JPH0854379A - 画像信号処理方法及び装置 - Google Patents

画像信号処理方法及び装置

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JPH0854379A
JPH0854379A JP6190811A JP19081194A JPH0854379A JP H0854379 A JPH0854379 A JP H0854379A JP 6190811 A JP6190811 A JP 6190811A JP 19081194 A JP19081194 A JP 19081194A JP H0854379 A JPH0854379 A JP H0854379A
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wave signal
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幸雄 加川
Takao Tsuchiya
隆生 土屋
Hidekazu Ando
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 周波数、音圧共に生体組織に悪影響を及ぼさ
ない超音波信号を用いながら歪みやボケの生じない鮮明
な断層像が得られる超音波CTを実現する。 【構成】 超音波センサ2を駆動して超音波信号を被観
測物体1に向けて送信するとともに被観測物体1からの
複数の散乱波信号を異なる位置の受波器で受信する。画
像前処理部3では、これら散乱波信号を入力して当該被
観測物体1が均質である場合の散乱波信号との差分をと
り、これらを音波の波動性を考慮したTLM法(伝達線
路網法)の逆伝搬アルゴリズムを用いて逆伝搬させ、散
乱波信号の2次音源の位置を検出する。そしてそのとき
の位置情報を生成して断層画像生成部4に出力し、表示
制御部5にて可視化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば超音波CT(co
mputer tomography:計算機断層撮影像)に用いられる
画像信号処理方法及びこの方法を実施する装置に関し、
特に、流体や弾性体の媒質境界の分布画像を生成する技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、超音波信号を用いて生体や木材等
の内部組織を外部より観測し、観測により得た信号を1
次元乃至多次元画像信号に変換して可視化する技法が種
々提案されている。このような技法は一般に超音波CT
と呼ばれ、生体に関してはX線CT等よりも安全なこと
が実証されている。また、上記画像信号に基づいて実際
に内部組織の断層画像を生成表示する装置はCTスキャ
ナと呼ばれる。このCTスキャナは、超音波信号を音場
(音波が作用する領域、以下同じ)に対して送信する送
波器と、該音場で散乱した散乱波信号を受信する複数の
受波器とを有し、それぞれの角度で受信した散乱波信号
の属性、例えば音圧に基づいて1次元信号を生成した
後、これら1次元信号の波形集合をフーリエ変換法、重
畳積分法等によって2次元信号に変換し、これに基づい
て2次元の断層画像を生成するものである。また、最近
は、CTスキャナを生体等の軸線に沿って少しづつ平行
移動させながら多数の2次元断層画像を生成し、これら
を3次元的に積み重ねることにより当該内部組織の3次
元断層画像に構築することも行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、超音波信号
は、X線等に比べるとその波長が数桁程度長いので、波
動性がより顕著に現れ、生体等を透過する際に、回析や
散乱の影響を受け易い。そのため、最終的に生成される
断層画像が歪んだり、あるいはボケの生じた不鮮明なも
のとなる場合がある。これに対処するには、直進性に優
れた高周波超音波信号を用いれば良いが、そうすると周
波数が高くなるにつれて内部組織での減衰が著しく、深
部まで到達しにくくなる欠点がある。また、通常は単一
パルス(インパルス)を使用することから、良好なS/
N比(信号対雑音比)を得ようとすれば尖頭音圧を大き
くする必要があるが、超音波信号といえども高音圧にし
すぎると生体等の組織に悪影響を及ぼすことが指摘され
ている。
【0004】そのため、従来の超音波CT乃至CTスキ
ャナにおいては、高周波化、高音圧化にも限界があり、
改善が望まれていた。本発明の課題は、かかる背景に鑑
み、周波数、音圧共に生体組織に悪影響を及ぼさないレ
ベルの超音波信号を用いながら、歪みやボケの生じない
