JPH0878927A - 車載用機器の取付け装置 - Google Patents

車載用機器の取付け装置

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JPH0878927A
JPH0878927A JP23944594A JP23944594A JPH0878927A JP H0878927 A JPH0878927 A JP H0878927A JP 23944594 A JP23944594 A JP 23944594A JP 23944594 A JP23944594 A JP 23944594A JP H0878927 A JPH0878927 A JP H0878927A
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Koichi Yoshida
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車載用アンテナ装置などの機器をマグネット
により車体外面に固定し、車体外面が曲面であっても、
マグネットがこの曲面に確実に密着できるようにする。 【構成】 BSアンテナ30を内蔵する機器本体部B
は、掛止機構Cにより固着ベースAに固定される。固着
ベースAは基板1と基板1に固定されたマグネットシー
ト2とから構成されている。マグネットシート2はゴム
マグネットなどの変形容易なものであり、基板1も弾性
変形可能な板厚のものとなっている。基板1に穴3,4
が形成されていることにより基板1が変形しやすくな
り、固着ベースAが車体外面の曲面に追従し、マグネッ
トシート2が車体外面に確実に密着し、強固に磁気吸着
される。また掛止機構Cは、固着ベースAの変形が機器
本体部Bに直接作用しないよう嵌合余裕を有するものと
なっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、BSアンテナ装置やG
PSアンテナ装置などの各種アンテナ装置あるいはキャ
リアなどの種々の車載用機器を車体外面に取付ける車載
用機器の取付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車体外面に取り付けられる車載用機器と
して例えば車載用アンテナ装置がある。車載用アンテナ
装置は、ナビゲーションシステム用のGPSアンテナ
や、衛星放送受信用のBSアンテナを備えたものなどが
用いられる。GPSアンテナやBSアンテナはいずれも
衛星から送られてくる電波を受信するものであるため、
車載用アンテナ装置の取付け位置は車体外面の例えばル
ーフ上面や車体後部のトランクルームの上面などが好ま
しい。車載用アンテナ装置を車体に取り付ける取付け装
置の従来例としては例えば実開平6−29212号公報
に開示されているものがある。この従来例では、トラン
クリッドの表面に車載用アンテナ装置の機器本体部が設
置され、トランクリッドの縁部に止着されたコの字状金
具により、前記機器本体部が固定されるものとなってい
る。しかしこのような機構的な取付け装置では、車載用
アンテナ装置を取付けまたは取り外す際にコの字状金具
の取付けまたは取り外しが必要となって作業が繁雑であ
る。またトランクリッドの縁部にコの字状金具が止着さ
れるものであるため、車体のルーフ上面への取付けには
適用できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、車載用アンテ
ナ装置を車体のルーフ部上面などに簡単に取付けができ
るものとしてマグネットによる磁気吸着を利用すること
が考えられる。従来、キャリアなどの車載用機器におい
て、マグネットの磁気吸着を利用して車体外面に固着す
る取付け装置も使用されている。ただし従来の取付け装
置では剛性を有し変形不能なマグネットを使用していた
ため、車体のルーフ部上面やトランクルーム上面の曲率
が小さい場合にマグネットと車体外面との接触面積が狭
