JPH086085B2 - 低温冷却媒体とその製造方法、ならびに冷却方法及び冷却装置 - Google Patents

低温冷却媒体とその製造方法、ならびに冷却方法及び冷却装置

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JPH086085B2
JPH086085B2 JP1298769A JP29876989A JPH086085B2 JP H086085 B2 JPH086085 B2 JP H086085B2 JP 1298769 A JP1298769 A JP 1298769A JP 29876989 A JP29876989 A JP 29876989A JP H086085 B2 JPH086085 B2 JP H086085B2
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【発明の詳細な説明】 〔概 要〕 低温冷却媒体に関し、 被冷却体を高い冷却能力で効率よく、組成不均一及び
冷却能力の変動を伴なわずに冷却可能な低温冷却媒体を
提供することを目的とし、 液体窒素と、次式により表される弗化炭素:CnF
2n+2(式中のnは2〜4の整数である)の混合物からな
るように構成する。
〔産業上の利用分野〕
本発明は低温冷却媒体に関する。さらに詳しく述べる
と、本発明は、低温冷却装置で使用するための高い冷却
能力を有する低温冷却媒体に関する。本発明の冷却媒体
(あるいは「冷媒」)は、半導体装置、例えば約123K未
満の極低温、例えば77.3K(すなわち、液体窒素LN2の沸
点)において高速演算性能を発揮する装置や、その他の
装置、例えば液体窒素温度で超伝導を呈する高Tc(臨界
温度)相酸化物超伝導体を用いる素子、回路基板等をそ
れらの装置の使用温度まで冷却する場合に、冷却媒体あ
るいは熱交換媒体としてとりわけ適当である。なお、本
願明細書では、以下、上記した液体窒素の沸点あるいは
その近傍の温度のことを、この分野で一般的なように、
液体窒素温度とも呼ぶことにする。本発明はまた、上記
のような低温冷却媒体を製造する方法、被冷却体を極低
温に冷却する方法、そしてかかる低温冷却媒体を使用し
た閉ループ冷却装置に関する。
〔従来の技術〕
例えば、半導体素子のキャリアの移動度は、周知の通
り、その素子を取り囲む周囲の温度が低温になるほど格
子散乱の減少により大きくなる。また、この性質を利用
して、HEMTあるいはCMOSなど、液体窒素温度で動作させ
ることを目的として高速演算素子が開発されている。こ
れらの素子を作動するには、それらを液体窒素温度の低
温に保持すると同時に効率良く熱を放散するための冷媒
が必要である。
従来、半導体素子など電子機器を低温環境で保持冷却
するには、冷凍機の熱交換部分に機器の発熱部を接触さ
せて熱伝導で放熱する方法と、機器を液体窒素など液化
ガスに浸漬して沸騰熱伝達で放熱する方法がある。特に
コンピュータのCPU(中央演算処理装置)のような、発
熱密度が大きく冷凍機に接続しにくい複雑形状の装置で
は液化ガスに浸漬する方法が有利である。また、低温冷
媒には各種の液化ガスが考えられるが、毒性や反応性の
ない、安定な単一組成の冷媒は液体窒素、液体ヘリウム
など、極くわずかなものしかない。ちなみに、低温液体
の熱的性質を示すと、次の第1表の通りである。
上記第1表に記載した低温液体のうち、COは毒性であ
り、CH4は可燃性であり、O2は酸化性であるので、低温
冷媒としての適用に問題があり、したがって、空気を液
化分離して得られる液体窒素が低温冷媒として好まし
い。
液体窒素を低温冷媒として用いた例は、例えば、F.H.
Gansslen他、“Very Small MOSFET′s for Low−Temper
ature Operation",IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEV
ICES,1977年3月、に記載されている。この文献には、
液体窒素の開放プールにFETをじかに浸漬することが教
示されている。また、液体弗化炭素を低温冷媒として用
いることも公知である。例えば、“Cooling a Superfas
t Computer",ELECTRONIC PACKAGING & PRODUCTION,198
6年7月には、スーパコンピュータであるCRY−2の全体
を循環せる液体弗化炭素中に浸漬することが教示されて
いる。
さらにまた、その他の有用な低温の冷媒として、液体
窒素に液体四弗化炭素を8モル%混合し、窒素の二倍の
冷却能力を持つ冷媒が知られている〔天野、長尾(三菱
電気・中研)1988年5月低温工学会、春季講演会C1−
4〕。この文献によると、高Tc超伝導体を記載の混合冷
媒に直接に浸漬して、すぐれた冷却効果(液体窒素単独
の場合の約2倍)を得られたことが報告されている。
天野らの文献に記載の冷却方法は、第9図に示すよう
な開放系を用いている。すなわち、開放式の真空容器3
に液体窒素(LN2)と四弗化炭素(CF4)からなる混合冷
