JPH0866921A - 繊維強化プラスチック成形用中間素材及びその成形体並びにその製造方法 - Google Patents

繊維強化プラスチック成形用中間素材及びその成形体並びにその製造方法

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JPH0866921A
JPH0866921A JP6205801A JP20580194A JPH0866921A JP H0866921 A JPH0866921 A JP H0866921A JP 6205801 A JP6205801 A JP 6205801A JP 20580194 A JP20580194 A JP 20580194A JP H0866921 A JPH0866921 A JP H0866921A
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JP
Japan
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fiber
heat
reinforced plastic
shrinkable
curing agent
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JP6205801A
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English (en)
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Hiroyuki Uchino
洋之 内野
Hiroaki Yamashita
博明 山下
Yasuo Nagata
保雄 永田
Atsuo Morii
惇雄 森井
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Nippon Steel Corp
Suzuki Metal Industry Co Ltd
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Suzuki Metal Industry Co Ltd
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B2201/00Ropes or cables
    • D07B2201/20Rope or cable components
    • D07B2201/2015Strands
    • D07B2201/2034Strands comprising crossing wires or filaments in the same layer
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B2205/00Rope or cable materials
    • D07B2205/30Inorganic materials
    • D07B2205/3007Carbon

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  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】塗装や接着等の二次加工性に優れた繊維強化プ
ラスチック成形体及びこれを製造するのに有用な繊維強
化プラスチック成形用中間素材並びにこれらの製造方法
を提供する。 【構成】マトリックス樹脂含浸の強化繊維からなるプリ
プレグ又はその賦形物に熱収縮性繊維を被覆してなり、
上記マトリックス樹脂中の潜在性硬化剤が、被覆した熱
収縮性繊維の熱収縮開始温度では粒状固体であって、そ
の粒径が強化繊維の平均間隙より大きい繊維強化プラス
チック成形用中間素材である。また、上記の繊維強化プ
ラスチック成形用中間素材を硬化させて製造される繊維
強化プラスチック成形体及びその製造方法である。 【効果】本発明によって製造される維強化プラスチック
成形体はその表面が未硬化の状態であるため、加熱溶融
処理や有機溶媒による溶解処理等によって容易に表面の
改質ができ、塗装や接着等の二次加工性が著しく向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化プラスチック
成形用中間素材及びこれを使用して形成される繊維強化
プラスチック成形体並びにその製造方法に関する。繊維
強化プラスチックは、機械強度、寸法精度、耐候性等の
諸特性に優れ、スポーツ用品、土木建築用構造部材、自
動車部品、航空宇宙材料等として利用されている。
【0002】
