JPH0861262A - スクロール型圧縮機 - Google Patents
スクロール型圧縮機Info
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- JPH0861262A JPH0861262A JP19534594A JP19534594A JPH0861262A JP H0861262 A JPH0861262 A JP H0861262A JP 19534594 A JP19534594 A JP 19534594A JP 19534594 A JP19534594 A JP 19534594A JP H0861262 A JPH0861262 A JP H0861262A
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- scroll member
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- drive key
- drive
- force
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- Pending
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-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F04—POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
- F04C—ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
- F04C29/00—Component parts, details or accessories of pumps or pumping installations, not provided for in groups F04C18/00 - F04C28/00
- F04C29/0042—Driving elements, brakes, couplings, transmissions specially adapted for pumps
- F04C29/005—Means for transmitting movement from the prime mover to driven parts of the pump, e.g. clutches, couplings, transmissions
- F04C29/0057—Means for transmitting movement from the prime mover to driven parts of the pump, e.g. clutches, couplings, transmissions for eccentric movement
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- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Rotary Pumps (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 スクロール型圧縮機のスクロール部材間の押
し付け力の過大な増加を防いで、渦巻き形の羽根の異常
な摩耗や、焼きつき、折損等を防止する。 【構成】 可動スクロール部材と駆動軸(拡径部5a)
とを連結する従動クランク機構6の駆動キー10が、駆
動軸の端部にピン10aにより枢着される。可動スクロ
ール部材を支持しているブッシュの中心Cb に作用する
流体の圧縮反力Fは、駆動キー方向の分力FR を有して
おり、これは偏心質量に作用する遠心力とは無関係に、
可動スクロール部材を固定スクロール部材に押し付ける
力となる。分力FR の大きさは駆動キーの傾斜角θの大
きさに応じて変化するから、枢着された駆動キーを弾性
体12によって一方向に付勢して、圧縮反力Fの増大に
応じて傾斜角θが小さくなるようにすると、圧縮反力が
異常に増大する始動時の液圧縮のような場合でも、押し
付け力を適正値に抑えることができる。
し付け力の過大な増加を防いで、渦巻き形の羽根の異常
な摩耗や、焼きつき、折損等を防止する。 【構成】 可動スクロール部材と駆動軸(拡径部5a)
とを連結する従動クランク機構6の駆動キー10が、駆
動軸の端部にピン10aにより枢着される。可動スクロ
ール部材を支持しているブッシュの中心Cb に作用する
流体の圧縮反力Fは、駆動キー方向の分力FR を有して
おり、これは偏心質量に作用する遠心力とは無関係に、
可動スクロール部材を固定スクロール部材に押し付ける
力となる。分力FR の大きさは駆動キーの傾斜角θの大
きさに応じて変化するから、枢着された駆動キーを弾性
体12によって一方向に付勢して、圧縮反力Fの増大に
応じて傾斜角θが小さくなるようにすると、圧縮反力が
異常に増大する始動時の液圧縮のような場合でも、押し
付け力を適正値に抑えることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車用空調装
置用の冷媒圧縮機として用いるのに好適な、スクロール
型の圧縮機に関する。
置用の冷媒圧縮機として用いるのに好適な、スクロール
型の圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平2−176179号公報や特開平
3−233178号公報に、可動スクロール部材の公転
半径を可変とした従動クランク機構を備えているスクロ
ール型圧縮機の従来技術が記載されている。従動クラン
ク機構において可動スクロール部材の公転半径を可変と
することにより、2つのスクロール部材の間に形成され
る流体圧縮ポケットにおいて圧縮された流体の低圧側へ
の漏洩が減少して、スクロール型圧縮機の性能が向上す
ると共に、スクロール部材の渦巻き形の羽根の形状の誤
差や組み付け誤差等が吸収されるので、高精度の加工や
組立の必要がなくなり、コスト面でも有利になるという
ような利点が生じる。
3−233178号公報に、可動スクロール部材の公転
半径を可変とした従動クランク機構を備えているスクロ
ール型圧縮機の従来技術が記載されている。従動クラン
ク機構において可動スクロール部材の公転半径を可変と
することにより、2つのスクロール部材の間に形成され
る流体圧縮ポケットにおいて圧縮された流体の低圧側へ
の漏洩が減少して、スクロール型圧縮機の性能が向上す
ると共に、スクロール部材の渦巻き形の羽根の形状の誤