媒2を入れ、この混合冷媒に被冷却体1(ここでは、冷
却能力を評価するために、超伝導体の代りに白金線)を
浸漬している。温度センサとしての熱電対4も冷媒2中
に浸漬されており、他端は記録計8に接続されている。
この装置にはまた、はかり5、DC電源6、そして抵抗体
7が組み込まれている。
ところで、低温冷却では、大気および大気中の水分の
凍結混入を避け、また、発熱体の熱で沸騰、気化したガ
スを再液化して循環するため、外気と遮断された閉ルー
プ冷却系が使用される。
上記のような混合冷媒は高い冷却能力を持つが、四弗
化炭素の混合濃度の高い冷媒を閉ループ冷却系内で使用
すると、蒸気に低沸点成分が多くなるため、液相と気
相、あるいは沸騰部と凝縮部で冷媒の組成の不均衡が生
じ、冷却能力の変動が生じる欠点があった。また、従来
の混合冷媒は、四弗化炭素を使用して高い冷却能力を得
るには四弗化炭素を多量に添加する必要があり、電子機
器の低温冷却に不可欠な閉ループ冷却系で使用すること
ができなかった。さらにまた、液体窒素と混合して冷却
効果を期待できる成分は、液体窒素の沸点より高い融点
を持つ弗化炭素などに限られる。しかし、従来の液体窒
素と液体弗化炭素を直接混合する方法では、四弗化炭素
を除く、ほとんどの弗化炭素が固化、沈澱して、溶解し
ない。
なお、本発明者らは、混合冷媒として液体窒素と液体
アルゴン或いは液体窒素と液体クリプトン等を試みたが
冷却効果が得られなかった。
したがって、循環系内の組成不均一および冷却能力の
変動のない閉ループ冷却用の低温冷媒を得るため、他成
分の混合量が少なく、かつ冷却能力が高いことが必要で
ある。
一方、閉ループ冷却系の典型として、クライオスタッ
ト(低温冷却容器)と冷凍機からなる装置がある。この
装置は、被冷却体(発熱体)をクライオスタット内の冷
媒液体内に浸漬し、クライオスタット内の冷媒液体上に
設けられた熱交換器と冷凍機間に熱交換用冷媒として液
体窒素を循環するようにしている。この場合、冷凍機の
振動の被冷却体への伝達を防ぐため、冷凍機はクライオ
スタットからできるだけ離して置く必要がある。クライ
オスタットと冷凍機を距離を離して接続する従来の手段
としては、ヘリウムガスを断熱管を介してクライオスタ
ット内の熱交換器へ循環させる方式があるが、気体を利
用した熱伝達であるため、大きな熱量の冷却には対応で
きない欠点がある。
したがって、クライオスタットと冷凍機間の距離を離
しても、冷却能力の大きい低温冷却装置を提供すること
が望まれている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、閉ループ冷却装置で使用するための
新規な低温冷却媒体を提供することにある。この冷却媒
体高い冷却能力を呈すべきであり、また、上記したよう
な従来の技術の欠点を有してはならない。
本発明のもう1つの目的は、上記の新規な低温冷却媒
体を溶液の形で製造する方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、上記の新規な低温冷却媒体を使
用した冷却方法を提供することにある。
本発明のさらにもう1つの目的は、上記の新規な低温
冷却媒体を使用した閉ループ冷却装置を提供することに
ある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記した課題を解決すべく鋭意研究の
結果、もしも次式の特定の弗化炭素:CnF2n+2(式中のn
は2〜4の整数である)を液体窒素に混合して使用する
ならば、所期の目的を達成し得るということを見い出し
た。今までに全く予想されなかったことではあるが、少
量の弗化炭素を混合するだけで、冷却能力を顕著に向上
させることができた。
本発明の1つの面において、閉ループ冷却装置で使用
するための低温冷却媒体であって、液体窒素と、次式に
より表される弗化炭素:CnF2n+2(式中のnは2〜4の整
数である)の混合物からなることを特徴とする低温冷却
媒体が提供される。
本発明のもう1つの面において、液体窒素と、次式に
より表される弗化炭素:CnF2n+2(式中のnは2〜4の整
数である)の混合物からなる低温冷却媒体を製造するに
当って、窒素と、次式により表される弗化炭素:CnF2n+2
(式中のnは前記定義に同じである)の混合ガスを加圧
下に冷却して液化することを特徴とする低温冷却媒体の
製造方法が提供される。
本発明のもう1つの面において、液体窒素と、次式に
より表される弗化炭素:CnF2n+2(式中のnは2〜4の整
数である)の混合物からなる低温冷却媒体を製造するに
当って、次式により表されるガス状弗化炭素:CnF
2n+2(式中のnは前記定義に同じである)を液体窒素中
に吹き込んで、弗化炭素が溶解してなる液体窒素を得る
ことを特徴とする低温冷却媒体の製造方法が提供され
る。
本発明のさらにもう1つの面において、冷却されるべ
き物(以下、「被冷却体」と記す)を約123K未満の極低
温に冷却するに当って、液体窒素と、次式により表され