【従来の技術】繊維強化プラスチック成形体の製造方法
としては、強化繊維の不織布、ヤーン、クロスあるいは
一方向に引き揃えた繊維束又はこれらを組み合わせた強
化繊維に硬化剤及び/又は硬化促進剤を含む熱硬化性樹
脂を含浸させたいわゆるプリプレグを所定の形状に賦形
し、その後加熱硬化させる方法が一般的である。そし
て、製造された繊維強化プラスチック成形体はそのまま
使用することもあるが、多くの場合、接着加工や塗装処
理を行うため、表面を平滑にして十分な接着強度や塗装
強度を得る必要があり、繊維強化プラスチック成形体の
表面にブラスティングやサンディング等の研磨処理を施
し、その表面を改質することが行われている。
【0003】しかしながら、従来の繊維強化プラスチッ
ク成形体の表面は極めて強固であり、熱可塑性樹脂の二
次加工で行われるような火陥処理等の加熱溶融処理や有
機溶媒による溶解処理では表面改質の効果が得られず、
研磨等の機械処理によって表面の改質をせざるを得ない
という問題がある。しかも、従来の技術では、マトリッ
クス樹脂やその硬化条件を改良することにより、得られ
る繊維強化プラスチック成形体の表面の改質を容易に行
うことができるようにしようとすると、繊維強化プラス
チック成形体全体の特性が変化し、かえって製品全体の
特性を損なうことがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、このような従来の問題を解決するために鋭意研究を
重ねた結果、外表部の樹脂の硬化剤の割合が内部のプリ
プレグ部分の樹脂の硬化剤の割合より低い繊維強化プラ
スチック成形用中間素材を用いて繊維強化プラスチック
成形体を形成すると、加熱硬化させた際に、その内部と
外表部との間に硬化状態の差が生じ、プリプレグ内部は
硬化しているにもかかわらず外表部の樹脂は未硬化状態
のままで残り、その後の塗装や接着等の二次加工におけ
る加工性(二次加工性)を改善できることを見出し、本
発明を完成した。
【0005】従って、本発明の目的は、外表部の樹脂の
硬化剤の割合が内部のプリプレグ部分の樹脂の硬化剤の
割合より低い繊維強化プラスチック成形用中間素材を提
供することである。
【0006】また、本発明の他の目的は、繊維強化プラ
スチック成形用中間素材を加熱硬化させ、その中心部分
は十分に硬化しており、外表部だけが未硬化の状態であ
って、その後の塗装処理や接着加工等の二次加工性を改
善することのできる繊維強化プラスチック成形体を提供
することである。
【0007】更に、本発明の他の目的は、繊維強化プラ
スチック成形用中間素材を加熱硬化させ、その中心部分
は十分に硬化しており、外表部だけが未硬化の状態であ
って、その後の塗装処理や接着加工等の二次加工性を改
善することのできる繊維強化プラスチック成形体を製造
する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、潜
在性硬化剤を含むマトリックス樹脂含浸の強化繊維によ
り形成されたプリプレグ又はその賦形物に、熱収縮性繊
維を被覆して形成された繊維強化プラスチック成形用中
間素材であって、上記潜在性硬化剤は、被覆した熱収縮
性繊維の熱収縮開始温度では粒状固体であり、その粒径
が強化繊維の平均間隙より大きいことを特徴とする繊維
強化プラスチック成形用中間素材である。
【0009】また、本発明は、上記の繊維強化プラスチ
ック成形用中間素材を用いて形成され、被覆した熱収縮
性繊維より内側の樹脂が実質的に硬化しており、かつ、
被覆した熱収縮性繊維より外側に滲み出した樹脂が実質
的に未硬化であることを特徴とする繊維強化プラスチッ
ク成形体であり、被覆した熱収縮性繊維より外側に滲み
出した樹脂の潜在性硬化剤の割合が、被覆した熱収縮性
繊維より内側の樹脂の潜在性硬化剤の割合より低い繊維
強化プラスチック成形用中間素材を硬化させて得られた
繊維強化プラスチック成形体である。
【0010】また、本発明は、上記の繊維強化プラスチ
ック成形用中間素材を用いて繊維強化プラスチック成形
体を形成するに際し、被覆した熱収縮性繊維の熱収縮開
始温度よりも高い温度で加熱して被覆した熱収縮性繊維
の収縮力により繊維強化プラスチック成形用中間素材の
表面に樹脂を滲み出させ、表面に滲み出した樹脂の潜在
性硬化剤の割合をプリプレグ内部の樹脂の潜在性硬化剤
の割合より低くすることを特徴とする繊維強化プラスチ
ック成形体の製造方法である。
【0011】また、本発明は、潜在性硬化剤を含むマト
リックス樹脂含浸の強化繊維により形成されたプリプレ
グを束ね、熱収縮性繊維を組み紐状に編みつつこの束ね
られたプリプレグを被覆して繊維強化プラスチック成形
用中間素材を形成し、得られた繊維強化プラスチック成
形用中間素材を硬化させて製造される繊維強化プラスチ
