本発明の目的は、棒状物を素材として、特
にそれが微細な円柱状物であっても、安全性が高く、目
的物を好適につかみうる鰐口部を有するマイクロ鉗子
を、容易に、かつ、高精度に製造する方法を提供するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の切断方法は、以
下の特徴を有するものである。 (1) 棒状物に、下記(C)の加工が必ず含まれるように
下記(A)〜(C)から選ばれる1以上の加工を少なく
とも施すことによって、作用点部・支点部・力点部を有
する顎部品を複数形成し、この顎部品を用いてマイクロ
鉗子の鰐口部を構成することを特徴とするマイクロ鉗子
の製造方法。 (A)塑性加工によって、支点部・力点部の必要箇所を
所望の形状に形成する加工。 (B)剪断加工によって、支点部・力点部の必要箇所を
所望の形状に形成する加工。 (C)境界面を互いに密着させた状態のままで相対的に
変位することが可能な1対の切断具の、各々の境界面に
凹部を形成し、各々の凹部の形状は、境界面を互いに密
着させて各々の凹部を1つに合わせたときに、棒状物が
嵌合しうる空間が形成される形状であり、この1対の切
断具の境界面を互いに密着させ、各々の凹部を1つに合
わせて形成した空間に棒状物を保持し、この1対の切断
具を境界面を互いに密着させた状態のままで相対的に変
位させ、棒状物を境界面に従って切断することを特徴と
する切断方法によって、作用点部の必要箇所を所望の形
状に形成する加工。 (2) 上記(C)の切断方法における、一方の切断具の境
界面には、マイクロ鉗子が作用点部で目的物をつかむた
めに好ましい歯を対物面に形成するための溝が、切断具
の移動方向に平行に凹部を横切るように1条以上形成さ
れ、他方の切断具の境界面には、溝に対応する位置に、
その溝に摺動可能に嵌合する突起体が形成されたもので
ある上記 (1)記載のマイクロ鉗子の製造方法。 (3) 溝が、一定ピッチで複数条配列されたものであり、
溝のその長手軸に垂直な断面形状が台形または三角形で
ある上記(2) 記載のマイクロ鉗子の製造方法。 (4) 上記(C)の切断方法において凹部に棒状物を保持
したとき、この棒状物の長手軸が切断具の境界面には平
行となり、切断具の移動方向には垂直となるように、該
凹部が形成されたものである上記 (1)記載のマイクロ鉗
子の製造方法。 (5) 上記(A)の塑性加工によって支点部・力点部の必
要箇所に形成される所望の形状が、平面、曲面、凸部、
凹部のうちの少なくともいずれかの形状、および/また
は、上記(B)剪断加工によって支点部・力点部の必要
箇所に形成される所望の形状が、孔、所望の形状の切欠
き、他の加工によって生じた変形部分を除去してなる形
状のうちの少なくともいずれかの形状である上記 (1)記
載のマイクロ鉗子の製造方法。 (6) 顎部品の表面に意図せず生じた突起および鋭利な角
部を除去または平滑化し表面状態を調整するための表面
処理加工が、上記(A)〜(C)の加工に加えて棒状物
に施されるものである上記 (1)記載のマイクロ鉗子の製
造方法。 (7) 棒状物が、外形φ2mm以下の丸棒材である上記
(1)記載のマイクロ鉗子の製造方法。
【0007】
【作用】鰐口部を構成する顎部品は、上記のように微細
な棒状物を素材とし、作用点部・支点部・力点部を有す
るものである。鰐口部が精密で平滑な動作を示し、目的
物を確実に処理しうるためには、顎部品には、動作機構
を構成するための要素、即ち、基準面やその面に対する
直角・平行等の種々の面、孔穴、軸等や、対物面に形成
される歯が必要である。特に、素材が円柱状物である場
合、これら要素は全て後加工によって形成しなければな
らない。
【0008】本発明のマイクロ鉗子の製造方法では、素
材の棒状物を加工するに際し、支点部・力点部に平面・
曲面、突き出した軸(ダボ)等の凸部、凹部、曲げ等が
必要であれば、これを塑性加工によって形成する。同様
に、支点部・力点部に、貫通孔、所望の形状の切欠き、
他の加工によって外形部に生じた材料の変形部分・はみ
出し部分の切り落としが必要であれば、これを剪断加工
によって形成する。これらの加工方法は、製品であるマ