る弗化炭素:CnF2n+2(式中のnは2〜4の整数である)
の混合物からなる閉ループ冷却系の低温冷却媒体に被冷
却体を浸漬することを特徴とする冷却方法が提供され
る。
本発明のさらにもう1つの面において、閉ループ冷却
装置であって、液体窒素と、次式により表される弗化炭
素:CnF2n+2(式中のnは2〜4の整数である)の混合物
が冷却媒体として入れられているクライオスタットを有
しており、被冷却体が前記冷却媒体中に浸漬せしめられ
て冷却が行われることを特徴とする閉ループ冷却装置も
提供される。
また、本発明のさらにもう1つの面において、閉ルー
プ冷却装置であって、次式により表される弗化炭素:CmF
2m+2(式中のmは1〜4の整数である)が冷却媒体とし
て入れられているクライオスタットと、該クライオスタ
ットの上方内部空間に配置されかつ内部を熱交換媒体と
しての液化ガスが循環せしめられている液化機からの熱
交換管とを有しており、被冷却体が前記冷却媒体中に浸
漬せしめられて冷却が行われることを特徴とする閉ルー
プ冷却装置も提供される。
以下に詳述するけれども、本発明によると、少量の弗
化炭素を液体窒素中で使用して、予期以上に向上せしめ
られた冷却能力を得ることができる。この冷却能力を液
体窒素の単独使用の場合と比較すると、本発明の冷却能
力が約2倍であり、また、その際、高沸点成分の液化機
における凝縮やその他の従来の技術の欠点も認められな
い。これらの利点や本発明のその他の利点は、以下の記
載からより明らかとなるであろう。
〔作 用〕
本発明の冷却媒体を用いるとなぜ冷却能力の向上がは
かれるのか、そのメカニズムの詳細はまだ究明されたわ
けではないけれども、本発明者らの経験から、次のよう
な理由があるのではないかと推測される。
1)2成分の混合による冷却媒体の体積の低下。この体
積の低下は、水とアルコールを混合する場合のようにし
て発生する。すなわち、分子の平均自由路直径が大幅に
異なる場合、分子の最密パッキングがおこることの結果
として、分子混合物の体積が低下する。適当な量の弗化
炭素CnF2n+2(n=2,3又は4)を液体窒素中で使用する
場合には、その結果としてひきおこされる冷却媒体の体
積の低下が冷却能力の追加的な向上を生じるであろう。
2)冷却媒体の表面張力の低下。すなわち、本発明の浸
漬冷却法において、被冷却体(発熱体)の温度上昇が小
さく安定して冷却できる冷却能力の限界は冷却媒体の膜
沸騰遷移点(膜沸騰状態へ遷移するときの冷却能力)以
下であり、また、安定な冷却の限界である膜沸騰遷移点
は気化熱や表面張力等の冷却媒体の液体成分の物性によ
って異なる。
弗化炭素CnF2n+2は低い表面張力を有しており、ま
た、したがって、液体窒素に弗化炭素を溶解させると、
得られる混合物:冷却媒体の表面張力が著しく低下す
る。そのため、この混合液体の中で発熱体の沸騰冷却を
行うと、その発熱体の表面で発生した蒸気気泡は発生初
期の状態で発熱体表面から離脱するようになり、膜沸騰
への遷移を遅らせるようになる。また、発生せしめられ
た気泡が発熱体に接する冷却媒体の境界層を破壊する。
これらの結果、冷却能力は向上する。なお、分子量の大
きな弗化炭素では、より低濃度で冷却能力を向上でき
る。但し、弗化炭素(CnF2n+2)の炭素数nが4を越す
と沸点が上昇し、液体窒素と混合するとき固体となるた
め、本発明では特にn=2〜4を選んだ。
又、液体窒素に混合する物質として塩化炭素等種々の
物質について調べたが、弗化炭素の効果が顕著であっ
た。その理由の一つは上記の表面張力の低下によるもの
と考えられる。
3)弗化炭素の溶解条件。もしも液体の弗化炭素が徐々
に凍結せしめられると、粘稠化がおこり、ゼラチン状と
なる。ここで、もしも液体窒素中に弗化炭素を溶解させ
るとすると、ゆるいゼラチン状液体が生成し、したがっ
て、弗化炭素分子間のゼラチン状結合を切断するに要す
るエネルギーに原因して気化熱及びしたがって冷却能力
が向上せしめられると、考えられる。
一方、熱交換器を用いてクライオスタット内の沸騰気
化した冷媒を冷却して再液化させるためには、その熱交
換器にクライオスタット内の冷媒より低沸点の冷媒を循
環させる必要がある。
そのため、熱交換用冷媒の液体窒素(沸点77.2K)よ
り沸点の高いCF4(沸点145.2K)を浸漬液冷用の冷媒に
用いてクライオスタット内を循環させると、熱交換器部
で沸騰熱伝達が起こるため、ヘリウムガスを使用した対
流熱伝達より高効率の熱伝達が可能である。
また、CF4の気化熱は136J/gと大きく、液体窒素の気
化熱は198J/gに近いため、CF4の循環速度が緩やかで
も、クライオスタット内において十分に冷却することが
できる。
本発明は、1つの面において、これらの結果を利用し
て冷却能力を向上するようにしたものである。
参考のために、低温液体の熱的性質を次表に示す。こ
こで、沸点はK、気化熱はJ/g、熱伝導率はmW/mKで表さ
れる。
〔発明の好ましい態様及び実施例〕 本発明による低温冷却媒体は、前記「課題を解決する
ための手段」の項で記載したように、液体窒素と弗化炭
