JPH0868885A - 高速増殖炉酸化物燃料用被覆管 - Google Patents

高速増殖炉酸化物燃料用被覆管

Info

Publication number
JPH0868885A
JPH0868885A JP6205629A JP20562994A JPH0868885A JP H0868885 A JPH0868885 A JP H0868885A JP 6205629 A JP6205629 A JP 6205629A JP 20562994 A JP20562994 A JP 20562994A JP H0868885 A JPH0868885 A JP H0868885A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
plating
cladding tube
clad
cladding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6205629A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Fujiwara
優行 藤原
Takashi Mitsugi
岳志 三次
Shigeo Nomura
茂雄 野村
Yukio Kuwajima
幸夫 桑島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Doryokuro Kakunenryo Kaihatsu Jigyodan
Kobe Steel Ltd
Power Reactor and Nuclear Fuel Development Corp
Original Assignee
Doryokuro Kakunenryo Kaihatsu Jigyodan
Kobe Steel Ltd
Power Reactor and Nuclear Fuel Development Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Doryokuro Kakunenryo Kaihatsu Jigyodan, Kobe Steel Ltd, Power Reactor and Nuclear Fuel Development Corp filed Critical Doryokuro Kakunenryo Kaihatsu Jigyodan
Priority to JP6205629A priority Critical patent/JPH0868885A/ja
Publication of JPH0868885A publication Critical patent/JPH0868885A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Chemically Coating (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ウラン酸化物および/またはプルトニウム酸
化物よりなる高速増殖炉酸化物燃料を被覆するための燃
料被覆管において、Fe基もしくはNi基合金で構成さ
れた該被覆管本体における少なくとも前記酸化物燃料装
入領域の内面側に、Ti,V,Nb,Zrよりなる群か
ら選択される少なくとも1種の金属粒子が分散された複
合Ni系めっき層を形成する。 【効果】 燃料被覆管本体の内面に、酸素ゲッター機能
を有する金属微粉末の複合されたNiめっき層を形成す
ることによって、被覆管−酸化物燃料間の化学的相互作
用による被覆管の内面侵食を大幅に抑制することがで
き、被覆管破損に対する余裕度を増大すると共に、燃料
要素の寿命を延長することができ、経済性および安全性
の高い高速増殖炉の実現に貢献できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物燃料を使用する
高速増殖炉用の燃料被覆管に関し、この燃料被覆管は、
核分裂生成物による被覆管内面の腐食を抑制し、燃料の
使用可能時間を延長すると共に、燃料破損に対する余裕
度を高めることのできる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高速増殖炉の燃料被覆管は、高速中性子
照射の下に300〜900℃の高温条件下で核分裂生成
ガスによる内圧に耐え、内部の原子燃料を保護する役目
を果たしており、その寿命は主にスエリング性と高温ク
リープ強度に支配される。また実用期の高速増殖炉で
は、経済性向上のため燃料要素の取り替え期間をできる
だけ長くすることが望まれており、燃料の長寿命化のた
めには長期間の使用に耐える燃料被覆管の開発が要望さ
れている。
【0003】ところで、わが国で開発中の高速増殖炉に
は、原子燃料として主にプルトニウム(Pu)−ウラン
(U)混合酸化物燃料が使用されており、これら酸化物
燃料が装入される燃料被覆管はFe基合金やNi基合金
よって形成される。この様な燃料被覆管では、使用中に
燃料と被覆管の間で化学的相互作用(Fuel−Cla
dding Chemical Interactio
