JPH0852562A - 溶湯注出用開口部充填材の充填方法 - Google Patents
溶湯注出用開口部充填材の充填方法Info
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- JPH0852562A JPH0852562A JP18750594A JP18750594A JPH0852562A JP H0852562 A JPH0852562 A JP H0852562A JP 18750594 A JP18750594 A JP 18750594A JP 18750594 A JP18750594 A JP 18750594A JP H0852562 A JPH0852562 A JP H0852562A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】ノズルの自然開口率を９９％以上に維持でき、
且つ鋼中に溶解しているＡｌと反応し難い溶湯注出用開
口部充填材の使用を可能とする新しい充填方法の提供を
目的としている。 【構成】溶融金属処理容器の底部に設けられスライド方
式開閉プレートを有する溶湯注出用開口部に充填材を詰
めるに際し、上記充填材を詰める前に、上記開口部内壁
面に上記充填材の焼付き防止剤を塗布する。
且つ鋼中に溶解しているＡｌと反応し難い溶湯注出用開
口部充填材の使用を可能とする新しい充填方法の提供を
目的としている。 【構成】溶融金属処理容器の底部に設けられスライド方
式開閉プレートを有する溶湯注出用開口部に充填材を詰
めるに際し、上記充填材を詰める前に、上記開口部内壁
面に上記充填材の焼付き防止剤を塗布する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融金属処理容器の底
部に設けた溶湯注出用開口部（ノズル及びその近傍耐火
物からなる）に詰める充填材の充填方法に関し、特に高
清浄度溶鋼の処理容器、例えば取鍋、タンディッシュ等
の底部に設けたノズルを含む開口部に詰める充填材の充
填方法に係わる。
部に設けた溶湯注出用開口部（ノズル及びその近傍耐火
物からなる）に詰める充填材の充填方法に関し、特に高
清浄度溶鋼の処理容器、例えば取鍋、タンディッシュ等
の底部に設けたノズルを含む開口部に詰める充填材の充
填方法に係わる。
【０００２】
【従来の技術】一般に、溶鋼を連続鋳造機等の鋳型に注
入する方法は、該溶鋼を一旦取鍋に受け、その後、該取
鍋底部に設けてある前記溶湯注出用開口部（以下、単に
開口部という）よりタンディッシュを介して（タンディ
ッシュを用いない場合もある）行われる。従って、その
開口部は、受湯時に封塞され、鋳型への注湯時には開放
されるようになっている。そして、最近の該開口部に
は、プレートをスライドさせてノズルの封塞、開放を行
い、湯流れ量の制御も可能な所謂スライディングノズル
が採用されている。
入する方法は、該溶鋼を一旦取鍋に受け、その後、該取
鍋底部に設けてある前記溶湯注出用開口部（以下、単に
開口部という）よりタンディッシュを介して（タンディ
ッシュを用いない場合もある）行われる。従って、その
開口部は、受湯時に封塞され、鋳型への注湯時には開放
されるようになっている。そして、最近の該開口部に
は、プレートをスライドさせてノズルの封塞、開放を行
い、湯流れ量の制御も可能な所謂スライディングノズル
が採用されている。
【０００３】上記スライディングノズルを有する取鍋あ
るいはタンディッシュは、その使用に際して、底部にノ
ズル及びスライディングプレートを取付けた後、図３に
示すように、該スライディングプレート１上の凹部（以
下、ノズル内壁２という）に砂（充填材）３が詰められ
る。この砂３は、受湯後に溶鋼４と接す部分が高温に加
熱されて焼結層を形成し、該溶鋼４がスライディングプ
レート１上で凝固することを防止したり、該焼結層下方
に位置する砂は、焼結されないで元の状態を維持するよ