差や組み付け誤差等が吸収されるので、高精度の加工や
組立の必要がなくなり、コスト面でも有利になるという
ような利点が生じる。
【0003】これらの従動クランク機構を備えた従来の
スクロール型圧縮機においては、2つのスクロール部材
の間の流体圧縮ポケットにおいて冷媒のような流体を圧
縮することによって、可動スクロール部材やそれを支持
しているブッシュに作用する圧縮反力を、ブッシュを含
む従動クランク機構によって、可動スクロール部材を固
定スクロール部材に向かって押し付ける押し付け力に変
換するようになっており、自動的に圧縮反力の大きさに
応じた可動スクロール部材の押し付け力が得られる点に
特徴がある。
スクロール型圧縮機においては、2つのスクロール部材
の間の流体圧縮ポケットにおいて冷媒のような流体を圧
縮することによって、可動スクロール部材やそれを支持
しているブッシュに作用する圧縮反力を、ブッシュを含
む従動クランク機構によって、可動スクロール部材を固
定スクロール部材に向かって押し付ける押し付け力に変
換するようになっており、自動的に圧縮反力の大きさに
応じた可動スクロール部材の押し付け力が得られる点に
特徴がある。
【0004】本発明の実施例との比較を容易にすると共
に、本発明の実施例の特徴を明確にするために、予め図
8〜図10を用いて従来のスクロール型圧縮機における
従動クランク機構6’の構造と作用を簡単に説明する。
ここに述べる従来技術の各部分に付している参照符号
は、その部分が後述の本発明の実施例における対応部分
と実質的に同じものである場合には同じ参照符号を使用
し、従来技術におけるその部分が本発明の対応部分と実
質的に異なるものである場合には、同じ参照符号にダッ
シュを付して示しており、それによって両者の各部分の
対応関係と異同が明らかになるようにしている。
に、本発明の実施例の特徴を明確にするために、予め図
8〜図10を用いて従来のスクロール型圧縮機における
従動クランク機構6’の構造と作用を簡単に説明する。
ここに述べる従来技術の各部分に付している参照符号
は、その部分が後述の本発明の実施例における対応部分
と実質的に同じものである場合には同じ参照符号を使用
し、従来技術におけるその部分が本発明の対応部分と実
質的に異なるものである場合には、同じ参照符号にダッ
シュを付して示しており、それによって両者の各部分の
対応関係と異同が明らかになるようにしている。
【0005】図8に示す従来のスクロール型圧縮機の従
動クランク機構6’の要部は、駆動軸端の拡径部5aと
一体に軸方向に突出して形成された駆動キー10’と、
それを摺動可能に受け入れている少しばかり長い溝11
aを有するブッシュ11からなっている。これらの図面
には示されていないが、ブッシュ11はニードル軸受を
介して可動スクロール部材のボス部を回転可能に支持し
ている。図9から明らかなように、駆動キー10’は、
駆動軸の中心Cd に対して偏心した位置を中心にして形
成されており、ブッシュ11の中心Cbと駆動軸端の拡
径部5aの中心Cdとを結ぶ直線Lに対して角度θだけ
回転方向Rに対して反対の方向に傾斜している。
動クランク機構6’の要部は、駆動軸端の拡径部5aと
一体に軸方向に突出して形成された駆動キー10’と、
それを摺動可能に受け入れている少しばかり長い溝11
aを有するブッシュ11からなっている。これらの図面
には示されていないが、ブッシュ11はニードル軸受を
介して可動スクロール部材のボス部を回転可能に支持し
ている。図9から明らかなように、駆動キー10’は、
駆動軸の中心Cd に対して偏心した位置を中心にして形
成されており、ブッシュ11の中心Cbと駆動軸端の拡
径部5aの中心Cdとを結ぶ直線Lに対して角度θだけ
回転方向Rに対して反対の方向に傾斜している。
【0006】駆動軸端の拡径部5aが回転すると、駆動
キー10’も中心Cd の回りに回動するので、駆動キー
10’に対して溝11aによって係合しているブッシュ
11も回転する。それによってブッシュ11に支持され
ている図示しない可動スクロール部材も回転しようとす
るが、可動スクロール部材は自転防止機構によって自転
を阻止されているために公転だけをすることになり、固
定スクロール部材との間に形成された流体圧縮ポケット
によって流体を圧縮することになる。
キー10’も中心Cd の回りに回動するので、駆動キー
10’に対して溝11aによって係合しているブッシュ
11も回転する。それによってブッシュ11に支持され
ている図示しない可動スクロール部材も回転しようとす
るが、可動スクロール部材は自転防止機構によって自転
を阻止されているために公転だけをすることになり、固
定スクロール部材との間に形成された流体圧縮ポケット
によって流体を圧縮することになる。
【0007】流体を圧縮することによって、可動スクロ
ール部材には圧縮反力Fが発生し、それが図8に示すよ
うにニードル軸受を介してブッシュ11の中心Cb に作
用する。圧縮反力Fがブッシュ11から更に駆動キー1
0’へ伝達されるときに、圧縮反力Fの方向が駆動キー
10’の方向に対して傾いているので、圧縮反力Fから
駆動キー10’の方向に分力FR が発生する。この場合
は図8の図形から明らかなように、 FR =Fsinθ という関係によってFR の大きさが決まる。圧縮反力F
の分力FR は、可動スクロール部材を固定スクロール部
材に向かって押し付ける力になる。
ール部材には圧縮反力Fが発生し、それが図8に示すよ
うにニードル軸受を介してブッシュ11の中心Cb に作
用する。圧縮反力Fがブッシュ11から更に駆動キー1
0’へ伝達されるときに、圧縮反力Fの方向が駆動キー
10’の方向に対して傾いているので、圧縮反力Fから
駆動キー10’の方向に分力FR が発生する。この場合
は図8の図形から明らかなように、 FR =Fsinθ という関係によってFR の大きさが決まる。圧縮反力F
の分力FR は、可動スクロール部材を固定スクロール部
材に向かって押し付ける力になる。
【0008】従って、設定された駆動キー10’の傾斜
角θが大きいほど、スクロール型圧縮機の同じ運転状態
であっても、流体の圧縮反力Fによって発生する可動ス
クロール部材の押し付け力は大きくなり、可動スクロー
ル部材やブッシュ11の偏心している質量に作用する公
転運動の遠心力のうちで、バランスウエイトにより相殺
されることによって残る残余の遠心力の大きさとは無関
係に、圧縮反力Fの分力FR のみによっても、ブッシュ
11の溝11aは駆動キー10’に対して摺動して、偏
心量εが増大する方向へ移動する。偏心量εは可動スク
ロール部材の公転半径に対応しているので、公転半径の
増大によって可動スクロール部材の固定スクロール部材