n:以下、FCCIと略記する)による内面側の腐食が
起こり、被覆管の減肉によって燃料寿命に少なからぬ影
響を及ぼす。
【0004】現在のところは、被覆管材料のスエリング
性と高温クリープ強度が燃料寿命を支配する主な要因と
なっているが、被覆管材料の改質や設計条件の改善等に
よってこれらの性能が高められるにつれて、上記FCC
Iが寿命を支配する大きな要因になってきており、高速
増殖炉の長寿命化を推進する上でFCCIの低減対策
は、今後の重要な解決課題とされている。しかしなが
ら、現在のところ工業的に実用可能なFCCI低減策は
まだ確立されていない。
【0005】高速増殖炉の酸化物燃料要素の構造を図面
を用いて説明すると次の通りである。即ち図1は、酸化
物燃料要素の一般的な構造を示す縦断面図であり、図中
1はU−Pu混合酸化物燃料ペレット、2は被覆管、3
は上部端栓、4は下部端栓、5は燃料ペレットを固定す
るプレナムスプリング、6はプレナムスリーブ、7は核
分裂生成ガスを溜めるガスプレナムを夫々示している。
【0006】下部端栓4を接合した被覆管2内に円柱状
の燃料ペレット1、プレナムスプリング5およびプレナ
ムスリーブ6を装入した後、上部端栓3を接合して被覆
管2の密封が行なわれる。このとき、被覆管2の内部に
はヘリウムガスが充填され、燃料ペレット1と被覆管2
の間には僅かなギャップが設けられる。そして燃料要素
の使用期には燃料温度が上昇し、燃料ペレット1と被覆
管2の熱膨張差等によってこのギャップは早い時期に閉
じられる。核分裂生成物が燃料ペレット1と被覆管2の
間に生成し、被覆管2と核分裂生成物および燃料の成分
の化合物が生成し、これによって被覆管の内面腐食が進
行するのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】FCCIに起因する被
覆管の内面腐食は、酸化物燃料から放出される酸素とC
s,Te,I等の核分裂生成元素によって引き起こされ
るものであって、酸化物の生成が主体となる反応であ
り、酸素の供給量が増大するにつれて腐食速度は大きく
なる。従って、FCCI低減法としては被覆管内部の酸
素ポテンシャルを下げることが有効であり、そのため酸
素吸収物質(酸素ゲッター材:Ti、Zr、V等の酸化
物形成傾向の大きい元素)を被覆管内面にコーティング
する方法がある。
【0008】ところで、被覆管は細径・長尺であるた
め、その内面コーティングはかなり困難な技術である
が、その具体策として真空蒸着法を利用した被覆管内面
Tiコーティング法が開発されている。この方法は、T
i芯線を被覆管の内側に装着し、内部を真空にしてから
該芯線を通電加熱し、蒸発させて被覆管内面にコーティ
ング皮膜を形成する方法であり、細径・長尺の被覆管内
面にコーティングする方法として有望であるが、芯線を
精度良く装着することが必要であり、しかも高真空度の
処理が必要であるので、量産性やコスト上の問題があ
る。
【0009】これらの従来技術を含めて、工業的に実施
するための被覆管内面コーティング技術に必要と考えら
れる課題をまとめると、FCCI低減に有効であるこ
と、細径・長尺管への適用を容易に行ない得ること、
量産が可能で低コストであること、密着性や耐剥離
性に優れた内張り皮膜を形成し得ること、被覆管本体
の機械的性質に悪影響を及ぼさないこと、等が主なもの
として挙げられる。
【0010】本発明は、上記の様な状況の下でなされた
ものであって、その目的は、酸化物燃料の装入位置に対
応する被覆管内面に、FCCI低減に有効で且つ密着性
や耐剥離性、耐食性に優れた内張り皮膜を形成し、酸化
物燃料要素の寿命延長を増進することができ、しかも工
業的に量産可能な内張り被覆管を提供しようとするもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するこ
とのできた本発明に係る高速増殖炉酸化物燃料用被覆管
の構成は、ウラン酸化物および/またはプルトニウム酸
化物よりなる高速増殖炉酸化物燃料を被覆するための燃
料被覆管において、Fe基もしくはNi基合金で構成さ
れた該被覆管本体における少なくとも前記酸化物燃料装
入領域の内面側にNi系めっき層が形成されてなり、該
Niめっき層中にTi,V,Nb,Zrよりなる群から
選択される少なくとも1種の金属粒子が分散されたもの
であるところに要旨を有するものである。上記において
金属粒子が分散された複合Ni系めっき層は、無電解め
っき法によって容易に形成することができ、該めっき層
の厚さは10〜100μmの範囲が好まく、また該金属
粒子の複合Ni系めっき層中に占める好ましい含有量
は、体積率で30〜40%の範囲である。
【0012】
【作用】上記の様に本発明では、Fe基もしくはNi基
合金で構成された被覆管本体における酸化物燃料装入領
域の内面側に、酸素ゲッターとして機能する金属粒子を
分散せしめたNiめっき層を形成し、それによりFCC
Iを低減すると共に密着性、耐剥離性、耐食性等を高
め、それにより燃料要素の寿命延長を達成したものであ
り、以下、研究の経緯を追って本発明の構成および作用
