JP2012237574A - 被覆管及び原子炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温特性が高められ、発電効率の向上を図ることができる被覆管及びこれを備えた原子炉を提供する
【解決手段】本発明の実施形態に係る被覆管40は、鉄系材料で構成された本体部41と炭素系材料で構成された内層部42との2層構造を有しており、原子燃料は、内層部よりも内側に収容される。鉄系材料は、ジルコニウム系材料と比較して、高温強度に優れるが中性子の吸収が大きい。一方、炭素系材料は、中性子吸収が極めて小さい。上記被覆管は、鉄系材料及び炭素系材料を組み合わせることで、ジルコニウム合金製被覆管と同等の中性子吸収と、ジルコニウム合金製被覆管よりも優れた高温特性及び機械的強度特性を実現する。これにより、被覆管の高温特性を高めることができる。また、高温特性の向上により、冷却材の高温・高圧化が可能となるため、発電効率の向上が図れるようになる。
【選択図】図3

Description

本発明は、原子炉燃料棒に使用される被覆管及びこれを備えた原子炉に関する。
原子炉としては、主として、圧力容器内で直接蒸気を生成する沸騰水型炉(BWR)、圧力容器外の蒸気発生器で蒸気を生成する加圧水型炉(PWR)等の軽水炉が知られている。これらの軽水炉はいずれも、圧力容器と、圧力容器内に設置された燃料集合体とを有する。燃料集合体は、原子燃料(核燃料)を封入した複数本の燃料棒の集合体で構成される。
各々の燃料棒は、原子燃料と、原子燃料を収容する被覆管とを有する。原子燃料には、主として二酸化ウランを円柱状に焼き固めた燃料ペレットが用いられている。被覆管は、核分裂生成物を封じ込め、核反応で発生した熱を効率よく取り出すために用いられる。被覆管としては、中性子吸収特性が小さく、高温高圧水に耐え得る耐久性を有することが要求される。特に、長時間高温高圧の水中に曝されるため、優れた水化学的特性も要求される。その他にも、接触する燃料ペレットとの相性、放射性気体からの耐食性等の、多くの特性が要求される。これらの特性を総合的に勘案して、現在ではジルコニウム合金(ジルカロイ)が広く用いられている。被覆管は、基本的にはジルカロイの単一素材で構成されているが、多くの改善がはかられている。例えば、ジルカロイ管の内面を異なる材料で構成した複雑な構造の被覆管も提案され、一部は実用に供されている。これらは、燃料ペレットが膨張して被覆管と接触する際に燃料ペレットの破損を防ぐ目的で提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
特公平6−5312号公報 特公平8−12259号公報 特開2010−145235号公報
近年、軽水炉の発電効率の向上が求められている。軽水炉の発電効率は、冷却材である水の温度を更に高温・高圧化することで向上させることができる。しかしながら、冷却水の更なる高温・高圧化はジルコニウム合金製被覆管の高温特性の限界を超えてしまい、例えば350℃を超える高温下では強度不足が顕著となる。このため従来の被覆管では発電効率の向上を実現することができなかった。
高温特性に優れた材料として、鉄系のステンレススチールがある。軽水炉開発の過程では、ステンレススチールの被覆管を用いることが検討されたこともあった。しかし、ステンレススチールは熱中性子吸収が大きいために、軽水炉では、ステンレススチールの被覆管は実用化されなかった。また、現行よりも水温を上げると、中性子減速が促進されないため、U-235濃縮度を5%以上と大幅に上げなければならない。
しかし、現行の燃料ペレット製造工場(ウラン加工設備)では、燃料製造過程における臨界安全の問題から、5%以下の濃縮度に限定しているため、5%以上の濃縮度の燃料ペレットを製造できず、設備の大きな変更が必要となる。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、高温特性が高められ、発電効率の向上を図ることができる被覆管及びこれを備えた原子炉を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る被覆管は、筒状の本体部と、内層部とを具備する。
上記本体部は、原子燃料を収容可能であり、鉄系材料で構成される。
