JPH0877937A - カラー陰極線管とその製造方法 - Google Patents

カラー陰極線管とその製造方法

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JPH0877937A
JPH0877937A JP24072794A JP24072794A JPH0877937A JP H0877937 A JPH0877937 A JP H0877937A JP 24072794 A JP24072794 A JP 24072794A JP 24072794 A JP24072794 A JP 24072794A JP H0877937 A JPH0877937 A JP H0877937A
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electron beam
thin film
mask
ray tube
color
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JP24072794A
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Yukio Ito
幸雄 伊東
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Original Assignee
Sony Corp
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蛍光面に白黒むらが生じないように蛍光面の
品質を確保しつつ必要なミスランディングアロアランス
を確保して色ズレの生じるおそれをなくす。 【構成】 電子ビーム遮断薄膜形成前における色選別手
段たるアパーチャーグリル(マスク)1を露光用マスク
として用いて蛍光面形成、特にカーボンストライプ形成
のためのレジストの露光を行い、その後、そのマスク1
に電子ビーム遮断薄膜4を形成し、そして、そのマスク
1をカラー陰極線管に色選別手段として組付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラー陰極線管とその
製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】通常、カラー陰極線管のパネル内面の蛍光
面、例えば赤、緑、青の各蛍光体ストライプ間にブラッ
クストライプ(光吸収層)を形成したストライプ型のカ
ラー蛍光面は次のように形成される。先ず、パネル内面
に感光性レジスト膜を塗布形成し、例えば、アパーチャ
グリル(スリット状のビーム透過孔が所定ピッチで多数
配列された色選択電極)を露光用マスクとして用いて紫
外線により露光し、現像することにより各色に対応した
位置に多数のストライプ状のレジスト層を形成する。こ
の露光処理はそれぞれ赤、緑、青の光源位置に対応する
ように露光光源の位置をずらして3回行う。
【0003】次に、上記レジスト層を含む全面にカーボ
ンスラリーを塗布形成し、該レジスト層と共にその上の
カーボン膜をリフトオフすることにより、カーボンスト
ライプを形成する。その後、例えば緑の蛍光体スラリー
を塗布し、露光、現像により所定のカーボンストライプ
間に緑蛍光体ストライプを形成し、以後、同様にして、
青、赤の蛍光体ストライプを順次形成する。これにより
蛍光面が完成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
露光方法には、アパーチャーグリルのスリットを通過し
た露光光線のレジスト膜上における水平方向(水平走査
方向)の光強度分布I(x)[Iは光強度、xは水平方
向における位置]パターンの不溶化ラインをよぎる部分
における傾きが小さく、その結果、カーボンストライプ
のパターンがきれいな直線にならず、白黒むらが生じる
という問題があった。図3はそのような問題点を示す露
光光線の水平方向における光強度分布I(x)の曲線図
である。この問題についてより詳細に説明すると次の通
りである。
【0005】図3において例えば実線で示すような光強
度分布曲線を有し、光強度Itがレジストの不溶化ライ
ン(レジスト膜が感光するか否かの境界となるライン)
であるとすると、光強度分布曲線のその不溶化ラインI
tをよぎる部分における傾きの絶対値が小さく、露光量
(露光エネルギー)の僅かな不均一、レジストの感光性
の僅かな不均一により、そのレジスト膜の露光、現像に
より形成されるカーボンストライプのガードパターンが
シャープな直線にならず、がたがたした例えば波型形状
になってしまう。そして、カーボンストライプのガード
パターンががたがたすると白黒むらが生じ、画質向上の
妨げになるので問題となるのである。マクロ的に視ると