イクロ鉗子に対して、品質とコストとのバランスにおい
て優れた加工方法である。
【0009】本発明のマイクロ鉗子の製造方法における
重要な加工は、顎部品の作用点部の形状加工、および、
その対物面に必要に応じて施される溝加工である。作用
点部全体としての形状は、棒状物を長手軸の方向に沿っ
て分割して得られるような形状である。また、対物面に
施される溝は、例えば、図2に模式的に示すように、微
細な鋸歯状を呈するように等間隔に形成することが要求
される。本発明者等は、このような形状の作用点部を棒
状物から容易に、かつ、高精度に得ることが可能な新規
な切断方法を提案している。即ち、上記(C)に記載の
切断方法である。次に、この新規な切断方法の作用を詳
細に説明する。
【0010】棒状物を長手軸の方向に沿って分割して得
られるような形状の部材、例えば、図3に斜視図として
示すように、円柱状物を架空の平面Sで分割して得られ
る形状の部材30Aと部材30aを考える。部材30A
を、既存の棒状物から得るための従来の加工方法として
は、部材30aの全部を切削・研磨し除去する方法や、
部材30Aの平面Sの外側に沿った部分を切断シロとし
て切削し部材30aの残部を分離する方法等が挙げられ
る。また、部材30aの方を得るための加工方法もまた
上記と同様であるが、材料の固定が後述のようにより困
難となる場合が多い。棒状物に切削加工を施すために
は、先ずこれを確実に固定することが必要となる。この
ような場合の従来の一般的な固定方法としては、バイス
やチャック等による機械的外力で固定する方法や、材料
によっては磁力で加工ベッド上に吸着固定する方法等が
挙げられる。ところが、これらの方法では、材料は、例
えば直方体のように安定して固定しうる形状であるこ
と、ある程度のつかみシロや吸着面積を有すること、固
定に耐え得る機械的強度を有すること等が必要となる。
従って、棒状物が円柱状物であるような場合は、少なく
とも長手軸を含む外径部分は固定具内に収められるの
で、その状態のままでは切削加工を径の半分以上施すこ
とは困難であり、部材30aのような形状のものは容易
には得られない。さらに、円柱状物の外径が微小である
場合や、柔らかい材料の場合には、固定具からの露出部
分の微小化や、材料の変形の問題から、固定と加工はよ
り困難となる。これに加えて、顎部品の対物面となるべ
き円柱状物の分割面に、鋸歯状のような微細な形状の歯
を形成することは、極めて困難であった。
【0011】このような従来の問題に対し、本発明者ら
が提案する新規な切断方法(以下、単に「本発明の切断
方法」という)は、先ず、図4(a)に模式的に示すよ
うに、1対の切断具10、20の境界面11、21を互
いに密着させ、各々の境界面に設けられた凹部12、2
2を1つに合わせて形成した空間に棒状物30を保持す
る。次に、この1対の切断具を境界面を互いに密着させ
た状態のままで互いに相対的に移動させる。これによっ
て、棒状物は切断具の境界面の位置において、境界面の
形状に従って切断され、30Aと30aとなる。即ち、
棒状物は2つの凹部と同様の形状に分割されることにな
る。
【0012】従来の切削・研磨方法では、棒状物の必要
最小限の部分を利用して固定し、残りの部分を切削加工
するというように、固定手段と切削工具とが、棒状物
を、つかみシロと削りシロとに分け合うような関係であ
ったので、棒状物が微小化するにつれて、分け合うこと
が困難となっていた。これに対して、本発明の切断方法
では、図4(b)に示すように、一対の切断具が互いに
相対的な変位を開始し、棒状物に対して切断を開始した
瞬間から、その切断具自体が固定手段としての作用をも
示すものである。従って、棒状物が微小化しても、つか
みシロを考慮する必要がなく、長手軸に沿った切断も容
易に行なうことができる。
【0013】また、本発明の切断方法では、切断具の境
界面の形状が鋸歯状や波型となるように、一方の境界面
に溝を、他方の境界面にはその溝に嵌合する突起を形成
することによって、棒状物の切断面の形状を、切断具の
境界面の形状と同形状に切断することができる。ただ
し、切断具の境界面の形状は、切断具の境界面を互いに
密着させた状態のままで互いが相対的に変位し得るとい