鮮明な断層画像が得られる画像信号処理方法及び装置を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明が提供する画像信
号処理方法は、生体、木材等の物体が存する音場に超音
波信号を送信した後にその物体の媒質境界で散乱した複
数の散乱波信号を受信する段階と、受信した各散乱波信
号の属性と前記音場が均質である場合の散乱波信号の属
性との差分波信号を生成する段階と、生成した差分波信
号をTLM法を用いて逆伝搬させ、各逆伝搬波信号の合
成振幅が最大となる地点を検出する段階と、検出した地
点の位置情報に基づいて前記媒質境界の分布画像を生成
する段階と、を有することを特徴とする。
【0006】ここに、TLM法とは、音場をコイルとコ
ンデンサで構成される等価的な格子状の伝達線路網で表
現し、ホイヘンスの原理に基づく波動現象を伝達線路網
上を伝わるパルス波の伝達・散乱問題として追跡する手
法であり、時間積分を必要とせず、単純な計算で直接的
に時間領域解を求めることができるという特徴を有す
る。このTLM法の具体的な内容は、藤井,土屋,加
川,日本シミュレーション学会第11回シミュレーショ
ン・テクノロジー・コンファレンス(1992.06)論文集
p135〜138、「伝達線路網(TLM)法を用いた音波伝
搬の非定常解析」、及び、加川幸雄,超音波TECHN
O12月号「数値解析法概説」(日本工業出版(株),1
993,12)に紹介されている。
【0007】本発明が提供する他の画像信号処理方法
は、生体、木材等の物体が存する音場に超音波信号を送
信した後にその物体の媒質境界で散乱した複数の散乱波
信号を受信する段階と、受信した各散乱波信号を上記T
LM法を用いて逆伝搬させてそれぞれの信号強度分布を
検出する段階と、検出した各信号強度分布と前記音場が
均質である場合の散乱波信号の信号強度分布との差分布
を導出する段階と、前記差分布に基づいて前記媒質境界
の分布画像を生成する段階と、を有することを特徴とす
る。
【0008】なお、上記画像信号処理方法において、超
音波信号及び散乱波信号は、例えばパルス状あるいはバ
ースト状の信号であり、また、散乱波信号の属性は、例
えば該散乱波信号の音圧、変位量、速度、及び密度の少
なくとも一つを含むものである。速度と密度とに基づい
て音響インピーダンスを求めることもできる。
【0009】また、本発明が提供する画像信号処理装置
は、生体、木材等の物体が存する音場に超音波信号を送
信する送波器と、前記物体の媒質境界で散乱した散乱波
信号を異なった位置にて受信する複数の受波器と、各受
波器で受信した散乱波信号の属性と前記音場が均質であ
る場合の散乱波信号の属性との差分波信号を生成する差
分波信号生成手段と、前記差分波信号を入力してTLM
法に基づく逆伝搬制御を施し、各逆伝搬波信号の合成振
幅が最大となる地点を検出する媒質境界検出手段と、検
出された前記地点の位置情報に基づいて前記媒質境界の
分布画像を生成する画像生成手段と、を有することを特
徴とする。
【0010】また、本発明が提供する他の構成の画像信
号処理装置は、生体、木材等の物体が存する音場に超音
波信号を送信する送波器と、前記物体の媒質境界で散乱
した散乱波信号を異なった位置にて受信する複数の受波
器と、各受波器で受信した散乱波信号を入力してTLM
法に基づく逆伝搬制御を施し、各逆伝搬波信号の信号強
度分布を検出する信号強度分布検出手段と、検出した各
信号強度分布と前記音場が均質である場合の散乱波信号
の信号強度分布との差分布を導出する差分布導出手段
と、導出した差分布に基づいて前記媒質境界の分布画像
を生成する画像生成手段と、を有することを特徴とす
る。
【0011】
【作用】生体や木材等の音場に送波器から超音波信号を
送信すると、この超音波信号は音場に存する物体の媒質
変化に応じて透過あるいは反射され、当該媒質境界を2
次音源として拡がる複数の散乱波信号となる。本発明で
は、これら散乱波信号を異なった位置に設けた複数の受
波器で受信し、差分波信号生成手段あるいは信号強度分
布検出手段に導く。
【0012】差分波信号生成手段では、これら散乱波信
号の属性と音場が均質である場合の散乱波信号の属性と
の差分波信号を生成して媒質境界検出手段に導く。この
ようにすれば各差分波信号は当該音場における音響イン
ピーダンスの変化分のみを表すようになり、後段処理に
おけるS/N比(信号対雑音比)が格段に向上する。媒
質境界検出手段では、生成された差分波信号を入力して
TLM法に基づく逆伝搬制御、例えば伝搬の時間軸を反