くなり充分な吸着力を得られないことがある。
【0004】また、BSアンテナなどを含む車載用アン
テナ装置は、平面形状が比較的大きい。そのため、この
アンテナ装置を車体外面に磁気吸着により取付けようと
する場合に、使用するマグネットが大きいものとなり、
車体外面の曲面に対して充分な接触面積が得られず、固
定強度を確保できない場合が多くなる。特に車種によっ
ては車体外面の曲面の曲率が小さいものがあり、この場
合には、磁気吸着による固定がさらに不安定になる。上
記の車体外面への取付け装置の問題点は車載用アンテナ
装置に限られず、車体外面への当接部分の面積が大きな
車載用機器例えばキャリアなどにおいても同様である。
【0005】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、マグネットの磁気吸着力を利用して機器本体部を
車体外面に取付ける際に、マグネットと車体外面とが充
分な面積で接触して、確実な磁気吸着力を発揮できるよ
うにすることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、車体外面に磁
気吸着される固着ベースと、固着ベースに機器本体部を
固定する掛止機構とを有し、前記固着ベースはマグネッ
トシートと、このマグネットシートが固定された基板と
から構成され、マグネットシートおよび基板が、車体外
面の曲面に沿って変形可能な材料により形成され、マグ
ネットシートのほぼ全面が車体外面に密着可能とされた
ことを特徴とするものである。
【0007】上記マグネットシートは、例えばゴムや合
成ゴムを主体とした変形自在なものが使用される。基板
は弾性的に変形可能な厚さ寸法の金属板または合成樹脂
板などで構成される。機器本体部は、例えばGPSアン
テナやBSアンテナがケースに内蔵されたものである。
【0008】また、基板に、変形を容易とするための穴
または切欠きを形成することが好ましい。
【0009】前記掛止機構の一例は、固着ベース側の掛
止部材と機器本体部側の掛止部材とから構成され、両掛
止部材が、車体外面に沿って固着ベースが変形できる方
向へ相対的な移動余裕を有して嵌合しているものであ
る。
【0010】
【作用】上記手段では、内部にアンテナが収納されるな
どした機器本体部と、この機器本体部が掛止機構を介し
て固定される固着ベースとが別体に設けられ、固着ベー
スが車体外面に磁気吸着により固定されるものとなって
いる。しかも固着ベースは、変形可能な基板およびゴム
などを主体とする変形可能なマグネットシートとから構
成されている。この変形可能な基板およびマグネットシ
ートとから構成される固着ベースが車体外面に磁気吸着
されると、基板およびマグネットシートが車体外面の曲
面に沿って変形し、マグネットシートのほぼ全面が車体
外面に密着できる。特に基板に穴または切欠きを形成し
ておくと固着ベースが車体外面の曲面に合うように柔軟
に変形できるようになり、車体外面が曲率の小さい曲面
形状であってもマグネットシートの全面が確実に密着で
きるようになる。したがって充分な磁気吸着力により固
着ベースが車体外面に固着されることになる。
【0011】固着ベースが、基板とこの基板に固定され
たマグネットシートにより構成されているため、マグネ
ットシートがゴムを主体とした柔軟なものであっても、
基板を金属板や合成樹脂板で構成することにより、強度
をある程度高くできる。すなわち基板はマグネットシー
トを補強する機能を有し、また自らの弾性変形によりマ
グネットシートが車体外面の曲面に沿って変形するのを
妨げないように機能するものとなっている。掛止機構
は、固着ベースの基板と機器本体部との間に設けられ
る。基板は所定の強度(剛性)を有するものであるた
め、基板に機器本体部を固定することにより、機器本体
部を車体外面に対して充分な強度で取付けることが可能
になる。
【0012】また、車体外面の曲面の曲率が小さい場合
には、この車体外面に密着するマグネットシートと基板