効果を詳細に説明する。
【0013】本発明者等は前述の様な課題を解決するた
めの手段として、まず被覆管内面コーティング法と酸素
ゲッターの組み合わせを考えた。コーティング法として
は、加熱蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティ
ング法等の物理的方法と、湿式めっき法や化学的気相成
長法等の化学的方法、および圧延密着法の様な機械的方
法がある。しかしながら、被覆管内面へのコーティング
は、前述の如く細径・長尺管という形状面からの制約に
加えて、被覆管を構成する合金と酸素ゲッターとの反応
という問題もあって実用化は容易でない。即ち芯線加熱
蒸着法は、前述の如く細径・長尺管の内面コーティング
には適した方法であるが、量産性と製造コストに問題が
あり、また化学的気相成長法も同様に細径・長尺管の内
面コーティングには適した方法であるが、高温で処理さ
れるため酸素ゲッター材と被覆管を構成する合金との反
応によって両者の界面に脆化層が生成し、健全なコーテ
ィング層は得られにくい。めっき法も有効であるが、酸
素ゲッターそのものをめっきすることはできない。
【0014】そこで、本発明者等は簡便で効果的な複合
めっき法として、無電解めっき法の適用を考えた。即ち
無電解めっき法とは、金属イオンを還元剤によって化学
的に還元して被めっき材の表面に析出させる方法であ
り、電気めっき法の様に電源や電極を必要とせず単にめ
っき浴中に被めっき材を浸漬するだけでめっきを行なう
ことができるので、形状の複雑なものに対するめっき法
として適しており、本発明に係る燃料被覆管への内面め
っき法としても適した方法といえる。
【0015】こうした無電解めっき法は、Cu,Ni,
Au,Ag,Pd等のめっきには広く実用化されている
が、例えば燃料被覆管において酸素ゲッターとして機能
するTi,V,Nb,Zrについては、これらを無電解
めっき法によって形成することはできない。そこで本発
明者等は、燃料被覆管の内面コーティング材として知ら
れたNiめっきを無電解めっき法によって形成する方法
を採用し、該Niめっき層中に、上記酸素ゲッターとし
て機能する金属微粒子を混入して複合化する方法を考え
た。即ち、無電解法によって燃料被覆管内面にNiめっ
き層を形成する際に、該めっき浴中に酸素ゲッターとし
て機能する金属微粒子を分散させておくと、無電解めっ
き工程でNiめっき表面に該金属微粒子が吸着すると共
に、引き続いて析出するNiに次々に埋め込まれ、Ni
めっき層中に酸素ゲッター能を備えた該金属微粒子が均
一に分散された複合Ni系めっき層が形成されることを
知った。
【0016】ここで、めっき金属としてNi系を選択し
たのは、 燃料被覆管の構成素材として一般的に用いられるFe
基合金やNi基合金との親和性が良好で優れた密着性と
耐剥離性が得られ易いこと、 高速増殖炉の使用期には高温条件下で被覆管素材とめ
っき層の接合部にFeやNiの全律固溶拡散層が形成さ
れるが、Niめっきでは被覆管素材との界面に有害な脆
化層の形成が起こらず優れた密着性が保証されること、 酸素ゲッター材が被覆管素材と密着したときに生じる
炭素移行や合金の脱炭による強度低下が、上記FeやN
iの全律固溶拡散層によって阻止され、被覆管素材の機
械的性質に悪影響を及ぼすことがないこと、といった理
由によるものである。
【0017】また、酸素ゲッター材として用いられる好
ましい金属微粒子の種類は、酸化物燃料の種類、酸素ポ
テンシャル、酸素ゲッター速度等によって決まってくる
が、本発明では、約700℃程度にまで上昇する被覆管
内面の温度条件下で、被覆管を構成する合金中に含まれ
るCrの酸化ポテンシャルよりも低く、且つ燃料である
UーPu酸化物を過度に還元することのない酸素ポテン
シャルを有するもので且つ核的性質に問題のないTi,
V,Nb,Zrを選択した。
【0018】これらの金属はそれぞれ単独で使用し得る
他、場合によっては2種以上を併用することも可能であ
る。またこれら金属の微粒子は、Niめっき層中に満遍
なく均一に混入して複合化率を高め得る様、できるだけ
微細なものを使用するのがよく、通常は10μm程度以
下、より好ましくは5μm程度以下の微粒子が用いられ
る。また、Niめっき層中に複合化されるこれら金属微
粒子の好ましい含有量は、Niめっき自体によってもた
らされる前記〜として記載した様な作用効果を有効
に発揮させると共に優れた密着性や耐剥離性を保証しつ
つ、酸素ゲッター材としての機能を有効に発揮させるた
め、複合めっき層全体中に占める体積率で20〜60
%、より好ましくは30〜40%の範囲に設定するのが
よい。しかして、金属微粒子の配合量が不足する場合
は、酸素ゲッター材としての機能が有意に発揮されず、
特にFCCI低減効果が不十分となり、逆に多過ぎる場
合は、複合めっき層の密着性や耐剥離性が低下し、寿命
を却って低下させる傾向が生じてくるからである。
【0019】上記の様な複合化Niめっき層の形成方法
は特に限定されないが、工業的に実用化する上で最も好
ましいのは無電解めっき法であり、その好ましい具体例
