JPH087116B2 - 自動採水器 - Google Patents

自動採水器

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JPH087116B2
JPH087116B2 JP22370893A JP22370893A JPH087116B2 JP H087116 B2 JPH087116 B2 JP H087116B2 JP 22370893 A JP22370893 A JP 22370893A JP 22370893 A JP22370893 A JP 22370893A JP H087116 B2 JPH087116 B2 JP H087116B2
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弘毅 掘越
毅 長沼
正憲 許
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海洋科学技術センター
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、周囲環境と温度差のあ
る試料水、例えば、深海熱水噴出域における試料水等を
自動的に採水するための自動採水器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、深海熱水噴出域における
試料水を採水する方法としては、潜水調査船や無人探査
機により採水器を海底まで運搬し、採水口をマニピュレ
ータで熱水中に保持しながら、採水者が機械的信号を送
り、バネやゴム等を作動させる機械的な力による方法
や、採水者が電気的信号を送り、潜水船搭載電池や外部
電源によりポンプを駆動させる方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の採水器においては、熱水の噴出位置が絶えずゆらい
でいるため、採水口を熱水中に保持することが困難であ
り、所望の純粋な試料水を確実に採水することができな
いという問題を有している。また、機械的或いは電気的
な方法により採水するために、採水器の構造および開閉
弁の制御が複雑になり、重量が増加すると共に、採水器
の減菌が困難になり、試料を無菌状態で採水することが
困難であるという問題を有している。
【0004】本発明は、上記問題を解決するものであっ
て、周囲環境と温度差のある試料水の存在を形状記憶合
金により自動的に検出し、その温度差エネルギーを動力
源として自動的に採水することができる自動採水器を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そのために本発明の請求
項1に記載の自動採水器は、弾性材料で形成されるサン
プルバッグ2と、サンプルバッグ2内に配設される形状
記憶合金からなるバネ3と、サンプルバッグ3に逆止弁
5を介して接続される採水口6とを備え、バネ3の伸縮
により周囲と温度差のある試料水を吸入可能にすること
を特徴とする。
【0006】また、本発明の請求項2に記載の自動採水
器は、採水部12と、採水部12内に移動自在に嵌合さ
れるピストン15と、ピストン15により区画形成され
る採水室17と、採水室17に配設される形状記憶合金
からなる第1のバネ3と、採水17室に三方切換弁18
を介して接続される採水口6およびサンプルバッグ2
と、三方切換弁18内に配設される弁体23を移動させ
るための形状記憶合金からなる第2のバネ25とを備
え、第1および第2のバネ3、25の伸縮により周囲と
温度差のある試料水を吸入可能にすることを特徴とす
る。なお、上記構成に付加した番号は、本発明の理解を
容易にするために図面と対比させるためのもので、これ
により本発明の構成が何ら限定されるものではない。
【0007】
【作用】本発明においては、例えば図1に示すように、
採水口6を熱水中に保持すると、熱水の高温により形状
記憶合金からなるバネ3が伸張し、サンプルバッグ2内
に熱水が自動的に吸入され、採水が終了した自動採水器
1は、回収される途中で冷水に接触され、形状記憶合金
からなるバネ3が収縮するが、逆止弁5によりサンプル
バッグ2内の試料水が漏れることはない。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。図1は、本発明における自動採水器の1実施例
を示す模式図であり、図(A)は採水前の状態、図
