JPH0859509A - サイトメガロウイルス抗原血症治療剤およびサイトメガロウイルス感染症治療剤 - Google Patents
サイトメガロウイルス抗原血症治療剤およびサイトメガロウイルス感染症治療剤Info
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- JPH0859509A JPH0859509A JP19242194A JP19242194A JPH0859509A JP H0859509 A JPH0859509 A JP H0859509A JP 19242194 A JP19242194 A JP 19242194A JP 19242194 A JP19242194 A JP 19242194A JP H0859509 A JPH0859509 A JP H0859509A
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- cmv
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- infection
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Abstract
(57)【要約】
【目的】副作用の少ないCMV抗原血症治療剤およびC
MV感染症治療剤を提供すること 【構成】CMVのエンベロープ糖蛋白を認識し、CMV
を中和する抗CMVヒト型モノクローナル抗体、例えば
レガビルマブを活性成分とする。
MV感染症治療剤を提供すること 【構成】CMVのエンベロープ糖蛋白を認識し、CMV
を中和する抗CMVヒト型モノクローナル抗体、例えば
レガビルマブを活性成分とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はCMV抗原血症治療剤お
よびCMV感染症治療剤に関する。
よびCMV感染症治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】サイトメガロウイルス(CMV)は、ヒ
トに常在的に感染しているウイルスで、種々の臓器に潜
伏している。病原性は弱く、多くの場合不顕性感染であ
るが、免疫不全患者や重度の免疫抑制状態にある易感染
性患者、特に骨髄移植患者や臓器移植患者、AIDS患
者では間質性肺炎などの重篤な症状を引き起こすほか、
肝炎、胃腸炎、腎炎などのCMV感染症を引き起こし、
死亡に至る例も多い。
トに常在的に感染しているウイルスで、種々の臓器に潜
伏している。病原性は弱く、多くの場合不顕性感染であ
るが、免疫不全患者や重度の免疫抑制状態にある易感染
性患者、特に骨髄移植患者や臓器移植患者、AIDS患
者では間質性肺炎などの重篤な症状を引き起こすほか、
肝炎、胃腸炎、腎炎などのCMV感染症を引き起こし、
死亡に至る例も多い。
【0003】なかでも、骨髄移植患者においては、免疫
抑制剤投与に伴って、移植後5〜6週間で患者の約15
%が間質性肺炎を発症し、死亡率は80〜90%にのぼ
るという報告がある。近年この間質性肺炎に対する治療
法が開発され、その致死率を50%に減少させることが
できるようになってきているといわれるが、依然として
致死率の高い合併症であることに変わりはない。
抑制剤投与に伴って、移植後5〜6週間で患者の約15
%が間質性肺炎を発症し、死亡率は80〜90%にのぼ
るという報告がある。近年この間質性肺炎に対する治療
法が開発され、その致死率を50%に減少させることが
できるようになってきているといわれるが、依然として
致死率の高い合併症であることに変わりはない。
【0004】このため、CMV感染の初期段階、すなわ
ちCMV感染症として知られる前記間質性肺炎等の発症
前のCMV抗原血症患者に投与され、その発症を未然に
防止できる治療剤およびCMV感染症治療剤の開発が待
たれている。
ちCMV感染症として知られる前記間質性肺炎等の発症
前のCMV抗原血症患者に投与され、その発症を未然に
防止できる治療剤およびCMV感染症治療剤の開発が待
たれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、CMV感染症治
療剤として、例えば、ガンシクロビルやγ−グロブリン
製剤が知られているが、化学療法剤である抗ウイルス核
酸類縁体には、副作用による投与量の制限や投与方法、