うになっている。そして、溶鋼を鋳型に注出するため上
記プレートを開方向にスライドした際には、該非焼結状
態の砂は直ちに自然落下し、焼結層部分は溶鋼静圧によ
り破壊されて開口し、溶鋼の鋳型への注出を可能とする
のである。
るいはタンディッシュは、その使用に際して、底部にノ
ズル及びスライディングプレートを取付けた後、図３に
示すように、該スライディングプレート１上の凹部（以
下、ノズル内壁２という）に砂（充填材）３が詰められ
る。この砂３は、受湯後に溶鋼４と接す部分が高温に加
熱されて焼結層を形成し、該溶鋼４がスライディングプ
レート１上で凝固することを防止したり、該焼結層下方
に位置する砂は、焼結されないで元の状態を維持するよ
うになっている。そして、溶鋼を鋳型に注出するため上
記プレートを開方向にスライドした際には、該非焼結状
態の砂は直ちに自然落下し、焼結層部分は溶鋼静圧によ
り破壊されて開口し、溶鋼の鋳型への注出を可能とする
のである。
【０００４】ところで、この砂（通常、粒径の丸い珪
砂）の充填状態は、鋳込んだ鋼の材質に影響を与えるの
で、砂の充填方法、取除き方法等に関し従来より研究、
開発がなされ、特許出願等も多い。例えば、特開昭５６
−０１１１６３号公報は、連続鋳造用取鍋の捨湯装置を
提案し、排出用樋を取り付けた独立支持構造の旋回アー
ムと、上記排出桶を所定位置間に移動する駆動装置を配
設して、操業当初に、人力によらず安全かつ容易に詰
砂、低温溶湯等操業に悪影響を与えるものの鋳型外への
早期排出を可能とする技術を開示している。また、特開
昭５８−１５４４５２号公報は、取鍋のノズル充填物の
溶鋼への混入防止装置として、筒状容器の上部を可溶性
または可燃性構造とし、該筒状容器を取鍋ノズルの真下
へ位置するように傾斜配置して、該ノズル充填物が鋳型
へ落下混入するのを有効かつ簡便に阻止する装置を開示
した。さらに、特開昭６３−２３８９７１号公報は、溶
湯出口に予め粉粒状の物質を充填して形成した詰物に、
容器内に溶湯貯留後に、ガスを供給して詰物を溶湯湯面
上に浮上させ、次いで溶湯を他の容器へ注出することに
より、歩留り、品質の向上を図る方法を開示し、特開昭
６４−０４８６６２号公報は、取鍋ノズルに詰める砂の
組成を、９８重量％以上のＳｉＯ2 ，１％未満のアルカ
リ酸化物に特定し、ノズルの自然開口率を大幅に向上さ
せ、操業上のトラブルを大幅に低減する技術を示した。
ここで、ノズルの自然開口率とは、スライディングプレ
ートを開にしても、上記砂が落下、流出しない即ち自然
開口しない場合があるので、直ちに開口する頻度を自然
開口率として評価しているのである。
砂）の充填状態は、鋳込んだ鋼の材質に影響を与えるの
で、砂の充填方法、取除き方法等に関し従来より研究、
開発がなされ、特許出願等も多い。例えば、特開昭５６
−０１１１６３号公報は、連続鋳造用取鍋の捨湯装置を
提案し、排出用樋を取り付けた独立支持構造の旋回アー
ムと、上記排出桶を所定位置間に移動する駆動装置を配
設して、操業当初に、人力によらず安全かつ容易に詰
砂、低温溶湯等操業に悪影響を与えるものの鋳型外への
早期排出を可能とする技術を開示している。また、特開
昭５８−１５４４５２号公報は、取鍋のノズル充填物の
溶鋼への混入防止装置として、筒状容器の上部を可溶性
または可燃性構造とし、該筒状容器を取鍋ノズルの真下
へ位置するように傾斜配置して、該ノズル充填物が鋳型
へ落下混入するのを有効かつ簡便に阻止する装置を開示
した。さらに、特開昭６３−２３８９７１号公報は、溶
湯出口に予め粉粒状の物質を充填して形成した詰物に、
容器内に溶湯貯留後に、ガスを供給して詰物を溶湯湯面
上に浮上させ、次いで溶湯を他の容器へ注出することに
より、歩留り、品質の向上を図る方法を開示し、特開昭
６４−０４８６６２号公報は、取鍋ノズルに詰める砂の
組成を、９８重量％以上のＳｉＯ2 ，１％未満のアルカ
リ酸化物に特定し、ノズルの自然開口率を大幅に向上さ
せ、操業上のトラブルを大幅に低減する技術を示した。