とから成る固着ベースの変形量が大きくなる。掛止機構
は、この固着ベースの変形(基板の変形)が機器本体部
に直接伝達されない構造であることが好ましい。固着ベ
ースの変形力が機器本体部に直接伝達されないように構
成することにより機器本体部に歪みなどが与えられるの
を防止できる。
【0013】固着ベースの変形力が機器本体部に直接伝
達されない構造の掛止機構としては、例えば機器本体部
側の掛止部材と固着ベース側の掛止部材を、固着ベース
の変形を許容できる方向へ移動余裕を有して嵌合させる
ことにより実現できる。あるいは、固着ベースの中心部
の1箇所または数箇所にて、基板と機器本体部とを掛止
させる構造としてもよい。固着ベースの中心部でのみ機
器本体部を支持する構造とすると、その周囲の固着ベー
スは自由に変形することができ、しかもその変形力が機
器本体部に直接伝わることがなくなる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は、車載用機器の一例として車載用アンテナ
装置を示す分解斜視図、図2は、車載用アンテナ装置を
上部ケースを外した状態で示す平面図、図3は車載用ア
ンテナ装置の縦断面図である。車載用アンテナ装置は、
固着ベースAと、機器本体部Bと、固着ベースAに対し
て機器本体部Bを取付ける掛止機構Cとから構成されて
いる。この車載用アンテナ装置は、固着ベースAと掛止
機構Cとから構成される本発明の取付け装置が含まれた
ものとなっている。
【0015】固着ベースAは、基板1とマグネットシー
ト2とから構成されている。基板1は、薄い金属板や所
定肉厚の樹脂板などにより形成されて弾性変形可能とさ
れたものである。マグネットシート2は、例えばゴムや
合成ゴムなどの変形自在な材質を主体とした永久磁石
(ゴムマグネットシート)である。基板1とマグネット
シート2は、両面接着テープや接着剤などにより互いに
固定されている。基板1は所定直径の円形部1Aと、こ
の円形部1Aに連続する台形部1Bとを有する平面形状
であり、マグネットシート2も、基板1と同じ平面形状
である。上記のように基板1は弾性変形可能な板厚寸法
に形成されており、よって図3に示す所定曲率Rの車体
外面(ルーフ上面やトランクルーム上面)Dに沿って変
形できる。そのため、基板1に固定されたマグネットシ
ート2のほぼ全面が曲面形状の車体外面Dに密着できる
ものとなっている。
【0016】図1に示す実施例では、基板1に穴3およ
び穴4,4が形成され、基板1がさらに柔軟に変形しや
すいようになっている。穴3は円形部1Aのほぼ中央部
に形成されているものであり、楕円穴3aと、楕円穴3
aに連続して縦横方向に十字状に延びるスリット3b,
3bおよび3c,3cによって構成されている。穴4,
4は台形部1B内にて、台形部1Bの両側辺1C,1C
に沿う位置に形成されている。この穴4,4は、両側辺
1C,1Cに沿って延びる楕円穴4aと、この楕円穴4
aに連続して楕円の縦横方向へ十字状に延びるスリット
4b,4bと4c,4cとから構成されている。
【0017】基板1の円形部1Aの中心にy方向へ延び
る長い楕円穴3aを形成することにより、円形部1Aの
y軸回りの変形(α方向への変形)を容易にし、また、
x方向に長く延びるスリット3cを有することにより、
円形部1Aのx軸回りの変形(β方向への変形)を容易
にしている。さらに台形部1Bにて両側辺1C,1Cに
沿う方向に延びる楕円穴4a,4aが形成されているこ
とにより、台形部1Bのy軸回りの変形(α方向への変
形)を容易にしている。また2箇所の楕円穴4a,4a
を有することにより、台形部1Bのx軸回りの変形(β
方向への変形)も容易にしている。また上記穴3,4を
設けると共に、または穴3,4を設けることなく、基板
1の縁部から基板内方へ入り込む形状の切欠部を形成し
て、基板1の変形を容易にしてもよい。
【0018】上記の穴3,4を形成することにより、基
板1が弾性変形しやすくなり、車体外面Dの曲面の曲率