素CnF2n+2(式中のnは前記定義に同じである)の混合
物である。この低温冷却媒体は、液体窒素に弗化炭素を
溶解した形で用いるのが好ましい。
本発明において用いられる弗化炭素は、C2F6,C3F8,C4
F10又はその混合物である。CF4を用いることもできるけ
れども、その場合には、CF4を多量に添加しなければな
らず、また、CF4の使用に原因した不利益もでてくるで
あろう。さらに詳しく述べると、分子量の大きな弗化炭
素、C2F6,C3F8などは、融点が高く、液体窒素への溶解
が困難であるものの、四弗化炭素に比べて低濃度で表面
張力を低下できる。したがって、本発明では、混合成分
として、従来の四弗化炭素に代わって、より分子量の大
きな弗化炭素に注目した。そしてまた、以下に詳述する
ように、窒素と弗化炭素の混合ガスを加圧下で冷却する
方法、あるいは、液体窒素に弗化炭素ガスを吹き込む方
法により、分子量の大きな弗化炭素の混合冷媒をつく
り、他成分の混合量が少なく、かつ冷却能力が高い混合
冷媒を得ることを可能にした次第である。
他方において、弗化炭素CnF2n+2の式中のnが5以上
である場合には、その大きな分子量に原因して沸点が高
く、液体窒素に極微量溶解するのみであるかもしくは殆
んど溶解せず、むしろ液体窒素との混合時に固化し得、
したがって冷却媒体としてのその使用は不可能である。
本発明によると、約40W/cm2のオーダーの満足し得る
冷却能力を得るため、約8〜20モル%もしくはそれ以上
の弗化炭素CF4を液体窒素に添加していた従来の冷却媒
体と比較して、より少量の弗化炭素CnF2n+2(n=2,3又
は4)を液体窒素に添加すれば十分である。すなわち: 弗化炭素CnF2n+2(n=2,3又は4)は、本発明の冷却
媒体を得るため、0.1〜3モル%の量で液体窒素に添加
するのが好ましい。C2F6では、0.1モル%以上の添加量
で冷却能力の向上が得られ、0.5mol%で最大の冷却能力
の向上が得られる。添加量がそれ以上となっても冷却効
果はあまり変わらない。C2F6の液体窒素への溶解性か
ら、C2F6を3モル%以上混合すると、得られる冷却媒体
が白濁し効果が低下する。従って、C2F6の液体窒素への
混合割合は、好ましくは0.1〜3モル%である。C3F
8も、上記したC2F6と同様、ほぼ3モル%まで溶解し、
それを上廻ると得られる冷却媒体に濁りを生じ、また、
液体窒素への添加効果も前記C2F6の場合とほぼ同様であ
る。C3F8の混合割合は、より好ましくは0.1〜0.5モル%
である。C4F10も同様である。C4F10では、それが液体窒
素に溶解する量は0.5モル%以下であり、溶解性が低く
なるというものの0.1〜0.5モル%で冷却能力の向上が得
られる。C4F10の混合割合は、より好ましくは、0.1〜0.
3モル%である。
本発明による低温冷却媒体は、以下に記載するような
手法に従って有利に製造することができる。
第1の製造方法は、窒素と、次式により表される弗化
炭素:CnF2n+2(式中のnは前記定義に同じである)の混
合ガスを加圧下に冷却して液化する工程を含む方法であ
る。この製造方法の場合に、混合ガス中の窒素と弗化炭
素の比は、好ましくは、得られる冷却媒体のそれに実質
的に同じであり、また、冷却工程中、1−2気圧の高め
られた圧力を混合ガスに適用するのが好ましく、そして
また、ボンベのような高圧容器中の混合ガスを液化機に
導入して、その液化機で機内の圧縮、断熱冷却ガスで冷
却するのが好ましい。
第2の製造方法は、次式により表されるガス状弗化炭
素:CnF2n+2(式中のnは前記定義に同じである)を液体
窒素中に吹き込んで、弗化炭素が溶解してなる液体窒素
を得る工程を含む方法である。この製造方法の場合に、
高圧容器中のガス状弗化炭素をデュワーびんのような容
器中の液体窒素に吹き込むこと、そしてまた、ガス状弗
化炭素を液体窒素に吹き込む前にそのガス状弗化炭素を
予備冷却すること、具体的には、そのガス状弗化炭素を
別のデュワーびんのような容器中の液体窒素内を通過さ
せてその沸点付近の温度(弗化炭素が液化せしめられる
直前の温度)まで冷却することが好ましい。
本発明による冷却方法及び冷却装置では、すなわち、
被冷却体を約123K未満の極低温に冷却する方法及びその
ような方法を実施する装置では、上記したように液体窒
素と弗化炭素の混合物からなる低温冷却媒体を閉ループ
系で用いて、その冷却媒体中に被冷却体を浸漬する。
本発明の好ましい1態様に従うと、冷却媒体を冷却装
置の密閉クライオスタット内に被冷却体冷却のための媒
体として入れる。この態様では、クライオスタット内で
沸騰し気化した冷却媒体を別の液化機に移してそこで液
化し、得られた冷却媒体の液体を再びクライオスタット
に戻すのが好ましい。
本発明のもう1つの好ましい態様に従うと、クライオ
スタット内で沸騰し気化した冷却媒体を、別の液化機に
移してそこで液化しないで、同じクライオスタット内で
液化する。すなわち、クライオスタット内で生成せる冷
却媒体の蒸気と、そのクライオスタット内の適当な位置