ック製ロープであって、上記潜在性硬化剤は、被覆した
熱収縮性繊維の熱収縮開始温度では粒状固体であり、そ
の粒径が強化繊維の平均間隙より大きく、かつ、被覆し
た熱収縮性繊維より外側に滲み出した樹脂の潜在性硬化
剤の割合が、被覆した熱収縮性繊維より内側の樹脂の潜
在性硬化剤の割合より低いことを特徴とする繊維強化プ
ラスチック製ロープである。
【0012】また、本発明は、潜在性硬化剤を含むマト
リックス樹脂含浸の強化繊維により形成されたプリプレ
グを束ね、熱収縮性繊維を組み紐状に編みつつこの束ね
られたプリプレグを被覆して繊維強化プラスチック成形
用中間素材を形成し、得られた繊維強化プラスチック成
形用中間素材に撚りをかけつつ複数本束ねて硬化させて
製造される繊維強化プラスチック製ケーブルであって、
上記潜在性硬化剤は、被覆した熱収縮性繊維の熱収縮開
始温度では粒状固体であり、その粒径が強化繊維の平均
間隙より大きく、かつ、被覆した熱収縮性繊維より外側
に滲み出した樹脂の潜在性硬化剤の割合が、被覆した熱
収縮性繊維より内側の樹脂の潜在性硬化剤の割合より低
いことを特徴とする繊維強化プラスチック製ケーブルで
ある。
【0013】更に、本発明は、潜在性硬化剤を含むマト
リックス樹脂含浸の強化繊維により形成されたプリプレ
グを束ね、熱収縮性繊維を組み紐状に編みつつこの束ね
られたプリプレグを被覆して繊維強化プラスチック成形
用中間素材を形成し、上記潜在性硬化剤は被覆した熱収
縮性繊維の熱収縮開始温度では粒状固体であってその粒
径が強化繊維の平均間隙より大きく、上記繊維強化プラ
スチック成形用中間素材の複数本を束ねてこれに撚りを
かけつつ熱収縮性繊維の熱収縮開始温度よりも高い温度
で加熱し、被覆した繊維の収縮力により樹脂を成形用中
間素材の表面に滲み出させつつ硬化させることを特徴と
する繊維強化プラスチック製ケーブルの製造方法であ
る。
【0014】以下、本発明の製造方法を詳細に説明す
る。本発明における成形用中間素材を構成する強化繊維
としては、通常繊維強化プラスチックに使用されるもの
でよく、ガラス繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)
系あるいはピッチ系の炭素繊維、アラミド繊維等が使用
でき、強化繊維の形態は、不織布、ヤーン、クロスある
いは一方向に引き揃えた繊維束であり、これらは組み合
わせて使用することもできる。
【0015】また、本発明で用いる樹脂としては、通常
プリプレグに用いられるものでよく、例えばビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グ
リシジルアミン型エポキシ樹脂等を用いることができ、
これらは1種でも使用できるが2種以上を併用すること
もできる。また、一般のエポキシ樹脂に常用されている
他の添加剤、例えば染料、顔料、耐炎剤、有機溶剤、滑
剤などを加えて使用してもよい。
【0016】本発明で用いる潜在性硬化剤とは、エポキ
シ樹脂を一液性により硬化させるために、常温では反応
性を持たないが一定温度以上の温度では反応性を示して
作用する硬化剤である。公知の潜在性硬化剤としては、
例えばジシアンジアミド、アミン塩、三ふっ化ほう素・
アミン錯化合物、ほう化アミン錯化合物等が知られてい
る。また、通常の硬化剤をマイクロカプセルを用いて被
覆して潜在性とした形の潜在型硬化剤も実用化されてい
る。本発明に好適な潜在型硬化剤は、融点又は反応温度
に達する前には樹脂に完全可溶であってはならず、プリ
プレグを構成する繊維の平均間隙よりも大きな固体状態
ではなくてはならない。
【0017】ここで、繊維の平均間隙は、実測によって
求める他に、下記の式(1)によっても近似的に求める
ことができる。 繊維の平均間隙=1.07×(Sf/Vf)1/2 −D (1) (ただし、前記式(1)中、Sfは強化繊維一本の断面
積であり、Vfは強化繊維の体積分率であり、Dは強化
繊維一本の直径である。)また、公知の硬化促進剤を少
量添加することも可能であるが、その量は潜在硬化剤の
特徴を阻害しない程度の量に抑える必要がある。
【0018】更に、本発明において、繊維強化プラスチ
ック成形用中間素材を構成する樹脂組成物と強化繊維と
の比率は、通常のプリプレグと同様に製品設計上の要求
物性が得られるように決定すればよく、一般には硬化後
にプリプレグ内部の強化繊維の体積分率(Vf)として
は、0.2〜0.8、好ましくは0.4〜0.75であ
る。このVfが0.2より小さくなると、式(1)から
明らかなように、繊維の平均間隙が広くなり、使用する
潜在性硬化剤のサイズが大きいものを使用せざるを得な
くなるため硬化時間が長くなる恐れがある。また、0.