ここで、ノズルの自然開口率とは、スライディングプレ
ートを開にしても、上記砂が落下、流出しない即ち自然
開口しない場合があるので、直ちに開口する頻度を自然
開口率として評価しているのである。
【０００５】一方、前述のように、ノズル充填材として
は、一般にＳｉＯ2 を主成分とする珪砂が用いられ、溶
鋼とじかに接する該砂の上部は高温となり焼結するが、
焼結層以下の部分は粉状のままであり、溶鋼の鋳型への
注入開始に先立ってタンディッシュ中に流れ込む。この
タンディッシュ中に流れ込んだ砂は、 ３ＳｉＯ2 ＋４Ａｌ→３Ｓｉ＋２Ａｌ2 Ｏ3 …（１） （１）式に従って鋼中のＡｌと容易に反応し，Ａｌ2 Ｏ
3 介在物となり溶鋼の清浄度を低下させるか、未反応の
まま鋳型中に流れ込みそのまま介在物となる。以上の点
から高清浄度鋼を連続鋳造するに際しては、ノズル充填
材に砂を用いた場合、それがタンディッシュに流れ込む
ことは好ましくない。
は、一般にＳｉＯ2 を主成分とする珪砂が用いられ、溶
鋼とじかに接する該砂の上部は高温となり焼結するが、
焼結層以下の部分は粉状のままであり、溶鋼の鋳型への
注入開始に先立ってタンディッシュ中に流れ込む。この
タンディッシュ中に流れ込んだ砂は、 ３ＳｉＯ2 ＋４Ａｌ→３Ｓｉ＋２Ａｌ2 Ｏ3 …（１） （１）式に従って鋼中のＡｌと容易に反応し，Ａｌ2 Ｏ
3 介在物となり溶鋼の清浄度を低下させるか、未反応の
まま鋳型中に流れ込みそのまま介在物となる。以上の点
から高清浄度鋼を連続鋳造するに際しては、ノズル充填
材に砂を用いた場合、それがタンディッシュに流れ込む
ことは好ましくない。
【０００６】そこで、高清浄度鋼を連続鋳造するに際し
ては、上記砂に起因するＡｌ2 Ｏ3介在物量の増大によ
る弊害を回避するために、次の２つの手段が考えられ
た。その一つの手段は、充填材としてＳｉＯ2 を主成分
とする珪砂を用いるが、該砂が流入する時期はノズルの
開口直後に限定されるので、その時に該砂のタンディッ
シュあるいは鋳型への流入を防止する。例えば、特開昭
５６−１１１６３号公報や特開昭５８−１５４４５２号
公報は、充填材として砂を用いても専用の砂除去装置を
使用することにより、タンディッシュあるいは鋳型にノ
ズル充填材が流入するのを防止する技術を開示した。し
かしながら、これらの技術は、そのための特殊な砂除去
装置が必要となり、多大な設備費を要し、実用化し難が
たい。また、前記ガスで充填材を浮上させる特開昭６３
−２３８９７１号公報記載の技術は、タンディッシュあ
るいは鋳型への砂の流入は防止できるものの、注入開始
直前に溶鋼中に砂を分散させることとなり、（１）式に
よる介在物増加の弊害から完全に免れることはできな
い。
ては、上記砂に起因するＡｌ2 Ｏ3介在物量の増大によ
る弊害を回避するために、次の２つの手段が考えられ
た。その一つの手段は、充填材としてＳｉＯ2 を主成分
とする珪砂を用いるが、該砂が流入する時期はノズルの
開口直後に限定されるので、その時に該砂のタンディッ
シュあるいは鋳型への流入を防止する。例えば、特開昭
５６−１１１６３号公報や特開昭５８−１５４４５２号
公報は、充填材として砂を用いても専用の砂除去装置を
使用することにより、タンディッシュあるいは鋳型にノ
ズル充填材が流入するのを防止する技術を開示した。し
かしながら、これらの技術は、そのための特殊な砂除去
装置が必要となり、多大な設備費を要し、実用化し難が
たい。また、前記ガスで充填材を浮上させる特開昭６３
−２３８９７１号公報記載の技術は、タンディッシュあ
るいは鋳型への砂の流入は防止できるものの、注入開始
直前に溶鋼中に砂を分散させることとなり、（１）式に
よる介在物増加の弊害から完全に免れることはできな
い。
【０００７】一方、もう一つの手段は、該砂を上記
（１）式に関し難反応性の充填材（例えば、アルミナ、
マグネシア等）に変更するものであり、この方法は特別
な設備が不要で投資額を最小限に抑制することができ