(熱交換を実施する部位)に配置された熱交換管内の熱
交換媒体との間で熱交換を行わせ、その結果として冷却
媒体の蒸気を液化する。この態様の場合、熱交換管内を
循環せしめる熱交換媒体は、好ましくは、液体窒素であ
る。しかし、必要に応じて、その他の熱交換媒体を使用
してもよい。
本発明の冷却装置では、そのクライオスタットの壁面
に装入及び排出のための開口を設けて、これらの開口
を、導管を介して、別の液化機と連通する。このような
構成とすると、被冷却体の発熱によってクライオスタッ
ト内で沸騰し気化した冷却媒体を液化機に案内してそこ
で液化し、得られた冷却媒体の液体をクライオスタット
に戻すことができる。
さもなければ、クライオスタットの上方の内部空間の
適当な位置に熱交換管を配置するとともにこの熱交換管
を別の液化機と連通する。このような構成とすると、被
冷却体の発熱によってクライオスタット内で沸騰し気化
した冷却媒体を同じクライオスタット内で、冷却媒体の
蒸気と熱交換管内の熱交換媒体との間の熱交換の結果と
して、液化することができる。このようにして液化せし
められた冷却媒体はクライオスタット内に残存する冷却
媒体中に落下する。
本発明の実施において用いられる液化機は任意の常用
の構造を有することができるが、なかんずく、スターリ
ングサイクル冷凍機と圧縮機の組み合わせを有するもの
が好ましい。
本発明を実施するに当って、先に述べたように、任意
を熱交換媒体を使用することができる。しかし、満足の
いく熱交換効果を得られる。同時にクライオスタット内
で用いられる被冷却体用の冷却媒体に較べて低い沸点を
有する熱交換媒体を用い、この熱交換媒体を液化機の熱
交換管を循環させることが必要である。もしもこの必要
条件が満されるならば、熱交換管の部分で沸騰熱伝達が
おこり、また、したがって、熱交換管内でヘリウムガス
を使用することによって得られる対流熱伝達より高効率
の熱伝達が可能となる。このことが、すなわち、前記し
たように、本発明の冷却媒体が好ましくはクライオスタ
ット内で被冷却体用冷却媒体として用いられ、一方、液
化窒素が熱交換管内で熱交換媒体として用いられる所以
である。
本発明は、被冷却体を約123K未満の極低温まで冷却す
ることに適用することができる。適当な被冷却体の例と
しては、以下のものに限定されるわけではないけれど
も、例えばHEMT,CMOSなどのような半導体装置、極低温
で超伝導を示す高Tc超伝導体を用いたデバイス、極低温
で使用するように設計された電子機器用デバイス、回路
基板、その他がある。驚くべきことには、本発明による
と、大型のコンピュータでも、構造簡単な冷却装置内
で、高効率で冷却することができる。
次いで、本発明を添付の図面を参照して詳述するが、
図中、第1図及び第2図は、それぞれ、本発明による低
温冷却媒体の製造装置を図示したものである。
第1図の装置において、スターリングサイクル冷凍機
14と高圧圧縮機15を有する液化機13を用いて冷却媒体を
製造した。窒素と弗化炭素(ここではC2F6を使用)の混
合ガスをガスボンベ11に装填し、その混合ガスを導管12
を介して冷凍機14に供給した。冷凍機14の容器17内をガ
スを約1.3〜1.5気圧の加圧下に冷却し、液化して冷却媒
体、すなわち、液体窒素(LN2)とC2F6の混合物、18を
形成した。混合ガスの冷却のため、容器17の底部を冷凍
機14のコールドヘッド(図示せず)で冷却した。いま少
し詳しく説明すると、例えば約70Kの温度を有する適当
な冷却ガス、例えば11−13kg/cm2のヘリウムを圧縮機15
で圧縮し、この圧縮ガスをピストン16で断熱冷却し、こ
のようにして冷却されたガスとコールドヘッドに移して
冷却ガスとガスボンベ11からの混合ガスとが間接接触す
るようにした。液化せしめられた混合ガス18が容器17内
にたまった。
図示の低温冷却媒体の製造の場合、得られる混合冷媒
の弗化炭素(C2F6)の混合割合はガスボンベに充填され
る窒素−弗化炭素(C2F6)混合ガスの濃度で規定される
ので、所定混合割合の混合冷媒を制御性及び再現性良く
得ることができる。
第2図の装置において、デュワーびん27に入れた液体
窒素28に弗化炭素CnF2n+2のガス(ここではC2F6ガスを
使用)を吹き込むことによって冷却媒体を製造した。ガ
スボンベ21内のC2F6ガスは、それをデュワーびん27内の
液体窒素28に吹き込む前、そのC2F6ガスが液化する前の
温度まで予備冷却した。すなわち、ボンベ21のC2F6ガス
を、導管22を介して、デュワーびん25の液体窒素26内に
浸漬した冷却管23に送り、その管の内部の循環させるこ
とによって予備冷却を行った。予備冷却後、冷却管23か
らの冷却弗化炭素ガスを導管24を介してデュワーびん27
に送り込み、そのびん内の液体窒素28中でバブリングし
た。このバブリングの結果として、冷却媒体、すなわ
ち、液体窒素とC2F6の混合物がデュワーびん27で得られ
た。ここで、得られる冷却媒体中のC2F6の混合割合は、
ガスボンベ内のC2F6ガスの圧力、C2F6ガスの流量などを