適応症の制限があり、γ−グロブリン製剤では十分な抗
体価が得られず、材料がヒトの血液であるため供給量に
問題がある。また抗CMVヒトモノクローナル抗体が有
効であることも知られている(例えば、国際公開WO8
7/03602号公報など)が、この抗体については、
そのCMV感染程度との関係において、その有効な投与
時期についての情報はなかった。
療剤として、例えば、ガンシクロビルやγ−グロブリン
製剤が知られているが、化学療法剤である抗ウイルス核
酸類縁体には、副作用による投与量の制限や投与方法、
適応症の制限があり、γ−グロブリン製剤では十分な抗
体価が得られず、材料がヒトの血液であるため供給量に
問題がある。また抗CMVヒトモノクローナル抗体が有
効であることも知られている(例えば、国際公開WO8
7/03602号公報など)が、この抗体については、
そのCMV感染程度との関係において、その有効な投与
時期についての情報はなかった。
【0006】そこで、本発明は、副作用が少なく、安全
性に優れたCMV抗原血症治療剤、すなわち、CMV感
染症の発症抑制効果を有するCMV抗原血症治療剤、お
よび、同様な特性を有するCMV感染症治療剤を提供す
ることを目的とする。
性に優れたCMV抗原血症治療剤、すなわち、CMV感
染症の発症抑制効果を有するCMV抗原血症治療剤、お
よび、同様な特性を有するCMV感染症治療剤を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、サ
イトメガロウイルス(CMV)のエンベロープ糖蛋白を
認識し、CMVを中和する抗CMVヒト型モノクローナ
ル抗体を活性成分とするCMV抗原血症治療剤およびC
MV感染症治療剤を提供するものである。
イトメガロウイルス(CMV)のエンベロープ糖蛋白を
認識し、CMVを中和する抗CMVヒト型モノクローナ
ル抗体を活性成分とするCMV抗原血症治療剤およびC
MV感染症治療剤を提供するものである。
【0008】CMV抗原血症とは、末梢血白血球中より
CMV抗原が検出される状態であり、その診断法として
は、E−13(登録商標)(バイオソフト:フラン
ス)、Clonab CMV(登録商標)(バイオテス
ト:ドイツ)による方法が知られている。CMV抗原血
症は臨床症状に先行して出現し、BMT患者において
は、出現後4週間以内の発症確率は65.2%で、CM
V抗原血症でない患者の2週間以内の発症確率6%と比
較するとその後の発症確率が極めて高く、CMV抗原血
症は活動性のCMVの一つの証明であると考えられる。
CMV抗原が検出される状態であり、その診断法として
は、E−13(登録商標)(バイオソフト:フラン
ス)、Clonab CMV(登録商標)(バイオテス
ト:ドイツ)による方法が知られている。CMV抗原血
症は臨床症状に先行して出現し、BMT患者において
は、出現後4週間以内の発症確率は65.2%で、CM
V抗原血症でない患者の2週間以内の発症確率6%と比
較するとその後の発症確率が極めて高く、CMV抗原血
症は活動性のCMVの一つの証明であると考えられる。
【0009】本発明の治療剤の活性成分である抗CMV
ヒト型モノクローナル抗体としてはCMVのエンベロー
プ糖蛋白により免疫感作したヒトの抗体産生細胞とマウ
スのミエローマ細胞を用いるハイブリドーマ法、または
EBウイルスを用いる形質転換法により得られるヒトモ
ノクローナル抗体を用いることができる。ハイブリドー
マ法によるヒトモノクローナル抗体としては、例えばi
n vitroでマイトジエンの存在下にCMVまたは
それ由来の糖蛋白で感作したヒトの抗体産生細胞と、マ
ウスのミエローマ細胞とを融合させて得られるマウス−
ヒトハイブリドーマおよび/またはそれに由来する細胞
株の産生する抗CMVヒトモノクローナル抗体を挙げる
ことができる。
ヒト型モノクローナル抗体としてはCMVのエンベロー
プ糖蛋白により免疫感作したヒトの抗体産生細胞とマウ
スのミエローマ細胞を用いるハイブリドーマ法、または
EBウイルスを用いる形質転換法により得られるヒトモ
ノクローナル抗体を用いることができる。ハイブリドー
マ法によるヒトモノクローナル抗体としては、例えばi
n vitroでマイトジエンの存在下にCMVまたは
それ由来の糖蛋白で感作したヒトの抗体産生細胞と、マ
ウスのミエローマ細胞とを融合させて得られるマウス−
ヒトハイブリドーマおよび/またはそれに由来する細胞
株の産生する抗CMVヒトモノクローナル抗体を挙げる