を示すと次の通りである。即ち、無電解Niめっき浴中
に前述の様な金属微粒子を添加し、めっき浴を攪拌もし
くは流動させる等によって該金属微粒子を均一な懸濁状
態に保つ。この懸濁めっき浴を80〜90℃程度に保持
し、該浴中に、表面を脱脂・洗浄処理した被めっき材を
浸漬すればよい。めっき厚は浸漬時間に比例して増大し
てくるので、目標めっき厚さに応じて浸漬時間を調整す
れば、任意の厚みの複合めっき層を形成することができ
る。このめっき工程で、めっき浴中の被めっき材に回転
や揺動等の動きを与えてやれば、より均一な厚みのめっ
き層を形成することができるので好ましい。
【0020】図2は、本発明に係る内面複合めっき被覆
管2の構成を示す横断面説明図であり、図中1は燃料ペ
レット、2aは被覆管本体、10は被覆管2と燃料1の
ギャップ、8は複合めっき層を夫々示しており、被覆管
本体2aと複合めっき層8によって被覆管2が構成され
る。図3は、内面被覆層形成部を拡大して示す部分断面
説明図であり、被覆管本体2aの内側に形成される複合
めっき層8は、Niめっき層中に酸素ゲッターとして機
能する金属微粒子9が均一に分散されている。
【0021】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の構成および作
用効果を具体的に説明するが、本発明はもとより下記実
施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣
旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施すること
も可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含
まれる。
【0022】実施例 被覆管本体として、Fe基合金(Fe−15%Cr−2
0%Niのオーステナイト系ステンレス鋼)よりなる外
径7.5mm、内径6.7mm、長さ1500mmの管
を使用し、また酸素ゲッター材として粒径10μm以下
のTi微粉末を使用し、無電解Ni複合めっきを行なっ
て高速増殖炉酸化物燃料用内面複合めっき被覆管を製造
した。
【0023】図4は、上記で用いた無電解めっき装置を
示す概念図であり、めっき槽Aおよびめっき液ストック
槽Bでは、金属微粒子が均一に懸濁する様に常時攪拌を
行ない、まためっき槽A中のめっき液が約87℃となる
様に加熱し、めっき液はストック槽Bからめっき槽Aへ
ポンプPによって循環させた。被覆管本体2aは、めっ
き槽Aのめっき液(硫酸ニッケル:20g/リトッル、
次亜りん酸ナトリウム:25g/リットル、およびpH
調整剤)中に浸漬し、回転させながら所定時間めっきを
行なった。また図5は全体の製作工程図であり、被覆管
本体はまず脱脂処理および酸活性化処理を施して内表面
を清浄にしておき、また無電解めっき層と被覆管本体と
の密着性を高めるため、予め内面にストライクNiめっ
き(電気めっき)処理を行なっておく。そして上記の複
合めっき処理を行なった後、洗浄・乾燥して内面複合め
っき被覆管を得る。
【0024】図6は、150分間浸漬して複合めっきを
行なった後における被覆管中央部縦断面の内面側を、走
査型電子顕微鏡で観察した写真を示したものであり、こ
の図からも明らかである様に、被覆管内面に密着した3
0μm程度の厚さの複合Niめっき層が形成され、該め
っき層の中にTi微粒子が均一に分散して埋め込まれて
いる。この複合Ni系めっき被覆管は、その後、厚みを
調節するために冷間引抜き加工を行なったり、あるいは
表面平滑性を高めるために内面研磨を行なうことも有効
である。
【0025】上記の方法により、密着性の優れた内面複
合めっき被覆管を得ることができるが、この複合めっき
層は、被覆管本体の機械的性質に悪影響を及ぼさないこ
とが必要である。そこで、得られた複合Ni系めっき被
覆管の高温強度特性を調べるため、該被覆管を700℃
で3000時間加熱した後、700℃における引張試験
を行なった。結果は図7に示した通りであり、内面複合
Ni系めっきの有無による高温引張強度の有意差は認め
られない。また図8は、700℃における内圧クリープ
破断試験結果から、強度を支配する管の接線方向応力
(フープ応力という)と破断時間の関係を示したもので
ある。やはり内面複合Ni系めっきの有無によるクリー
プ破断強度の有意差は認められず、本発明の内面複合N
i系めっき被覆管は、高温下の長期使用によっても優れ
た機械的性質を発揮し得るものであることが分かる。
【0026】更に下記表1は、炉外模擬FCCI実験を
行なった結果を示したものである。即ち、模擬核分裂生
成化合物として水酸化セシウム(CsOH)を使用し、
このパウダーと被覆管を石英ガラス製のるつぼに装入
し、真空中で500℃および600℃に加熱する。する
と、高温で水酸化セシウムは液状となって被覆管内面と
接触するので、この状態で24時間反応させた後、取り
出して被覆管の断面を光学顕微鏡によって観察し、その
結果を示したものである。
【0027】表1からも明らかである様に、複合Ni系