る。しかしながら、該難反応性の充填材はノズル耐火材
（通常、アルミナ質あるいはマグネシア質）に焼付き、
上記ノズルの自然開口率が著しく低下するという問題が
あった。
（１）式に関し難反応性の充填材（例えば、アルミナ、
マグネシア等）に変更するものであり、この方法は特別
な設備が不要で投資額を最小限に抑制することができ
る。しかしながら、該難反応性の充填材はノズル耐火材
（通常、アルミナ質あるいはマグネシア質）に焼付き、
上記ノズルの自然開口率が著しく低下するという問題が
あった。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
を鑑み、ノズルの自然開口率を９９％以上に維持でき、
且つ鋼中に溶解しているＡｌと反応し難いノズル充填材
の使用を可能とする新しい充填方法を提供することを目
的としている。
を鑑み、ノズルの自然開口率を９９％以上に維持でき、
且つ鋼中に溶解しているＡｌと反応し難いノズル充填材
の使用を可能とする新しい充填方法を提供することを目
的としている。
【０００９】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため、鋼中の溶解Ａｌと（１）式で反応しない非
ＳｉＯ2 のノズル充填材を採用した場合の問題点、すな
わちノズル耐火物と該ノズル充填材の焼付き防止方法を
鋭意検討し、８００℃以上の高温環境下で該ノズル内壁
に焼付き防止剤（離形剤）を吹付けることに着眼した。
本発明は、その着眼を具現化したものであり、溶融金属
処理容器の底部に設けられスライド方式開閉プレートを
有する溶湯注出用開口部に充填材を詰めるに際し、上記
充填材を詰める前に、上記開口部内壁面に上記充填材の
焼付き防止剤を塗布することを特徴とする溶湯注出用開
口部充填材の充填方法である。また、本発明は、上記焼
付き防止剤が、２０〜３０重量％のＰ2 Ｏ5 と、１５〜
２０重量％の黒鉛と、１〜５重量％のＳｉＣと、残部水
とからなることを特徴とする溶湯注出用開口部充填材の
充填方法である。さらに、本発明は、上記充填材が、ア
ルミナ、アルミナスピネル及びマグネシアから選択され
る一種以上からなることを特徴とする溶湯注出用開口部
充填材の充填方法である。
成するため、鋼中の溶解Ａｌと（１）式で反応しない非
ＳｉＯ2 のノズル充填材を採用した場合の問題点、すな
わちノズル耐火物と該ノズル充填材の焼付き防止方法を
鋭意検討し、８００℃以上の高温環境下で該ノズル内壁
に焼付き防止剤（離形剤）を吹付けることに着眼した。
本発明は、その着眼を具現化したものであり、溶融金属
処理容器の底部に設けられスライド方式開閉プレートを
有する溶湯注出用開口部に充填材を詰めるに際し、上記
充填材を詰める前に、上記開口部内壁面に上記充填材の
焼付き防止剤を塗布することを特徴とする溶湯注出用開
口部充填材の充填方法である。また、本発明は、上記焼
付き防止剤が、２０〜３０重量％のＰ2 Ｏ5 と、１５〜
２０重量％の黒鉛と、１〜５重量％のＳｉＣと、残部水
とからなることを特徴とする溶湯注出用開口部充填材の
充填方法である。さらに、本発明は、上記充填材が、ア
ルミナ、アルミナスピネル及びマグネシアから選択され
る一種以上からなることを特徴とする溶湯注出用開口部
充填材の充填方法である。
【００１０】
【作用】本発明では、溶融金属処理容器の底部に設けら
れスライド方式開閉プレートを有する溶湯注出用開口部
に充填材を詰めるに際し、上記充填材を詰める前に、上
記開口部内壁面に上記充填材の焼付き防止剤を塗布する
ようにしたので、上記充填材は開口部内壁面に焼付か
ず、溶鋼の鋳型あるいはタンディッシュへの注出に際し
て容易に該充填材は落下するようになる。また、本発明
では、上記焼付き防止剤が、２０〜３０重量％のＰ2 Ｏ
5 と、１５〜２０重量％の黒鉛と、１〜５重量％のＳｉ
Ｃと、残部水とからなるようにし、さらに、上記充填材