カーボンストライプがむら状に見えてしまうのである。
【0006】ところで、その露光用光線のマスク開口を
通った光の強度分布I(x)の不溶化ラインItをよぎ
るところにおける傾きが、ガードパターンのがたがたを
生じにくくする度合いとなり、それは、|[1/I
(x)]・[∂I(x)/∂x]|x=xoで表すことがで
きる。ここで、そのように表すことができる理由につい
て説明する。元来、光強度分布I(x)は、パネル内面
上の局所座標x以外に、光源となる超高圧水銀灯(波長
例えば0.365μm)のランプ内径、ランプの光強
度、ランプの持つ光強度分布、使用される露光台の寸
法、使用されるランディング補正レンズ系によるパネル
への紫外線の入射角、マスクの開口幅、マスクとパネル
との相対距離、即ち、Gハイト(GH)等に依存して決
まることから、光強度分布I(x)を局所座標xでのみ
微分し、他の全てのパラメータを固定することとしたの
で∂I(x)/∂xという偏微分式が得られた。そし
て、この偏微分式により一般性を持たせるために、この
式に1/I(x)を乗じて光強度Iに対して正規化を図
ると[1/I(x)]・[∂I(x)/∂x]という式
が得られるのである。
【0007】更に、光強度分布I(x)は中心軸(Y
軸)に対して左側の部分では右上がりになり、傾きが正
の値になるのに対して、右側の部分では右下がりにな
り、傾きが負の値になる不都合があることからその式の
絶対値を求めることとしたのであり、その結果、上記式
|[1/I(x)]・[∂I(x)/∂x]|が得られ
たのである。さらに、不溶化ラインItとI(x)の交
点座標は±xoであり、従って、具体的な数値としては
|[1/I(x)]・[∂I(x)/∂x]|x=xoによ
り得られる。そして、これを本明細書においてコントラ
スト係数と称することとする。言わずもがななことであ
るが、この値が大きいほど上述したカーボンストライプ
のガードパターンのがたがたが生じにくくなるのであ
り、従って、このガードパターンのがたがたを生じにく
くするためにはコントラスト係数の値を大きくすること
が好ましいのである。
【0008】ところで、コントラスト係数|[1/I
(x)]・[∂I(x)/∂x]|x= xoは、アパーチャ
ーグリルのピッチが大きくなる程、アパーチャーグリル
の透過率が大きくなる程、白面積率が大きくなる程、ア
パーチャーグリルへのビーム入射角が小さくなる程、従
って見かけ上のスリット幅が大きくなる程、グリルハイ
トGHが小さくなる程、大きくなる。かかることから次
のことが言える。グリルハイトGHを小さくするとコン
トラスト係数を大きくできるが、しかし、これは電子銃
(ガン)とアパーチャーグリル等との関係で自ずと決定
され、コントラスト係数をよくするために徒らに小さく
することは許されない。また、一般的にアパーチャーグ
リルのスリットへの入射角が大となる左右両端部は、見
かけ上のスリット幅が小さくなる関係上センター部より
コントラスト係数が小さくなるので、図4に示すよう
に、画面のコーナー部において黒っぽくもやもやしたむ
ら状の部分ができる。
【0009】そこで考えられるのが、アパーチャーグリ
ルの透過率、画面の白面積率を大きくすることである。
というのは、これを大きくすることは、上記コントラス
ト係数|[1/I(x)]・[∂I(x)/∂x]|
x=xoを大きくすることに繋がり、また、輝度の向上にも
繋がるからである。しかし、これはミスランディングア
ロアランスMLAを小さくすることに繋がり、徒に大き
くすることは許されないのである。ここで、ミスランデ
ィングアロアランスMLAについて図5に従って説明す
る。
【0010】アパーチャーグリルのスリットを通過した
電子ビームの中心と、狙っている蛍光体ストライプの中
心とのズレ量をミスランディング量MLといい、そのミ
スランディング量MLの許容量をミスランディングアロ
アランスMLAというのである。ミスランディング量M
Lは、作動環境温度、地磁気等の影響を受けて変動し、
ミスランディングアロアランスMLAよりも小さい場合
には問題がないが、逆に大きい場合には色ズレという謂
わば致命的な欠陥状態が発生する。従って、ミスランデ
ィング量MLのばらつきを小さくすることが必要である
が、しかし、それを小さくすることには限界がある。従
って、ミスランディングアロアランスMLAを大きくす
ることが必要となり、そのため、ミスランディングアロ
アランスMLAを小さくすることに繋がるアパーチャー
グリル透過率、白面積率の増加は制約されてしまうので
ある。
【0011】従って、上述したコントラスト係数を大き
くして白黒むらを生じにくくすることと、ミスランディ
ングアロアランスMLAを大きくして色ズレを生じない
ようにすることとは二律背反の関係にあった。そして、
この二律背反の関係のために白黒むらを生じにくくしつ