上記内層部は、上記本体部の内周面に形成され、炭素系材料で構成される。
本発明の一形態に係る原子炉は、圧力容器と、燃料集合体と、冷却材とを具備する。
上記燃料集合体は、複数の被覆管と、上記複数の被覆管各々に封入された原子燃料とを含み、上記圧力容器内に設置される。上記被覆管は、鉄系材料で構成された筒状の本体部と、上記本体部の内周面に形成され炭素系材料で構成された内層部とを有する。
上記冷却材は、上記圧力容器に加圧供給され、上記燃料集合体を冷却する。
本発明の一実施形態による原子炉の構成を示す概略図である。 上記原子炉に適用される燃料集合体の要部の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る原子燃料被覆管の概略断面図である。 被覆管の構成材料を異ならせて評価した原子炉特性のシミュレーション結果である。 被覆管の本体部と内層部の厚みを異ならせて評価した原子炉特性のシミュレーション結果である。 ステンレススチール層とカーボンナノチューブ層との二層構造を有する被覆管とステンレススチール単層構造の被覆管との効果の違いを説明する図である。 図4の例よりも被覆管(燃料棒)のピッチを大きくしたときの原子炉特性のシミュレーション結果である。
本発明の一実施形態に係る被覆管は、筒状の本体部と、内層部とを具備する。
上記本体部は、原子燃料を収容可能であり、鉄系材料で構成される。
上記内層部は、上記本体部の内周面に形成され、炭素系材料で構成される。
上記被覆管は、鉄系材料で構成された本体部と炭素系材料で構成された内層部との2層構造を有しており、原子燃料は、内層部よりも内側に収容される。鉄系材料は、ジルコニウム系材料と比較して、高温強度に優れるが中性子の吸収が大きい。一方、炭素系材料は、中性子吸収が極めて小さい。上記被覆管は、鉄系材料及び炭素系材料を組み合わせることで、ジルコニウム合金製被覆管と同等の中性子吸収と、ジルコニウム合金製被覆管よりも優れた高温特性及び機械的強度特性を実現する。これにより、被覆管の高温特性を高めることができる。また、高温特性の向上により、冷却材の高温・高圧化が可能となるため、発電効率の向上が図れるようになる。
鉄系材料は、例えば各種鉄鋼材料が挙げられ、典型的にはステンレススチールが採用可能である。ステンレススチールは、耐食性及び高温強度に優れるため、高温・高圧下においても優れた耐久性が得られる。ステンレススチールは、オーステナイト系、フェライト系等の各種ステンレススチールが採用可能である。一方、炭素系材料としては、黒鉛(グラファイト)、炭素系複合材料等が挙げられるが、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ等のカーボンナノ材料が高温特性及び機械的強度特性に優れる。この場合、本体部の内周面に直接カーボンナノ材料を成長させることで、内層部を形成してもよい。
内層部の厚さは特に限定されず、被覆管の直径や厚さ等に応じて適宜設定可能である。例えば内層部は、本体部よりも大きな厚さで構成されてもよい。これにより、鉄系材料を含むことによる被覆管全体としての中性子吸収が抑えられ、ジルコニウム合金製被覆管と比較したときの中性子増倍係数(臨界固有値)の減少を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る原子炉は、圧力容器と、燃料集合体と、冷却材とを具備する。
上記燃料集合体は、複数の被覆管と、上記複数の被覆管各々に封入された原子燃料とを含み、上記圧力容器内に設置される。上記被覆管は、鉄系材料で構成された筒状の本体部と、上記本体部の内周面に形成され炭素系材料で構成された内層部とを有する。
上記冷却材は、上記圧力容器に加圧供給され、上記燃料集合体を冷却する。
上記原子炉によれば、被覆管の高温特性を改善できるため、冷却材の高温・高圧化が実現可能となり、これにより発電効率の向上が図れるようになる。上記原子炉には、通常の加圧水型炉や沸騰水型炉だけでなく、超臨界圧水炉なども含まれる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る原子炉を示す概略構成図である。ここでは沸騰水型軽水炉(BWR)を例に挙げて説明するが、加圧水型軽水炉(PWR)等の他の軽水炉にも適用可能である。