転させた逆伝搬波信号となし、各逆伝搬波信号の合成振
幅が最大となる地点を検出する。各散乱波信号は、媒質
境界を2次音源として拡がったものなので、合成振幅の
最大点がその2次音源、即ち物体の媒質境界となる。こ
の検出した地点の位置情報をそれぞれの差分波信号につ
いて生成して後段の画像生成手段に導き、境界分布画像
を得る。
【0013】一方、信号強度分布検出手段では、散乱波
信号を入力してそれぞれTLM法に基づく逆伝搬制御を
施し、各逆伝搬波信号の信号強度分布を検出して差分布
導出手段に導く。これら信号強度分布は、当該音場にお
ける音響インピーダンスの変化を直接に表している。差
分布導出手段では、検出した各信号強度分布と当該音場
が均質である場合の散乱波信号の信号強度分布との差分
布を導出する。これにより音響インピーダンスの変化
点、即ち物体における媒質境界が判るので、これを後段
の画像生成手段に導いて境界分布画像を得る。
【0014】なお、音場が均質である場合の散乱波信号
とは、例えば生体等の内部組織が同一の音響インピーダ
ンスの媒質から成る場合、あるいは音場に物体が存しな
い場合の伝達超音波信号であり、当該音場について予め
実験により求めておく。生体の場合には、組織毎の音響
インピーダンスが周知なので、そのデータをROM(re
ad only memory)等に記憶させ、随時読み出すようにす
れば便利である。音場乃至物体によっては、その都度実
測した方が良い場合や、既存のデータに基づいてシミュ
レートできる場合もある。また、TLM法のアルゴリズ
ムは、ホイヘンスの原理という物理モデルを用いている
ので、散乱波信号や逆伝搬波信号の伝搬モデル化に際し
ては、有限要素法や境界要素法等のような数値手法に見
られる演算処理の困難性は無く、しかも原理的にBor
n近似、Rhytov近似等を考慮する必要がないの
で、波動性を厳密に考慮することができる。従って、超
音波信号や散乱波信号の直進性は必ずしも要求されず、
例えば長波帯超音波信号であっても境界分布画像の歪み
やボケが軽減される。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。図1に本発明を超音波CTに適用した場合
の要部構成例を示す。図中、1は被観測物体、2は超音
波センサ、3は画像前処理部、4は断層画像生成部、5
は表示制御部を示す。被観測物体1は、生体全般、木
材、流体、弾性体等、音場を形成し得るものであればど
のような種類であっても良い。
【0016】超音波センサ2は、送波器と受波器とから
成り、例えば超音波信号を被観測物体1に送信した後、
該被観測対象物体1からの散乱波信号を一定期間受信す
るものである。なお、1つの送波器を固定的に配すると
ともに1以上の受波器を回転させる構成、送波器と受波
器の組を被観測物体1の軸線の周囲に複数配して各々回
転させる構成、あるいは1つのみのセンサで送波器と受
波器とを兼用する構成にしても良い。受信した複数の散
乱波信号は、画像前処理部3に導かれる。
【0017】画像前処理部3は、信号属性ファイル3
1、伝搬アルゴリズム格納部32、散乱波信号入力部3
3、信号属性比較部34、逆伝搬処理部35、2次音源
位置検出部36、作業メモリ37、及び、各部動作を制
御する制御部38を有する。信号属性ファイル31に
は、被観測物体1が均質である場合の散乱波信号の属
性、例えば音圧、変位量、速度の少なくとも1つを含む
データを予め測定するか、あるいはシミュレーションに
より求めて格納してあり、伝搬アルゴリズム格納部32
には、TLM法に基づく時間反転された音波伝搬の数値
アルゴリズムが格納されている。これについては更に後
述する。
【0018】散乱波信号入力部33は、超音波センサ2
より導かれた散乱波信号を入力するものであり、信号属
性比較部34は、入力した各散乱波信号の属性と信号属
性ファイル31に格納された該当信号の属性、例えば音
圧、変位量、速度、及び密度の少なくとも一つと比較し
て差分波信号を生成するものである。速度と密度とに基
づく音響インピーダンスを比較しても良い(以上、差分
波信号生成手段)。この差分波信号は、例えば作業エリ
ア37に一時格納され、処理時に読み出される。実時間
処理がなされる場合は、作業エリア37を介さずに直接
逆伝搬処理部35に導かれる。逆伝搬処理部35は、伝
搬アルゴリズム格納部32から上記数値アルゴリズムを
読み出して差分波信号にTLM法に基づく逆伝搬制御を
施すものであり、2次音源位置検出部36は、各逆伝搬
波信号の合成振幅が最大となる地点を検出して当該地点
の位置情報を生成するものである(以上、媒質境界検出