つ色ズレをなくすことは従来非常に難しかった。下記の
表1は、マスクピッチPが0.3mmのアパーチャーグ
リルを用いたカラー陰極線管についての二つのケース
A、B(ケースAは蛍光面品質がよいがランディングが
悪く色ズレのおそれのある場合であり、ケースBはラン
デンィングの面では問題がなく色ズレのおそれがないが
蛍光面品質の悪い場合である。)を比較して示すもの
で、この表1からミスランディングアロアランスMLA
を大きくすることとコントラスト係数を大きくすること
を両立することの困難性が解る。尚、表1におけるコン
トラスト係数は画面のコーナー部におけるコントラスト
係数である。
【0012】
【表1】
【0013】尚、上記表1において、Pはアパーチャー
グリルのスリットの配置ピッチ、GHはグリルハイト、
LTはアパーチャーグリルの透過率(SW/P)、SW
はアパーチャーグリルのスリット幅、Wは白面積率(レ
ジスト膜上における露光光線により露光される面積の割
合)である。ちなみに、コントラスト係数|[1/I
(x)]・[∂I(x)/∂x]|X= xoは0.24×1
-1がボーダーラインであり、ケースAの場合は0.3
5×10-1なので、白黒むらがなく蛍光面品質が良い。
しかし、ケースBの場合は0.20×10-1なので必要
な値に足りず、白黒むらがカラー陰極線管画面のコーナ
ー部に生じる。
【0014】また、ミスランディングアロアランスML
Aは、40.0μmがボーダーラインとなり、ケースA
の場合はそれが37.5μmなので小さすぎ色ズレが生
じるおそれがあるのに対してケースBの場合は41.9
μmでランディング品質の面では問題がない。尚、従来
においては白黒むらをなくす為の技術開発は行われ、そ
の成果の一部が例えば特公平4−51928号公報によ
り紹介されている。しかし、コントラスト係数を大きく
して白黒むらを生じにくくすることと、ミスランディン
グアロアランスMLAを大きくして色ズレを生じないよ
うにすることとの両方を実現することについての技術的
提案は未だ為されていない。
【0015】そこで、本願発明者はその実現を図るべく
思索を重ねた結果、アパーチャーグリルの透過率に着目
し、蛍光面形成のための露光を行うときと、カラー陰極
線管の完成時におけるときとでその透過率を変えること
によりミスランディングアロアランスMLAとコントラ
スト係数の両方を好ましい値にするという着想を得た。
そして、それを、露光処理を終えたアパーチャーグリル
に対して電子ビームを遮断する膜を形成してスリット幅
を小さくすることにより透過率を小さくすることで実現
するという着想を得た。
【0016】即ち、アパーチャーグリルは蛍光面の形成
のための露光に際し上述した白黒むらの生じないように
コントラスト係数を充分な大きさになるようにする。例
えば、ケースAのようにスリット幅SWを75μmにす
ると、蛍光面品質は良好である。そして、アパーチャー
グリルを露光用のマスクとして使用し終えたらそのスリ
ット幅SWをケースBのように67μmに狭めこれをカ
ラー陰極線管に組み込むと完成品におけるアパーチャー
グリルのスリット幅SWは67μmとなり、ミスランデ
ィングアロアランスMLAは充分に大きくでき、色ずれ
は防止できるのである。そして、このようなスリット幅
SWの切換をアパーチャーグリルの表面に電子ビームを
遮断する電子ビーム遮断薄膜を形成することにより行う
という着想を得て本発明を完成するに至ったのである。
【0017】しかして、本発明は、蛍光面に白黒むらが
生じないように蛍光面の品質を確保しつつ必要なミスラ
ンディングアロアランスを確保して色ズレの生じるおそ
れをなくすことを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1のカラー陰極線
管は、色選別手段であるマスクに、その開口幅を狭める
電子ビーム遮断薄膜が形成してなることを特徴とする。
請求項2のカラー陰極線管は、請求項1記載のカラー陰
極線管において、電子ビーム遮断薄膜が鉄Feよりも原
子番号の小さな物質又はこれを含んだ酸化物からなるこ
とを特徴とする。
【0019】請求項3のカラー陰極線管は、請求項1記
載のカラー陰極線管において、電子ビーム遮断薄膜がカ
ーボンからなることを特徴とする。請求項4のカラー陰
極線管の製造方法は、請求項1、2又は3記載のカラー
陰極線管を製造する方法であって、電子ビーム遮断薄膜
形成前における色選別手段たるマスクを用いて蛍光面形
成のためのレジストの露光を行い、その後、そのマスク
に電子ビーム遮断薄膜を形成してカラー陰極線管に色選
別手段として組付けることを特徴とする。
【0020】
【作用】請求項1のカラー陰極線管によれば、色選別手
段たるマスクの開口幅が電子ビーム遮断薄膜により狭め
られているので、電子ビーム遮断薄膜の形成前における