8より大きくなると、繊維の平均間隙が狭くなって樹脂
が滲み出なくなり、またボイドが発生しやすくなるため
好ましくない。
【0019】本発明において適用できる被覆用の熱収縮
性繊維としては、潜在性硬化剤が溶融、ないしはエポキ
シ樹脂に溶解または反応して強化繊維の平均間隙以下の
サイズとなる温度よりも低い温度で熱収縮を開始する繊
維であり、好ましくは熱収縮開始温度が40〜180℃
である。この熱収縮性繊維の熱収縮開始温度は、潜在性
硬化剤が熱収縮開始温度で固体状態であるための温度で
ある。
【0020】被覆用の熱収縮性繊維としては、例えば、
延伸処理したポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニリデン、ポリビニルエステル、ポリアミドあるい
はアラミド等の合成繊維の一種又は2種以上を混紡した
繊維等の中から熱収縮開始温度が潜在性硬化剤の反応温
度よりも低いものを選ぶことができる。繊維の形態は、
単糸、より糸あるいは引き揃え糸等の糸状、テープ、リ
ボンあるいはロービングクロス、ステープルクロス等の
織物状、又は熱収縮性繊維と非熱収縮性繊維とを組み合
わせた混紡糸やクロス等を用いることができる。
【0021】被覆後の熱収縮性繊維の間隙は5μm〜2
0mmが好ましく、この間隙が5μmより狭いと樹脂が
被覆の外に滲みだすのを阻害し、また、20mmより広
いと熱収縮性繊維の収縮力が減少してしまう。また、熱
収縮性繊維の間隙が1mm未満の場合における熱収縮性
繊維の被覆厚みは5μm〜3mmが好ましく、この被覆
厚みが5μmより薄いと樹脂の滲み出しが過剰になって
樹脂が垂れ落ちることがあり、また、3mmより厚いと
樹脂が表面まで滲み出さないことがある。
【0022】本発明における繊維強化プラスチック成形
用中間素材の製造方法は公知の種々の方法を用いること
ができる。例えば、粒状の潜在性硬化剤とエポキシ樹脂
とをロールミルまたはニーダーにて混練し、強化繊維ス
トランドに含浸させプリプレグとしてシートワインディ
ング、積層あるいは集束等の公知の方法によって賦形す
る。この賦形したプリプレグに熱収縮性の繊維を直接巻
き付けるか、あるいは熱収縮性の繊維をクロス等に加工
したものを巻き付ける等によって製造できる。このよう
にして製造された繊維強化プラスチック成形用中間素材
を、潜在性硬化剤の反応温度よりも高い温度に加熱して
硬化させることによって繊維強化プラスチック成形体を
製造することができる。
【0023】かくして得られた繊維強化プラスチック成
形用中間素材は、被覆した繊維の熱収縮開始温度よりも
高い温度で加熱した際に、被覆した繊維が熱収縮して、
樹脂が繊維強化プラスチック成形用中間素材の表面に滲
み出る。そして、この際に、被覆した熱収縮繊維より外
側では表面に滲み出した樹脂によりその潜在性硬化剤の
割合が低下し、反対に、被覆した熱収縮繊維より内側で
は表面に滲み出した樹脂によりその潜在性硬化剤の割合
が高くなっている。更に加熱をして硬化を進めた場合に
は、表面に滲み出した樹脂の潜在性硬化剤の割合が、プ
リプレグ内部の潜在性硬化剤の割合より低いため、最外
表が実質的に未硬化状態の繊維強化プラスチック成形体
となる。ここで、硬化の程度は樹脂のメチルエチルケト
ン可溶分率で示される。
【0024】
【作用】本発明における繊維強化プラスチック成形用中
間体は、潜在性硬化剤を含む強化繊維により形成された
プリプレグが熱収縮性繊維により被覆されており、ま
た、上記潜在性硬化剤は、被覆した熱収縮繊維の熱収縮
開始温度以下では、強化繊維の平均間隙よりも粒径が大
きい粒状固体である。そのため、被覆した熱収縮繊維の
熱収縮開始温度に加熱すると、潜在性硬化剤の溶融やエ
ポキシ樹脂への溶解又は反応が始まる以前に被覆した熱
収縮繊維の熱収縮が起こりエポキシ樹脂が表面に滲み出
す。このとき、潜在性硬化剤は、強化繊維の間隙よりも
大きいために繊維と繊維との間から外表部に滲み出さず
にプリプレグ内部に留まり、表面に滲み出した樹脂の潜
在性硬化剤の割合がプリプレグ内部の潜在性硬化剤の割
合より低くなるものと推定される。この結果、被覆した
熱収縮繊維の熱収縮開始温度よりも高い温度で加熱硬化
させた場合には、表面が未硬化でプリプレグ内部だけが