本実施形態の原子炉10は、圧力容器1と、燃料集合体2と、冷却水3(冷却材)と、タービン6と、熱交換器7と、ポンプ8とを有する。
圧力容器1は、内部を高圧状態に維持できる鋼鉄製の構造物であり、内部に燃料集合体2及び複数本の制御棒5を含む炉心を有する。燃料集合体2は、複数本の燃料棒4で構成される。各々の制御棒5は、燃料集合体2の間に配置され、図示しない制御棒駆動機構により移動自在に構成される。制御棒5は、燃料棒4の核分裂反応の制御に用いられる。冷却水3には軽水が用いられ、圧力容器1内において核反応により発熱した燃料棒4を冷却する。タービン6は、図示しない発電機に連結され、圧力容器1内で発生した冷却水3の蒸気で回転する。熱交換器7は、当該蒸気を液化させ、ポンプ8は、液化した冷却水3を加圧して圧力容器1内に供給する。
図2は、燃料棒4の配置例を示す上方から見た断面図である。図中、X軸及びY軸は水平方向、Z軸は燃料棒の長さ方向をそれぞれ示している。図3は、燃料棒4の断面図である。
燃料集合体2は、圧力容器1内において2次元的に配置された複数本の燃料棒4で構成される。各燃料棒4は同一の構成を有し、縦方向(X軸方向)および横方向(Y軸方向)に所定の間隔(ピッチ)P1で配置される。間隔P1の大きさは、要求される軽水炉の仕様、燃料棒4の寸法、使用される原子燃料(核燃料)の濃縮度、冷却水の圧力等に応じて適宜設定され、例えば、12mm〜14mmである。
各々の燃料棒4は、原子燃料としての燃料ペレットNと、燃料ペレットNを収容する被覆管40とを有する。原子燃料には、典型的には、核燃料である二酸化ウランが用いられている。
軽水炉では、被覆管40の直径は概ね10mm、長さは概ね4m、肉厚は概ね1.5mmである。燃料ペレットNは直径概ね8mmの円柱形状であり、被覆管40との間に0.5mm程度の隙間g(図3)がある。燃料ペレットNの長さ(高さ)は概ね10mmであり、被覆管40の中に複数積み重ねられるようにして複数の燃料ペレットNが封入される。沸騰水型軽水炉は、加圧水型軽水炉よりも燃料棒の寸法は若干大きめであり、燃料棒が約15mm間隔で図2に示すように正方格子状に配置される。
燃料ペレットNには、例えば、ウランの同位体U-238及びU-235がおよそ97対3の重量比で混合された焼結体が用いられる。ここでは、U-235の重量比は濃縮度を意味し、上記の例では濃縮度は約3%である。この約3%のU-235が主に核分裂を起こして発熱する。核分裂で生じた熱は、燃料棒4周囲の冷却水3の温度を上げる。沸騰水型軽水炉では、冷却水3が蒸気となり、タービン6を回転させる。加圧水型軽水炉では、高温の冷却水を熱交換器に導入し、二次系の冷却水を加熱して蒸気をつくり、タービンを回転させる。燃料棒4の直径、燃料棒4のピッチ、ウランの濃縮度等により、原子炉の能力は大きく変化する。
被覆管40は、核分裂生成物を封じ込め、核反応で発生した熱を効率よく取り出すために用いられる。被覆管40としては、中性子吸収特性が小さく、高温高圧水に対する耐久性が高いことが要求される。その構成材料として、従来ではジルコニウムにスズ等を添加して強度を増加させたジルコニウム合金が広く用いられていた。
軽水炉においては、高出力・長期間の運転が可能な燃料棒が理想とされる。燃料ペレット中のU-235の濃縮度を上げると高出力・長期間の運転は可能であるが、燃料としては高価となる。また、長期間高温高圧の水流にさらされるので、被覆管がその環境に耐えられない期間まで濃縮度を上げても実用的に意味がない。また、軽水炉を利用した原子力発電の欠点として、タービン蒸気の圧力が6〜7MPa、温度が約280℃と火力発電に比べて低く、発電効率が約33%と火力発電の発電効率(約40%)よりも劣ることにある。原子炉が発生する蒸気の質が火力よりも劣る大きな原因として、原子炉の冷却材である水の温度を上げられないことが挙げられる。水の温度を上げられない最大の理由は、燃料棒の被覆管に用いられているジルコニウム合金の高温特性にある。
例えば典型的な軽水炉の水温は、沸騰水型で280℃、加圧水型で330℃である。被覆管に用いられるジルコニウム合金は、350℃を超える水温で高温特性の低下が顕著となる。このため、現行の軽水炉では、被覆管の高温特性を理由に冷却水の高温化による発電効率の向上は、非常に困難であった。