ことができる。
【0010】このような抗CMVヒトモノクローナル抗
体としては、分子量13万ダルトンおよび5.5万ダル
トンのサブユニットの複合体よりなるCMVのエンベロ
ープ糖蛋白B(Glycoprotein B) を認識するものが好ま
しい。
体としては、分子量13万ダルトンおよび5.5万ダル
トンのサブユニットの複合体よりなるCMVのエンベロ
ープ糖蛋白B(Glycoprotein B) を認識するものが好ま
しい。
【0011】このような抗CMVヒト型モノクローナル
抗体として、前記国際公開明細書に記載されたハイブリ
ドーマC23によって産生されるヒトモノクローナル抗
体であるレガビルマブを挙げることができる。このモノ
クローナル抗体は、CMV感染細胞と反応し、非感染細
胞とはほとんど反応しない。また、他のヘルペス属ウイ
ルスである単純ヘルペスウイルス、EBウイルス、水痘
帯状疱疹ウイルスには反応せず、CMVに特異的であ
る。
抗体として、前記国際公開明細書に記載されたハイブリ
ドーマC23によって産生されるヒトモノクローナル抗
体であるレガビルマブを挙げることができる。このモノ
クローナル抗体は、CMV感染細胞と反応し、非感染細
胞とはほとんど反応しない。また、他のヘルペス属ウイ
ルスである単純ヘルペスウイルス、EBウイルス、水痘
帯状疱疹ウイルスには反応せず、CMVに特異的であ
る。
【0012】レガビルマブは、分子量16万ダルトンの
IgG1抗体であり、CMV中和能力を有し、その中和
能力は、CMVのプラーク形成を50%制御するのに必
要な抗体量は、0.5μg/mlである。また、in
vitroでの細胞間CMV感染拡大を抑制することか
ら、CMV抗原血症の段階の患者に投与されると肺炎、
胃腸炎、網膜炎、腎炎など、CMV感染症の発症を抑制
することができるものと推察され、したがって、このよ
うなCMV感染症の予防薬として用いることができる。
IgG1抗体であり、CMV中和能力を有し、その中和
能力は、CMVのプラーク形成を50%制御するのに必
要な抗体量は、0.5μg/mlである。また、in
vitroでの細胞間CMV感染拡大を抑制することか
ら、CMV抗原血症の段階の患者に投与されると肺炎、
胃腸炎、網膜炎、腎炎など、CMV感染症の発症を抑制
することができるものと推察され、したがって、このよ
うなCMV感染症の予防薬として用いることができる。
【0013】また、レガビルマブはCMV感染症の治療
剤としても有効である。CMV感染症としては、間質性
肺炎、肺炎、胃腸炎、網膜炎、腎炎、膵炎、脳炎、汎血
球減少症などが知られている。
剤としても有効である。CMV感染症としては、間質性
肺炎、肺炎、胃腸炎、網膜炎、腎炎、膵炎、脳炎、汎血
球減少症などが知られている。
【0014】本発明のCMV抗原血症治療剤またはCM
V感染症治療剤は、注射剤として投与されることが好ま
しく、好ましくは点滴により静脈内投与用として用いら
れる。その投与量は0.1〜50mg/kg/週とする
ことが好ましく、通常、0.8〜15mg/kg/週投
与する。ただし、初回投与においては、若干多量に投与
することが望ましい。
V感染症治療剤は、注射剤として投与されることが好ま
しく、好ましくは点滴により静脈内投与用として用いら
れる。その投与量は0.1〜50mg/kg/週とする
ことが好ましく、通常、0.8〜15mg/kg/週投
与する。ただし、初回投与においては、若干多量に投与
することが望ましい。
【0015】注射剤は通常の組成および方法で製造する
ことができ、組成物中にヒト血清アルブミンやアミノ酢
酸のようなレガビルマブの安定化のための化合物を添加
することが好ましい。
ことができ、組成物中にヒト血清アルブミンやアミノ酢
酸のようなレガビルマブの安定化のための化合物を添加
することが好ましい。
【0016】
【発明の効果】本発明の治療剤は、CMV抗原血症患者
に投与されることにより、その後のCMV感染拡大を抑
え、骨髄移植後や臓器移植後等に頻発する間質性肺炎、
肺炎、胃腸炎、腎炎、網膜炎、膵炎、脳炎などののCM
V感染症の発症を抑制し、またそれらのCMV感染症の
進行拡大を抑え、縮小、治癒をはかることができる。さ
らには、本治療剤は副作用の少ない、安全性に富んだ治
療剤である。
に投与されることにより、その後のCMV感染拡大を抑
え、骨髄移植後や臓器移植後等に頻発する間質性肺炎、
肺炎、胃腸炎、腎炎、網膜炎、膵炎、脳炎などののCM