う条件を満足することが好ましい。
【0014】ただし本明細書では、「切断」とは、例え
ば、切削工具による切断のように切断部分に材料ロスが
発生する場合と、紙を切る場合のように切断部分に材料
ロスが発生しない場合とを含むものとする。以下、本発
明の切断方法で得られた部材の「分割面」を「切断面」
という。また、一対の切断具が「相対的に変位する」と
は、一対の切断具が各々互いに反対方向に移動するか、
あるいは、一方の切断具が固定されそれに対して他方の
切断具が移動することを意味する。
【0015】
【実施例】以下、本発明の製造方法によるマイクロ鉗子
の具体的な製造例を示し、本発明をより詳細に説明す
る。図2は、本発明の製造方法によって製造されたマイ
クロ鉗子の鰐口部を構成する顎部品の一態様例を模式的
に示す図である。顎部品は、上述のように、作用点部1
a、支点部2a、力点部3aを有する。また、目的物に
直接接触する対物面4aには、目的物を好適に保持する
ための溝5が必要に応じて設けられる。さらに、顎部品
の先端部9w、作用点部の根元部9x、力点部の端部9
y等は、必要に応じて種々の形状に設計変更される。例
えば、先端部9wの形状は、一対の顎部品を一体に合わ
せたときに、半球状となるよう各々を加工することが好
ましく、作用点部の根元部9xは、鰐口部の開閉動作に
支障なきように、また、強度面からも半月状等に切り欠
くことが好ましい。本実施例のような顎部品は、本発明
による次のような加工を施すことによって得られる。た
だし、加工の順番は限定されない。
【0016】〔塑性加工〕支点部、力点部、その他の箇
所に、平面、曲面、凸部、凹部のうちの少なくともいず
れかを形成する必要がある場合、これを塑性加工によっ
て形成する。図2の態様例では、顎部品を一対合わせた
ときに外側となる部分では、支点部2aにおける回転中
心2a1 の周囲の平面6、力点部3aにおけるダボ3a
1 の周囲の平面7、また、内側となる部分として、支点
部と力点部に渡って形成される平面8が挙げられる。こ
れらは、鰐口部の開閉機構を精密かつ平滑に形成するた
めに重要な部品同士のすり合わせ面である。また、凸部
の例として操作部から鰐口部開閉のための力を、力点部
3aで受けるためのダボ3a1 が挙げられる。これらの
態様は、あくまで種々の設計・製作例の一つに過ぎな
い。例えば、支点部2aにおける平面6は、本体側の保
持具が球面を呈する凸面を有するならば、これに好適に
合致すべく、球面を呈する凹面であってもよい。また、
力点部3aのダボ3a1 は、凹部であってもよい。塑性
加工を施すための手段としては、金型を用いたプレス加
工等、公知の手段を用いてよい。
【0017】〔剪断加工〕支点部、力点部、その他の箇
所に、孔、および/または、所望の形状の切欠き(他の
加工によって生じた変形部分の除去を含む)を形成する
必要がある場合、これを剪断加工によって形成する。図
2の態様例では、支点部の回転中心2a1である貫通孔
が挙げられる。また、上記塑性加工で述べた力点部3a
におけるダボ3a1 は貫通孔であってもよく、その場合
は剪断加工によって形成される。貫通孔の形状は丸穴に
限定されず、任意の形状の孔であってもよい。また、図
2における作用点部の根元部9x、力点部の端部9y等
を所望の形状に切欠く場合や、上記塑性加工などで外形
にはみ出た材料をカットし、整形する場合も剪断加工が
よい。剪断加工を施すための手段としては、上記塑性加
工と同様、金型を用いたプレス加工等、公知の手段を用
いてよい。
【0018】〔新規な切断加工〕作用点部の形成には、
上記作用において説明した本発明による新規な切断方法
(以下、単に「本発明の切断方法」という)が好まし
い。その切断の概略は、上記「作用」の説明において述
べた。本実施例では、図2に示すように、棒状物、特に
細径の円柱状物から作用点部1aを形成し、その対物面
4aを鋸歯状に形成している。この部分の加工実例に従
って、この切断加工をより詳細に説明する。
【0019】図4に示した切断具の境界面の形状は、棒
状物の切断面の形状を決定するものである。例えば、境
界面の形状が平面であれば、棒状物の切断面は平面とな
る。また、切断具の各々の境界面に互いに嵌合関係にあ