硬化した繊維強化プラスチック成形体が得られる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の繊維強化プラスチック成形用
中間素材及びその成形体並びにその製造方法を実施例に
よって具体的に説明する。
【0026】なお、実施例及び比較例中の硬化程度の判
定は、樹脂のメチルエチルケトン可溶分率により行っ
た。すなわち、繊維強化プラスチック成形体を23℃の
メチルエチルケトンに24時間浸漬し、樹脂の50重量
%以上が溶け出した場合には未硬化とし、溶け出した量
が20重量%未満の場合には硬化と判定した。
【0027】実施例1 フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アラルダイトE
CN1273(日本チバ・ガイギー社製)30重量部、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピコート828
(油化シェルエポキシ社製)40重量部、並びに30重
量部の同エピコート1004からなるエポキシ樹脂に、
潜在型硬化剤として平均粒径7μmのジシアンジアミド
5重量部(対樹脂100部)及び硬化促進剤として、1
重量部の3(3,4−ジクロルフェニル)−1,1−ジ
メチル尿素(対樹脂100部)からなる樹脂組成物を調
整した。このエポキシ樹脂組成物を115℃に加熱した
が、ジシアンジアミドは、平均粒径5μmの固体状態で
あった。また、135℃では固体が消失した。このエポ
キシ樹脂組成物に繊維径9μm、構成本数3000本の
ピッチ系炭素繊維50本を引き揃えて含浸させ、直径
4.1mmの棒状のプリプレグとした。このプリプレグ
の炭素繊維体積分率(Vf)は0.68であり、炭素繊
維の平均間隙は式(1)より1.35μmであった。
【0028】次いで、このプリプレグに110℃で熱収
縮を開始する500デニールのテトロン単糸を約1mm
間隔で螺旋状にたわみがないように巻き付けた。このと
きの被覆厚みは0.5mmであった。かくして図1及び
図2に示すような炭素繊維強化プラスチック成形用中間
素材を得た。なお、図1及び図2中、符号aは強化繊維
であり、符号bは熱収縮性繊維であり、符号cは潜在性
硬化剤であり、また、符号dはエポキシ樹脂である。
【0029】この炭素繊維強化プラスチック成形用中間
素材を130℃で60分間加熱し、図3に示すような棒
状の炭素繊維強化プラスチック成形体を得た。なお、図
3中、符号aは強化繊維であり、符号bは熱収縮性繊維
であり、また、符号eは外表部に滲み出した未硬化樹脂
である。この炭素繊維強化プラスチック成形体の被覆繊
維より内側の中心を含む部分を切り出し、被覆繊維より
外側の最外表を含む部分を切り取ってそれぞれの硬化程
度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0030】比較例1 プリプレグの炭素繊維体積分率(Vf)を0.30、式
1より空隔を6.58μm、ジシアンジアミドの平均粒
径を6μmとした以外は実施例1と同様の方法で炭素繊
維強化プラスチック成形体を作成し、同様の測定を行っ
た。その測定結果を表1に示す。
【0031】比較例2 被覆繊維を熱収縮開始温度140℃のポリプロピレンス
パン糸(500デニール)とした以外は実施例1と同様
の方法で炭素繊維強化プラスチック成形体を作成し、同
様の測定を行った。その測定結果を表1に示す。
【0032】実施例2 フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アラルダイトE
CN1273(日本チバ・ガイギー社製)30重量部、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピコート828
(油化シェルエポキシ社製)50重量部、並びに20重
量部の同エピコート1004からなるエポキシ樹脂に、
カプセルタイプの潜在型硬化剤として平均粒径10μm
のアミンダクト系硬化剤PN23(味の素社製)20重
量部(対樹脂100部)からなる樹脂組成物を調整し
た。このエポキシ樹脂組成物を90℃に加熱したが、ジ
シアンジアミドは平均粒径10μmの固体状態であっ
た。また、100℃では固体が消失した。このエポキシ
樹脂組成物に繊維径10μm、構成本数700本のガラ
ス繊維200本を引き揃えて含浸させ、直径25mmの
