JPH08511690A - プログラムされた細胞死遺伝子及びタンパク質 - Google Patents

プログラムされた細胞死遺伝子及びタンパク質

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JPH08511690A JP7502896A JP50289695A JPH08511690A JP H08511690 A JPH08511690 A JP H08511690A JP 7502896 A JP7502896 A JP 7502896A JP 50289695 A JP50289695 A JP 50289695A JP H08511690 A JPH08511690 A JP H08511690A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、プログラムされた細胞死の調節に関わる遺伝子、このような遺伝子によってコードされたタンパク質及び細胞死遺伝子産物の活性を調節することによるプログラムされた細胞死の制御の方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 発明の名称 プログラムされた細胞死遺伝子及びタンパク質 発明の背景米国政府の支援の研究開発の下になされた発明に係る権利についての陳述 本発明の開発の間に行った研究の一部は米国政府基金を利用した。米国政府は 本発明において一定の権利を有する。関連出願についての説明 本発明は、1993年6月24日に出願された米国特許出願第08/080, 580号の一部継続出願である。発明の分野 本発明は、プログラムされた細胞死の制御に関連する分子生物学の分野に属す る。背景技術の記載 細胞死は、組織の恒常性(homeostasis)及び老化と同様、動物の成長の正常 な局面として起こる[グルックスマン(Glucksmann),A.,バイオロジカル・ レビュー・オブ・ケンブリッジ・フィロソフィカル・ソサエティー(Biol.Rev .Cambridge.Philos.Soc.),26巻,59〜86頁,(1950年);エリ ス(Ellis)ら,Dev.,112巻,591〜603頁,(1991年)]。天然 に起こる細胞死は、細胞数を調節し、形態形成を促進し、有害な又はそうでなく ても異常な細胞を除去し、及びその働きをすでに行い終えた細胞をなくすよう作 用する。そのような細胞死は、プログラムされた細胞死、又はアポプトシス(ap optosis)と呼ばれる細胞内因性の自殺メカニズムにより行われる[ワイリー(W yl lie),A.H.,生物学及び病理学における細胞死(Cell Death in Biology and Pathology),ボーエン(Bowen)及びロックスキン(Lockshin)編.,Chapman a nd Hall(1981),9−34頁]。内部の又は外部のシグナルのいずれかの結果 として、細胞がこの内部にコードされた自殺プログラムを活性化するとプログラ ムされた細胞死又はアポプトシスは起こる。アポプトシスの形態学的な特徴には 血漿膜ブレッビング(blebbing)、核質及び細胞質の凝縮、及びヌクレオソーム 間の間欠期での染色体DNAの分解が含まれる。[ワイリー(Wyllie),A.H., 生物学及び病理学における細胞死(Cell Death in Biology and Pathology), ボーエン(Bowen)及びロックスキン(Lockshin)編.,Chapman and Hall(1981) ,9−34頁]。細胞死はRNA又はタンパク質合成の阻害剤によって防止し得 るので、多くの場合、遺伝子の発現がプログラムされた細胞死に必要であるよう である[コーエン(Cohen)ら,ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol. ),32巻,38〜42頁(1984年);スタニシック(Stanisic)ら,Inve st.Urol.,16巻,19〜22頁(1978年);マーチン(Martin)ら,ジ ャーナル・オブ・セル・バイオロジー(J.Cell.Biol.),106巻,829〜 844頁(1988年)]。 プログラムされた細胞死の遺伝的制御は線虫C.エレガンスにおけるプログラ ムされた細胞死に関する研究によってよく解明されている。プログラムされた細 胞死はC.エレガンスの成育の間に特徴的で広範囲にわたっている。半陰陽体の 成育の間に形成された1090の体細胞の内、131がプログラムされた細胞死 を受けた。ノマルスキー顕微鏡で観察すると、これら死亡細胞の形態学的な変化 は特徴的な配列に従う。[サルストン(Sulston)ら,デベロップメンタル・バ イオロジー(Dev.Biol.),82巻,110〜156頁,(1977年);サル ストン(Sulston)ら,デベロップメンタル・バイオロジー(Dev.Biol.),1 00巻,64〜119頁,(1983年)]。この線虫におけるプログラムされ た細胞死の遺伝経路の種々の段階において機能する14の遺伝子が確認された[ ヘッジコック(Hedgecock)ら,サイエンス(Science),220巻,1277〜 1280頁,(1983年);エリス(Ellis)ら,セル(Cell),44巻, 817〜829頁,(1986年);エリス(Ellis)ら,Dev.,112巻,5 91〜603頁,(1991年);エリス(Ellis)ら,ジェネティックス(Gen etics),112巻,591〜603頁,(1991年b);ヘンガートナー(H engartner)ら,ネイチャー(Nature),356巻,494〜499頁,(19 92年);エリス(Ellis)ら,Dev.,112巻,591〜603頁,(199 1年)]。これら遺伝子の内の2つ、ced−3及びced−4は細胞死プログ ラムの開始又は実行のいずれかにおいて重要な役割を担っている。これら遺伝子 における劣性変異はC.エレガンスの成育の間に通常に起こるすべての細胞死を ほとんど防止する。細胞死を起こすced−3及びced−4が細胞死を起こす という意見についてのさらなる支持は、モザイクの遺伝分析から導かれる。[ヤ ン(Yuan)ら,デベロップメンタル・バイオロジー(Dev.Biol.),138巻, 33〜41頁(1990年)]。ced−4遺伝子は主として胚形成の間に発現 される新規のタンパク質をコードし、この間の期間にプログラムされた細胞死が 最もよく起こる[ヤン(Yuan)ら,Dev.,116巻,309〜320頁(199 2年)]。 ced−9における機能獲得の変異は正常なプログラムされた細胞死を防止す るが、一方ced−9を不活性化する変異は死の原因となり、ced−9がプロ グラムされた細胞死を普通受けない細胞において、プログラムされた細胞死遺伝 子を抑制することにより作用し得ることを示唆している[ヘンガートナー(Heng artner),M.ら,ネイチャー(Nature),356巻,494〜499頁,(19 92年)]。ced−9遺伝子は哺乳類の初期オンコジーン及び細胞死抑制因子 bcl−2と類似の配列を共有するタンパク質生成物をコードする[ヘンガート ナー(Hengartner),M.ら,セル(Cell),76巻,665〜676頁,(19 94年)]。ced−9機能喪失変異の致死性はced−3及びced−4にお ける変異により抑制することができ、ced−9はced−3及びced−4の 活性を抑制することによって作用することを示す。遺伝学的モザイク分析はce d−3及びced−4が死亡細胞内で細胞自律性の様態で作用しやすいことを示 し、それらが細胞毒性タンパク質であり、及び/又はプログラムされた細胞死 の過程において、特定の細胞毒性タンパク質を制御し得ることを示唆している[ ヤン(Yuan)ら,デベロップメンタル・バイオロジー(Dev.Biol.),138巻 ,33〜41頁(1990年)]。cDNA及びゲノムクローンから推定された ced−4タンパク質の549アミノ酸配列は、EF−ハンドとして知られてい るカルシウム結合ドメインに類似する2つの領域を含んでいる[クレツィンガー (Kretsinger),(1987年)];しかし、カルシウムがced−4又はC. エレガンスにおけるプログラムされた細胞死の制御において役割を担っているか どうかは、現在のところ、未だに明確ではない。 発明の要約 本発明において、ced−3遺伝子がクローンされ、配列決定され、この遺伝 子によりコードされたタンパク質のアミノ酸配列が開示されている。ced−3 遺伝子の構造分析は、それが酵素インターロイキン−1β変換酵素(「ICE」 )に類似するということ、及びネズミインターロイキン−1β変換酵素(「mI CE」)の過剰発現が脊椎動物細胞のプログラムされた細胞死を引き起こすとい うことを示した。これらの結果に基づいて、ICEの活性を制御することによる 脊椎動物のプログラムされた細胞死の制御のための新規方法が特許請求される。 ced−3タンパク質のアミノ酸配列はまた、別のネズミタンパク質、ned d−2とも類似しており、このタンパク質は初期の胚の脳発生時、多くの細胞が 死ぬ期間に検出される。この結果はced−3、mICE及びnedd−2がプ ログラムされた細胞死を引き起こすように機能する遺伝子ファミリーの構成員で あることを示唆している。 新しい細胞死遺伝子、mICE2はced−3、mICE及びnedd−2と 同じファミリーであることが発見された。mICE2は、脊椎動物の胸腺及び胎 盤細胞において優先的に発現されるという点において、以前に同定された他の細 胞死遺伝子と区別される。したがって、本発明はまた、胸腺及び胎盤細胞におい て優先的に発現され、プログラムされた細胞死を引き起こすタンパク質をコード する新たに発見された遺伝子、mICE2に関する。 ced−3、mICE、ヒトICE、nedd−2及びmICE2のヌクレオ チド配列の比較は、ファミリーのすべての構成員がはプログラムされた細胞死を 促進する遺伝子ファミリーの構成員の一部であることを示している。このファミ リーの同定は新たに発見された細胞死遺伝子ce−ed 3相同体(om olog)(Ich−1)の単離を容易にした。Ich−1は前記の他の細胞死 遺伝子、特にnedd2と相同である。その構造及び細胞死遺伝子の活性中心の QACRG配列の特徴の存在に基づいて、Ich−1はced−3/ICEファ ミリーの新たな構成員であると同定された。したがって、本発明はIch−1遺 伝子配列及びIch−1タンパク質の両方に関する。Ich−1を発現するベク ター及びこのようなベクターで形質転換された宿主細胞もまた含まれる。選択的 スプライシングは2種の別個のIch−1mRNAを生じる。したがって、本発 明にはこれらの種、これらの種から産生されるタンパク質、この遺伝子を含み発 現するベクター、及びここに記載した使用も含まれる。 発明者はまた、ICE/ced−3ファミリーの新たな構成員、Ice−4も 同定した。Ice−4は少なくとも2つの選択的スプライシング生成物である。 マウス胸腺cDNAライブラリー由来の内、1方の全長のcDNAが決定された 。これは418アミノ酸のタンパク質をコードし、このタンパク質は38%がネ ズミのICEと同一であり、42%がネズミのIce−2と同一であり、25% がネズミIch−1と同一であって、24%がC.エレガンスced−3と同一 である。 したがって、本発明はced−3、mICE2、Ich−1、及びIce−4 をコードする遺伝子配列を有するゲノムの又はcDNAの核酸に関するものであ る。本発明はまた、このような遺伝子配列を含むベクター及び発現ベクター、こ のようなベクター及び発現ベクターで形質転換された宿主細胞、このような宿主 /ベクター系において産出された組み換え核酸及びタンパク質、及びこれら組み 換えタンパク質の機能的誘導体をも提供する。細胞死を促進するために単離され た遺伝子又はタンパク質の使用もまた、本発明の一部である。 本発明はまた、インターロイキン−1β変換酵素「ICE」の活性を調節する ことによる脊椎動物細胞のプログラムされた細胞死を制御する方法に関する。こ のような調節は酵素の活性を阻害するという形をとり得る。例えば、細胞死を防 止するためにcrmAのような特定のアンチプロテアーゼを使用する。この方法 により、長期間又は無期限に培地中で成育し続け得る細胞系の開発が可能になろ う。ある細胞は成長因子の存在下で成育すれば単に培地に維持される。細胞死を 防御することによって、このような細胞を成長因子から独立させることが可能で ある。若しくは、細胞死を促進するためにICE活性を高め得る。このような高 められた活性は、bcl−2のようなオンコジーンの効果を拮抗させるために癌 細胞において使用し得る。 図面の簡単な説明 第1図及び第1A図: 第4染色体上のced−3領域の遺伝地図及び物理的地図 第1図は、地図の下にその領域が示されているコスミドクローンについてのc ed−3近傍領域のC.エレガンスの遺伝地図を示す。nP33、nP34、n P35、nP36及びnP37はBristolとBergerac野生タイプC.エレガンス 株間の制限断片長の多型(RFPL)である。C43C9、W07H6及びC4 8D1はced−3(n717)動物のced表現型の救済(rescue)について 試験した3つのコスミドクローンである。ced−3変異株を救済するそれぞれ のコスミドクローンの能力及び独立に得られた救済されたトランスジェニックラ イン(transgenic line)の画分を図の右に示す(+,救済;−,非救済;デー タについては本文参照)。結果はced−3がコスミドC48D1中に含まれて いることを示している。 第1A図は、C48D1サブクローンの制限地図である。C48D1はBam HIで消化され、自己連結してサブクローンC48D1−28を生じる。C48 D1−43、pJ40及びpJ107はBglIIによるC48D1−28の部分 的消化によって生じる。pJ7.5及びpJ7.4はpJ107のExoIII削 除により生じた。これらのサブクローンをced−3(n717)動物のced 表現型の救済について分析した(+,救済;−,非救済;−/+,弱い救済)。 括弧内の番号は独立して得られた救済されたトランスジェニックラインの画分を 示している。ced−3変異表現型を完全に救済する最も短い断片は、7.5k bpJ7.5サブクローンであった。 第2図、第2A(i)図〜第2A(v)図,第2B図及び第2C図:ced−3のゲノム構成、ヌクレオチド配列、及び推定されるアミノ酸配列 第2図は、プラスミドpJ107から得られたced−3領域のゲノム配列を 示している。ced−3タンパク質の推定されるアミノ酸配列はced−3cD NApJ87のDNA配列及び本文中と実験方法に記載された他の実験に基づい ている。pJ87の5'末端は25kbのポリ−A/T配列(図示していない) を含んでおり、これはゲノム配列には存在していないのでこれは恐らくクローニ ングの人工物であろう。翻訳の開始部位と思われる部位が鏃印で記されている。 ced−3転写物のSLIスプライス受容体部位を四角で囲っている。12のc ed−3変異の位置が示されている。反復エレメントが関連する配列の上に矢印 で示されている。左の番号はヌクレオチドの位置を示しており、pJ107の開 始点で始まっている。アミノ酸配列の下の番号はコドンの位置を示している。5 つのタイプの不完全な反復がみられる;反復1はfem−1[スペンス(Spence )ら,セル(Cell),60巻,981〜990頁,(1990年)]、及びhl h−1[クラウゼ(Krause)ら,セル(Cell),63巻,907〜919頁,( 1990年)]にもみられる;反復2は新規である;反復3はlin−12及び fem−1にもみられる;反復4はlin−12にもみられる;反復5は新規で ある。図の横の番号はヌクレオチドの位置を示しており、pJ107の開始点で 始まる。アミノ酸配列の下の番号はコドンの位置を示している。 第2A(i)図−第2A(iv)図は、ced−3の反復エレメントの、遺伝 子ced−3、fem−1、hlh−1、lin−12、glp−1及びコスミ ドB0303及びZK643の反復エレメントとの比較である(参考文献は本文 を参照)。逆転した反復の場合は反復の各枝(「for」又は「rev」はそれ ぞれ「前方向」又は「逆方向」である)をその相手双方と及び他の反復の個々の 枝と比較する。2A(i):反復1;2A(ii):反復2;2A(iii): 反復3;2A(iv):反復4;及び2A(v):反復5。比較されている種々 のced−3配列は同じ反復エレメントの異なる反復である。「1a」、「1b 」などの番号は同じ種類の反復エレメントの組の異なった反復である。 第2B図は、分析した12のced−3変異体の位置及びced−3遺伝子の イントロン(線)及びエクソン(箱)の位置を示している。セリンに富む領域、 トランス−スプライスリーダー(SL1)、翻訳開始と思われる部位(ATG) 及びポリアデニル化(AAA)部位もまた示されている。 第2C図は、プラスミドpJ87から得られるced−3のcDNA配列及び 推定アミノ酸配列を示している。 第3図及び第3A図: ced−3タンパク質の構造 第3図は、ced−3の構造の特徴とヒトインターロイキン−1β変換酵素( ICE)遺伝子の構造の特徴との比較を示している。ICEプロ酵素及びced −3に対応する推定タンパク質が示されている。ICEの活性部位及びced− 3の推定活性部位を黒の長方形で示している。プロセシングされたICEサブユ ニットの側面に配置したフランキングのICEの4つの既知の開裂部位(ICE が精製されたとき少量検出されたp24[ソーンベリー(Thornberry)ら,19 92年]、p20、p10)、及びced−3タンパク質の2つの保存された推 定開裂部位は実線で示し、点線でつないでいる。ced−3タンパク質の可能性 のある別の5つの開裂部位は断続線で示す。可能性のある開裂部位上のアスパル テート残基(D)の位置はそれぞれの図の下に示す。 第3A図は、C.エレガンス、C.ブリグサエ(briggsae)、C.ブルガリス (vulgaris)由来のced−3タンパク質及びヒト及びマウスICE及びマウス nedd−2タンパク質のアミノ酸配列の比較である。アミノ酸の番号が各タン パク質の右に記されている。断続線は最適にアライン(align)するための配列 のギャップを示す。タンパク質の半数以上に保存されている残基は四角で囲んで いる。ミスセンスced−3変異は比較ブロックの上に示し、変異ced−3タ ンパク質の残基及び対立遺伝子名を示している。星印は、ced−3の可能性の あるアスパルテート自己開裂部位を示している。丸印はヒトICE中の既知のア スパルテート自己開裂部位を示している。太字で示した残基はICEの活性シス テインを含む、高度に保存されたペンタポリペプリドに対応している。 第4図:mICE−lacZびced−3−lacZ融合遺伝子の発現カセットの構築 第4図は、ICE及びced−3遺伝子発現の細胞内効果の研究に使用する幾 つかの発現カセットを示している。カセットは以下の通りである:pβactM 10ZはE.coli lacZ遺伝子に融合した元のままのmICE(mIC E−lacZ)を含む。pβactM11Zは、E.coli lacZ遺伝子 に融合したmICEのP20及びP10サブユニット(P20/P10−lac Z)を含む。pβactM19Zは、E.coli lacZ遺伝子に融合した mICEのP20サブユニット(P20−lacZ)を含む。pβactM12 Zは、E.coli lacZ遺伝子に融合したmICEのP10サブユニット (P10−lacZ)を含む。pβactced38Zは、lacZ遺伝子に融 合したC.エレガンスced−3遺伝子(ced−3−lacZ)を含む。pJ 485及びpβactced37Zは、mICE及びced−3それぞれの活性 領域のペンタペプチド「QACRG」上のGlyからSerへの変異を含む。p βactM17Zは、mICEの、活性領域のペンタペプチド「QACRG」上 のCysからGlyへの変異を含む。pactβgal’は調節プラスミドであ る[マエカワ(Maekawa)ら,オンコジーン(Oncogene),6巻,627〜63 2頁,(1991年)]。すべてのプラスミドはβ−アクチンプロモーターを使 用する。 第5図:線虫C.エレガンス及び脊椎動物におけるプログラムされた細胞死の遺伝経路 脊椎動物においては、bcl−2はICEの活性を阻止することによりプログ ラムされた細胞死を防止する。酵素学的に活性なICEは脊椎動物の細胞死を引 き起こす。C.エレガンスにおいては、ced−9はced−3/ced−4の 作用を阻止する。活性なced−3は活性なced−4と共に細胞死を引き起こ す。 第6図: mICE2 cDNA配列及び推定アミノ酸配列 第6図は、mICE2 cDNA配列のヌクレオチド配列及びそれから推定さ れるアミノ酸配列を示している。 第7図及び第7A図: mICE2アミノ酸配列 第7図及び第7A図は、ネズミインターロイキン−1β変換酵素(mICE1 )、ヒトインターロイキン−1β変換酵素(hICE)、mICE2及びced −3のアミノ酸配列の比較である。 第8図: Ich−1 cDNA配列及び推定アミノ酸配列 第8図は、Ich−1 cDNA配列のヌクレオチド配列及びそれから推定さ れるアミノ酸を示している。 第9図: マウスnedd2 cDNAにおける可能性のあるQACRGコード領域 クンマー(Kumer)ら[バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサー チ・コミュニケーションズ(Biochem.& Biophys.Res.Comm.),185巻, 1155〜1161頁,(1992年)]によって提案された読み取りフレーム はbである。読み取りフレームaにおいて可能性のあるQACRGコード領域に 下線を引いている。 第10図−第10C図: マウスnedd2とIch−1 cDNA配列の比較 第10図−第10C図は、マウスnedd2 cDNA配列(上)とIch− 1 cDNA配列(下)の比較である。nedd2のコード領域は塩基対117 7で始まっている。 第11図及び第11A図: ced−3、ICE及びIch−1のアミノ酸配列の比較 第11図は、ced−3とIch−1のアミノ酸配列の比較である。配列の間 で52%が類似であり、28%が同一である。 第11A図は、ICEとIch−1のアミノ酸配列の比較である。配列の間で 52%が類似であり、27%が同一である。 第12A図:Ich−1LのcDNA配列及びIch−1Lタンパク質生成物の推定アミノ酸配 推定活性領域に下線を引いている。 第12B図:Ich−1SのcDNA配列及びIch−1Sタンパク質生成物の推定アミノ酸配 イントロン配列に下線を引いている。 第13図: Ich−1L及びIch−1Sの模式図 第14図: Ich−1タンパク質配列とマウスnedd−2タンパク質、ヒトインターロ イキン−1β変換酵素(ICE)タンパク質及びC.エレガンスced−3タン パク質との比較。アミノ酸の番号を各配列の右に記している。Ich−1タンパ ク質と同一のnedd−2、ice及びced−3の残基を強調している。 第15図:血清除去により誘発されたRat−1細胞を妨害するIch−1Sの安定な発現 bcl−2、crmA又はIch−1sを発現するRat−1細胞の安定なト ランスフェクト体を実験方法に記載されているように調製した。Ich−1S陽 性及びIch−1S陰性両方の独立したクローンを使用した。時間0において、 対数増殖している細胞を血清−DMEMで洗浄し、トリパンブルー染色により、 死細胞を時間にわたって計数した。 第16図: cDNA配列及び推定Ice−4タンパク質配列 推定の最初のメチオニンを点で記している。 第17図:Ice−4のアミノ酸配列とICE、Ice−2、Ich−1及びced−3ア ミノ酸配列との比較 定 義 以下の記載において、組み換えDNA(rDNA)技術又はプログラムされた 細胞死の研究領域において使用される多くの用語を広く利用する。記載されるこ れらの用語の範囲を含め、明細書及びクレームの理解を明確且つ一貫させるため に、以下の通り定義する。遺伝子. RNAポリメラーゼのための鋳型を含むDNA配列。遺伝子から転写されたR NAはタンパク質をコードするか又は、しないこともある。タンパク質をコード するRNAはメッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれる。 「相補的DNA」又は「cDNA」遺伝子はmRNAの逆転写により合成され た組み換え遺伝子を包含し、この遺伝子から介在配列(イントロン)は除去され ている。クローニングベクター. 宿主細胞において自律的に複製することができるプラスミド又はファージDN A又は他のDNA配列であり、これは1つ又は少数のエンドヌクレアーゼ認識部 位によって特徴づけられ、この部位でこのようなDNA配列は、測定可能な様態 でビヒクルの本質的な生物学的機能を損なうことなく切断され、DNAがその複 製及びクローニングを起こすために、この中にスプライスされ得る。クローニン グベクターはクローニングビヒクルで形質転換された細胞の同定に使用するのに 適当なマーカーをさらに含み得る。マーカーは、例えばテトラサイクリン又はア ンピシリン耐性である。「クローニングビヒクル」なる用語を時々「クローニン グベクター」に対して用いる。発現ベクター. クローニングベクターに類似するが、宿主中に形質転換した後、そのベクター 中にクローンされた遺伝子の発現が可能であるベクターである。クローンされた 遺伝子は普通、プロモーター配列のような、ある制御配列の制御下におかれる( 即ち、機能するように連結する)。制御配列はベクターが機能するように連結し た遺伝子を原核においてか又は真核宿主において発現するようデザインされてい るかによって変更し、エンハンサーエレメント、終止配列、組織特異性エレメン ト、 及び/又は翻訳開始及び終了部位などの特定の転写エレメントをさらに含み得る 。プログラムされた細胞死. 細胞死が遺伝的にプログラムされている過程である。プログラムされた細胞死 により微生物は、成育の目的に適ってはいるがもはや有益でない細胞を除くこと が可能である。機能的誘導体. mICE2、Ich−1(Ich−1L及びIch−1s)、又はIce−4 の「機能的誘導体」は、非組み換え体の生物学的活性と実質的に類似する生物学 的活性を有するタンパク質である。機能的誘導体が共有結合した炭水化物のよう な翻訳後の修飾を含み得るか又は含み得ないかは、特定の機能を発揮するための このような修飾の必要性に依存している。「機能的誘導体」なる用語は分子の「 断片」、「変異体」、「アナログ」、又は「化学的誘導体」を包含することを意 図するものである。断片. 「断片」はペプチドコア又はペプチドコアの変異体のような分子の変異体を意 味する。 好ましい態様の詳細な説明 記 述 本発明は、特にC.エレガンスのced−3タンパク質、mICE2、Ich −1、及びIce−4をコードする単離されたDNAに関する。本発明はまた、 ced−3、mICE−2、Ich−1、及びIce−4のcDNA配列を有す る核酸を包含する。本発明はまた、過度の実験を要することなく単離できる、他 の種の関連した配列を包含する。完全長のゲノム及びcDNA遺伝子から得られ た特許請求の範囲に記載された配列及び断片の些細な変化は本発明に同様に包含 されるということは認められよう。本発明はまた、ced−3、Ich−1、及 びIce−4由来のタンパク質配列をも包含する。Ich−1はIch−1S及 びIch−1Lを意味しているということは理解されよう。 ced−3 ced−3をコードする特許請求の範囲に記載された遺伝子のゲノム配列は第 2図に示されている。この遺伝子は長さが7,656塩基対であり、54塩基対 から1,195塩基対の範囲の7つのイントロンを含む。5’配列からSTAR Tコドンまでと同様に最も長い4つのイントロンは反復エレメントを含み、その 幾つかは、fem−1[スペンス(Spence)ら,セル(Cell),60巻,981 〜990頁,(1990年)]及びhlh−1[クラウゼ(Krause)ら,セル( Cell),63巻,907〜919頁,(1990年)]のような他のC.エレガ ンス遺伝子の非コード領域中で既にキャラクタライズされている。ced−3に おける反復エレメントと既にキャラクタライズされている反復エレメントとの比 較は第2A(i)図一第2A(v)図に示されている。ced−3タンパク質の STARTコドンは第2図に示したゲノム配列の2232の位置のメチオニンで ある。 ced−3のcDNA配列を第2C図に示した。このcDNAは長さが2,4 82塩基対であり、503アミノ酸をコードする読み取りフレーム及び3’非翻 訳配列の953塩基対を有する。3’配列の最後の380塩基対はced−3タ ンパク質の発現には必須ではない。 C.エレガンス由来のced−3のゲノム及びcDNA配列を包含することに 加えて、本発明はまた、過度の実験を要することなく単離し得る他の線虫種の関 連する配列をも包含する。例えば、本発明者はC.ブリグサエ及びC.ブルガリ ス由来のced−3遺伝子はC.エレガンス由来のced−3cDNAをプロー ブとして用いて単離し得ることを証明した(実施例1参照)。 本発明はまた、ced−3遺伝子由来のタンパク質生成物、変異遺伝子、誘導 体、及び関連する配列も包含する。DNA配列から推定されたように、ced− 3タンパク質は長さが503アミノ酸であり、約100アミノ酸のセリンに富む 中間領域を含む。特許請求の範囲に記載されたced−3タンパク質を含んでな るアミノ酸配列は第2図及び第2C図に示されている。C.エレガンスのced −3タンパク質と、関連する線虫C.ブリグサエ及びC.ブルガリス種由来の推 定されたced−3タンパク質配列との比較は、セリンに富まない領域は高度に 保存され、セリンに富む領域はより変化しやすいことを示している。ced−3 タンパク質のセリンに富まない部分はまた、インターロイキン−1β変換酵素( ICE)、IL−1βの不活性31kD前駆体を開裂させて活性サイトカインを 生じ得るシステインプロテアーゼと相同でもある[セレッチ(Cerretti)ら,サ イエンス(Science),256巻,97〜100頁,(1992年);ソーンベ リーら,ネイチャー(Nature),356巻,768〜774頁,(1992年) ]。ced−3及びICEタンパク質両方のC−末端部分はマウスnedd−2 タンパク質に類似しており、このタンパク質はマウスの胚の脳発生時に発現され 、成体の脳においては減少調節されるmRNAによってコードされる。[クンマ ーら,バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーシ ョンズ(Biochem.& Biophys.Res.Comm.)185巻,1155〜1161頁 ,(1992年)]。この結果は、C.エレガンスのプログラムされた細胞死の 開始の制御において、システインプロテアーゼとしてced−3が作用している こと、及びced−3/ICE/nedd−2遺伝子ファミリーの構成員が広範 囲の種のプログラムされた細胞死において作用しているということを示唆してい る。 mICE−2 mICE2のcDNA配列及び推定アミノ酸配列は第6図に示されている。予 想通り、mICE2は、C.エレガンスced−3と同様、ヒト及びネズミIC Eの両方に対して相同性を示している(第7図及び第7A図参照)。同定されて いる他の細胞死遺伝子と対照的に、mICE2は胸腺及び胎盤において優先的 に発現される。実施例3は低ストリンジェンシー(stringency)条件下でヒトI CEから得たDNAプローブによるマウス胸腺cDNAライブラリーのスクリー ニングによって遺伝子が如何にして得られたかについて記載している。アミノ酸 配列及びcDNA配列は第6図に示し、mICE2遺伝子(ゲノム又はcDNA のいずれか)を得る好ましい方法は以下に記載する。 Ich−1 nedd2、ICE、mICE2及びced−3はすべて同一の遺伝子ファミ リーの構成員である。このことは、新しい遺伝子が、同定されたファミリーの構 成員に対するそれら遺伝子の相同性に基づいて単離され得るということを示唆し た。 nedd2は初期の胚の脳発生時に優先的に発現されるマウス遺伝子である[ クンマーら,バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニ ケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Comm.)185巻,1155〜1161 頁,(1992年)]。多くのニューロンが初期の脳の発達の間に死ぬため、n edd−2遺伝子は細胞死遺伝子である可能性がある。 Ich−1は長さが2492塩基対であり、441アミノ酸の読み取りフレー ムを含む(第8図)。Ich−1のC−末端の130アミノ酸は87%以上がマ ウスnedd2と同一である。しかし、Ich−1ははるかに長い読み取りフレ ームを含み、ced−3/ICEファミリーのタンパク質の活性中心であるペン タペプチドQACRGを有する。この結果はクンマーによって単離されたcDN Aは完全にプロセシングされたmRNAから合成されなかったということ、また nedd2cDNAに関してクンマーが報告した5’1147塩基対は実際には イントロンの配列を表し得ることを示している。クンマーによて報告された配列 はQACRGを潜在的にコードできる領域を含むが、これらのアミノ酸はクンマ ーによって示されたフレームとは異なる読み取りフレーム内でコードされている (第9図)。これは配列決定においてクンマーが誤っていたことを示唆する。 nedd2及びn37のコード領域は高い相同性を有する(第10図)。推定 n37タンパク質のアミノ酸配列はced−3と同一の配列を28%、ICEと 同一の配列を27%共有する(第11図)。n37タンパク質はIch−1と命 名された。 Ich−1mRNAは2つの異なる形に選択的にスプライスされる。一方のm RNA種はIch−1Lと呼ばれ、435アミノ酸のタンパク質生成物をコード し、ced−3全タンパク質と同様、これはICEのP20及びP10サブユニ ットの両方に相同なアミノ酸配列を含む。他方のmRNAはIch−1Sと呼ば れ、Ich−1タンパク質の短縮形の312アミノ酸をコードし、Ich−1の QA1RG活性領域の後の21アミノ酸残基で終結する。Ich−1L及びIc h−1Sの発現は細胞死に逆の効果を有する。Ich−1Lの過剰発現はRat− 1繊維芽細胞の培地における死を誘発するのに対し、Ich−1sの過剰発現は 血清喪失によって誘発されたRat−1細胞死を抑止する。この結果は脊椎動物 のプログラムされた細胞死の正及び負の両方の調節においてIch−1が重要な 役割を担っていることを示唆する。 Ice−4 Ice−4はICE及び他の単離されたICEホモローグとのその配列相同性 に基づいて同定された。PCRにより単離されたIce−4クローンはIce− 4タンパク質のC−末端側半分をコードする領域のみを含むので、マウス胸腺c DNAライブラリーがIce−4挿入物を用いてスクリーニングされた。200 万のクローンをスクリーニングし、9つのポジティブなクローンを単離した。 この配列は、Ice−4遺伝子の完全なコード領域を含む1つのクローンに由 来する。 作成方法 ced−3 当業者によく知られ、ced−3遺伝子を得るのに用いられ得る、遺伝子をク ローンする多くの標準的な方法がある(例えば、サンブルーク(Sambrook)ら著 ,「モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning),実験室マニュアル(a Laboratory Manual)」,第2版,1−3巻,コールド・スプリング・ハーバー ・ラボラトリー・プレス,1989年を参照)。実施例1では、詳細な説明が2 つの好ましい方法について提供されている。第1の好ましい方法はced−3遺 伝子配列情報の利用可能性は必要でなく、ラフクン(Ruvkun)ら[ケノルハルデ ィティス・エレガンス異形染色体遺伝子lin−14の分子遺伝(Molecular Ge netics of Caenorhabditis Elegans Heterochromic Gene lin-14)121:50 1〜516頁(1988年)]によって記載された方法に基づく。簡潔に言えば 、線虫のブリストール(Bristol)及びバージェラック(Bergerac)株を交雑(c ross)させ、制限断片長の多型マッピングを近交系を生じるDNA上で行う。c ed−3に接近して連結している制限断片を同定し、次いで、ced−3遺伝子 のすべて又は一部を運ぶコスミドについてのコスミドライブラリーをスクリーン するためにプローブとして使用する。陽性のコスミドをced−3が変異してい る線虫株に注入する。活性なced−3遺伝子を有するコスミドはced−3変 異表現型を救済するこれらの能力によって同定される。 ced−3遺伝子クローニングの第2の方法は、ここに開示された配列の情報 によるものである。特にDNAプローブはC.エレガンスのced−3遺伝子の 配列に基づいて構築される。これらのプローブは標識され、線虫又は他の種由来 のDNAライブラリーをスクリーンするのに用いる。このようなクローニング及 びスクリーニングを実行するための方法は当業者にはよく知られており、mIC E2、Ich−1、及びIce−4のクローニング及び発現に関連して以下によ り完全に記載する(例えば、サンブルーク(Sambrook)ら著,「モレキュラー・ クローニング(Molecular Cloning),実験室マニュアル(a Laboratory Manual )」,第2版,1988年を参照)。高ストリジェンシー条件下でハイブリダイ ゼーションを行う場合、プローブの配列に正確に対応している配列を含む遺伝子 が同定される。この方法では、本発明者によってここに記載された正確に同一の 配 列を得ることができる。若しくは、ced−3遺伝子に相同であるが構造上の変 化を含む他の種の遺伝子の同定のために低ストリジェンシー条件下でハイブリダ イゼーションを行い得る(実施例1の、このようなハイブリダイゼーションをC .ブリグサエ及びC.ブルガリス由来のced−3遺伝子を得るために如何にし て用いるかについての説明を参照)。 実施例2の結果は、低いレベルで発現されるときには細胞死遺伝子の産物が細 胞により許容され得るということを示している。従って、ced−3タンパク質 は前記のced−3cDNAを当業者によく知られている多くの発現ベクターの いずれかに組み込み、これらのベクターを適当な宿主に移すことによって得るこ とができる。(サンブルーク(Sambrook)ら著,「モレキュラー・クローニング (Molecular Cloning),実験室マニュアル(a Laboratory Manual)」,第3巻 ,1988年を参照)。mICE2、Ich−1、及びIce−4の発現に関し て以下に記載した通り、その系において、組み換え遺伝子が発現しない条件下で 細胞が成育し、細胞が所望の密度に達した後に発現が誘発されるような発現系を 使用し得る。この方法では、ced−3を発現した細胞が死亡する傾向は回避し 得る。 mICE2、Ich−1、及びIce−4 mICE2、Ich−1、及びIce−4をコードするDNAはゲノムDNA 又はcDNAのいずれからでも得ることができる。ゲノムDNAは自然に存在す るするイントロンを含み得る。さらに、このようなゲノムDNAは、その配列の 5'プロモーター領域及び/又は3'転写終止領域と共に得ることができる。さら に、このようなゲノムDNAはmICE2、Ich−1、及びIce−4mRN Aの5'非翻訳領域をコードするゲノム配列及び/又は3'非翻訳領域をコードす るゲノム配列と共に得ることができる。宿主細胞がmRNA及びタンパク質の発 現に関連して転写及び/又は翻訳調節シグナルを認識し得る程度まで、次いで自 然遺伝子の5'及び/又は3'非転写領域、及び/又はmRNAの5'及び/又は 3'非翻訳領域を転写及び翻訳調節のために保持し、使用し得る。 ゲノムDNAはマウス染色体を含むいずれかの細胞から当業者によく知られて いる方法で抽出し、精製し得る(例えば、S.L.バーガー(Berger)ら編,分子 クローン技術への手引き(Guide to Molecular Cloning Techniques),アカデ ミック・プレス(Academic Press)(1987年)を参照)。若しくは、mRN Aは遺伝子を発現するいずれかの細胞から単離でき、当業者によく知られた方法 によって、cDNAを調製するために使用し得る(Id.)。mICE2の好ま しい原材料は胸腺又は胎盤細胞である。タンパク質のいずれか(即ち、mICE 2、Ich−1又はIce−4)をコードするmRNAは、特定の配列に対する mRNA調製物を豊富にするために一般に使用されている技術、ショ糖勾配遠心 分離法などの技術又はその両方によって豊富にされ得る。 ベクター中にクローンするために、前記の通りに調製したDNA(ヒトゲノム DNA又は好ましくはcDNA)を無秩序に切断又は酵素的に分解し、適当なベ クター中に結合して組み換え遺伝子ライブラリーを形成する。タンパク質又はそ の機能的誘導体をコードしているDNA配列は慣用の方法に従ってDNAベクタ ー中に挿入し得る。このような操作に関する技術はサンブルークら,前掲によっ て記載されており、当業者にはよく知られている。 好ましい方法では、遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドは第6図、第8図、 第12A図、第12B図、及び第16図に示されているcDNA配列から設計さ れる。オリゴヌクレオチドは当業者によく知られている方法(例えば、S.A. ナラング(Narang)編,DNA及びRNAの合成と応用(Synthesis and Applic ation of DNA and RNA),アカデミック・プレス(Academic Press),サンディ エゴ,カリフォルニア(1987年))によって合成し、当業者に公知の方法に よってクローンされた遺伝子を同定、単離するためのプローブとして使用し得る 。核酸ハイブリダイゼーション及びクローン同定の技術はマニアティス(Maniat is),Tら,モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning),実験室マニュ アル(a Laboratory Manual),コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリ ーズ,コールド・スプリング・ハーバー,ニューヨーク(1982年)、及びヘ イムズ(Hames),B.D.ら,「核酸ハイブリダイゼーション,実践的アプローチ (Nucl eic Acid Hybridization,A Practical Approach),IRLプレス(IRL Press ),ワシントン,DC(1985年)中に開示されている。次いで、このような ハイブリダイゼーションが可能であると認められた前記遺伝子ライブラリーのこ れら構成員を分析してそれら遺伝子が含有しているコード配列の範囲及び性質を 決定する。 所望のコード配列の検出を容易にするために、前記のDNAプローブは検出可 能な基で標識される。この基は検出可能な物理的又は化学的性質を有しているい ずれの物質でもよい。このような物質は核酸ハイブリダイゼーションの分野では よく知られており、このような方法において有用な標識はすべて本発明に使用し 得る。特に有用なものは32P、3H、14C、35S、125Iなどの放射能標識である 。適当なシグナルを生じ、十分な半減期を有する放射能標識はすべて使用し得る 。オリゴヌクレオチドは例えば、リッグビー(Rigby),P.J.W.ら,ジャーナ ル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.),113巻,237 頁,(1977年)に記載されているように、よく知られた方法によって、例え ば「ニックトランスレーション(nick-translation)」により放射能標識するか 、又は例えばディーン(Deen),K.C.ら,アナリティカル・バイオケミストリ ー(Anal.Biochem.),135巻,456頁,(1983年)に記載されている ように、T4DNAポリメラーゼ置換合成により放射能標識し得る。 若しくは、オリゴヌクレオチドプローブは、ビオチン、酵素又は蛍光基のよう な非放射性マーカーで標識し得る。例えば、レアリー(Leary),J.J.ら,プロ シーディング・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンセス・USA(Proc. Natl.Acad.Sci.USA),80巻,4045頁,(1983年);レンツ(Renz ),M.ら,ニュークリーク・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Res.)12巻 ,3435頁,(1984年);及びレンツ,M.ら,EMBOジャーナル(EM BOJ.),6巻,817頁,(1983年)を参照されたい。 Ich−1については、実施例に示した単離は以下の通りであった。15日目 のマウス胚の脳のcDNA由来のnedd2 cDNAを増幅するために、2つ のープライマーをポリメラーゼ鎖反応(polymerase chain reaction)に用いた [サンブルーク(Sambrook)ら,「モレキュラー・クローニング(Molecular Cl oning),実験室マニュアル(a Laboratory Manual)」,第3巻,(1988年) ]。プライマーの1つは配列;ATGCTAACTGTCCAAGTCTAを有 しており、他方のプライマーは配列;TCCAACAGCAGGAATAGCA を有していた。このように増幅されたcDNAは標準的な方法論を用いてクロー ンされた。クローンされたマウスnedd2 cDNAはプローブとして使用し 、Stratageneから購入したヒト胎児脳cDNAライブラリーをスクリーニングし た。このようなスクリーニング及びクローンの単離の方法は、当業者にはよく知 られている[マニアティス,Tら,「モレキュラー・クローニング(Molecular C loning),実験室マニュアル(a Laboratory Manual),コールド・スプリング ・ハーバー・ラボラトリーズ,コールド・スプリング・ハーバー,ニューヨーク (1982年);ヘイムズ(Hames),B.D.ら核酸ハイブリダイゼーション、実 践的アプローチ(Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach),IR Lプレス(IRL Press),ワシントン,DC(1985年)]。マウスnedd −2よりもずっと長いタンパク質をコードし、全ICE及びced−3タンパク 質に相同なアミノ酸配列を含むヒトnedd2 cDNAクローンを単離した。 単離されたクローンはIce−ced3相同体又はIch−1と命名された。 Ich−1 cDNAは第8図、第12A図又は第12B図で与えられた核酸 配列情報を用いて得ることができる。この配列から構築されたDNAプローブを 標識し、ここに記載したようにヒト遺伝子ライブラリーをスクリーニングするた めに使用し得る。また、ここに記載したようにIch−1を、発現ベクター中に クローンし、その系において、組み換え遺伝子が発現しない条件下で宿主細胞が 成育し、細胞が所望の密度に達した後に発現が誘発されるような系において発現 させる。この方法では、Ich−1を発現する細胞が死亡する傾向は回避し得る 。 Ice−4作成の1つの方法は以下の通りである。14日目のマウス胚から、 インビトロゲンマイクロファスト トラックmRNA単離キット(Invitr ogens’ microfast track mRNA isolatio n kit)を用いてmRNAを単離した。単離されたmRNAを逆転写してP CR増幅のための鋳型を作成した。ディジェネレートPCRプライマーは;cI ceB{TG(ATCG)CC(ATCG)GGGAA(ATCG)AGGTA GAA}及びcTceAs{AATCAT(ATC)ATCCAGGC(ATC G)TGCAG(AG)GG}であった。PCRサイクルは次のように設定した ;1.94℃,3分;2.94℃,1分;3.48℃,2分;4.72℃,3分;5.「 2.」に戻り4サイクル;6.94℃,1分;7.55℃,2分;8.72℃,3分; 9.「6.」に戻り34サイクル;10.72℃,10分;11.終了。このPC Rは、ICE相同体の大きさと推定される約400bpのバンドを生じた。PC R産物はT末端の平滑末端のpBSKIIプラスミドベクター(Stratag ene)中にクローンした。挿入物を含むプラスミドはDNA配列決定によって 分析した。 Ice−4cDNAはまた、第16図で与えられた核酸配列情報を用いて得る こともできる。この配列から構築されたDNAプローブは、ここに記載したよう に標識し、ヒト遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために使用し得る。ま た、ここに記載したように、Ice−4を発現ベクター中にクローンし、その系 において、組み換え遺伝子が発現しない条件下で宿主細胞が成育し、細胞が所望 の密度に達した後に発現が誘発されるような系において発現させ得る。 ここに記載した方法は、mICE2、Ich−1、及びIce−4をコードす る遺伝子配列を同定することが可能である。このような遺伝子配列をさらにキャ ラクタライズするために、また組み換えタンパク質を産生するためにこれら配列 がコードするタンパク質を発現させることは望ましい。 ここに記載の遺伝子(mICE2、Ich−1、Ice−4及び誘導体)を発 現するために、適当な宿主によって認識可能な転写及び翻訳シグナルが必要であ る。ここに記載された方法によって得られたクローンされたコード配列を発現ベ クター中の転写的発現を制御する配列に機能するように連結し、組み換えタンパ ク質又はその機能的誘導体を産生するために原核生物又は真核生物の宿主細胞に 導入され得る。配列のどの鎖が転写的発現を制御する配列に機能するように結合 されているかによって、アンチセンスRNA又はその機能的誘導体を発現させる ことも可能である。 異なる宿主におけるタンパク質の発現は、タンパク質の性質を変化させ得る異 なった翻訳後の修飾物を生じ得る。好ましくは、本発明はmICE2、Ich− 1、及びIce−4又はその機能的誘導体の真核細胞、及び特に哺乳類、昆虫及 び酵母細胞における発現を包含する。特に好ましい真核生物の宿主はインビボ又 は組織培養のいずれかの哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞は天然のタンパク質 にみられるものに類似か又は同一となるべき翻訳後の修飾物を提供し得る。好ま しい哺乳動物宿主細胞はrat−1繊維芽細胞、マスト細胞から得られるマウス 骨髄、カーステンサルコマウイルス(Kirsten sarcoma virus)で不死化された マウスマスト細胞、又はマウス繊維芽細胞と同時に培養された正常なマウスマス ト細胞を包含する。[レイジン(Razin)ら,ジャーナル・オブ・イムノロジー (J.of Immun.),132巻,1479頁,(1984年);レビースカファー (Levi-Schaffer)ら,プロシーディング・ナショナル・アカデミー・オブ・サ イエンセス(USA)(Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)),83巻,6485頁 ,(1986年);及びレイノルズ(Reynolds)ら,「カーステン サルコマウ イルスを産生するスプレノサイト(Splenocyte)の及び繊維芽細胞との同時培養 細胞による分化の多段階でのネズミ結合組織型マスト細胞の不死化(Immortaliz ation of Murine Connective Tissue-type Mast Cells at Multiple Stages of Their Differentiation by Coculture of Splenocytes with Fibroblasts that Produce Kirsten Sarcoma Virus,」,ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケ ミストリー(J.Biol.Chem.)263巻,12783〜12791頁,(198 8年)。 DNAのような核酸分子は、もしそれが転写調節情報を含む発現制御配列を含 み、このような配列がポリペプリドをコードするヌクレオチド配列に「機能する ように連結」していれば、ポリペプリドを「発現できる」と言われる。 機能するような連結は、その連結においてコード配列の発現を調節配列の影響 下又は制御下に置くように、コード配列が調節配列に結合しているような連結で ある。2つのDNA配列(例えば、タンパク質のコード配列及びプロモーター) は、もしプロモーター機能の誘発の結果がコード配列の転写となり、2つのDN A配列の間の連結の性質が(1)フレームシフトの変異を起こさず;(2)コー ド配列、アンチセンスRNA、又はタンパク質の発現に対する調節配列の能力を 妨害せず;(3)プロモーター領域配列によって転写されるコード配列鋳型の能 力を妨害しなければ、機能するように結合していると言える。従って、そのプロ モーターがDNA配列の転写を起こすことが可能ならば、プロモーター領域はそ のDNA配列に機能するように連結しているだろう。 遺伝子発現に必要である調節領域の厳密な性質は種又は細胞のタイプの間で変 化し得るが、TATAボックス、キャップ配列、CAAT配列などの、それぞれ の転写及び翻訳の開始に関わる5'非転写及び5'非翻訳(非コード)配列を必要 に応じ通常は含む。特に、このような5'非転写制御配列は機能するように連結 した遺伝子の転写の制御のためのプロモーターを含む領域を含む。 真核生物宿主における本発明のタンパク質の発現はこのような宿主に機能的な 調節領域、好ましくは真核生物調節系の使用を必要とする。広範囲の転写及び翻 訳の調節配列が真核生物宿主の性質によって使用できる。転写及び翻訳調節シグ ナルは、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウイルス、シミアンウイルス、単純疱疹ウ イルスなどの真核生物細胞に感染するウイルスのゲノム配列から得ることもでき る。好ましくは、これらの調節シグナルは宿主細胞中で高いレベルの発現を可能 にする特定の遺伝子と関連している。 転写が翻訳に連結していない真核生物において、制御配列は、クローンされた 配列がメチオニンを含むか含まないかに依存してメチオニン(AUG)開始コド ンを生じ得るか提供し得るか又は提供し得ない。このような領域は通常、宿主細 胞におけるRNA合成の開始を命令するに十分なプロモーター領域を含むであろ う。翻訳が可能であるmRNAをコードする異種の哺乳類遺伝子由来のプロモー ターは好ましいものであり、特にアクチン、コラーゲン、ミオシンなどに対する プロモーターのような強力なプロモーターは、それらが宿主細胞においてプロモ ーターとしても機能するならば使用てきる。好ましい真核生物プロモーターには マウス メタロチオネインI遺伝子のプロモーター[ハーマー(Hamer),D.ら ,ジャーナル・オブ・モレキュラー・アンド・アプライド・ジェネティクス(J .Mol.Appl.Gen.),1巻,273〜288頁,(1982年)];ヘルペス ウイルスのTKプロモーター[マクナイト(McKnight),S.ら,セル(Cell), 31巻,355〜365頁,(1982年)];SV40初期プロモーター[ベ ノイスト(Benoist),C.ら,ネイチャー(Nature)(ロンドン),290巻, 304〜310頁,(1981年)]を含み;酵母においては、酵母ga14遺 伝子プロモーター[ジョンストン(Johnston),S.A.ら,プロシーディング・ナ ショナル・アカデミー・オブ・サイエンセス(USA)(Proc.Natl.Acad.Sc i.(USA)),79巻,6971〜6975頁,(1982年);シルバー(Silv er),P.A.ら,プロシーディング・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン セス(USA)(Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)),81巻,5951〜595 5頁,(1984年)]、又は解糖遺伝子プロモーターは使用し得る。 真核生物mRNAの翻訳は最初のメチオニンをコードするコドンで開始される ということは知られている。この理由のために、真核生物プロモーターと本発明 のタンパク質又はその機能的誘導体をコードするDNA配列との間の連結が、メ チオニンのコードが可能な介在コドンを全く含んでいないということを確かめる ことが望ましい。 所望なら、タンパク質の融合生成物を構築してもよい。例えば、タンパク質を コードする配列は特定の宿主由来のタンパク質の分泌させ、又は特定の宿主にお けるタンパク質を画分化(compartmentalization)させるであろうシグナル配列 に連結し得る。シグナルペプチド配列がその後の除去を容易に受け入れるような 特異的なプロテアーゼ部位を有する、又はプロテアーゼ部位を有さないこのよう なシグナル配列を設計し得る。若しくは、このタンパク質に対する天然のシグナ ル配列を使用してもよい。 機能するように連結した遺伝子の発現が調節され得るように、抑制又は活性化 を考慮に入れた転写開始調節シグナルを選択し得る。温度感受性であって、温度 を変化させることにより、発現を抑制又は開始し得る調節シグナル、又は化学物 質、例えば代謝産物により調節の支配を受ける調節シグナルは興味深い。 所望なら、タンパク質をコードする配列の非転写及び/又は非翻訳3'領域を 前記のクローニング法によって得ることができる。3'非転写領域は転写終止調 節配列エレメントのために保持し得る;3'非翻訳領域は翻訳終止調節配列エレ メントのために、又は真核生物細胞においてポリアデニル化を命令するこれらエ レメントのために保持し得る。自然の発現調節シグナルが宿主細胞内で満足に機 能しないときは機能配列を置換し得る。 本発明のベクターは、エンハンサー配列のような、機能するように連結した他 の調節エレメント、又は機能するように連結した遺伝子上の組織又は細胞型に特 異的な発現をもたらすDNAエレメントをさらに含み得る。 本発明のDNA構築物で哺乳類細胞を形質転換するために、DNA構築物を宿 主細胞染色体DNA中へ挿入するか、又は染色体外で存在させることを望むか否 かに依存して多くのベクター系が用いられ得る。タンパク質コード配列及び機能 するように連結したプロモーターが非複製DNA(又はRNA)分子として真核 生物受容細胞中へ導入されるならば、タンパク質の発現は導入された配列の一時 的な発現を通して起こり得る。 好ましい態様では、遺伝的に安定な形質転換体はベクター系、形質転換系で構 築し得、それによりmICE2、Ich−1、又はIce−4DNAは宿主染色 体内へ組込まれる。このような組込みは細胞内で新たに起こり得るか、又は最も 好ましい態様では、例えばレトロウイルス、トランスポゾン、又は染色体におけ るDNA配列の組込みを促進する他のDNAエレメントなどの、それ自身を機能 的に宿主染色体に挿入する同時形質転換されるベクターの助けにより起こり得る 。 導入されたDNAが細胞染色体中へ安定に組み込まれた細胞は、染色体内に発 現ベクターを含む宿主細胞の選別を可能にする1つ又はそれ以上のマーカーによ って選別する。例えばマーカーは、例えば抗生物質のような殺菌耐性、又は銅の ような重金属があろう。選択可能なマーカー遺伝子は発現されるDNA遺伝子配 列に直接連結し得るか又は同時トランスフェクションによって同じ細胞中に導入 し得る。 別の態様では、導入された配列は受容細胞において自律的な複製が可能なプラ スミド又はウイルスベクター中に組み込まれる。広範囲にわたる様々なベクター がいずれもこの目的のために使用し得る。特定のプラスミド又はウイルスベクタ ーの選択において重要な因子には以下のものが含まれる;ベクターを含んでいる 受容細胞を認識してベクターを含んでいない受容細胞から選別する容易さ;特定 の宿主に望まれるベクターのコピー数;及びベクターを異なる種の宿主細胞の間 で「往復させる(shuttle)」ことが可能であることが望ましいか否か。 好ましい真核生物プラスミドにはウシ乳頭腫ウイルス、ワクシニアウイルス、 SV40、及び酵母では2−ミクロンサークルを含むプラスミドなど、又はそれ らの誘導体が含まれる。このようなプラスミドは当業者にはよく知られており[ ボツタイン(Botstein),D.ら,Miami Wntr.Symp.,19巻,265〜274 頁,(1982年);ブローチ(Broach),J.R.ら著,「酵母サッカロミセスの 分子生物学:生活環及び遺伝(The Molecular Biology of the Yeast Saccharom yces:Life Cycle and Inheritance)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボ ラトリー,コールド・スプリング・ハーバー,ニューヨーク,445〜470頁 ,(1981年);ブローチ,J.R.ら,セル(Cell),28巻,203〜20 4頁,(1982年);ボロン(Bollon),D.P.ら,J.Clin.Hematol.Oncol .,10巻,39〜48頁,(1980年);マニアティス(Maniantis),T, セル・バイオロジー:包括的論説(Cell Biology:A Comprehensive Treatise) ,第3巻,遺伝子発現(Gene Expression),アカデミック・プレス(Academic Press),ニューヨーク,563〜608頁,(1980年)]、商業的に入手 可能である。 構築物を含むベクター又はDNA配列が発現のために調製されると、トランス フェクションを含む様々な適切な手段のいずれかによってDNA構築物が適当な 宿主細胞に導入される。ベクターの導入後、受容細胞はベクターを含有する細胞 の成育を選択する培地中で成育させる。クローンした遺伝子配列の発現がタンパ ク質の産生、又はこのタンパク質の断片の産生をもたらす。この発現は、形質転 換細胞中で連続して起こり得るか、又は制御下に起こり得る。例えば後に生じる 発現、形質転換細胞の分化の誘発(例えば、神経芽腫細胞などに対するブロモデ オキシウラシルの投与による)である。後者は本発明のタンパク質の発現には好 ましいものである。タンパク質が発現されない条件下で細胞を成育させることに より、細胞死を避け得る。細胞が高密度に達したら、タンパク質の発現を誘発し て、組み換えタンパク質を細胞死が起こる直前に回収できる。 発現したタンパク質は、抽出、沈殿、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニ ティークロマトグラフィー、電気泳動などの慣用の方法によって単離し精製する 。 前記の方法で得られたmICE2、Ich−1、Ice−4配列はこれらのタ ンパク質をコードするだけでなくmICE2、Ich−1、及びIce−4に対 するアンチセンスRNAもコードする配列を提供するであろう。アンチセンスD NA配列は、mRNAを転写する鎖の反対側の鎖上にみられる配列であろう。ま た、そのベクターでの形質転換によって、その形質転換細胞中でアンチセンスR NAの発現が可能な宿主を生じるよう、発現ベクター中で、アンチセンスDNA 鎖はプロモーターと機能するように連結し得る。アンチセンスDNA及びRNA は、遺伝子の転写又は翻訳を高い選択性で阻害又は抑制する様態で、外因性mI CE2、Ich−1、若しくはIce−4DNA又はRNAと相互作用させるた めに使用し得る。遺伝子発現をブロックするためのアンチセンス核酸の使用は、 リヒテンシュタイン(Lichtenstein),C.,ネイチャー(Nature),333巻, 801〜802頁,(1988年)で議論されている。 使用の方法 ced−3 ced−3遺伝子(ced−3相同体及び他のced−3遺伝子ファミリーの 構成員と同様)は多くの異なる目的のために使用し得る。第一に、遺伝子の一部 は他の種(実施例2及び3を参照)と同様に、線虫の他の株(実施例1を参照) におけるced−3と相同な遺伝子の同定のためのプローブとして使用し得る。 このようなプローブはまた、ced−3遺伝子又はced−3の相同体が細胞内 で発現しているかどうかの測定にも使用し得る。 細胞死遺伝子は、細胞死によって特徴づけられる疾病及び状態のための治療法 の開発において使用されよう。中でも治療できる可能性のある疾病及び状態は神 経及び筋肉の変性疾患、心筋梗塞、発作、ウイルス誘発性の細胞死及び老化であ る。ced−3がICEに関連しているという発見は、細胞死遺伝子が炎症にお いて重要な役割を担い得るということを示唆している(IL−1βは炎症応答に 関わっていることが分かっている)。従って、ced−3及び関連する細胞死遺 伝子に基づく治療学も開発し得る。 mICE2、Ich−1、及びIce−4 mICE2、Ich−1、及びIce−4はced−3(前記)及びICE( 以下参照)に関して記載した用途と同じ用途を有する。遺伝子配列はアンチセン スDNA及びRNAオリゴヌクレオチドの構築に使用でき、これらは次に、胸腺 又は胎盤細胞におけるプログラムされた細胞死の防止に使用し得る。アンチセン スDNA又はRNAを使用する、遺伝子の発現を阻害する技術は当業者にはよく 知られている[リヒテンシュタイン(Lichtenstein),C.,ネイチャー(Nature ),333巻,801〜802頁,(1988年)]。請求の範囲に記載のDN A配列の一部は、発現のレベルの測定のためのプローブとしても使用できる。同 様に、細胞の発現の分析に使用し得る抗体を産生させるためにタンパク質も使用 できる。 前記のmICE2、Ich−1、及びIce−4遺伝子の一部は、タンパク質 の発現レベルの測定に使用し得る(胸腺又は胎盤細胞における、及び他の組織及 び器官におけるmICE2)。このような方法は、これらの細胞が腫瘍性の形質 転換を受けたかどうかの測定に有用であろう。遺伝子配列に基づいたプローブは 細胞死に関与する類似する遺伝子の単離に使用し得る。遺伝子の一部は細胞内の 欠損遺伝子の修復のため、若しくは遺伝子に欠損のあるマウスの種の開発のため の相同的組み換え実験に使用できる。培地中に長期間又は無期限に維持し得る細 胞を開発するためにアンチセンス構築物は細胞(mICE2については胎盤又は 胸腺細胞)中にトランスフェクトし得る。若しくは、アンチセンス構築物は細胞 死を防御するために培養細胞中又はインビボで使用し得る。 タンパク質は、当業者によく知られている標準的方法を用いてポリクローナル 又はモノクローナル抗体を産生させるために使用し得る[クライン(Klein), ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunology.):細胞−非細胞識別の科学 (The Science of Cell-Noncell Discrimination),ジョン・ワイリー・アンド ・サンズ(John Wiley & Sons),ニューヨーク(N.Y.)(1982年);ケ ネット(Kennett)ら,モノクローナル抗体,ハイブリドーマ:生物学的分析の 新次元(Monoclonal Antibodies,Hybridoma:A New Dimension in Biological Analyses),プレナム・プレス(Plenum Press),ニューヨーク(N.Y.)(1 980年);キャンベル(Cambell),A.,「生化学及び分子生物学における実 験技術13(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology 13)の中の“モノクローナル抗体技術(Monoclonal Antibody Technology)”」 ,バードン(Burdon)ら編,エルセイバー(Elseiver),アムステルダム(19 84年);ハーロー(Harlow)及びレーン(Lane)、「抗体,実験室マニュアル (Antibodies,A Laboratory Manual)」,コールド・スプリング・ハーバー・ ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory),ニューヨーク(1988年 )]。このような抗体は遺伝子の発現の測定のための分析に使用し得る。精製さ れたタンパク質はこのような分析において標準として有用であろう。 第6図の配列に基づき、プローブは、mICE2遺伝子又はmICE2の相同 体が細胞内で発現しているかどうかの測定に使用し得る。このようなプローブは 、mICE2に相同である他の遺伝子の単離の目的のためと同様、mICE2発 現と細胞の状態とを関連づけるための分析、例えば、腫瘍性形質転換の分析に使 用し得る。 mICE2は細胞死によって特徴づけられる疾病及び状態のための治療法の開 発において使用されよう。治療できる可能性のある疾病及び状態には神経及び筋 肉の変性疾患、心筋梗塞、発作、ウイルス誘発性の細胞死及び老化が含まれる。 第6図に示した配列に基づくアンチセンス核酸はmICE2の発現を阻害する ために使用し得る。このような阻害は培養細胞の細胞死を防御するのに有用であ る。 mICE2タンパク質は、当業者によく知られている方法を用いてポリクロー ナル又はモノクローナル抗体を産生させるために使用し得る[クライン(Klein ),ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunology.):細胞−非細胞識別の 科学(The Science of Cell-Noncell Discrimination),ジョン・ワイリー・ア ンド・サンズ(John Wiley & Sons),ニューヨーク(1982年);ケネット (Kennett)ら,モノクローナル抗体,ハイブリドーマ:生物学的分析の新次元 (Monoclonal Antibodies,Hybridoma:A New Dimension in Biological Analys es),プレナム・プレス(Plenum Press),ニューヨーク(1980年);キャ ンベル(Cambell),A.,「生化学及び分子生物学における実験技術13(Labo ratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology 13)の中の“モノ クローナル抗体技術(Monoclonal Antibody Technology)”」、バードン(Burd on)ら編,エルセイバー(Elseiver),アムステルダム(1984年);ハーロ ー(Harlow)及びレーン(Lane)、「抗体,実験室マニュアル(Antibodies,A Laboratory Manual)」,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Col d Spring Harbor Laboratory),ニューヨーク(1988年)]。抗体はmIC E2発現の測定のための分析に使用し得る。精製されたmICE2タンパク質は このような分析において標準として有用であろう。 第8図,第12A図、及び第12B図の配列に基づき、プローブはIch−1 遺伝子又はIch−1の相同体が細胞内で発現しているかどうかの測定に使用し 得る。このようなプローブはIch−1に相同である他の遺伝子の単離のためと 同様、Ich−1発現と細胞の状態とを関連づけるための分析、例えば、腫瘍性 形質転換の分析に使用し得る。 Ich−1は細胞死によって特徴づけられる疾病及び状態のための治療法の開 発において使用されよう。治療できる可能性のある疾病及び状態には神経及び筋 肉の変性疾患、心筋梗塞、発作、ウイルス誘発性の細胞死及び老化が含まれる。 第8図、第12A図、及び第12B図に示した配列に基づくアンチセンス核酸 はIch−1の発現を阻害するために使用し得る。このような阻害は培養細胞の 細胞死を防御するのに有用である。 Ich−1タンパク質は、当業者によく知られている方法を用いてポリクロー ナル又はモノクローナル抗体を産生させるために使用し得る[クライン(Klein ),ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunology.):細胞−非細胞識別の 科学(The Science of Cell-Noncell Discrimination),ジョン・ワイリー・ア ンド・サンズ(John Wiley & Sons),ニューヨーク(1982年);ケネット (Kennett)ら,モノクローナル抗体,ハイブリドーマ:生物学的分析の新次元 (Monoclonal Antibodies,Hybridoma:A New Dimension in Biological Analys es),プレナム・プレス(Plenum Press),ニューヨーク(1980年);キャ ンベル(Cambell),A.,「生化学及び分子生物学における実験技術13(Labo ratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology 13)の中の“モノ クローナル抗体技術(Monoclonal Antibody Technology)”」,バードン(Burd on)ら編,エルセイバー(Elseiver),アムステルダム(1984年);ハーロ ー(Harlow)及びレーン(Lane)、「抗体,実験室マニュアル(Antibodies,A Laboratory Manual)」,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Col d Spring Harbor Laboratory),ニューヨーク(1988年)]。その抗体は遺 伝子のIch−1発現を測定するための分析に使用し得る。精製されたIch− 1タンパク質はこのような分析において標準として有用であろう。 第16図の配列に基づき、プローブは、Ice−4遺伝子又はIce−4の相 同体が細胞内で発現しているかどうかの測定に使用し得る。このようなプローブ は、Ice−4と相同である他の遺伝子の単離のためと同様、Ice−4発現と 細胞の状態とを関連づけるための分析、例えば、腫瘍性形質転換の分析に使用し 得る。 Ice−4は細胞死によって特徴づけられる疾病及び状態のための治療法の開 発において使用されよう。治療できる可能性のある疾病及び状態には神経及び筋 肉の変性疾患、心筋梗塞、発作、ウイルス誘発性の細胞死及び老化が含まれる。 第16図に示した配列に基づくアンチセンス核酸はIce−4の発現を阻害す るために使用し得る。このような阻害は培養細胞の細胞死を防御するのに有用で ある。 Ice−4タンパク質は、当業者によく知られている方法を用いてポリクロー ナル又はモノクローナル抗体を産生させるために使用し得る[クライン(Klein ),ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunology.):細胞−非細胞識別の 科学(The Science of Cell-Noncell Discrimination),ジョン・ワイリー・ア ンド・サンズ(John Wiley & Sons),ニューヨーク(1982年);ケネット (Kennett)ら,モノクローナル抗体,ハイブリドーマ:生物学的分析の新次元 (Monoclonal Antibodies,Hybridoma:A New Dimension in Biological Analys es),プレナム・プレス(Plenum Press),ニューヨーク(1980年);キャ ンベル(Cambell),A.,「生化学及び分子生物学における実験技術13(Labo ratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology 13)の中の“モノ クローナル抗体技術(Monoclonal Antibody Technology)”」、バードン(Burd on)ら編,エルセイバー(Elseiver),アムステルダム(1984年);ハーロ ー(Harlow)及びレーン(Lane)、「抗体,実験室マニュアル(Antibodies,A Laboratory Manual)」,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Col d Spring Harbor Laboratory),ニューヨーク(1988年)]。抗体は遺伝子 のIce−4発現の測定のための分析に使用し得る。精製されたIce−4タン パク質はこのような分析において標準として有用であろう。インターロイキン−1β変換酵素(ICE)の酵素活性を阻害することによる 脊椎動物細胞におけるプログラムされた細胞死の防御方法 本発明はICEの作用を阻害することによって、脊椎動物のプログラムされた 細胞死を防止することを目的とする。C.エレガンス由来のced−3遺伝子に ついて行った詳細な構造分析は、ICEのQACRG活性領域において特に強い 、ヒト及びネズミICEに対する相同性を示した(第3A図参照)。ICEは不 活性プロ−インターロイキン−βを活性インターロイキン−1βに開裂するシス テインプロテアーゼである。 脊椎動物においてICEが細胞死遺伝子として機能しているかどうかを測定す るために、マウスICE遺伝子をクローンし、発現ベクターに挿入した後、ラッ ト細胞にトランスフェクトした。ICE発現と細胞死との間に密接な相関関係が 認められた(実施例2を参照)。 ICEの細胞死遺伝子としての機能に関するさらなる証拠は、阻害実験から得 られた。牛痘遺伝子crmAはICE活性を特異的に阻害するタンパク質をコー ドする[レイ(Ray)ら,セル(Cell),69巻,597〜604頁,(198 2年)]。細胞死がICEの酵素作用を阻害することによって防止し得るかどう かを測定するために、高いレベルのcrmAタンパク質を産生する細胞系を作成 した。これらの組織細胞をICEでトランスフェクトしたとき、ICEを発現し ている細胞の内、高いパーセントが細胞が健康な形態を維持し、プログラムされ た細胞死を受けていないことが認められた。 ICEが脊椎動物細胞死遺伝子としての生理学的役割を有するという証拠は、 プログラムされた細胞死を阻害し、多くの小胞及びB細胞リンパ腫において過剰 に発現されることが知られているオンコジーンであるbcl−2を過剰に発現す るように処理された細胞を試験することによっても得られた。bcl−2を発現 する細胞は、高レベルのICEの合成にもかかわらず、細胞死を受けないことが 分かった。これらの結果はbcl−2がICEの作用を阻害することにより悪性 腫瘍を促進し得ることを示唆している。 脊椎動物におけるプログラムされた細胞死を制御するためにICEの作用を特 異的に調節する方法は、いずれも本発明に包含されるものである。このことは、 例えばcrmAのようなICE対する特異的な阻害剤、又はソーンベリー(Thor nbery)ら,ネイチャー(Nature),356巻,768〜774頁,(1992 年)によって記載された阻害剤だけでなく、ICE遺伝子の発現を特異的に防止 するいずれの方法も包含するものであろう。従って、ICEに相補的なヌクレオ チド配列を含んでなり、ICEの転写又は翻訳を阻害することが可能なアンチセ ンスRNA又はDNAは、本発明の範囲内にある[リヒテンシュタイン(Lichte nstein),C.,ネイチャー(Nature),333巻,801〜802頁,(19 88年)を参照されたい]。 脊椎動物のプログラムされた細胞死を防止する能力は、培地中に無期限に維持 し得る細胞の開発において有用である。例えば、crmAを過剰発現する細胞は 、組み換えタンパク質を発現するための宿主として使用し得る。プログラムされ た細胞死を防止する能力は、通常は必要である成長因子から独立して細胞を生存 させ得る。crmA mRNA又はcrmAを発現する核酸構築物を細胞中へマ イクロインジェクトすること(microinjecting)により、神経成長因子の除去の 後でもニワトリ交感神経がインビボで生存することが可能であることが認められ た。 若しくは、ICEの発現を、プログラムされた細胞死を引き起こすために増加 し得る。例えば、相同的組み換えは、正常なその対応領域でICE遺伝子の欠損 領域を置換するために使用し得る。この方法では、ある悪性細胞の制御できない 成育を防止することが可能となり得る。ICE活性を増加する方法は寄生虫のよ うな望ましくない微生物を殺すのに使用し得る。crmAは牛痘の感染にとって は重要なウイルスタンパク質である。このことは、細胞死の防止が首尾よく感染 することに重要であり得ること、そしてICE発現の促進により、感染の防御方 法を提供し得るということを示唆している。 本発明を一般的に記載したが、単に例示を目的としてここに提供し、特に記載 しない限りは限定を意図するものではない具体例を参考にすることによって、本 発明をさらに記載する。明細書中に引用された全ての参考文献は、その全内容が 本明細書の一部を構成する。 実施例1 実験方法一般的方法および株 C.エレガンスの培養に使用する技術は、Brenner(Brenner,S.らの、Genetic s77:71-94(1974))が記載している。すべての株は20℃で増殖した。野生型 親株は、C.エレガンス変種Bristol株N2、Bergerac株EM1002(Emmons らの、Cell 32:55-65(1983))、C.briggsaeおよびC.vulgarisであった。使用 した遺伝マーカーは以下に示す。これらのマーカーは以前に記載されている(B renner,S.らの、Genetics 77:71-94(1974);およびHodgkinら、Genetics in t he Nematode Caenorhabditis Elgans(Woodら編)491-584頁、Cold Spring Harb or,New York(1988))。遺伝的命名法は標準法に従う(Horvitzらの、Mol.Gen .Genet.175:129-133(1979))。 LGI:ced−1(ei735);unc−54(r323) LGVI:unc−31(e928),unc−30(e191),c ed−3(n717,n718,n1040,n1129,n11634,n1 164,n1165,n1286,n1949,n2426,n2430,n2 433),unc−26(e205),dpy−4(e1166) LGV:eg−1(n986);unc−76(e911) LGX:dpy−3(e27)ced−3の付加的アレルの分離 非相補性スクリーニングを計画し、ced−3の新しいアレルを分離した。欠 失がトランスに配列しているced−3(n717)のヘテロ接合体である動物 は生存可能であるため(Ellisらの、Cell 44:817-829(1986))、ced−3( n717)とトランス配置にある完全に機能を失った突然変異体のced−3ア レルを保持している動物は、たとえそのアレルのヘテロ接合体が生存不能である 場合でも生存可能であろう。EMS突然変異egl−1 L4雄をced−3( n717)unc−26(e205);egl−1(n487);dpy−3( e27)雌雄同体と交配させた。egl−1を本スクリーニングのマーカーとし て用いた。egl−1中の主要な突然変異は、2つの雌雄同体特異的ニューロン であるHSNにプログラムされた細胞死をもたらす(Trentらの、Genetics 104: 619-647(1983))。HSNは正常な産卵に必要であり、HSNを欠くegl− 1(n986)雌雄同体は産卵不能である(Trentらの、Genetics 104:619-647 )。ced−3の突然変異体はプログラムされた細胞死をブロックするため、e gl−1の突然変異体の表現型はced−3;egl−1株中では抑制される。 eg 1−1雄をEMSを用いて突然変異させ、ced−3(n717)unc−26 (e205);egl−1(487);dpy−3(e27)と交配させた。ほ とんどの交雑子孫はced−3に対してヘテロ接合体でありegl−1に対して ホモ接合体であるため、これらは産卵不能であった。ced−3の新しいアレル を保有する候補である、稀にしか産卵する力のない動物を選別した。そのような 動物4匹をEMS突然変異動物の約10000匹のF1雑種子孫から分離した。 これらの新しい突然変異体をホモ接合体とし、それらがced−3の突然変異を 保有するかを確認した。RFLPマッピング 2つのコスミドライブラリー:すなわち、ベクターpHC79中の7000ク ローンのSau3A I部分消化ゲノムライブラリーおよびベクターpJB8中 の6000クローンのSau3A I部分消化ゲノムライブラリー(Coulsonら の、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83:7821-7825(1986))を本研究において 広範に使用した。 Bristol(N2)DNAおよびBergerac(EM1002)DNAを様々な制限 酵素で消化し、種々のコスミドをプローブとしてRFLPを捜した。nP33は Jc8の「右」末端によって検出されたHindIII RFLPである。Jc 8の「右」末端はJc8をEcoRIで消化し、自己接合することによって作製 した。nP34はJc8の「左」末端によって検出されたHindIII RF LPである。Jc8の「左」末端はJc8のSalIで消化し、自己接合するこ とによって作製した。nP36およびnP37は共に、それぞれT10H5およ びB0564によって検出されたHindIII RFLPである。生殖系列の形質転換 マイクロインジェクションに使用する方法は、基本的にA.Fire(Fire,A.の、E MBO J.5:2673-2680(1986))の方法に従う。コスミドDNAはCsClグラジ エントで2回精製した。欠失したコスミドを注入する際にはミニプレップ(Mini prep)DNAを用いたが、このDNAはスーパーブロス(superbroth)中の細菌 の一夜培養1.5mLから製造した。スーパーブロスはバクトペプトン12g、 酵母エキス24g、50%グリセロール8mLおよびH2O900mLを混合し て製造した。この混合物をオートクレーブし、次いで0.17M KH2PO4お よび0.72M K2HPO4100mLを加えた。細菌培養をManiatisら(Molec ular Cloning,A Laboratory Mamual,Cold Spring Harbor Press(1983))が 記載したアルカリ分解法によって抽出した。DNAをRNaseA(37°、3 0分)、次いでプロテアーゼK(55°、30分)で処理した。調製物を、A.Fi re(Fire,A.の、EMBO J.5:2673-2680(1986))の記載に従って、フェノール、 次いでクロロホルムで抽出し、2回沈澱させ(1回目は0.3M酢酸ナトリウム 、2回目は0.1M酢酸カリウム、pH7.2)、注入用緩衝剤5Lに再懸濁し た。注入のためのDNA濃度は100μg〜1mg/mLの範囲であった。 すべての形質転換実験にはced−1(e1735);unc−31(e92 8)ced−3(n717)株を用いた。unc−31を同時形質転換のマーカ ーとして使用した(Kimらの、Genes & Dev.4:357-371(1990))。ced−1 を発現させることによりced−3表現型のスコア付を促した。ced−1中の 突然変異は細胞死をもたらす過程をブロックし、これにより死細胞の残さを野生 型のそれよりはるかに長く生存させる(Hedgecockらの、science 220:1277-1280 (1983))。ced−3表現型を若いL1動物の頭中に存在する死細胞数として スコア付した。コスミドC10D8またはC10D8のプラスミドサブクローン を2:1または3:1の比でC14G10(unc−31(+)含有)と混合し 、Unc−31(+)形質転換体が試験するコスミドまたはプラスミドを含む機 会を増加させた。通常、1回の実験において動物20〜30匹に注入を行った。 3〜4日後に、注入した動物の非UncF1子孫を分離した。非Unc子孫の約 1/2〜1/3が非Unc表現型をF2に伝達し、形質転換体系列を確立した。 そのような非Unc形質転換体の若いL1子孫の頭中に存在する死細胞数をノマ ルスキー光学系を用いて検査した。ced−3転写開始部位の決定 2つのプライマー、 Pex1:(5’GTTGCACTGCTTTCACGATCTCCCGTCT CT3’)および Pex2:(5’TCATCGACTTTTAGATGACTAGAGAACA TC3’)をプライマーを伸長させるために用いた。RT−PCRのプライマー は:SL1 (5’GTTTAATTACCCAAGTTTGAG3’)およびlog−5( 5’CCGGTGACATTGGACACTC3’)である。産物をプライマー SL1およびオリゴ10(5’ACTATTCAACACTTG3’)を用いて 再増幅する。予想された長さの産物をPCR1000ベクター(インビトロゲン )内でクローニングし、配列を決定した。DNA配列の決定および分析 DNA配列を決定するために、Henikoff(Heinkoff,S.の、Gene 28:351-359( 1984))の開発した方法に従って連続的な欠失物を作製した。セクエナーゼおよ びUS Biochmicalsのプロトコールの一部を変更したものを用いてDNA配列を決 定した。 ced−3アミノ酸配列を、ブラストネットワークサービスを用いてNational Center for Biotechnology Information(NCBI)のGenBank,PIR and SWISS-PR OTデータベース中のアミノ酸配列と比較した。他の線虫種からのced−3遺伝子のクローニング 40℃で一夜、低ストリンジェンシー条件下(5×SSPE、20%ホルムア ミド、0.02%フィコール、0.02%BSA、0.02%ポリビニルピロリ ドン、1%SDS)で、ced−3 cDNAサブクローンpJ118挿入物を プローブに用いて、C.ブリグサエおよびC.ブルガリスced−3遺伝子を対 応するファージゲノムライブラリーから分離し、1×SSPEおよび0.5% SDS中で室温で2回、42℃で2回、各回とも20分間洗浄した。 結 果ced−3は生存能に必須ではない 以前に記載したすべてのced−3アレルを計画したスクリーニングにおいて 分離し、プログラムされた細胞死が起きない生存能を有する突然変異体を検出し た(Ellisらの、Cell 44:817-829(1986))。そのようなスクリーニングでは、 生存不能を生じるced−3突然変異の種類を体系的に見落としているかも知れ ない。ced−3/欠失の遺伝型を有する動物は生存可能であるので(Ellisら の、Cell 44:817-829(1986))、ced−3の劣性致死アレルを分離できると 思われる非相補性スクリーニングを計画した。ホモ接合体を生存可能にする4つ の新しいced−3アレル(n1163、n1164、n1165およびn12 86)を得た。これらの新しいアレルは、平均的C.エレガンス遺伝子において 無意味な突然変異が発生すると予想される頻度にほぼ等しい突然変異半数体ゲノ ム2500に約1つの頻度で分離された(Brenner,S.の、Genetics 77:71-94(1 974);Meneelyらの、Genetics 92:99-105(1990);Greenwaldらの、Genetics9 6:147-160(1980))。 これらの結果はced−3遺伝子活性を欠く動物が生存可能であることを示唆 する。分子分析は、3つのced−3突然変異がced−3タンパク質への翻訳 を不完全に終了しノンセンス突然変異であり、1つが高度に保存されたスプライ スアクセプター部位に変化することを証明し、これらの仮説を支持した(下記参 照)。これらの突然変異はced−3活性を完全に排除することが予想される。 これらの考察に基づいて、ced−3遺伝子活性は生存能に必須ではないものと 結論づけられた。ced−3は7.5kbゲノム断片中に含まれる ced−3遺伝子を、Ruvkunら(Molecular Genetics of the Caenorhabditis Elgens Heterochronic gene lin-14 121:501-516(1988))の方法を用いてクロ ーニングした。簡単には(詳細は実験方法を参照)、C.エレガンスBristol株N 2は伝達可能なエレメントTc1の分散した30コピーを含むが、一方Bergerac 株は400コピー以上を含む(Emmonsらの、Cell 32:55-65(1983);Finney,M, Ph.D.の、Thesis「The Genetics and Molecular Biology of unc-86,a Caenorh abditis elgens Cell Lineage Gene」,Cambridge,MA(1987))。Bristol株とB ergerac株を交配させることによって、染色体物質のほとんどがBristol株に由来 し、ced−3遺伝子領域に異なる量のBergerac特異的第4染色体由来物質を含 む一連の組換え近交株を作製した。これらの株から、Tc1(Emmonsらの、Cell 32:55-65(1983))を含むプラスミドpCe2001を用いてDNAを探査す ることにより、Bristol株に特異的でced−3と密接に結合した5.1kbの EcoRI Tc1を含む制限断片(制限断片長の多型nP35)を同定した。 この5.1kbの制限断片を含むコスミドを同定し、これらのコスミドがC. エレガンスゲノムプロジェクト(Coulsonらの、Proc.Natl.Acad.Sci.83:7821-7 825(1986))の一部として定義された存在するコスミドコンティグ(整列系) と共通性を有することがわかった。他の4つのBristol-Bergerac制限断片長多型 はこのコンティグ中のコスミドによって定義した(nP33、np34、nP3 6、nP37)。遺伝子unc−30、ced−3およびunc−26について これらの制限断片長多形性をマッピングすることにより、物理的コンティグを遺 伝マップの正しい方向におき、ced−3遺伝子を含む領域を3つのコスミドに 及ぶ間隔に限定した(第1図)。遺伝子unc−30、ced−3およびunc −26についてBristol株とBergerac株の間のこれらのRFLPをマッピングす ることにより、物理的コンティグを遺伝マップの正しい方向においた。 サザンブロットにおいて、3つ+Berg unc−26組換え体のうちの3 つはBristol nP33パターンを示したが、2つのced−3+Berg組換え体の うち2つがBergeracパターンを示した(データ示さず)。すなわち、nP33は unc−26の非常に近くかまたはその右側にマップされる。nP34において 、 2つのced−3+Berg組換え体の2つおよび3つ+Berg unc−26組換え 体のうち2つがBergeracパターンを示し、その3つ+Berg unc−26組換え 体のうち1つがBrisrolパターンを示した(データ示さず)。ced−3とun c−26の遺伝的距離は約0.2muである。すなわち、nP34はced−3 とunc−26の間のced−3の右側約0.1muにマップされる。同様の実 験によって、5.1kbのBristol特異的Tc1エレメントであるnP35をc ed−3の右側約0.1muにマップした(データ示さず)。 n36およびn37をマップするために、Bristol unc−30 ced−3 /++雄をBergerac雌雄同体と交配した。遺伝型unc−30 ced−3(Bri stol)/++(Bergerac)のヘテロ接合体の子孫から、Unc−30非ced− 3および非Unc−30ced−3動物を選び、これらの系統からDNAを調製 した。2つ+Berg ced−3組換え体の2つはBristolパターンを示し、2つ+ Berg ced−3組換え体はBergeracパターンを示したため、nP36はunc −30の非常に近くかまたはその右側にマップされる(データ示さず)。同様に 、4つの+Berg ced−3の4つがBergeracパターンを示し、6つのunc− 30+Berg組換え体の6つがBristolパターンを示したため、nP37はunc −30の非常に近くかまたはその右側にマップされる(データ示さず)。これら の実験はced−3遺伝子を含む領域を3つのコスミドに及ぶ間隔に限定した( 第1a図)。 ced−3遺伝子を含む候補であるコスミドをced−3突然変異動物にマイ クロインジェクションし(Fire,A.の、EMBO J.5:2673-2680(1986))、突然変 異体の表現型の保護に関する試験を行った。具体的には、野生型unc−31遺 伝子を含むコスミドC14G10および候補コスミドをced−1(e1375 );unc−31(e928)ced−(n717)雌雄同体内に一緒に注入し た。非unc子孫を分離し、非Unc表現型が次世代に伝達されるかどうかを調 べるために観察を行い、形質転換された動物系を確立した。そのような形質転換 体系の若いL1子孫において、ノマルスキー光学系を用いて細胞死の存在を検討 し、ced−3表現型が相補性であるかどうかを検討した(実験方法参照)。コ スミ ドC14G10を単独でced−3突然変異体内に注入しても、ced−3活性 は生じない。 unc−31を同時形質転換のマーカーとして用いた(Kimらの、Genes & Dev el.4:357-371(1990))。ced−1の発現はced−3表現型のスコア付を 容易にした。ced−1内の突然変異はプログラムされた細胞死をもたらす過程 をブロックし、死細胞の死骸(corpses)を野生型におけるよりはるかに長く生 存させた(Hedgecockらの、Science 220:1277-1280(1983))。すなわち、死骸 の存在は細胞がプログラムされた細胞死を生じたことを示唆する。ced−3表 現型は若いL1動物の頭に存在する細胞残さの数としてスコア付した。 第1図に示すように、注射した3つのコスミド(C43C9、W07H6およ びC48D1)のうちC48D1のみがced−3突然変異体の表現型を保護し た。得られた2つの非Unc形質転換体系であるnIs1およびnEx2は保護 された。特に、L1 ced−1動物は頭に細胞の死骸を平均23個含んでおり 、L1ced−1;ced3動物は頭に細胞の死骸を平均0.3個含んでいた( Ellisらの、Cell 44:817-829(1986))。これに対して、ced−1;unc− 31 ced−3;nIs1;およびced−1;unc−31 ced−3; nEx2動物は、その頭にそれぞれ平均16.4個および14.5個の細胞の死 骸を含んでいた。これらの結果から、C48D1はced−3遺伝子を含むもの と結論づけられた。 ced−3のコスミドC48D1中のより正確な位置を確認するために、この コスミドをサブクローニングし、そのサブクローンのced−3突然変異体の表 現型の保護活性について試験した(第1A図)。これらの実験から、ced−3 は7.5kbのDNA断片(pJ7.5)に位置していた。2.8kbのced−3転写物は主として胚発生時に、ced−4の作用と独立 して発現する。 C48D1の7.6kbのpJ107サブクローン(第1A図)を野生型C. エレガンスN2株由来のポリA+RNAのノーザンブロットのプローブに使用 した。このプローブを2.8kbの転写物とハイブリダイズした。この転写物は EMS誘導ced−3突然変異株の異なる11株中に存在するが、以後の分析に よって試験した11のced−3突然変異体のアレルすべてがこのmRNAをコ ードするゲノムDNA中に突然変異を含むことを示し(下記参照)、すなわちこ のRNAをced−3転写物として確立した。 ced−3の発生的発現パターンを、発生の異なる段階で動物からのRNAの ノーザンブロットとced−3 cDNAサブクローンpJ118をハイブリダ イズすることによって決定した(下記参照)。ced−3転写物はほとんどのプ ログラムされた細胞死が起きる際の胚発生時に最も豊富であることがわかったが 、L1〜L4幼虫期にも検出された。 ced−3およびced−4はいずれもC.エレガンスのプログラムされた細 胞死に必要であり、またいずれも胚発生時に高度に発現されるため(Yuanらの、 Dev.116:309-320(1992))、その遺伝子の一方が他方のmRNAレベルを調節 している可能性が考えられた。以前の研究において、ced−3がced−4 mRNAレベルを調節しないことが示されている(Yuanらの、Dev.116:309-320 (1992))。ced−4がced−3 mRNAレベルを調節するか否かを検討 するために、ced−4突然変異胚から調製したRNAのノーザンブロットをc ed−3 cDNAサブクローンpJ118を用いて探査した。ced−4突然 変異体n1162、n1416、n1894およびn1920において、ced −3転写物の量および大きさが正常であることがわかった。すなわち、ced− 4はced−3 mRNAの定常期のレベルに影響を及ぼさないようであった。ced−3 cDNAおよびゲノム配列 ced−3ゲノムDNA pJ40(第1A図)をプローブとしてC.エレガ ンス野生型株N2のcDNAライブラリーをスクリーニングし、ced−3 c DNAクローンを分離した(Kimらの、Genes & Dev.4:357-371(1990))。こ のようにして2.5kbのcDNAクローンpJ87を分離した。ノーザンブロ ットにおいて、pJ87は2.8kbの転写物とハイブリダイズし、またサザン ブ ロットにおいてpJ87はpJ40とハイブリダイズするバンドのみとハイブリ ダイズした(データ示さず)。すなわち、pJ87はced−3突然変異動物内 にマイクロインジェクションしたとき、ced−3突然変異体の表現型を保護す ることができるpJ40から完全に転写されたmRNAを示す。pJ40のSa 1I部位中のフレームシフト突然変異はpJ87 cDNA内のSalI部位に 対応して作製し、pJ87がced−3 cDNAを含むことを確認した。フレ ームシフト突然変異を含む構築物は、ced−3突然変異動物内にマイクロイン ジェクションしてもced−3表現型を保護することができず(6形質転換体系 ;データ示さず)、ced−3活性がpJ87 cDNAに対応するゲノムDN Aの領域を突然変異させることによって排除されたことを示唆した。 pJ87のDNA配列を第2C図に示す。pJ87は503個のアミノ酸から なる読み取りフレームを含む2482bpの挿入部を含んでいる。それは953 bpの3’非翻訳配列を持っているが、そのすべてがced−3の発現に必須で あるわけではなく、380bpの3’most領域を含まないゲノム構築物(pJ1 07およびその誘導体、第1a図参照)はced−3突然変異体の表現型を保護 することができた。cDNAはポリA配列で終わっており、ced−3転写物の 完全な3’末端が存在することを示唆している。 プラスミドpJ107からのced−3遺伝子のゲノム配列を決定し、ced −3 cDNAから得たDNA配列を確認し、ced−3遺伝子の構造について 検討した。pJ107中の挿入物は7656bpの長さであった(第2図)。 ポリメラーゼ鎖反応(PCR)を用いるプライマーの伸長および増幅を組み合 わせて用い、ced−3転写物の5’末端の位置および性状を明らかにした。。 2つのプライマー、Pex1およびPex2をプライマーを伸長するために使用 した。Pex1反応では2本の主なバンドが生じたが、Pex2反応では1本の バンドが生じた。Pex2バンドは大きさ的にPex1反応で生じた小さい方の バンドに対応しており、またその長さが、該ゲノム配列の2166位においてコ ンセンサススプライスアクセプターでC.エレガンススプライスリーダー(Bekt eshらの、Genes and Dev.2:1277-1283(1988))にトランススプライシングす る可能性がある転写物と一致している。長い方のPex1バンドの性状は不明で ある。 これらの観察結果を確認するため、野生型の全RNAを逆転写し、次いでプラ イマーSL1およびlog−5を用いて増幅した後、プライマーSL1およびオ リゴ10を用いて再増幅した。予測された長さの産物をPCR1000ベクター (インビトロゲン)内でクローニングし、配列を決定した。得られた配列に、該 ゲノム配列の2166位をSL1にトランススプライシングするced−3のメ ッセージが存在することを確認した。これらの実験は、ced−3転写物がゲノ ム配列の2166位においてコンセンサススプライスアクセプターでC.エレガ ンススプライスリーダーSL1(Bekteshらの、Genes and Dev.2:1277-1283(1 988))にトランススプライシングされることを示唆している。これらの観察結 果に基づいて、ced−3タンパク質の開始コドンがゲノム配列の2232位に コードされたメチオニンであり、またced−3タンパク質はアミノ酸503個 の長さであると結論づけられる。 予想されたced−3タンパク質は親水性であり(256/503残基は価電 しているかイオン化している)、いかなる明らかな潜在的トランス膜ドメインも 含んでいない。そのced−3タンパク質の1つの領域はセリンが豊富であり、 アミノ酸107〜アミノ酸205において99個のアミノ酸のうち32個がセリ ン残基である。 12のEMS誘導ced−3突然変異の配列(表1)を決定した。8つはミス センス突然変異、3つはノンセンス突然変異であり、また1つはイントロン6の スプライスアクセプター部位が保存されたGに変化する。興味深いことに、これ らの12の突然変異のうち9つでは該タンパク質の最後の100個のアミノ酸内 の残基が変化するが、これらの変異はいずれもセリンの豊富な領域内には生じな い。 ヌクレオチドおよびコドンの位置は第2図の番号に対応する。 関連線虫種のC.ブリグサエおよびC.ブルガリスからのced−3遺伝子の ゲノム配列をクローニングし、配列決定することにより、ced−3タンパク質 の機能的に重要な領域を同定した。3つのced−3遺伝子の配列を比較するこ とにより、該タンパク質の比較的セリンが豊富でない領域がセリンが豊富な領域 よりよく保存されていることが示された(第3A図)。すべての12のEMS誘 導ced−3突然変異は3種間で保存されている残基を変化させた。これらの結 果は、セリンが豊富でない領域がced−3機能において重要であり、セリンの 豊富な領域は重要でないかまたはその中の残基が機能的に余分であることを示唆 している。ced−3タンパク質は哺乳動物のICEおよびNedd−2タンパク質と類似 している GenBank,PIRS and WISS−PROTデータベースを調査す ることにより、ced−3タンパク質のセリンが豊富でない領域はヒトおよびネ ズミのインターロイキン−1β(IL−1β)変換酵素(ICE)と類似してい ることがわかった(第3A図)。ICEはIL−1βの不活性な31KDの前駆 体をAsp116Ala117間で切断し、成熟IL−1βとして知られるカルボキシ 末端の153個のアミノ酸からなるペプチドを放出するシステインプロテアーゼ である(Kosturaらの、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 86:5227-5231(1989);Black らの、FEBS Lett.247:386-390(1989))。第3A図に示したタンパク質間にお いて最も高度に保存されている領域はced−3タンパク質のアミノ酸246〜 360、およびヒトICEタンパク質のアミノ酸166〜287からなり、49 残基が同一である(43%相同)。ヒトICEの活性部位のシステインはシステ イン285に位置する(Thornberryらの、Nature 356:768-774(1992))。この 活性システインの近くにあるアミノ酸5個のペプチド(QACRG)はネズミな らびにヒトのICEタンパク質および線虫のced−3タンパク質の間で最も保 存されているペプチドである。 ヒトICEは成熟酵素によって1個のプロ酵素からタンパク分解的に切断され ると思われる2つのサブユニット(p20およびp10)からなる(Thornberry らの、Nature 356:768-774(1992))。このプロ酵素の2つの切断部位であるI CEの103位および297位のAsp−Serはced−3内に保存されてい る(それぞれ131位および371位)。 ced−3タンパク質のC末端部分およびICEのp10サブユニットはネズ ミのnedd−2遺伝子のタンパク質産物と類似しており、この部位は胚の脳発 生時に高度に発現し、成人の脳では抑制的に調節される(Kumarらの、Biochem a nd Biophy.Res.Comm.185:1155-1161(1992))。ced−3タンパク質とne dd−2タンパク質、およびICEタンパク質とnedd−2タンパク質は27 %相同であった(第3A図)。nedd−2タンパク質はICEの活性部位にQ ACRGペプチドを含んでいない(第3A図)。分析した8つの点突然変異のう ちの7つ(n718、n1040、n1129、n1164、n2430、n2 426およびn2433)は3種類の線虫ced−3タンパク質、ICEおよび nedd−2タンパク質間で保存されるか、または一部保存されているアミノ酸 を変化させた。特に、突然変異n2433は推定される活性システイン付近のG lyからSerへの変化を導入する(第2図、表1)。 考 察 遺伝子ced−3およびced−4はC.エレガンスにおけるプログラムされ た細胞死の発生に必要であることが知られている唯一の遺伝子である(Ellisら の、Cell 44:817-829(1986))。遺伝的および分子的研究から、ced−3遺 伝子がced−4と多くの特徴を共有することが明らかとなった。ced−4の ように(Yuanらの、Dev.116:309-320(1992)参照)、ced−3は生存能に必 要ではない。ced−3は、そのほとんどが131のプログラムされた細胞死の うちの113が生じる時期の胚に発現する単一のmRNAにコードされているよ うである。さらに、ced−3遺伝子機能がced−4遺伝子の発現に必要でな いように(Yuanらの、Dev.116:309-320(1992))、ced−4遺伝子機能はc ed−3機能の発現に必要ではない。すなわち、これら2つの遺伝子は転写調節 カスケードにおいて連続的に作用することによってプログラムされた細胞死の発 生を制御することはないようである。ced−4とは異なり(Yuanらの、Dev.Bi ol.38:33-41(1992))、ced−3は若い成人において実質的なレベルで発現 し、この観察結果はced−3の発現が細胞にプログラムされた細胞死の発生を 制限しないであろうことを示唆する。 ced−4タンパク質は配列が新規であり、その作用に関する唯一のヒントは このタンパク質の2領域がカルシウムと結合するEFハンドモチーフといくらか の類似性を示すことである(Yuanらの、Dev.116:309-320(1992))。このこと から、ced−4タンパク質およびすなわちC.エレガンスにおけるプログラム された細胞死がカルシウムによって調節されているかも知れないことが示唆され る。しかし、この仮説に対する直接の証拠はまだ得られていない。同様に、ce d−3タンパク質は考えられる生化学的機能に関する手がかりとなる領域を含み 、アミノ酸99個の領域に32個のセリンを含んでいる。セリンは一般的なリン 酸化部位であるため(Edelmanらの、Ann.Rev.Biochem.56:567-613(1987))、 ced−3タンパク質およびすなわちC.エレガンスにおけるプログラムされた 細胞死がリン酸化によって調節されている可能性がある。リン酸化が細胞死にお いて機能することが以前に示唆されている。McConkeyら(McConkeyらの、J.Immu nol.145:1227-1230(1990))は、サイトゾル中のcAMPレベルを上昇させる ことができるいくつかの薬剤が胸腺細胞の死を誘導することを示し、プロテイン キナーゼAがあるタンパク質をリン酸化することによって細胞死に介在し得るこ とを示唆した。セリンの豊富な領域の正確な配列は試験した3種のCaenorhabdit is種間で異なるが、C.エレガンス、C.ブリグサエおよびC.ブルガリスでは 比較的高い数のセリンが保存されている。ced−3中の突然変異はいずれもセ リンの豊富な領域に影響を及ぼさない。これらの観察結果は、セリンの存在がこ の領域内の正確なアミノ酸配列より重要であるという仮説と一致する。 ced−3のセリンの豊富でない領域とヒトおよびネズミのインターロイキン −1β変換酵素(ICE)の相同性は、ced−3タンパク質中のセリンの豊富 な領域の存在よりはるかに顕著である。ヒトICEはAsp116−Ala117で3 1KDのプロインターロイキン−1βを切断し、成熟した17.5kDのインタ ーロイキン−1β(IL−1β)を産生する基質特異的プロテアーゼである。I L−1βは炎症、敗血症性ショック、創傷治癒、造血、およびある白血病の増殖 を含む広範囲の生物学的反応に介在するサイトカインである(Dinarelloの、C.A .Blood 77:1627-1652(1991);diGiovineらの、Today 11:13(1990))。IC Eの特異的阻害物質である牛痘ウイルスのcrmA遺伝子産物はインターロイキ ン−1βのタンパク分解による活性化を妨げ(Rayらの、Cell 69:597-604(1992 ))、宿主の炎症反応を抑制する(Rayらの、Cell 69:597-604(1992))。欠失 crmA遺伝子を保有する牛痘ウイルスはニワトリ胚における炎症反応を抑制 することができず、ウイルス感染細胞の数の減少をもたらし、宿主にはあまり損 傷をあたえない(Palumboらの、Virology 171:262-273(1989))。この観察結 果は、炎症反応を引き起こす際にICEが重要であることを示唆している。 ced−3タンパク質のカルボキシ側半分はICEと最も類似した領域である 。115残基の範囲(ced−3のアミノ酸246〜360)はced−3およ びICEタンパク質間で43%の相同性を示す。この領域にはICEの活性シス テインを取り囲む保存されたペンタペプチドQACRG(ced−3タンパク質 の361〜365位)が含まれる。ヒトICEにおけるこのシステインの特定の 修飾は、活性の完全な消失をもたらす(Thronberryらの、Nature 356:768-774( 1992))。ced−3突然変異n2433はこのペンタペプチド中に保存された グリシンを変化させることによってced−3機能を排除し、このグリシンがc ed−3活性において重要であり、ICEの活性部位に不可欠な部分であるかも 知れないことを示唆している。興味深いことに、突然変異n718(ced−3 の67位)およびn1040(ced−3の27位)は、インビボにおけるce d−3の機能を排除し、さらにICEの成熟したP20サブユニットの外側の保 存された残基に変化を含んでいる(Thronberryらの、Nature 356:769-774 (1992 ))。おそらくこれらの残基はced−3およびICEの両機能に非触媒的役割 を有しており、例えば、それらはタンパク分解による活性化のための適切な構造 を維持することができる。ICE前駆体(p45)はICEの4部位(Asp1 03、Asp119、Asp297およびAsp316)でタンパク分解的に切 断され、p24、p20およびp10を生じる(Thronberryらの、Nature 356:7 68-774(1992))。これらの切断部位の少なくとも2つがced−3において保 存されており、このことはced−3産物も同様にプロセシングされるであろう ことを示唆している。 ced−3とICEタンパク質の相同性は、ced−3が基質タンパク質をタ ンパク分解的に活性化または不活性化することによってプログラムされた細胞死 を制御する際にシステインプロテアーゼとして働くであろうことを強く示唆する 。ced−3の潜在的な基質は、ced−3タンパク質の標的であると思われる 6 つのAsp残基(Asp25、Asp151、Asp185、Asp192、A sp459およびAsp541)を含むced−4遺伝子産物であろう。あるい はまた、ced−3タンパク質は細胞の生存能にとって決定的なあるタンパク質 または亜細胞構造をタンパク分解的に切断することによって、直接細胞死を引き 起こすのであろう。 ced−3およびICEは新規タンパク質ファミリーの一部である。Thornber ryらは、ICEの287位の配列GDSPGはセリンならびにシステインプロテ アーゼ活性部位にみいだされたGX(S/C)XGモチーフに類似していること を示唆した(Nature 356:768-774(1992))。しかし、試験した3種の線虫のc ed−3タンパク質において、この配列の最初のグリシンのみが保存されており 、マウスICEではそのS/Cが欠損している。このことは、ced−3/IC Eファミリーが既知のプロテアーゼファミリーとほとんど配列に相同性がないこ とを示唆している。 ced−3とICEの相同性は、ced−3がシステインプロテアーゼとして 機能するのみならず、ICEが脊椎動物におけるプログラムされた細胞死におい て機能することを示唆している。この仮説と一致して、ネズミの腹腔マクロファ ージをリポポリサッカライド(LPS)で刺激し、細胞外ATPにばく露するこ とによってプログラムされた細胞死を誘導すると、培養上清中に成熟した活性I L−1βが放出されることが観察されている。これに対して、細胞を削り落とす (Scraping)ことによって傷つけると、IL−1βはほどんど不活性の前駆型と して放出される(Hogoquistらの、Proc.Natl.Acad.USA 88:8485-8489(1991)) 。これらの結果は、ICEがプログラムされた細胞死の誘導において活性化する ことを示唆する。IL−1βを産生しない細胞中にICE転写物が検出されてお り(Cerrettiらの、Science 256:97-100(1992))、このことは他のICE基質 が存在することを示す。このことはICEがIL−1β以外の基質を切断するこ とによってプログラムされた細胞死に関与しうることを示唆する。 ced−3タンパク質とICEのp10サブユニットの両カルボキシ末端部分 は、初期胚脳の発生時に選択的に発現するネズミのnedd−2遺伝子がコード するタンパク質と同様である(Kumarらの、Biochem and Biophy.Res.Comm.185: 1155-1161(1992))。nedd−2タンパク質はQACRG活性ドメインを欠 いているため、このタンパク質はICEまたはICE様のp20サブユニットを 調節するように機能するかも知れない。興味深いことに、多くのプログラムされ た細胞死が生じる際には、4つのced−3突然変異はnedd−2タンパク質 とnedd−3タンパク質間に保存された残基を変化させ、nedd−2遺伝子 の発現は胚における脳発生時に高い。これらの観察結果は、nedd−2がプロ グラムされた細胞死において機能するであろうことを示唆する。 C.エレガンス遺伝子ced−9は、ced−3およびced−4の活性に直 接または間接的に拮抗することによって、細胞にプログラムされた細胞死が生じ るのを防ぐ(Hengartnerらの、Nature 356:494-499(1992))。脊椎動物遺伝子 bcl−2はced−9と機能的に同様に作用する。bcl−2の過剰発現はC. elegannsのみならず様々な脊椎動物細胞種における細胞消滅(アポプトーシス) 的な細胞死の発生を防止するかまたは遅延させる(Vauxらの、Science 258:1955 -1957(1992);Nunezらの、J.Immun.144:3602-3610(1990);Vauxらの、Scie nce 258:1955-1957(1992);Sentmanらの、Cell 67:879-888(1992);Strasse rらの、Cell 67:889-899(1991))。したがって、ICEまたは別のced−3 /ICEファミリーの一員が脊椎動物におけるプログラムされた細胞死に関与す るならば、bcl−2はその活性を調節することによって作用し得る可能性があ る。bcl−2が主要なオンコジーンであるという事実(小胞性B細胞リンパ肉 腫の85%およびびまん性B細胞リンパ肉腫の20%に染色体トランスロケーシ ョン(translocation)の結果としてbcl−2の過剰発現が生じる、Fukuhara らの、Cancer Res.39:3119(1979);Levinaらの、Blood 66:1414(1985);Yu nisらの、N.Engl.J.Med.316:79-84(1987))は、ICEおよび他のced− 3/ICEファミリーの一員が劣性オンコジーンであろうことを示唆する。その ような細胞死遺伝子を除去することによって、ちょうどbcl−2の過剰発現時 におけるように、正常な細胞死を防止し、悪性腫瘍を助長するであろう。 実施例2 マウス胸線cDNAライブラリー(Stratagene)からのヒトICEのマウス相 同物をヒトICEをプローブに用いて低ストリンジェンシー(stringency)ハイ ブリダイゼーションによってクローニングした。「mICE」と名付けられたこ のクローンは、塩基対166がAであり、その結果AspよりむしろAsnをコ ードする以外はNetら(J.Immun.149:3245-3259(1992))の分離したクローン と同一である。この分離されたクローンはマウスB6/CBAFIJ(C57B lack×CBA)株の胸線cDNAライブラリー(Stratagene)由来であり、 一方NettのクローンはWEH13細胞cDNAライブラリー(Stratagene)由来 であるので、これはDNAの多形性であろう。続く実験によってこのDNAの多 形性がICE機能に必須ではない領域内にあることが示された(下記参照)。す なわち、AspよりむしろAsnが存在しても得られた結果に影響しないであろ う。 高レベルのICEを発現する永久的細胞系を樹立することの困難さを回避する ため、一時的発現系を開発し、mICEの過剰発現が細胞を死滅させるかどうか を試験した。mICEcDNAを大腸菌lac−Z遺伝子と融合させ、生じた産 物をニワトリβ−アクチンプロモーターの調節下に置いた(第4図)。活性IC Eタンパク質は、前駆体ペプチドからプロセッシングされるP20とP10の2 つのサブユニットを有することが知られている(Thornberryらの、Nature 356:7 5-8774(1992))。さらに2つの融合遺伝子、P20/P10−lacZおよび P10−lacZを作製し、このサブユニットの機能について試験した。 第4図に示した構築物をリン酸カルシウム沈澱法によりrat 1細胞内にト ランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に細胞を固定し、X− galを加えて発色反応を開始した。3時間発色させた後、完全なmICE−l acZまたはP20/P10−lacZでトランスフェクトしたほとんどの青色 細胞が球形であったのに対し、P10−lacZまたは対照lac−Z構築物で トランスフェクトしたほとんどの青色細胞は正常な扁平の細胞であった(表2) 。 同様の結果が別の細胞系のNG108−15神経細胞においても得られた。健康 なラット生細胞は扁平でプレートによく付着しているのに対し、染色された細胞 は球形でしばしば培地中に浮遊している。 方法:a:bcl−2発現ベクター(pJ415)の構築:まず、pBabe/ puroベクターのBamHI部位に5’,400bpのBglII/BamH I crmA断片を挿入し、次いで3’BamHI部位のセンス方向に残りの1 kbのBamHI crmA断片を挿入することによりpJ415を構築した。 b:bcl−2発現ベクター(pJ436)の構築:pBabe/puroベ クターのEcoRI/SalI部位にEcoRI/SalI bcl−2断片を 挿入することによりpJ436を構築した。 c:crmAおよびbcl−2を過剰発現するRat−1細胞系の樹立:BioR adエレクトロポーレーション装置を用いてpJ415およびpJ436をΨCR Eレトロイウルスパッケージ細胞(Danosらの、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85: 6460-6464(1988))内にエレクトロポーレーションした。一夜一時的にトラン スフェクトしたΨCRE細胞またはcrmAもしくはbcl−2のいずれかを発 現する安定なΨCRE細胞系のいずれかからの上清を用いて、ポリブレン8μg /mLの存在下で一夜Rat−1細胞に感染させる。抵抗性の細胞をプロマイシ ン30ug/mLを用いて約10日間かけて選択した。抵抗性コロニーをクロー ニングし、ノーザンブロットおよびウエスタンブロットを用いて発現を調べた。 Bcl−2抗体をS.J.KorsmeyerおよびDAKOから得た。crmA抗血清はウ サギをanm大腸菌に発現したcrmA融合タンパク質(pJ434)で免疫し て作製した。pJ434はcrmA cDNAのEcoRI/SalI断片をp ET21a(Novagen)のEcoRI/SalI部位内に挿入して作製し、融合 タンパク質をE.coli BL21(DE3)株に発現させた。bcl−2ま たはcrmAのいずれかを発現する複合系において、mICEによって誘導され る細胞死の抑制について検討し、すべてにおいて同様の結果を得た。 細胞をローダミン結合抗βガラクトシダーゼ抗体とHoechst色素を用いて染色 すると、ガラクトシダーゼ陽性の球形細胞が凝縮し断片化した核を有することが わかった。そのような核はプログラムされた細胞死を示唆するものである。電子 顕微鏡で観察すると、X−gal反応産物は電子的に密であり、ICE−lac Z発現細胞を他の細胞と区別することができた(Snyderらの、Cell 68:33-51(1 992))。キメラ遺伝子を発現する細胞は、凝縮したクロマチンと膜の水胞化を 示した。これらはプログラムされた細胞死を生じた細胞の特徴である(Wyllie,A .H.、Cell Death in BIology and Pathlogy中、9-34(1981);Oberhammerらの 、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:5408-5412(1992);Jacobsonらの、Nature 3 61:365-369(1993))。すなわち、これらの結果はmICEの過剰発現がプログ ラムされた細胞死を誘導し、誘導はP20およびP10両サブユニットに依存す ることを示唆する。 mICE−lacZまたはP20/P10−lacZでトランスフェクトした rat−1細胞における発色が24時間持続すると、扁平細胞の大多数が青色に 変わる。この結果は細胞が低レベルのICE活性に耐え得ることを示している。 mICEがced−3の脊椎動物相同体であるとすれば、ced−3も脊椎動 物における細胞死をもたらすことが予想される。この仮説を試験するため、ce d−3−lacZ融合構築物を作製し、その細胞死を生じる能力を既述のアッセ イ法を用いて試験した。予想通り、ced−3の発現はラット細胞に死をもたら した(表2)。 mICEがced−3と同じ方法で機能するとすれば、別の予想として、C. エレガンスにおけるced−3活性を排除する突然変異も脊椎動物におけるその 活性を排除するはずである。この仮説を、ICEのペンタペプチド活性ドメイン のQACRG中のGly残基をSerに突然変異させることによって試験した。 この突然変異はmICEとced−3の両活性を排除しラット細胞の死をもたら すことがわかった(表2)。 牛痘遺伝子crmAはICE活性を特異的に阻害することができる38kDの タンパク質をコードしている(Rayらの、Cell 69:597-604(1992))。mICE の過剰発現によって生じる細胞死がICEタンパク質の酵素活性によることを証 明するために、rat−1細胞に、crmAを発現するpBabeレトロウイル ス構築物(Morgensternらの、Nucl.Acids Res.18:3587-3596(1990))を感染 させ、細胞系が高レベルのcrmAタンパク質を産生することを確認した。mI CE−lacZ構築物をこれらの細胞系内にトランスフェクトすると、大部分の 青色の細胞が健康で扁平な形態を有することがわかった(表2)。さらに、活性 部位のペンタペプチドのQACRG中のCys残基をGlyに変化させる点突然 変異はICEの能力を排除し細胞死を生じさせる(構築物pβactM17Z、 第4図、表2)。この結果はICEのタンパク分解活性はICEの殺細胞活性に 必須であることを示唆する。 哺乳動物において、bcl−2はある細胞においてプログラムされた細胞死が 生じるのを抑制する(Vauxらの、Nature 335:440-442(1998);Nunezらの、J.I mmun.144:3602-3610(1990);Strasserらの、Cell 67:889-899(1991);Sent manらの、Cell 67:879-888(1991))。線虫のC.エレガンスにおけるbc1− 2の発現によってプログラムされた細胞死が部分的に予防されることが示されて いる。すなわち、bcl−2はC.エレガンスced−9遺伝子と機能的に同じ である(Vauxらの、Science 258:1955-1957(1992);Hengartnerらの、nature 356:494-499(1992))。 Rat−1細胞にbcl−2を発現するpBabeレトロウイルス構築物を感 染させた。bcl−2を過剰発現する細胞系内にmICE−lacZ融合構築物 をトランスフェクションすると、高いパーセンテージの青色細胞がそのとき健康 であることが示された(表2)。すなわち、mICEの過剰発現によって誘導さ れる細胞死はbcl−2によって抑制することができる。この結果はmICEの 過剰発現によって誘導される細胞死がおそらく正常なプログラムされた細胞死の 機序を活性化することによって生じることを示している。ICEのアミノ酸配列 は発生時におけるプログラムされた細胞死の開始に作用するC,elegans ced− 3と同様である。したがって脊椎動物はC.エレガンスと同様のプログラムされ た細胞死の遺伝的経路を持っているのかも知れない(第5図)。 実施例3 既述のごとくICE/ced−3ファミリーの遺伝子はプログラムされた細胞 死の開始時に機能するものと予想される。この遺伝子ファミリーにさらに加わる メンバーを確認するために、ヒトインターロイキン−1β変換酵素(ICE)を コードするcDNAを用いて、低ストリンジェンシー下でマウス胸腺cDNAラ イブラリー(Stratagene)をスクリーニングした。この方法を用いて、新たな遺 伝子が確認され、「mICE2」と名付けた(mICEのcDNA配列と推定ア ミノ酸配列については第6図参照)。 第7図および7Aは、mICEがコードするタンパク質にはC.エレガンス細 胞死遺伝子であるced−3のみならずヒトならびにネズミの両インターロイキ ン−1β変換酵素(ICE)と有意な相同性があることを示している。この配列 の相同性はmICE2もICEと同様に脊椎動物の細胞死遺伝子であることを示 唆する。 ノーザンブロット分析の結果は、mICE2の発現が胚発生時に広く発現する mICEとは異なり細胞死が頻繁に起きる場所である胸腺および胎盤に限られる ことを示した。さらに、胸腺におけるmICE2の発現は胸腺の退行をもたらす 薬剤であるデクスメソゾンによって誘導することができることがわかった。mI CEは胸腺/胎盤特異的な脊椎動物の細胞死遺伝子であると結論される。 実施例4 発生中の神経系では広範な細胞死が生じる(Oppenheim,R.W.の、Ann.Rev.Neur osci.145:453-501(1991))。多くのニューロンがシナプス形成期中に死滅す る。この重要な時期におけるニューロンの生存性は、神経栄養因子の利用能に依 存する。インビトロにおける分離初代ニューロンの生存性は、該栄養因子の存在 に決定的に依存している(Davies,A.M.の、Developmant 100:185-208(1987)) 。その様な因子を除去することにより通常48時間以内に神経細胞死が誘導され る。その生存が1種類またはそれ以上の神経成長因子ファミリー(神経成長因子 、脳由来神経栄養因子、およびインターロイキン−3)の一員に依存している交 感神経および知覚神経の死はbcl−2発現ベクターのマイクロインジェクショ ンによって保護することができる(Garciaらの、Science 258:302-304(1993) ;Allsoppら、1993)。Ice/ced−3ファミリー中の遺伝子が神経細胞死 の原因となり得るかどうかを検討するために、NGFを除去することによって誘 導されるニワトリの背根神経節ニューロンの死を抑制するcrmAの能力につい て検討した。crmAを含む発現ベクターのマイクロインジェクションはbcl −2発現ベクターと同程度に効果的にDRGニューロンの死を抑制した(Ganlia rdin i,V.らの、Science 263:826-828(1994))。この結果はIce/ced−3フ ァミリーの遺伝子が発生時の神経細胞死の調節に重要な役割を担いうることを証 明した。 実施例5 結果ICH−1のクローニング C.エレガンスの細胞死遺伝子であるced−3のタンパク質産物は、後期マ ウス脳発生時に抑制調節される遺伝子群の一部としてKumarが分離したマウス遺 伝子nedd−2の産物と相同である(Kumarらの、Biochem.Biophys.Res.Commu n.185:1155-1161(1992);Yuan,J.らの、Cell 75:641-752(1993))。データ バンク中のnedd−2 cDNAはアミノ酸171個の読み取りフレームを持 ち、長い3’および5’非翻訳領域を持っている。このアミノ酸171個のne dd−2タンパク質はICEタンパク質およびced−3タンパク質の活性ドメ インであるQACRGを含んでおらず、哺乳動物のインターロイキン−1β変換 酵素(ICE)のP10サブユニットおよびced−3タンパク質のC末端部分 とのみ相同である。nedd−2 cDNAの分析中に、本発明者は該cDNA が潜在的にQACRGペンタペプチドをコードし得る配列を含むが、その配列が 別のリーディングフレーム中にあることを発見した。本発明者はKumarらの分離 したnedd−2 cDNAがクローニングアーティファクトを含み、別のne dd−2転写物がICEのP20およびP10の両サブユニットと相同なタンパ ク質をコードし得る可能性について検討した。 マウスnedd−2プローブをポリメラーゼ鎖反応(PCR)によって作製し た。このマウスnedd−2プローブを用いて、3つのcDNAライブラリー: CLONTECHからの胎齢11.5日のマウスcDNAライブラリー(106クローン をスクリーニング)、James Gusellaの研究室からのヒト胎児脳cDNAライブ ラリー(107クローンをスクリーニング)およびStratageneからのヒト胎児脳 cDNAライブラリー(106クローンをスクリーニング)についてスクリーニ ングを行った。最長の陽性cDNAクローンはStraragene cDNAライブラリ ーから得られた。Stratageneライブラリーからの2つのcDNA種(pBSH3 7およびpBSH30)は、マウスnedd−2タンパク質と相同な2つの密接 に関連したタンパク質をコードすることが確認された。pBSH37の挿入物( 2.5kb)は、ICEのP20ならびにP10サブユニットおよび完全なce d−3タンパク質の両方とのアミノ酸配列の類似点を有するタンパク質をコード している。pBSH30の挿入物(2.2kb)は、タンパク質への翻訳を早期 に終了させるQACRGをコードする配列の1塩基対後に61bpの付加配列を 含んでいる。ノーザンブロット分析の結果は、このヒト遺伝子の発現パターンが Kumarらの報告したnedd−2の発現と異なることを示した(下記参照)。本 配列をIch−1L(pBSH37)(第12A図)およびIch−1S(pBS H30)(第12B図)と再度名付けた。 Ich−1S cDNAは2つの位置でIch−1Lと異なっている。最初の相 違は、コード領域の開始部である。Ich−1Sのはじめの35bpはIch− 1Lと異なり、停止コドンを含んでいるため、Ich−1Sの推定上の最初のメチ オニンはIch−1Lの最初のメチオニンから15アミノ酸下流にある(第12 B図)。Ich−1の最初の35bpならびにIch−1S特異的イントロン( 下記参照)に特異的なプライマーと、テンプレートとしてヒト胎盤cDNAを用 いるPCR分析では予想された大きさのDNA断片が増幅され、35bpのIc h−1S特異的配列がクローニングアーティファクトでなく、内在性Ich−1S mRNA中に存在することを示唆した(データ示さず)。 2つ目の相違は活性ドメインQACRGの後方にある。Ich−1Sは活性部 位QACRGのコード領域の1塩基対後からIch−1Lと異なり始める。この 差は61bpの配列の挿入によって生じ、これによりその挿入部から下流の終始 コドンのアミノ酸21個が生じる。Ich−1SおよびIch−1Lの最後の同じ 2塩基対は一般的な真核生物のスプライシングドナーコンセンサス配列であるA Gである(Mount、1982)。 Ich−1のマウスゲノムDNAをクローニングした。マウスゲノムIch− 1DNAの分析結果は、上記の61bpがイントロン由来であり、その配列がヒ トとマウスのIch−1において同じであることを示した。このIch−1Sお よびIch−1L間の差は2つの異なる5’スプライシングドナー配列のいずれ か一方を用いることによって生じる。Ich−1LおよびIch−1Sの概略図を 第13図に示す。コード領域間にイントロンを挿入した結果として、Ich−1S の読み取りフレームは2つに分断する。すなわち、最初の1つはICEのP2 0サブユニットとのみ相同なアミノ酸312個のペプチドをコードし、2つ目は ICEのP20サブユニットおよびP10サブユニットの一部と相同なアミノ酸 235個のペプチドをコードしている。2つ目は、マウスnedd−2タンパク 質とほぼ同じである(第12図および第13図)。これらのデータは最初のリー ディングフレームのみが細胞内で翻訳されることを示唆する(下記参照)。Ic h−1Lタンパク質はICE(27%が同一で52%が類似)およびced−3 (28%が同一で52%が類似)のいずれとも類似性がみられる(第14図)。 すなわち、Ich−1とced−3間、およびIch−1とICE間の相同性は はほぼ等しい。Ich−1はインターロイキン−1β変換酵素を発現する多くの組織およびTH P−1細胞に発現する Ich−1の機能を特徴づけるために、Ich−1の発現パターンを検討した 。pBSH37の挿入物をIch−1SおよびIch−ILの両転写物とハイブリ タイズするプローブとして用いるヒト胎児の心臓、脳、肺、肝臓および腎臓組織 のノーザンブロット分析によって、4kbのIch−1 mRNAは試験したす べての組織中にほぼ同量で低レベルに発現することがわかった。Ich−1Sの 61bpイントロンをプローブ(Ich−1S転写物のみにハイブリダイズする )に用いて同じノーザンブロットを分析し、Ich−1Sがヒト胎児の肺、肝臓 および腎臓よりその心臓および脳により大量に発現することが示された。この結 果 は、胎児の肺、肝臓および腎臓中では、Ich−1LがIch−1Sより大量に発 現することを示唆する。pBSH37プローブによる成人RNAのノーザンブロ ット分析では、Ich−1が試験したすべての組織に検出され、そのレベルは心 臓、脳、肝臓および骨格筋より胎盤、肺、腎臓、すい臓において高かった。 THP−1細胞のノーザンブロットを分析することにより、Ich−1および ICEが同じ細胞中に発現するについて試験した。これらの細胞にIceの発現 が認められた(Thornberry,N.A.らの、Nature 356:768-774(1992);Cerretti, D.P.らの、Science 256:97-100(1992))。本発明者はIch−1をTHP−1 細胞中に検出し得ることをみいだした。すなわち、Ich−1およびICEはい ずれもTHP−1細胞中に発現する。 定量的RT−PCRを用いて、本発明者らは、血清欠乏条件下で正常生T細胞 ハイブリドーマDO11.10細胞(Haskins,K.らの、Exp.Med.157:1149-1169 (1983)ならびに死にかけのDO11.10細胞におけるICEおよびIchの 発現について検討した。THP−1細胞と同様に、ICEおよびIchの両発現 がDO11.10細胞中に認められた。興味深いことに、Ich−1LおよびI CEの発現レベルは血清欠乏条件下で死にかけのDO11.10細胞において増 加するようである。Ich−1Lの過剰発現はrat−1線維芽細胞の死を誘発する Ich−1Lの機能を試験するため、ICEについて用いたのと同じ一時的発 現系(Miure,M.らの、Cell 75:653-660(1993))を用いて、Ich−1の過剰 発現がプログラムされた細胞死を誘発するかどうかについて検討した。ヒトIc h−1L cDNAを大腸菌lacZ遺伝子と融合し、この融合遺伝子をニワトリ β−アクチンプロモーター(pβactH37Z)の調節下においた。この融合 遺伝子をリポフェクタミン介在遺伝子移入法によってRat−1細胞内にトラン スフェクトし、この遺伝子の発現をX−gal反応を用いて試験した。その結果 、pβactH37Zでトランフェクトした青色(X−Gal陽性)Rat−1 細胞のほどんどが球形であることを示した。これらの結果はmIce−lacZ 融 合配列でトランスフェクトした細胞において得られた結果と同様である(表1) 。これに対して、ベクターのみでトランスフェクトしたほとんどの青色細胞は扁 平で健康であった。生Rat−1細胞が扁平であるのに対し、死にかけのRat −1細胞は球形でついにはプレートからはがれた。この結果はIch−1Lの発 現がRat−1細胞に死をもたらすことを示している。 mIce−lacZとIch−1−lacZの融合構築物をHeLa細胞、N G108−15細胞、およびCOS細胞にトランスフェクトし、Ich−1によ って誘導される細胞死になんらかの細胞種特異性がみられるかを試験し、その効 果とICEのそれを比較した。その殺細胞作用は先に分析した(表1)。その結 果、対照に比べて、Ich−1およびICEの細胞毒性作用にはある細胞種特異 性がみられることを示した。Ich−1またはICEのいずれかの発現はRat −1細胞およびHeLa細胞を効果的に(>90%死滅)死滅させる。NG10 8細胞はRat−1細胞およびHeLa細胞よりIch−1およびICEの発現 に対する抵抗性が強い(68〜80%死滅)。Ich−1またはICEのいずれ かの発現ではCOS細胞を死滅させることができない(表1)。 Ich−1の発現によって誘導される細胞死の核の形態について検討するため 、Ich−1L−lacZ Rat−1細胞トランスフェクタントをローダミン結 合抗βガラクトシダーゼ抗体とHoechst色素を用いて染色した。その結果、βガ ラクトシダーゼ陽性の球形細胞が凝縮し断片化した核を持つことが示された。こ れはアポプトーシスをきたした細胞の特性の一つである。すなわち、これらの結 果はIch−1Lの過剰発現はICEの過剰発現と同様に、Rat−1細胞にプ ログラムされた細胞死をもたらすことを示唆している。 Ich−1Lの過剰発現によって生じた細胞死が特異的であるかどうかを検討 するため、3つの突然変異Ich−1L融合タンパク質を作製した。すなわち、 1つ目はIch−1の活性部位のSer→Cys303であり、2つ目は推定の P10サブユニットのThr→Ala352であり、3つ目は推定のP20サブ フニットのPhe→Leu212であった(第14図)。P10のAla352 およびP20のLeu212は、Ich−1では保存されているがICEでは保 存されていないced−3の2つのアミノ酸残基である。突然変異Ich−1L −lacZ融合構築物をRat−1細胞内にトランスフェクトし、その発現を既 述のごとくX−gal反応によって試験した。 この分析により、S303C突然変異およびT352A突然変異はIch−1 の活性を完全に失わせるが(表1)、F212L突然変異はIch−1Lの殺細 胞活性を低下させることがわかった(表1)。これらの結果はIch−1の細胞 死をもたらす能力がその酵素活性に依存しており、ced−3のいくつかの特性 のみがIch−1に保存されていることを示唆している。 Iceの過剰発現によって誘発される細胞死はbcl−2およびcrmAによ って抑制することができる(Miura,M.らの、Cell 75:653-660(1993))。Ic h−1L−lacZ融合構築物をbcl−2またはcrmAのいずれかを過剰発 現しているRat−1細胞内にトランスフェクトし、Ich−1の発現によって 誘導される細胞死もbcl−2およびcrmAによって抑制することができるか どうかについて試験した(Miura,M.らの、Cell 75:653-660(1993))。細胞死 を表1に記載のごとくアッセイした。その結果、Ich−1の過剰発現によって 誘導される細胞死はbcl−2によって効果的に抑制することができるが、cr mAではわずかしか抑制することができないことが示された。Ich−1Sの発現はRat−1線維芽細胞の死を防止する Ich−1Sは2つの読み取りフレームを含んでいるため、どちらのリーディ ングフレームが機能的に翻訳されるかを決定することが重要である。Ich−1S は、実験方法に記載のごとく35S−メチオニン存在下で網状赤血球溶解物中の インビトロで転写されたRNAを用いて翻訳した。翻訳された産物を分子量標準 を用いるSDS−ポリアクリルアミドゲルで泳動した。Ich−1Sアンチセン スRNAを陰性対照に用いた。その結果、最初のリーディングフレームのみが翻 訳されることが示された。 第二に、大腸菌lacZ遺伝子を、最初の(pβactH30Z1)および2 つ目の(pβactH30Z2)読み取りフレーム末端で融合した。この構築物 をRat−1細胞に別々にトランスフェクトし、X−gal反応を用いてそれら の細胞の色調をアッセイした。その結果、LacZ遺伝子が(2つ目の読み取り フレームとではなく)最初の読み取りフレーム末端と融合したときにのみ青色細 胞を検出することができることが示された。すなわち、Ich−1Sの相同物の 最初の読み取りフレームのみがインビボで使われていることが最も考えられる。 Ich−1Sの機能を特徴づけるために、pβactH30Z1が細胞死をも たらす能力について検討した。pβactH30Z1をRat−1細胞にトラン スフェクトし、既述のごとくX−gal反応を起こさせた。分析結果はpβac tH30Z1の発現は細胞死をもたらさないことを示した(表1)。 Ich−1Sを発現する安定なRat−1細胞系を樹立し、Ich−1Sが細胞 死に対する何らかの保護効果を有するかどうかについて検討した。cDNA I ch−1SをpBabepuroレトロウイルスベクター中にクローニングし(M orgensternらの、Nucl.Acids Res.18:3587-3596(1990))、Rat−1細胞内 にトランスフェクトした。安定なトランスフェクタントをプロマイシン中で選択 し、個々のクローンにおけるIch−1Sの発現をノーザンブロット分析によっ てアッセイした。Ich−1Sを発現しているクローンを分析に用い、Ich− 1Sを発現していないクローンをトランスフェクトしていないRat−1細胞と 共に陰性対照として用いた。コンフルエントでない密度でプレートにまき、注意 深く洗浄すると、Rat−1細胞は無血清培地中で死滅するであろう。これらの 条件下でbcl−2またはcrmAを発現するRat−1細胞は、死に対して抵 抗性であった(第15図)。ヒトIch−1Sを発現する安定なRat−1細胞 系の能力を無血清条件下で試験し、それらが親Rat−1細胞およびIch−1S を発現しない陰性対照トランスフェクタントより血清の欠乏に対して抵抗性が 強いことがわかった(第15図)。これらの実験は、Ich−1Sが細胞死を抑 制する能力を有するであろうことを示唆している。 Ich−1SはIch−1Lを阻害することによって細胞死を抑制することがで きることから、本発明者はRat−1細胞がIch−1を発現するかどうかにつ いて検討した。マウスIch−1 cDNAをプローブとして、Ich−1転写 物を予測させるmRNA種が低ストリンジェンシー条件下でRat−1細胞中に 検出された。 考 察 Ice/ced−3の細胞死遺伝子ファミリーに属する哺乳動物の遺伝子であ るIch−1の分離と特徴づけについて既述した。2つの異なるIch−1 m RNA種が同定された(Ich−1LおよびIch−1s)。これらの2つのc DNAは翻訳開部周辺の5’領域と中間領域が異なる。中間領域の相違は2つの 異なる5’スプライシングドナー部位を代わりに使用した結果である。 Ich−1遺伝子は試験した胎児と成人の両組織に低レベルに発現する。Ic h−1Sは胎児の心臓と脳においてIch−1Lより高レベルに発現する。胎児の 肺、肝臓および腎臓ではその逆である。THP−1細胞およびDO11.10細 胞ではICEおよびIch−1の両発現を検出することができる。ICEおよび Ich−1Lの両発現は、血清欠乏条件下の死にかけの細胞において増大するよ うである。ラット線維芽細胞におけるIch−1Lの過剰発現はプログラムされ た細胞死をもたらした。このことは、Ich−1もプログラムされた細胞死遺伝 子であることを示唆している。Ich−1Sの過剰発現は細胞死をもたらさなか った。Ich−1Sの安定な発現は血清の欠乏によって誘導されるRat−1細 胞死を抑制した。これらの結果は、Ich−1が細胞死を促進的および抑制的に 調節するタンパク質産物をコードしていることを示している。 マウスnedd−2遺伝子はKumarら(Biochem.& Biophy.Res.Comm.185:115 5-1161(1992))によって最初に分離された。nedd−2遺伝子は 胎齢10 日のマウスの脳に豊富に発現し、成熟マウスの脳ではほとんど検出されない3. 7kbの転写物を有することが確認された。分離されたnedd−2 cDNA は171個のアミノ酸からなる読み取りフレーム、およびすべてのリーディング フレーム中に終止コドンを有する長い5’ならびに3’非翻訳領域を含んでいた 。171個のアミノ酸からなる読み取りフレームはICEのP10サブユニット お よびced−3タンパク質のC末端部と相同である(Yuan,J.らの、Cell 75:641 -752(1993))。 本明細書に記載したノーザンブロット分析では、ヒト胎児脳におけるIch− 1の発現を、試験した他の組織(心臓、肺、肝臓および腎臓)と詳細には比較し ていない。この相違の一部は試験した発生期の違いによって説明することができ た(マウスE10対ヒト20〜26週齢胎児)。しかし、Ich−1の発現は成 人組織において検出することができる。 本明細書の研究において、Kumarの報告したマウスnedd−2 cDNAの 5'非翻訳領域の増幅は達成されたなかった。Kumarクローン中の5'非翻訳領域 は不完全にプロセッシングされたnedd−2 mRNAの産物であった可能性 がある。2つのIch−1 mRNAは約4kbであり、本明細書に記載のcD NAクローンはIch−1LおよびIch−1Sがそれぞれ2.5kbおよび2. 2kbであることからこれらのcDNAは不完全である。しかし、これらは本明 細書に記載のアッセイにおいて完全に機能していることから、これら2つのcD NA中に完全なコード領域がコードされているのであろう。 Ich−1は細胞死遺伝子のICE/ced−3ファミリーの新しい一員であ る。すなわち、哺乳動物はC.エレガンスとは異なりICE/ced−3の多く の構成員を有するに違いない。さらに、Ich−1はICEよりわずかにced −3タンパク質との相同性が高い。Ich−1の過剰発現によって誘導される細 胞死はcrmAによってほどんど抑制されなかった。この結果はced−3にお ける結果と同様である(Miura,M.らの、Cell 75:653-660(1993))。 Ich−1には保存されているがICEには保存されていないced−3タン パク質の2アミノ酸残基を突然変異させた。その結果、T352Aは、ICE中 の対応するアミノ酸がSerであるという事実にも関わらずIch−1の細胞死 をもたらす能力を完全に失わせるに対し、F212Lは殺細胞活性の低下をもた らすことが示された。また、これらのデータは、Ich−1がICEよりced −3と機械作用的に類似しており、Ich−1およびICEがced−3から独 自に発展したものであろうことも示唆している。 ICEおよびIch−1の過剰発現によって、Rat−1細胞およびHeLa 細胞を効果的に死滅させることができるが、NG108細胞では中程度しか死滅 させることができない。NG108細胞においてβ−アクチンプロモーターの活 性が低いという可能性は排除できない。しかし、NG108細胞が高レベルのI CEおよびIch−1阻害物質を発現するという可能性は興味深い。COS細胞 はICEおよびIch−1の殺細胞活性に対して完全に抵抗性である。COS細 胞はICEおよびIch−1の活性因子かまたは基質のいずれかを欠いているの かも知れない。また、この結果は、ICEおよびIch−1の細胞毒性効果には ある特異性があり、またこの効果はプロテアーゼの無作為な切断を生じる活性に よってもたらされるものではないようである。 Ich−1は、mRNAがどの様にプロセッシングされるかによって細胞死を 抑制するかまたは生じるかのいずれかのタンパク質産物を作ることができる。同 様な調節はbcl−2関連遺伝子であるbcl−xにおいても観察されている( Boise、1993)。bcl−x転写物は2つの異なる方法でプロセッシングするこ ともでき、大きい方のmRNAであるbcl−xLは、IL−3依存細胞系に過 剰発現するとき成長因子の離脱によって誘導される細胞死を抑制することができ るbcl−2関連タンパク質産物をコードする。bcl−x転写物のもう1つの スプライシングによって別のより小さな転写物を生じることができる。bcl− xSはbcl−2の成長因子欠乏細胞の生存を増強する能力を阻害するbcl− xタンパク質の内部トランケート変種をコードしている。RNAスプライシング を調節することはプログラムされた細胞死における分化調節の重要なチェックポ イントと考えられよう。 Ich−1Sはいかにして細胞死の抑制に作用するのであろうか?細胞死の活 性化因子を不活化するか、またはIch−1Lを直接不活化するかのいずれかに よって作用するかも知れない。Rat−1細胞はIch−1を発現すると思われ るため、これら2つの可能性は現在のところ区別できない。一時的トランスフェ クションアッセイにおいて、Ich−1L−lacZ融合遺伝子およびIce− lacZ融合遺伝子の発現によって、安定してIch−1Sを発現している細胞 は対照Rat−1細胞と同様の効率で死滅する(L.Wang、未発表データ)。すな わち、crmAまたはbcl−2とは異なり、Ich−1Sによる細胞死の抑制 は用量依存性が高いと思われる。このことがおそらく、なぜIch−1Sの発現 が、血清の欠乏によって誘導されるRat−1細胞の細胞死を部分的にしか保護 しない(Ich−1Sを高レベルに発現するRat−1細胞のみが保護される) 理由であろう。 crmAはIch−1Lの過剰発現によって誘導される細胞死を抑制する能力 を有する。crmAタンパク質のアミノ酸配列は、通常、偽基質として作用する ことによってセリンプロテアーゼを抑制するセルピンおよびスーパーファミリー (Pickupらの、1986)の一員と相同である。ICEおよびcrmAタンパク質と の相互作用の性質は完全には理解されていないが、他のセルピンとセリンプロテ アーゼの相互作用と同様のようである。crmAによるICEファミリーの一員 の抑制はICEおよびcrmAタンパク質の親和性および相対濃度の両方に依存 し得る。crmAがIch−1Lの過剰発現によって誘導される細胞死をあるパ ーセンテージ抑制し得るという事実は、crmAおよびIch−1が、それらの 親和性は低いものの互いに結合し得ることを示唆している。Ich−1濃度が低 い場合には、crmAはICH−1によって誘導される細胞死をより高いパーセ ンテージで抑制することができよう。crmA発現構築物をマイクロインジェク ションすることによって、神経成長因子の欠乏によって誘導される背根神経節ニ ューロンの死を効果的に抑制することができる(Gagliardini,V.らの、Science 263:826-828(1994))。1つまたはそれ以上のICE/ced−3ファミリー の一員が神経細胞の死に関与していると思われる。crmA発現構築物をニュー ロン内にマイクロインジェクションすると、crmAタンパク質の一時的濃度は 非常に高いようである。すなわち、そのような条件下において、crmAはIC E/ced−3ファミリーの複数の一員を、それらのcrmAに対する親和性が あまり高くないにも関わらず、抑制することができるようである。 Ich−1およびIceの発現は同一の細胞において検出することができるの で、本明細書に記載した結果は、ICE/ced−3ファミリーの複数の一員が 単一のシグナルによって誘導される細胞死に関与し得ることを示唆する。Ice およびIch−1が作用して細胞死をもたらす方法として、3つの方法が考えら れる(第16図)。第一に、Ich−1は直接または間接的にIceを活性化し 細胞死をもたらすのかも知れない。第二に、ICEは直接または間接的にIch −1を活性化し細胞死をもたらすのかも知れない。第三に、ICEおよびIch −1が平行して作用し、細胞死をもたらすのかも知れない。最初のシナリオでは ICEの阻害物質はICH−1によって誘導される細胞死を抑制するはずである 。この仮説を試験するには、ICHの一員のおのおのに特異的な阻害物質が必要 である。既述の理由から、crmAはICE/ced−3ファミリーの他の一員 も同様に抑制することができるようである。これらのモデルはICE/ced− 3ファミリーの特定の一員が突然変異している「ノックアウト(Knock-out)」 突然変異マウスによって直接試験することができる。 実験方法プラスミドのクローニングおよび構築 マウスnedd−2 cDNAは、マウス胎児の脳cDNAおよび5’ならび に3’非翻訳領域およびそのコード領域に特異的なプライマー対を用いて分離す る。プライマ−nedd2/1(5’−CAACCCTGTAACTCTTGA TT−3’)およびnedd2/2(5’−ACCTCTTTGGAGCTAC CAGAA−3’)を5’非翻訳領域を増幅するために用いた。プライマ−ne dd2/3(5’−CCAGATCTATGCTAACTGTCCAAGTCT A−3’)およびnedd2/4(5’AAGAGCTCCTCCAACAGC AGGAATAGCA−3’)をnedd−2コード領域を増幅するために用い た。プライマーnedd2/5(AGAAGCACTTGTCTCTGCTC) およびnedd2/6(5’TTGGCACCTGATGGCAATAC−3’ )は3’非翻訳領域を増幅するために用いた。nedd−2コード領域の0.5 kbのPCR産物をpBlueacriptプラスミドベクター中にクローニン グ しプローブとして使用した(Stratagene)。 ヒト胎児脳cDNAライブラリー(Stratagene)を低ストリンジェンシーでネ ズミnedd−2 cDNAプローブを用いてスクリーニングした。フィルター を42℃で一夜5×SSPE、30%ホルムアミド、1×Denardt溶液、1%S DS中でハイブリダイズし、1×SSPEおよび0.5%SDS中で室温で2回 、45℃で2回(20分)洗浄した。同じハイブリダイゼーション条件下で、ヒ トIch−1S(pBSH30)を61bpのイントロンを含む76bp断片で あるネズミnedd−2 cDNAのBamHI/SalI断片を用いて陽性ク ローンから分離し、既述の条件で洗浄した。ファージクローン(Ich−1Lに ついてはpBSH37、Ich−1SについてはpBSH30)をインビボ切除 プロトコール(Atratagene)によってインビボで切取り、プラスミドを得た。合 成プライマーを用いてPCRを実施し、発現構築物を構築した。H1(5’−G ATATCCGCACAAGGAGCTGA−3’)およびH2(5’−CTA TAGGTGGGAGGGTGTCC−3’)をIch−1Lを構築するために 使用した。Ich−1S cDNAの5’領域の配列に対応するH3(5’−G ATATCCAGAGGGAGGGAAGCGAT−3’)、およびIch−1S の第一読み取りフレーム(ORF)の3’領域の配列に対応するH4(5’− GATATCAGAGCAAGAGAGGCGGT−3’)をIch−1Sを構 築するための最初のORFに使用した。Ich−1Sの第二ORFの3’領域の 配列に対応するH3およびH5(5’−GATATCGTGGGAGGGTGT CCT−3’)をIch−1Sを構築するための第二のORFに用いた。pBS H37およびpBSH30を適切なテンプレートとして使用した。3つのPCR 産物をpBluescriptIIのEcoRV部位中に挿入し、その挿入物を SmalIおよびKpnIで消化して分離し、BSLacZのSmaI−Kpn I中にクローニングした(Miura,M.らの、Cell 75:653-660(1993))。Kpn Iで消化し、T4ポリメラーゼによってブラントエンドとし、過剰のNotIリ ンカーの存在下で結合することによりNotIリンカーをKpnI部位に加える 。これらの構築物であるBSh37Z、SSh30Z1およびBSh30Z2を No tIで消化し、それぞれpβactstneoB中にクローニングした(ニワト リβ−アクチンプロモーターを使用する)(Miyawaki,A.らの、Neuron 5:11-18 (1990))。最終的なプラスミドをそれぞれpβactH37Z、pβactH 30Z1およびpβactH30Z2と名付けた。Ich−1Sを保有する安定 なRat−1細胞系を樹立するために使用したpBabeH30プラスミドを、 pBabe/puroベクターのSalI部位に完全長のIch−1ScDNA を挿入することによって構築した(Morgenstern,J.P.らの、Nutl.Acids Res.18 :3587-3596(1990))。 突然変異部位を含むプライマーを以下のごとく合成し、Ich−1Lの活性ド メイン中のCys303をSer残基に、Ich−1LのP10サブユニット中 のAla352をThr残基に、Ich−1LのP20サブユニット中のLeu 212をPhe残基に突然変異させた: HM1 5’−ATCCAGGCCTCTAGAGGAGAT−3’ HM2 5’−ATCTCCTCTAGAGGCCTGGAT−3’ HM3 5’−TGCGGCTATACGTGCCTCAAA−3’ HM4 5’−TTTGAGGCACGTATAGCCGCA−3’ HM5 5’−CACAGTACTTTCGTCACCCT−3’ HM6 5’−AGGGTGACGAAAGTACTGTG−3’ (HM1はHM2に対応し、HM3はHM4に対応し、HM5はHM6に対応す る)。PCRは2段階で実施した。第1回目のPCRにおいて、Ich−1Ln oN末端から突然変異部位までの断片、およびIch−1Lの突然変異部位から C末端までの断片をT3とHM1ならびにHM2とT7の2つのプライマー対、 およびテンプレート(鋳型)としてPBSH37を用いて合成することにより、 Cys303にSer突然変異を生じさせた。第2回目のPCRにおいて、最初 の反応で生成された2つのPCR断片をテンプレートに用い、T7およびT3を プライマーに用いた。そのような2回のPCRにより完全長のIch−1L突然 変異体を生じさせた。他の2つの突然変異体を、最初のPCRにおいて同様の方 法でプライマーにT3およびHM3、HM4およびT7を用いてAla352に Thr突然変異を、またT3およびHM5、HM6およびt7を用いてLeu2 12にPhe突然変異を起こさせた。該PCR産物をpBluescriptI IのEcoRV部位内に挿入し、配列を決定した。突然変異体のcDNA挿入物 を既述のごとく発現ベクター中にクローニングした。突然変異したクローンはp βactH37ZCSpβactH37ZATおよびpβactH37LFと名 付けた。細胞培養および機能試験 細胞はすべて10%ウシ胎児血清(FCS)添加ダルベッコ改良イーグル培地 (DMEM)中で維持した。トランスフェクション前日に6ウェルディッシュの それぞれに約2.5×105個の密度で細胞を接種した。GIBCOBRL(Gai thersburg,MD)のプロトコールに従って、各ウェルあたりLacZキメラ構築物 0.7〜1μgおよびリポフェクタミン試薬10μgを使用した。細胞をDNA およびリポフェクタミンを含む無血清培地中で3時間インキュベーションした。 次いで、トランスフェクション混合物を除去せずに等量の20%血清含有増殖培 地を加え、24時間インキュベーションを続けた。培養中の細胞におけるキメラ 遺伝子の発現を既述のごとく検出した(Mlura,M.ら,Cell 75:653-660(1993)) 。 pBabeH30をリポフェクタミン介在遺伝子トランスファー法を用いてR at−1細胞中にトランスフェクトすることにより、Ich−1Sを過剰発現す るRat−1細胞系を樹立した。プロマイシン3μg/mLを用いて約10日間 にわたり抵抗性細胞を選択した。細胞におけるIch−1Sの発現をノーザンブ ロット分析法によってアッセイした。Ich−1Sが血清欠乏条件下におけるア ポプトーシスに対する抵抗性をRat−1細胞に付与することができるかを試験 するために、Ich−1Sを過剰発現するRat−1細胞、非トランスフェクト 対照Rat−1細胞、トランスフェクトした陰性対照Rat−1細胞およびbc 1−2またはcrmAを過剰発現したRat−1細胞の10%FCS添加DME M500μL中5×104個を24ウェルディッシュに接種し、次いで無血清D MEMで1回洗浄し、無血清DMEM500μL中に移した。1日間隔で細胞を 回収し、0.4%トリパンブルーを用いて室温で5分間染色した。死細胞数と生 細胞数をヘモサイトメーターで算定した。RNA分析 ヒト胎児および成人組織(CLONTECH)の多組織ノーザン(MTN)ブロット膜 を、5×SSPE、10×Denhardt溶液、50%ホルムアミド、2%SDS、サ ケ精子DNA100μg/mLの条件下、42℃で一夜、ヒトIch−1L cD NAまたはIch−1S cDNAのイントロン(胎児組織について)を用いて探 査した。ブロットを2×SSPE、0.05%SDS中、室温で2回、さらに0 .1×SSPE、0.1%SDS中、50℃で2回それぞれ20分洗浄した。Ice−ced3S相同物のインビトロにおける転写および翻訳 Ich−1Sを含むpBluescriptプラスミド(PBSH30)をX hoIを用いて3’多クローニング部位で直線化し、精製し、Stratageneのプロ トコールを用いて37℃で2時間T3RNAポリメラーゼで転写し、Ich−1S 相同物の読み取りフレームの発現を検出した。また、該プラスミドをNotI を用いて5’多クローニング部位で直線化し、精製し、アンチセンス対照として T7ポリメラーゼを用いて転写した。得られた流出転写物をフェノール−クロロ ホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた。35S−メチオニンの存在下、30℃ で1時間ウサギ赤血球分解物(Promega)を用いてインビトロで翻訳を行った。 分解物5μLを等量の2×SDSゲル泳動緩衝液と混合し、SDS−ポリアクリ ルアミドゲル電気泳動(12%)にかけた。ゲルを乾燥し、X線フィルムにばく 露した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12N 1/21 9452−4B C12P 21/02 C 5/10 9281−4B C12N 5/00 B // C12P 21/02 9455−4C A61K 37/64 ADS

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.インターロイキン−1β変換酵素(ICE)の酵素活性を阻害する工程 を含む脊椎動物におけるプログラムされた細胞死を防止する方法。 2.該酵素活性がICE特異的抗プロテアーゼによって阻害される請求項1 に記載の方法。 3.該抗プロテアーゼがcrmAである請求項2に記載の方法。 4.脊椎動物細胞におけるICEの酵素活性を増加させることによって該細 胞におけるプログラムされた死を助長する方法。 5.該脊椎動物細胞が癌細胞である請求項4に記載の方法。 6.該癌細胞がオンコジーンのbcl−2を過剰発現する請求項5に記載の 方法。 7.胸腺細胞および胎盤細胞中で選択的に発現し、プログラムされた細胞死 をもたらすタンパク質をコードしている実質的に純粋な遺伝子。 8.該タンパク質が第6図に示すアミノ酸配列を有する請求項7に記載の遺 伝子。 9.該遺伝子が第6図に示すcDNA配列を有する請求項8に記載の遺伝子 。 10.請求項8または9に記載のいずれかの遺伝子を有する発現ベクター。 11.請求項10に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。 12.胸腺細胞または胎盤細胞中で選択的に発現され、該細胞に死をもたらす 実質的に純粋なタンパク質。 13.該タンパク質が第6図に示したmICE2のアミノ酸配列を有する請求 項12に記載のタンパク質。 14.請求項13に記載のタンパク質の機能的誘導体。 15.請求項7に記載のタンパク質の活性を増大させる工程を含む胸腺細胞ま たは胎盤細胞におけるプログラムされた細胞死を助長する方法。 16.第8図に示すヒトIch−1のcDNA配列を含む実質的に純粋なDN A分子。 17.請求項16に記載のDNAを有する発現ベクター。 18.請求項17に記載のベクターによって形質転換された宿主細胞。 19.第8図に示したヒトIch−1のアミノ酸配列を含む実質的に純粋なタ ンパク質。 20.請求項19に記載のタンパク質の機能的誘導体。 21.第16図に示すヒトIce−4相同体のcDNA配列を含む実質的に純 粋なDNA分子。 22.請求項21に記載のDNAを有する発現ベクター。 23.請求項22に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。 24.第16図に示すヒトIce−4相同体のアミノ酸配列を含む実質的に純 粋なタンパク質。 25.請求項24に記載のタンパク質の機能的誘導体。
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