に対する押し付け力が増大するといってもよい。
角θが大きいほど、スクロール型圧縮機の同じ運転状態
であっても、流体の圧縮反力Fによって発生する可動ス
クロール部材の押し付け力は大きくなり、可動スクロー
ル部材やブッシュ11の偏心している質量に作用する公
転運動の遠心力のうちで、バランスウエイトにより相殺
されることによって残る残余の遠心力の大きさとは無関
係に、圧縮反力Fの分力FR のみによっても、ブッシュ
11の溝11aは駆動キー10’に対して摺動して、偏
心量εが増大する方向へ移動する。偏心量εは可動スク
ロール部材の公転半径に対応しているので、公転半径の
増大によって可動スクロール部材の固定スクロール部材
に対する押し付け力が増大するといってもよい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従動クランク機構を備えている従来のスクロール型
圧縮機が、例えば空調装置の冷媒圧縮機として使用され
たような場合に、比較的長い停止時間が経過したのちに
圧縮機が再び起動されると、圧縮機の中に液化した冷媒
が溜まっていて、起動直後は液圧縮の状態となることが
あり、そのような場合は圧縮機内部に一時的に異常な高
圧が発生するのに伴って、圧縮反力と、それに応じて発
生する分力としての可動スクロール部材の押し付け力も
異常に大きくなり、スクロール部材の渦巻き形の羽根の
異常な摩耗や、焼きつき、折損等の不具合が生じること
がある。
うな従動クランク機構を備えている従来のスクロール型
圧縮機が、例えば空調装置の冷媒圧縮機として使用され
たような場合に、比較的長い停止時間が経過したのちに
圧縮機が再び起動されると、圧縮機の中に液化した冷媒
が溜まっていて、起動直後は液圧縮の状態となることが
あり、そのような場合は圧縮機内部に一時的に異常な高
圧が発生するのに伴って、圧縮反力と、それに応じて発
生する分力としての可動スクロール部材の押し付け力も
異常に大きくなり、スクロール部材の渦巻き形の羽根の
異常な摩耗や、焼きつき、折損等の不具合が生じること
がある。
【0010】また、そのような時はスクロール型圧縮機
を駆動するために一時的に大きな駆動回転力(トルク)
が必要になるので、自動車用の空調装置の場合のよう
に、圧縮機を自動車の走行用の内燃機関によって駆動し
ているときは、内燃機関に瞬間的に大きな負荷が加わる
ため、圧縮機の起動ショックと呼ばれる機関回転数の変
動が生じて、自動車の乗員に不快感を与えることもあ
る。本発明は、従来技術における前述のような問題に対
処して、新規な手段によってそれらの問題を解消するこ
とを目的としている。
を駆動するために一時的に大きな駆動回転力(トルク)
が必要になるので、自動車用の空調装置の場合のよう
に、圧縮機を自動車の走行用の内燃機関によって駆動し
ているときは、内燃機関に瞬間的に大きな負荷が加わる
ため、圧縮機の起動ショックと呼ばれる機関回転数の変
動が生じて、自動車の乗員に不快感を与えることもあ
る。本発明は、従来技術における前述のような問題に対
処して、新規な手段によってそれらの問題を解消するこ
とを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するための手段として、少なくとも駆動軸と、渦巻き
形の羽根を有しハウジングの一部として固定される固定
スクロール部材と、前記固定スクロール部材の前記渦巻
き形の羽根に対して噛み合う渦巻き形の羽根を有し前記
駆動軸に対して偏心した位置に支持されて前記駆動軸に
より回転駆動されることによって公転して前記固定スク
ロール部材との間に形成される流体圧縮ポケットにおい
て流体を圧縮する可動スクロール部材と、前記駆動軸と
前記可動スクロール部材との間に介在してトルクを伝達
すると共に前記可動スクロール部材の前記駆動軸に対す
る偏心量を可変の状態で支持する従動クランク機構とを
有し、前記従動クランク機構は、その内部に前記駆動軸
とは別体の駆動キーと、前記駆動キーを受け入れる溝を
形成され前記可動スクロール部材を回転可能に支持する
ブッシュを備えていて、特に前記駆動キーが前記駆動軸
の端部に対して軸方向の回転軸線の回りに回転可能に枢
着されていることを特徴とするスクロール型圧縮機を提
供する。
決するための手段として、少なくとも駆動軸と、渦巻き
形の羽根を有しハウジングの一部として固定される固定
スクロール部材と、前記固定スクロール部材の前記渦巻
き形の羽根に対して噛み合う渦巻き形の羽根を有し前記
駆動軸に対して偏心した位置に支持されて前記駆動軸に
より回転駆動されることによって公転して前記固定スク
ロール部材との間に形成される流体圧縮ポケットにおい
て流体を圧縮する可動スクロール部材と、前記駆動軸と
前記可動スクロール部材との間に介在してトルクを伝達
すると共に前記可動スクロール部材の前記駆動軸に対す
る偏心量を可変の状態で支持する従動クランク機構とを
有し、前記従動クランク機構は、その内部に前記駆動軸
とは別体の駆動キーと、前記駆動キーを受け入れる溝を
形成され前記可動スクロール部材を回転可能に支持する
ブッシュを備えていて、特に前記駆動キーが前記駆動軸
の端部に対して軸方向の回転軸線の回りに回転可能に枢
着されていることを特徴とするスクロール型圧縮機を提
供する。
【0012】
【作用】スクロール型圧縮機としての基本的な作動は従
来のものと同様である。本発明の場合は、駆動軸と可動
スクロール部材との間に介在してトルクを伝達する従動
クランク機構の駆動キーが、駆動軸の端部に軸方向の回
転軸線の回りに回転可能に枢着されている点に特徴があ
る。可動スクロール部材に作用してそれを支持している
ブッシュや駆動軸に順次伝達される流体の圧縮反力は、
駆動キー方向の分力を有しており、その分力は偏心質量
に作用する遠心力とは無関係に、可動スクロール部材を
固定スクロール部材に押し付ける力となるのと、その分
力の大きさが駆動キーの傾斜角の大きさに応じて変化す
るという性質を有するので、駆動キーを駆動軸の端部に
枢着しておいて、圧縮反力の大きさに応じて傾斜角を変
化させることにより、圧縮反力が異常に増大する始動時
の液圧縮のような場合でも、可動スクロール部材の押し
付け力を適正な大きさに抑えることが可能になる。
来のものと同様である。本発明の場合は、駆動軸と可動
スクロール部材との間に介在してトルクを伝達する従動
クランク機構の駆動キーが、駆動軸の端部に軸方向の回
転軸線の回りに回転可能に枢着されている点に特徴があ
る。可動スクロール部材に作用してそれを支持している
ブッシュや駆動軸に順次伝達される流体の圧縮反力は、
駆動キー方向の分力を有しており、その分力は偏心質量
に作用する遠心力とは無関係に、可動スクロール部材を