V感染症の発症を抑制し、またそれらのCMV感染症の
進行拡大を抑え、縮小、治癒をはかることができる。さ
らには、本治療剤は副作用の少ない、安全性に富んだ治
療剤である。
【0017】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。
説明する。
【0018】なお、実施例において用いた治療剤、投与
量、投与方法、CMV抗原陽性細胞の検出、分類、CM
V感染症発症有無の観察方法は下記のとおりである。
量、投与方法、CMV抗原陽性細胞の検出、分類、CM
V感染症発症有無の観察方法は下記のとおりである。
【0019】治療剤:TI−23 後述の実施例1において製造したレガビルマブを1バイ
アル中40mg含む凍結乾燥製剤を用い、添付の溶解用
注射用蒸留水にて溶解し、15分以上かけて点滴静脈内
投与した。
アル中40mg含む凍結乾燥製剤を用い、添付の溶解用
注射用蒸留水にて溶解し、15分以上かけて点滴静脈内
投与した。
【0020】投与量および投与間隔 初回投与量200mg/日を24時間間隔で3回、維持
投与量120mg/日を1週間間隔とした。
投与量120mg/日を1週間間隔とした。
【0021】CMV抗原陽性細胞の検出、分類 Van der Bij らの方法〔Comparison between viremia a
nd antigenemia for detection of cytomegalovirus in
blood, Journal of Clinical Microbiology ,26(12),
2531-2535, 1988 参照〕に従った。検査当日に採血し、
末梢血白血球を分離後アセトン固定し、CMVの前初期
抗原を認識するモノクローナル抗体(C10+C11)
を反応させ、間接免疫ペルオキシダーゼ法により、光顕
的に検討し、白血球5万個あたりに検出される核が染ま
った白血球の個数を陽性白血球数とし、Van der Bergら
の方法〔Cytomegalovirus antigenemia as a useful ma
rker of symptomatic cytomegalovirus infection afte
r renal transplantation- a report of 130 consecuti
ve patients, Tranplantation 48(6), 991-995, 1989
〕に従い、CMV抗原血症を次のように定義し、分類
した。
nd antigenemia for detection of cytomegalovirus in
blood, Journal of Clinical Microbiology ,26(12),
2531-2535, 1988 参照〕に従った。検査当日に採血し、
末梢血白血球を分離後アセトン固定し、CMVの前初期
抗原を認識するモノクローナル抗体(C10+C11)
を反応させ、間接免疫ペルオキシダーゼ法により、光顕
的に検討し、白血球5万個あたりに検出される核が染ま
った白血球の個数を陽性白血球数とし、Van der Bergら
の方法〔Cytomegalovirus antigenemia as a useful ma
rker of symptomatic cytomegalovirus infection afte
r renal transplantation- a report of 130 consecuti
ve patients, Tranplantation 48(6), 991-995, 1989
〕に従い、CMV抗原血症を次のように定義し、分類
した。
【0022】強陽性:5万個の白血球中に10個以上
のCMV抗原陽性白血球が認められるか、又は5個以上
が連続して検出された例、 弱陽性:CMV抗原陽性白血球が10個未満か、又は
5個以上が連続して検出されなかった例、 陰性:CMV抗原陽性白血球が検出されなかった例。
のCMV抗原陽性白血球が認められるか、又は5個以上
が連続して検出された例、 弱陽性:CMV抗原陽性白血球が10個未満か、又は
5個以上が連続して検出されなかった例、 陰性:CMV抗原陽性白血球が検出されなかった例。
【0023】CMV感染症発症の有無の観察 CMV性間質性肺炎については、原則として、動脈血ガ
ス分析、X線写真、症状(発熱、乾いた咳など)、C
T、BALによるCMV分離、尿中CMV数測定等によ
り総合的にCMV性間質性肺炎発症を判断した。また、