が、アルミナ、アルミナスピネル及びマグネシアから選
択される一種以上からなるようにしたので、上記効果は
一層促進できるようになる。
れスライド方式開閉プレートを有する溶湯注出用開口部
に充填材を詰めるに際し、上記充填材を詰める前に、上
記開口部内壁面に上記充填材の焼付き防止剤を塗布する
ようにしたので、上記充填材は開口部内壁面に焼付か
ず、溶鋼の鋳型あるいはタンディッシュへの注出に際し
て容易に該充填材は落下するようになる。また、本発明
では、上記焼付き防止剤が、２０〜３０重量％のＰ2 Ｏ
5 と、１５〜２０重量％の黒鉛と、１〜５重量％のＳｉ
Ｃと、残部水とからなるようにし、さらに、上記充填材
が、アルミナ、アルミナスピネル及びマグネシアから選
択される一種以上からなるようにしたので、上記効果は
一層促進できるようになる。
【００１１】以下、本発明に係る焼付き防止剤について
若干補足しておく。該焼付き防止剤は、ノズル内壁及び
その近傍耐火物等、塗布面の形状から常温で液体であれ
ば、如何なる組成であっても良い。但し、開口部充填材
が前記（１）式により、鋼中の溶解Ａｌとの反応を配慮
し、アルミ、アルミスピネル、マグネシアを主成分であ
る場合には、該焼付き防止剤は、リン酸と、黒鉛粉と、
ＳｉＣ粉と残部水からなることが好ましい。
若干補足しておく。該焼付き防止剤は、ノズル内壁及び
その近傍耐火物等、塗布面の形状から常温で液体であれ
ば、如何なる組成であっても良い。但し、開口部充填材
が前記（１）式により、鋼中の溶解Ａｌとの反応を配慮
し、アルミ、アルミスピネル、マグネシアを主成分であ
る場合には、該焼付き防止剤は、リン酸と、黒鉛粉と、
ＳｉＣ粉と残部水からなることが好ましい。
【００１２】リン酸は、Ｐ2 Ｏ5 ≧３０％の高濃度リン
酸水溶液であり、その使用目的は、高温のノズル耐火物
面から充填材を容易に離形させる作用をする黒鉛粉を該
開口部耐火物面に付着させ、厚み１〜２ｍｍ程度の焼付
き防止剤のコーティング層を形成させることにある。ま
た、ＳｉＣ粉は、上記コーティング層の内面に分散させ
て、該層が大気に触れ酸化、欠落することを防止する働
きをする。
酸水溶液であり、その使用目的は、高温のノズル耐火物
面から充填材を容易に離形させる作用をする黒鉛粉を該
開口部耐火物面に付着させ、厚み１〜２ｍｍ程度の焼付
き防止剤のコーティング層を形成させることにある。ま
た、ＳｉＣ粉は、上記コーティング層の内面に分散させ
て、該層が大気に触れ酸化、欠落することを防止する働
きをする。
【００１３】次に、黒鉛粉の限定理由であるが、まず、
本焼付き防止剤の離形作用は、該黒鉛粉により得られる
ので、黒鉛粉の配合割合が大きいほど離型作用も強くな
る。しかし、該黒鉛粉の配合割合が高くなると、開口部
内壁面上で黒鉛層を形成することが難しくなる。本発明
では、配合割合を種々変化させた実験研究を行い、１５
００℃〜１８００℃の使用温度域においては、１５〜２
０％の配合が離型作用と層成形性を両立可能な配合割合
であることがわかった。また、ＳｉＣの配合は，コーテ
ィング層形成後、大気雰囲気で約１８００℃で２時間黒
鉛粉の酸化防止を図るためには、黒鉛粉に対し重量比で
１／４の量が必要であり、同様に１５００℃で３０分間
の場合には１／１５でよい。さらに、Ｐ2 Ｏ5 の配合比
率を２０〜３０重量％とした理由は、２０重量％以下で
は塗布後のコーティング層がもろく、黒鉛粉が開口部内
壁面に付着しずらくなり、３０重量％以上ではコーティ
ング層の凝固に時間を要するばかりか、焼付き防止剤の
コストアップを招くからである。
本焼付き防止剤の離形作用は、該黒鉛粉により得られる
ので、黒鉛粉の配合割合が大きいほど離型作用も強くな
る。しかし、該黒鉛粉の配合割合が高くなると、開口部
内壁面上で黒鉛層を形成することが難しくなる。本発明
では、配合割合を種々変化させた実験研究を行い、１５
００℃〜１８００℃の使用温度域においては、１５〜２
０％の配合が離型作用と層成形性を両立可能な配合割合