固定スクロール部材に押し付ける力となるのと、その分
力の大きさが駆動キーの傾斜角の大きさに応じて変化す
るという性質を有するので、駆動キーを駆動軸の端部に
枢着しておいて、圧縮反力の大きさに応じて傾斜角を変
化させることにより、圧縮反力が異常に増大する始動時
の液圧縮のような場合でも、可動スクロール部材の押し
付け力を適正な大きさに抑えることが可能になる。
【0013】
【実施例】図1に本発明の第1実施例としてのスクロー
ル型圧縮機1の全体構造を示す。このスクロール型圧縮
機1は、大部分は従来のものと同様な構造を有してい
る。ハウジング2は図示しない数本の通しボルトによっ
て一体化された3つの部分、即ちセンターハウジング2
a、フロントハウジング2b、及びリヤハウジング2c
からなっている。センターハウジング2aの内部にはそ
れと一体的に固定スクロール部材3が形成され、フロン
トハウジング2b内にはそれを貫通するように駆動軸5
が延びている。
ル型圧縮機1の全体構造を示す。このスクロール型圧縮
機1は、大部分は従来のものと同様な構造を有してい
る。ハウジング2は図示しない数本の通しボルトによっ
て一体化された3つの部分、即ちセンターハウジング2
a、フロントハウジング2b、及びリヤハウジング2c
からなっている。センターハウジング2aの内部にはそ
れと一体的に固定スクロール部材3が形成され、フロン
トハウジング2b内にはそれを貫通するように駆動軸5
が延びている。
【0014】駆動軸5の拡径部5aはフロントハウジン
グ2b内に取り付けられた軸受4によって回転自由に軸
承されており、図示しない内燃機関のような原動機(油
圧モータや電動機でもよい)から伝達される回転動力を
スクロール型圧縮機1内に導入する。駆動軸の拡径部5
aの軸端には本発明の特徴を備えている従動クランク機
構6が形成されており、従動クランク機構6には可動ス
クロール部材7が連結される。可動スクロール部材7の
背後には、駆動の際に可動スクロール部材7の公転のみ
を許し自転を阻止すると共に、可動スクロール部材7に
作用する軸方向の推力を支持する推力支持自転防止機構
8が設けられる。
グ2b内に取り付けられた軸受4によって回転自由に軸
承されており、図示しない内燃機関のような原動機(油
圧モータや電動機でもよい)から伝達される回転動力を
スクロール型圧縮機1内に導入する。駆動軸の拡径部5
aの軸端には本発明の特徴を備えている従動クランク機
構6が形成されており、従動クランク機構6には可動ス
クロール部材7が連結される。可動スクロール部材7の
背後には、駆動の際に可動スクロール部材7の公転のみ
を許し自転を阻止すると共に、可動スクロール部材7に
作用する軸方向の推力を支持する推力支持自転防止機構
8が設けられる。
【0015】固定スクロール部材3及び可動スクロール
部材7は、実質的に同じ形をした渦巻き形の羽根3a及
び7aを備えており、それらは軸方向に同じ長さ(幅)
を有している。そして、それらが相対的に位相がずれ
て、且つ偏心している状態で互いに噛み合うように組み
合わされて支持されることにより、それらの羽根の間に
流体を圧縮するための、軸方向に見た場合の形が三日月
形をしている流体圧縮ポケットPを2個以上形成する。
部材7は、実質的に同じ形をした渦巻き形の羽根3a及
び7aを備えており、それらは軸方向に同じ長さ(幅)
を有している。そして、それらが相対的に位相がずれ
て、且つ偏心している状態で互いに噛み合うように組み
合わされて支持されることにより、それらの羽根の間に
流体を圧縮するための、軸方向に見た場合の形が三日月
形をしている流体圧縮ポケットPを2個以上形成する。
【0016】図1に示す第1実施例の場合、可動スクロ
ール部材7は、渦巻き形の羽根7aと、それを一体的に
取り付けている円板形の側板7bからなっているが、そ
の側板7bの背後の中心に、軸方向左方へ突出する大径
の中空円筒形状をしたボス部7cを一体的に備えてお
り、第1実施例におけるボス部7cは、ニードル軸受9
と、図1〜図4に構造が示されているような、本発明の
主たる特徴である従動クランク機構6とを介して駆動軸
5に連結されている。
ール部材7は、渦巻き形の羽根7aと、それを一体的に
取り付けている円板形の側板7bからなっているが、そ
の側板7bの背後の中心に、軸方向左方へ突出する大径
の中空円筒形状をしたボス部7cを一体的に備えてお
り、第1実施例におけるボス部7cは、ニードル軸受9
と、図1〜図4に構造が示されているような、本発明の
主たる特徴である従動クランク機構6とを介して駆動軸
5に連結されている。
【0017】第1実施例の従動クランク機構6は、駆動
軸5の拡径部5aの軸端に取り付けられた別体の駆動キ
ー10を含んでいる。駆動キー10は二面幅部材とも呼
ばれる概ね直方体形のもので、従来技術における駆動キ
ー10’とは異なって、軸方向の短いピン10aを一体
的に備えており、そのピン10aを、駆動軸5の拡径部
5aの軸端の切り欠き部分5cにおける偏心した位置に
軸方向に穿設された軸穴5bに回動可能に挿入すること
によって、駆動キー10が駆動軸5に対して回動変位す
ることができ、それによって駆動キー10の傾斜角が変
化する。
軸5の拡径部5aの軸端に取り付けられた別体の駆動キ
ー10を含んでいる。駆動キー10は二面幅部材とも呼
ばれる概ね直方体形のもので、従来技術における駆動キ
ー10’とは異なって、軸方向の短いピン10aを一体
的に備えており、そのピン10aを、駆動軸5の拡径部
5aの軸端の切り欠き部分5cにおける偏心した位置に
軸方向に穿設された軸穴5bに回動可能に挿入すること
によって、駆動キー10が駆動軸5に対して回動変位す
ることができ、それによって駆動キー10の傾斜角が変
化する。
【0018】図2乃至図4から明らかなように、駆動キ
ー10の駆動軸5に対するピン10aを中心とした回動
変位の範囲、即ち、傾斜角の変化の範囲は、駆動軸5の
切り欠き部分5cに設けられたピンからなるストッパ5
dと、切り欠き部分5cの壁面の一部からなるストッパ
面5eによって規制される。ストッパ面5eには概ね半
径方向に有底の盲穴5fが穿設されており、盲穴5fに
はコイルスプリングのような弾性体12が挿入されてい
て、駆動キー10をストッパ5dに向かって付勢してい
る。
ー10の駆動軸5に対するピン10aを中心とした回動
変位の範囲、即ち、傾斜角の変化の範囲は、駆動軸5の
切り欠き部分5cに設けられたピンからなるストッパ5
dと、切り欠き部分5cの壁面の一部からなるストッパ
面5eによって規制される。ストッパ面5eには概ね半
径方向に有底の盲穴5fが穿設されており、盲穴5fに
はコイルスプリングのような弾性体12が挿入されてい