適宜変更することによって、自由にコントロールするこ
とができた。
また、第1図及び第2図を参照した上記した低温冷却
媒体の製造では、弗化炭素として式中のnが2のCnF
2n+2、すなわちC2F6を用いる例を挙げたが、この例は、
上述のようにn=3,4のC3F8,C4F10あるいはその混合物
にも同様に適用できる。また、第2図の例でC2F6ガスを
用いたが、これに窒素ガスを混合してもよい。
本発明では、被冷却体を極低温まで冷却するため、本
発明の低温冷却媒体を閉ループ冷却装置、特にそのクラ
イオスタットに入れる。このクライオスタットを使用し
た冷却を、以下、添付の第3図及び第4図を参照して説
明する。なお、第3図では、発明の理解を容易にするた
め、熱交換部が省略されている。
第3図において、密閉クライオスタット33に本発明の
冷却媒体34を装填した。ここで使用した冷却媒体34は、
液体窒素及び媒体全量の3.41モル%の弗化炭素CF4の混
合物であった。10mm角のLSIチップ31を4×4個搭載し
た100mm角の回路基板32を、クライオスタット33内の冷
却媒体34に浸漬した。
ここで、素子(LSIチップ31)に電気が供給ケーブル
(図示せず)を介して電力を印加すると、冷却媒体34が
沸騰を開始し、素子の表面から細かい蒸気気泡35が発生
した。素子は、したがって、気化熱を奪われて冷却され
た。
使用した冷却媒体の冷却能力を、その冷却媒体が核沸
騰から膜沸騰へ遷移する時の熱流束でそれを規定するこ
とによって評価した。素子の温度と電力損の関係を測定
することによって膜沸騰遷移点を決定した。素子の温度
と測定はその素子の表面に形成されたダイオードのとこ
ろで実施した。この評価の結果から、冷却媒体が純粋な
液体窒素の場合は膜沸騰状態へ遷移するときの素子の単
位面積当たりの冷却能力が15〜20W/cm2であったが、上
記の例では30〜50W/cm2と2〜3倍に向上したことが明
らかとなった。
さらに、上記した手法をCF4の混合量を変化させて
(0〜20.7モル%)繰り返し、冷却媒体の冷却能力のCF
4濃度依存性を示すグラフをプロットした。得られた結
果を第4図に示す。
上記では、本発明の冷却を第3図を参照して説明し
た。この冷却をさらに詳しく説明すると、本発明の冷却
は、例えば、第5図又は第6図に示される冷却装置を使
用して有利に実施することができる。
第5図の冷却装置は、図から明らかな通り、クライオ
スタット33と液化機13を有する閉ループ冷却系であっ
た。液化機13は、第2図を参照して先に説明したよう
に、冷凍機14及び高圧圧縮機15から構成されていた。ク
ライオスタット33に充填した冷却媒体34は、液体窒素と
0.5モル%の弗化炭素(ここではC2F6を使用)の混合
物、すなわち、混合冷媒であった。
100mm角の回路基板32に10mm核のLSIチップ31を4×4
個搭載し、これをクライオスタット33内の混合冷媒34に
直に浸漬した。素子(LSIチップ31)に図示しない電源
から電力供給ケーブル(図示せず)を介して電力を印加
すると、混合冷媒34の沸騰が開始し、素子31の表面から
は細かい気泡35が発生した。素子31は、したがって、気
化熱を奪われて冷却された。
気化した混合冷媒の蒸気は、供給導管36を介して冷凍
機14の容器17に送られた後、その容器内で液化せしめら
れた。この液化を行うため、容器17の底部を冷凍機14の
コールドヘッド(図示せず)で冷却した。また、この冷
却は、第2図を参照して先に記載したように、圧縮機15
とそれに付属のピストン16を使用して実施した。すなわ
ち、第5図に図示の液化機13の機能は第2図のものと実
質的に同じである。容器17にたまった冷却媒体の液体を
供給導管37を介してクライオスタット33に循環した。
使用した冷却媒体の冷却能力を上述のようにして評価
し、そしてその評価結果を第7図に、冷却媒体中に浸漬
したLSIチップの温度の関係として、プロットした。ま
た、比較のため、液体窒素の単独を冷却媒体として使用
し、冷却能力の評価結果を同じく第7図にプロットし
た。第7図にプロットした結果から、純液体窒素に浸漬
した場合膜沸騰状態へ遷移するときの素子の単位面積あ
たりの冷却能力が約15〜20W/cm2であったものが、本発
明の混合冷媒を適用することにより、わずか0.5モル%
のC2F6の混合量で、ほぼ2倍の約40W/cm2まで冷却でき
るようになったことがわかる。なお、0.5モル%のC2F6
という混合量は極めて少ない量であるので、密閉系の液
化機のところで冷媒が凝集したり分離したりする問題は
全くひきおこされない。
第6図の閉ループ冷却装置は、先に第3図又は第5図
を参照して説明した冷却装置の1変形例である。図示さ
れるように、クライオスタット33を液化機13から離して
配置してあるが、クライオスタット33内で気化した冷却
媒体(混合冷媒)の冷却と液化を行うため、液化機13か
ら延在せる熱交換管38がクライオスタット33の上方内部
空間に配置されている。クライオスタット33、クライオ