CMV感染症については、南嶋らの示したCMV感染症
判定規準〔南嶋洋一,臓器移植とサイトメガロウイル
ス,臨床と研究.69(7), 107-111, 1992〕を参考にし診
断した。臨床症状を呈したもののなかで、CMV抗体価
上昇、CMVの検出、ガンシクロビルへの反応性あるい
は病理検査等の結果よりCMVが原因と確認できたもの
をCMV感染症(肺炎、肝炎、胃腸炎、腎炎、網膜炎、
膵炎、汎血球減少症、発熱)とした。
ス分析、X線写真、症状(発熱、乾いた咳など)、C
T、BALによるCMV分離、尿中CMV数測定等によ
り総合的にCMV性間質性肺炎発症を判断した。また、
CMV感染症については、南嶋らの示したCMV感染症
判定規準〔南嶋洋一,臓器移植とサイトメガロウイル
ス,臨床と研究.69(7), 107-111, 1992〕を参考にし診
断した。臨床症状を呈したもののなかで、CMV抗体価
上昇、CMVの検出、ガンシクロビルへの反応性あるい
は病理検査等の結果よりCMVが原因と確認できたもの
をCMV感染症(肺炎、肝炎、胃腸炎、腎炎、網膜炎、
膵炎、汎血球減少症、発熱)とした。
【0024】[実施例1]国際公開第87/03602
号明細書に記載された方法で得たヒト型モノクローナル
抗体、レガビルマブ0.2重量部、アミノ酢酸2重量
部、ヒト血清アルブミン0.2重量部、塩化ナトリウム
0.9重量部、蒸留水96.7重量部の組成の溶液を作
成し、無菌濾過後、20mlずつ無菌的にガラスバイア
ルに分注し、凍結乾燥して、1バイアル当たり40mg
のレガビルマブの凍結乾燥品を得た。
号明細書に記載された方法で得たヒト型モノクローナル
抗体、レガビルマブ0.2重量部、アミノ酢酸2重量
部、ヒト血清アルブミン0.2重量部、塩化ナトリウム
0.9重量部、蒸留水96.7重量部の組成の溶液を作
成し、無菌濾過後、20mlずつ無菌的にガラスバイア
ルに分注し、凍結乾燥して、1バイアル当たり40mg
のレガビルマブの凍結乾燥品を得た。
【0025】[実施例2]同種骨髄移植患者61名のう
ち、24名を12名ずつ、AおよびBの2群にわけ、両
群とも、TI−23を点滴により静脈内投与した。A群
は、骨髄移植前1週より骨髄移植後15週まで、TI−
23を投与し、CMV抗原陽性白血球の出現(CMV抗
原血症)あるいは間質性肺炎の発症が認められた場合は
投与期間を延長した。具体的には、12名中、15週間
以上9名、11週目まで投与1名、14週目まで投与2
名であった。
ち、24名を12名ずつ、AおよびBの2群にわけ、両
群とも、TI−23を点滴により静脈内投与した。A群
は、骨髄移植前1週より骨髄移植後15週まで、TI−
23を投与し、CMV抗原陽性白血球の出現(CMV抗
原血症)あるいは間質性肺炎の発症が認められた場合は
投与期間を延長した。具体的には、12名中、15週間
以上9名、11週目まで投与1名、14週目まで投与2
名であった。
【0026】一方、B群は、骨髄移植前1週より観察お
よび検査を開始し、骨髄移植後15週まで継続し、観察
期間中、CMV抗原陽性白血球あるいは間質性肺炎を発
症した場合に、TI−23を投与した。投与期間は治療
状況により担当医師が判断した。具体的には、12名
中、2週間、12週間、17週間、18週間投与が各1
名であった。なお、8名はCMV抗原陽性白血球が検出
されなかったため、投与されなかった。
よび検査を開始し、骨髄移植後15週まで継続し、観察
期間中、CMV抗原陽性白血球あるいは間質性肺炎を発
症した場合に、TI−23を投与した。投与期間は治療
状況により担当医師が判断した。具体的には、12名
中、2週間、12週間、17週間、18週間投与が各1
名であった。なお、8名はCMV抗原陽性白血球が検出
されなかったため、投与されなかった。
【0027】A群およびB群の患者について、骨髄移植
前1週、骨髄移植日、および骨髄移植後1週ごとに、骨
髄移植後15週まで、またはTI−23投与終了まで、
血液中のCMV抗原陽性白血球の検出並びにCMV抗体
価およびCMV中和価の2種の免疫学的検査を行い、C
MV感染症発症の有無を観察した。また、臨床検査を行
い、副作用についても調査した。
前1週、骨髄移植日、および骨髄移植後1週ごとに、骨
髄移植後15週まで、またはTI−23投与終了まで、
血液中のCMV抗原陽性白血球の検出並びにCMV抗体
価およびCMV中和価の2種の免疫学的検査を行い、C
MV感染症発症の有無を観察した。また、臨床検査を行