Rが小さい場合であっても、固着ベースAが車体外面D
に沿って変形しやすくなり、マグネットシート2が車体
外面Dに密着しやすくなる。ただし、基板1は弾性を有
しており、外力を与えない状態では、常に平面状態に維
持されるものとなっている。機器本体部Bは、下部ケー
ス11と上部ケース12を有している。両ケース11と
12は合成樹脂製である。両ケース11と12は図3ま
たは図5に示すように組み付けられ両ケースの縁部どう
しが嵌合する。下部ケース11と上部ケース12は弾性
嵌合により互いに固定され、またはねじ止めなどの手段
で固定される。なお、下部ケース11と上部ケース12
との接合部(嵌合部)には雨水の浸入を阻止する防水ゴ
ムなどが介装される。
【0019】下部ケース11と上部ケース12とが組み
合わされて形成された内部空間(イ)には、平板状のB
Sアンテナ30が内蔵されている。BSアンテナ30
は、平板ベース31の表面に多数のアンテナ素子32,
32,…が実装されたものであり、平板ベース31は、
軸33により内部空間(イ)内で回転自在に支持されて
いる。内部空間(イ)内にはステッピングモータが設け
られ、ステッピングモータにより駆動プーリ34が回転
駆動され、その回転力はベルト35を介して前記平板ベ
ース31に伝達される。BSアンテナ30は一定の方向
および仰角の指向性を有している。したがって、受信感
度を制御回路により処理し、これに基づいてステッピン
グモータを駆動して、平板ベース31を回転させること
により、常に受信感度が最良となる向きにBSアンテナ
30が向けられるようになる。下部ケース11の下面周
囲にはスカート部11aが形成されている。図3と図5
に示すように、機器本体部Bが固着ベースAに取り付け
られた状態のときに、固着ベースAは、スカート部11
aの中に入り込み、固着ベースAの外周縁部がスカート
部11aから外側へ突出しないものとなっている。
【0020】上記スカート部11aの内部は掛止空間
(ロ)となり、また下部ケース11内の台形部先端部分
は、固定空間(ハ)(図1参照)となっている。掛止機
構Cでは、掛止空間(ロ)内で、機器本体部Bが固着ベ
ースAにスライド掛止され、固定空間(ハ)において、
機器本体部Bが固着ベースAに固定される。掛止機構C
は、3箇所に設けられたスライド掛止部15,15,1
5と固定機構20とから構成されている。
【0021】スライド掛止部15は、基板1の円形部1
Aの中心からほぼ等距離の位置にて前記中心を回る12
0度の角度配置にて3箇所設けられている。各箇所のス
ライド掛止部15では、固着ベースA側の掛止部材とし
て掛止金具16が設けられている。掛止金具16は板金
材料により側面がクランク形状となるように曲げ形成さ
れたものであり、基板1にスポット溶接、かしめ、ねじ
止めなどの手段により固定されている。個々の掛止金具
16の上部片には、y2方向へ向けて開口する切欠部
(開放長穴)16aが形成されている。
【0022】図5と図6に示すように、スライド掛止部
15では、機器本体部B側の掛止部材として掛止突起1
7が設けられている。この掛止突起17は、下部ケース
11の下面に一体に突出形成されているものである。掛
止突起17の先端から掛止突起17内には雌ねじ穴17
aが形成されており、この掛止突起17にねじ18が螺
着されている。このねじ18の頭部18aは、掛止突起
17と共に掛止部材の一部を構成している。掛止突起1
7は円柱状であり、その断面直径は前記掛止金具16の
切欠部16aに入り込める寸法となっている。またねじ
18の頭部18aの直径は、切欠部16aの開口幅寸法
よりも大きい。したがって、図5(B)および図6に示
すように、掛止突起17が掛止金具16の切欠部16a
内に嵌合した状態で、機器本体部Bは固着ベースAから
離れないように掛止される。
【0023】図6に示すように、掛止突起17が掛止金
具16の切欠部16a内に嵌合した状態で、掛止金具1
6と下部ケース11の底面との間には移動余裕δ1が設