スタット33内の混合冷媒34、LSIチップ31を搭載した回
路基板32及び液化機13は、それぞれ、第5図のものに対
応しかつしたがってすでに説明してあるので、ここで繰
り返し説明することを省略する。なお、本例で、熱交換
管38内を循環させた熱交換媒体39は、液体窒素であっ
た。
100mm角の回路基板32に10mm角のLSIチップ31を4×4
個搭載し、これをクライオスタット33内の混合冷媒34に
直に浸漬した。素子(LSIチップ31)に図示しない電源
から電力供給ケーブル(図示せず)を介して電力を印加
すると、混合冷媒34の沸騰が開始し、素子31の表面から
は細かい気泡35が発生した。素子31は、したがって、気
化熱を奪われて冷却された。次いで、気化した混合冷媒
を熱交換管38の液体窒素39との間接的熱交換に供し、そ
の結果として混合冷媒の蒸気を液化させ、未気化の混合
冷媒34に滴下させた。
使用した冷却媒体の冷却能力を上述のようにして評価
したところ、得られた評価結果は満足すべきものであ
り、第5図の冷却装置を用いて得られたものに比較可能
であった。なお、図示の装置の場合、熱交換媒体として
使用したものがガスではなくて、液体窒素の如き液体で
あったので、冷却能力を下げることなく、使用する熱交
換管の直径を小さくすることができた。例えば1kW冷却
の場合、熱伝達を105W/m2Kまで上昇させることができ
(ヘリウムガスの使用時には103W/m2K)、そして熱交換
管の直径を25mmまで小さくすることができた(ヘリウム
ガスの使用時には直径50mm)。
本発明を実施するに当って、第5図及び第6図に図示
した閉ループ冷却装置のほかに必要に応じて、本発明の
低温冷却媒体の製造に用いた第1図の装置を使用しても
よい。すなわち、真空二重断熱層とされた容器17内に溜
まった混合冷媒18中に前記したLSIを搭載した回路基板
を浸漬することができる。また、第1図、第5図及び第
6図の装置において、図示していないけれども、容器の
底部の温度制御用のヒータを設け、混合冷媒の温度を沸
点近傍等の温度にコントロールしたり、熱交換反応の速
度をコントロールしたりすることができる。
第8図は、本発明者らが実験によって得たデータをま
とめてプロットしたグラフであるので、これから本発明
をさらに詳しく理解することができるであろう。
第8図のグラフには3本の線と1つの点がプロットさ
れている。すなわち、第1の実線はLN2+CnF2n+2(n=
2又は3)の冷却能力曲線であり、第2の実線はLN2+C
4F10の冷却能力曲線であり、第3の点線はLN2+CF4の冷
却能力曲線であり、そして1つの点はLN2の冷却能力を
示す。本発明の冷却媒体(LN2とCnF2n+2の混合物で式中
のnが2,3又は4であるもの)の場合、少量のCnF2n+2
LN2に対して添加するだけで、顕著に改良された冷却効
果が得られた。なお、CnF2n+2(n=2又は3)が0.5〜
1モル%の範囲のところは点線で示してあるが、これ
は、CnF2n+2がLN2に溶解し得なかったことを意味する。
従来の冷却媒体(LN2の単独あるいはLN2とCF4の混合
物)の場合、満足し得る冷却効果は得られず、また、LN
2とC5F12の混合物(図示せず)の場合は、冷却能力の向
上が得られず、むしろ、この混合物には凝集の傾向があ
った。
さらに、上記では第6図の冷却装置を参照してLN2とC
2F6の混合物を冷却媒体としてクライオスタット内で使
用することについて説明したけれども、本発明者らはま
た、LN2とC2F6の混合物の代りに弗化炭素だけを使用し
た場合にも満足し得る結果が得られるということを見い
出した。すなわち、CF4を含めたいかなる弗化炭素も冷
却媒体としてクライオスタット内で使用することがで
き、また、任意の液化ガスを熱交換媒体として液化機の
熱交換管中で使用することができる。ここで、いかなる
液化ガスを使用するかということは、主として、冷却媒
体として選ばれた弗化炭素の特質に依存するであろう。
熱交換管内の液化ガスがクライオスタット内の弗化炭素
よりも低い沸点を有するのが一般的である。
第6図の閉ループ冷却装置を使用してかその装置のク
ライオスタットに弗化炭素CF4を冷却媒体として入れ
て、次のような手順によりLSIチップを冷却した。
10mm角のLSIチップ31を3×3個搭載した100mm角の回
路基板32をクライオスタット33内の液体CF4からなる冷
却媒体34に浸漬した。
ここで、素子(LSIチップ31)に電力を印加すると、
冷却媒体34は沸騰を開始し、素子の表面から細かい蒸気
気泡35が発生した。素子は、したがって、気化熱を奪わ
れて冷却された。
CF4の蒸気は、液体窒素39が循環されている熱交換管3
8で90K程度に冷却されて再液化した。また、液体窒素39
は、CF4蒸気の熱を奪って沸騰し、気液2相流となって
冷凍機14に戻り、ここで再液化された。なお、図示しな
いけれども、熱交換管38の途中には液体窒素39を循環さ
せるポンプが配置される。
冷却能力を実測の結果、ヘリウムガスを熱交換媒体と
して使用した従来の装置の場合には冷却能力が100Wであ