い、副作用についても調査した。
【0028】骨髄移植施行のみで、TI−23を投与し
なかった35名について、別途、同様な方法で、血液中
のCMV抗原陽性白血球を検査し、CMV感染症発症の
有無を観察し、対照(C群)とした。
なかった35名について、別途、同様な方法で、血液中
のCMV抗原陽性白血球を検査し、CMV感染症発症の
有無を観察し、対照(C群)とした。
【0029】各群のCMV抗原血症陽性例は、A群5例
(うち、強陽性4例、移植後6〜9週頃に強陽性)、B
群4例(うち強陽性4例)、C群においては陽性15例
(うち強陽性13例)であった。各群の症例を、CMV
抗原陽性白血球数により分類した結果を表1に、CMV
感染症発症状況を表2に示す。
(うち、強陽性4例、移植後6〜9週頃に強陽性)、B
群4例(うち強陽性4例)、C群においては陽性15例
(うち強陽性13例)であった。各群の症例を、CMV
抗原陽性白血球数により分類した結果を表1に、CMV
感染症発症状況を表2に示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1に示すように、A,B両群でCMV性
間質性肺炎と診断された症例は2例であった。いずれも
抗CMV抗原血症強陽性症例であった。また、他の感染
症の発症は認められなかった。C群における強陽性13
例中CMV感染症発症例数は11例で、その内訳は、肺
炎7例、肝障害1例、腸炎1例、発熱1例、汎血球減少
症1例であった。
間質性肺炎と診断された症例は2例であった。いずれも
抗CMV抗原血症強陽性症例であった。また、他の感染
症の発症は認められなかった。C群における強陽性13
例中CMV感染症発症例数は11例で、その内訳は、肺
炎7例、肝障害1例、腸炎1例、発熱1例、汎血球減少
症1例であった。
【0032】表1にみるとおり、TI−23投与群にお
いて観察されたCMV感染症(間質性肺炎)の発症率
8.3%(24例中2例)は、文献(柴田弘俊,同種骨
髄移植/日本の動向,今日の移植,4 suppl.1, 7-11, 1
991 )に報告されている骨髄移植後患者における発症率
13〜22%と比べ、低い発症率であると思われるた
め、TI−23投与群と非投与群との間で強陽性症例中
のCMV感染症発症例数を比較し、表2に示す。
いて観察されたCMV感染症(間質性肺炎)の発症率
8.3%(24例中2例)は、文献(柴田弘俊,同種骨
髄移植/日本の動向,今日の移植,4 suppl.1, 7-11, 1
991 )に報告されている骨髄移植後患者における発症率
13〜22%と比べ、低い発症率であると思われるた
め、TI−23投与群と非投与群との間で強陽性症例中
のCMV感染症発症例数を比較し、表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2に示す両群におけるCMV感染症発症
例数のx2 検定により、投与群ではCMV感染症発症が
有意に少ないことが示された(x2 =5.15、P=
0.023)。この結果、両群とも強陽性症例出現率は
ほぼ同じ(投与群24例中8例:33.3%、非投与群
35例中13例、37.1%)であるにもかかわらず、
強陽性症例でのCMV感染症発症例数は投与群の方が少
ないことがわかる。すなわち、TI−23投与により、
CMV抗原血症強陽性患者の症状がCMV感染症に進展
するのを抑制したことが示される。
例数のx2 検定により、投与群ではCMV感染症発症が
有意に少ないことが示された(x2 =5.15、P=
0.023)。この結果、両群とも強陽性症例出現率は
ほぼ同じ(投与群24例中8例:33.3%、非投与群
35例中13例、37.1%)であるにもかかわらず、
強陽性症例でのCMV感染症発症例数は投与群の方が少
ないことがわかる。すなわち、TI−23投与により、
CMV抗原血症強陽性患者の症状がCMV感染症に進展
するのを抑制したことが示される。
【0035】投与群の臨床検査において、肝機能値が投
与中に異常変動を示し、投与継続中にほぼ正常値に回復
した症例〔GOT(最高値138)、GPT(最高値6
90)〕のうち1例(発症率5.3%)のみが、TI−
23投与との関係不明との理由で、主治医により副作用
と判定された。
与中に異常変動を示し、投与継続中にほぼ正常値に回復
した症例〔GOT(最高値138)、GPT(最高値6
90)〕のうち1例(発症率5.3%)のみが、TI−