手段)。この位置情報は断層画像生成部(画像生成手
段)4に導かれ、ここで媒質境界の分布画像が生成され
た後、表示制御部5で可視化される。
【0019】次に、上記構成の超音波CTの動作説明に
先立って本実施例の原理を図2を参照して簡単に説明す
る。いま、図2(a)のように、音響インピーダンスの
異なる媒質Aと媒質Bとからなる伝搬路に単一パルス状
の超音波信号pが入射されたとすると、この超音波信号
pは、図2(b)に示すように、媒質境界で反射されて
散乱音波信号p1,p2となる。これはあたかも媒質境
界が音源(2次音源)であり、散乱波信号p1,p2は
そこから放射されるように観測される。これらの散乱波
信号p1,p2を異なる位置の観測点M1,M2で観測
し、その波形を画像前処理部3に入力する。その後、観
測した波形と媒質A1のみの場合の波形との差分を求
め、これらをそれぞれ観測点M1、観測点M2の入力波
S1,S2として(図2(c))、各々時間反転された
音波伝搬の数値アルゴリズムに従って図2(d)のよう
に逆伝搬させる。適当な時間について時間反転させる
と、図2(d)のように逆伝搬波が重なり合った合成波
S12の振幅が最大となる地点が現れる。この振幅最大
の地点が求める媒質境界となる。なお、図2は一次元の
場合の例であるが、二次元以上の場合も同様の原理で媒
質境界を導出することができる。
【0020】本実施例では、上記時間反転された音波伝
搬の数値アルゴリズムを伝搬アルゴリズム格納部32に
格納しておく。以下、この具体的な内容について詳述す
る。例えば2次元のTLM基本要素モデル、即ち単位セ
ルを図3、この単位セルにインパルスが入射された場合
の反射、散乱状態を図4に示す。
【0021】図3を参照すると、この単位セルは、4端
子(対)から成る。ここで図4(a)のように1つの端
子(節点)に単位音圧の超音波信号(この説明において
入射パルスと称する)pが入射されたとすると、この枝
には他に3つの枝が接続されているので、その接続点が
1/3の基準化インピーダンスで終端されていることに
なる。従って、反射係数Γは良く知られた公式により−
1/2となるから、図4(b)に示すように、最初の入
射端子にはその−1/2が反射され、他の端子にはそれ
ぞれ1/2の音圧のパルスが透過していく。このような
反射及び透過パルスは、隣接節点に向い(図4
(c))、各セルへの新たな入射パルスとなって連鎖的
に四方へ散乱していく(図4(d)(e))。その拡が
り方はまさにホイヘンスの原理が示すところのものであ
る。従って、端子nに入反射するパルスの音圧をそれぞ
ki nkr nとすれば、4端子すべてにパルスが入射
される場合は上記手順の重ね合わせとなるから、図4
(a)の最初の入射端子に戻ってくるパルスの音圧は、
下記(1)式のように表すことができる。
【0022】
【数1】
【0023】(1)式において、iは入射、rは反射(散
乱)、k,k+1は時刻を表す。要素のすべての線路か
らパルスが入射した場合に拡張すると、その伝搬状態は
(2)式のような一般式で表される。
【0024】
【数2】
【0025】(2)式は、更に散乱マトリクスを[S]で
表すと(3)式のようになる。
【0026】
【数3】
【0027】逆伝搬制御はこの伝搬手順と逆の手順を行
い、反射乃至散乱波から入力波を求めることに相当する
ので、(4)式の演算を行うことで実現することができ
る。
【0028】
【数4】
【0029】(3)式あるいは(4)式の数値アルゴリムを伝
搬アルゴリズム格納部32に格納しておき、これを差分
波信号の入力時に読み出して逆伝搬させることで上記原
理を具体化するものである。
【0030】次に、図5及び図6を参照して図1の構成
の超音波CTの動作を説明する。まず、超音波センサ2
を駆動して(ステップ101)、超音波信号を被観測物
体1に向けて送信するとともに、被観測物体1からの複
数の散乱波信号を異なる位置の受波器で受信する(ステ
ップ102)。画像前処理部3では、これら散乱波信号
を入力して各々当該被観測物体1が均質である場合の散
乱波信号の属性との差分をとり、複数の差分波信号を生
成する(ステップ103)。
【0031】その後、各差分波信号を逆伝搬させて媒質
境界地点を検出する(ステップ104)。ここでの処理
の詳細は図6に示すとおりであり、一の差分波信号の入
力を契機に伝搬アルゴリズム格納部32から前述の時間
軸反転の数値アルゴリズムを読み込み(ステップ20
1)、この数値アルゴリズムに従って各差分波信号の逆
伝搬制御を行う(ステップ202)。これを当該差分波
信号の合成振幅が最大になるまで繰り返し(ステップ2