る溝と突起体を形成することによって、棒状物の切断面
をその形状に従って種々の非平面とすることができる。
【0020】図5は、切断具の各々の境界面に、互いに
嵌合関係にある溝と突起体を形成した態様を模式的に示
す図である。同図では、一対の切断具10、20の部分
的な断面によって凹部を見せ、棒状物30も切断具の境
界面11、21を見せるために部分的に省略している。
また、一対の切断具10、20の移動方向は紙面に垂直
の方向である。同図では溝が無い場合の境界面の架空部
分を一点鎖線で示している。棒状物3は円柱状物であ
り、凹部12、22によって紙面に向かって水平に保持
されている。これによって棒状物の長手軸は切断具の境
界面には平行となり、切断具の移動方向には垂直となっ
ている。一方の切断具10の境界面11には、溝が41
〜44のように、切断具の移動方向に平行に、また、凹
部12を横切るように1条以上形成されている。他方の
切断具2の境界面には、前記溝41〜44に各々対応す
る位置に、その溝に摺動可能に嵌合する突起体51〜5
4が形成されている。
【0021】以上のように構成された切断具に棒状物3
0をセットした状態から、この一対の切断具を相対的に
変位させることによって、棒状物は、図2に示すよう
に、対物面に切断具10の溝と同形状の溝5を有する作
用点部に加工される。
【0022】対物面に形成される溝のその長手軸に垂直
な断面形状は限定されず、三角形、矩形、台形、U字
形、異形等、種々の断面形状であってよい。また、溝の
配置間隔も、疎密を自由に選択してよい。例えば、図2
に示した溝5の例は、直角三角形を一定ピッチで間隔を
あけて配置したものである。このような溝の態様は、目
的物を噛み切るのに好適である。
【0023】本発明の切断方法において切断具の境界面
に形成される凹部は、その一対を1つに合わせたとき
に、棒状物が嵌合しうる形状を有する。例えば、棒状物
が円柱状物であれば、1つに合わせられた凹部も同様の
形状の円柱状物となる。従って、1つに合わせられた凹
部と棒状物とは、はめあい関係を有するものである。そ
のスキマまたはシメシロは限定されず、切断加工時にお
いて製品の品質が最も好ましくなるように決定すればよ
い。境界面によって一対の凹部が、棒状物をどのような
割合で分割するかは、用途に応じて決定すればよい。
【0024】凹部の形成方向は、図4、図5に例として
示したように、該凹部にこの棒状物を保持したとき、こ
の棒状物の長手軸が切断具の境界面には平行となり切断
具の移動方向には垂直となる方向に形成されることが好
ましい。このような態様によって、棒状物を長手軸に沿
って切断することがより容易となり、図5に示すよう
な、複雑な切断面の形状を有する部材の需要に対して、
好適に応じられるからである。また、用途に応じて、こ
の棒状物の長手軸が切断具の境界面および/または切断
具の移動方向に対して適度な角度を有するように凹部を
形成してもよい。
【0025】棒状物は、1つに合わせられた凹部内に嵌
合しうるものであるが、棒状物全体が完全に収納される
必要はない。例えば、図5のように、1つに合わせられ
た凹部が、切断具の側面に凹部と同形の開口部を有する
ような場合、棒状物の一部がこの開口部から切断具の外
部に出ている状態であってもよい。また、棒状物の端面
から一定区間だけ、または、棒状物の中間部の一定区間
だけに対して切断するものであってよい。
【0026】棒状物の形状は限定されないが、上記した
ように、カテーテルへの収納性と生体に対する安全性の
点から、円柱状物であることが好ましい。また、多角柱
状物であっても角部に充分なアール加工が施されたもの
であれば、好ましいものとなる。円柱状物を素材とする
場合、その外径が5mm以下、特に2mm以下のもの
は、本発明の切断方法の有用性が顕著となり、かつ、マ
イクロ鉗子の微細化の要求に好適材料である。
【0027】棒状物の材料は、特に限定されないが、生
体への適合性、強度、靱性等の点からステンレスが好ま
しいものとして挙げられる。
【0028】切断具は、これだけを用いて棒状物を切断
してもよいが、通常は、切断具同士の摺動のためのガイ
ドやスプリング、棒状物の挿入のためのガイドなどの付