23投与との関係不明との理由で、主治医により副作用
と判定された。
【0036】また、TI−23を15週間以上にわたっ
て投与した例においても、その期間中、抗レガビルマブ
抗体の出現は観察されなかった。レガビルマブはヒト型
モノクローナル抗体であるため長期投与においてもこの
抗体に対する抗体の出現による不活性化はおこらず、長
期投与が可能であることを示している。
て投与した例においても、その期間中、抗レガビルマブ
抗体の出現は観察されなかった。レガビルマブはヒト型
モノクローナル抗体であるため長期投与においてもこの
抗体に対する抗体の出現による不活性化はおこらず、長
期投与が可能であることを示している。
【0037】[実施例3]患者の状態が重篤で、治療が
必要であるにもかかわらずガンシクロビル単独投与がそ
の副作用(白血球減少、血小板減少、肝機能異常、貧
血、腎機能異常等)のため困難であり、または十分な治
療効果をあげることができない場合にTI−23を初期
投与量200mg/日で3日間、維持投与量120mg
/週で投与し、以下の成績をえた。
必要であるにもかかわらずガンシクロビル単独投与がそ
の副作用(白血球減少、血小板減少、肝機能異常、貧
血、腎機能異常等)のため困難であり、または十分な治
療効果をあげることができない場合にTI−23を初期
投与量200mg/日で3日間、維持投与量120mg
/週で投与し、以下の成績をえた。
【0038】全体としての有効性を表3に、疾患別の有
効性を表4に示す。
効性を表4に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】ここで、他のCMV感染症での有効6例は
CMV肝炎、CMV腎炎、先天性CMV感染症各1例、
他部位のCMV感染症3例であった。
CMV肝炎、CMV腎炎、先天性CMV感染症各1例、
他部位のCMV感染症3例であった。
【0042】さらに、ガンシクロビル無効例に対するT
I−23の有効性を調べた。CMV網膜炎についての効
果を表5に、BMT後のCMV間質性肺炎についての効
果を表6に、他のCMV感染症についての効果を表7に
示す。
I−23の有効性を調べた。CMV網膜炎についての効
果を表5に、BMT後のCMV間質性肺炎についての効
果を表6に、他のCMV感染症についての効果を表7に
示す。
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】以上のように、TI−23は、緊急避難投
与においてCMVI.P.、CMV網膜炎、CMV肝
炎、CMV腎炎、ならびに先天性小児CMV感染症等に
高い有効性を示し、またガンシクロビル投与ができない
患者においても有用である薬剤と考えられた。
与においてCMVI.P.、CMV網膜炎、CMV肝
炎、CMV腎炎、ならびに先天性小児CMV感染症等に
高い有効性を示し、またガンシクロビル投与ができない
患者においても有用である薬剤と考えられた。
Claims (11)
- 【請求項1】 サイトメガロウイルス(CMV)のエン
ベロープ糖蛋白を認識し、CMVを中和する抗CMVヒ
ト型モノクローナル抗体を活性成分とするCMV抗原血
症治療剤。 - 【請求項2】 CMVのエンベロープ糖蛋白がGlycopro
tein Bである請求項1記載のCMV抗原血症治療剤。 - 【請求項3】 抗CMVヒト型モノクローナル抗体がI
gG1抗体である請求項1または2記載のCMV抗原血
症治療剤。 - 【請求項4】 抗CMVヒト型モノクローナル抗体がレ
ガビルマブである請求項1〜3のいずれか1項記載のC
MV抗原血症治療剤。 - 【請求項5】 CMVのエンベロープ糖蛋白を認識し、
CMVを中和する抗CMVヒト型モノクローナル抗体を
活性成分とするCMV感染症治療剤。 - 【請求項6】 CMVのエンベロープ糖蛋白がGlycopro
tein Bである請求項5記載のCMV感染症治療剤。 - 【請求項7】 抗CMVヒト型モノクローナル抗体がI
gG1抗体である請求項5または6記載のCMV感染症
治療剤。 - 【請求項8】 抗CMVヒト型モノクローナル抗体がレ
ガビルマブである請求項5〜7のいずれか1項記載のC
MV感染症治療剤。 - 【請求項9】 CMV感染症がCMV間質性肺炎である
請求項5〜8のいずれか1項記載のCMV感染症治療
剤。 - 【請求項10】 CMV感染症がCMV肝炎である請求
項5〜8のいずれか1項記載のCMV感染症治療剤。 - 【請求項11】 CMV感染症がCMV腎炎である請求