一方、近年において超臨界水を用いた超臨界圧水炉(原子力百科辞典「ATOMICA」スーパー軽水炉(超臨界圧水冷却炉)の開発が進められている。超臨界圧水炉では、水温が約500℃と通常の軽水炉よりも高いため、発電効率は44%と試算される。このように、発電効率を改善するために原子炉の水温を上げることには大きな意義がある。
そこで本実施形態では、被覆管40は、鉄系材料で構成された本体部41と、炭素系材料で構成された内層部42との2層構造を有している。鉄系材料は、ジルコニウム系材料と比較して、高温強度に優れるが中性子の吸収が大きい。一方、炭素系材料は、中性子吸収が極めて小さい。本実施形態の被覆管40は、鉄系材料及び炭素系材料を組み合わせることで、ジルコニウム合金製被覆管と同等の中性子吸収と、ジルコニウム合金製被覆管よりも優れた高温特性及び機械的強度特性を実現する。これにより、被覆管の高温特性を高めることができる。また、高温特性の向上により、冷却材の高温・高圧化が可能となるため、発電効率の向上が図れるようになる。また、超臨界圧水炉のような冷却水温度の非常に高い環境下においても十分な耐久性を有するものと期待される。
本体部41を構成する鉄系材料としては、例えば各種鉄鋼材料が挙げられ、典型的にはステンレススチールが採用可能である。ステンレススチールは、耐食性及び高温強度に優れるため、高温・高圧下においても優れた耐久性が得られる。ステンレススチールは、オーステナイト系、フェライト系等の各種ステンレススチールが採用可能である。
一方、内層部42を構成する炭素系材料としては、黒鉛(グラファイト)、炭素系複合材料等が挙げられるが、本実施形態では、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ等のカーボンナノ材料で内層部42が構成される。カーボンナノ材料は、高温特性及び機械的強度特性に優れるため、高温・高圧水下においても十分な耐久性を得ることができる。
内層部42は、本体部41とは別に作製した後、本体部41に内装されてもよいし、本体部41の内部に直接形成されてもよい。本実施形態では、本体部41の内周面に直接カーボンナノチューブを成長させることで、内層部42を形成している。カーボンナノチューブは、炭化水素ガスを反応ガスとして熱CVD法やプラズマCVD法等で鉄等の触媒金属上に成長させることができる。従って、例えば本体部41をステンレススチール管で構成し、それをアセチレン等の炭化水素系ガスをその熱分解温度に加熱し、内部に当該炭化水素系ガスを導入することで、本体部41の内面に内層部42を形成することが可能である。
カーボンナノチューブの製造方法は上記の例に限られず、他の手法が採用されてもよい(例えば特許第4581146号公報参照)。
図3に示すように内層部42は、内径D1を有する。内径D1は、燃料ペレットNの外形よりも若干大きく形成されている。内層部42と燃料ペレットNとの間に形成される隙間gは、燃料ペレットNの発熱時の膨張量を考慮して設定される。
本体部41の内径をD2、外径をD3とする。図3の例では、本体部41の肉厚は(D3−D2)/2、内層部42の肉厚は(D2−D1)/2とそれぞれ表される。本体部41及び内層部42の厚さは特に限定されず、被覆管40の直径や厚さ等に応じて適宜設定可能である。例えば内層部42は、本体部41よりも大きな厚さで構成されてもよい。これにより、鉄系材料を含むことによる被覆管全体としての中性子吸収が抑えられ、ジルコニウム合金製被覆管と比較したときの中性子増倍係数(臨界固有値)の減少を抑制することができる。また、本体部41の肉厚を低減しつつ被覆管全体としての強度を確保することができる。
本実施形態において、本体部41の肉厚は、被覆管40の厚さ((D3−D1)/2)の1/3程度とされる。例えば、被覆管40の外径(D3)が11mmの場合、D1=9.5mm、D2=10.5mmとなる。本体部41の厚み小さいほどよいが、被覆管として要求される強度が確保できる限りにおいて、その値は特に限定されない。一例として、本体部41は0.1mm以上の厚さを有する。