帯部品を有する金型の一部として用いられるのが好まし
い。棒状物をセットした状態の一対の切断具を相対的に
変位させ得る力を与える手段は限定されないが、機械式
や油圧式による種々のプレス、バイス等が好ましいもの
として挙げられる。
【0029】本発明の製造方法では、上記、塑性加工、
剪断加工、本発明の切断加工に加えて、必要に応じて種
々の切削・研磨加工等の機械加工、または化学加工等、
種々の加工工程を加えてもよい。
【0030】また、本発明の製造方法では、上記加工に
加えて、顎部品の表面に意図せず生じた突起、および鋭
利な角部等を除去または平滑化し表面状態を調整するた
めの表面処理加工を施すことが好ましい。例えば、剪断
加工や本発明の切断加工においては、バリ、ダレ、カエ
リ、鋭利な角部、破断面等が生じる。また、全ての工程
を通じて打痕や傷等による突起が生じる。従って、生体
内への使用に好ましい表面状態とするために、これらを
除去または平滑化しうる表面処理加工を施すことが好ま
しい。例えば、ショット、サンド、ガラス等の各種のブ
ラスト、バレル、研削等の加工が挙げられる。またさら
に、表面を平滑化した後に、メッキ処理や化学的な表面
処理等を必要に応じて施してもよい。
【0031】〔製作実験〕本発明の製造方法によって、
医療用マイクロ鉗子を製作した。顎部品をの素材とし
て、呼び外径φ1.0mm、長さ30.0mm、SUS
304の丸棒材を用いた。先ず、丸棒材に金型内で圧縮
を施し、図2に示すような平面部6、7、8を形成し、
力点部にダボ3a1 を形成した。次に、他の金型によっ
て支点部の貫通孔2a1 、および作用点部の根元部9x
に対する逃がし部の加工を施した。次に、図5に切断加
工状態を示すように、本発明の切断方法に従って、丸棒
材の長手軸を含む平面を対物面とし、さらにこの対物面
に図2に示すような直角三角形の溝5をピッチ0.35
mmをもって等間隔に形成した。その他、外形のシェー
ビング、細部の形状等の切断を施した後、1000番の
アルミナ研磨材によるショットブラスト加工を施し、一
対の顎部品を得た。得られた一対の顎部品を用いて、図
1に示すような鰐口部を構成し、支点部をマイクロ鉗子
本体チューブに回転可能に固定すると共に、力点部に開
閉力を好適に伝達しうるリンクを介してワイヤーを接続
し、マイクロ鉗子を完成させた。得られたマイクロ鉗子
は好適な動作を示し、対物面の鋸歯状の凹凸も好ましい
仕上がりであった。
【0032】
【発明の効果】本発明によるマイクロ鉗子の製造方法
は、鰐口部の構成部品である顎部品を形成するに際し、
素材が微細な円柱状物であっても、その主要部分の形状
加工を全て、塑性加工、剪断加工、および本発明の切断
加工によって行なうことに成功している。換言すると、
主要な加工工程は全て金型を用いて行なうことができる
ということであり、これら加工をただ1面の順送型を用
いて、線材から、外形の完成した顎部品を得ることも可
能である。従って、安全性が高く、目的物を好適につか
みうる鰐口部を有するマイクロ鉗子を、容易に、即ち、
安価に、かつ高精度に製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法によって得られるマイクロ鉗
子の鰐口部の構造の一例を模式的に示す図である。
【図2】本発明の製造方法によって製造されたマイクロ
鉗子の鰐口部を構成する顎部品の一態様例を模式的に示
す図である。
【図3】本発明の切断方法を説明するために挙げた加工
対象物の一例を模式的に示す図である。
【図4】本発明の切断方法を実施するための切断装置を
模式的に示す図である。
【図5】本発明の切断方法を実施するための切断装置に
おける、切断具の各々の境界面に互いに嵌合関係にある
溝と突起体を形成した態様を模式的に示す図である。
【符号の説明】