ったものが、上記した本発明の装置の場合、冷却能力が
約5倍の500Wまで増加した。なお、上記の例では液体CF
4を使用したけれども、それに代えてその他の弗化炭
素、例えばC2F6,C3F8,C4F10又はその混合物を使用する
ことができ、そしてまた、選ばれた弗化炭素にあわせて
適当な熱交換媒体を使用することができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、膜沸騰へ遷移
するときの熱流束値の高い冷却媒体が得られ、単純な機
構でしかも高い冷却能力の低温冷却が可能となる。
また、熱交換器を用いた冷却系において、被冷却体浸
漬用冷媒と熱交換用冷媒を選ぶことにより、高い冷却能
力の冷却装置を提供することができる。
さらにまた、本発明によれば、コンピュータのCPUの
ような、発熱密度が大きく冷凍機に接続しにくい複雑形
状の装置を液体に浸漬する方法に有利で、電子機器の低
温冷却に不可欠な閉ループ冷却系で使用することがで
き、循環系内の組成不均一および冷却能力の変動がな
く、また、弗化炭素成分の液体窒素中への混合量が少な
くてすみ、かつ冷却能力が高い低温冷却媒体とその製
法、並びにそれを用いる冷却方法及び冷却装置を提供す
ることができ、したがって、液体窒素温度の如き低温領
域において高速演算性能を発揮する電子機器用デバイス
(HEMT,CMOS等、液体窒素温度で超伝導を呈する高Tc相
酸化物超伝導体を用いる素子、回路基板など)の冷却に
大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、それぞれ、本発明による低温冷却
媒体を製造するのに用いられる装置の一例を示した略示
断面図、 第3図は、本発明の実施に用いられるクライオスタット
の一例を示した略示断面図、 第4図は、冷却媒体中のCF4の濃度と得られる冷却能力
の関係をプロットしたグラフ、 第5図及び第6図は、それぞれ、本発明による閉ループ
冷却装置の好ましい一例を示した略示断面図、 第7図は、C2F6の添加の有無による冷却能力の変化をLS
Iチップの温度に関してプロットしたグラフ、 第8図は、冷却媒体中の弗化炭素の濃度と得られる冷却
能力の関係をプロットしたグラフ、そして、 第9図は、従来の開放式冷却装置の一例を示した略示断
面図である。 図中、11はガスボンベ、12は導管、13は液化機、14は冷
凍機、15は圧縮機、16はピストン、17は容器、そして18
は冷却媒体である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹羽 紘一 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−48884(JP,A)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】閉ループ冷却装置で使用するための低温冷
    却媒体であって、液体窒素と、次式により表される弗化
    炭素:CnF2n+2(式中のnは2〜4の整数である)の混合
    物からなることを特徴とする低温冷却媒体。
  2. 【請求項2】液体窒素と、次式により表される弗化炭
    素:CnF2n+2(式中のnは2〜4の整数である)の混合物
    からなる低温冷却媒体を製造するに当って、窒素と、次
    式により表される弗化炭素:CnF2n+2(式中のnは前記定
    義に同じである)の混合ガスを加圧下に冷却して液化す
    ることを特徴とする低温冷却媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】液体窒素と、次式により表される弗化炭
    素:CnF2n+2(式中のnは2〜4の整数である)の混合物
    からなる低温冷却媒体を製造するに当って、次式により
    表されるガス状弗化炭素:CnF2n+2(式中のnは前記定義
    に同じである)を液体窒素中に吹き込んで、弗化炭素が
    溶解してなる液体窒素を得ることを特徴とする低温冷却
    媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】被冷却体を約123K未満の極低温に冷却する
    に当って、液体窒素と、次式により表される弗化炭素:C
    nF2n+2(式中のnは2〜4の整数である)の混合物から
    なる閉ループ冷却系の低温冷却媒体に前記被冷却体を浸
    漬することを特徴とする冷却方法。
  5. 【請求項5】閉ループ冷却装置であって、液体窒素と、
    次式により表される弗化炭素:CnF2n+2(式中のnは2〜
    4の整数である)の混合物が冷却媒体として入れられて
    いるクライオスタットを有しており、被冷却体が前記冷
    却媒体中に浸漬せしめられて冷却が行われることを特徴
    とする閉ループ冷却装置。
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