であることがわかった。また、ＳｉＣの配合は，コーテ
ィング層形成後、大気雰囲気で約１８００℃で２時間黒
鉛粉の酸化防止を図るためには、黒鉛粉に対し重量比で
１／４の量が必要であり、同様に１５００℃で３０分間
の場合には１／１５でよい。さらに、Ｐ2 Ｏ5 の配合比
率を２０〜３０重量％とした理由は、２０重量％以下で
は塗布後のコーティング層がもろく、黒鉛粉が開口部内
壁面に付着しずらくなり、３０重量％以上ではコーティ
ング層の凝固に時間を要するばかりか、焼付き防止剤の
コストアップを招くからである。
【００１４】
（実施例１）溶鋼処理能力が２３５トン／チャージのＡ
ｌ2 Ｏ3 −ＭｇＯ系耐火物を内張した取鍋に、表１に示
すシリカレスの開口部充填材を用いて、表２に示す組成
の鋼を受鋼し、４５分／チャージのペースで１６チャー
ジ連続鋳造を行った。その際に用いた取鍋は、記号Ａ〜
Ｄまでの４本であり、それぞれＡから順番に４チャージ
ずつ、交換して使用した。
ｌ2 Ｏ3 −ＭｇＯ系耐火物を内張した取鍋に、表１に示
すシリカレスの開口部充填材を用いて、表２に示す組成
の鋼を受鋼し、４５分／チャージのペースで１６チャー
ジ連続鋳造を行った。その際に用いた取鍋は、記号Ａ〜
Ｄまでの４本であり、それぞれＡから順番に４チャージ
ずつ、交換して使用した。
【００１５】Ａ鍋及びＣ鍋は、鋳造終了後、次のチャー
ジの充填材を詰める前に、本発明に係る表３に示す組成
の焼付け防止剤を塗布し、１０分間乾燥した後に該充填
材を詰め、スライディングノズルを開にしてタンディッ
シュに注鋼した。一方、Ｂ鍋及びＤ鍋は、焼付防止剤を
まったく塗布せずに注鋼した。なお、Ａ〜Ｄ鍋は充鍋、
空鍋のサイクル時間が同じになるようにした結果、次チ
ャージの充填材を詰める前にノズル内壁の表面温度は、
全チャージとも８３０〜８４５℃とほぼ均一になるよう
にした。
ジの充填材を詰める前に、本発明に係る表３に示す組成
の焼付け防止剤を塗布し、１０分間乾燥した後に該充填
材を詰め、スライディングノズルを開にしてタンディッ
シュに注鋼した。一方、Ｂ鍋及びＤ鍋は、焼付防止剤を
まったく塗布せずに注鋼した。なお、Ａ〜Ｄ鍋は充鍋、
空鍋のサイクル時間が同じになるようにした結果、次チ
ャージの充填材を詰める前にノズル内壁の表面温度は、
全チャージとも８３０〜８４５℃とほぼ均一になるよう
にした。
【００１６】
【表１】
【００１７】
【表２】
【００１８】
【表３】
【００１９】本発明の実施効果は、鋳造開始時のスライ
ディングプレート開の時点から溶鋼が実際に注入開始さ
れる時までの時間（以下、注出所要時間という）と、鋳
造終了後の空鍋状態で開口部内壁面の付着状態で評価し
た。図１に、上記注出所要時間と使用鍋との関係を示
す。図１によれば、本発明に係る開口部充填材の充填方
法を適用せず、焼付け防止剤を塗布していないＢ鍋及び
Ｄ鍋は、それぞれ３チャージ目と、４チャージ目とで自
然開孔せず、開孔するために該開口部の下方から酸素を
吹込み開口した。また、自然開孔できた１チャージ目及
び２チャージ目でも、焼付け防止剤を用いたＡ鍋及びＣ
鍋に比較すると、上記注出所要時間が５〜１０秒長かっ
た。本発明に係る開口部充填材の充填方法を採用したＡ
鍋及びＣ鍋は、それぞれ４チャージ目まで自然開孔に要
した時間がすべて２．５秒以内と安定していた。
ディングプレート開の時点から溶鋼が実際に注入開始さ
れる時までの時間（以下、注出所要時間という）と、鋳
造終了後の空鍋状態で開口部内壁面の付着状態で評価し
た。図１に、上記注出所要時間と使用鍋との関係を示
す。図１によれば、本発明に係る開口部充填材の充填方
法を適用せず、焼付け防止剤を塗布していないＢ鍋及び
Ｄ鍋は、それぞれ３チャージ目と、４チャージ目とで自
然開孔せず、開孔するために該開口部の下方から酸素を
吹込み開口した。また、自然開孔できた１チャージ目及
び２チャージ目でも、焼付け防止剤を用いたＡ鍋及びＣ
鍋に比較すると、上記注出所要時間が５〜１０秒長かっ