て、駆動キー10をストッパ5dに向かって付勢してい
る。
【0019】可動スクロール部材7のボス部7cはニー
ドル軸受9を介して概ね円柱状のブッシュ11によって
回転自由に支持されている。ブッシュ11には前述の駆
動キー10を摺動可能に受け入れる概ね直方体形の溝1
1aが形成されていて、駆動キー10がブッシュの溝1
1aに挿入されることによって、駆動軸5がブッシュ1
1を支持し、更にブッシュ11を介して可動スクロール
部材7のボス部7cを支持することになる。
ドル軸受9を介して概ね円柱状のブッシュ11によって
回転自由に支持されている。ブッシュ11には前述の駆
動キー10を摺動可能に受け入れる概ね直方体形の溝1
1aが形成されていて、駆動キー10がブッシュの溝1
1aに挿入されることによって、駆動軸5がブッシュ1
1を支持し、更にブッシュ11を介して可動スクロール
部材7のボス部7cを支持することになる。
【0020】図2及び図3に示すように、駆動キー10
が弾性体12に押されてストッパ5dに接触している状
態では、駆動キー10の方向はブッシュ11の中心点C
b と駆動軸5の中心点Cd とを結ぶ直線Lに対して、駆
動軸5(拡径部5a)やブッシュ11の回転方向Rとは
反対の方向に角度θだけ傾斜している。また、駆動キー
10が弾性体12の付勢に抗してストッパ面5eに接触
している状態では、駆動キー10の方向は直線Lに対し
てやはり回転方向Rとは反対の方向に角度θ’だけ傾斜
するように設定されている。この場合はθ>θ’とす
る。一方、ブッシュ11の溝11aは概ねブッシュ11
の中心点Cb を中心として形成されているが、溝11a
の長さは駆動キー10の長さよりも所定値だけ長くなっ
ており、それによってブッシュ11は駆動キー10に対
して移動可能である。
が弾性体12に押されてストッパ5dに接触している状
態では、駆動キー10の方向はブッシュ11の中心点C
b と駆動軸5の中心点Cd とを結ぶ直線Lに対して、駆
動軸5(拡径部5a)やブッシュ11の回転方向Rとは
反対の方向に角度θだけ傾斜している。また、駆動キー
10が弾性体12の付勢に抗してストッパ面5eに接触
している状態では、駆動キー10の方向は直線Lに対し
てやはり回転方向Rとは反対の方向に角度θ’だけ傾斜
するように設定されている。この場合はθ>θ’とす
る。一方、ブッシュ11の溝11aは概ねブッシュ11
の中心点Cb を中心として形成されているが、溝11a
の長さは駆動キー10の長さよりも所定値だけ長くなっ
ており、それによってブッシュ11は駆動キー10に対
して移動可能である。
【0021】駆動キー10に対するブッシュ11の溝1
1aの摺動によって、ブッシュ11の中心点Cb と駆動
軸5の中心点Cd との距離即ち偏心量εが増大するとき
は、可動スクロール部材7の公転半径が大きくなり、可
動スクロール部材7の渦巻き形の羽根7aが固定スクロ
ール部材3の渦巻き形の羽根3aにより接近するか、或
いはより強く押し付けられて、流体圧縮ポケットPの両
端の接触線のシール性がより高くなる。
1aの摺動によって、ブッシュ11の中心点Cb と駆動
軸5の中心点Cd との距離即ち偏心量εが増大するとき
は、可動スクロール部材7の公転半径が大きくなり、可
動スクロール部材7の渦巻き形の羽根7aが固定スクロ
ール部材3の渦巻き形の羽根3aにより接近するか、或
いはより強く押し付けられて、流体圧縮ポケットPの両
端の接触線のシール性がより高くなる。
【0022】軸受9を介して可動スクロール部材7のボ
ス部7cを回転自由に軸承しているブッシュ11には、
バランスウェイト13が一体的に形成されており、駆動
軸5に対して公転半径分だけ偏心している可動スクロー
ル部材7が公転する際に発生する遠心力の少なくとも一
部と釣り合う大きさの遠心力を発生して、可動スクロー
ル部材7の遠心力を相殺するようになっている。そのと
きに相殺されないで残る可動スクロール部材7の遠心力
を残余の遠心力と呼ぶが、この残余の遠心力が圧縮反力
による押し付け力と共に可動スクロール部材7の渦巻き
形の羽根7aを固定スクロール部材3の渦巻き形の羽根
3aに押しつけて、渦巻き形の羽根の間の三日月形の流
体圧縮ポケットPの両端をシールする作用をすることに
なる。
ス部7cを回転自由に軸承しているブッシュ11には、
バランスウェイト13が一体的に形成されており、駆動
軸5に対して公転半径分だけ偏心している可動スクロー
ル部材7が公転する際に発生する遠心力の少なくとも一
部と釣り合う大きさの遠心力を発生して、可動スクロー
ル部材7の遠心力を相殺するようになっている。そのと
きに相殺されないで残る可動スクロール部材7の遠心力
を残余の遠心力と呼ぶが、この残余の遠心力が圧縮反力
による押し付け力と共に可動スクロール部材7の渦巻き
形の羽根7aを固定スクロール部材3の渦巻き形の羽根
3aに押しつけて、渦巻き形の羽根の間の三日月形の流
体圧縮ポケットPの両端をシールする作用をすることに
なる。
【0023】図1に示すスクロール型圧縮機1における
推力支持自転防止機構8は、フロントハウジング2bの
内面と可動スクロール部材7の側板7bの背面との間に
スペーサーとして挿入される、多少の凹凸を有するが概
ね環状の推力支持部14と、それぞれの面に相互に対向
して形成された複数個の、後述のピンよりも所定値だけ
大きな径を有する円形の穴2d及び7dと、それらの穴
に両端を係合させると共に中間部分を推力支持部14に
形成された軸方向の貫通孔14aによって支持されてい
る複数個の自転防止ピン15とからなっている。推力支
持部14の表面に対して摺動接触するフロントハウジン
グ2bの内面や可動スクロール部材7の側板7bの背面
には、耐摩耗性を与えるためにメッキが施されるか又は
2gとして例示したようなプレートが設けられる。
推力支持自転防止機構8は、フロントハウジング2bの
内面と可動スクロール部材7の側板7bの背面との間に
スペーサーとして挿入される、多少の凹凸を有するが概
ね環状の推力支持部14と、それぞれの面に相互に対向
して形成された複数個の、後述のピンよりも所定値だけ
大きな径を有する円形の穴2d及び7dと、それらの穴
に両端を係合させると共に中間部分を推力支持部14に
形成された軸方向の貫通孔14aによって支持されてい
る複数個の自転防止ピン15とからなっている。推力支
持部14の表面に対して摺動接触するフロントハウジン
グ2bの内面や可動スクロール部材7の側板7bの背面
には、耐摩耗性を与えるためにメッキが施されるか又は
2gとして例示したようなプレートが設けられる。
【0024】また、本発明の特徴とは直接の関係はない
が、スクロール型圧縮機の基本的な構成として、第1実