マスクを用いて蛍光面形成のための露光をした場合にお
ける開口幅よりも製品完成時における開口幅が狭くな
る。従って、露光におけるコントラスト係数が大きいに
も拘らずミスランディングアロアランスを大きくするこ
とができる。依って、蛍光面に白黒むらが生じないよう
に蛍光面の品質を確保しつつ必要なミスランディングア
ロアランスを確保して色ズレの生じるおそれをなくすこ
とができる。
【0021】請求項2のカラー陰極線管によれば、電子
ビーム遮断薄膜がマスク材料として多く用いられる鉄F
eよりも原子番号の小さな物質或いはこれを含む酸化膜
からなるので、電子に対する後方散乱確率(吸収率の逆
の量)や二次電子放出量が小さい。従って、電子ビーム
遮断薄膜による電子ビームの反射が少なくて済み、色純
度やコントラストの低下が少なくて済む。請求項3のカ
ラー陰極線管によれば、電子ビーム遮断薄膜がカーボン
からなり、カーボンは特に電子に対する後方散乱確率
(吸収率の逆の量)や二次電子放出量が小さいので、電
子ビーム遮断薄膜による電子ビームの反射が少なくて済
み、色純度やコントラストの低下が非常に少なくて済
む。
【0022】請求項4のカラー陰極線管の製造方法によ
れば、電子ビーム遮断薄膜形成前におけるマスクを用い
て蛍光面形成のためのレジストの露光を行い、その後、
そのマスクに電子ビーム遮断薄膜を形成するので、電子
ビーム遮断薄膜の形成前におけるマスクを用いて蛍光面
形成のための露光をした場合における開口幅よりも製品
完成時における開口幅が狭くなる。従って、露光におけ
るコントラスト係数が大きいにも拘らずミスランディン
グアロアランスを大きくすることができる。依って、蛍
光面に白黒むらが生じないように蛍光面の品質を確保し
つつ必要なミスランディングアロアランスを確保して色
ズレの生じるおそれをなくすことができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明カラー陰極線管とその製造方法
を図示実施例に従って詳細に説明する。図1(A)、
(B)は、本発明カラー陰極線管の色選別手段たるアパ
ーチャーグリルを示すもので、(A)は電子ビーム遮断
薄膜形成前における状態を、(B)は電子ビーム遮断薄
膜形成後における状態を示す。1はアパーチャーグリ
ル、2はグリルテープ、3はスリットである。
【0024】図1(A)に示すところの電子ビーム遮断
薄膜形成前におけるアパーチャーグリルは、例えば、ピ
ッチ(P)が0.3mm(300μm)、グリルハイト
(GH)が5.5mm、スリット幅(SW)が75μ
m、白面積率(W)が50%、透過率(LT=SW/
P)が0.25である。これは、表1のケースAと同じ
である。そして、このようなアパーチャーグリルを露光
用マスクとして用いてカーボンストライプ形成のための
レジスト露光を行った場合、前述のように画面のコーナ
ー部におけるコントラスト係数|[1/I(x)]・
[∂I(x)/∂x]|x= xoが0.35×10-1とな
り、限界コントラスト係数の0.24よりも相当に大き
い。従って、前述のように蛍光面品質の面では問題がな
い。即ち、白黒むらができないのである。
【0025】ちなみに、図2は、5種類のピッチPのア
パーチャーグリルについてカーボンストライプ形成のた
めの露光に関する実験を行い、白黒むらの発生状況と、
コントラスト係数の関係を調べて得たところの、ピッチ
Pが0.25mmの場合の限界コントラスト係数が0.
03、ピッチPが0.3mmの場合の限界コントラスト
係数が0.024、ピッチPが0.06mmの場合の限
界コントラスト係数が0.0105、ピッチPが0.7
3mmの場合の限界コントラスト係数が0.006、ピ
ッチPが0.9mmの場合の限界コントラスト係数が
0.0036となるという結果に基づいて、その限界コ
ントラスト係数とピッチとの関係を示したものである。
従って、図2の曲線よりも上側のエリアからマスクピッ
チに対するコントラスト係数を選ぶ必要がある。
【0026】ところで、図1(A)に示すアパーチャー
グリルをそのままカラー陰極線管の色選別手段として用
いたとしたら、前述の通り、ミスランディングアロアラ
ンスMLAが37.5μmにしかならず、ML(ミスラ
ンディング)のばらつきが±3σ程度あるとして色ズレ
防止に最小限必要な40μmよりも小さくなり、従っ
て、ランディング品質が不充分となることとなる。そこ
で、蛍光面形成のための露光にマスクとして用いた後
は、図1(B)に示すように、アパーチャーグリル1の
表面に厚さ例えば4μm程度の例えばカーボンからなる
電子ビーム遮断薄膜4を形成する。すると、スリット幅
は8μm小さくなるので、75μmから67μmにな
る。それに伴って、透過率は0.25から0.22にな
る。このように、スリット幅が67μm、透過率が0.