03)、振幅最大点を検出したときはそのときの位置情
報を生成して断層画像生成部4に出力する(ステップ2
04)。媒質境界は、複数存在するのが通常であり、し
かも各媒質境界は所定方向に連続しているので、断層画
像生成部4では、各差分波信号における振幅最大点の位
置情報を組み合わせて画像情報を生成し(図5、ステッ
プ105)、表示制御部5に表示する。
【0032】このようにして得られる断層画像は、散乱
波信号の伝搬状態が近似無く組み入れられているので、
使用する超音波信号の周波数にかかわらず歪みやボケが
軽減されて鮮明なものとなっている。従って、直進性を
得るために超音波信号の周波数を高くする必要が無くな
る。また、散乱波信号の属性と被観測物体1が均質であ
る場合の散乱波信号の属性との差分がとられているの
で、逆伝搬される差分波信号は被観測物体1の音響イン
ピーダンスの変化分のみを表すようになり、S/N比が
従来手法に比べて格段に向上している。そのため従来の
ように尖頭音圧を高くする必要も無くなる。これによ
り、生体組織等に悪影響を及ぼさない超音波信号を用い
ながら歪みやボケの生じない鮮明な断層像が得られる超
音波CTを実現することができる。なお、超音波信号及
び散乱波信号が単一パルスであることを前提として説明
したが、これら信号は必ずしも単一パルスに限定され
ず、複数パルスあるいはそれ以外の波形のバースト信号
とすることもできる。バースト信号を用いれば媒質境界
が移動するときの速度も検出可能となる。
【0033】以上の説明は、差分波信号の合成振幅が最
大となる地点の位置情報に基づいて媒質境界を検出する
場合の例であるが、そのほか、散乱波信号の信号強度分
布、即ち音響エネルギー分布に基づいて媒質境界を検出
することも可能である。この場合は、図1の画像前処理
部3において、差分波信号を処理する部分に代えて、受
信した散乱波信号にTLM法に基づく逆伝搬制御を施し
て各逆伝搬波信号の信号強度分布を検出する信号強度分
布検出手段と、検出した各信号強度分布と音場が均質で
ある場合の散乱波信号の信号強度分布との差分布を導出
する差分布導出手段とを設け、導出した差分布を解析す
ることによって媒質境界を特定する構成とする。信号強
度分布は、逆伝搬の際に簡単な計算により求めることが
でき、差分布は予め実測等で得た分布との差をとること
で容易に求めることができる。特定した媒質境界に基づ
いて断層画像を生成する手順は上述の場合とほぼ同様で
ある。このような構成にすれば、差分布の大きい部分が
媒質の音響インピーダンスの差が大きい部分(媒質境
界)となるので、振幅の最大地点の位置情報を検出する
場合よりも装置構成が簡易となる。また、信号強度分布
あるいは差分布を空間積分することで密度分布や散乱波
信号の速度分布をも得ることもできるので、多面的に媒
質境界を検出することができ、より正確な断層画像を生
成することが可能となる。なお、本発明は、超音波CT
のみならず、この種の画像処理を要する用途全般に適用
可能である。
【0034】
【発明の効果】以上の説明から明かなように、本発明で
は、受信した各散乱波信号の属性と当該音場が均質であ
る場合の散乱波信号の属性との差分波信号を生成するよ
うにしたので、受信した差分波信号は音場の音響インピ
ーダンスの変化分のみを表すようになり、後段処理にお
けるS/N比が格段に向上する効果がある。また、各差
分波信号をTLM法に基づく逆伝搬アルゴリズムに従っ
て逆伝搬波制御し、その合成振幅が最大となる地点を検
出乃至特定するようにしたので、音波の波動性が厳密に
考慮され、使用する超音波信号の周波数、尖頭電圧を任
意にすることができる効果がある。従って波動性が顕著
に現れる長波帯超音波信号を使用することもできる。
【0035】また、受信した散乱波信号にTLM法に基
づく逆伝搬制御を施して各逆伝搬波信号の信号強度分布
を検出し、検出した各信号強度分布と音場が均質である
場合の散乱波信号の信号強度分布との差分布を導出する
とともに、この差分布を解析することにより媒質境界を
特定するようにしたので、差分波信号の合成振幅最大点
の位置情報を検出する場合よりも画像信号処理装置の構
成が簡易となり、しかも密度分布や散乱波信号の速度分
布をも容易に得ることができるので、媒質境界の検出手
法が多面的となる効果がある。
【0036】このように、本発明によれば、従来の問題
点を一挙に解消し、周波数、音圧共に生体組織に悪影響
を及ぼさないレベルの超音波信号を用いながら、歪みや
ボケの生じない鮮明な断層画像が得られる画像信号処理