A、 B 顎部品 1a、1b 作用点部 2、 2a、2b 支点部 3a、3b 力点部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 勇 神奈川県横浜市瀬谷区本郷2丁目37番地の 12 (72)発明者 樋口 俊郎 神奈川県横浜市港北区茅ヶ崎南4丁目14番 1号109 (72)発明者 三原 慎一郎 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 津田 誠輔 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 内海 厚 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 棒状物に、下記(C)の加工が必ず含ま
    れるように下記(A)〜(C)から選ばれる1以上の加
    工を少なくとも施すことによって、作用点部・支点部・
    力点部を有する顎部品を複数形成し、この顎部品を用い
    てマイクロ鉗子の鰐口部を構成することを特徴とするマ
    イクロ鉗子の製造方法。 (A)塑性加工によって、支点部・力点部の必要箇所を
    所望の形状に形成する加工。 (B)剪断加工によって、支点部・力点部の必要箇所を
    所望の形状に形成する加工。 (C)境界面を互いに密着させた状態のままで相対的に
    変位することが可能な1対の切断具の、各々の境界面に
    凹部を形成し、各々の凹部の形状は、境界面を互いに密
    着させて各々の凹部を1つに合わせたときに、棒状物が
    嵌合しうる空間が形成される形状であり、この1対の切
    断具の境界面を互いに密着させ、各々の凹部を1つに合
    わせて形成した空間に棒状物を保持し、この1対の切断
    具を境界面を互いに密着させた状態のままで相対的に変
    位させ、棒状物を境界面に従って切断することを特徴と
    する切断方法によって、作用点部の必要箇所を所望の形
    状に形成する加工。
  2. 【請求項2】 上記(C)の切断方法における、一方の
    切断具の境界面には、マイクロ鉗子が作用点部で目的物
    をつかむために好ましい歯を対物面に形成するための溝
    が、切断具の移動方向に平行に凹部を横切るように1条
    以上形成され、他方の切断具の境界面には、溝に対応す
    る位置に、その溝に摺動可能に嵌合する突起体が形成さ
    れたものである請求項1記載のマイクロ鉗子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 溝が、一定ピッチで複数条配列されたも
    のであり、溝のその長手軸に垂直な断面形状が台形また
    は三角形である請求項2記載のマイクロ鉗子の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記(C)の切断方法において凹部に棒
    状物を保持したとき、この棒状物の長手軸が切断具の境
    界面には平行となり、切断具の移動方向には垂直となる
    ように、該凹部が形成されたものである請求項1記載の
    切断方法。
  5. 【請求項5】 上記(A)の塑性加工によって支点部・
    力点部の必要箇所に形成される所望の形状が、平面、曲
    面、凸部、凹部のうちの少なくともいずれかの形状、お
    よび/または、上記(B)剪断加工によって支点部・力
    点部の必要箇所に形成される所望の形状が、孔、所望の
    形状の切欠き、他の加工によって生じた変形部分を除去
    してなる形状のうちの少なくともいずれかの形状である
    請求項1記載のマイクロ鉗子の製造方法。
  6. 【請求項6】 顎部品の表面に意図せず生じた突起およ
    び鋭利な角部を除去または平滑化し表面状態を調整する
    ための表面処理加工が、上記(A)〜(C)の加工に加
    えて、棒状物に施されるものである請求項1記載のマイ
    クロ鉗子の製造方法。
  7. 【請求項7】 棒状物が、外形φ2mm以下の丸棒材で
    ある請求項1記載のマイクロ鉗子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113490460A (zh) * 2019-03-01 2021-10-08 蛇牌股份公司 医疗器械及制造医疗器械的方法

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