施例のスクロール型圧縮機1においては、図1に示すよ
うに固定スクロール部材3の側板3bの中心には吐出ポ
ート3cが開口しており、それを外側から閉塞するよう
に、側板3bには弾性のある金属薄片からなる吐出弁1
6が片持式に取り付けられている。17は吐出弁16の
過大な開弁を防止する弁押さえである。
が、スクロール型圧縮機の基本的な構成として、第1実
施例のスクロール型圧縮機1においては、図1に示すよ
うに固定スクロール部材3の側板3bの中心には吐出ポ
ート3cが開口しており、それを外側から閉塞するよう
に、側板3bには弾性のある金属薄片からなる吐出弁1
6が片持式に取り付けられている。17は吐出弁16の
過大な開弁を防止する弁押さえである。
【0025】なお、図1において18は駆動軸5とフロ
ントハウジング2bの軸開口との間をシールするシャフ
トシール装置18であり、19及び20はそれぞれフロ
ントハウジング2bとセンターハウジング2aとの間、
及びセンターハウジング2aとリヤハウジング2cとの
間をシールするOリングを示す。言うまでもなく、リヤ
ハウジング2c内の空間2eは、圧縮された流体が吐出
される高圧室即ち吐出室となる。
ントハウジング2bの軸開口との間をシールするシャフ
トシール装置18であり、19及び20はそれぞれフロ
ントハウジング2bとセンターハウジング2aとの間、
及びセンターハウジング2aとリヤハウジング2cとの
間をシールするOリングを示す。言うまでもなく、リヤ
ハウジング2c内の空間2eは、圧縮された流体が吐出
される高圧室即ち吐出室となる。
【0026】第1実施例のスクロール型圧縮機1はこの
ように構成されているので、外部の原動機によって駆動
軸5が回転駆動されると、従来のものと同様に、従動ク
ランク機構6の一部を構成するブッシュ11が駆動軸5
に対して偏心量εだけ偏心して回転されるので、それに
対してボス部7cにおいてニードル軸受9を介して係合
している可動スクロール部材7も同様に回転しようとす
るが、推力支持自転防止機構8が設けられているために
可動スクロール部材7の自転は阻止され、偏心量εを半
径とする公転運動だけをすることになる。
ように構成されているので、外部の原動機によって駆動
軸5が回転駆動されると、従来のものと同様に、従動ク
ランク機構6の一部を構成するブッシュ11が駆動軸5
に対して偏心量εだけ偏心して回転されるので、それに
対してボス部7cにおいてニードル軸受9を介して係合
している可動スクロール部材7も同様に回転しようとす
るが、推力支持自転防止機構8が設けられているために
可動スクロール部材7の自転は阻止され、偏心量εを半
径とする公転運動だけをすることになる。
【0027】それによって、固定スクロール部材3の渦
巻き形の羽根3aと可動スクロール部材7の渦巻き形の
羽根7aとの間に形成された三日月形の流体圧縮ポケッ
トPが、スクロール部材3及び7の外周において吸入空
間2fに開いている間に冷媒のような流体を吸入し、可
動スクロール部材7の公転につれて流体圧縮ポケットP
が閉じて、漸次中心に向かって移動する間に容積が縮小
する。従って、流体圧縮ポケットP内の流体は圧縮され
て、固定スクロール部材3の中心において流体圧縮ポケ
ットPが開いた時に、吐出ポート3cから吐出弁16を
押し開いて吐出室である空間2eへ吐出される。
巻き形の羽根3aと可動スクロール部材7の渦巻き形の
羽根7aとの間に形成された三日月形の流体圧縮ポケッ
トPが、スクロール部材3及び7の外周において吸入空
間2fに開いている間に冷媒のような流体を吸入し、可
動スクロール部材7の公転につれて流体圧縮ポケットP
が閉じて、漸次中心に向かって移動する間に容積が縮小
する。従って、流体圧縮ポケットP内の流体は圧縮され
て、固定スクロール部材3の中心において流体圧縮ポケ
ットPが開いた時に、吐出ポート3cから吐出弁16を
押し開いて吐出室である空間2eへ吐出される。
【0028】スクロール型圧縮機1において、始動時の
液圧縮等によって圧縮反力Fが異常に増大すると、その
分力FR (図8参照)も増大して、可動スクロール部材
7の渦巻き形の羽根7aを固定スクロール部材3の渦巻
き形の羽根3aに強く押し付けようとする。図1〜図4
に示す本発明の第1実施例においては、可動スクロール
部材7からブッシュ11に伝達される圧縮反力Fを支持
する駆動キー10が弾性体12によって弾力的に支持さ
れているため、圧縮反力Fが駆動軸5へ伝達されるとき
に弾性体12が圧縮される。それによって、駆動軸5の
拡径部5aに対する駆動キー10の位置は図2に示す傾
斜角θの状態から図3に示す傾斜角θ’の状態へ変化
し、直線Lに対する駆動キー10の傾斜角が減少する。
液圧縮等によって圧縮反力Fが異常に増大すると、その
分力FR (図8参照)も増大して、可動スクロール部材
7の渦巻き形の羽根7aを固定スクロール部材3の渦巻
き形の羽根3aに強く押し付けようとする。図1〜図4
に示す本発明の第1実施例においては、可動スクロール
部材7からブッシュ11に伝達される圧縮反力Fを支持
する駆動キー10が弾性体12によって弾力的に支持さ
れているため、圧縮反力Fが駆動軸5へ伝達されるとき
に弾性体12が圧縮される。それによって、駆動軸5の
拡径部5aに対する駆動キー10の位置は図2に示す傾
斜角θの状態から図3に示す傾斜角θ’の状態へ変化
し、直線Lに対する駆動キー10の傾斜角が減少する。
【0029】駆動キー10が直線Lに対して傾斜角θを
有するときの、圧縮反力Fによる可動スクロール部材7
の押し付け力は、従来技術に関連して図8を用いて説明
したように、圧縮反力Fの駆動キー10の方向の分力 FR =Fsinθ として示されるから、圧縮反力Fの大きさが同じであっ
ても傾斜角がθからθ’のように減少することによって
押し付け力となる分力FR は減少し、可動スクロール部
材7の渦巻き形の羽根7aと固定スクロール部材3の渦
巻き形の羽根3aとの接触線において隙間が生じる傾向
を示す。それによって流体圧縮ポケットPの両端の接触
線におけるシール性が低下し、液圧縮のような異常な高
圧の発生が回避され、従来技術について述べたようなス
クロール部材の過大な押し付け力による問題の発生を防
止することができる。いうまでもなく、圧縮反力Fが通
常の程度まで低下すると、駆動キー10の傾斜角の大き
さはθまで増大し、図2のような状態で定常運転を続け
ることになる。
有するときの、圧縮反力Fによる可動スクロール部材7
の押し付け力は、従来技術に関連して図8を用いて説明
したように、圧縮反力Fの駆動キー10の方向の分力 FR =Fsinθ として示されるから、圧縮反力Fの大きさが同じであっ
ても傾斜角がθからθ’のように減少することによって