方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る超音波CTの要部構成
図。
【図2】本実施例の原理を説明するための1次元の波形
状態遷移図であり、(a)はインパルス入射時、(b)
は散乱時、(c)は差分波信号(入射波)入射時、
(d)は合成波特定時の状態を示す。
【図3】本実施例によるTLM基本要素モデル(単位セ
ル)の説明図。
【図4】上記モデルにおけるインパルスの入反射及びそ
の拡がり状態の説明図。
【図5】本実施例の超音波CTの動作手順を示すフロー
チャート。
【図6】図5における媒質境界の特定処理の詳細を示す
フローチャート。
【符号の説明】
1 被観測物体(音場) 2 超音波センサ(送波器、受波器) 3 画像前処理部 31 信号属性ファイル 32 伝搬アルゴリズム格納部 33 散乱波信号入力部 34 信号属性比較部 35 逆伝搬処理部 36 2次音源位置検出部 37 作業メモリ 38 制御部 4 断層画像生成部(画像生成手段) 5 表示制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G06T 1/00 (72)発明者 土屋 隆生 岡山県岡山市津島福居2−10−4 (72)発明者 安藤 英一 東京都調布市柴崎2丁目1番地3 島田理 化工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体、木材等の物体が存する音場に超音
    波信号を送信した後にその物体の媒質境界で散乱した複
    数の散乱波信号を受信する段階と、受信した各散乱波信
    号の属性と前記音場が均質である場合の散乱波信号の属
    性との差分波信号を生成する段階と、生成した差分波信
    号を伝達線路網(Transmission Line Matrix:以下、T
    LM)法を用いて逆伝搬させ、各逆伝搬波信号の合成振
    幅が最大となる地点を検出する段階と、検出した地点の
    位置情報に基づいて前記媒質境界の分布画像を生成する
    段階と、を有することを特徴とする画像信号処理方法。
  2. 【請求項2】 生体、木材等の物体が存する音場に超音
    波信号を送信した後にその物体の媒質境界で散乱した複
    数の散乱波信号を受信する段階と、受信した各散乱波信
    号をTLM法を用いて逆伝搬させてそれぞれの信号強度
    分布を検出する段階と、検出した各信号強度分布と前記
    音場が均質である場合の散乱波信号の信号強度分布との
    差分布を導出する段階と、前記差分布に基づいて前記媒
    質境界の分布画像を生成する段階と、を有することを特
    徴とする画像信号処理方法。
  3. 【請求項3】 前記超音波信号及び散乱波信号は、 バースト状の信号を含むことを特徴とする請求項1又は
    2記載の画像信号処理方法。
  4. 【請求項4】 前記散乱波信号の属性は、 該散乱波信号の音圧、変位量、速度、及び密度の少なく
    とも一つを含むことを特徴とする請求項1又は3記載の
    画像信号処理方法。
  5. 【請求項5】 生体、木材等の物体が存する音場に超音
    波信号を送信する送波器と、 前記物体の媒質境界で散乱した散乱波信号を異なった位
    置にて受信する複数の受波器と、 各受波器で受信した散乱波信号の属性と前記音場が均質
    である場合の散乱波信号の属性との差分波信号を生成す
    る差分波信号生成手段と、 前記差分波信号を入力してTLM法に基づく逆伝搬制御
    を施し、各逆伝搬波信号の合成振幅が最大となる地点を
    検出する媒質境界検出手段と、 検出された前記地点の位置情報に基づいて前記媒質境界
    の分布画像を生成する画像生成手段と、を有することを
    特徴とする画像信号処理装置。
  6. 【請求項6】 生体、木材等の物体が存する音場に超音
    波信号を送信する送波器と、 前記物体の媒質境界で散乱した散乱波信号を異なった位
    置にて受信する複数の受波器と、 各受波器で受信した散乱波信号を入力してTLM法に基
    づく逆伝搬制御を施し、各逆伝搬波信号の信号強度分布
    を検出する信号強度分布検出手段と、 検出した各信号強度分布と前記音場が均質である場合の
    散乱波信号の信号強度分布との差分布を導出する差分布
    導出手段と、 導出した差分布に基づいて前記媒質境界の分布画像を生
    成する画像生成手段と、を有することを特徴とする画像
    信号処理装置。
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