22となると、ケースBの場合と同様に、ミスランディ
ングアロアランスMLAは41.9μmになり、色ズレ
防止に最小限必要な40μmよりも大きくなる。従っ
て、ミスランディングを防止し、延いては、ミスランデ
ィングによる色ズレを防止することができる。
【0027】上記カーボンによる電子ビーム遮断薄膜4
の形成は、平均粒径例えば1.5μm程度の鱗片状の黒
鉛Cを水で溶かしたものをスプレー塗布することにより
行うことができる。更に、電子ビーム遮断薄膜の強度を
上げるために、その黒鉛を水に溶かしたものに水ガラス
Na2 O・nSiO2 等を加えるようにしても良い。こ
のようなカーボンを用いた電子ビーム遮断薄膜4は電子
反射が小さく、二次電子放射も少ないので、電子ビーム
の反射による色純度、コントラストの低下を防止するこ
とができる。この点について説明すると、図1(B)に
示すように、各スリット3の両内側面に電子ビーム遮断
薄膜4を形成した場合、アパーチャーグリル1の持つ各
スリット3のエッジのシャープさが取れる。即ち、スリ
ット3のエッジがスムージングされてしまう。すると、
その電子ビーム遮断薄膜4による電子ビームの反射が生
じ、これが多いと色純度が低下し、コントラストが低下
する。そのため、電子ビーム遮断薄膜4として、電子に
対する後方散乱確率、二次電子放出率の小さな材質のも
の、少なくともアパーチャーグリル1の材料として用い
られる鉄Feと比較して小さなものを用いることが好ま
しいのである。
【0028】尚、カーボンに代えてアルミニウムAlあ
るいはシリコンSiを用いて溶液をつくり、これを塗布
して電子ビーム遮断薄膜4を形成するようにしても良
い。また、銅Cu、クロムCr等をメッキすることによ
り電子ビーム遮断薄膜4を形成するようにしても良い。
また、カーボンC、アルミニウムAl、シリコンSi、
チタンTi、バナジウムV、クロムCr又は鉄Feのス
パッタにより電子ビーム遮断薄膜4を形成するようにし
ても良い。更には、SiO2 のみからなる膜を、例えば
アルコラートシリカの塗布と、焼成により形成してこの
膜をもって電子ビーム遮断薄膜4とするようにしても良
い。一般的に、鉄Feよりも原子番号の小さな物質、又
はそのような物質を含む膜は電子に対する後方散乱確
率、二次電子放出率が鉄Feと比較して小さく、電子ビ
ーム遮断薄膜4に好適である。尚、電子ビーム遮断薄膜
4は、各スリット3の両内側面に形成されているが、片
側の内側面に形成しても必要な値スリット幅SWを狭く
することができるのであれば、必ずしも各スリット3の
両内側面に形成する必要がない。
【0029】このように電子ビーム遮断薄膜4の形成後
そのアパーチャーグリル1をカラー陰極線管に色選別手
段として取り付けるのである。しかして、本カラー陰極
線管の製造は、電子ビーム遮断薄膜形成前における色選
別手段たるマスクを用いて蛍光面形成のためのレジスト
の露光を行い、その後、そのマスクに電子ビーム遮断薄
膜を形成してカラー陰極線管に色選別手段として組付け
る(具体的には蛍光面パネルに組み付ける)ことにより
行われるので、電子ビーム遮断薄膜の形成前におけるマ
スクを用いて蛍光面形成のための露光をしたときにおけ
る開口幅よりも製品完成時における開口幅が狭くなり、
露光におけるコントラスト係数を大きくしつつミスラン
ディングアロアランスMLAを大きくすることができ
る。依って、本カラー陰極線管の製造方法によれば、蛍
光面に白黒むらが生じないように蛍光面の品質を確保し
つつ必要なミスランディングアロアランスを確保して色
ズレの生じるおそれをなくすことができるのである。
尚、本発明はアパーチャーグリルの如きスリットマスク
を用いたカラー陰極線管に限らずドットマスクあるいは
スロットルマスクを用いたカラー陰極線管にも適用する
ことができる。
【0030】
【発明の効果】請求項1のカラー陰極線管によれば、色
選別手段たるマスクの開口幅が電子ビーム遮断薄膜によ
り狭められているので、電子ビーム遮断薄膜の形成前に
おけるマスクを用いて蛍光面形成のための露光をした場
合における開口幅よりも製品完成時における開口幅が狭