押し付け力となる分力FR は減少し、可動スクロール部
材7の渦巻き形の羽根7aと固定スクロール部材3の渦
巻き形の羽根3aとの接触線において隙間が生じる傾向
を示す。それによって流体圧縮ポケットPの両端の接触
線におけるシール性が低下し、液圧縮のような異常な高
圧の発生が回避され、従来技術について述べたようなス
クロール部材の過大な押し付け力による問題の発生を防
止することができる。いうまでもなく、圧縮反力Fが通
常の程度まで低下すると、駆動キー10の傾斜角の大き
さはθまで増大し、図2のような状態で定常運転を続け
ることになる。
【0030】第1実施例の変形例を図5に示す。この例
は駆動軸5の拡径部5aの側にピン10aと同じ働きを
するピン5gを突出して形成すると共に、駆動キー10
の側に軸穴5bと同じ働きをする軸穴10bを形成し
て、ピン5gを軸穴10bに回転可能に挿入している点
に特徴がある。この場合は駆動軸の拡径部5aに対する
駆動キー10の可動範囲を制限するストッパや、駆動キ
ー10を一方に付勢する弾性体を図示していないが、そ
れらをピン5gの周囲や、拡径部5aとブッシュ11と
の間等に設けることができる。それ以外の点において
は、図5の変形例は第1実施例の場合と同じであり、作
用効果の点でも基本的な差異はない。
は駆動軸5の拡径部5aの側にピン10aと同じ働きを
するピン5gを突出して形成すると共に、駆動キー10
の側に軸穴5bと同じ働きをする軸穴10bを形成し
て、ピン5gを軸穴10bに回転可能に挿入している点
に特徴がある。この場合は駆動軸の拡径部5aに対する
駆動キー10の可動範囲を制限するストッパや、駆動キ
ー10を一方に付勢する弾性体を図示していないが、そ
れらをピン5gの周囲や、拡径部5aとブッシュ11と
の間等に設けることができる。それ以外の点において
は、図5の変形例は第1実施例の場合と同じであり、作
用効果の点でも基本的な差異はない。
【0031】図6及び図7に本発明の第2実施例の要部
を示す。これらの図面に示されていない部分の構造は図
1等に示す第1実施例と同様である。第2実施例におい
ては第1実施例の場合と同様に、駆動キー10”は駆動
軸5の拡径部5aとは別体のものとして形成され、ピン
10bによって拡径部5aの軸穴に枢着される。その回
動範囲はストッパ5d’とストッパ面5e’によって規
制される。図6はスクロール型圧縮機の運転停止状態を
示しているが、この状態では駆動キー10”がストッパ
5d’に接触して傾斜角が最小のθ’となる。定常運転
の状態が図7に示されているが、この状態では駆動キー
10”がストッパ面5e’に接触して駆動キー10”の
傾斜角が最大の値θをとる。盲穴5f’の中に装填され
た弾性体12’は、第1実施例の弾性体12とは反対
に、駆動キー10”を常時その傾斜角が小さくなる方向
に付勢している。
を示す。これらの図面に示されていない部分の構造は図
1等に示す第1実施例と同様である。第2実施例におい
ては第1実施例の場合と同様に、駆動キー10”は駆動
軸5の拡径部5aとは別体のものとして形成され、ピン
10bによって拡径部5aの軸穴に枢着される。その回
動範囲はストッパ5d’とストッパ面5e’によって規
制される。図6はスクロール型圧縮機の運転停止状態を
示しているが、この状態では駆動キー10”がストッパ
5d’に接触して傾斜角が最小のθ’となる。定常運転
の状態が図7に示されているが、この状態では駆動キー
10”がストッパ面5e’に接触して駆動キー10”の
傾斜角が最大の値θをとる。盲穴5f’の中に装填され
た弾性体12’は、第1実施例の弾性体12とは反対
に、駆動キー10”を常時その傾斜角が小さくなる方向
に付勢している。
【0032】従って、スクロール型圧縮機が運転停止状
態から起動されるときは、駆動キー10”は弾性体1
2’に押されて図6に示した位置にあり、傾斜角は最小
のθ’となっているから、起動時は圧縮反力Fが本来的
に小さいこともあって、圧縮反力Fによって発生する駆
動キー10”方向の分力FR は小さく、可動スクロール
部材を固定スクロール部材に向かって押し付ける力も小
さくなり、駆動軸5の中心Cd とブッシュの中心Cb と
の距離である偏心量、即ち可動スクロール部材の公転半
径も小さくなる。それによって可動スクロール部材と固
定スクロール部材との間に形成される流体圧縮ポケット
の両端の接触線において隙間が生じ、液圧縮のような状
態でも異常な高圧を発生することがない。
態から起動されるときは、駆動キー10”は弾性体1
2’に押されて図6に示した位置にあり、傾斜角は最小
のθ’となっているから、起動時は圧縮反力Fが本来的
に小さいこともあって、圧縮反力Fによって発生する駆
動キー10”方向の分力FR は小さく、可動スクロール
部材を固定スクロール部材に向かって押し付ける力も小
さくなり、駆動軸5の中心Cd とブッシュの中心Cb と
の距離である偏心量、即ち可動スクロール部材の公転半
径も小さくなる。それによって可動スクロール部材と固
定スクロール部材との間に形成される流体圧縮ポケット
の両端の接触線において隙間が生じ、液圧縮のような状
態でも異常な高圧を発生することがない。
【0033】このようにして吐出側の流体の圧力が緩や
かに上昇すると、圧縮反力Fも徐々に増大し、ブッシュ
の溝が弾性体12’に抗して駆動キー10”の傾斜角が
大きくなるように押圧し、図7に示すように、駆動キー
10”がストッパ面5e’に接触して最大の傾斜角θを
とる。それによって圧縮反力Fの分力FR の値が大きく
なり、傾斜角の増大と共にブッシュの中心Cbも駆動軸
の中心Cd から遠ざかって可動スクロール部材の公転半
径が大きくなる。従って、可動スクロール部材を固定ス
クロール部材に向かって押し付ける力が増大するので、
流体圧縮ポケットのシール性がよくなり、スクロール型
圧縮機が効率よく流体を圧縮するようになる。この状態
でスクロール型圧縮機が定常運転に達するように設定す
る。
かに上昇すると、圧縮反力Fも徐々に増大し、ブッシュ
の溝が弾性体12’に抗して駆動キー10”の傾斜角が
大きくなるように押圧し、図7に示すように、駆動キー
10”がストッパ面5e’に接触して最大の傾斜角θを
とる。それによって圧縮反力Fの分力FR の値が大きく
なり、傾斜角の増大と共にブッシュの中心Cbも駆動軸
の中心Cd から遠ざかって可動スクロール部材の公転半
径が大きくなる。従って、可動スクロール部材を固定ス
クロール部材に向かって押し付ける力が増大するので、
流体圧縮ポケットのシール性がよくなり、スクロール型
圧縮機が効率よく流体を圧縮するようになる。この状態
でスクロール型圧縮機が定常運転に達するように設定す
る。