アルミ管に巻き付けた。アルミ管に巻き付けたプリプレ
グの炭素繊維体積分率(Vf)は0.70であり、炭素
繊維の平均間隙は式(1)より1.3μmであった。
【0033】次いで、このプリプレグをアルミ管に巻い
た状態で、85℃で熱収縮を開始する500デニールの
テトロン単糸を約1mm間隔で螺旋状にたわみがないよ
うに巻き付け、ガラス繊維強化プラスチック成形用中間
素材を得た。
【0034】このガラス繊維強化プラスチック成形用中
間素材を130℃で60分間加熱し、管状のガラス繊維
強化プラスチック成形体を得た。このガラス繊維強化プ
ラスチック成形体の被覆繊維より内側の部分を切り出
し、被覆繊維より外側の最外表を含む部分を切り取って
それぞれの硬化程度を測定した。測定結果を表1に示
す。
【0035】
【表1】
【0036】実施例3 実施例1で製造した炭素繊維強化プラスチック成形用中
間素材を7本束ね、2回/mピッチで撚りをかけながら
実施例1の条件で硬化させ、図4に示すような炭素繊維
強化プラスチック製ケーブルを得た。なお、図4中、符
号aは強化繊維であり、また、符号bは熱収縮性繊維で
ある。この炭素繊維強化プラスチック製ケーブルの一端
をメチルエチルケトンで洗浄して未硬化のエポキシ樹脂
分を取り除きセメント中に埋め込み7日間養生した後、
セメントを割って炭素繊維強化プラスチック製ケーブル
とセメントの界面を観察した。セメントが被覆繊維の間
隙にまで入り込み強固に接着されていることがわかっ
た。
【0037】
【発明の効果】本発明方法によって得られる繊維強化プ
ラスチック成形体は、そのプリプレグ内部は硬化してい
るにもかかわらず、外表部の樹脂は未硬化状態のままで
あるため、従来の繊維強化プラスチック成形体のように
研磨等の機械処理によって表面の改質を行う必要がな
く、加熱溶融処理や有機溶媒にによる溶解処理等の方法
によって容易に表面の改質ができ、塗装や接着等の二次
加工性が著しく向上する効果がある。
【0038】また、この繊維強化プラスチック成形用中
間素材を用いた繊維強化プラスチック製ケーブルは、容
易に表面の樹脂分を除去することができ、セメント等と
の接着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の繊維強化プラスチック成形
用中間素材の例の概略図である。
【図2】 図2は、本発明の図1A部の部分拡大図の概
略図である。
【図3】 図3は、本発明の繊維強化プラスチック成形
体の例の概略図である。
【図4】 図4は、本発明の繊維強化プラスチック製ケ
ーブルの例の概略図である。
【符号の説明】
a…強化繊維、b…熱収縮性繊維、c…潜在性硬化剤、
d…エポキシ樹脂、e…外表部に滲み出した未硬化樹
脂。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 105:08 (72)発明者 山下 博明 埼玉県北葛飾郡杉戸町高野台西6−1−15 (72)発明者 永田 保雄 千葉県木更津市清見台南4−12 T2棟 (72)発明者 森井 惇雄 千葉県習志野市東習志野7丁目5番1号 鈴木金属工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潜在性硬化剤を含むマトリックス樹脂含
    浸の強化繊維により形成されたプリプレグ又はその賦形
    物に、熱収縮性繊維を被覆して形成された繊維強化プラ
    スチック成形用中間素材であって、上記潜在性硬化剤
    は、被覆した熱収縮性繊維の熱収縮開始温度では粒状固
    体であり、その粒径が強化繊維の平均間隙より大きいこ
    とを特徴とする繊維強化プラスチック成形用中間素材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の繊維強化プラスチック成
    形用中間素材を用いて形成され、被覆した熱収縮性繊維
    より内側の樹脂が実質的に硬化しており、かつ、被覆し
    た熱収縮性繊維より外側に滲み出した樹脂が実質的に未
    硬化であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形
    体。
  3. 【請求項3】 被覆した熱収縮性繊維より外側に滲み出
    した樹脂の50重量%以上がメチルエチルケトンに可溶