くなる。従って、露光におけるコントラスト係数が大き
いにも拘らずミスランディングアロアランスを大きくす
ることができる。依って、蛍光面に白黒むらが生じない
ように蛍光面の品質を確保しつつ必要なミスランディン
グアロアランスを確保して色ズレの生じるおそれをなく
すことができる。
【0031】請求項2のカラー陰極線管によれば、電子
ビーム遮断薄膜がマスクとして多く用いられる鉄Feよ
りも原子番号の小さな物質或いはこれを含む酸化膜から
なるので、電子に対する後方散乱確率(吸収率の逆の
量)や二次電子放出量が小さく、従って、電子ビーム遮
断薄膜による電子ビームの反射が少なくて済み、色純度
やコントラストの低下が少なくて済む。請求項3のカラ
ー陰極線管によれば、電子ビーム遮断薄膜がカーボンか
らなり、カーボンは特に電子に対する後方散乱確率(吸
収率の逆の量)や二次電子放出量が小さいので、電子ビ
ーム遮断薄膜による電子ビームの反射が少なくて済み、
色純度やコントラストの低下が非常に少なくて済む。
【0032】請求項4のカラー陰極線管の製造方法によ
れば、電子ビーム遮断薄膜形成前におけるマスクを用い
て蛍光面形成のためのレジストの露光を行い、その後、
そのマスクに電子ビーム遮断薄膜を形成するので、電子
ビーム遮断薄膜の形成前におけるマスクを用いて蛍光面
形成のための露光をした場合における開口幅よりも製品
完成時における開口幅が狭くなる。従って、露光におけ
るコントラスト係数が大きくしつつミスランディングア
ロアランスを大きくすることができる。依って、蛍光面
に白黒むらが生じないように蛍光面の品質を確保しつつ
必要なミスランディングアロアランスを確保して色ズレ
の生じるおそれをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)は本発明カラー陰極線管の一つ
の実施例を示すアパーチャーグリルの断面図で、(A)
は電子ビーム遮断薄膜形成前の状態を、(B)は電子ビ
ーム遮断薄膜形成後の状態を示す。
【図2】マスクピッチと限界コントラスト係数の関係図
である。
【図3】(A)、(B)は発明が解決しようとする問題
点を説明するためのもので、(A)はマスク開口を通過
した露光用光線の光強度分布曲線図、(B)は露光等の
処理を経て形成されたカーボンストライプの平面図であ
る。
【図4】画面の白黒むらのできる部分を示す画面図であ
る。
【図5】ミスランディングアロアランスの説明図であ
る。
【符号の説明】
1 アパーチャーグリル(マスク) 3 スリット(開口) 4 電子ビーム遮断薄膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色選別手段であるマスクに、その開口幅
    を狭める電子ビーム遮断薄膜が形成されたことを特徴と
    するカラー陰極線管
  2. 【請求項2】 電子ビーム遮断薄膜が鉄Feよりも原子
    番号の小さな物質又はこれを含んだ酸化物からなること
    を特徴とする請求項1記載のカラー陰極線管
  3. 【請求項3】 電子ビーム遮断薄膜がカーボンからなる
    ことを特徴とする請求項1記載のカラー陰極線管
  4. 【請求項4】 電子ビーム遮断薄膜形成前におけるマス
    クを蛍光面形成露光用マスクとして用いて蛍光面形成の
    ためのレジストの露光を行い、 その後、そのマスクを、それに電子ビーム遮断薄膜を形
    成して色選別手段としてカラー陰極線管に組み付けるこ
    とを特徴とする請求項1、2又は3記載のカラー陰極線
    管の製造方法
JP24072794A 1994-09-07 1994-09-07 カラー陰極線管とその製造方法 Pending JPH0877937A (ja)

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JP24072794A JPH0877937A (ja) 1994-09-07 1994-09-07 カラー陰極線管とその製造方法

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