た。本発明に係る開口部充填材の充填方法を採用したＡ
鍋及びＣ鍋は、それぞれ４チャージ目まで自然開孔に要
した時間がすべて２．５秒以内と安定していた。
【００２０】図２に、本発明を適用したＣ鍋（図２
（ａ）参照）と、適用しなかったＤ鍋（図２（Ｂ）参
照）とについて、それぞれ２チャージ目を鋳造した後に
空鍋として、開口部内壁面の付着状況を調査した結果を
示す。図２より、Ｃ鍋は全く付着物が認められないのに
対し、Ｄ鍋はノズル内壁全周にわたって、付着物が認め
られた。この付着物は分析の結果、上記充填材の焼結物
であることが判った。なお、溶鋼とともにタンディッシ
ュ内に落下した充填材は、（１）式の反応は起こさず
に、その後スラグとして浮上して除去される。 （実施例２）表１のシリカレス充填材、表３の焼付き防
止剤を用いた本発明に係る充填方法と、表４のシリカを
主成分とした充填材で、焼付き防止剤を使用しない従来
の充填方法を比較した。その際、開口部充填材、焼付き
防止剤以外の連続鋳造条件は、実施例１の場合に一致さ
せ、両者で全く同様とした。
（ａ）参照）と、適用しなかったＤ鍋（図２（Ｂ）参
照）とについて、それぞれ２チャージ目を鋳造した後に
空鍋として、開口部内壁面の付着状況を調査した結果を
示す。図２より、Ｃ鍋は全く付着物が認められないのに
対し、Ｄ鍋はノズル内壁全周にわたって、付着物が認め
られた。この付着物は分析の結果、上記充填材の焼結物
であることが判った。なお、溶鋼とともにタンディッシ
ュ内に落下した充填材は、（１）式の反応は起こさず
に、その後スラグとして浮上して除去される。 （実施例２）表１のシリカレス充填材、表３の焼付き防
止剤を用いた本発明に係る充填方法と、表４のシリカを
主成分とした充填材で、焼付き防止剤を使用しない従来
の充填方法を比較した。その際、開口部充填材、焼付き
防止剤以外の連続鋳造条件は、実施例１の場合に一致さ
せ、両者で全く同様とした。
【００２１】
【表４】
【００２２】その結果は、タンディッシュ内溶鋼の代表
酸素値と、これらの鋳造品であるスラブを冷間圧延板に
した際のＡｌ2 Ｏ3 介在物起因による欠陥発生率で評価
し、表５に一括して示した。シリカレス充填材を用い、
本発明法を適用した場合が、タンディッシュ内溶鋼の代
表酸素も、冷間圧延板の欠陥率も共に低く、高清浄度鋼
の溶製に有効であることが明らかである。
酸素値と、これらの鋳造品であるスラブを冷間圧延板に
した際のＡｌ2 Ｏ3 介在物起因による欠陥発生率で評価
し、表５に一括して示した。シリカレス充填材を用い、
本発明法を適用した場合が、タンディッシュ内溶鋼の代
表酸素も、冷間圧延板の欠陥率も共に低く、高清浄度鋼
の溶製に有効であることが明らかである。
【００２３】
【表５】
【００２４】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、従来
使用できなかったアルミナ、アルミナスピネル、マグネ
シア等の溶湯注出用開口部充填材の使用が可能となり、
溶融金属処理容器底部の開口において、自然開口率が従
来より向上した。
使用できなかったアルミナ、アルミナスピネル、マグネ
シア等の溶湯注出用開口部充填材の使用が可能となり、
溶融金属処理容器底部の開口において、自然開口率が従
来より向上した。
【図１】本発明に係る充填方法と従来法の実施成績を比
較した図である。
較した図である。
【図２】スライディングノズルの縦断面を示す図であ
り、（ａ）は本発明を適用したもの、（ｂ）は本発明を
適用しなかったもの２チャージ実施後の状態を示す。
り、（ａ）は本発明を適用したもの、（ｂ）は本発明を
適用しなかったもの２チャージ実施後の状態を示す。
【図３】スライディングノズルを採用した開口部に砂を
充填した状態を示す縦断面図である。
充填した状態を示す縦断面図である。