けられている。またねじ18の頭部18aが掛止金具1
6に密着した状態で頭部18aの先端と基板1との間に
移動余裕δ2が形成されている。したがって、図6の状
態で、固着ベースAと機器本体部Bは、前記移動余裕δ
2の寸法分だけ互いに動けるようになっている。通常
は、機器本体部Bの自重により頭部18aの先端が基板
1の上面に当たっており、その状態から機器本体部Bが
移動余裕δ2の寸法だけ基板1から離れることが可能と
なる。固定機構20には、固定金具21が設けられてい
る。図4に示すように、固定金具21の基端22は、基
板1の上面にスポット溶接、かしめ、ねじ止などの固定
手段で固定されている。固定金具21は弾性変形可能な
板厚寸法の金属板または合成樹脂板により形成され、基
板1に対しては基端22のみが固定されている。よって
基端22以外の部分は、図7(A)にて鎖線で示すよう
に、基板1から離れる方向へ弾性変形可能となってい
る。
【0024】基板1には切り起こし成形されたストッパ
片1D,1Dが設けられ、このストッパ片1D,1D
が、固定金具21の中間部分の上方に対向している。し
たがって、図7(A)に示すように、固定金具21はス
トッパ片1D,1Dに当たる位置まで上方へ変形可能と
なっている。すなわち固定金具21は、基板1に対して
寸法δ3だけ移動余裕を有していることになる。固定金
具21の先部は直角に折曲げられた固定片23となって
いる。この固定片23には両側部に切欠部24a,24
aが形成された細幅部24が設けられている。また固定
片23の先端には雌ねじ穴25が形成されている。
【0025】図4の上部には、下部ケース11の固定空
間(ハ)の部分の構造が示されている。固定空間(ハ)
の部分での下部ケース11の底面には、幅広穴26と幅
短穴27が連続して形成されている。固定片23が幅広
穴26内に挿入された時点で、機器本体部Bがy1方向
へ移動すると、固定片23に形成された細幅部24が幅
短穴27内に嵌合し、固定片23が幅短穴27から下方
へ抜け出ることができなくなる。固定空間(ハ)では、
下部ケース11の外周壁11bの内側に固定壁28が間
隔を開けて一体に形成されており、外周壁11bと固定
壁28を貫通する固定穴29が形成されている。図5
(B)に示すように、固定片23が固定壁28の内側に
当接した時点で固定穴29に外部から固定ねじ40が挿
入され、固定片23の雌ねじ穴25に螺着される。これ
により、固着ベースAと機器本体部Bとが相互に固定さ
れる。盗難防止機能を高めるために、上記固定ねじ40
として特殊ねじを使用することが好ましい。例えば固定
ねじ40の頭部40aに形成された工具嵌合溝を通常の
「−」形状や「+」形状とせず、星型やその他の異形状
とし、この嵌合溝にのみ嵌合できるレンチなどを付属品
としておく。よってこの特殊のレンチなどを使用しない
限り、固定ねじを弛める作業ができなくなる。
【0026】次に上記車載用アンテナ装置の取付けと取
り外し作業を説明する。車載用アンテナ装置を車体外面
D(ルーフ上面やトランクルーム上面など)に取付ける
ときには、機器本体部Bが固着ベースAから分離された
状態で、最初に固着ベースAのみを車体外面Dに固定す
る。固着ベースAは、基板1にマグネットシート2が固
定されたものであり、固着ベースAを車体外面Dに対し
位置決めしてそのまま車体外面Dに設置すると、マグネ
ットシート2の磁気吸着力により、固着ベースAが車体
外面Dに固着される。マグネットシート2は例えばゴム
を主体とした軟質なものであり、また基板1は弾性変形
可能な厚さ寸法の金属板または合成樹脂板であるので、
車体外面Dが曲面でまたその曲率Rが小さいものであっ
ても、固着ベースAが曲面に追従して変形し、その結
果、基板1に固定されているマグネットシート2のほぼ
全面が車体外面Dに密着できる。したがって強固な磁気
吸着力により固着ベースAが車体外面Dに固着される。
【0027】図示した実施例では、基板1に穴3および
穴4,4が形成されているので、基板1がα方向やβ方