めっき無しのものでは、全面腐食と粒界腐食による腐食
変質層が500℃において約20μm、600℃におい
ては約30μm認められたのに対し、複合Ni系めっき
を施した本発明の内面めっき被覆管では、めっき層の剥
離や変質は殆ど認められず、被覆管本体の変質もなく、
優れた耐FCCI性を有していることが分かる。尚Ni
単独めっきの場合は、めっき層下部の被覆管本体に腐食
変質層が形成され、その程度は温度が高くなるにつれて
大きくなることが確認された。
【0028】尚上記では、Niめっき層内にTi粒子を
分散させた例を示したが、こうしたTi粒子による内面
被覆層の改質効果は、Tiと同様に酸素ゲッターとして
機能することが知られているV,Nb,Zr粒子をNi
系めっき層に分散させた内面被覆層についても得ること
ができる。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、F
e基もしくはNi基合金で構成された該被覆管本体の内
面に、酸素ゲッター機能を有する金属微粉末の複合され
たNiめっき層を形成することによって、被覆管−酸化
物燃料間の化学的相互作用による被覆管の内面侵食を大
幅に抑制することができ、被覆管破損に対する余裕度を
増大すると共に、燃料要素の寿命を延長することがで
き、経済性および安全性の高い高速増殖炉の実現に貢献
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高速増殖炉の酸化物燃料要素の一般的な構成を
示す縦断面説明図である。
【図2】本発明に係る被覆管の構成を例示する横断面説
明図である。
【図3】本発明に係る被覆管の内面被覆構造を例示する
一部拡大断面説明図である。
【図4】無電解複合Ni系めっき法を例示する概略説明
図である。
【図5】無電解複合Ni系めっき被覆管作成の工程説明
図である。
【図6】無電解複合Ni系めっきされた被覆管における
中央部縦断面の内面側の走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】内面複合Ni系めっき処理を行なった被覆管と
行なっていない被覆管の700℃における引張強度を対
比して示すグラフである。
【図8】内面複合Ni系めっき処理を行なった被覆管と
行なっていない被覆管の、500℃および600℃にお
けるCsOHを用いた模擬FCCI実験結果を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 酸化物ペレット 2a 被覆管本体 2 被覆管 3 上部端栓 4 下部端栓 5 プレナムスプリング 6 プレナムスリーブ 7 ガスプレナム 8 Ni複合めっき層 9 金属微粒子 A めっき槽 B めっき液ストック槽 P ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三次 岳志 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 動力 炉・核燃料開発事業団 大洗工学センター 内 (72)発明者 野村 茂雄 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 動力 炉・核燃料開発事業団 大洗工学センター 内 (72)発明者 桑島 幸夫 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 動力 炉・核燃料開発事業団 大洗工学センター 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウラン酸化物および/またはプルトニウ
    ム酸化物よりなる高速増殖炉酸化物燃料を被覆するため
    の燃料被覆管において、Fe基もしくはNi基合金で構
    成された該被覆管本体における少なくとも前記酸化物燃
    料装入領域の内面側に、Ni系めっき層が形成されてな
    り、該Ni系めっき層中にはTi,V,Nb,Zrより
    なる群から選択される少なくとも1種の金属粒子が分散
    されたものであることを特徴とする高速増殖炉酸化物燃
    料用被覆管。
  2. 【請求項2】 金属粒子が分散されたNi系めっき層
    が、無電解めっき法によって形成されたものである請求
    項1に記載の高速増殖炉酸化物燃料用被覆管。
  3. 【請求項3】 めっき層の厚さが10〜100μmであ
    る請求項1または2に記載の高速増殖炉酸化物燃料用被
    覆管。
  4. 【請求項4】 金属粒子の好ましい含有量が、体積率で
    30〜40%である請求項1〜3のいずれかに記載の高
    速増殖炉酸化物燃料用被覆管。
JP6205629A 1994-08-30 1994-08-30 高速増殖炉酸化物燃料用被覆管 Pending JPH0868885A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6205629A JPH0868885A (ja) 1994-08-30 1994-08-30 高速増殖炉酸化物燃料用被覆管