図4は、被覆管の構成材料を異ならせて原子炉の特性を評価したシミュレーション結果の一例である。原子炉の特性を決める物理量として、中性子増倍係数(臨界固有値)がある。実際の原子炉の炉心は複雑な構造を有しているが、図2に示すように燃料棒が正方格子状に無限配置された仮想的な原子炉の中性子増倍係数を求めることで、原子炉の性能を比較することができる。
原子炉モデルには、超臨界圧水炉を用いた。標準的な加圧水型炉では、燃料棒の直径は約9mm、被覆管の肉厚が約0.6mm、被覆管内面と燃料ペレットとの隙間は約0.05mmである。この寸法で、燃料ペレットのU-235の濃縮度を1%から7%まで1%毎に変化させ、超臨界圧水炉の条件である水温約500℃、水密度0.3[g/cc]から臨界固有値を求めた。超臨界圧水炉は、水温度と水密度とが現行の軽水炉と大きく異なるので、簡易手法で臨界固有値を正確に求めることは難しいが、連続エネルギーモンテカルロシミュレーションによって原子核反応のレベルにさかのぼって、実験に匹敵する精度で求めることができる。
図4において、縦軸は臨界固有値、横軸はU-235の濃縮度である。ここで、縦軸の臨界固有値は、U-235の濃縮度が3%、燃料ペレット温度と水温が20℃、水密度が1[g/cc]、被覆管がジルコニウム合金(ジルカロイ-4:ジルコニウム98.4% スズ1.3% 鉄0.2% クロム0.1%)の一層構造であるときの臨界固有値(以下、基準臨界固有値ともいう。)との差で示した。燃料棒の配置間隔(ピッチP1)は、12mmとした。
図4において、S1〜S4は、シミュレーションに用いた直径9mm、厚さ0.6mmの被覆管モデルを示す。ここで、サンプルS1は単層のカーボンナノチューブで構成された被覆管モデルを示し、サンプルS2は、通常の軽水炉で広く用いられている単層のジルコニウム合金で構成された被覆管モデルを示す。サンプルS3はステンレススチール(厚さ0.2mm)の外層とカーボンナノチューブ(厚さ0.4mm)の内層とを有する二層構造の被覆管モデルを示し、本実施形態の被覆管40の構成に相当する。そしてサンプルS4は単層のステンレススチールで構成された被覆管モデルを示す。
図4に示すように、サンプルS1〜S4の臨界固有値はいずれも、基準臨界固有値よりも低い。その原因は、水密度が1[g/cc]から0.3[g/cc]と約1/3となることで中性子の減速が進まず、核分裂反応が少なくなることと、燃料ペレットのドップラー効果で中性子吸収が増えることによる。通常の軽水炉で期待される負の温度効果(温度が上がると反応が減る効果)が典型的に現れていることがわかる。
図4の結果から、サンプルS1、サンプルS2及びサンプルS3の臨界固有値はそれぞれ類似しているが、サンプルS4の臨界固有値はこれらよりも著しく低いことがわかる。このことから、ステンレススチール単層で被覆管を構成するよりも、ステンレススチールとカーボンナノチューブとの2層構造で被覆管を構成する方が、原子炉として特性が優れることが確認された。
ステンレススチールとカーボンナノチューブの二層構造からなる被覆管について、ステンレススチールの厚さを変えたときの臨界固有値を図5に示す。図5において、サンプルS5は、ステンレススチール層の厚さを0.1mm(カーボンナノチューブ層の厚さ0.5mm)とした被覆管モデルを示し、サンプルS6は、ステンレススチール層の厚さを0.3mm(カーボンナノチューブ層の厚さ0.3mm)とした被覆管モデルを示している。図5において比較として示すサンプルS1〜S4は、図4に示したサンプルS1〜S4と同一である。
ステンレススチール管の製造限界に近いと考えられるサンプルS5は、現行のジルコニウム被覆管(サンプルS2)と同等の臨界固有値となることがわかる。一方、ステンレススチール層の厚みとカーボンナノチューブ層の厚みが相互に等しいサンプルS6については、ステンレススチール単層構造の被覆管(サンプルS4)と比較して、臨界固有値の改善が著しいことが確認された。
次に図6を参照して、ステンレススチール層の厚さが0.2mm(カーボンナノチューブ層の厚さ0.4mm)の二層構造の被覆管(サンプルS3)と、ステンレススチール単層構造の被覆管(サンプルS4)との効果の違いを説明する。