(B)は採水状態、図(C)は保管状態を示す図であ
る。なお、以下の説明では、深海熱水噴出域における試
料水の採水について説明するが、深海に限定されるもの
ではなく、また、冷水の採水にも適用可能である。
【0009】図(A)において、本実施例における自動
採水器1は、高圧蒸気減菌が可能で弾性材料である例え
ばフッ素系の樹脂材料からなるサンプルバッグ2と、サ
ンプルバッグ2内に配設される形状記憶合金からなるバ
ネ3と、サンプルバッグ2に接続されるセルフシール継
手4、逆止弁5及び採水口6からなり、サンプルバッグ
2内を採水部としている。
【0010】各部材はいずれも高圧蒸気減菌が可能な材
料を使用する。サンプルバッグ2は、最大採水量に対し
てその変形量に余裕をもたせ、深海試料水の回収に際し
て減圧に伴う試料水の体積増加に対処させるようにす
る。また、形状記憶合金からなるバネ3は、所望の温度
特性を有する形状記憶合金を選択することにより、種々
の温度差の試料水の採水を可能とする。なお、セルフシ
ール継手4は、逆止弁5及び採水口6を取り外してサン
プルバッグ2を保管するためのもので必ずしも必要なも
のではない。
【0011】上記自動採水器1による採水方法について
説明すると、先ず、海上の母船において、サンプルバッ
グ2内に純水を充填し、自動採水器1を高圧蒸気減菌装
置内に入れてオートクレープ減菌し、自動採水器1全体
を無菌状態とする。この状態で自動採水器1を潜水調査
船や無人探査機に搭載し、熱水噴出域において、マニピ
ュレータにより採水口6を熱水中に保持すると、図
(B)に示すように、熱水の高温により形状記憶合金か
らなるバネ3が伸張し、サンプルバッグ2内に熱水が自
動的に吸入される。この際、熱水がゆらいで熱水が注入
されない場合には、サンプルバッグ2が膨張しないの
で、採水者は直ちに採水位置を変更させて熱水を確実に
採水することができる。
【0012】採水が終了した自動採水器1は、回収され
る途中で冷水に接触され、図(C)に示すように、形状
記憶合金からなるバネ3が収縮するが、逆止弁5により
サンプルバッグ2内の試料水が漏れることはない。そし
て、自動採水器1を母船上に回収し、セルフシール継手
4により逆止弁5及び採水口6を取り外してサンプルバ
ッグ2を保管し、以後の実験、研究に供される。
【0013】次に、図2および図3により本発明の他の
実施例について説明する。図2(A)は全体斜視図、図
2(B)は軸方向断面図、図2(C)は採水状態を示す
断面図、図2(D)は回収状態を示す断面図、図3は三
方切換弁を説明するための模式図である。
【0014】図2において、本実施例における自動採水
器11は、筒状の採水部12と、採水部12の上部に設
けられる収納部13とを有し、採水部12の底面には貫
通孔14が形成されている。採水部12内には、ピスト
ン15が移動自在に嵌合され、採水部12の下部に固定
されたバネ16により付勢される構造となっており、採
水部12の上部に採水室17を区画形成している。採水
室17内には図1と同様の形状記憶合金からなるバネ3
が配設されている。採水室17は、三方切換弁18を介
して吸入管19および採水口6に接続されている。
【0015】収納部13内には、サンプルバッグ2が配
設され、サンプルバッグ2は、セルフシール継手4及び
送水管20を介して三方切換弁18に接続されている。
収納部13の上面には、確認用バッグ21が接続されて
いる。この確認用バッグ21は、図2(D)に示すよう
に、サンプルバッグ2内に試料水が充填、膨張すると、
収納部13内の水が確認用バッグ21内に充填、膨張
し、採水完了を確認するためのものであるが、収納部1
3を透明材料或いは網部材で形成すればサンプルバッグ
2を視認できるので不要となる。
【0016】前記三方切換弁18は、図3に示すよう
に、シリンダ22内に摺動自在に弁体23が配設されて
おり、弁体23の両端には、形状記憶合金からなるバネ
25と、付勢スプリング26とが配設されている。弁体
23内には、2つの通路27、28が貫通されている。
そして、周囲の温度によりバネ25が伸張すると、図3
(A)に示すように、弁体23が左方向に移動し、採水
室17と吸入19とが通路27を介して連通し、また、
周囲の温度によりバネ25が収縮すると、図3(B)に
示すように、弁体23が右方向に移動し、採水室17と
送水管20とが通路28を介して連通し、採水室17を