項5〜8のいずれか1項記載のCMV感染症治療剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19242194A JPH0859509A (ja) | 1994-08-16 | 1994-08-16 | サイトメガロウイルス抗原血症治療剤およびサイトメガロウイルス感染症治療剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19242194A JPH0859509A (ja) | 1994-08-16 | 1994-08-16 | サイトメガロウイルス抗原血症治療剤およびサイトメガロウイルス感染症治療剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0859509A true JPH0859509A (ja) | 1996-03-05 |
Family
ID=16291043
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19242194A Pending JPH0859509A (ja) | 1994-08-16 | 1994-08-16 | サイトメガロウイルス抗原血症治療剤およびサイトメガロウイルス感染症治療剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0859509A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007094423A1 (ja) * | 2006-02-15 | 2007-08-23 | Evec Incorporated | ヒトサイトメガロウイルスに結合するヒトのモノクローナル抗体並びにその抗原結合部分 |
WO2010114105A1 (ja) * | 2009-04-01 | 2010-10-07 | 株式会社イーベック | ヒトサイトメガロウイルスgB糖タンパク質のAD2領域に結合するモノクローナル抗体ならびにその抗原結合性断片 |
US8993517B2 (en) | 2001-12-21 | 2015-03-31 | Human Genome Sciences, Inc. | Albumin fusion proteins |
US9346874B2 (en) | 2009-12-23 | 2016-05-24 | 4-Antibody Ag | Binding members for human cytomegalovirus |
-
1994
- 1994-08-16 JP JP19242194A patent/JPH0859509A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8993517B2 (en) | 2001-12-21 | 2015-03-31 | Human Genome Sciences, Inc. | Albumin fusion proteins |
US9221896B2 (en) | 2001-12-21 | 2015-12-29 | Human Genome Sciences, Inc. | Albumin fusion proteins |
US9296809B2 (en) | 2001-12-21 | 2016-03-29 | Human Genome Sciences, Inc. | Albumin fusion proteins |
WO2007094423A1 (ja) * | 2006-02-15 | 2007-08-23 | Evec Incorporated | ヒトサイトメガロウイルスに結合するヒトのモノクローナル抗体並びにその抗原結合部分 |
WO2010114105A1 (ja) * | 2009-04-01 | 2010-10-07 | 株式会社イーベック | ヒトサイトメガロウイルスgB糖タンパク質のAD2領域に結合するモノクローナル抗体ならびにその抗原結合性断片 |
US9346874B2 (en) | 2009-12-23 | 2016-05-24 | 4-Antibody Ag | Binding members for human cytomegalovirus |
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