    であり、かつ、被覆した熱収縮性繊維より内側の樹脂の
    80重量%以上がメチルエチルケトンに不溶であること
    を特徴とする請求項2記載の繊維強化プラスチック成形
    体。
  4. 【請求項4】 被覆した熱収縮性繊維より外側に滲み出
    した樹脂の潜在性硬化剤の割合が、被覆した熱収縮性繊
    維より内側の樹脂の潜在性硬化剤の割合より低い繊維強
    化プラスチック成形用中間素材を硬化させて得られたこ
    とを特徴とする請求項2記載の繊維強化プラスチック成
    形体。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の繊維強化プラスチック成
    形用中間素材を用いて繊維強化プラスチック成形体を形
    成するに際し、被覆した熱収縮性繊維の熱収縮開始温度
    よりも高い温度で加熱して被覆した熱収縮性繊維の収縮
    力により繊維強化プラスチック成形用中間素材の表面に
    樹脂を滲み出させ、表面に滲み出した樹脂の潜在性硬化
    剤の割合をプリプレグ内部の樹脂の潜在性硬化剤の割合
    より低くすることを特徴とする繊維強化プラスチック成
    形体の製造方法。
  6. 【請求項6】 潜在性硬化剤を含むマトリックス樹脂含
    浸の強化繊維により形成されたプリプレグを束ね、熱収
    縮性繊維を組み紐状に編みつつこの束ねられたプリプレ
    グを被覆して繊維強化プラスチック成形用中間素材を形
    成し、得られた繊維強化プラスチック成形用中間素材を
    硬化させて製造される繊維強化プラスチック製ロープで
    あって、上記潜在性硬化剤は、被覆した熱収縮性繊維の
    熱収縮開始温度では粒状固体であり、その粒径が強化繊
    維の平均間隙より大きく、かつ、被覆した熱収縮性繊維
    より外側に滲み出した樹脂の潜在性硬化剤の割合が、被
    覆した熱収縮性繊維より内側の樹脂の潜在性硬化剤の割
    合より低いことを特徴とする繊維強化プラスチック製ロ
    ープ。
  7. 【請求項7】 潜在性硬化剤を含むマトリックス樹脂含
    浸の強化繊維により形成されたプリプレグを束ね、熱収
    縮性繊維を組み紐状に編みつつこの束ねられたプリプレ
    グを被覆して繊維強化プラスチック成形用中間素材を形
    成し、得られた繊維強化プラスチック成形用中間素材に
    撚りをかけつつ複数本束ねて硬化させて製造される繊維
    強化プラスチック製ケーブルであって、上記潜在性硬化
    剤は、被覆した熱収縮性繊維の熱収縮開始温度では粒状
    固体であり、その粒径が強化繊維の平均間隙より大き
    く、かつ、被覆した熱収縮性繊維より外側に滲み出した
    樹脂の潜在性硬化剤の割合が、被覆した熱収縮性繊維よ
    り内側の樹脂の潜在性硬化剤の割合より低いことを特徴
    とする繊維強化プラスチック製ケーブル。
  8. 【請求項8】 潜在性硬化剤を含むマトリックス樹脂含
    浸の強化繊維により形成されたプリプレグを束ね、熱収
    縮性繊維を組み紐状に編みつつこの束ねられたプリプレ
    グを被覆して繊維強化プラスチック成形用中間素材を形
    成し、上記潜在性硬化剤は被覆した熱収縮性繊維の熱収
    縮開始温度では粒状固体であってその粒径が強化繊維の
    平均間隙より大きく、上記繊維強化プラスチック成形用
    中間素材の複数本を束ねてこれに撚りをかけつつ熱収縮
    性繊維の熱収縮開始温度よりも高い温度で加熱し、被覆
    した繊維の収縮力により樹脂を成形用中間素材の表面に
    滲み出させつつ硬化させることを特徴とする繊維強化プ
    ラスチック製ケーブルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114986930A (zh) * 2021-03-01 2022-09-02 丰田自动车株式会社 高压罐的制造方法
WO2024210545A1 (ko) * 2023-04-06 2024-10-10 엘에스전선 주식회사 굽힘 특성이 우수한 섬유강화플라스틱 보강부재 및 이의 제조방법

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