向に湾曲変形しやすくなっている。したがって、車体外
面Dの曲面の曲率Rが小さくても、固着ベースAはこの
曲面に沿う状態に容易に変形し、マグネットシート2の
ほぼ全面が車体外面Dに密着できるようになる。次に、
機器本体部Bを固着ベースAの上に被せるようにして設
置する。このとき固着ベースAに対して機器本体部Bを
y2方向へやや位置をずらした状態で固着ベースA上に
降ろす。このとき図5(A)に示すように、固定機構2
0の固定金具21に折曲げ形成された固定片23が、下
部ケース11の底面の幅広穴26内を通過して固定空間
(ハ)に入り込む。このとき、スライド掛止部15の掛
止突起17は掛止金具16から離れている。
【0028】図5(A)の状態から、機器本体部Bをy
1方向へスライド移動させる。すると、図5(B)に示
すようにスライド掛止部15では、掛止突起17が掛止
金具16の切欠部16aに嵌合し、ねじ18の頭部18
aが掛止金具16の下側に入り込む。よって機器本体部
Bが固着ベースAから離れない掛止状態となる。また、
固定片23の細幅部24が、幅短穴27に入り込み、固
定片23が下部ケース11の固定壁28に当たる。この
とき固定ねじ40を固定穴29に挿入し固定片23の雌
ねじ穴25に螺着する。これにより、機器本体部Bが固
着ベースAに対してy2方向へ移動できなくなり、よっ
てスライド掛止部15の掛止金具16と掛止突起17と
が外れることがなく、機器本体部Bが固着ベースAに固
定される。
【0029】スライド掛止部15では、機器本体部Bを
固着ベースAに対してy2方向へずらすことによりその
掛止(嵌合)が解除されるが、固定機構20において固
定片23が固定壁28に密着した状態で固定ねじ40に
て固定されることにより、機器本体部Bが固着ベースA
に対してy2方向へ動けなくなる。すなわち固定機構2
0は、スライド掛止部15での掛止(嵌合)を解除する
方向への機器本体部Bの移動を阻止し、これにより、機
器本体部Bを固着ベースAに対して固定するものであ
る。機器本体部Bが固着ベースAに固定された状態で
は、3箇所のスライド掛止部15にて、機器本体Bと固
着ベースAとが掛止され、また1箇所の固定機構20に
おいて、固定片23が固定壁28に固定されている。こ
こで、図6に示すようにそれぞれのスライド掛止部15
において、掛止金具16と掛止突起17とがδ2の寸法
だけ移動余裕を有しており、また固定機構20では、図
7(A)に示すように、固定金具21がストッパ片1
D,1Dに当たるまでの弾性変形分だけ移動余裕δ3を
有している。
【0030】上記移動余裕δ2とδ3とが設けられてい
ることにより、固着ベースAが車体外面Dの曲面に沿っ
て湾曲変形していても、その変形力が機器本体部Bに直
接に作用しないものとなっている。例えば固着ベースA
が完全な平面の車体外面Dに磁気吸着されて固着されて
いる状態で、この固着ベースAに機器本体部Bが取り付
けられると、機器本体部Bの自重により図6に示すねじ
の頭部18aが基板1に当たってδ2がゼロになり、ま
た固定金具21も図7(A)にて実線で示す状態となり
δ3がゼロである。しかし、固着ベースAが車体外面D
の曲面に沿って変形すると、図3に示すように、その変
形状態に応じていずれかの部分、特に装置の縁部におい
て固着ベースAと機器本体部Bとの間隔が広がる。この
とき、いずれかの部分のスライド掛止部15にて図6に
示す移動余裕δ2分だけ、固着ベースAと機器本体部B
とが離れることができる。また固定機構20の部分では
固定金具21が変形し、図7(A)に示す移動余裕δ3
分だけ、機器本体部Bが固着ベースAから離れることが
できる。
【0031】スライド掛止部15と固定機構20とから
構成される掛止機構Cにおいて、掛止または嵌合または
弾性変形により前記移動余裕δ2とδ3が形成されてい
ることにより、固着ベースAが車体外面Dの曲面に沿っ
て変形しても、その変形力が機器本体部Bに直接作用せ
ず、よって機器本体部Bの下部ケース11および上部ケ