【0034】第2実施例においては、スクロール型圧縮
機の起動時に、従動クランク機構の駆動キー10”が、
傾斜角がθ’のように小さい状態から徐々に最大の傾斜
角θまで増大するようにして、圧縮反力Fの分力FR の
急激な立ち上がりを抑制し、第1実施例の場合と同様に
従来技術における諸問題を解決することができる。な
お、第2実施例についても、図5に示す第1実施例の変
形例のような別の変形例が考えられることは言うまでも
ない。
機の起動時に、従動クランク機構の駆動キー10”が、
傾斜角がθ’のように小さい状態から徐々に最大の傾斜
角θまで増大するようにして、圧縮反力Fの分力FR の
急激な立ち上がりを抑制し、第1実施例の場合と同様に
従来技術における諸問題を解決することができる。な
お、第2実施例についても、図5に示す第1実施例の変
形例のような別の変形例が考えられることは言うまでも
ない。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、スクロール型圧縮機に
おいて起動直後に液圧縮の状態となって異常に大きい圧
縮反力が発生し、それに応じて非常に大きな押し付け力
が可動スクロール部材から固定スクロール部材に作用す
るのを防止することができる。それによってスクロール
部材の渦巻き形の羽根の異常な摩耗や、焼きつき、折損
等を回避することができる。また、このスクロール型圧
縮機を自動車の空調装置における冷媒圧縮機として使用
した場合には、圧縮機の起動ショックが発生しないの
で、自動車の乗員の快適性を高めることができる。
おいて起動直後に液圧縮の状態となって異常に大きい圧
縮反力が発生し、それに応じて非常に大きな押し付け力
が可動スクロール部材から固定スクロール部材に作用す
るのを防止することができる。それによってスクロール
部材の渦巻き形の羽根の異常な摩耗や、焼きつき、折損
等を回避することができる。また、このスクロール型圧
縮機を自動車の空調装置における冷媒圧縮機として使用
した場合には、圧縮機の起動ショックが発生しないの
で、自動車の乗員の快適性を高めることができる。
【図1】第1実施例のスクロール型圧縮機の全体構成を
示す縦断面図である。
示す縦断面図である。
【図2】図1のI−I線における第1実施例の要部の通
常の運転時の断面図である。
常の運転時の断面図である。
【図3】図2に示す第1実施例の要部の異常な運転状態
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図4】第1実施例の要部の分解斜視図である。
【図5】第1実施例の変形例を示す分解斜視図である。
【図6】第2実施例の要部の運転停止時における断面図
である。
である。
【図7】第2実施例の要部の通常運転時を示す断面図で
ある。
ある。
【図8】従来例の要部を示す断面図である。
【図9】図8の一部を示す断面図である。
【図10】図8の他の一部を示す断面図である。
1…スクロール型圧縮機(実施例) 2…ハウジング 3…固定スクロール部材 3a…渦巻き形の羽根 5…駆動軸 5a…拡径部 5b…軸穴 5d,5d’…ストッパ 5e,5e’…ストッパ面 6,6’…従動クランク機構 7…可動スクロール部材 7a…渦巻き形の羽根 7c…ボス部 8…推力支持自転防止機構 9…ニードル軸受 10…第1実施例の駆動キー 10’…従来例の駆動キー 10”…第2実施例の駆動キー 10a,10b…ピン 11…ブッシュ 11a…溝 12…弾性体 13…バランスウェイト
Claims (5)
- 【請求項1】 少なくとも駆動軸と、渦巻き形の羽根を
有しハウジングの一部として固定される固定スクロール
部材と、前記固定スクロール部材の前記渦巻き形の羽根
に対して噛み合う渦巻き形の羽根を有し前記駆動軸に対
して偏心した位置に支持されて前記駆動軸により回転駆
動されることによって公転して前記固定スクロール部材
との間に形成される流体圧縮ポケットにおいて流体を圧
縮する可動スクロール部材と、前記駆動軸と前記可動ス
クロール部材との間に介在してトルクを伝達すると共に
前記可動スクロール部材の前記駆動軸に対する偏心量を
可変の状態で支持する従動クランク機構とを有し、前記
従動クランク機構は、その内部に前記駆動軸とは別体の
駆動キーと、前記駆動キーを受け入れる溝11を形成さ
れ前記可動スクロール部材を回転可能に支持するブッシ
ュを備えていて、特に前記駆動キーが前記駆動軸の端部
に対して軸方向の回転軸線の回りに回転可能に枢着され
ていることを特徴とするスクロール型圧縮機。 - 【請求項2】 前記駆動キーの回動範囲を規制するスト
ッパが1箇所以上に設けられている請求項1記載のスク
ロール型圧縮機。 - 【請求項3】 前記駆動キーを一方の回動方向に付勢す
る付勢手段が設けられている請求項1記載のスクロール
型圧縮機。 - 【請求項4】 前記付勢手段が弾性体である請求項3記
載のスクロール型圧縮機。 - 【請求項5】 前記ブッシュの中心と、前記駆動キーを
前記駆動軸の端部に枢着する軸方向の回転軸線とが半径
方向にずれている請求項1記載のスクロール型圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19534594A JPH0861262A (ja) | 1994-08-19 | 1994-08-19 | スクロール型圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19534594A JPH0861262A (ja) | 1994-08-19 | 1994-08-19 | スクロール型圧縮機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0861262A true JPH0861262A (ja) | 1996-03-08 |
Family
ID=16339630
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19534594A Pending JPH0861262A (ja) | 1994-08-19 | 1994-08-19 | スクロール型圧縮機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0861262A (ja) |
-
1994
- 1994-08-19 JP JP19534594A patent/JPH0861262A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20040622 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |