JPH0851762A - 超電導モーター - Google Patents

超電導モーター

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JPH0851762A
JPH0851762A JP20925394A JP20925394A JPH0851762A JP H0851762 A JPH0851762 A JP H0851762A JP 20925394 A JP20925394 A JP 20925394A JP 20925394 A JP20925394 A JP 20925394A JP H0851762 A JPH0851762 A JP H0851762A
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JP
Japan
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refrigerant
superconducting
motor
superconducting motor
superconductor
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Application number
JP20925394A
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English (en)
Inventor
Yoshitaka Ito
佳孝 伊藤
Yosuke Yanagi
陽介 柳
Tetsuo Oka
徹雄 岡
Ryohei Yabuno
良平 藪野
Shintaro Harada
信太郎 原田
Tsutomu Sakakibara
務 榊原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IMURA ZAIRYO KAIHATSU KENKYUSH
IMRA Material R&D Co Ltd
Original Assignee
IMURA ZAIRYO KAIHATSU KENKYUSH
IMRA Material R&D Co Ltd
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Publication date
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Priority to US08/304,214 priority patent/US5581135A/en
Priority to DE69407009T priority patent/DE69407009T2/de
Priority to AT94114458T priority patent/ATE160656T1/de
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 超電導体にクエンチが発生せず,分解,組立
が容易で,モーター効率のよい,超電導モーターを得る
こと。 【構成】 モーター本体100と,冷媒貯蔵用の第一冷
媒タンク201及び第二冷媒タンクとよりなり,上記モ
ーター本体100は,回転シャフト16に設けた電機子
15と,該電機子15に対向配設した磁石部10と,該
磁石部10及び冷媒130を収容する冷媒容器13と,
該冷媒容器13に連結した冷媒供給用の冷媒循環パイプ
20とよりなる。上記磁石部10は超電導体11とその
周囲に巻回した着磁用コイル12とよりなる。冷媒循環
パイプ20は,連結パイプ230を介して,チューブ継
手26等により連結されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,バルク状の超電導体を
用いた超電導モーターに関する。
【0002】
【従来技術】従来,超電導モーターとしては,特開平3
−289344号に示す装置が知られている。上記超電
導モーターはシャフトと,シャフトに固定された円盤状
の電機子と,該電機子に対向配設された超電導コイルと
からなる。また,上記超電導コイルは液体ヘリウム容器
と,輻射シールドを有する。
【0003】この超電導モーターは,上記超電導コイル
に通電することにより,これに磁場を発生させ,電機子
に回転力を与える方式のものである。即ち,上記超電導
コイルは,液体ヘリウムによって臨界温度以下まで冷却
され,超電導状態にある。従って,上記超電導コイル
は,通電することにより容易に励磁され,磁束密度の高
い磁石となる。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記超電導モ
ーターには以下に示す問題点がある。まず,上記超電導
コイルには,クエンチの恐れがある。クエンチとは,局
所的に発生した常電導領域が雪崩的に拡大し,急激に超
電導体全体が,常電導状態へと転移することである。上
記クエンチは,各超電導体固有の臨界電流,臨界磁場以
上の電流又は磁場の印加等が原因である。また,上記ク
エンチは,線材において,特に発生し易い。また,常電
導状態においては,超電導体は通常の電気抵抗を有す
る。従って,通電に伴って相応のジュール熱が発生す
る。
【0005】従って,上記超電導モーターの超電導コイ
ルにおいて,クエンチが発生した場合には,上記コイル
に発生するジュール熱のため,液体ヘリウムが気化蒸発
し,圧力上昇によって液体ヘリウム容器等が破損するお
それがある。また,ジュール熱によって,上記コイルそ
のものが溶断される場合もある。従って,上記従来の超
電導モーターは,クエンチに留意する必要があるため,
出力に限界がある。また,このため,効率がよくない。
【0006】また,液体ヘリウムの沸点は約4Kという
低温である。このため,上記液体ヘリウム容器には,特
別の断熱性能が要求される。すなわち,容器等の周囲に
は,真空断熱層を介して液体窒素を循環させ,更に,そ
の外周には真空部分を設け,その上,輻射シールドを容
器全体を覆うように配置する等の,特別な断熱装置を設
けねばならない。従って,上記超電導モーターは構造が
複雑で,装置が大型化する。
【0007】更に,液体ヘリウムは高価である。このた
め,上記超電導モーターの運転コストは高くなる。
【0008】更に,上記超電導モーターの保守点検に当
たって,分解,組立を行う際には,上述のごとく大型で
複雑な装置は,その作業に手間と時間がかかる。
【0009】本発明は,かかる問題点に鑑み,超電導体
にクエンチが発生せず,分解,組立が容易で,モーター
効率のよい,超電導モーターを提供しようとするもので
ある。
【0010】
【課題の解決手段】本発明は,モーター本体と,冷媒貯
蔵用の第一冷媒タンク及び第二冷媒タンクとよりなり,
上記モーター本体は,回転シャフトに設けた電機子と,
該電機子に対向配設した磁石部と,該磁石部及び冷媒を
収容する冷媒容器と,該冷媒容器に連結した冷媒供給用
の冷媒循環パイプとよりなると共に,上記磁石部は超電
導体とその周囲に巻回した着磁用コイルとよりなり,か
つ該着磁用コイルには着磁用のパルス電流を供給するた
めのリード線を接続してなり,また上記電機子の片側に
設けた冷媒容器は第一冷媒タンクに,一方その他側に設
けた冷媒容器は第二冷媒タンクに,それぞれ冷媒循環パ
イプにより接続されており,かつ該冷媒循環パイプは上
記第一及び第二冷媒タンクから各冷媒容器に冷媒を送入
する送入パイプと,該送入パイプの外周に間隙を置いて
配置され,各冷媒容器からの冷媒ガスを第一及び第二冷
媒タンクに返送するための返送パイプとよりなることを
特徴とする超電導モーターにある。
【0011】本発明において最も注目すべきことは,上
記磁石部は超電導体とその周囲に巻回した着磁用コイル
とよりなり,着磁にはパルス電流を用いること,また上
記電機子の片側に設けた冷媒容器は第一冷媒タンクに,
他側に設けた冷媒容器は第二冷媒タンクにそれぞれ接続
したことにある。上記着磁用コイルには,パルス電流が
周期的に与えられる。この周期は,使用する超電導体,
所望するモーター出力等によって異なるが,数分〜数ヵ
月を目安に与えることが好ましい。なお,パルス電流の
電源は,超電導モーターの外部に設ける。
【0012】上記パルス電流のパルスの幅は適度に短い
ことが好ましい。また,パルスのピークも適度に高いこ
とが好ましい(図14)。また,上記超電導体への着磁
の方向は,まず,超電導体の磁束が,電機子に対して垂
直であることが好ましい。また,電機子の周方向に隣り
合って配置されている超電導体の磁束は,閉曲線状であ
ることが好ましい(図4)。
【0013】次に,上記第一及び第二冷媒タンクはモー
ター本体とは別体として設けられており,例えば,モー
ター本体の上部に設けた支柱及び固定台等に設置する
(図12)。
【0014】次に,上記冷媒循環パイプは送入パイプと
返送パイプとよりなる。上記送入パイプは,第一及び第
二冷媒タンクから冷媒容器へと冷媒を送るパイプであっ
て,ここを流れる冷媒は温度が低く,後述するごとく,
例えば,液体である。そして,冷媒が冷媒容器内を循環
する間に,冷媒の温度が上昇し,一部冷媒ガスとなる。
上記冷媒ガスは磁石部の冷却には不適切な高温となって
いるので,返送パイプより,再び第一及び第二冷媒タン
クに返送し,回収する。
【0015】また,上記冷媒循環パイプにおいて,送入
パイプ及び返送パイプは二重配管となっている。即ち,
送入パイプを中心として,その外周に気化した冷媒ガス
が流通する返送パイプを設ける。これにより,送入パイ
プへの外界からの熱の伝達を妨げ,冷媒の温度の上昇を
防止することができる。
【0016】次に,上記第一冷媒タンク及び第二冷媒タ
ンクは,それぞれモーター本体の上部に配設してなるこ
とが好ましい。次に,上記返送パイプの外周には,断熱
材を介して蛇腹状の外筒を設けることが好ましい。上述
したごとく,送入パイプ及び返送パイプを流れる冷媒及
び冷媒ガスの温度は室温よりも遙かに低い。更に,超電
導体の超電導状態を維持するためには,確実に超電導体
の臨界温度以下に,冷媒の温度を保持せねばならない。
このため,外部からの熱を可能な限り遮蔽する必要があ
る。
【0017】よって,返送パイプの外側に断熱材を設け
ることにより,返送パイプの内部に設けられた,送入パ
イプ内の冷媒の温度上昇を防止することができる。な
お,上記断熱材としては,スーパーインシュレーショ
ン,発泡材等の材料が好ましい。また,返送パイプを外
筒などの室温部分に固定する支持部品には,熱伝導率が
小さいFRP材料がよい。更に,返送パイプの外側に真
空部を設け,真空部をもって断熱材の代替とすることも
できる。また,真空部を設け,更にその外側に断熱材を
介して外筒を設けてもよい。
【0018】また,上記外筒が蛇腹状の場合には,フレ
キシブルで柔軟性に富む。よって,第一及び第二冷媒タ
ンクとモーター本体とを接続するに当たって,取付け自
由度が増す。即ち,モーター本体に対して如何様にも冷
媒タンクを配置することができる。また,冷媒循環パイ
プの分解,組立の作業性にも優れる。
【0019】次に,上記モーター本体は上記冷媒循環パ
イプと接続するノズルを有し,上記冷媒循環パイプにお
ける送入パイプの先端は上記ノズル内を貫通して冷媒容
器に開口し,一方冷媒循環パイプの返送パイプは上記ノ
ズルに対して着脱可能に装着されていることが好まし
い。これにより,超電導モーターの分解,組立が容易に
なる。なお,モーター本体において,ノズルは溶接によ
り冷媒容器に取り付けられていることが好ましい。
【0020】次に,上記ノズルと上記返送パイプとは連
結パイプを介して接続され,かつそれぞれの間はチュー
ブ継手により結合されていることが好ましい。チューブ
継手は,ねじ込み式の部品が組み合わされた構造であ
る。よって,狭い場所であっても容易に分解,組立を行
うことが可能である。また,上記分解,組立てに当たっ
て特別の工具等も必要としない。
【0021】次に,上記磁石部は,上記電機子の回転方
向に沿って1個又は複数個配設されている。また,外部
に超電導体からの磁束が漏れないようにするために,電
機子の回転方向に沿って,偶数個の磁石部を設けること
が好ましい。すなわち,磁石部が多ければ,モーターの
出力は大きくなる。しかし,磁石部の数に応じて装置が
大型化するため,目的によって磁石部の構成は選択する
必要がある。なお,上記磁石部は電機子の片側面に配設
されていてもかまわない。
【0022】次に,上記着磁用コイルは,通常の電気銅
線を用いることができるが,超電導線により作製されて
いることが好ましい。上記超電導線の材料は,使用する
冷媒の温度付近で超電導状態を保ち,かつ線材としての
加工が可能であれば,いかなる超電導体を用いてもかま
わない。しかし,コストの点から,冷媒が液体窒素であ
るときには,Bi系の超電導体が好ましい。上記着磁用
コイルが超電導体である場合には,通電しても熱を発生
しない。従って,磁石部等の昇温を防止できる。
【0023】次に,上記超電導体は,バルク状(固片
状)のものを用いる。このような,超電導体の材料とし
ては,例えばRE−Ba−Cu−O(REはY,Nd,
Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,L
uから選ばれる1種又は複数種の元素),Bi−(P
b)−Sr−Ca−Cu−O,Tl−Ba−Ca−Cu
−O,Hg−Ba−Ca−Cu−Oなどがある。また,
超電導体は,特に溶融法により,YとBaとCuの酸化
物を含有する超電導材料によって作製されていることが
好ましい。
【0024】上記酸化物よりなる超電導材料は,その臨
界温度が90K以上である。そのため,液体窒素等の安
価かつ手軽に入手できる冷媒によって,超電導状態を達
成できる。また,上記酸化物を含有する超電導体は,大
きなピン止め効果をもつ。このため,より多くの磁束を
ピン止め点に固定させることができる。従って,超電導
モーターの性能が向上する。
【0025】次に,上記冷媒は,液体窒素,液体アルゴ
ン,液体空気,液体酸素,液体メタン,及び液体クリプ
トンのグループから選ばれる液体冷媒であることが好ま
しい。上記物質は,1気圧の沸点がそれぞれ,77K,
87K,79K,90K,112K,及び120Kであ
る。すなわち,液体ヘリウムの沸点4Kに比べて,十分
高温である。このため,冷媒容器及び冷媒循環パイプ等
に特別の断熱機構を必要としない。
【0026】また,液体窒素,液体空気には,安価であ
るという利点もある。なお,上記冷媒は沸点が,液体ヘ
リウムの沸点よりも高く,磁石部に使用する超電導体の
臨界温度よりも低く,気化熱が液体ヘリウムより大きけ
れば,いかなる物質であっても構わない。
【0027】また,冷媒を減圧すると温度が下がるとい
う性質を利用し,冷媒容器及び,冷媒循環パイプの内部
を減圧して冷媒を沸点以下の温度にして用いてもよい。
減圧することにより,固体,液体及び気体が共存する3
重点の温度まで冷媒の温度を下げることもできる。即
ち,液体窒素は63K,液体アルゴンは84K,液体酸
素は54K,液体メタンは91K,液体クリプトンは1
16Kまで,液体のまま温度を下げることができ,液体
冷媒として使用できる。
【0028】次に,上記冷媒は,冷却されたヘリウムガ
ス,水素ガス,ネオンガスのグループから選ばれる気体
冷媒を用いることも可能である。上記気体冷媒は,液体
冷媒に比べて,少量で冷媒容器を充填させることが可能
である。また,気体は粘性が低いので,冷媒循環パイプ
等の口径を,小さくすることも可能になる。このため,
超電導モーターの省スペース化を図ることができ,また
液体冷媒に比べて軽量なモーターとすることができる。
また,上記ヘリウムガスは液化しにくい。このため気体
冷媒として優れている。
【0029】次に,上記冷媒容器は,真空容器内に配設
されていることが好ましい。これにより,冷媒容器の断
熱性が一層向上する。次に,着磁用コイルに連結する上
記リード線は,互いにらせん状に縒り合わされているこ
とが好ましい。そして,上記リード線は着磁用コイルへ
向かうものと,着磁用コイルより出てくるものを縒り合
わせることが好ましい。即ち,上記往復の2本のリード
線は,電流の流れる方向が反対である。従って,上記リ
ード線の間には反発力が働き,パルス電流を流すことに
よりリード線が振動する。
【0030】また,上記リード線は,その周囲に磁場を
発生する。しかし,2本のリード線は流れる電流の方向
が逆であるので,2本のリード線の発生する磁場は逆方
向である。従って,上記のごとく,縒り合わせることに
より,2本のリード線の振動及び磁場の発生を防止でき
る。
【0031】次に,上記リード線は,上記冷媒循環パイ
プ内において配線されていることが好ましい。これによ
り,上記リード線は冷却され電気抵抗が減少する。この
ため,通電に伴うジュール熱の発生を最小に押さえるこ
とができる。従って,リード線の発熱等で周囲の温度を
上げることがない。また,上記リード線は耐寒物質によ
って,表面を被覆することが好ましい。
【0032】次に,上記冷媒タンクへ返送された冷媒ガ
スは,冷凍機により冷却されて,該冷凍機と上記冷媒タ
ンクとの間に循環されていることが好ましい。これは,
冷媒の昇温を防止するためである。よって,超電導体を
常に一定の温度に保冷することができる。
【0033】
【作用及び効果】本発明の超電導モーターにおいては,
磁石部は超電導体とその周囲に巻回した着磁用コイルと
よりなり,磁石部の着磁にはパルス電流を用いる。これ
により,磁石部の超電導体には,着磁用コイルに発生し
た磁束が固定される。すなわち,超電導体そのものに電
流を流すことなく,磁石とすることができる。このた
め,超電導体内部において,電気的擾乱が発生すること
がない。更に,上記超電導体はバルク状である。このた
め,クエンチが起こらない。
【0034】また,本発明の超電導モーターは,モータ
ー本体と第一及び第二冷媒タンクが別体となっており,
これらと,電機子の両側に設けた冷媒容器との間は,そ
れぞれ冷媒循環パイプで接続されている。このため,冷
媒タンクの配置に当たっての自由度が増す。また,その
ため,上記超電導モーターの分解,組立が容易である。
【0035】また,上記冷媒循環パイプは二重配管であ
って,送入パイプの外周に返送パイプが配置されてい
る。これにより,冷媒容器内で気化して発生した冷媒ガ
スを返送して冷媒タンクに回収できる。また,返送パイ
プ内の冷媒ガスの混じった冷媒により送入パイプの外部
からの断熱も行うことができる。
【0036】また,着磁用コイルはパルス電流を流すこ
とにより磁場を発生させる。すなわち,電流が流れる時
間は極めて短い。また,着磁用コイルは冷媒中にあって
冷却され,電気抵抗が小さい。よって,ジュール発熱は
極めて小さい。このため冷媒の蒸発も少なくてすむ。ま
た,上記のごとく着磁用コイルの電気抵抗が小さくなる
ので,パルス電流を供給する電源の容量を小さくでき,
小型化できる。上記の点が,超電導コイル自体に磁場を
発生させて,モーター作用をさせる前記従来例の超電導
モーターと根本的に異なる。
【0037】更に,超電導体に固定される磁場の大きさ
は,着磁用コイルの発生する磁場に依存する。このた
め,着磁用コイルに流れるパルス電流の大きさを変化さ
せることによって,超電導体の磁場の大きさをコントロ
ールできる。よって,モーターの出力コントロールが容
易である。従って,効率的である。
【0038】上記のごとく,本発明によれば,超電導体
にクエンチが発生せず,分解,組立が容易で,モーター
効率のよい,超電導モーターを提供することができる。
【0039】
【実施例】
実施例1 本発明の実施例にかかる超電導モーターにつき,図1〜
図14を用いて説明する。図1,図10〜図12に示す
ごとく,本例の超電導モーター1は,モーター本体10
0と,冷媒貯蔵用の第一冷媒タンク201及び第二冷媒
タンク202とよりなる。上記モーター本体100は,
回転シャフト16に設けた電機子15と,該電機子15
に対向配設した磁石部10と,該磁石部10及び冷媒1
30を収容する冷媒容器13と,該冷媒容器13に連結
した冷媒供給用の冷媒循環パイプ20とよりなる。
【0040】次に,上記磁石部10は超電導体11とそ
の周囲に巻回した着磁用コイル12とよりなる。そし
て,後述するごとく,着磁用コイル12には,着磁用の
パルス電流を供給するためのリード線121を接続して
ある。また,図10〜図12に示すごとく,上記電機子
15の片側(図1,図10〜図12の右側)に設けた冷
媒容器13は第一冷媒タンク201に,他側(図10〜
図12の左側)に設けた冷媒容器13は第二冷媒202
タンクに,それぞれ冷媒循環パイプ20により接続され
ている。
【0041】また,図1及び図3に示すごとく,上記冷
媒循環パイプ20は,上記第一冷媒タンク201,第二
冷媒タンク202から,各冷媒容器13に冷媒130を
送入する送入パイプ22と,上記送入パイプ22の外周
に間隙を置いて配置され,各冷媒容器13からの冷媒ガ
スを第一タンク201及び第二冷媒タンク202に返送
するための返送パイプ23とよりなる。
【0042】次に,これらにつき詳細に説明する。ま
ず,上記モーター本体100について説明する。図1,
図10〜図12に示すごとく,上記電機子15を設けた
回転シャフト16は,外部より電流を供給するためのブ
ラシ17を有する。ブラシ17は,整流子18に対向配
置されている。なお,図1,図11,図12において符
号150は,電機子15を空冷するために風を送り込む
ブロアー,222は冷媒ガスの返送ノズル,281は第
一冷媒タンク201及び第二冷媒タンク202を設置す
る固定台,282は固定台281を支える支柱である。
【0043】次に,図10,図11に示すごとく,上記
磁石部10は,上記電機子15の両側面に,該電機子1
5を挟み込むように対向して配設されている。図4に示
すごとく,上記磁石部10は,電機子15と同軸に配置
された架台19に固定されている。そして,図5に示す
ごとく,上記架台19は,リング形状で,表面には磁石
部10を設ける載置部191を有する。また,上記磁石
部10は,図5に示すごとく,上記電機子15の回転方
向に沿って等間隔に10個配設されている。即ち,本例
の超電導モーター1は合計20個の磁石部10を有す
る。
【0044】また,図1,図9に示すごとく最も下方に
位置する磁石部10の着磁用コイル12には,外部の電
源から,着磁用コイル12にパルス電流を供給するため
のリード線121を接続してなる。10個の着磁用コイ
ル12は,巻き方向が交互になるように直列に接続され
ている。そして,上記着磁用コイル12より,他の磁石
部10の着磁用コイル12に対して,更にリード線が延
設してある。
【0045】また,上記リード線121は図1,図9に
示すごとく,冷媒容器13に取付けられたハーメチック
シール139を介して真空容器14内に導かれ,さらに
真空容器14に取付けられたハーメチックシール149
を介して,モータ外部へ導かれる。真空容器14内のリ
ード線121は,行きと帰りの線が絶縁を保った状態で
縒り合わされている。また,外部からの熱流入を少なく
する為,適当な長さをとってループ状にたるませてあ
る。なお,図9において符号197は架台19を冷媒容
器13の内側に固定するためのネジ穴,198,199
は冷媒容器13の蓋を止めるネジ穴である。
【0046】このように,リード線121を縒り合わせ
ておくと,断線等を防止できる。即ち,着磁用コイル1
2にパルスとはいえ大電流を流すと,行きと帰りのリー
ド線の間には,反発する向きに電磁力が働きリード線1
21が真空容器14内で,大きく振動して踊り状態とな
り,断線,絶縁破壊につながる恐れがある。しかし,上
記ように,互いに縒り合わせることにより,これを抑制
することができる。また,リード線121の室温端と液
体窒素温度端との距離をある程度長くすることにより,
外部からの熱流入や真空容器14側のハーメチックシー
ル149への霜の付着が抑制できる。
【0047】次に,上記磁石部10について説明する。
図2に示すごとく,上記磁石部10は,バルク状の超電
導体11に対して,ボビン122を配置し,次に,上記
ボビン122に対して着磁用コイル12を巻回すること
により構成されている。なお,符号135は,超電導体
11を電機子15の方向へ押圧しておくバネである。
【0048】また,上記冷媒容器13は,真空容器14
内に配設されている。上記冷媒容器13には,冷媒循環
パイプ20が接続されている。図1に示すごとく,上記
冷媒循環パイプ20における送入パイプ22及び返送パ
イプ23は,架台19の背面(電機子15に対向する面
とは反対側の面)から接続されている。また,上記冷媒
130は,液体窒素である。
【0049】上記超電導体11は,円柱バルク状を呈し
ている。また,この超電導体11は,溶融法により作製
された,YBa2 Cu3 7-δの大きな結晶粒の中に微
細なY2Ba1 Cu1 5 の粒子を含有する超電導材料
よりなる。上記超電導材料の転移温度は90K程度であ
る。上記超電導体11は,図13に示すごとく,磁束1
10をトラップするピン止め点111を保有するので,
モーター用磁石体として好適である。また,上記着磁用
コイル12は断面積3mm×1.2mmの角型の銅線を
用い,これを10ターン巻いてある。
【0050】次に,冷媒循環パイプ20による,上記磁
石部10と,第一冷媒タンク201との連結状態につい
て説明する。なお,以下の説明は第一冷媒タンク201
における説明であるが,本例の超電導モーター1は,図
10に示すごとく,左右対称の構造を有しているため,
第二冷媒タンク202と他の磁石部とについても同様の
構造である。
【0051】まず,図1,図3,図7,図12に示すご
とく,上記冷媒循環パイプ20は,最も内側に送入パイ
プ22を,そのすぐ外側に返送パイプ23を,更にその
外周には,真空部210,断熱材219を介して,蛇腹
状の外筒21を設けてある(図12)。そして,送入パ
イプ22と,返送パイプ23との間には,冷媒を第一冷
媒タンク201へ返送するための中空部220を有す
る。なお,図7は上記冷媒循環パイプ20の,図3にお
けるB−B矢視断面図である。
【0052】更に,上記モーター本体100は上記冷媒
循環パイプ20と接続するためのノズル262を有して
いる。なお,上記ノズル262は冷媒容器13に対して
溶接されている。上記ノズル262と上記返送パイプ2
3とは,図1,図3に示すごとく,連結パイプ230を
介して接続されている。
【0053】即ち,ノズル262と連結パイプ230の
基端部2301とはチューブ継手26により,一方,連
結パイプ230の先端部2302と返送パイプ23と
は,後述するチューブ継手25により結合されている。
そして,上記冷媒循環パイプ20における,送入パイプ
22の先端229は,上記ノズル262内を貫通して冷
媒容器13に開口している(図2,図6)。
【0054】なお,図3において,符号200は外筒2
1をモーター本体100に接続するための連結パイプ,
231は連結パイプ230に送入パイプ22を固定する
ためのスぺーサー,261はチューブ継手26における
右ナット,291は第一冷媒タンク201と冷媒循環パ
イプ20の外筒21とをシールして連結するためのOリ
ング付きクランプ,292は同じく外筒21と連結パイ
プ200とをシールして連結するためのOリング付きク
ランプである。
【0055】上記チューブ継手25は,図8に示すごと
く,中央ブロック250とその両側に螺着する右ナット
251と左ナット252とを有し,また,これらはそれ
ぞれ,貫通穴を有する。また,右ナット251,左ナッ
ト252と中央ブロック250との間には,中央ブロッ
ク250方向に向かって尖ったリング状であるフロント
フェルール256と,バックフェルール257とが設け
られている。また,中央ブロック250の開口部は,内
方に向かって縮小するすり鉢状である。
【0056】そして,このチューブ継手25により,返
送パイプ23,連結パイプ230を連結するに当たって
は,図3,図6,図8に示すごとく,右ナット251に
は,送入パイプ22及び返送パイプ23が挿入され,該
返送パイプ23は中央ブロック250の中央突起258
に当接する。一方,左ナット252には,図3に示すご
とく,連結パイプ230が同様に挿入され,中央突起2
58に当接する。
【0057】その後,右ナット251,左ナット252
を締めることにより,フロントフェルール256とバッ
クフェルール257とが中央ブロック250側に押え付
けらる。そして,フロントフェルール256の先端が中
央ブロック250に食い込み,密着接続される。それ
故,チューブ継手25により返送パイプ23と連結パイ
プ230とが,気密的に接続できる。
【0058】また,チューブ継手26についても,上記
継手チューブ25と同様の構造であり,よって,上記ノ
ズル262,右ナット261と連結パイプ230とが気
密的に接続できる。
【0059】次に,モーター本体100から第一冷媒タ
ンク201及び第二冷媒タンク202を取り外す場合に
ついて説明する。即ち,図1,図3に示すごとく,ま
ず,返送パイプ23と外筒21との間の真空部210に
空気を導入し,常圧とする。次に,Oリング付きクラン
プ292を取り外す。
【0060】次に,ウィルソンシール296(図3)を
緩め,外側連結パイプ200をモーター本体100側に
スライドさせ,返送パイプ23と連結パイプ230との
間のチューブ継手25を露出させる(図6)。更に,図
6に示すごとく,チューブ継手25における左ナット2
52を緩め,連結パイプ230との間を分離可能な状態
にする。
【0061】次に,冷媒循環パイプ20をモーター本体
100より引き離す方向(図1,図3の右方向)にスラ
イドさせる。そして,第一冷媒タンク201,外筒2
1,返送パイプ23,送入パイプ22,中央ブロック2
50を一体にしたままの状態(図6)で,これらをモー
ター本体100より分離する。なお,第一冷媒タンク2
01及び第二冷媒タンク202の組立に当たっては,上
述の手順を分解とは逆に行えばよい。
【0062】次に,本例における作用効果につき説明す
る。本例の超電導モーター1は,送入パイプ22によ
り,冷媒容器13に液体窒素が充填される。これによ
り,磁石部10の超電導体11が冷却され,臨界温度以
下になる。また,着磁用コイル12も同様に冷却され
る。次に,パルス電流源からパルス電流120が与えら
れる(図4)。これにより,着磁用コイル12に磁場が
発生し,図13に示すごとく,上記磁場による磁束11
0が超電導体内のピン止め点111に固定される。こう
して,上記超電導体11は,磁化される。
【0063】一方,モータ駆動時には,電機子15に対
して電流源よりブラシ17と整流子18とを介して電流
が供給される。このため,電機子15の電流に対して,
超電導体11における上記磁束110によるローレンツ
力が働く。
【0064】即ち,円板状の電機子15に流れる電流の
向きは,磁石部10の数と同数の部分に分けられ,磁場
の向きに対応して同じ向きにトルクが働くように半径方
向に交互に流れる。このため,電機子15は回転し,電
機子15に接続した回転シャフト16により,外部にモ
ーター出力を取り出すことが可能になる。
【0065】なお,上記冷媒130は,冷媒容器13を
循環する間に温度が上昇し,冷媒ガスとなる。上記冷媒
ガスは返送パイプ23を通って,再び第一冷媒タンク2
01及び第二冷媒タンク202に戻っていく。
【0066】上記パルス電流120による,超電導体1
1の着磁の様子は,図4に示されている。即ち,パルス
電流120は,電機子15を挟んで向かい合う着磁用コ
イル12に対しては同方向に,電機子15の周方向に隣
接する着磁用コイル12に対しては異なる方向に流され
ている。
【0067】このため,上記パルス電流120による磁
束110は,電機子15を挟んで向かい合う超電導体1
1において,電機子15に対し垂直方向である。また,
電機子15の周方向に隣接する超電導体11において,
閉曲線を描く。従って,上記超電導体11は,着磁用コ
イル12によって,図4に図示された方向に磁化され
る。また,磁束110の方向は固定されている。このた
め,磁束110は外部に漏れない。従って,超電導体1
1に対して効率よく磁束110を固定できる。また,架
台19と架台19を取付ける冷媒容器13の取付け部分
に,Fe,Ni,Coを主成分とする強磁性合金(ヨー
ク材)を用いることにより,さらに効率よく磁束110
を超電導体11に集中できる。
【0068】また,上記パルス電流120により発生し
た磁束110は,図13に示すごとく,超電導体11内
部のピン止め点111に固定される。このため,超電導
体11に電流を流すことなく超電導体11を磁化するこ
とができる。従って,上記超電導体11にはクエンチが
発生しない。
【0069】次に,上記パルス電流120により着磁用
コイル12を流れるコイル電流の波形を図14に示す。
上記コイル電流は,その立ち上がり時間が2.5msで
ある。そして,15ms経過後には,電流は消滅してい
る。すなわち,着磁用コイル12に電流の流れる時間は
極めて短いので,ジュール熱の発生が少なく,冷媒の沸
騰が抑えられる。
【0070】上記パルス電流120によって磁化された
超電導体11の磁場は時間の経過と共に減衰する。減衰
の割合は経過時間が10倍になることにより,2〜3%
減少する。例えば1日毎にパルス電流120を着磁用コ
イル12に流すことにより,上記超電導体11は常に高
い磁束を保有し,磁場を維持することができる。
【0071】また,上記パルス電流120は外部のパル
ス電流源から供給される。よって,外部のパルス電流源
から超電導体11の磁場を操作することができる。従っ
て,パルス電源とは切り離して効率的にモーターを運転
できる。また,着磁する磁場の大きさを制御することに
よって,任意のモータ出力を得ることができる。
【0072】また,本例に用いた上記超電導体11は臨
界温度が約90Kである。従って,冷媒130として液
体窒素を用いることができる。液体窒素は価格も安く,
取扱いも容易である。このため,運転コストが低く,構
造の簡単な超電導モーター1を得ることができる。
【0073】本例の超電導モーター1においては,モー
ター本体100と第一冷媒タンク201及び第二冷媒タ
ンク202が別体となっており,これらの間は冷媒循環
パイプ20で接続されている。このため,第一冷媒タン
ク201及び第二冷媒タンクの配置に当たっての自由度
が増す。また,超電導モーター1の構造も単純となって
おり,各部のシール部材も減少している。従って,上記
超電導モーター1の分解,組立は容易である。
【0074】また,本例の冷媒循環パイプ20は二重配
管であって,内側から順に,送入パイプ22,返送パイ
プ23,真空部210,断熱材219,外筒21となっ
ている。よって,外部からの熱の大半は,真空部210
と断熱材219によって遮られ,また更に返送パイプ2
3内の冷媒ガスの混じった冷媒によっても送入パイプ2
2の断熱がとられる。
【0075】また,工具等を必要とせず,手作業で分解
組立が可能なチューブ継手25によって,連結パイプ2
30と返送パイプ23の連結を行う。また,外筒21は
蛇腹状になっており,フレキシブルで柔軟性に富んでい
る。従って,上記冷媒循環パイプ20の外部延設が可能
となり,別体の第一冷媒タンク201及び第二冷媒タン
ク201とモーター本体100との間を接続することが
できる。以上により,本例の超電導モーター1は分解,
組立が容易である。
【0076】従って,本例によれば,超電導体にクエン
チが発生する懸念がなく,分解,組立が容易で,モータ
ー効率のよい,超電導モーターを提供することができ
る。
【0077】実施例2 本例は,実施例1において示した超電導モーターのモー
ター特性について,図15〜図17を用い,説明するも
のである。
【0078】即ち,超電導モーターにおける超電導体に
着磁するには,まず着磁用コイルにパルス電流を印加す
る。上記パルス電流の印加により,着磁用コイルにはコ
イル電流が流れ,パルス磁場が発生する。このパルス磁
場により超電導体は通常の磁石と同様に,磁気を帯び
る。これにより,電機子を流れる電流が力を受け,上記
超電導モーターの回転シャフトは回転運動を行い,ここ
よりモーター出力を外部に取り出すことができる。
【0079】従って,上記回転シャフトのトルク及び回
転数を示すことによって,モーター特性を表すことがで
きる。特性の評価に当たっては,上記超電導モーターの
シャフトに,ひずみゲージ式のトルク計と負荷用モータ
をこの順に接続する。そして,上記回転シャフトのトル
クの測定に当たっては,上記トルク計によって,また,
回転数の測定は光反射式の回転計によって行う。なお,
以下の測定に当たっては,実施例1において示した超電
導モーターを用い,実施例1に示す波形のコイル電流に
よって超電導体の着磁を行い,評価を行なった。
【0080】上記パルス磁場(印加磁場)と,該パルス
磁場により駆動する超電導モーターの回転シャフトの静
止トルクとの関係を図15に示す。即ち,超電導体が磁
気的に飽和する10kOeまでは,パルス磁場の上昇と
共に,順調に静止トルクが上昇している。このため,上
記超電導モーターは,通常の永久磁石を用いたモーター
と同様に回転シャフトの回転からモーター出力を取り出
すことができる。
【0081】次に,図16に定電圧制御での,回転シャ
フトの回転数及びトルクの関係を示す。なお,上記電圧
は,図16の線図の下方に示すごとく,10Vから35
Vの範囲の電圧で行う。即ち,上記範囲内の電圧におい
て,上記超電導モーターは,通常の直流モーターと同様
に,回転数の上昇に応じてトルクの値が直線状に減少し
ている。よって,上記超電導モーターは,通常の永久磁
石を用いた直流モーターと同様に機能していることがわ
かる。
【0082】次に,図17に,上記超電導モーターを定
電流制御で,負荷を一定にして連続的に運転した場合
の,回転シャフトのトルク及び回転速度について示す。
即ち,超電導モーターの第一及び第二冷媒タンクを液体
窒素で充填し,磁石部における超電導体を超電導状態に
する。その後,パルス着磁によって超電導体を磁石化
(磁化)した後,液体窒素が蒸発し,超電導体の超電導
状態が破れるまで(図17における矢線),超電導モー
ターを駆動させる。なお,図17(a)が着磁後の時間
とトルクとの関係,図17(b)が着磁後の時間と回転
速度との関係である。
【0083】両図は共に,液体窒素が十分に存在し,超
電導体が,臨界温度以下に冷却されて超電導状態にある
間は,超電導モーターが安定して動作していることを表
している。即ち,図17(a)においては,矢線に示す
時間に至るまで,トルクはおよそ3kgfcmの値を維持
し,実施例1において述べた超電導体の磁化の減衰は,
実質的にはモータ性能にほとんど影響しないことを示し
ている。また,同様に図17(b)においても,回転シ
ャフトの回転数は,およそ3500rpmを維持してい
る。よって,上記超電導モーターは安定した連続運転が
可能である。
【0084】実施例3 本例は,図18に示すごとく,実施例1の超電導モータ
ー1において,返送パイプ23における冷媒ガスを再び
冷却し,冷媒130として再利用する方法について説明
するものである。なお本例においても,超電導モーター
1の第一冷媒タンク201についてのみ説明する。
【0085】即ち,図18に示すごとく,冷媒130は
モーター本体100の外部に設けられた第一冷媒タンク
201から供給され,送入パイプ22を通じて,磁石部
10の冷媒容器13に送られる。その後,超電導体11
を冷却することによって,上記冷媒130の温度は上昇
し,その一部がガス化し,冷媒ガスを生じる。そして,
上記冷媒ガスは返送パイプ23,返送ノズル222によ
り第一冷媒タンク201に返送される。
【0086】一方,上記第一冷媒タンク201には,冷
凍機4より延設された二本のパイプ41,42が接続さ
れている。そして,第一冷媒タンク201内の冷媒ガス
は冷凍機4へ上記パイプ41を通じて送出される。そし
て,冷凍機4において冷媒ガスは冷却され,再び液状の
冷媒130となる。その後,上記冷媒130はパイプ4
2を通じて,再度第一冷媒タンク201に戻される。即
ち,上記冷媒ガスは冷凍機4と第一冷媒タンク201の
間に循環されている。
【0087】本例によれば,第一冷媒タンク201内の
冷媒130の温度を常に一定に保持することができる。
このため,超電導体11を常に一定の温度に保冷するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における超電導モーターの右断面図。
【図2】実施例1における超電導モーターの磁石部の断
面図。
【図3】実施例1における超電導モーターの冷媒循環パ
イプの断面図。
【図4】実施例1における超電導モーターの磁石部の説
明図。
【図5】実施例1における超電導モーターの架台の背面
図。
【図6】実施例1における超電導モーターの冷媒循環パ
イプの分解説明図。
【図7】図3におけるB−B線矢視断面図。
【図8】実施例1におけるチューブ継手の断面図。
【図9】図1におけるA−A線矢視断面図。
【図10】実施例1におけるモーター本体の断面全体説
明図。
【図11】実施例1における超電導モーターのモーター
本体の斜視図。
【図12】実施例1における超電導モーターの正面図。
【図13】実施例1における超電導モーターの超電導体
の磁束ピン止め点の説明図。
【図14】実施例1における超電導モーターのコイル電
流の説明図。
【図15】実施例2における印加磁場と回転シャフトの
静止トルクとの関係を示す線図。
【図16】実施例2における回転シャフトの回転速度と
トルクとの関係を示す線図。
【図17】実施例2における超電導モーターの(a)着
磁後の時間と回転シャフトのトルクとの関係,(b)着
磁後の時間と回転シャフトの回転速度との関係を示す線
図。
【図18】実施例3における超電導モーターの要部説明
図。
【符号の説明】
1...超電導モーター, 10...磁石部, 100...モーター本体, 11...超電導体, 12...着磁用コイル, 121...リード線, 13...冷媒容器, 130...冷媒, 14...真空容器, 20...冷媒循環パイプ, 201...第一冷媒タンク, 202...第二冷媒タンク, 21...外筒, 219...断熱材, 22...送入パイプ, 23...返送パイプ, 230...連結パイプ, 25,26...チューブ継手, 262...ノズル,
フロントページの続き (72)発明者 藪野 良平 愛知県刈谷市八軒町5丁目50番地 株式会 社イムラ材料開発研究所内 (72)発明者 原田 信太郎 愛知県刈谷市八軒町5丁目50番地 株式会 社アイシンコスモス研究所内 (72)発明者 榊原 務 愛知県刈谷市八軒町5丁目50番地 株式会 社アイシンコスモス研究所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モーター本体と,冷媒貯蔵用の第一冷媒
    タンク及び第二冷媒タンクとよりなり,上記モーター本
    体は,回転シャフトに設けた電機子と,該電機子に対向
    配設した磁石部と,該磁石部及び冷媒を収容する冷媒容
    器と,該冷媒容器に連結した冷媒供給用の冷媒循環パイ
    プとよりなると共に,上記磁石部は超電導体とその周囲
    に巻回した着磁用コイルとよりなり,かつ該着磁用コイ
    ルには着磁用のパルス電流を供給するためのリード線を
    接続してなり,また上記電機子の片側に設けた冷媒容器
    は第一冷媒タンクに,一方その他側に設けた冷媒容器は
    第二冷媒タンクに,それぞれ冷媒循環パイプにより接続
    されており,かつ該冷媒循環パイプは上記第一及び第二
    冷媒タンクから各冷媒容器に冷媒を送入する送入パイプ
    と,該送入パイプの外周に間隙を置いて配置され,各冷
    媒容器からの冷媒ガスを第一及び第二冷媒タンクに返送
    するための返送パイプとよりなることを特徴とする超電
    導モーター。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記第一冷媒タンク
    及び第二冷媒タンクは,それぞれモーター本体の上部に
    配設してなることを特徴とする超電導モーター。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれか一項におい
    て,上記返送パイプの外周には,断熱材を介して蛇腹状
    の外筒を設けたことを特徴とする超電導モーター。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
    上記モーター本体は上記冷媒循環パイプと接続するノズ
    ルを有し,上記冷媒循環パイプにおける送入パイプの先
    端は上記ノズル内を貫通して冷媒容器に開口し,一方冷
    媒循環パイプの返送パイプは上記ノズルに対して着脱可
    能に装着されていることを特徴とする超電導モーター。
  5. 【請求項5】 請求項4において,上記ノズルと上記返
    送パイプとは連結パイプを介して接続され,かつそれぞ
    れの間はチューブ継手により結合されていることを特徴
    とする超電導モーター。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項において,
    上記磁石部は,上記電機子の回転方向に沿って1個又は
    複数個配設されていることを特徴とする超電導モータ
    ー。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一項において,
    上記着磁用コイルは超電導線により作製されていること
    を特徴とする超電導モーター。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか一項において,
    上記超電導体は,溶融法により,YとBaとCuの酸化
    物を含有する超電導材料によって作製されていることを
    特徴とする超電導モーター。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか一項において,
    上記冷媒は,液体窒素,液体アルゴン,液体空気,液体
    酸素,液体メタン,液体クリプトンのグループから選ば
    れる液体冷媒であることを特徴とする超電導モーター。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれか一項におい
    て,上記冷媒は,冷却されたヘリウムガス,水素ガス,
    ネオンガスのグループから選ばれる気体冷媒であること
    を特徴とする超電導モーター。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか一項におい
    て,上記冷媒容器は,真空容器内に配設されていること
    を特徴とする超電導モーター。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか一項におい
    て,上記リード線は互いにらせん状に縒り合わされてい
    ることを特徴とする超電導モーター。
  13. 【請求項13】 請求項1〜9,11,12のいずれか
    一項において,上記冷媒タンクへ返送された冷媒ガス
    は,冷凍機により冷却されて,該冷凍機と上記冷媒タン
    クとの間に循環されていることを特徴とする超電導モー
    ター。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれか一項におい
    て,上記リード線は,上記冷媒循環パイプ内において配
    線されていることを特徴とする超電導モーター。
JP20925394A 1993-09-15 1994-08-09 超電導モーター Pending JPH0851762A (ja)

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US08/304,214 US5581135A (en) 1993-09-15 1994-09-12 Superconducting motor
DE69407009T DE69407009T2 (de) 1993-09-15 1994-09-14 Supraleitender Motor
AT94114458T ATE160656T1 (de) 1993-09-15 1994-09-14 Supraleitender motor
EP94114458A EP0643471B1 (en) 1993-09-15 1994-09-14 Superconducting motor

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1261118A1 (en) * 2001-05-15 2002-11-27 General Electric Company Cryogenic cooling system for rotor having a high temperature super-conducting field winding
JP2012139099A (ja) * 2012-04-16 2012-07-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 超電導モータ

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