ース12の歪みや、内部に収納したアンテナまたはその
回転駆動機構などに悪影響が生じることがない。上記の
スライド掛止部15および固定機構20から成る掛止機
構Cにより、機器本体部Bが固着ベースAに固定される
と、特殊なレンチなどにより固定ねじ40を弛めない限
り、機器本体部Bを固着ベースAから分離できない。ま
た固着ベースAのマグネットシート2はある程度広い面
積で車体外面Dに磁気吸着されており、その磁気吸着力
はかなり強いものとなる。よって、機器本体部Bを掴ん
で上方(図3のF方向)へ引き上げても、マグネットシ
ート2が車体外面Dから容易に離れることはない。すな
わち、車体外面Dに固着ベースAが強固に磁気吸着さ
れ、さらに固着ベースAに対して機器本体部Bが外れな
いように固定掛止されているため、車体外面Dから車載
用アンテナ装置を容易に外すことができず、よって駐車
中などでの盗難を防止できる。
【0032】車載用アンテナ装置を車体外面Dから取り
外すときには、まず特殊なレンチなどを用いて固定ねじ
40を弛め、固定片23の雌ねじ穴25への螺着を解除
する。その結果、機器本体部Bを固着ベースAに対して
y2方向へスライド移動させることが可能になる。機器
本体部Bをy2方向へスライド移動させると、スライド
掛止部15での掛止金具16と掛止突起17との嵌合が
外れる。そのまま機器本体部Bを持ち上げれば、機器本
体部Bが固着ベースAから分離される。そして、車体外
面Dには固着ベースAのみが磁気吸着された状態にな
る。この実施例では、固定機構20での固定金具21か
ら折曲げられた固定片23が、固着ベースAを車体外面
Dから引き剥がすときの保持部として兼用されている。
この保持部となる固定片23を手で掴み、図7に示すf
a方向へ持ち上げることにより、マグネットシート2を
車体外面Dから引き剥がすことが可能になる。固定片2
3は固着ベースAの縁部に設けられているため、この固
定片23を持ち上げると、基板1とマグネットシート2
がfa方向へ少し変形し、マグネットシート2の(ホ)
で示す部分が車体外面Dから剥がれて持ち上げられる。
そのまま固定片23をfa方向へ持ち上げると、基板1
とマグネットシート2がfa方向へまくれあがるように
変形し、マグネットシート2が車体外面Dから徐々に剥
がれる。
【0033】このように、所定の面積を有するマグネッ
トシート2による磁気吸着では、固着ベースA全体を図
3にてFで示す方向へ持ち上げようとしても車体外面D
から容易に剥がれることがないが、固定片23を掴んで
fa方向へ持ち上げ、マグネットシート2を端部から徐
々にまくり上げるようにして持ち上げると、車体外面D
から容易に剥がすことができる。すなわち機器本体部B
が固着ベースAに取り付けられている状態では、固着ベ
ースAが機器本体部Bの下部ケース11のスカート部1
1aの内部に位置し、固着ベースAの周縁部がスカート
部11aの外側へ出ていない。よって固着ベースAの縁
部を掴んで徐々に剥がすという操作は不可能である。こ
のとき機器本体部Bを図3にFで示す方向へ引っ張って
も、マグネットシート2のほぼ全面が車体外面Dに磁気
吸着されているために、容易に車体外面Dから剥がすこ
とができない。一方、機器本体部Bが固着ベースAから
取り外された状態では、固着ベースAの縁部を掴むこと
ができ、しかも固定片23により容易に掴んで持ち上げ
ることができるため、機器本体部Bを外した状態でのみ
固着ベースAの引き剥がし操作が可能となっている。よ
って、盗難を防止でき、また車体外面Dへの取付けと取
り外しは非常に簡単である。
【0034】特に図の実施例では、固着ベースAの幅寸
法の小さい部分である台形部1Bの先端に固定片23が
設けられているため、この部分を固定片23により持ち
上げることにより(ホ)で示す部分からマグネットシー
ト2を剥がしやすい構造となっている。また、上記実施
例では基板1に穴3,4を設けることにより、基板1の
強度が高くしかも変形容易なものとなっている。ただし