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6205629A JPH0868885A (ja) 1994-08-30 1994-08-30 高速増殖炉酸化物燃料用被覆管

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0868885A true JPH0868885A (ja) 1996-03-12

Family

ID=16510062

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6205629A Pending JPH0868885A (ja) 1994-08-30 1994-08-30 高速増殖炉酸化物燃料用被覆管

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0868885A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003059520A (ja) * 2001-08-21 2003-02-28 Usui Internatl Ind Co Ltd 燃料電池用配管およびその製造方法
WO2008056537A1 (fr) * 2006-11-10 2008-05-15 S.E.S. Co., Ltd. Procédé de dépôt autocatalytique
JP2012237574A (ja) * 2011-05-10 2012-12-06 Yuji Uenohara 被覆管及び原子炉

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003059520A (ja) * 2001-08-21 2003-02-28 Usui Internatl Ind Co Ltd 燃料電池用配管およびその製造方法
WO2008056537A1 (fr) * 2006-11-10 2008-05-15 S.E.S. Co., Ltd. Procédé de dépôt autocatalytique
JP2012237574A (ja) * 2011-05-10 2012-12-06 Yuji Uenohara 被覆管及び原子炉

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4473410A (en) Nuclear fuel element having a composite coating
Hollenberg et al. Tritium/hydrogen barrier development
Ozeryanaya Corrosion of metals by molten salts in heat-treatment processes
EP2178092B1 (en) Fuel rod assembly and method for mitigating the radiation-enhanced corrosion of a zirconium-based component
CN112144008B (zh) 一种通过预氧化提高氧化物弥散强化钢耐高温液态金属腐蚀性能的方法
US4093756A (en) Process for electroless deposition of metals on zirconium materials
JPH0720277A (ja) Bwrプラントの炉水制御方法,低炉水放射能濃度bwrプラントおよびbwr用燃料被覆管
Johnson Coatings for fast breeder reactor components
US4137131A (en) Process for electrolytic deposition of metals on zirconium materials
JP2017502256A (ja) 金属ナノ材料層を含む核燃料棒クラッディング
JPH0868885A (ja) 高速増殖炉酸化物燃料用被覆管
GB1584496A (en) Nuclear fuel element and container
CN112657815B (zh) 一种316L不锈钢管内壁Al2O3/SiO2复合阻氚涂层的制备方法
Grubb et al. Nuclear fuel element and container
Donaghy et al. Surface coating Zr or Zr alloy nuclear fuel elements
US2894890A (en) Jacketing uranium
CN117385252B (zh) 一种耐铅铋腐蚀的高熵合金涂层及其制备方法
JP2003528328A (ja) ジルコニウム合金を含む構成部材、該構成部材の製造方法、および該構成部材を含む核プラント
Nagano et al. Clarification of stress corrosion cracking mechanism on nickel base Alloys in Steam Generators for their Long Lifetime Assurance
JPS618697A (ja) 高温ガス炉用後備停止系構成部品
JPS6250485A (ja) ジルコニウム合金部材
JP2657810B2 (ja) 改良された耐摩耗性を有するステンレス鋼製管状要素
JP2001081542A (ja) 原子力プラント用ステンレス鋼部材の製造法および原子力プラント
JPS62177492A (ja) 前酸化処理方法
JP3213782B2 (ja) ジルコニウム及びジルコニウム合金の防食方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20000606