サンプルS4でU-235の濃縮度7%の臨界固有値と等しくなるサンプルS3のU-235の濃縮度は、約5%となる。同様に、サンプルS4の濃縮度6%に相当する臨界固有値はサンプルS3の濃縮度で4.4%程度、サンプルS4の濃縮度5%に相当する臨界固有値は、サンプルS3の濃縮度で3.5%程度となる。このことから、厚さ0.2mmのステンレススチール管にカーボンナノチューブを0.4mm程度内張りした被覆管を用いることで、5%以下のU-235の濃縮度の燃料で、ステンレススチール被覆管と5%超燃料と同等の効果を出せることがわかる。
続いて、燃料棒のピッチを14mmとして上述と同様な手法でサンプルS1〜S4の臨界固有値を評価したときのシミュレーション結果を図7に示す。
超臨界圧水炉は、水密度が現行の軽水炉の約1/2となるために、臨界固有値は低くなる。臨界固有値を決める重要な要素である水の量は、図2に示したような燃料棒4を頂点とする正方形の領域の面積で決まる。燃料棒ピッチが12mmのときと14mmのときとで比較すると、水の面積は約1.75倍となる。これは、通常の加圧水型炉(燃料棒ピッチが12mm)の水の量と同等か若干大きい。なぜならば、加圧水型炉では水の温度が約300℃で水密度が0.5[g/cc]と超臨界圧水炉の0.3[g/cc]よりも大きくなるからである。
図7に示すように、燃料棒ピッチが14mmのときの臨界固有値は、燃料棒ピッチが12mmのときの臨界固有値よりも、5%程度増える。図7の例では、サンプルS1、サンプルS2、サンプルS3及びサンプルS4の順で臨界固有値は大きく、ウランU-235の濃縮度の増加に対する変化の割合も、図4に示した例と変わらない。
U-235濃縮度が5%以下の燃料ペレットを用いることができるので、現行のウラン加工設備で燃料を製造することができる。
以上のように本実施形態によれば、被覆管40をステンレススチールとカーボンナノチューブの二層構造とすることにより、高温高圧水下においても良好な耐久性を得ることができる。これにより超臨界圧水炉のような過酷な冷却水条件下においても十分な耐久性を有する被覆管を提供することができるため、発電効率の改善を図ることができる。
また本実施形態によれば、中性子吸収の比較的小さい被覆管を構成することができるため、ウランの濃縮度を過度に増加させることなく現行の軽水炉と同等の原子炉特性を得ることができる。また、燃料棒のピッチを最適化することにより、現行の軽水炉よりも優れた原子炉特性を得ることも可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば以上の実施形態では、本発明に係る被覆管を超臨界圧水炉に適用した例について主に説明したが、勿論これに限られず、現行の加圧水型炉や沸騰水型炉用の燃料被覆管にも、本発明は適用可能である。
また、被覆管を構成するステンレススチール層(本体部)とカーボンナノチューブ層(内層部)との厚み割合や、燃料棒ピッチ等は、上述の例に限られず、仕様に応じて適宜変更することが可能である。
1…圧力容器
2…燃料集合体
3…冷却水
4…燃料棒
5…制御棒
6…タービン
7…熱交換器
8…ポンプ
10…原子炉
40…被覆管
41…本体部
42…内層部
N…燃料ペレット

Claims (5)

  1. 原子燃料を収容可能であり、鉄系材料で構成された筒状の本体部と、
    前記本体部の内周面に形成され、炭素系材料で構成された内層部と
    を具備する被覆管。
  2. 請求項1に記載の被覆管であって、
    前記鉄系材料は、ステンレススチールである
    被覆管。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の被覆管であって、
    前記炭素系材料は、カーボンナノチューブである
    被覆管。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被覆管であって、
    前記内層部は、前記本体部よりも大きな厚みを有する
    被覆管。
  5. 圧力容器と、
    鉄系材料で構成された筒状の本体部と、前記本体部の内周面に形成され炭素系材料で構成された内層部とを有する複数の被覆管と、前記複数の被覆管各々に封入された原子燃料とを含み、前記圧力容器内に設置された燃料集合体と、
    前記圧力容器に加圧供給され前記燃料集合体を冷却する冷却材と
    を具備する原子炉。
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