基板1を弾性変形の容易な肉厚寸法にすれば、穴3,4
などを必ずしも設けなくても、車体外面の曲面に沿って
固着ベースが変形しやすいものとなる。なお、上記実施
例では、取付け装置により固着ベースAに掛止固定され
る機器本体部BがBSアンテナを内蔵するものとなって
いるが、機器本体部がGPSアンテナなどの他種のアン
テナを有するものであってもよい。またはアンテナ装置
以外の例えば種々のスポーツ用具を格納または搭載する
キャリアなどの車載用機器を車体外面に設置する場合に
も適用可能である。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明では、機器本体部が
掛止機構により取り付けられる固着ベースが設けられ、
この固着ベースが車体外面に沿って変形できるようにな
り、この変形によりマグネットシートのほぼ全面が車体
外面に磁気吸着されるものとなっている。よって車体外
面が曲面形状であっても、固着ベースが充分な磁気吸着
力により固着され、機器本体部を車体外面に確実に固定
できるようになる。
【0036】また、基板に穴または切欠きを形成するこ
とにより、基板がさらに変形しやすくなり、車体外面の
曲面の曲率が小さくても、固着ベースを車体外面の曲面
に沿って確実に密着させることができる。
【0037】また固着ベースに機器本体部を固定する掛
止機構に、固着ベースの変形を許容する移動余裕を有す
る嵌合部を設けることにより、固着ベースが車体外面の
曲面に沿って変形しても、その変形力が機器本体部に直
接に作用しなくなり、機器本体部に歪みや余分な応力が
作用するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車載用機器の一例として車載用アンテ
ナ装置を示す分解斜視図、
【図2】図1に示す車載用アンテナ装置の上部ケースを
外した状態を示す平面図、
【図3】車載用アンテナ装置の縦断面図、
【図4】固定機構を示す部分斜視図、
【図5】スライド掛止部および固定機構の動作を示すも
のであり、(A)はスライド掛止前、(B)は掛止後を
示す、
【図6】スライド掛止部の部分拡大側面図、
【図7】(A)は固定機構の固定金具の変形状態を示す
部分側面図、(B)は固着ベースを引き剥がす操作を示
す部分側面図、
【符号の説明】
A 固着ベース B 機器本体部 C 掛止機構 D 車体外面 R 曲率 1 基板 1D ストッパ片 2 マグネットシート 3,4 穴 11 下部ケース 11a スカート部 12 上部ケース 15 スライド掛止部 16 掛止金具 16a 切欠部 17 掛止突起 18 ねじ 20 固定機構 21 固定金具 23 固定片 25 雌ねじ穴 28 固定壁 29 固定穴 30 BSアンテナ 40 固定ねじ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体外面に磁気吸着される固着ベース
    と、固着ベースに機器本体部を固定する掛止機構とを有
    し、前記固着ベースはマグネットシートと、このマグネ
    ットシートが固定された基板とから構成され、マグネッ
    トシートおよび基板が、車体外面の曲面に沿って変形可
    能な材料により形成され、マグネットシートのほぼ全面
    が車体外面に密着可能とされたことを特徴とする車載用
    機器の取付け装置。
  2. 【請求項2】 基板には、変形を容易とするための穴ま
    たは切欠きが形成されている請求項1記載の車載用機器
    の取付け装置。
  3. 【請求項3】 掛止機構は、固着ベース側の掛止部材と
    機器本体部側の掛止部材とから構成され、両掛止部材
    は、車体外面に沿って固着ベースが変形できる方向へ相
    対的な移動余裕を有して嵌合している請求項1または2
    記載の車載用機器の取付け装置。
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