吸入管19と送水管20とに自動的に切り換えられるよ
うに構成されている。
【0017】上記自動採水器11による採水方法につい
て説明すると、先ず、海上の母船において、採水室17
内に純水を充填し、自動採水器11を減菌装置内に入れ
てオートクレープ減菌し、自動採水器11全体を無菌状
態とする。この状態で、自動採水器11を潜水船に搭載
し深海に移動させるが、三方切換弁18は、図2(A)
および図3(B)に示すように、採水室17と送水管2
0とを連通する位置になっており、採水室17には海水
が侵入しない。
【0018】熱水噴出域においてマニピュレータにより
採水口6を熱水中に保持すると、図2(C)および図3
(B)に示すように、熱水の高温により形状記憶合金か
らなるバネ3およびバネ25が伸張し、ピストン15が
バネ16に抗して下降し、ピストン15下部の水は貫通
孔14から押し出される。同時に三方切換弁18は、採
水室17と吸入管19とを連通する位置に切り換えら
れ、熱水は、採水口6、吸入管19、三方切換弁18を
経て採水室17に吸入される。
【0019】採水が終了した自動採水器11は、回収さ
れる途中で再び冷水に接触され、図(D)および図3
(A)に示すように、形状記憶合金からなるバネ3およ
びバネ25が収縮し、ピストン15がバネ16の付勢に
より上昇し、同時に三方切換弁18は、採水室17と送
水管20とを連通する位置に切り換えられ、試料水は、
採水室17、三方切換弁18、送水管20を経てサンプ
ルバッグ2内に移送される。そして、自動採水器11を
母船上に回収し、サンプルバッグ2をセルフシール継手
4から取り外してサンプルバッグ2を保管し、以後の実
験、研究に供される。
【0020】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、周囲環境と温度差のある試料水の存在を形状記
憶合金により自動的に検出し、その温度差エネルギーを
動力源として自動的に採水することができる。また、外
部動力源を必要としないので装置の小型、軽量化を図る
ことができる上、潜水調査船や無人探査機等のマニピュ
レータを用いた採水が、容易かつ確実に行うことができ
る。さらに、小型、軽量の本採水器を複数個搭載するこ
とにより、限られた潜航回数で大量の試料水を採水する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における自動採水器の1実施例を示す模
式図であり、図(A)は採水前の状態、図(B)は採水
状態、図(C)は保管状態を示す図である。
【図2】本発明における自動採水器の他の実施例を示
し、図2(A)は全体斜視図、図2(B)は軸方向断面
図、図2(C)は採水状態を示す断面図、図2(D)は
回収状態を示す断面図である。
【図3】図2の三方切換弁を説明するための模式図であ
る。
【符号の説明】
1、11…自動採水器、2…サンプルバッグ 3、25…形状記憶合金からなるバネ、5…逆止弁、6
…採水口 12…採水部、15…ピストン、17…採水室、18…
三方切換弁

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弾性材料で形成されるサンプルバッグと、
    該サンプルバッグ内に配設される形状記憶合金からなる
    バネと、前記サンプルバッグに逆止弁を介して接続され
    る採水口とを備え、前記バネの伸縮により周囲と温度差
    のある試料水を吸入可能にすることを特徴とする自動採
    水器。
  2. 【請求項2】採水部と、採水部内に移動自在に嵌合され
    るピストンと、該ピストンにより区画形成される採水室
    と、該採水室に配設される形状記憶合金からなる第1の
    バネと、前記採水室に三方切換弁を介して接続される採
    水口およびサンプルバッグと、前記三方切換弁内に配設
    される弁体を移動させるための形状記憶合金からなる第
    2のバネとを備え、前記第1および第2のバネの伸縮に
    より周囲と温度差のある試料水を吸入可能にすることを
    特徴とする自動採水器。
JP22370893A 1993-09-08 1993-09-08 自動採水器 Expired - Fee Related JPH087116B2 (ja)

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