１ スライディングプレート ２ 開口部内壁 ３ 充填材（砂） ４ 溶鋼 ５ ノズル耐火物 ６ 羽口耐火物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ１０Ｍ 103:00） Ｚ Ｃ１０Ｎ 40:36 (72)発明者 佐野 高光 千葉市中央区川崎町１番地 川崎製鉄株式 会社鉄鋼開発・生産本部千葉製鉄所内 (72)発明者 山田 純夫 千葉市中央区川崎町１番地 川崎製鉄株式 会社鉄鋼開発・生産本部千葉製鉄所内 (72)発明者 北野 嘉久 千葉市中央区川崎町１番地 川崎製鉄株式 会社鉄鋼開発・生産本部千葉製鉄所内
Claims (3)
- 【請求項１】 溶融金属処理容器の底部に設けられスラ
イド方式開閉プレートを有する溶湯注出用開口部に充填
材を詰めるに際し、 上記充填材を詰める前に、上記開口部内壁面に上記充填
材の焼付き防止剤を塗布することを特徴とする溶湯注出
用開口部充填材の充填方法。 - 【請求項２】 上記焼付き防止剤が、２０〜３０重量％
のＰ2 Ｏ5 と、１５〜２０重量％の黒鉛と、１〜５重量
％のＳｉＣと、残部水とからなることを特徴とする請求
項１記載の溶湯注出用開口部充填材の充填方法。 - 【請求項３】 上記充填材が、アルミナ、アルミナスピ
ネル及びマグネシアから選択される一種以上からなるこ
とを特徴とする請求項１又は２記載の溶湯注出用開口部
充填材の充填方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18750594A JP2866309B2 (ja) | 1994-08-09 | 1994-08-09 | 溶湯注出用開口部充填材の充填方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18750594A JP2866309B2 (ja) | 1994-08-09 | 1994-08-09 | 溶湯注出用開口部充填材の充填方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0852562A true JPH0852562A (ja) | 1996-02-27 |
| JP2866309B2 JP2866309B2 (ja) | 1999-03-08 |
Family
ID=16207243
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP18750594A Expired - Lifetime JP2866309B2 (ja) | 1994-08-09 | 1994-08-09 | 溶湯注出用開口部充填材の充填方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2866309B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN112872347A (zh) * | 2021-01-15 | 2021-06-01 | 山东钢铁集团日照有限公司 | 一种钢包引流砂二次灌装的工艺 |
-
1994
- 1994-08-09 JP JP18750594A patent/JP2866309B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN112872347A (zh) * | 2021-01-15 | 2021-06-01 | 山东钢铁集团日照有限公司 | 一种钢包引流砂二次灌装的工艺 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2866309B2 (ja) | 1999-03-08 |
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| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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